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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】濾過のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/00 20060101AFI20221208BHJP
   A61M 1/00 20060101ALI20221208BHJP
   B01D 46/12 20220101ALI20221208BHJP
   B01D 46/24 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
A61B18/00
A61M1/00
B01D46/12
B01D46/24 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020543236
(86)(22)【出願日】2018-10-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-07
(86)【国際出願番号】 US2018057262
(87)【国際公開番号】W WO2019084108
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】62/576,301
(32)【優先日】2017-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520142893
【氏名又は名称】バッファロー フィルター エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】BUFFALO FILTER LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ヴィエジバ,マイケル ポール
(72)【発明者】
【氏名】シュヴェソフ,キリーロ
(72)【発明者】
【氏名】ボナーノ,サマンサ
(72)【発明者】
【氏名】ペペ,グレゴリー
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04619672(US,A)
【文献】米国特許第05779649(US,A)
【文献】国際公開第94/023657(WO,A1)
【文献】国際公開第90/002574(WO,A1)
【文献】特表2001-526070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/00
A61M 1/00
B01D 46/12
B01D 46/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科的手術のための装置において、
フィルタと、長軸と、前記長軸を通って延在する中空導管とを含む排出チューブであって、前記中空導管は、チューブ入口とチューブ出口とを流体的に接続しており、前記フィルタは、前記中空導管の内部に配置されていて、前記チューブ入口から前記チューブ出口に向かって前記中空導管を通過する流れから粒子を除去するように動作可能である、排出チューブ、
を備え、
前記フィルタは、前記排出チューブの内壁に沿って前記排出チューブの前記長軸の全長にわたって延在する炭素媒体を含み、
前記炭素媒体の断面直径は前記中空導管の内部断面直径より小さく、前記炭素媒体が前記中空導管を通る流れを完全には妨げないようになっている装置。
【請求項2】
前記炭素媒体は、活性炭含浸材料および活性炭吸収体のうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記フィルタは、ピンチリング、接着剤、または摩擦嵌めのうちの1つによって前記排出チューブの前記内壁に結合されている、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記フィルタは、前記排出チューブの内壁に沿って前記排出チューブの前記長軸を通って延在する炭素媒体を含む、請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記フィルタ媒体は、ULPA、HEPA、および粗粒子フィルタのうちの少なくとも1つである、請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記フィルタ媒体は、ひだ付きの材料、フラットシート形状の材料、および固体の材料のうちの少なくとも1つである、請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記排出チューブは、複数のフィルタを含み、前記複数のフィルタは、当該排出チューブの内部で、前記長軸に沿って相互に離間されている、請求項1記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的な実施形態は、濾過のための方法および装置に関する。本開示の例示的な実施形態は、より具体的には、外科的手術を濾過するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
