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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】水栓装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/05 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
E03C1/05
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018164132
(22)【出願日】2018-09-03
(65)【公開番号】P2020037771
(43)【公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久田 高志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】中川 恵子
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-142001(JP,A)
【文献】特開平07-119186(JP,A)
【文献】特開2010-159576(JP,A)
【文献】特開2004-278073(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐水部を有する水栓本体と、
前記吐水部に接続する流路上に設けられ、電池を駆動源として駆動される電磁弁と、
所定の操作部に対して所定の吐水操作が行われたことに基づき、前記流路を閉塞する閉塞位置から前記流路を開放する開放位置に前記電磁弁を移動させる制御部と、
前記電池の出力電圧が所定の第1電圧値未満となったことに基づき、前記制御部からの指示に応じて、前記電池を駆動源として点灯する表示部と、を備え、
前記制御部は、前記操作部に対して前記吐水操作が行われたことに基づき、前記電池の出力電圧が前記第1電圧値よりも小さい所定の第2電圧値以上で且つ前記第1電圧値未満であるときには、前記電磁弁を前記開放位置に移動させつつ前記表示部を点灯させる一方、前記電池の出力電圧が前記第2電圧値未満であるときには、前記電磁弁を前記閉塞位置から移動させることなく前記表示部を点灯させ
前記電磁弁を移動させることによる吐水ができなくなった状況下で、前記操作部に対して前記吐水操作が行われたことに基づき、前記表示部を点灯させる水栓装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記操作部に対して前記吐水操作が行われたことに基づき、前記電池の出力電圧が前記第2電圧値以上で且つ前記第1電圧値未満であるときには、前記表示部を所定の第1点灯パターンで点灯させ、前記電池の出力電圧が前記第2電圧値未満であるときには、前記表示部を前記第1点灯パターンとは異なる所定の第2点灯パターンで点灯させる請求項1に記載の水栓装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記吐水操作が行われたことに基づき、前記表示部を所定の点灯パターンで点灯する点灯状態とし、所定期間経過後に消灯状態とする請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載の水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水栓装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は従来の水栓装置を開示している。この水栓装置は、電磁弁を駆動して吐水と止水とを切り替える。この水栓装置は、水栓装置の吐水と止水とを切り替え操作する操作部と、電磁弁の作動を制御する制御部とを備えている。操作部は、使用者に操作されると、操作信号を制御部に送信する。制御部は、操作信号を受信すると、この操作信号に基づいて電磁弁を開閉させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-158881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の水栓装置は、電池を電源として電磁弁を開閉させる構成とした場合、電池切れになると、突然電磁弁の開閉(吐水)ができなくなる。このため、使用者は、水栓装置が故障したと誤認するおそれがある。また、使用者は、電池切れと気づいた場合であっても、予備の電池がなければ、交換用の電池を用意するまで吐水させることができなくなるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、電池切れによって吐水できなくなる期間が生じることを抑制しつつ、吐水できなくなった状況下でも故障したとの誤認が生じにくくする水栓装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の水栓装置は、
