IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローム株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/06 20060101AFI20221208BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20221208BHJP
   H01L 29/868 20060101ALI20221208BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20221208BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
H01L29/06 301G
H01L29/91 D
H01L29/06 301F
H01L29/06 301R
H01L29/78 652P
H01L29/78 655F
H01L29/78 653A
H01L29/06 301V
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2018022127
(22)【出願日】2018-02-09
(65)【公開番号】P2019140239
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高岡 潤
【審査官】岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-201557(JP,A)
【文献】特開2017-208490(JP,A)
【文献】国際公開第2014/054319(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/166608(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/104900(WO,A1)
【文献】特開2006-073740(JP,A)
【文献】国際公開第2016/114138(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/06
H01L 29/861
H01L 29/868
H01L 29/739
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方側の第1主面および他方側の第2主面を有し、デバイス形式領域および前記デバイス形式領域外の外側領域が前記第1主面に設定された第1導電型の半導体層と、
前記デバイス形式領域において前記第1主面の表層部に形成された第2導電型の不純物領域と、
前記外側領域において前記第1主面の表層部に前記不純物領域から間隔を空けて形成された第2導電型の複数のフィールドリミット領域を含むフィールドリミット領域群と、
前記外側領域において前記第1主面の表層部における前記不純物領域および前記フィールドリミット領域群の間の領域に形成され、前記不純物領域の底部および複数の前記フィールドリミット領域の底部に対して前記第2主面側に位置する底部を有する第2導電型のウェル領域と、
前記フィールドリミット領域を覆う絶縁層と、
前記絶縁層の上に配置され、前記絶縁層を横切る前記フィールドリミット領域に対向し、電気的に浮遊状態に形成されたフィールド電極と、を含み、
複数のフィールドリミット領域は、近接する2つの前記フィールドリミット領域の間の距離が前記デバイス形式領域からの距離が大きくなるに従って大きくなるように互いに間隔を空けて配列されており、
前記フィールド電極は、側壁の曲率中心が半導体装置の表面よりも上側に位置する湾曲状に形成されており、
前記ウェル領域は、前記不純物領域と同電位を成している、半導体装置。
【請求項2】
複数の前記フィールドリミット領域の底部は、前記不純物領域の底部に対して前記第2主面側に位置している、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
複数の前記フィールドリミット領域は、前記デバイス形式領域の周縁に沿って延びている、請求項1または2記載の半導体装置。
【請求項4】
複数の前記フィールドリミット領域は、前記デバイス形式領域を取り囲んでいる、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
各前記フィールドリミット領域の深さは、5μm以上10μm以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
各前記フィールドリミット領域の幅は、10μm以上40μm以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記フィールドリミット領域群は、8個の前記フィールドリミット領域を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記ウェル領域は、各前記フィールドリミット領域よりも幅広に形成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記ウェル領域は、前記デバイス形式領域の周縁に沿って延びている、請求項1~8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記ウェル領域は、前記デバイス形式領域を取り囲んでいる、請求項1~9のいずれか
一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記ウェル領域は、前記フィールドリミット領域から間隔を空けて形成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記半導体層は、前記外側領域において前記第1主面における前記デバイス形式領域および前記フィールドリミット領域の間の領域に形成されたトレンチを有しており、
前記ウェル領域は、前記第1主面の表層部において前記トレンチの内壁に沿う領域に形成されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記ウェル領域は、前記第1主面の表層部において前記トレンチの底壁に沿う領域に形成された底壁領域、および、前記第1主面の表層部において前記トレンチの側壁に沿う領域に形成された側壁領域を含み、
前記ウェル領域の前記底壁領域の底部は、前記不純物領域の底部および前記フィールドリミット領域の底部に対して前記第2主面側に位置している、請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記ウェル領域の前記側壁領域の底部は、前記第1主面および前記ウェル領域の前記底壁領域の底部の間の領域に位置している、請求項13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記ウェル領域の前記側壁領域の底部は、前記フィールドリミット領域の底部と等しい深さに形成されている、請求項13または14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記トレンチの内壁を覆う内壁絶縁層と、
前記内壁絶縁層を挟んで前記トレンチに埋め込まれた埋め込み電極と、をさらに含む、請求項1215のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記デバイス形式領域を被覆する本体部、および、前記本体部から前記外側領域に引き出された引き出し部を有し、前記第1主面の上に形成された主面電極をさらに含み、
前記埋め込み電極は、前記主面電極の前記引き出し部の一部によって形成されている、請求項16に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記デバイス形式領域から拡がる空乏層は、前記ウェル領域から拡がる空乏層と一体を成す、請求項1~17のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記デバイス形式領域から拡がる空乏層は、前記フィールドリミット領域から拡がる空乏層と一体を成す、請求項1~18のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記デバイス形式領域から拡がる空乏層は、前記第2主面に到達する、請求項1~19のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項21】