外科的手術に関連して、サージカルスモークおよびエアロゾル、またはサージカルプルームが発生する。例えば、レーザまたは電気外科的エネルギが細胞に供給されると熱が発生する。熱は、細胞内液を蒸発させ、これによって細胞の内側の圧力が上昇し、最終的には細胞膜が破裂する。水蒸気が含まれた煙のプルームは、外科的手術の手術室の雰囲気中に放出される。さらに、熱は、細胞のタンパク質と細胞の内部の他の有機物とを炭化させ得るので、手術部位に隣接する細胞において熱壊死を引き起こすおそれがある。細胞の炭化は、炭化した細胞の破片および気体状の炭化水素のような他の有害な汚染物質を放出するおそれもある。
【発明の概要】
【0003】
上記に鑑みて、本開示の目的は、濾過のための装置および方法を提供することである。
【0004】
本開示の第1の例示的な実施形態は、外科的手術のための装置を提供する。当該装置は、外科的デバイスを含み、外科的デバイスは、長手方向軸と、長手方向軸を通って延在する中空通路を画定する本体とを含み、本体は、当該本体の遠位端にある入口と、当該本体の近位端にある出口とを有し、通路は、入口および出口に流体的に接続されている。当該装置はさらに、排出チューブを含み、排出チューブは、フィルタと、長軸と、長軸を通って延在する中空導管とを含み、中空導管は、チューブ入口とチューブ出口とを流体的に接続しており、フィルタは、中空導管の内部に配置されていて、チューブ入口からチューブ出口に向かって中空導管を通過する気体から粒子を除去するように動作可能である。
【0005】
本開示の第2の例示的な実施形態は、濾過のための装置を提供する。当該装置は、排出チューブを含み、排出チューブは、フィルタと、長軸と、長軸を通って延在する中空導管とを含み、中空導管は、チューブ入口とチューブ出口とを流体的に接続しており、フィルタは、中空導管の内部に配置されていて、チューブ入口からチューブ出口に向かって中空導管を通過する流れから粒子を除去するように動作可能であり、フィルタは、排出チューブの内壁に沿って排出チューブの長軸の一部を通って延在する炭素媒体を含む。
【0006】
本開示の第3の例示的な実施形態は、濾過のための装置を提供する。当該装置は、排出チューブを含み、排出チューブは、フィルタと、長軸と、長軸を通って延在する中空導管とを含み、中空導管は、チューブ入口とチューブ出口とを流体的に接続しており、フィルタは、中空導管の内部に配置されていて、チューブ入口からチューブ出口に向かって中空導管を通過する気体から粒子を除去するように動作可能であり、フィルタは、導管の内部に保持されるフィルタインサートであり、フィルタインサートは、中空芯を画定する円筒形の本体を含み、中空芯は、フィルタ媒体および炭素スラグを保持する。
【0007】
本開示の第4の例示的な実施形態は、濾過のための装置を提供する。当該装置は、排出チューブを含み、排出チューブは、フィルタと、長軸と、長軸を通って延在する中空導管とを含み、中空導管は、チューブ入口とチューブ出口とを流体的に接続しており、フィルタは、中空導管の内部に配置されていて、チューブ入口からチューブ出口に向かって中空導管を通過する気体から粒子を除去するように動作可能であり、フィルタは、複数のフィルタフラップを含み、複数のフィルタフラップは、導管の長軸に沿って相互に離間されており、複数のフィルタフラップの各々は、導管の内壁に固定的に蝶番式に取り付けられた第1の部分と、導管の内壁に取り外し可能に取り付けられた第2の部分とを有し、複数のフィルタフラップの各々は、導管を通る流れを実質的に遮断する第1の状態から、流れを実質的に遮断しない、折り畳まれた第2の状態へと運動するように動作可能である。
【0008】
本開示の第5の例示的な実施形態は、排出チューブを提供し、排出チューブは、フィルタと、長軸と、長軸を通って延在する中空導管とを含み、中空導管は、チューブ入口とチューブ出口とを流体的に接続しており、フィルタは、中空導管の内部に配置されていて、チューブ入口からチューブ出口に向かって中空導管を通過する気体から粒子を除去するように動作可能であり、排出チューブは、非拡大セクションおよび拡大セクションを含み、拡大セクションは、非拡大セクションよりも大きい直径を有し、フィルタは、拡大セクション内に保持されている。