吐水部を有する水栓本体と、
前記吐水部に接続する流路上に設けられ、電池を駆動源として駆動される電磁弁と、
所定の操作部に対して所定の吐水操作が行われたことに基づき、前記流路を閉塞する閉塞位置から前記流路を開放する開放位置に前記電磁弁を移動させる制御部と、
前記電池の出力電圧が所定の第1電圧値未満となったことに基づき、前記制御部からの指示に応じて、前記電池を駆動源として点灯する表示部と、を備え、
前記制御部は、前記操作部に対して前記吐水操作が行われたことに基づき、前記電池の出力電圧が前記第1電圧値よりも小さい所定の第2電圧値以上で且つ前記第1電圧値未満であるときには、前記電磁弁を前記開放位置に移動させつつ前記表示部を点灯させる一方、前記電池の出力電圧が前記第2電圧値未満であるときには、前記電磁弁を前記閉塞位置から移動させることなく前記表示部を点灯させることを特徴とする。
【0007】
この水栓装置は、電池の出力電圧が第1電圧値未満になると、電池の交換時期になったと判断して、操作部に対して吐水操作が行われたことに基づき、表示部を点灯させる。但し、この水栓装置は、電池の出力電圧が第2電圧値以上である場合には、操作部に対して吐水操作が行われたことに基づき電磁弁を開放位置に移動させる。このため、使用者は、点灯した表示部を目視することで電池の交換時期となったことを認識しつつ、吐水させることができる。ゆえに、使用者は、吐水可能なうちに電池を交換することで、電池切れによって吐水できなくことを回避することができる。
さらに、この水栓装置は、電池の出力電圧が第2電圧値未満に低下すると、操作部に対して吐水操作が行われても、電磁弁を閉塞位置から移動させないが、表示部は点灯させる。このため、使用者は、吐水させることができなくなっても、電池の残量不足が原因であることを容易に認識することができる。
【0008】
したがって、本発明の水栓装置は、電池切れによって吐水できなくなる期間が生じることを抑制しつつ、吐水できなくなった状況下でも故障したとの誤認を生じにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1の水栓装置の構成を概略的に示す説明図である。
図2】水栓装置の各種表示部を拡大して示す説明図である。
図3】(A)は、電池の出力電圧が第1電圧値以上である場合における原水用開閉弁及び電池用交換表示部の動作を示すタイミングチャートである。(B)は、電池の出力電圧が第1電圧値未満且つ第2電圧値以上である場合における原水用開閉弁及び電池用交換表示部の動作を示すタイミングチャートである。(C)は、電池の出力電圧が第2電圧値未満である場合における原水用開閉弁及び電池用交換表示部の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明における好ましい実施の形態を説明する。
【0011】
本発明の水栓装置において、前記制御部は、前記操作部に対して前記吐水操作が行われたことに基づき、前記電池の出力電圧が前記第2電圧値以上で且つ前記第1電圧値未満であるときには、前記表示部を所定の第1点灯パターンで点灯させ、前記電池の出力電圧が前記第2電圧値未満であるときには、前記表示部を前記第1点灯パターンとは異なる所定の第2点灯パターンで点灯させ得る。
この場合、この水栓装置は、電池の出力電圧が第2電圧値以上であるか否かによって、表示部を異なる点灯パターンで点灯させる。このため、この水栓装置は、表示部の点灯パターンの変化により、電池の残量不足によって吐水できなくなったことを使用者に対してより確実に認識させることができる。
【0012】
本発明の水栓装置において、前記制御部は、前記吐水操作が行われたことに基づき、前記表示部を所定の点灯パターンで点灯する点灯状態とし、所定期間経過後に消灯状態とし得る。
この場合、この水栓装置は、表示部を点灯状態とした後、所定期間経過後に消灯状態とする。このため、この水栓装置は、表示部を一旦点灯状態とした後、電池切れとなるまで点灯状態を継続させる場合と比較して、電池の消耗を抑えることができる。
【0013】
次に、本発明の水栓装置を具体化した実施例1について、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
<実施例1>