前記フィールドリミット領域は、前記デバイス形式領域の周縁に沿って延びている、請求項1~20のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項22】
前記フィールドリミット領域は、前記デバイス形式領域を取り囲んでいる、請求項1~21のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項23】
前記不純物領域は、前記半導体層との間でpn接合部を形成し、pn接合ダイオードの一部を形成している、請求項1~22のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項24】
前記不純物領域は、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタのボディ領域を形成している、請求項1~22のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項25】
一方側の第1主面および他方側の第2主面を有し、デバイス形成領域および前記デバイス形成領域外の外側領域が前記第1主面に設定された第1導電型の半導体層と、
前記デバイス形成領域において前記半導体層の前記第1主面の表層部に形成され、半導体素子の一部を構成する第2導電型の不純物領域と、
前記外側領域において前記デバイス形成領域から間隔を空けて前記半導体層の前記第1主面の表層部に形成され、前記不純物領域の第2導電型不純物濃度よりも高い第2導電型不純物濃度を有する第2導電型のフィールドリミット領域と、
前記外側領域において前記半導体層の前記第1主面の表層部における前記デバイス形成領域および前記フィールドリミット領域の間の領域に形成され、前記不純物領域の底部および前記フィールドリミット領域の底部に対して前記半導体層の前記第2主面側に位置する底部を有し、前記不純物領域の第2導電型不純物濃度よりも高い第2導電型不純物濃度を有する第2導電型のウェル領域と、
前記半導体層の前記第1主面の上に形成され、前記不純物領域に接続された第1接続部および前記ウェル領域に接続された第2接続部を有する主面電極と、を含む、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に係る半導体装置は、アクティブ領域およびターミネーション領域が設定されたn型の半導体層を含む。アクティブ領域において半導体層の表層部には、p型のベース層が形成されている。
ターミネーション領域において半導体層の表層部には、p型のフィールドリミッティングリング層(フィールドリミット領域)が形成されている。ターミネーション領域において半導体層の表層部におけるベース層およびフィールドリミッティングリング層の間の領域には、p型のウェル層が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-158258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係る半導体装置では、フィールドリミット領域によって耐圧の向上が図られている。しかし、半導体装置の耐圧はフィールドリミット領域のレイアウトによって様々な値を取り得るため、フィールドリミット領域のデザインの最適化には手間と時間を要する。
たとえば、フィールドリミット領域のデザインによって耐圧を大幅に向上できるが、耐圧の微調整が要求される場合には、フィールドリミット領域のデザインだけでは困難を極めるという実情が存する。
【0005】
そこで、本発明の一実施形態は、耐圧を適切に調整できる半導体装置を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、一方側の第1主面および他方側の第2主面を有し、デバイス形成領域および前記デバイス形成領域外の外側領域が前記第1主面に設定された第1導電型の半導体層と、前記デバイス形成領域において前記半導体層の前記第1主面の表層部に形成され、半導体素子の一部を構成する第2導電型の不純物領域と、前記外側領域において前記デバイス形成領域から間隔を空けて前記半導体層の前記第1主面の表層部に形成され、前記不純物領域の第2導電型不純物濃度よりも高い第2導電型不純物濃度を有する第2導電型のフィールドリミット領域と、前記外側領域において前記半導体層の前記第1主面の表層部における前記デバイス形成領域および前記フィールドリミット領域の間の領域に形成され、前記不純物領域の底部および前記フィールドリミット領域の底部に対して前記半導体層の前記第2主面側に位置する底部を有し、前記不純物領域の第2導電型不純物濃度よりも高い第2導電型不純物濃度を有する第2導電型のウェル領域と、を含む、半導体装置を提供する。
【0007】
この半導体装置によれば、フィールドリミット領域のデザインに加えて、ウェル領域の深さを耐圧調整のパラメータに含めることができる。より具体的には、ウェル領域は、不純物領域の底部およびフィールドリミット領域の底部に対して半導体層の第2主面側に位置する底部を有している。
これにより、ウェル領域が形成された領域において半導体層の見かけ上の厚さを低減できるから、ウェル領域に対する電界強度を高めて耐圧を低下させることができる。耐圧の低下量は、ウェル領域の深さを調節することによって調整できる。
【0008】
したがって、この半導体装置によれば、ウェル領域の深さに起因する耐圧低下というマイナスの効果を敢えて利用することにより、フィールドリミット領域によって高められた耐圧を低下させ、目的の耐圧値に合わせ込むことができる。よって、耐圧を適切に調整できる半導体装置を提供できる。
本発明の一実施形態は、一方側の第1主面および他方側の第2主面を有し、デバイス形成領域および前記デバイス形成領域外の外側領域が前記第1主面に設定された第1導電型の半導体層と、前記デバイス形成領域において前記半導体層の前記第1主面の表層部に形成され、半導体素子の一部を構成する第2導電型の不純物領域と、前記外側領域において前記デバイス形成領域から間隔を空けて前記半導体層の前記第1主面の表層部に形成され、前記不純物領域の第2導電型不純物濃度よりも高い第2導電型不純物濃度を有する第2導電型のフィールドリミット領域と、前記外側領域において前記半導体層の前記第1主面の表層部における前記デバイス形成領域および前記フィールドリミット領域の間の領域に形成され、前記不純物領域の底部および前記フィールドリミット領域の底部に対して前記半導体層の前記第2主面側に位置する底部を有し、前記不純物領域の第2導電型不純物濃度よりも高い第2導電型不純物濃度を有する第2導電型のウェル領域と、前記半導体層の前記第1主面の上に形成され、前記不純物領域に接続された第1接続部および前記ウェル領域に接続された第2接続部を有する主面電極と、を含む、半導体装置を提供する。
【0009】
この半導体装置によれば、フィールドリミット領域のデザインに加えて、ウェル領域の深さを耐圧調整のパラメータに含めることができる。より具体的には、ウェル領域は、不純物領域の底部およびフィールドリミット領域の底部に対して半導体層の第2主面側に位置する底部を有している。
これにより、ウェル領域が形成された領域において半導体層の見かけ上の厚さを低減できるから、ウェル領域に対する電界強度を高めて耐圧を低下させることができる。耐圧の低下量は、ウェル領域の深さを調節することによって調整できる。
【0010】
したがって、この半導体装置によれば、ウェル領域の深さに起因する耐圧低下というマイナスの効果を敢えて利用することにより、フィールドリミット領域によって高められた耐圧を低下させ、目的の耐圧値に合わせ込むことができる。よって、耐圧を適切に調整できる半導体装置を提供できる。
また、この半導体装置によれば、主面電極が、不純物領域に接続された第1接続部およびウェル領域に接続された第2接続部を有している。したがって、オンオフ動作時において、不純物領域からの電流を主面電極に直接流し込むことができ、ウェル領域からの電流も主面電極に直接流し込むことができる。
