(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】水栓装置
(51)【国際特許分類】
E03C 1/10 20060101AFI20221208BHJP
E03C 1/05 20060101ALI20221208BHJP
C02F 1/00 20060101ALI20221208BHJP
C02F 1/28 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
E03C1/10
E03C1/05
C02F1/00 B
C02F1/28 R
(21)【出願番号】P 2018164133
(22)【出願日】2018-09-03
【審査請求日】2021-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久田 高志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】中川 恵子
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-225062(JP,A)
【文献】特開平06-142001(JP,A)
【文献】特開2004-344888(JP,A)
【文献】特開2010-159576(JP,A)
【文献】特開2004-278073(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/10
E03C 1/05
C02F 1/00
C02F 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の原水用操作部に対して吐水操作が行われたことに基づき原水を吐出し、所定の浄水用操作部に対して吐水操作が行われたことに基づき浄水カートリッジを用いて前記原水を浄化した浄水を吐出する吐水部を有する水栓本体と、
前記吐水部に接続する流路上に設けられ、電池を駆動源として駆動される電磁弁と、
前記原水用操作部に対する吐水操作又は前記浄水用操作部に対する吐水操作が行われたことに基づき、前記流路を閉塞する閉塞位置から前記流路を開放する開放位置に前記電磁弁を移動させる制御部と、
前記電池の交換時期となったことに基づき、前記制御部からの指示に応じて点灯する電池用交換表示部と、
前記浄水カートリッジの交換時期となったことに基づき、前記制御部からの指示に応じて点灯する浄水カートリッジ用交換表示部と、を備え、
前記制御部は、前記電池の交換時期となり且つ前記浄水カートリッジの交換時期となった状況下で前記原水用操作部に対する吐水操作が行われたことに基づき、前記浄水カートリッジ用交換表示部を点灯させることなく前記電池用交換表示部を点灯させる一方、前記電池の交換時期となり且つ前記浄水カートリッジの交換時期となった状況下で前記浄水用操作部に対する吐水操作が行われたことに基づき、前記電池用交換表示部及び前記浄水カートリッジ用交換表示部の両方を点灯させることを特徴とする水栓装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記電池の交換時期において前記原水用操作部に対する吐水操作又は前記浄水用操作部に対する吐水操作が行われたことに基づき、前記電池用交換表示部を所定の電池用点灯パターンで点灯する点灯状態とした後、第1所定期間経過後に消灯状態とし、
前記浄水カートリッジの交換時期において前記浄水用操作部に対する吐水操作が行われたことに基づき、前記浄水カートリッジ用交換表示部を所定の浄水カートリッジ用点灯パターンで点灯する点灯状態とした後、第2所定期間経過後に消灯状態とすることを特徴とする請求項1に記載の水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水栓装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は従来の水栓装置を開示している。この水栓装置は、電磁弁を駆動して吐水と止水とを切り替える。この水栓装置は、水栓装置の吐水と止水とを切り替え操作する操作部と、電磁弁の作動を制御する制御部とを備えている。操作部は、使用者に操作されると、操作信号を制御部に送信する。