【0009】
本開示の第6の例示的な実施形態は、濾過の方法を提供する。本方法は、外科的デバイスを提供することを含み、外科的デバイスは、長手方向軸と、長手方向軸を通って延在する中空通路を画定する本体とを含み、本体は、当該本体の遠位端にある入口と、当該本体の近位端にある出口とを有し、通路は、入口および出口に流体的に接続されている。本方法はさらに、排出チューブを提供することを含み、排出チューブは、フィルタと、長軸と、長軸を通って延在する中空導管とを含み、導管は、チューブ入口とチューブ出口とを流体的に接続しており、フィルタは、中空導管の内部に配置されていて、チューブ入口からチューブ出口に向かって中空導管を通過する気体から粒子を除去するように動作可能である。
【0010】
本開示の第7の例示的な実施形態は、濾過の方法を提供する。本方法は、排出チューブを提供することを含み、排出チューブは、フィルタと、長軸と、長軸を通って延在する中空導管とを含み、導管は、チューブ入口とチューブ出口とを流体的に接続しており、フィルタは、中空導管の内部に配置されていて、チューブ入口からチューブ出口に向かって中空導管を通過する気体から粒子を除去するように動作可能であり、フィルタは、排出チューブの内壁に沿って排出チューブの長軸の一部を通って延在する炭素媒体を含む。
【0011】
本開示の第8の例示的な実施形態は、濾過の方法を提供する。本方法は、排出チューブを提供することを含み、排出チューブは、フィルタと、長軸と、長軸を通って延在する中空導管とを含み、導管は、チューブ入口とチューブ出口とを流体的に接続しており、フィルタは、中空導管の内部に配置されていて、チューブ入口からチューブ出口に向かって中空導管を通過する気体から粒子を除去するように動作可能であり、フィルタは、導管の内部に保持されるフィルタインサートであり、フィルタインサートは、中空芯を画定する円筒形の本体を含み、中空芯は、フィルタ媒体および炭素スラグを保持する。
【0012】
本開示の第9の例示的な実施形態は、濾過の方法を提供する。本方法は、排出チューブを提供することを含み、排出チューブは、フィルタと、長軸と、長軸を通って延在する中空導管とを含み、導管は、チューブ入口とチューブ出口とを流体的に接続しており、フィルタは、中空導管の内部に配置されていて、チューブ入口からチューブ出口に向かって中空導管を通過する気体から粒子を除去するように動作可能であり、フィルタは、複数のフィルタフラップを含み、複数のフィルタフラップは、導管の長軸に沿って相互に離間されており、複数のフィルタフラップの各々は、導管の内壁に固定的に蝶番式に取り付けられた第1の部分と、導管の内壁に取り外し可能に取り付けられた第2の部分とを有し、複数のフィルタフラップの各々は、導管を通る流れを実質的に遮断する第1の状態から、流れを実質的に遮断しない、折り畳まれた第2の状態へと運動するように動作可能である。
【0013】
本開示の第10の例示的な実施形態は、濾過の方法を提供する。本方法は、排出チューブを提供することを含み、排出チューブは、フィルタと、長軸と、長軸を通って延在する中空導管とを含み、導管は、チューブ入口とチューブ出口とを流体的に接続しており、フィルタは、中空導管の内部に配置されていて、チューブ入口からチューブ出口に向かって中空導管を通過する気体から粒子を除去するように動作可能であり、排出チューブは、非拡大セクションおよび拡大セクションを含み、拡大セクションは、非拡大セクションよりも大きい直径を有し、フィルタは、拡大セクション内に保持されている。
【0014】
以下に、本開示の実施形態を説明するが、本開示が、説明する実施形態に限定されるわけではないこと、また、基本方式から逸脱することなく本開示を種々に修正可能であることを理解すべきである。したがって、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲のみによって定められるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の例示的な実施形態を実施する際の使用に適した、濾過のための例示的なデバイスの斜視図である。
図2】本開示の例示的な実施形態を実施する際の使用に適した、濾過のための例示的なチューブの部分断面図である。
図3】本開示の例示的な実施形態を実施する際の使用に適した、濾過のための別の例示的なチューブの別の部分断面図である。
図3A】本開示の例示的な実施形態を実施する際の使用に適した、多孔質のスラグの断面図である。