【0011】
これにより、不純物領域を流れる電流およびウェル領域を流れる電流が合流する不純物領域およびウェル領域の間の境界領域において電流密度の増加を抑制できる。その結果、不純物領域およびウェル領域の間の境界領域において温度上昇の抑制を図ることができるから、破壊耐量の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
図2図2は、図1に示すII-II線に沿う断面図である。
図3図3は、図1から半導体層の第1主面の上の構造を取り除き、半導体層の第1主面の構造を示す平面図である。
図4図4は、図2に示す領域IVの拡大図である。
図5図5は、図1に示す半導体装置の外側領域の電界強度のシミュレーション結果を示すグラフである。
図6図6は、図1に示す半導体装置の電流-電圧特性のシミュレーション結果を示すグラフである。
図7A図7Aは、図4に対応する部分の断面図であって、図1に示す半導体装置の製造方法の一例を説明するための断面図である。
図7B図7Bは、図7Aの後の工程を示す断面図である。
図7C図7Cは、図7Bの後の工程を示す断面図である。
図7D図7Dは、図7Cの後の工程を示す断面図である。
図7E図7Eは、図7Dの後の工程を示す断面図である。
図7F図7Fは、図7Eの後の工程を示す断面図である。
図7G図7Gは、図7Fの後の工程を示す断面図である。
図7H図7Hは、図7Gの後の工程を示す断面図である。
図7I図7Iは、図7Hの後の工程を示す断面図である。
図7J図7Jは、図7Iの後の工程を示す断面図である。
図7K図7Kは、図7Jの後の工程を示す断面図である。
図7L図7Lは、図7Kの後の工程を示す断面図である。
図7M図7Mは、図7Lの後の工程を示す断面図である。
図8図8は、図2に対応する部分の断面図であって、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の構造を説明するための断面図である。
図9図9は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
図10図10は、図9に示すX-X線に沿う断面図である。
図11図11は、図9に示すXI-XI線に沿う断面図である。
図12図12は、図11に対応する部分の断面図であって、本発明の第4実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図13図13は、図4に対応する部分の断面図であって、本発明の第5実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置1を示す平面図である。
半導体装置1は、チップ状の半導体層2を含む。半導体層2は、一方側の第1主面3、他方側の第2主面4、ならびに、第1主面3および第2主面4を接続する側面5を含む。第1主面3および第2主面4は、それらの法線方向から見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角形状に形成されている。
【0014】
半導体層2は、デバイス形成領域6および外側領域7を含む。デバイス形成領域6および外側領域7は、半導体層2の第1主面3に設定されている。デバイス形成領域6は、この形態では、半導体素子の一例としてのpn接合ダイオードが形成された領域である。デバイス形成領域6は、アクティブ領域とも称される。
デバイス形成領域6は、平面視において半導体層2の側面5から内方領域に間隔を空けて半導体層2の中央部に設定されている。デバイス形成領域6は、平面視において半導体層2の側面5に平行な4辺を有する四角形状に設定されていてもよい。
【0015】
外側領域7は、デバイス形成領域6の外側の領域である。外側領域7は、平面視においてデバイス形成領域6の周縁に沿って帯状に延びている。外側領域7は、より具体的には、平面視においてデバイス形成領域6を取り囲む無端状(四角環状)に設定されている。
半導体層2の第1主面3の上には、アノード電極8(主面電極)、フィールド電極9および等電位ポテンシャル電極10が形成されている。図1において、アノード電極8および等電位ポテンシャル電極10は、クロスハッチングによって示されている。一方、フィールド電極9は、ラインによって示されている。
【0016】
アノード電極8は、デバイス形成領域6を被覆している。アノード電極8は、平面視において半導体層2の側面5に平行な4辺を有する四角形状に形成されている。アノード電極8は、本体部11および引き出し部12を含む。
アノード電極8の本体部11は、デバイス形成領域6を被覆している。アノード電極8の引き出し部12は、本体部11から外側領域7に引き出され、外側領域7の一部を被覆している。アノード電極8の引き出し部12の引き出し幅は、50μm以上80μm以下(たとえば65μm程度)であってもよい。
【0017】
フィールド電極9は、外側領域7に形成されている。フィールド電極9は、複数(この形態では8本)のフィールド電極9A,9B,9C,9D,9E,9F,9G,9Hを含むフィールド電極群として形成されている。
フィールド電極9A~9Hは、デバイス形成領域6から離れる方向に沿って間隔を空けてこの順に形成されている。フィールド電極9A~9Hは、電気的に浮遊状態である。フィールド電極9A~9Hは、平面視においてデバイス形成領域6の周縁に沿って帯状に延びている。フィールド電極9A~9Hは、より具体的には、平面視においてデバイス形成領域6を取り囲む無端状(四角環状)に形成されている。
【0018】
等電位ポテンシャル電極10は、外側領域7において半導体層2の側面5およびフィールド電極9の間の領域に形成されている。等電位ポテンシャル電極10は、平面視においてデバイス形成領域6の周縁に沿って帯状に延びている。
等電位ポテンシャル電極10は、より具体的には、平面視においてデバイス形成領域6を取り囲む無端状(四角環状)に形成されている。等電位ポテンシャル電極10は、EQR(EQui-potential Ring:等電位ポテンシャルリング)電極とも称される。
【0019】
等電位ポテンシャル電極10は、半導体層2の側面5から間隔を空けて形成されている。等電位ポテンシャル電極10の外周縁および半導体層2の側面5の間の距離は、15μm以上40μm以下(たとえば25μm程度)であってもよい。
図2は、図1に示すII-II線に沿う断面図である。図3は、図1から半導体層2の第1主面3の上の構造を取り除き、半導体層2の第1主面3の構造を示す平面図である。図4は、図2に示す領域IVの拡大図である。
【0020】
図2を参照して、半導体層2は、n型の半導体基板21からなる単層構造を有している。半導体基板21は、FZ(Floating Zone)法を経て形成されたシリコン単結晶基板(所謂FZ基板)であってもよい。
半導体層2の第2主面4の表層部には、n型の高濃度領域22が形成されている。半導体層2において高濃度領域22外の領域はドリフト領域23として形成されている。半導体層2の第2主面4の上には、カソード電極24が形成されている。カソード電極24は、高濃度領域22との間でオーミック接合を形成している。
【0021】
図2および図3を参照して、半導体層2の第1主面3の表層部には、p型のアノード領域25、p型のフィールドリミット領域26、p型のウェル領域27およびn型のチャネルストップ領域28が形成されている。
図3において、フィールドリミット領域26、ウェル領域27およびn型のチャネルストップ領域28はドット状のハッチングによって示されている。一方、フィールドリミット領域26は、ラインによって示されている。
【0022】
アノード領域25は、デバイス形成領域6において半導体層2の第1主面3の表層部に形成されている。アノード領域25は、平面視において半導体層2の側面5から内方領域に間隔を空けて半導体層2の中央部に形成されている。アノード領域25は、平面視において半導体層2の側面5に平行な4辺を有する四角形状に設定されていてもよい。
アノード領域25は、デバイス形成領域6を画定している。アノード領域25は、半導体層2(ドリフト領域23)との間においてpn接合部を形成している。これにより、アノード領域25をアノードとし、半導体層2(ドリフト領域23)をカソードとするpn接合ダイオードが形成されている。pn接合ダイオードは、ファーストリカバリーダイオードであってもよい。