制御部は、操作信号を受信すると、この操作信号に基づいて電磁弁を開閉させる。これにより、この水栓装置は、吐水と止水とを切り替える。また、この水栓装置は、給水部から供給された水を浄化してから吐出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の水栓装置は、電池を電源として電磁弁を開閉させる場合、電池切れとともに電磁弁を開閉させることができなくなって、吐水させることができなくなる。このため、この水栓装置は、電池の残量が少なくなると電池の交換時期となったことを使用者に報知することが望ましい。また、この水栓装置は、給水部から供給された水を浄化するための浄水カートリッジについても、交換時期になるとその旨を使用者に報知することが望ましい。
【0005】
しかし、この水栓装置は、電池の交換時期であることを報知する機能と、浄水カートリッジの交換時期であることを報知する機能とを兼ね備える場合、似たような報知機能を複数備えることとなるので、使用者が報知の内容を誤認するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、電池の交換時期であることを報知する機能と、浄水カートリッジの交換時期であることを報知する機能とを兼ね備えた水栓装置において、使用者が報知内容を誤認しにくくすることを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の水栓装置は、
所定の原水用操作部に対して吐水操作が行われたことに基づき原水を吐出し、所定の浄水用操作部に対して吐水操作が行われたことに基づき浄水カートリッジを用いて前記原水を浄化した浄水を吐出する吐水部を有する水栓本体と、
前記吐水部に接続する流路上に設けられ、電池を駆動源として駆動される電磁弁と、
前記原水用操作部に対する吐水操作又は前記浄水用操作部に対する吐水操作が行われたことに基づき、前記流路を閉塞する閉塞位置から前記流路を開放する開放位置に前記電磁弁を移動させる制御部と、
前記電池の交換時期となったことに基づき、前記制御部からの指示に応じて点灯する電池用交換表示部と、
前記浄水カートリッジの交換時期となったことに基づき、前記制御部からの指示に応じて点灯する浄水カートリッジ用交換表示部と、を備え、
前記制御部は、前記電池の交換時期となり且つ前記浄水カートリッジの交換時期となった状況下で前記原水用操作部に対する吐水操作が行われたことに基づき、前記浄水カートリッジ用交換表示部を点灯させることなく前記電池用交換表示部を点灯させる一方、前記電池の交換時期となり且つ前記浄水カートリッジの交換時期となった状況下で前記浄水用操作部に対する吐水操作が行われたことに基づき、前記電池用交換表示部及び前記浄水カートリッジ用交換表示部の両方を点灯させることを特徴とする。
【0008】
この水栓装置は、電池の交換時期となったことに基づき電池用交換表示部を点灯させ、浄水カートリッジの交換時期となったことに基づき浄水カートリッジ用交換表示部を点灯させる。また、この水栓装置は、電池の交換時期であり且つ浄水カートリッジの交換時期である状況下において、浄水用操作部に対して吐水操作が行われた場合に、電池用交換表示部及び浄水カートリッジ用交換表示部の両方を点灯させる。このため、この水栓装置は、浄水カートリッジの交換時期であることを報知するだけでなく、電池の交換時期であることも報知することができる。
【0009】
但し、この水栓装置は、電池の交換時期であり且つ浄水カートリッジの交換時期である状況下において、原水用操作部に対して吐水操作が行われた場合には、浄水カートリッジ用交換表示部を点灯させることなく電池用交換表示部を点灯させる。こうすることで、この水栓装置は、使用者が点灯している浄水カートリッジ用交換表示部を見て、誤って浄水を吐出させてしまったと誤認する事態の発生を抑制することができる。
【0010】
したがって、本発明の水栓装置は、電池の交換時期であることを報知する機能と、浄水カートリッジの交換時期であることを報知する機能とを兼ね備えつつ、使用者が報知内容を誤認しにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例1の水栓装置の構成を概略的に示す説明図である。