図4】本開示の例示的な実施形態を実施する際の使用に適した、濾過のための例示的なデバイスおよびチューブの図である。
図5】本開示の例示的な実施形態を実施する際の使用に適した、濾過のための例示的なチューブの部分断面図である。
図6】本開示の例示的な実施形態を実施する際の使用に適した、濾過のための別の例示的なチューブの部分断面図である。
図7】本開示の例示的な実施形態を実施する際の使用に適した、濾過のためのさらに別の例示的なチューブの部分断面図である。
図8】本開示の例示的な実施形態を実施するための方法および装置による論理流れ図である。
図9】本開示の例示的な実施形態を実施する際の使用に適した、濾過のための例示的なデバイスおよびチューブの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の実施形態は、外科的手術を濾過および実施するための方法および装置を提供する。実施形態は、中空通路を画定する本体を有する外科的デバイス(例えば、真空器、真空管、電気外科的デバイスなど)を提示する。中空通路は、中空導管を有する排出チューブに流体的に接続されている。実施形態は、中空導管が、フィルタを保持するように動作可能であり、フィルタが、中空導管を通過する空気または煙からの粒子状物質、液体、および/または気体を除去または濾過するように動作可能であることを提供する。実施形態は、フィルタ外れが不可能となるように、フィルタを排出チューブの中空導管の内部に固定的に取り付け可能であることを提供する。他の実施形態は、使用後にフィルタの交換が可能となるように、フィルタを排出チューブの一部に取り外し可能に取り付けることが可能であることを提供する。実施形態は、排出チューブが、複数の異なる直径を有することができ、排出チューブが、滑らかである、押出成形されている、螺旋状に包囲されている(bound)、などであり得ることを提供する。フィルタの実施形態として、フィルタを、排出チューブの内部に保持することができ、排出チューブのうちの拡大された部分の内側に保持することができ、取り外し可能なフィルタインサートアクセサリの内側に保持することができ、かつ/または吸煙器または真空デバイスに結合することができる。実施形態は、排出チューブが、外科的デバイスに取り外し可能に取り付けられていることを提供する。
【0017】
図1を参照すると、濾過のための例示的なデバイス100が示されている。デバイス100は、外科的デバイス102および排出チューブ104を含む。外科的デバイス102は、本体106を含み、本体106は、外科的デバイス102の長手方向軸110を通って延在する中空通路108を画定または包囲する。図9に示すように、中空通路108は、入口112を出口114に流体的に接続している。実施形態は、気体、煙、および/または粒子状物質が、入口112と、中空通路108と、出口114とを通過することが可能であることを提供する。
【0018】
外科的デバイス102の実施形態は、入口112に隣接する本体106の遠位端から延在する外科的ツール116(例えば、電極)を含み得る。外科的デバイス102は、外科的ツール116を操作するための1つ以上のボタン118も含み得る。実施形態は、外科的デバイス102が、外科的ツール116に電力を供給する電源に、外科的ツール116およびボタン118を接続するための、本体106の内部に保持されている電気回路を含むことを提供する。
【0019】
図1には、外科的デバイス102の出口114に取り外し可能に接続されている排出チューブ104も示されている。排出チューブ104は、長軸と、長軸を通って延在する中空導管120とを含む。中空導管120は、内壁124と外面126とを有する排出チューブ本体122によって画定されている。中空導管120の内部にはフィルタ128が保持されており、このフィルタ128は、排出チューブ104の導管120を通過する気体または液体から煙および粒子状物質を除去するように動作可能である。排出チューブ104は、チューブ入口130およびチューブ出口132を含む。チューブ入口130は、出口114に取り外し可能に流体的に接続されている。チューブ入口130はまた、粒子状物質、気体および/または液体が、チューブ入口130と、中空導管120と、チューブ出口132とを通って流れることが可能となるように、中空導管120およびチューブ出口132に流体的に接続されている。チューブ出口132は、真空デバイスまたは排出デバイス(図4に図示)に接続可能であり、この真空デバイスまたは排出デバイスは、外科的デバイス102と、排出チューブ104と、フィルタ128とを通して空気、気体および/または液体を吸引するように動作可能である。
