(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】ガンマー線放射性カバードヤーン及びそれを用いた身装品
(51)【国際特許分類】
D02G 3/38 20060101AFI20221208BHJP
C08K 3/08 20060101ALI20221208BHJP
C08L 7/00 20060101ALI20221208BHJP
C08L 21/00 20060101ALI20221208BHJP
D01F 1/10 20060101ALI20221208BHJP
D02G 3/04 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
D02G3/38
C08K3/08
C08L7/00
C08L21/00
D01F1/10
D02G3/04
(21)【出願番号】P 2017027748
(22)【出願日】2017-02-17
【審査請求日】2020-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】517217232
【氏名又は名称】クロステクノロジーラボ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500055935
【氏名又は名称】佐想 光廣
(74)【代理人】
【識別番号】100091465
【氏名又は名称】石井 久夫
(72)【発明者】
【氏名】佐想 光廣
【審査官】鈴木 祐里絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-197569(JP,A)
【文献】特開2004-010547(JP,A)
【文献】特開2005-287956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K3/00-13/08
C08L1/00-101/14
D02G1/00-3/48
D02J1/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成ゴムまたは天然ゴム100重量部に対し、グラムあたり200から1000ベクレルのラジウム鉱石パウダーを架橋剤として15~
50重量部を混合し、加硫剤を併用し て加硫させて
ガンマー線が放射される芯糸を製造し、該芯材に巻糸で1重又は二重に巻き付けて吸湿性を持たせた構造としたことを特徴とするカバードヤーン。
【請求項2】
請求項1記載のカバードヤーンで製造される身装品。
【請求項3】
身装品が身体に接触して装着される伸縮性を有するサポータであっ
て、内部芯糸から身体接触部に対
しガンマー線を照射可能であることを特徴とする請求項2に記載の身装品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ゴム製品の加硫剤としてガンマー線放射パウダーを用いてゴム糸を架橋し、加硫後、巻き糸でカバーしたガンマー線の継続利用が図れるガンマー線放射性カバードヤーン及びそれを用いたサポータ等の身装品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴム製品の加硫とは一般にゴムの熱硬化のことを加硫/架橋と呼び、加硫とは、生ゴムに硫黄を混ぜ合わせた上で加熱する事により引き起こる化学反応で、ゴムの分子鎖同士の一部分を硫黄が結合させる編み目状の構造になることをいう。この化学反応を経て、ゴムは強靱な弾性と安定した耐熱性を持つようになる。
一般に「架橋」の意味も「加硫」と同じ意味で用いられるが、硫黄以外の有機過酸化物や金属酸化物、有機アミン化合物などを使用して分子結合させることを「架橋」と呼ぶ。このゴム弾性を得るための架橋方法は多種多様で網目状の分子結合の配列の中に架橋部分をつくることにより、液状のように柔らかい物質からエボナイトのように堅い物質まで幅広い弾性物をつくることができる。
【0003】
ところで、人体に悪影響を与えない程度のごく微量の放射線によって、身体細胞を刺激し、免疫力や自然治癒力を高める効果として放射線ホルミシス効果を利用するシート等の身装品(特許文献1)、カーペット等の内装品(特許文献2)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-95473号公報
【文献】特開2009-019301号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来、身装品又は内装品に放射性能を付与するにはシート又はパッキン層にラジウム鉱石粉末を混合して製品化するのが一般的で、吸湿性の必要なシャツ、サポータにホルミシス効果を持たせるのは至難である。なぜなら、身体に着用する身装品にはホルミシス効果だけでなく、ホルミシス効果では体温が上昇するので吸湿性はぜひとも必要な要素である。
そこで、本発明は吸湿性のあるカバードヤーンの構造を利用してゴム成分にホルミシス効果を持たせ、これを用いて吸湿性のある身装品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はカバードヤーンの芯糸の成分となるシリコンゴム、ブタジエン等の合成ゴムおよび天然ゴムをガンマー線放射パウダーで架橋すると、カバードヤーンの構造を利用して身装品にホルミシス効果を持たせることができることに着目してなされたもので、合成ゴムまたは天然ゴム100重量部に対し、グラムあたり200から1000ベクレルのラジウム鉱石パウダーを15~100重量部を混合して加硫させ、ガンマー線測定器の接触時の放射線量が3~20mSv/y(年間ミリシーベルト)である芯糸を製造し、これを巻糸で1重又は二重に巻き付けてなるカバードヤーンにある。
【発明の効果】
【0007】
カバードヤーンの構造を利用すると、ゴム製の芯糸をラジウム鉱石粉末で架橋するので
、所望の弾性を有するゴム成分にホルミシス効果を持たせるとともに、巻糸により吸湿性を持たせることができるので、ホルミシス効果を身装品の吸湿性を害することなく、持たせることができる。よって、医療用ゴムサポータとして利用されると、ゴムサポート部分から3~20mSv/yのガンマー線が放射され、照射部位の血流を増進する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明で用いるラジウム鉱石パウダーの成分と測定結果を示す表である。
【
図2】本発明のシングル及びダブルカバードヤーンの構造を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
【0010】
ゴム組成物中には、通常、ジクミルパーオキサイド等の加硫剤が配合されるが、これと併用することにより所望のガンマー線照射のホルミシス効果を与えつつ均等な加硫及び所望硬度の加硫を達成することができる。このゴム組成で芯糸になるポリウレタン弾性糸等の合成ゴム糸又は天然ゴム糸を芯糸とし、これに他の紡績糸やフィラメントを巻き付けてカバードヤーンを製造する。カバードヤーンには
図2に示すようにゴム製芯糸を延伸したところに他の糸をS字方向かZ字方向のどちらか一方に一重に巻き付けたシングルカバードヤーンとするか、芯糸を延伸したところに他の糸をそれぞれS字方向とZ字方向に二重に巻き付けたダブルカバードヤーンとすることができる。本発明のカバードヤーンには、所望のガンマー線照射効果を有するゴム製芯糸に他の糸をカバーリングしたフィラメントツイストヤーン、コアスパンヤーン、エアカバードヤーンを含み、これらの形態とするにより吸湿性を有する身装品とすることもできる。
【0011】
カバードヤーンのゴム製芯糸組成物の好適な実施態様の一例を以下に示す。
〔実施例〕
天然ゴム 100重量部
ラジウム鉱石パウダー(500ベクレル/g)15~50重量部
パーオキサイド0.1~5.0重量部
加硫条件:常温で30~60分混練し、好ましくは155℃±10℃の条件で5~20分間加硫を行う。
なお、ここでラジウム鉱石パウダーとしては、
図1の性能を示すつげ石材のラジウム鉱石パウダーを用いた。