【
図2】水栓装置の各種表示部を拡大して示す説明図である。
【
図3】原水用操作部に対する操作に基づく原水用開閉弁、原水用吐水表示部及び電池用交換表示部の動作を示すタイミングチャートである。
【
図4】浄水用操作部に対する操作に基づく浄水用開閉弁、浄水用吐水表示部及び電池用交換表示部の動作を示すタイミングチャートである。
【
図5】電池の交換時期であって且つ浄水カートリッジの交換時期である場合における原水用開閉弁、原水用吐水表示部、電池用交換表示部、浄水用開閉弁、浄水用吐水表示部及び電池用交換表示部の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明における好ましい実施の形態を説明する。
【0013】
本発明の水栓装置において、前記制御部は、前記電池の交換時期において前記原水用操作部に対する吐水操作又は前記浄水用操作部に対する吐水操作が行われたことに基づき、前記電池用交換表示部を所定の電池用点灯パターンで点灯する点灯状態とした後、第1所定期間経過後に消灯状態とし得る。また、前記制御部は、前記浄水カートリッジの交換時期において前記浄水用操作部に対する吐水操作が行われたことに基づき、前記浄水カートリッジ用交換表示部を所定の浄水カートリッジ用点灯パターンで点灯する点灯状態とした後、第2所定期間経過後に消灯状態とし得る。
この場合、この水栓装置は、電池用交換表示部を点灯状態とした後、第1所定期間経過後に消灯状態とする。このため、この水栓装置は、電池用交換表示部を一旦電池用点灯状態とした後、電池切れとなるまで電池用点灯状態を継続させる場合と比較して、電池の消耗を抑えることができる。さらに、この水栓装置は、浄水カートリッジ用交換表示部を点灯状態とした後、第2所定期間経過後に消灯状態とする。このため、この水栓装置は、浄水カートリッジ用交換表示部を一旦浄水カートリッジ用点灯状態とした後、電池切れとなるまで浄水カートリッジ用点灯状態を継続させる場合と比較して、電池の消耗を抑えることができる。
【0014】
次に、本発明の水栓装置を具体化した実施例1について、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
<実施例1>
実施例1の水栓装置1は、
図1に示すように、水栓本体10、原水用開閉弁40、浄水用開閉弁42、定流量弁44、及び制御部70を備える。水栓本体10は、カウンタ90上に起立した状態で設置される。水栓本体10は、基部12と、吐水管部14とを有する。
【0016】
基部12は、カウンタ90上に設置される。基部12は、混合弁20を内蔵している。混合弁20には、給水路80が接続されており、給水元管からの水が止水栓50を経て給水路80を通じて供給される。また、混合弁20には、給湯路82が接続されており、給湯元管からの湯が止水栓52を経て給湯路82を通じて供給される。混合弁20は、給水路80から供給された水と給湯路82から供給された湯とを、後述のレバーハンドル22の操作に応じて任意の比率で混合して適温の温水とし、水栓本体10の内側に形成された流出路84から流出させる。
【0017】
基部12は、混合弁20を操作するレバーハンドル22を備える。レバーハンドル22は、左右に回動自在となっており、左右に回動操作されることで、水と湯との混合比率(混合水の温度)を調節する。また、レバーハンドル22は、上下に回動自在となっており、上下に回動操作されることで、温水の吐出流量を調節する。
【0018】
吐水管部14は、基部12の上部から上方に延び、前方に向かうにつれて下方に湾曲して垂れ下がっている。吐水管部14は、吐水口が形成された吐水部16を先端に有する。吐水部16は、流出路84に接続しており、流出路84を通じて供給された水を吐出する。
【0019】
原水用開閉弁40は、流出路84上に設けられており、電池92を駆動源として駆動される。原水用開閉弁40は、制御部70と電気的に接続されており、制御部70からの指示に応じて、流出路84を開放する開放位置と流出路84を閉塞する閉塞位置との間で移動する。
【0020】
なお、電池92は、使用者が交換することが可能な電池であればよく、乾電池であってもよいし、蓄電池であってもよい。
【0021】