【0020】
図1には、フィルタ128が示されている。図1図2に示される実施形態では、フィルタ128は、中空導管120の内壁124に沿って排出チューブ104の長軸の一部を通って延在する炭素媒体である。例えば、フィルタ128は、排出チューブ104の全長の5%、10%、25%、50%、75%または100%にわたって延在し得る。実施形態が、0cmよりも長く、かつ排出チューブ104の全長よりも短い、任意の長さを有するフィルタ128を含むことを理解すべきである。フィルタ128は、フィルタ128の断面直径が、排出チューブ104の内側の断面直径よりも小さくなるように寸法設定されている。これに関して、フィルタ128の断面直径は、粒子、気体および/または液体の流れが、排出チューブ104の中空導管120を通過することを完全には遮断しない。
【0021】
図2に示しているように、フィルタ128は、排出チューブ104の内壁124に沿って配置されている。フィルタ128は、円形の断面形状を有するように図示されている。しかしながら、フィルタ128の実施形態が、楕円形、長方形、正方形、八角形、五角形、星形などを含む任意の断面形状を含み得ることを理解すべきである。さらに、フィルタ128の実施形態が、排出チューブ104の断面直径の任意のパーセンテージを占める断面寸法を有することを理解すべきである。例えば、フィルタ128は、中空導管120の断面の5%、10%、25%、50%または75%を占める断面を有することができる。
【0022】
フィルタ128の実施形態は、フィルタ媒体から形成されており、フィルタ媒体は、活性炭含浸材料を含み得る。フィルタ媒体の実施形態は、布材料、織布材料、編組材料、押出材料または紡績材料を含む。中空導管120の内部に液体が溜まることを防止するために、フィルタ媒体の実施形態は、親水特性を含んでもよいし、または水を吸収する能力を有していてもよい。フィルタ媒体は、炭素を含有する材料から形成可能であり、排出チューブの長さよりも長い長さ、等しい長さ、または短い長さを有し得る。フィルタ媒体が排出チューブの長さよりも長い実施形態の場合には、フィルタ媒体が排出チューブ104の長さ全体にわたって延在するように、このフィルタ媒体を複数回折り畳むことができる。図1および図2に示しているように、フィルタ128は、内壁124に沿って中空導管120を通って延在していて、ピンチリング134を介して適所に保持されており、このピンチリング134は、ピンチリング134と内壁124との間でフィルタ128を摩擦嵌めするように動作可能である。実施形態が、フィルタ128の位置を保持するために、ピンチリング134の代わりに接着剤または摩擦嵌めを使用することを含むことを理解すべきである。
【0023】
図3を参照すると、本明細書に記載している外科的デバイスと共に使用するための例示的なフィルタインサート302が示されている。フィルタインサート302の実施形態は、図1に示したフィルタ128の代替となるように動作可能である。図3には、中空導管120の内部に保持されるように動作可能なフィルタインサート302が示されている。図示のフィルタインサート302は、中空芯306を画定する円筒形の本体304を有し、円筒形の本体304は、インサート入口308を有し、インサート入口308は、中空芯306およびインサート出口310に流体的に接続されている。中空芯306は、ULPA、HEPA、炭素布または粗粒子フィルタのようなフィルタ媒体312を保持するように動作可能である。フィルタ媒体312は、ひだ付きの材料、フラットな材料、シート形状の材料、または固体の材料であり得る。フィルタ媒体312は、フィルタインサート302の内部の適所に押し込み可能であるか、またはフィルタ媒体312は、円筒形の本体304に接着可能であるか、もしくは機械的に結合可能である。フィルタ媒体312は、含浸材料である炭素を含み得るか、またはフィルタ媒体312は、固体の溶融炭素からなる平坦なシートであり得る。フィルタインサート302自体は、排出チューブ104の表面または内部に固定的に取り付け可能であるか、またはフィルタインサート302が排出チューブ104から取り外し可能となるように、このフィルタインサート302を導管120の内部で運動可能に保持することができる。図3に示しているように、フィルタ媒体312は、星形の断面を有することができるが、フィルタ媒体312の実施形態は、表面積を最大化または増大させる任意の形状を含み得る。フィルタインサート302の内部には、多孔質の炭素スラグ314も保持されている。
【0024】