【0023】
アノード領域25の深さは、0.5μm以上3.0μm以下(たとえば1.5μm程度)であってもよい。アノード領域25の深さは、半導体層2の第1主面3およびアノード領域25の底部の間の距離である。
フィールドリミット領域26は、アノード領域25のp型不純物濃度よりも高いp型不純物濃度を有している。フィールドリミット領域26は、外側領域7において半導体層2の第1主面3の表層部に形成されている。
【0024】
フィールドリミット領域26は、複数(この形態では8本)のフィールドリミット領域26A,26B,26C,26D,26E,26F,26G,26Hを含むフィールドリミット領域群として形成されている。
フィールドリミット領域26A~26Hは、デバイス形成領域6から離れる方向に沿って間隔を空けてこの順に形成されている。フィールドリミット領域26A~26Hは、平面視においてアノード領域25の周縁に沿って帯状に延びている。
【0025】
フィールドリミット領域26A~26Hは、より具体的には、平面視においてアノード領域25を取り囲む無端状(四角環状)に形成されている。フィールドリミット領域26A~26Hは、FLR(Field Limiting Ring)領域とも称される。
フィールドリミット領域26A~26Hの底部は、アノード領域25の底部に対して半導体層2の第2主面4側に位置している。フィールドリミット領域26A~26Hの深さDFは、5μm以上10μm以下(たとえば7.5μm程度)であってもよい。フィールドリミット領域26A~26Hの深さDFは、半導体層2の第1主面3およびフィールドリミット領域26A~26Hの底部の間の距離である。
【0026】
フィールドリミット領域26A~26Hの幅は、10μm以上40μm以下(たとえば25μm程度)であってもよい。互いに隣り合うフィールドリミット領域26B~26Hの間の距離W1~W7は、アノード領域25とは反対側の方向に向けて順に広くなっていてもよい。距離W1~W7は、この形態では、フィールドリミット領域26B~26Hの中央部を基準に測定したフィールドリミット領域26B~26Hの間の距離である。
【0027】
距離W1は、15μm以上17μm以下(たとえば16μm程度)であってもよい。距離W2は、17μm以上19μm以下(たとえば18μm程度)であってもよい。距離W3は、18μm以上20μm以下(たとえば19μm程度)であってもよい。
距離W4は、20μm以上22μm以下(たとえば21μm程度)であってもよい。距離W5は、22μm以上24μm以下(たとえば23μm程度)であってもよい。距離W6は、25μm以上27μm以下(たとえば26μm程度)であってもよい。距離W7は、28μm以上30μm以下(たとえば29μm程度)であってもよい。
【0028】
ウェル領域27は、アノード領域25のp型不純物濃度よりも高いp型不純物濃度を有している。ウェル領域27のp型不純物濃度は、フィールドリミット領域26のp型不純物濃度と等しくてもよい。
ウェル領域27は、外側領域7において半導体層2の第1主面3の表層部に形成されている。ウェル領域27は、より具体的には、半導体層2の第1主面3の表層部においてアノード領域25およびフィールドリミット領域26の間の領域に形成されている。
【0029】
ウェル領域27は、平面視においてアノード領域25の周縁に沿って帯状に延びている。ウェル領域27は、より具体的には、平面視においてデバイス形成領域6を取り囲む無端状(四角環状)に形成されている。
ウェル領域27は、外側領域7においてアノード領域25を終端させる終端領域として形成されている。ウェル領域27の内周縁は、アノード領域25の周縁に接続されている。ウェル領域27の内周縁は、アノード領域25の底部側からアノード領域25の周縁にオーバラップしていてもよい。
【0030】
ウェル領域27の外周縁は、フィールドリミット領域26から間隔を空けて形成されている。ウェル領域27の外周縁およびフィールドリミット領域26Aの間の距離は、距離W1以下であってもよい。
半導体層2の厚さ方向に関して、ウェル領域27の底部は、アノード領域25の底部およびフィールドリミット領域26の底部に対して半導体層2の第2主面4側に位置している。
【0031】
ウェル領域27の深さDは、5μm以上20μm以下(たとえば15μm程度)であってもよい。ウェル領域27の深さDは、半導体層2の第1主面3およびウェル領域27の底部の間の距離である。ウェル領域27の幅WMは、10μm以上100μm以下(たとえば20μm程度)であってもよい。
図2図4を参照して、ウェル領域27は、この形態では、半導体層2の第1主面3の表層部においてトレンチ31の内壁に沿う領域に形成されている。トレンチ31は、半導体層2の第1主面3に形成されている。トレンチ31は、より具体的には、半導体層2の第1主面3においてアノード領域25およびフィールドリミット領域26の間の領域に形成されている。
【0032】
トレンチ31は、平面視においてアノード領域25の周縁に沿って帯状に延びている。トレンチ31は、より具体的には、平面視においてデバイス形成領域6を取り囲む無端状(四角環状)に形成されている。
トレンチ31の内壁は、側壁、底壁、ならびに、側壁および底壁を接続するエッジ部を含む。トレンチ31のエッジ部は、外側に向かう凸湾曲状に形成されている。トレンチ31は、外側領域7において半導体層2の第1主面3の表層部に形成されている。トレンチ31は、開口面積が底面積よりも大きいテーパ形状に形成されていてもよい。
【0033】
トレンチ31の深さDTは、0μmを超えて10μm以下(たとえば5μm程度)であってもよい。トレンチ31の深さDTは、半導体層2の第1主面3およびトレンチ31の底壁の間の距離である。トレンチ31の幅WTは、5μm以上90μm以下(たとえば15μm程度)であってもよい。
ウェル領域27は、半導体層2においてトレンチ31の側壁に沿う領域に形成された側壁領域32を含む。側壁領域32は、トレンチ31の内縁側の側壁に沿って形成された内側壁領域、および、トレンチ31の外縁側の側壁に沿って形成された外側壁領域を含む。側壁領域32は、トレンチ31の側壁から半導体層2の第1主面3に沿う方向に拡がっている。側壁領域32は、アノード領域25に接続されている。
【0034】
側壁領域32の深さD1は、5μm以上10μm以下(たとえば7.5μm程度)であってもよい。側壁領域32の深さD1は、半導体層2の第1主面3および側壁領域32の底部の間の距離である。
側壁領域32の底部は、フィールドリミット領域26A~26Hの底部とほぼ等しい深さに形成されている。側壁領域32の深さD1は、フィールドリミット領域26A~26Hの深さDFとほぼ等しい。
【0035】
ウェル領域27は、半導体層2においてトレンチ31の底壁に沿う領域に形成された底壁領域33を含む。底壁領域33は、トレンチ31の底壁から半導体層2の厚さ方向に拡がっている。
底壁領域33は、半導体層2においてトレンチ31のエッジ部に沿う領域において側壁領域32に接続されている。底壁領域33は、側壁領域32との接続領域において段差を形成している。
【0036】
底壁領域33は、側壁領域32に対して滑らかに接続されていてもよい。底壁領域33の底部は、アノード領域25の底部およびフィールドリミット領域26の底部に対して半導体層2の第2主面4側に位置している。
底壁領域33の深さD2は、0μmを超えて10μm以下(たとえば7.5μm程度)であってもよい。底壁領域33の深さD2は、トレンチ31の底壁および底壁領域33の底部の間の距離である。ウェル領域27の深さDは、側壁領域32の深さD1および底壁領域33の深さD2の合計値である(D=D1+D2)。
【0037】
ウェル領域27の構造は、次のような形態によっても特定される。すなわち、ウェル領域27は、半導体層2の第1主面3の表層部に形成された第1領域34(側壁領域32)および第1領域34に対して半導体層2の第2主面4側に形成された第2領域35(底壁領域33)を含む。