給水路80上には、混合弁20側への水の流れを許容する一方、逆方向の流れを阻止する逆止弁54が設けられている。また、給湯路82上には、混合弁20側への湯の流れを許容する一方、逆方向の流れを防止する逆止弁56が設けられている。
【0022】
給水路80は、逆止弁54よりも下流側の位置から浄水路86が分岐している。浄水路86は、下流側の端部が原水用開閉弁40よりも下流側の位置で流出路84に接続している。浄水路86上には、浄水器として機能する浄水カートリッジ94が設けられており、浄水路86に流入した水は、浄水カートリッジ94で浄化された後、流出路84に流出される。なお、以下では、浄水カートリッジ94で浄化された水を「浄水」とも称し、浄化されていない水を「原水」とも称する。
【0023】
浄水カートリッジ94は、使用期限が予め決まっており、使用期限(例えば使用開始から1年間)になると交換する必要がある。また、浄水カートリッジ94は、浄化できる水の流量に上限があり、浄化した水の流量が上限(例えば10000L)に達すると浄化能力が低下する。このため、浄水カートリッジ94は、浄化した水の流量が上限に達するか、その少し前には交換する必要がある。
【0024】
浄水用開閉弁42及び定流量弁44は、浄水路86上に設けられている。浄水用開閉弁42は、電池92を駆動源として駆動される。浄水用開閉弁42は、制御部70と電気的に接続されており、制御部70からの指示に応じて、浄水路86を開放する開放位置と浄水路86を閉塞する閉塞位置との間で移動する。
【0025】
図2に示すように、水栓装置1は、原水を吐出させるために操作する原水用操作部60Aと、浄水を吐出させるために操作する浄水用操作部60Bとを備える。原水用操作部60A及び浄水用操作部60Bの各々は、例えば人体等を検知する近接センサとして構成されている。原水用操作部60A及び浄水用操作部60Bの各々は、吐水管部14における下方に湾曲して垂れ下がった部分の上側に設けられており、吐水管部14の上方を検知領域としている。原水用操作部60Aは、浄水用操作部60Bの前方に配置されており、原水用操作部60Aの検知領域は、浄水用操作部60Bの検知領域よりも前方に設けられている。原水用操作部60Aは、制御部70に電気的に接続されており、人体等を検知したことに基づき、検知信号を制御部70に出力する。
【0026】
水栓装置1は、原水用吐水表示部62Aと、浄水用吐水表示部62Bとを備える。原水用吐水表示部62Aは、原水が吐出されたことを使用者に報知するための表示部であり、浄水用吐水表示部62Bは、浄水が吐出されたことを使用者に報知するための表示部である。原水用吐水表示部62Aは、原水用操作部60Aの前方側の近傍に配置されており、浄水用吐水表示部62Bは、浄水用操作部60Bの後方側の近傍に配置されている。原水用吐水表示部62Aは、LEDなどの発光素子63Aを内蔵した表示器として構成されており、浄水用吐水表示部62Bは、LEDなどの発光素子63Bを内蔵した表示器として構成されている。
【0027】
原水用吐水表示部62Aは、原水用操作部60Aに対して吐水操作が行われたことに基づき、制御部70からの指示に応じて点灯する。ここで、原水用操作部60Aに対する吐水操作は、原水用開閉弁40及び浄水用開閉弁42が閉塞位置にあるときに原水用操作部60Aに手などをかざす操作である。
【0028】
浄水用吐水表示部62Bは、浄水用操作部60Bに対して吐水操作が行われたことに基づき、制御部70からの指示に応じて点灯する。ここで、浄水用操作部60Bに対する吐水操作は、原水用開閉弁40及び浄水用開閉弁42が閉塞位置にあるときに浄水用操作部60Bに手などをかざす操作である。
【0029】
水栓装置1は、電池用交換表示部64Aと、浄水カートリッジ用交換表示部64Bとを備える。電池用交換表示部64Aは、電池92の交換時期となったことを使用者に報知する表示部であり、浄水カートリッジ用交換表示部64Bは、浄水カートリッジ94の交換時期となったことを使用者に報知する表示部である。電池用交換表示部64Aは、原水用操作部60Aの近傍に配置されており、浄水カートリッジ用交換表示部64Bは、浄水用操作部60Bの近傍に配置されている。
【0030】