図3Aを参照すると、多孔質の炭素スラグ314の図示の実施形態は、表面積を最大化するために中空円筒形の形状を有することができる。多孔質の炭素スラグ314の実施形態は、円筒形の本体を含み、この円筒形の本体は、フィルタインサート302の内径に等しい直径316を有する第1の径方向セクションと、フィルタインサート302の内径および第1の径方向セクションの直径316よりも小さい第2の直径318を有する第2の中空の径方向セクションとを有する。フィルタインサート302の実施形態は、排出チューブ104と、インサート入口308と、インサート出口310とを通過する流れから粒子、気体および/または液体を濾過除去または除去するように動作可能な、フィルタ媒体312および炭素スラグ314を提供する。
【0025】
次に、図4および図5を参照すると、例示的な外科的デバイス102および/または排出チューブ104と共に使用するために動作可能な、代替的なフィルタが示されている。図4には、排出チューブ404に流体的に接続された外科的デバイス402が示されている。排出チューブ404は、内壁408によって画定された中空導管406を含む。排出チューブ404を、排出器または真空器403に、取り外し可能に、または固定的に接続することができ、排出器または真空器403は、外科的デバイス402と、排出チューブ404と、フィルタとを通して空気、気体および/または液体を吸引するように動作可能である。排出器または真空器403の実施形態は、空気、気体および/または液体を吸引するための少なくとも1つのモータ405を含む。排出チューブ404は、複数のフィルタフラップ410を有するフィルタを含み、これらの複数のフィルタフラップ410は、中空導管406の内部で排出チューブ404の長軸に沿って相互に離間されている。複数のフィルタフラップ410の各々は、内壁408に固定的に蝶番式に取り付けられた第1の部分412と、内壁408に取り外し可能に取り付けられた第2の部分414とを有する。複数のフィルタフラップ410の各々は、中空導管406を通る流れを実質的に遮断する第1の状態(参照符号416によって示される)から、中空導管406を通る流れを実質的に遮断しない第2の状態(参照符号418によって示される)へと運動するように動作可能である。換言すれば、フィルタフラップ410の実施形態は、中空導管406を通って流れる粒子、気体および/または液体を濾過するように動作可能である。フィルタフラップ410は、1つの実施形態では、中空導管406の断面全体を包含するように寸法設定されている。換言すれば、それぞれのフィルタフラップ410に到達した際に中空導管406を通る流れは、フィルタフラップ410を通過することが要求されている。実施形態は、内壁408とそれぞれのフィルタフラップ410との間に殆どまたは全く空間が存在しないことを含む。これに関して、1つの実施形態では、それぞれのフィルタフラップ410が、中空導管406の内部断面の寸法および形状に一致するように寸法設定および形状設定されている。別の実施形態では、フィルタフラップ410は、中空導管406の断面全体を包含するように寸法設定または形状設定されているのではなく、中空導管406の断面の一部のみをカバーしている。例えば、フィルタフラップ410は、中空導管406の断面積の5%、10%、25%、50%、75%または99%を包含することができる。フィルタフラップ410の実施形態は、中空導管406の断面積の任意のパーセンテージをカバーするそれぞれのフィルタフラップ410を含む。
【0026】
特定のフィルタフラップ410が、通過する気体および液体から粒子状物質をより多く捕集または濾過除去するにつれて、気体および液体がこの特定のフィルタフラップ410を通過する能力がより困難になる。気体および液体が特定のフィルタフラップ410を通過することがより困難になると、フィルタフラップ410の両側の間に圧力差が形成される。フィルタフラップ410の両側とは、フィルタフラップ410の、流れを受け取る側と、フィルタフラップ410の、流れを伝達する側または流れ出口を有する側とである。それぞれのフィルタフラップ410が、フィルタフラップ410の両側の間の圧力差が所定のしきい値を超過したこと、または所定のしきい値を満たしたことに応答して、第1の状態416から第2の状態418へと折り畳まれるように、または蝶番式に運動するように動作可能であることを提供する。所定のしきい値は、特定のフィルタフラップ410が、このフィルタフラップ410を通る流れを殆どまたは全く許容しなくなったときに満たされる。換言すれば、特定のフィルタフラップ410が、このフィルタフラップ410を通過する流れから粒子を濾過除去し続けるにつれ、流れがこの特定のフィルタフラップ410を通過し続ける能力が低下する。特定のフィルタフラップ410に関して蓄積された粒子または液体は、気体の流れがフィルタフラップ410を通過することを阻止または遮断する。特定のフィルタフラップ410が、このフィルタフラップ410を通る流れを許容できなくなると、圧力が形成され、この圧力が、フィルタフラップ410の、流れを伝達する側よりも、フィルタフラップ410の、流れを受け取る側において大きくなる。この圧力差によって、特定のフィルタフラップ410は、第1の部分412で折り畳まれ、これにより圧力差が緩和される。