ウェル領域27の第2領域35は、第1領域34の幅よりも小さい幅を有している。第1領域34の表層部には、トレンチ31が形成されている。トレンチ31は、第1領域34の内方領域に形成されている。トレンチ31は、第1領域34の幅よりも小さい幅を有している。トレンチ31の底壁は、半導体層2の第1主面3および第2領域35の底部の間の領域に位置している。
【0038】
ウェル領域27の底部および半導体層2の第2主面4の間の距離は、フィールドリミット領域26の底部および半導体層2の第2主面4の間の距離よりも大きい。半導体層2においてウェル領域27が形成された領域の見かけ上の厚さは、半導体層2においてフィールドリミット領域26が形成された領域の見かけ上の厚さよりも小さい。ウェル領域27に対する電界強度は、フィールドリミット領域26に対する電界強度よりも大きい。
【0039】
チャネルストップ領域28は、半導体層2のn型不純物濃度よりも高いn型不純物濃度を有している。チャネルストップ領域28は、外側領域7において半導体層2の第1主面3の表層部に形成されている。
チャネルストップ領域28は、半導体層2の第1主面3の表層部において、フィールドリミット領域26および半導体層2の側面5の間の領域に形成されている。チャネルストップ領域28は、フィールドリミット領域26から間隔を空けて形成されている。チャネルストップ領域28は、半導体層2の側面5から露出していてもよい。
【0040】
チャネルストップ領域28は、平面視においてフィールドリミット領域26の周縁に沿って帯状に延びている。チャネルストップ領域28は、より具体的には、平面視においてフィールドリミット領域26を取り囲む無端状(四角環状)に形成されている。
チャネルストップ領域28は、この形態では、半導体層2の側面5から露出している。チャネルストップ領域28の幅は、80μm以上110μm以下(たとえば95μm程度)であってもよい。
【0041】
図2を参照して、半導体層2内には、デバイス形成領域6から外側領域7に向かって拡がる空乏層38が形成される。図2では、二点鎖線によって空乏層38が示されている。空乏層38は、より具体的には、アノード領域25および半導体層2の間のpn接合部から拡がる。
デバイス形成領域6から拡がる空乏層38は、外側領域7においてウェル領域27から拡がる空乏層と一体を成す。ウェル領域27は、半導体層2内において空乏層38によって被覆される。
【0042】
空乏層38は、外側領域7においてフィールドリミット領域26から拡がる空乏層と一体を成す。フィールドリミット領域26は、半導体層2内において空乏層38によって被覆される。この形態では、フィールドリミット領域26A~26Hが空乏層38によって被覆される。
空乏層38は、半導体層2の第2主面4に到達する。換言すると、半導体層2は、空乏層38が半導体層2の第2主面4に到達する厚さを有している。空乏層38は、半導体層2の第2主面4においてウェル領域27に対向する対向領域に到達する。半導体層2は、空乏層38が半導体層2の第2主面4においてウェル領域27に対向する対向領域に到達する厚さを有している。
【0043】
空乏層38は、半導体層2の第2主面4においてフィールドリミット領域26およびウェル領域27に対向する対向領域に到達する。半導体層2は、空乏層38が半導体層2の第2主面4においてフィールドリミット領域26およびウェル領域27に対向する対向領域に到達する厚さを有している。
空乏層38は、この形態では、半導体層2の第2主面4においてフィールドリミット領域26Dに対向する対向領域まで到達する。空乏層38において半導体層2の第1主面3に沿う幅は、第1主面3から第2主面4に沿って漸減している。
【0044】
半導体層2の第1主面3の上には、絶縁層41が形成されている。絶縁層41は、SiOを含んでいてもよい。絶縁層41には、アノード領域25を露出させるアノード開口43が形成されている。
アノード開口43は、アノード領域25の周縁を除くアノード領域25の内方領域を露出させている。絶縁層41は、平面視において外側領域7を被覆する無端状(四角環状)に形成されている。
【0045】
絶縁層41は、トレンチ31の内壁面に沿って形成された内壁絶縁層42を含む。内壁絶縁層42は、トレンチ31の内壁面に沿って膜状に形成されている。これにより、トレンチ31内には、内壁絶縁層42によって凹状の空間が形成されている。
絶縁層41は、フィールドリミット領域26A~26Hを露出させる複数の第1開口44A,44B,44C,44D,44E,44F,44G,44Hを有している。第1開口44A~44Hは、対応するフィールドリミット領域26A~26Hを露出させている。絶縁層41は、チャネルストップ領域28を露出させる第2開口45を有している。
【0046】
図4を参照して、絶縁層41は、複数の絶縁膜が積層された積層構造を有している。複数の絶縁膜は、半導体層2の第1主面3側からこの順に積層された第1絶縁膜46および第2絶縁膜47を含む。第1絶縁膜46は、SiO膜を含んでいてもよい。第2絶縁膜47は、第1絶縁膜46とは異なる性質を有するSiO膜を含んでいてもよい。
第2絶縁膜47は、PSG(Phosphosilicate Glass)膜を含んでいてもよい。第2絶縁膜47は、BPSG(Boron Phosphorus Silicon Glass)膜を含んでいてもよい。第2絶縁膜47は、第1絶縁膜46側からこの順に積層されたPSG膜およびBPSG膜を含む積層構造を有していてもよい。BPSG膜およびPSG膜の積層順は入れ替わっていてもよい。
【0047】
絶縁層41のデバイス形成領域6側の端部は、アノード開口43を区画している。つまり、絶縁層41の半導体層2の第1主面3の上においてアノード領域25の直上の領域に位置されている。
より具体的には、第1絶縁膜46のデバイス形成領域6側の端部は、半導体層2の第1主面3の上においてウェル領域27の側壁領域32直上の領域に位置されている。第2絶縁膜47は、第1絶縁膜46のデバイス形成領域6側の端部を被覆している。
【0048】
第2絶縁膜47のデバイス形成領域6側の端部は、半導体層2の第1主面3の上においてアノード領域25の直上の領域に位置されている。この形態では、第2絶縁膜47のデバイス形成領域6側の端部によって、アノード開口43が区画されている。
第1開口44A~44Hおよび第2開口45は、第1コンタクト孔48および第2コンタクト孔49をそれぞれ含む。第1コンタクト孔48は、第1絶縁膜46に形成されている。第2コンタクト孔49は、第1コンタクト孔48に連通するように第2絶縁膜47に形成されている。
【0049】
第2コンタクト孔49の開口面積は、第1コンタクト孔48の開口面積よりも大きい。第2コンタクト孔49は、第1コンタクト孔48および第1絶縁膜46の表面を露出させている。
図2および図4を参照して、アノード電極8の本体部11は、アノード開口43内に形成されている。アノード電極8の本体部11は、アノード開口43内においてアノード領域25を被覆している。アノード電極8の本体部11は、アノード領域25に電気的に接続されている。
【0050】
アノード電極8の引き出し部12は、アノード電極8の本体部11から絶縁層41の上面に引き出されている。アノード電極8の引き出し部12は、平面視においてウェル領域27に重なっている。アノード電極8の引き出し部12は、平面視においてウェル領域27のほぼ全域に重なっている。
アノード電極8の引き出し部12は、トレンチ31を横切っている。これにより、アノード電極8は、内壁絶縁層42を挟んでトレンチ31に埋め込まれた埋め込み電極51を含む。つまり、トレンチ31には、アノード電極8と同電位を成す埋め込み電極51が埋め込まれている。
【0051】
埋め込み電極51は、引き出し部12の一部によって形成されている。埋め込み電極51は、内壁絶縁層42を挟んでウェル領域27に対向している。埋め込み電極51は、内壁絶縁層42によってウェル領域27から絶縁されている。
フィールド電極9A~9Hは、それぞれ、絶縁層41の上から対応する第1開口44A~44H内に入り込んでいる。フィールド電極9A~9Hは、対応する第1開口44A~44H内において対応するフィールドリミット領域26A~26Hに電気的に接続されている。
【0052】
最も外側に形成されたフィールド電極9Hは、引き出し部52を含んでいてもよい。フィールド電極9Hの引き出し部52は、第1開口44H内からデバイス形成領域6とは反対側(半導体層2の側面5側)に向けて絶縁層41の上に引き出されていてもよい。