電池用交換表示部64Aは、LEDなどの発光素子65Aと、発光素子65Aを覆う表示パネル66Aとを有する。電池用交換表示部64Aは、制御部70に電気的に接続されており、電池92の交換時期となったことに基づき、制御部70からの指示に応じて点灯する。電池用交換表示部64Aは、発光素子65Aが点灯したとき、表示パネル66Aを透過する光によって電池92の交換時期となったことを示す情報68Aを表示する。
【0031】
なお、制御部70は、電池92の出力電圧を監視しており、電池92の出力電圧が所定の第1電圧値未満になると、電池92の交換時期になったと判断する。第1電圧値は、電池92の未使用時の出力電圧よりも小さい電圧値である。
【0032】
浄水カートリッジ用交換表示部64Bは、LEDなどの発光素子65Bと、発光素子65Bを覆う表示パネル66Bとを有する。浄水カートリッジ用交換表示部64Bは、制御部70に電気的に接続されており、浄水カートリッジ94の交換時期となったことに基づき、制御部70からの指示に応じて点灯する。浄水カートリッジ用交換表示部64Bは、発光素子65Bが点灯したとき、表示パネル66Bを透過する光によって浄水カートリッジ94の交換時期になったことを示す情報68Bを表示する。
【0033】
なお、制御部70は、浄水カートリッジ94を取り付けてから(交換してから)の通電時間を監視しており、この通電時間が浄水カートリッジ94の使用期限(例えば1年)の所定期間前(例えば14日前)に到達すると、浄水カートリッジ94の交換時期になったと判断する。また、制御部70は、浄水路86の流量を監視しており、浄水カートリッジ94を取り付けてから(交換してから)の流量の積算値が所定の閾値(例えば9600L)に到達すると、浄水カートリッジ94の交換時期になったと判断する。
【0034】
原水用吐水表示部62Aと浄水用吐水表示部62Bは、互いに異なる色で点灯する。電池用交換表示部64Aと浄水カートリッジ用交換表示部64Bは、互いに異なる色で点灯する。原水用吐水表示部62Aと電池用交換表示部64Aは同色(赤色)で点灯する。浄水用吐水表示部62Bと浄水カートリッジ用交換表示部64Bは同色(青色)で点灯する。
【0035】
制御部70は、マイクロコントローラを備える。また、制御部70は、原水用開閉弁40、浄水用開閉弁42、原水用吐水表示部62A、浄水用吐水表示部62B、電池用交換表示部64A及び浄水カートリッジ用交換表示部64B等と電気的に接続されており、各機器を個別に駆動する駆動回路を備える。
【0036】
次に、
図3~5を用いて、水栓装置1の動作を具体的に説明する。なお、以下では、水栓装置1が所定の待機状態で行う動作について説明する。ここで、待機状態とは、原水用開閉弁40及び浄水用開閉弁42がともに閉塞位置に配置され、且つ原水用吐水表示部62A、浄水用吐水表示部62B、電池用交換表示部64A及び浄水カートリッジ用交換表示部64Bが全て消灯状態である状態をいう。
【0037】
まず、
図3を用いて、原水用操作部60Aに対して吐水操作が行われた場合における原水用開閉弁40、原水用吐水表示部62A、及び電池用交換表示部64Aの動作を説明する。
【0038】
制御部70は、待機状態において、原水用操作部60Aに対する吐水操作が行われたか否かを判定する。制御部70は、原水用開閉弁40及び浄水用開閉弁42が閉塞位置にある状況下で、原水用操作部60Aが人体等を検知したときに、原水用操作部60Aに対する吐水操作が行われたと判定する。制御部70は、原水用操作部60Aに対して吐水操作が行われた場合、電池92の交換時期であるか否かに応じて異なる動作を行う。
【0039】
制御部70は、電池92の交換時期でない場合(電池92の交換時期となる前の段階である場合)において、原水用操作部60Aに対して吐水操作が行われると、原水用開閉弁40を閉塞位置から開放位置に移動させるとともに、原水用吐水表示部62Aを点灯させる。より具体的には、制御部70は、原水用吐水表示部62Aを所定の原水吐水用点灯パターンで点灯状態とし、第1所定期間(5秒)経過後に消灯状態とする原水吐水用点灯制御を行う。このとき、制御部70は、電池用交換表示部64Aを点灯させない。これにより、水栓装置1は、吐水(原水を吐出)しつつ、原水用吐水表示部62Aを点灯させる。
【0040】