実施例1の水栓装置1は、図1に示すように、水栓本体10、原水用開閉弁40、浄水用開閉弁42、定流量弁44、及び制御部70を備える。水栓本体10は、カウンタ90上に起立した状態で設置される。水栓本体10は、基部12と、吐水管部14とを有する。
【0015】
基部12は、カウンタ90上に設置される。基部12は、混合弁20を内蔵している。混合弁20には、給水路80が接続されており、給水元管からの水が止水栓50を経て給水路80を通じて供給される。また、混合弁20には、給湯路82が接続されており、給湯元管からの湯が止水栓52を経て給湯路82を通じて供給される。混合弁20は、給水路80から供給された水と給湯路82から供給された湯とを、後述のレバーハンドル22の操作に応じて任意の比率で混合して適温の温水とし、水栓本体10の内側に形成された流出路84から流出させる。
【0016】
基部12は、混合弁20を操作するレバーハンドル22を備える。レバーハンドル22は、左右に回動自在となっており、左右に回動操作されることで、水と湯との混合比率(混合水の温度)を調節する。また、レバーハンドル22は、上下に回動自在となっており、上下に回動操作されることで、温水の吐出流量を調節する。
【0017】
吐水管部14は、基部12の上部から上方に延び、前方に向かうにつれて下方に湾曲して垂れ下がっている。吐水管部14は、吐水口が形成された吐水部16を先端に有する。吐水部16は、流出路84に接続しており、流出路84を通じて供給された水を吐出する。
【0018】
原水用開閉弁40は、流出路84上に設けられており、電池92を駆動源として駆動される。原水用開閉弁40は、制御部70と電気的に接続されており、制御部70からの指示に応じて、流出路84を開放する開放位置と流出路84を閉塞する閉塞位置との間で移動する。
【0019】
なお、電池92は、使用者が交換することが可能な電池であればよく、乾電池であってもよいし、蓄電池であってもよい。
【0020】
給水路80上には、混合弁20側への水の流れを許容する一方、逆方向の流れを阻止する逆止弁54が設けられている。また、給湯路82上には、混合弁20側への湯の流れを許容する一方、逆方向の流れを防止する逆止弁56が設けられている。
【0021】
給水路80は、逆止弁54よりも下流側の位置から浄水路86が分岐している。浄水路86は、下流側の端部が原水用開閉弁40よりも下流側の位置で流出路84に接続している。浄水路86上には、浄水器として機能する浄水カートリッジ94が設けられており、浄水路86に流入した水は、浄水カートリッジ94で浄化された後、流出路84に流出される。なお、以下では、浄水カートリッジ94で浄化された水を「浄水」とも称し、浄化されていない水を「原水」とも称する。
【0022】
浄水カートリッジ94は、使用期限が予め決まっており、使用期限(例えば使用開始から1年間)になると交換する必要がある。また、浄水カートリッジ94は、浄化できる水の流量に上限があり、浄化した水の流量が上限(例えば10000L)に達すると浄化能力が低下する。このため、浄水カートリッジ94は、浄化した水の流量が上限に達するか、その少し前には交換する必要がある。
【0023】
浄水用開閉弁42及び定流量弁44は、浄水路86上に設けられている。浄水用開閉弁42は、電池92を駆動源として駆動される。浄水用開閉弁42は、制御部70と電気的に接続されており、制御部70からの指示に応じて、浄水路86を開放する開放位置と浄水路86を閉塞する閉塞位置との間で移動する。
【0024】
図2に示すように、水栓装置1は、原水を吐出させるために操作する原水用操作部60Aと、浄水を吐出させるために操作する浄水用操作部60Bとを備える。原水用操作部60A及び浄水用操作部60Bの各々は、例えば人体等を検知する近接センサとして構成されている。原水用操作部60A及び浄水用操作部60Bの各々は、吐水管部14における下方に湾曲して垂れ下がった部分の上側に設けられており、吐水管部14の上方を検知領域としている。原水用操作部60Aは、浄水用操作部60Bの前方に配置されており、原水用操作部60Aの検知領域は、浄水用操作部60Bの検知領域よりも前方に設けられている。原水用操作部60Aは、制御部70に電気的に接続されており、人体等を検知したことに基づき、検知信号を制御部70に出力する。
【0025】
水栓装置1は、原水用吐水表示部62Aと、浄水用吐水表示部62Bとを備える。原水用吐水表示部62Aは、原水が吐出されたことを使用者に報知するための表示部であり、浄水用吐水表示部62Bは、浄水が吐出されたことを使用者に報知するための表示部である。原水用吐水表示部62Aは、原水用操作部60Aの前方側の近傍に配置されており、浄水用吐水表示部62Bは、浄水用操作部60Bの後方側の近傍に配置されている。原水用吐水表示部62Aは、LEDなどの発光素子63Aを内蔵した表示器として構成されており、浄水用吐水表示部62Bは、LEDなどの発光素子63Bを内蔵した表示器として構成されている。