等電位ポテンシャル電極10は、絶縁層41の上から第2開口45内に入り込んでいる。等電位ポテンシャル電極10は、第2開口45内においてチャネルストップ領域28に電気的に接続されている。
【0053】
等電位ポテンシャル電極10の内周縁と、最も外側に形成されたフィールド電極9Hの外周縁との間の絶縁距離Lは、30μm以上60μm以下であってもよい。等電位ポテンシャル電極10の幅は、60μm以上100μm以下(たとえば80μm程度)であってもよい。
半導体層2の第1主面3の上には、保護層55が形成されている。保護層55は、アノード電極8、フィールド電極9および等電位ポテンシャル電極10を被覆している。図2を参照して、保護層55には、アノード電極8の本体部11を露出させるアノードパッド開口56が形成されている。保護層55は、樹脂を含んでいてもよい。保護層55は、ポリイミドを含んでいてもよい。
【0054】
図5は、図1に示す半導体装置1の外側領域7の電界強度のシミュレーション結果を示すグラフである。図5において縦軸は電界強度[V/cm]を示し、横軸は半導体層2の第1主面3に沿う距離[μm]を表している。
図5を参照して、外側領域7において半導体層2内の電界強度は、ウェル領域27およびフィールドリミット領域26A~26Hの順に低下している。外側領域7において、ウェル領域27の電界強度が最も高い。ウェル領域27の電界強度を見ると、二つの極大値が表れている。これは、ウェル領域27の内周縁および外周縁に対する電界集中を表している。
【0055】
図5から、ウェル領域27はブレークダウン起点として形成されていることが理解される。ウェル領域27にかかる電界強度は、図5の破線および矢印によって示されるように、ウェル領域27の深さDを大きくすることによって増加する。
図6は、図1に示す半導体装置1の電流-電圧特性のシミュレーション結果を示すグラフである。図6において縦軸は逆方向電流IR[A]を示し、横軸は逆方向電圧VR[V]を表している。
【0056】
ここでは、トレンチ31の深さDTの調節によってウェル領域27の深さDを調整し、ブレークダウン電圧を測定した。底壁領域33の深さD2は、いずれの場合も、7.5μm程度であった。図6には、第1特性L1、第2特性L2および第3特性L3が示されている。
第1特性L1は、トレンチ31の深さDTが0μm、つまり、トレンチ31が形成されていない場合の電流-電圧特性を示している。第2特性L2は、トレンチ31の深さDTが3μmである場合の電流-電圧特性を示している。第3特性L3は、トレンチ31の深さDTが5μmである場合の電流-電圧特性を示している。
【0057】
第1特性L1を参照して、ブレークダウン電圧は1570V程度であった。第2特性L2を参照して、ブレークダウン電圧は1520V程度であった。第3特性L3を参照して、ブレークダウン電圧は1470V程度であった。
このように、ウェル領域27の底部および半導体層2の第2主面4の間の距離が小さくなると、ブレークダウン電圧が低下することが分かった。つまり、ウェル領域27の底部および半導体層2の第2主面4の間の距離が小さくなると、半導体層2の耐圧が低下することが分かった。
【0058】
トレンチ31の形成は、ブレークダウン電圧に対して劇的な変化を及ぼすわけではない。トレンチ31の形成は、比較的小さな値の範囲でブレークダウン電圧を低下させる。したがって、トレンチ31の深さDTを調整することによって、ブレークダウン電圧を微調整できる。
以上、半導体装置1によれば、フィールドリミット領域26のデザインに加えて、ウェル領域27の深さDも耐圧調整のパラメータに含めることができる。より具体的には、ウェル領域27は、アノード領域25の底部およびフィールドリミット領域26の底部に対して半導体層2の第2主面4側に位置する底部を有している。
【0059】
これにより、ウェル領域27が形成された領域において半導体層2の見かけ上の厚さを低減できるから、ウェル領域27に対する電界強度を高めて耐圧を低下させることができる。耐圧の低下量は、ウェル領域27の深さDが大きくなるに従って大きくなる。
したがって、半導体装置1によれば、ウェル領域27の深さDに起因する耐圧低下というマイナスの効果を敢えて利用することにより、フィールドリミット領域26によって高められた耐圧を低下させ、目的の耐圧値に合わせ込むことができる。よって、耐圧を適切に調整できる半導体装置1を提供できる。
【0060】
また、半導体装置1によれば、外側領域7において半導体層2の第1主面3におけるデバイス形成領域6およびフィールドリミット領域26の間の領域にはトレンチ31が形成されている。そして、ウェル領域27は、半導体層2の第1主面3の表層部においてトレンチ31の内壁に沿う領域に形成されている。
このような構造によれば、トレンチ31の深さDTを利用して半導体層2の第1主面3の表層部において比較的深い領域にウェル領域27を形成できる。これにより、ウェル領域27の底部および半導体層2の第2主面4の間の距離を容易にかつ適切に調整できる。よって、耐圧を容易にかつ適切に調整できる半導体装置1を提供できる。
【0061】
また、半導体装置1によれば、ウェル領域27がデバイス形成領域6を取り囲んでいる。これにより、ブレークダウンからデバイス形成領域6を適切に保護できる。
図7A図7Mは、図4に対応する部分の断面図であって、図1に示す半導体装置1の製造方法の一例を説明するための断面図である。
まず、図7Aを参照して、第1主面3および第2主面4を有する半導体層2が用意される。次に、半導体層2の第1主面3にハードマスク61が形成される。ハードマスク61は、SiOを含んでいてもよい。ハードマスク61は、熱酸化処理やCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって形成されてもよい。
【0062】
次に、図7Bを参照して、所定パターンを有するレジストマスク62が、ハードマスク61の上に形成される。レジストマスク62は、半導体層2の第1主面3においてトレンチ31を形成すべき領域を露出させる開口63を有している。
次に、レジストマスク62を介するエッチング法によって、ハードマスク61の不要な部分が除去される。これにより、半導体層2の第1主面3においてトレンチ31を形成すべき領域を露出させる開口64が、ハードマスク61に形成される。その後、レジストマスク62は除去される。
【0063】
次に、図7Cを参照して、半導体層2の不要な部分が、ハードマスク61を介するエッチング法によって除去される。エッチング法は、ウェットエッチング法であってもよい。これにより、所定深さのトレンチ31が形成される。その後、ハードマスク61は除去される。
次に、図7Dを参照して、所定パターンを有するイオン注入マスク65が、半導体層2の第1主面3の上に形成される。イオン注入マスク65は、ウェル領域27およびフィールドリミット領域26を形成すべき領域を露出させる複数の開口66を有している。
【0064】
次に、p型不純物が、イオン注入マスク65を介するイオン注入法によって半導体層2の第1主面3の表層部に導入される。これにより、ウェル領域27およびフィールドリミット領域26が同時に形成される。この工程では、ウェル領域27の側壁領域32の深さD1は、フィールドリミット領域26A~26Hの深さDFとほぼ等しく形成される。
その後、イオン注入マスク65は除去される。ウェル領域27およびフィールドリミット領域26は、異なるイオン注入マスク65を介する異なるイオン注入法によって、別々に形成されてもよい。この場合、ウェル領域27の側壁領域32の深さD1は、フィールドリミット領域26A~26Hの深さDFとは異なるように形成される。
【0065】
また、図示はしないが、チャネルストップ領域28も、半導体層2の第1主面3の表層部に形成される。この工程では、まず、所定パターンを有するイオン注入マスク(図示せず)が、半導体層2の第1主面3の上に形成される。イオン注入マスク(図示せず)は、チャネルストップ領域28を形成すべき領域を露出させる開口(図示せず)を有している。
【0066】