ここで、点灯パターンとは、点灯色、点灯し続けるか点滅であるか、点滅である場合における点滅の周期、点滅の周期に占めるオン時間の割合(デューティ比)などによって規定されるパターンである。原水吐水用点灯パターンは、赤色、20%のデューティ比で、且つ1秒周期で点滅する点灯パターンとなっている。
【0041】
制御部70は、原水用開閉弁40を開放位置に移動させた後、原水用操作部60Aに対して止水操作が行われたか否かを繰り返し判定する。制御部70は、原水用操作部60Aに対して止水操作が行われることなく第1所定期間が経過すると、原水用開閉弁40を開放位置に維持したまま、原水用吐水表示部62Aを消灯状態とする。制御部70は、原水用操作部60Aに対して止水操作が行われると、原水用開閉弁40を閉塞位置に移動させる。これにより、水栓装置1は止水する。
【0042】
これに対し、制御部70は、電池92の交換時期において、原水用操作部60Aに対して吐水操作が行われると、原水用開閉弁40を閉塞位置から開放位置に移動させるとともに、原水用吐水表示部62A及び電池用交換表示部64Aの両方を点灯させる。より具体的には、原水用吐水表示部62Aを吐水用点灯状態とする吐水用点灯制御を行いつつ、電池用交換表示部64Aを所定の電池用点灯パターンで点灯状態とし、第2所定期間(10秒)経過後に消灯状態とする電池用点灯制御を行う。これにより、水栓装置1は、吐水(原水を吐出)しつつ、原水用吐水表示部62A及び電池用交換表示部64Aの両方を点灯させる。
【0043】
電池用点灯パターンは、原水吐水用点灯パターンと比較して、デューティ比のみが異なる点灯パターンとなっている。即ち、電池用点灯パターンは、原水吐水用点灯パターンよりも大きいデューティ比(50%)、原水吐水用点灯パターンと同じ点灯色(赤色)で、且つ原水吐水用点灯パターンと同じ周期(1秒)で点滅する点灯パターンとなっている。また、第2所定期間は第1所定期間よりも長い期間となっている。
【0044】
制御部70は、原水用開閉弁40を開放位置に移動させた後、原水用操作部60Aに対して止水操作が行われたか否かを繰り返し判定する。制御部70は、原水用操作部60Aに対して止水操作が行われることなく第1所定期間が経過すると、原水用開閉弁40を開放位置に維持したまま、原水用吐水表示部62Aを消灯状態とする。また、制御部70は、原水用操作部60Aに対して止水操作が行われたか否かとは無関係に、第2所定期間が経過すると、電池用交換表示部64Aを消灯状態とする。制御部70は、原水用操作部60Aに対して止水操作が行われると、原水用開閉弁40を閉塞位置に移動させる。これにより、水栓装置1は止水する。
【0045】
なお、制御部70は、原水用操作部60Aに対して止水操作が行われたときに、原水用吐水表示部62Aが点灯状態であれば、第1所定期間が経過していなくとも原水用吐水表示部62Aを消灯状態とする。また、制御部70は、電池用交換表示部64Aの点灯状態において、原水用操作部60Aに対して止水操作が行われても、電池用交換表示部64Aの点灯状態を継続させる。
【0046】
続いて、
図4を用いて、浄水用操作部60Bに対して吐水操作が行われた場合における浄水用開閉弁42、浄水用吐水表示部62B、及び浄水カートリッジ用交換表示部64Bの動作を説明する。
【0047】
制御部70は、待機状態において、浄水用操作部60Bに対する吐水操作が行われたか否かを判定する。制御部70は、原水用開閉弁40及び浄水用開閉弁42が閉塞位置にある状況下で、浄水用操作部60Bが人体等を検知したときに、浄水用操作部60Bに対する吐水操作が行われたと判定する。制御部70は、浄水用操作部60Bに対して吐水操作が行われた場合、浄水カートリッジ94の交換時期であるか否かに応じて異なる動作を行う。
【0048】
制御部70は、浄水カートリッジ94の交換時期でない場合(浄水カートリッジ94の交換時期となる前の段階である場合)において、浄水用操作部60Bに対して吐水操作が行われると、浄水用開閉弁42を閉塞位置から開放位置に移動させるとともに、浄水用吐水表示部62Bを点灯させる。より具体的には、制御部70は、浄水用吐水表示部62Bを浄水吐水用点灯パターンで点灯状態とし、第1所定期間(5秒)経過後に消灯状態とする吐水用点灯制御を行う。このとき、制御部70は、浄水カートリッジ用交換表示部64Bを点灯させない。これにより、水栓装置1は、吐水(浄水を吐出)しつつ、浄水用吐水表示部62Bを点灯させる。