【0026】
原水用吐水表示部62Aは、原水用操作部60Aに対して吐水操作が行われたことに基づき、制御部70からの指示に応じて点灯する。ここで、原水用操作部60Aに対する吐水操作は、原水用開閉弁40及び浄水用開閉弁42が閉塞位置にあるときに原水用操作部60Aに手などをかざす操作である。
【0027】
浄水用吐水表示部62Bは、浄水用操作部60Bに対して吐水操作が行われたことに基づき、制御部70からの指示に応じて点灯する。ここで、浄水用操作部60Bに対する吐水操作は、原水用開閉弁40及び浄水用開閉弁42が閉塞位置にあるときに浄水用操作部60Bに手などをかざす操作である。
【0028】
水栓装置1は、電池用交換表示部64Aと、浄水カートリッジ用交換表示部64Bとを備える。電池用交換表示部64Aは、電池92の交換時期となったことを使用者に報知する表示部であり、浄水カートリッジ用交換表示部64Bは、浄水カートリッジ94の交換時期となったことを使用者に報知する表示部である。電池用交換表示部64Aは、原水用操作部60Aの近傍に配置されており、浄水カートリッジ用交換表示部64Bは、浄水用操作部60Bの近傍に配置されている。
【0029】
電池用交換表示部64Aは、LEDなどの発光素子65Aと、発光素子65Aを覆う表示パネル66Aとを有する。電池用交換表示部64Aは、制御部70に電気的に接続されており、電池92の交換時期となったことに基づき、制御部70からの指示に応じて点灯する。電池用交換表示部64Aは、発光素子65Aが点灯したとき、表示パネル66Aを透過する光によって電池92の交換時期となったことを示す情報68Aを表示する。
【0030】
なお、制御部70は、電池92の出力電圧を監視しており、電池92の出力電圧が所定の第1電圧値未満になると、電池92の交換時期になったと判断する。第1電圧値は、電池92の未使用時の出力電圧よりも小さい電圧値である。
【0031】
浄水カートリッジ用交換表示部64Bは、LEDなどの発光素子65Bと、発光素子65Bを覆う表示パネル66Bとを有する。浄水カートリッジ用交換表示部64Bは、制御部70に電気的に接続されており、浄水カートリッジ94の交換時期となったことに基づき、制御部70からの指示に応じて点灯する。浄水カートリッジ用交換表示部64Bは、発光素子65Bが点灯したとき、表示パネル66Bを透過する光によって浄水カートリッジ94の交換時期になったことを示す情報68Bを表示する。
【0032】
なお、制御部70は、浄水カートリッジ94を取り付けてから(交換してから)の通電時間を監視しており、この通電時間が浄水カートリッジ94の使用期限(例えば1年)の所定期間前(例えば14日前)に到達すると、浄水カートリッジ94の交換時期になったと判断する。また、制御部70は、浄水路86の流量を監視しており、浄水カートリッジ94を取り付けてから(交換してから)の流量の積算値が所定の閾値(例えば9600L)に到達すると、浄水カートリッジ94の交換時期になったと判断する。
【0033】
原水用吐水表示部62Aと浄水用吐水表示部62Bは、互いに異なる色で点灯する。電池用交換表示部64Aと浄水カートリッジ用交換表示部64Bは、互いに異なる色で点灯する。原水用吐水表示部62Aと電池用交換表示部64Aは同色(赤色)で点灯する。浄水用吐水表示部62Bと浄水カートリッジ用交換表示部64Bは同色(青色)で点灯する。
【0034】
制御部70は、マイクロコントローラを備える。また、制御部70は、原水用開閉弁40、浄水用開閉弁42、原水用吐水表示部62A、浄水用吐水表示部62B、電池用交換表示部64A及び浄水カートリッジ用交換表示部64B等と電気的に接続されており、各機器を個別に駆動する駆動回路を備える。
【0035】
次に、図3を用いて、水栓装置1の動作を具体的に説明する。なお、以下では、水栓装置1が所定の待機状態で行う動作について説明する。ここで、待機状態とは、原水用開閉弁40及び浄水用開閉弁42がともに閉塞位置に配置され、且つ原水用吐水表示部62A、浄水用吐水表示部62B、電池用交換表示部64A及び浄水カートリッジ用交換表示部64Bが全て消灯状態である状態をいう。
【0036】
制御部70は、待機状態において、原水用操作部60Aに対する吐水操作が行われたか否かを判定する。制御部70は、原水用開閉弁40及び浄水用開閉弁42が閉塞位置にある状況下で、原水用操作部60Aが人体等を検知したときに、原水用操作部60Aに対する吐水操作が行われたと判定する。制御部70は、原水用操作部60Aに対する吐水操作が行われたと判定したときに、電池92の出力電圧(電池92の残量)に応じて異なる動作を行う。