【0027】
それぞれのフィルタフラップ410は、これらのフィルタフラップ410が流れを受け取る順序で、第1の状態416から第2の状態418へと運動するように動作可能である。換言すれば、流れを受け取る最初のフィルタフラップ410が、第1の状態416から第2の状態418へと運動する第1号となる。次いで、流れを受け取る2番目のフィルタフラップ410が、第1の状態416から第2の状態418へと運動する第2号となる。このことは、全てのフィルタフラップ410が第2の状態418になるまで続き、そうなった時点で、この排出チューブ404を、新しいフィルタフラップ410を有する排出チューブに交換することが必要となる。複数のフィルタフラップ410が第1の状態416から第2の状態418に同時に運動してもよいことを、実施形態が提供することを理解すべきである。
【0028】
フィルタフラップ410の実施形態は、フィルタフラップ410が運動しないように、または折り畳まれないように、それぞれのフィルタフラップ410が中空導管406の内壁に固定的に取り付けられることを含む。フィルタフラップ410の実施形態は、排出チューブ404の内部に直接的に保持されていてもよいし、または図3に示されるフィルタ媒体として、フィルタインサートの一要素であってもよい。フィルタフラップ410の実施形態は、ULPAから形成されており、HEPAレベルの濾過作用を提供し、溶融ポリスチレン球、活性炭、または他のフィルタ媒体である。
【0029】
次に、排出チューブと共に使用するための別の例示的なフィルタを示す図6を参照する。図6には、排出チューブ602およびフィルタカプセル604が示されている。フィルタカプセル604の実施形態は、排出チューブ602と一体であるフィルタカプセル604を含み、この場合には、排出チューブ602を、非拡大セクションとすることができ、フィルタカプセル604は、非拡大セクションよりも大きい直径を有する拡大セクションである。実施形態は、フィルタカプセル604が、排出チューブ602とは別個の要素であり、排出チューブ602の2つの端部(610,612)の間に固定的に取り付けられることも提供する。フィルタカプセル604は、フィルタ608を保持する中空本体606を有する。フィルタ608は、セラミックポリマーまたは金属のような多孔性の材料から形成可能である。フィルタ608はまた、ひだ付きまたはフラットシート状の媒体を含んでもよいし、または固体もしくは多孔性の材料であってもよい。フィルタ608の実施形態は、円筒形の形状であるか、または表面積を最大化するために、中空本体606の内部に保持されるように動作可能な任意の形状(例えば、正方形、楕円形、長方形、八角形、五角形など)であってもよい。フィルタ608は、接着剤または摩擦嵌めによってフィルタカプセル604に固定的に取り付け可能である。フィルタ608の実施形態は、可撓性、剛性、または半剛性であり得る。フィルタ608の実施形態は、フィルタカプセル604を通る双方向の流れを許容にするように動作可能である。フィルタカプセル604は、排出チューブ602の内部、または排煙器もしくは真空源の内部の任意の箇所に取り付け可能である。
【0030】
図7を参照すると、排出チューブと共に使用するためのさらに別の例示的なフィルタが示されている。図7には、排出チューブ702およびフィルタセンブリ704が示されている。フィルタセンブリ704は、多孔質のフィルタ706を含み、この多孔質のフィルタ706は、フィルタセンブリ本体710によって画定された中空空洞708の内部に保持されている。フィルタ706は、フィルタセンブリ本体710に固定的に、または取り外し可能に取り付けられており、排出チューブ702の直径と等しいかまたはそれよりも小さい直径を有する円筒形の本体を有することができる。フィルタセンブリ704はまた、流体捕捉セクションまたは液体捕捉セクション712と、フィルタセンブリ704の底部とを含む。フィルタセンブリ704の実施形態は、フィルタ706によって煙および粒子状物質を濾過または除去し、流体捕捉セクション712の内部で液体を収集するように動作可能である。実際には、粒子、気体および/または液体の流れがフィルタセンブリ704を通過する際に、フィルタ706が、この流れから煙および粒子状物質を濾過除去し、液体が、液体捕捉セクション712に落下し、これによってフィルタセンブリ704の内部で液体が捕集される。図6および図7に示されるフィルタの実施形態は、フィルタカプセル604およびフィルタセンブリ706が、図示のように垂直に方向づけられていることを提供する。