次に、n型不純物が、イオン注入マスク(図示せず)を介するイオン注入法によって半導体層2の第1主面3の表層部に導入される。これにより、チャネルストップ領域28が形成される。その後、イオン注入マスク(図示せず)は除去される。
次に、図7Eを参照して、第1絶縁膜46が、半導体層2の第1主面3の上に形成される。第1絶縁膜46は、SiO膜を含んでいてもよい。第1絶縁膜46は、熱酸化処理法またはCVD法によって形成されてもよい。
【0067】
次に、図7Fを参照して、所定パターンを有するレジストマスク67が、第1絶縁膜46の上に形成される。レジストマスク67は、半導体層2の第1主面3においてアノード領域25を形成すべき領域を露出させる開口68を有している。次に、レジストマスク67を介するエッチング法によって、第1絶縁膜46の不要な部分が除去される。その後、レジストマスク67は除去される。
【0068】
次に、図7Gを参照して、第1絶縁膜46を介するイオン注入法によって、p型不純物が半導体層2の第1主面3の表層部に導入される。これにより、アノード領域25が形成される。
次に、図7Hを参照して、第2絶縁膜47が、第1絶縁膜46を被覆するように半導体層2の第1主面3の上に形成される。第2絶縁膜47は、第1絶縁膜46とは異なる性質を有するSiO膜を含んでいてもよい。第2絶縁膜47は、PSG膜および/またはBPSG膜を含んでいてもよい。第2絶縁膜47は、CVD法によって形成されてもよい。
【0069】
次に、図7Iを参照して、所定パターンを有するレジストマスク69が、第2絶縁膜47の上に形成される。レジストマスク69は、アノード開口43、第1開口44A~44Hの第2コンタクト孔49および第2開口45の第2コンタクト孔49を形成すべき領域を露出させる複数の開口70を有している。
次に、レジストマスク69を介するエッチング法によって、第2絶縁膜47の不要な部分が除去される。エッチング法はウェットエッチング法であってもよい。これにより、アノード開口43、第1開口44A~44Hの第2コンタクト孔49および第2開口45の第2コンタクト孔49が形成される。その後、レジストマスク69は除去される。
【0070】
次に、図7Jを参照して、所定パターンを有するレジストマスク71が、第2絶縁膜47の上に形成される。レジストマスク71は、第1開口44A~44Hの第1コンタクト孔48および第2開口45の第1コンタクト孔48を形成すべき領域を露出させる複数の開口72を有している。
次に、レジストマスク71を介するエッチング法によって、第1絶縁膜46の不要な部分が除去される。エッチング法はドライエッチング法であってもよい。これにより、第1開口44A~44Hの第2コンタクト孔49および第2開口45の第2コンタクト孔49が形成される。その後、レジストマスク71は除去される。
【0071】
次に、図7Kを参照して、アノード電極8、フィールド電極9および等電位ポテンシャル電極10のベースとなるベース電極層73が形成される。
次に、図7Lを参照して、所定パターンを有するレジストマスク74が、ベース電極層73の上に形成される。レジストマスク74は、ベース電極層73においてアノード電極8、フィールド電極9および等電位ポテンシャル電極10を形成すべき領域を被覆している。
【0072】
次に、レジストマスク74を介するエッチング法によって、ベース電極層73の不要な部分が除去される。これにより、ベース電極層73が、アノード電極8、フィールド電極9および等電位ポテンシャル電極10に分割される。その後、レジストマスク74は除去される。
次に、図7Mを参照して、保護層55のベースとなる感光性樹脂75が、半導体層2の第1主面3の上に塗布される。感光性樹脂75は、ポリイミドを含んでいてもよい。次に、感光性樹脂75が選択的に露光および現像される。これにより、アノード電極8の本体部11を露出させるアノードパッド開口56を有する保護層55が形成される。以上を含む工程を経て、半導体装置1が製造される。
【0073】
図8は、図2に対応する部分の断面図であって、本発明の第2実施形態に係る半導体装置81の構造を説明するための断面図である。以下では、半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
半導体装置81では、半導体層2の第1主面3にトレンチ31が形成されていない。ウェル領域27は、側壁領域32および底壁領域33を有していない。しかし、ウェル領域27の底部は、半導体層2の厚さ方向に関して、アノード領域25の底部およびフィールドリミット領域26の底部に対して半導体層2の第2主面4側に位置している。
【0074】
以上、半導体装置81によれば、トレンチ31の深さDTによる耐圧調整効果を除いて、半導体装置1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
図9は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置91を示す平面図である。図10は、図9に示すX-X線に沿う断面図である。図11は、図9に示すXI-XI線に沿う断面図である。以下では、半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0075】
図9図11を参照して、半導体装置91においてデバイス形成領域6には、pn接合ダイオードに代えてIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)が形成されている。
より具体的には、半導体層2の第2主面4の表層部には、高濃度領域22に代えてp型のコレクタ領域92が形成されている。半導体層2の第2主面4の上には、カソード電極24に代えてコレクタ電極93が形成されている。コレクタ電極93は、コレクタ領域92との間でオーミック接合を形成している。
【0076】
デバイス形成領域6において半導体層2の第1主面3の表層部には、アノード領域25に代えてp型のボディ領域94が形成されている。ボディ領域94は、平面視において半導体層2の側面5から内方領域に間隔を空けて半導体層2の中央部に形成されている。ボディ領域94は、平面視において半導体層2の側面5に平行な4辺を有する四角形状に設定されていてもよい。ボディ領域94は、デバイス形成領域6を画定している。
【0077】
ボディ領域94の深さは、1.5μm以上3.5μm以下(たとえば2.0μm程度)であってもよい。ボディ領域94の深さは、半導体層2の第1主面3およびボディ領域94の底部の間の距離である。
ボディ領域94に対するフィールドリミット領域26およびウェル領域27の関係は、アノード領域25に対するフィールドリミット領域26およびウェル領域27の関係と同様であるので具体的な説明は省略する。
【0078】
図11を参照して、デバイス形成領域6において半導体層2の第1主面3には、トレンチゲート構造95が形成されている。この形態では、複数のトレンチゲート構造95が形成されている。複数のトレンチゲート構造95は、平面視において同一方向に沿って延びるストライプ状に形成されていてもよい。
各トレンチゲート構造95は、ゲートトレンチ96、ゲート絶縁層97およびゲート電極層98を含む。ゲートトレンチ96は、ボディ領域94を貫通しており、ドリフト領域23に至る底壁を有している。
【0079】
ゲートトレンチ96の側壁は、半導体層2の第1主面3に対してほぼ垂直に形成されている。ゲートトレンチ96は、開口面積が底面積よりも大きいテーパ形状に形成されていてもよい。ゲートトレンチ96の底壁は、外側に向かう凸湾曲状に形成されていてもよい。ゲートトレンチ96の底壁は、半導体層2の第1主面3に対して平行に形成されていてもよい。
【0080】
ゲート絶縁層97は、ゲートトレンチ96の内壁面に沿って膜状に形成されている。これにより、ゲートトレンチ96内にはゲート絶縁層97によって凹状の空間が区画されている。
ゲート絶縁層97は、ゲートトレンチ96外において、デバイス形成領域6において半導体層2の第1主面3を被覆する表面絶縁層99に連なっている。ゲート電極層98は、ゲート絶縁層97を挟んでゲートトレンチ96に埋め込まれている。
【0081】
互いに隣り合うトレンチゲート構造95の間において、ボディ領域94は、一方のトレンチゲート構造95および他方のトレンチゲート構造95によって共有されている。ボディ領域94の表層部には、n型のエミッタ領域100およびp型のコンタクト領域101が形成されている。