【0037】
制御部70は、電池92の出力電圧が第1電圧値以上である状況下(電池92の交換時期になっていない状況下)で、原水用操作部60Aに対する吐水操作が行われた場合には、図3(A)に示すように、原水用開閉弁40を開放位置に移動させるが、電池用交換表示部64Aを点灯させない。これにより、水栓装置1は、電池用交換表示部64Aを点灯させることなく、吐水(原水を吐出)する。
【0038】
制御部70は、原水用開閉弁40を開放位置に移動させた後、止水操作が行われたか否かを繰り返し判定する。制御部70は、原水用操作部60Aが人体等を検知したときに、止水操作が行われたと判定する。制御部70は、止水操作が行われたと判定すると、原水用開閉弁40を開放位置から閉塞位置に移動させる。これにより、水栓装置1は、止水する。
【0039】
制御部70は、電池92の出力電圧が第1電圧値未満で且つ第2電圧値以上である状況下で、原水用操作部60Aに対する吐水操作が行われると、図3(B)に示すように、原水用開閉弁40を閉塞位置から開放位置に移動させるとともに、電池用交換表示部64Aを点灯させる。より具体的には、制御部70は、電池用交換表示部64Aを所定の第1点灯パターンで点灯する点灯状態とし、所定期間(例えば10秒)経過後に消灯状態とする。これにより、水栓装置1は、吐水(原水を吐出)しつつ、電池用交換表示部64Aを点灯させる。
【0040】
ここで、点灯パターンとは、点灯色、点灯し続けるか点滅であるか、点滅である場合における点滅の周期、点滅の周期に占めるオン時間の割合(デューティ比)などによって規定されるパターンである。第1点灯パターンは、赤色、50%のデューティ比で、且つ1秒周期で点滅する点灯パターンとなっている。
【0041】
制御部70は、原水用開閉弁40を開放位置に移動させた後、止水操作が行われたか否かを繰り返し判定する。止水操作が行われたと判定すると、原水用開閉弁40を開放位置から閉塞位置に移動させる。これにより、水栓装置1は、止水する。
【0042】
なお、制御部70は、原水用操作部60Aに対して止水操作が行われたか否かとは無関係に、所定期間が経過すると電池用交換表示部64Aを消灯状態とする。即ち、制御部70は、原水用操作部60Aに対して止水操作が行われても、電池用交換表示部64Aの点灯状態を継続させる。
【0043】
制御部70は、電池92の出力電圧が第2電圧値未満である状況下で、原水用操作部60Aに対する吐水操作が行われると、図3(C)に示すように、原水用開閉弁40を閉塞位置から移動させることなく、電池用交換表示部64Aを点灯させる。より具体的には、制御部70は、電池用交換表示部64Aを所定の第2点灯パターンで点灯する点灯状態とし、所定期間(例えば10秒)経過後に消灯状態とする。これにより、水栓装置1は、吐水することなく(止水したまま)、電池用交換表示部64Aを点灯させる。
【0044】
第2点灯パターンは、第1点灯パターンとは異なる点灯パターンであり、第1点灯パターンと同じ点灯色(赤色)、第1点灯パターンと同じデューティ比(50%)で、且つ第1点灯パターンよりも短い周期(0.5秒)で点滅する点灯パターンである。
【0045】
原水用開閉弁40は、電池92の出力電圧が第2電圧値未満の状態では、原水用操作部60Aに対する吐水操作が行われても、閉塞位置のままである。このため、制御部70は、次に原水用操作部60Aが人体等を検知した場合、再び原水用操作部60Aに対する吐水操作が行われたと判定し、電池用交換表示部64Aを点灯させる。
【0046】
また、制御部70は、浄水用操作部60Bに対して吐水操作が行われた場合には、浄水用開閉弁42及び電池用交換表示部64Aの動作を制御する。浄水用操作部60Bに対して吐水操作が行われた場合の浄水用開閉弁42及び電池用交換表示部64Aの動作は、原水用操作部60Aに対して吐水操作が行われた場合の原水用開閉弁40及び電池用交換表示部64Aの動作と同様であるため説明を省略する。
【0047】
このように、この水栓装置1は、電池92の出力電圧が第1電圧値未満になると、電池92の交換時期になったと判断して、原水用操作部60Aに対する吐水操作又は浄水用操作部60Bに対する吐水操作が行われたことに基づき、電池用交換表示部64Aを点灯させる。但し、この水栓装置1は、電池92の出力電圧が第2電圧値以上である場合には、原水用操作部60Aに対する吐水操作又は浄水用操作部60Bに対する吐水操作が行われたことに基づき原水用開閉弁40又は浄水用開閉弁42を開放位置に移動させる。このため、使用者は、点灯した電池用交換表示部64Aを目視することで電池92の交換時期となったことを認識しつつ、吐水させることができる。ゆえに、使用者は、吐水可能なうちに電池92を交換することで、電池切れによって吐水できなくことを回避することができる。