【0031】
実用上、本開示の実施形態は、電気外科的デバイスのような外科的デバイスが、外科的手術中に組織を切断するために使用可能であることを提供する。切断によってサージカルスモークが発生する可能性がある。実施形態は、排出チューブと排出器または真空器とに接続された外科的デバイスが、外科的デバイスの内部の通路を通して、排出チューブを通して、かつ排出チューブの内部に保持されたまたは取り付けられたフィルタを介して、サージカルスモークを吸引することが可能であることを提供する。したがって、サージカルスモークおよび他の粒子状物質は、排出チューブ内のフィルタを通過する際に空気から濾過除去される。実施形態は、排出チューブがフィルタと一体であることを提供し、その場合、フィルタを交換するためには排出チューブを交換することが必要となる。他の実施形態では、フィルタは、排出チューブに取り外し可能に取り付けられ、その場合には、フィルタを交換するためにはフィルタを交換するだけでよく、排出チューブの交換は必要ない。
【0032】
次に、本開示の例示的な実施形態を実施するための方法および装置による論理流れ図を示す図8を参照する。ブロック800は、外科的デバイスを提供することを含み、外科的デバイスは、長手方向軸と、長手方向軸を通って延在する中空通路を画定する本体とを含み、本体は、当該本体の遠位端にある入口と、当該本体の近位端にある出口とを有し、通路は、入口および出口に流体的に接続されており、ブロック800はさらに、排出チューブを提供することを含み、排出チューブは、フィルタと、長軸と、長軸を通って延在する中空導管とを含み、導管は、チューブ入口とチューブ出口とを流体的に接続しており、フィルタは、中空導管の内部に配置されていて、チューブ入口からチューブ出口に向かって中空導管を通過する気体から粒子を除去するように動作可能である。次に、ブロック802は、フィルタが、排出チューブの内壁に沿って排出チューブの長軸の一部を通って延在する炭素媒体を含むことを規定している。
【0033】
上で詳述した非限定的な実施形態のいくつかも、図8のブロック802に続いて要約されている。ブロック804は、フィルタが、導管の内部に保持されるフィルタインサートであり、フィルタインサートが、中空芯を画定する円筒形の本体を含み、中空芯が、フィルタ媒体および炭素スラグを保持することに関する。次に、ブロック806は、複数のフィルタフラップを含むフィルタについて述べており、複数のフィルタフラップは、導管の長軸に沿って相互に離間されており、複数のフィルタフラップの各々は、導管の内壁に固定的に蝶番式に取り付けられた第1の部分と、導管の内壁に取り外し可能に取り付けられた第2の部分とを有し、複数のフィルタフラップの各々は、導管を通る流れを実質的に遮断する第1の状態から、流れを実質的に遮断しない、折り畳まれた第2の状態へと運動するように動作可能である。ブロック808は、排出チューブが、非拡大セクションおよび拡大セクションを含み、拡大セクションが、非拡大セクションよりも大きい直径を有し、フィルタが、拡大セクション内に保持されていることを規定している。
【0034】
図8の論理図は、方法の動作を示していると見なすこともできる。図8の論理図は、装置が動作するようにこの装置のコンポーネントを構成するための、特定の方式であると見なすこともでき、なお、このような装置が外科的デバイスであるか、電気外科的デバイスであるか、排出チューブであるか、排出器であるか、またはそれらの1つ以上のコンポーネントであるかどうかは関係ない。
【0035】
本開示を、現在のところ好ましい実施形態を特に参照しながら詳細に説明してきたが、本発明の思想および範囲内で変更および修正が可能であることが理解されるであろう。したがって、本開示の実施形態は、あらゆる点において例示的であり、限定的ではないと見なされる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示され、本発明の意味および本発明の等価物の範囲に該当する全ての変更は、本発明に包含されることが意図されている。
図1
図2
図3
図3A
図4
図5
図6
図7
図8
図9