エミッタ領域100は、ボディ領域94の表層部においてゲートトレンチ96の側壁に沿って形成されている。コンタクト領域101は、ボディ領域94の表層部においてゲートトレンチ96から間隔を空けて形成されている。コンタクト領域101は、この形態では、平面視においてボディ領域94の表層部に形成されている。コンタクト領域101は、ボディ領域94に電気的に接続されている。
【0082】
各トレンチゲート構造95の側方には、半導体層2の第1主面3側から第2主面4側に向けて、エミッタ領域100、ボディ領域94およびドリフト領域23がこの順に形成されている。ボディ領域94のうち、エミッタ領域100およびドリフト領域23の間の領域がIGBTのチャネル領域である。
デバイス形成領域6において半導体層2の第1主面3の上には、層間絶縁層102が形成されている。層間絶縁層102は、エミッタ領域100およびコンタクト領域101を露出させるコンタクト開口103を有している。
【0083】
半導体層2の第1主面3の上には、アノード電極8に代えてエミッタ電極104(主面電極)が形成されている。図9においてエミッタ電極104は、クロスハッチングによって示されている。エミッタ電極104は、層間絶縁層102の上からコンタクト開口103に入り込んでいる。
エミッタ電極104は、コンタクト開口103内においてエミッタ領域100およびコンタクト領域101と電気的に接続されている。エミッタ電極104の他の構造は、前述のアノード電極8とほぼ同様であるので、具体的な説明は省略する。
【0084】
以上、半導体装置91のようにpn接合ダイオードに代えてIGBTを備えた構造によっても、半導体装置1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。むろん、半導体装置91にも、半導体装置81の構造を適用できる。
図12は、図11に対応する部分の断面図であって、本発明の第4実施形態に係る半導体装置111を示す断面図である。以下では、半導体装置91に対して述べた構造と対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0085】
半導体装置111においてデバイス形成領域6には、IGBTに代えてMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)が形成されている。より具体的には、半導体装置111では、コレクタ領域92に代えてn型のドレイン領域112が、半導体層2の第2主面4の表層部に形成されている。
このような形態の場合、IGBTの「エミッタ」が、MISFETの「ソース」に読み替えられる。また、IGBTの「コレクタ」が、MISFETの「ドレイン」に読み替えられる。
【0086】
以上、半導体装置111のようにIGBTに代えてMISFETを備えた構造によっても、半導体装置1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。むろん、半導体装置111にも、半導体装置81の構造を適用できる。
図13は、図4に対応する部分の断面図であって、本発明の第5実施形態に係る半導体装置121を示す断面図である。以下では、半導体装置1に対して述べた構造と対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0087】
半導体装置1では、アノード開口43がアノード領域25だけを露出させていた。これに対して、半導体装置121では、アノード開口43がアノード領域25およびウェル領域27を露出させている。
半導体装置121において、絶縁層41(第2絶縁膜47)のデバイス形成領域6側の端部は、半導体層2の第1主面3の上においてウェル領域27の直上の領域に配置されている。
【0088】
より具体的には、絶縁層41(第2絶縁膜47)においてデバイス形成領域6側の端部は、半導体層2の第1主面3の上においてウェル領域27の側壁領域32の直上の領域に配置されている。
アノード電極8は、アノード開口43内において、アノード領域25およびウェル領域27に接続されている。つまり、アノード電極8の本体部11は、アノード領域25に接続された第1接続部122およびウェル領域27に接続された第2接続部123を含む。アノード電極8の第2接続部123は、より具体的には、ウェル領域27の側壁領域32に接続されている。
【0089】
以上、半導体装置121によっても、半導体装置1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
また、半導体装置121によれば、アノード電極8が、アノード領域25に接続された第1接続部122およびウェル領域27に接続された第2接続部123を含む。したがって、半導体装置121のオンオフ動作時において、アノード領域25からの電流をアノード電極8に直接流し込むことができ、第2接続部123からの電流もアノード電極8に直接流し込むことができる。
【0090】
これにより、ウェル領域27を流れる電流およびアノード領域25を流れる電流が合流するアノード領域25およびウェル領域27の間の境界領域において電流密度の増加を抑制できる。その結果、アノード領域25およびウェル領域27の間の境界領域において温度上昇の抑制を図ることができるから、破壊耐量の向上を図ることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はさらに他の形態で実施することもできる。
【0091】
前述の各実施形態では、8本のフィールドリミット領域26A~26Hが形成された例について説明した。しかし、1本または2本以上(たとえば2本以上25本以下)のフィールドリミット領域26が形成されていてもよい。
前述の第1実施形態、第2実施形態および第4実施形態において、半導体層2は、半導体基板21に代えて、n型の半導体基板と、n型の半導体基板の上に形成されたn型エピタキシャル層とを含む積層構造を有していてもよい。この場合、n型の半導体基板が半導体層2の高濃度領域22に相当し、n型エピタキシャル層が半導体層2のドリフト領域23に相当する。
【0092】
前述の第3実施形態において、半導体層2は、半導体基板21に代えて、p型の半導体基板と、p型の半導体基板の上に形成されたn型エピタキシャル層とを含む積層構造を有していてもよい。この場合、p型の半導体基板が半導体層2のコレクタ領域92に相当し、n型エピタキシャル層が半導体層2のドリフト領域23に相当する。
前述の各実施形態において、各半導体部分の導電型が反転された構成が採用されてもよい。つまり、p型の部分がn型とされ、n型の部分がp型とされてもよい。
【0093】
前述の第5実施形態に係る半導体装置121の構造は、半導体装置81や半導体装置111にも適用できる。たとえば、半導体装置81に半導体装置121の構造が適用された場合、エミッタ電極104がエミッタ領域100に接続された第1接続部122およびウェル領域27に接続された第2接続部123を含む構造となる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0094】
1 半導体装置
2 半導体層
3 第1主面
4 第2主面
6 デバイス形成領域
7 外側領域
8 アノード電極(主面電極)
11 アノード電極の本体部
12 アノード電極の引き出し部
25 アノード領域(不純物領域)
26 フィールドリミット領域
26A フィールドリミット領域
26B フィールドリミット領域
26C フィールドリミット領域
26D フィールドリミット領域
26E フィールドリミット領域
26F フィールドリミット領域
26G フィールドリミット領域
26H フィールドリミット領域
27 ウェル領域
31 トレンチ
38 空乏層
51 埋め込み電極
81 半導体装置
91 半導体装置
94 ボディ領域(不純物領域)
111 半導体装置
121 半導体装置
122 第1接続部
123 第2接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図7I
図7J
図7K
図7L
図7M
図8
図9
図10
図11
図12
図13