さらに、この水栓装置1は、電池92の出力電圧が第2電圧値未満に低下すると、原水用操作部60Aに対する吐水操作又は浄水用操作部60Bに対する吐水操作が行われても、原水用開閉弁40及び浄水用開閉弁42を閉塞位置から移動させないが、電池用交換表示部64Aは点灯させる。このため、使用者は、吐水させることができなくなっても、電池92の残量不足が原因であることを容易に認識することができる。
【0048】
したがって、本発明の水栓装置1は、電池切れによって吐水できなくなる期間が生じることを抑制しつつ、吐水できなくなった状況下でも故障したとの誤認を生じにくくすることができる。
【0049】
また、この水栓装置1は、電池92の出力電圧が第2電圧値以上であるか否かによって、電池用交換表示部64Aを異なる点灯パターンで点灯させる。このため、この水栓装置1は、電池用交換表示部64Aの点灯パターンの変化により、電池92の残量不足によって吐水できなくなったことを使用者に対してより確実に認識させることができる。
【0050】
また、この水栓装置1は、電池用交換表示部64Aを点灯状態とした後、所定期間経過後に消灯状態とする。このため、この水栓装置1は、電池用交換表示部64Aを一旦点灯状態とした後、電池切れとなるまで点灯状態を継続させる場合と比較して、電池92の消耗を抑えることができる。
【0051】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例1に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施例1の水栓装置は、原水用開閉弁及び浄水用開閉弁の両方が閉塞位置にあるときに原水用操作部が人体等を検知すると原水用操作部に対して吐水操作が行われたと判定し、原水用開閉弁が開放位置にあるときに原水用操作部が人体等を検知すると原水用操作部に対して止水操作が行われたと判定するようにした。しかし、水栓装置は、原水用操作部が人体等を検知したときに原水用操作部に対して吐水操作が行われたと判定し、原水用操作部が人体等を検知しなくなったときに原水用操作部に対して止水操作が行われたと判定するようにしてもよい。浄水用操作部に対する吐水操作及び止水操作についても同様である。
(2)実施例1の水栓装置は、操作部として近接センサを採用したが、近接センサ以外のセンサを操作部として採用してもよいし、センサ以外の操作部(例えばボタン)を採用してもよい。
(3)実施例1の水栓装置は、原水用操作部に対して吐水操作が行われたときに電池用交換表示部を点灯させる一方、止水操作が行われたときには電池用交換表示部を点灯させない構成とした。しかし、水栓装置は、原水用操作部に対して吐水操作が行われたときだけでなく、原水用操作部に対して止水操作が行われたときにも電池用交換表示部を点灯させる構成としてもよい。
(4)実施例1の水栓装置は、第1点灯パターンと第2点灯パターンは、互いに点滅の周期が異なるようにしたが、点灯色、点灯し続けるか点滅であるか、点滅の周期に占めるオン時間の割合(デューティ比)などの要素が異なるようにしてもよい。例えば、第1点灯パターン及び第2点灯パターンをともに点滅としたが、第1点灯パターンを黄色で点灯し続ける点灯パターンとし、第2点灯パターンを第1点灯パターンとは異なる色(例えば赤色)で点灯し続ける点灯パターンとしてもよい。
(5)実施例1の水栓装置は、第1点灯パターンと第2点灯パターンを異なる点灯パターンとしたが、同じ点灯パターンとしてもよい。
(6)実施例1の水栓装置は、電池用交換表示部による電池用点灯状態の終了時期を、電池用点灯状態を開始してから所定時間経過後としたが、止水操作が行われたときとしてもよい。また、電池切れとなるまで電池用点灯状態を継続させるようにしてもよい。
(7)実施例1の水栓装置は、浄水を吐出することができる構成としたが、浄水を吐出することができない構成であってもよい。この場合、浄水用開閉弁、浄水用操作部、浄水用吐水表示部などは不要である。
【符号の説明】
【0052】
1…水栓装置
10…水栓本体
16…吐水部
40…原水用開閉弁(電磁弁)
42…浄水用開閉弁(電磁弁)
60A…原水用操作部(操作部)
60B…浄水用操作部(操作部)
62A…原水用吐水表示部
62B…浄水用吐水表示部
64A…電池用交換表示部(表示部)
64B…浄水カートリッジ用交換表示部
70…制御部
84…流出路(流路)
86…浄水路(流路)
92…電池
94…浄水カートリッジ
図1
図2
図3