【0049】
浄水吐水用点灯パターンは、原水吐水用点灯パターンと比較して、点灯色のみが異なる点灯パターンとなっている。即ち、浄水吐水用点灯パターンは、原水吐水用点灯パターンと異なる点灯色(青色)、原水吐水用点灯パターンと同じデューティ比(20%)で、且つ原水吐水用点灯パターンと同じ周期(1秒)で点滅する点灯パターンとなっている。
【0050】
制御部70は、浄水用開閉弁42を開放位置に移動させた後、浄水用操作部60Bに対して止水操作が行われたか否かを繰り返し判定する。制御部70は、止水操作が行われることなく第1所定期間が経過すると、浄水用開閉弁42を開放位置に維持したまま、浄水用吐水表示部62Bを消灯状態とする。制御部70は、浄水用操作部60Bに対して止水操作が行われると、浄水用開閉弁42を閉塞位置に移動させる。これにより、水栓装置1は止水する。
【0051】
これに対し、制御部70は、浄水カートリッジ94の交換時期において、浄水用操作部60Bに対して吐水操作が行われると、浄水用開閉弁42を閉塞位置から開放位置に移動させるとともに、浄水用吐水表示部62B及び浄水カートリッジ用交換表示部64Bの両方を点灯させる。より具体的には、浄水用吐水表示部62Bを吐水用点灯状態とする吐水用点灯制御を行いつつ、浄水カートリッジ用交換表示部64Bを所定の浄水カートリッジ用点灯パターンで点灯状態とし、第2所定期間(10秒)経過後に消灯状態とする浄水カートリッジ用点灯制御を行う。これにより、水栓装置1は、吐水(浄水を吐出)しつつ、浄水用吐水表示部62B及び浄水カートリッジ用交換表示部64Bの両方を点灯させる。
【0052】
浄水カートリッジ用点灯パターンは、電池用点灯パターンと比較して、点灯色のみが異なる点灯パターンとなっている。即ち、浄水カートリッジ用点灯パターンは、電池用点灯パターンと異なる点灯色(青色)、電池用点灯パターンと同じデューティ比(50%)で、且つ電池用点灯パターンと同じ周期(1秒)で点滅する点灯パターンとなっている。
【0053】
制御部70は、浄水用開閉弁42を開放位置に移動させた後、浄水用操作部60Bに対して止水操作が行われたか否かを繰り返し判定する。制御部70は、止水操作が行われることなく第1所定期間が経過すると、浄水用開閉弁42を開放位置に維持したまま、浄水用吐水表示部62Bを消灯状態とする。また、制御部70は、止水操作が行われたか否かとは無関係に、第2所定期間が経過すると、浄水カートリッジ用交換表示部64Bを消灯状態とする。制御部70は、浄水用操作部60Bに対して止水操作が行われると、浄水用開閉弁42を閉塞位置に移動させる。これにより、水栓装置1は止水する。
【0054】
なお、制御部70は、浄水用操作部60Bに対して止水操作が行われたときに、浄水用吐水表示部62Bが点灯状態であれば、第1所定期間が経過していなくとも浄水用吐水表示部62Bを消灯状態とする。
【0055】
続いて、
図5を用いて、電池92の交換時期であって且つ浄水カートリッジ94の交換時期である場合において、原水用操作部60Aに対して吐水操作が行われたときの水栓装置1の動作と、浄水用操作部60Bに対して吐水操作が行われたときの水栓装置1の動作について説明する。
【0056】
制御部70は、電池92の交換時期であって且つ浄水カートリッジ94の交換時期である場合において、原水用操作部60Aに対して吐水操作が行われると、原水用開閉弁40を開放位置に移動させつつ、原水用吐水表示部62A及び電池用交換表示部64Aの両方を点灯させる。より具体的には、制御部70は、原水用開閉弁40を開放位置に移動させつつ、原水用吐水表示部62Aを点灯状態とする上述の吐水用点灯制御を行うとともに、電池用交換表示部64Aを点灯状態とする上述の電池用点灯制御を行う。このとき、制御部70は、浄水カートリッジ用交換表示部64Bを点灯させない。これにより、水栓装置1は、浄水カートリッジ用交換表示部64Bを点灯させることなく、吐水(原水を吐出)しつつ、原水用吐水表示部62A及び電池用交換表示部64Aの両方を点灯させる。
【0057】
制御部70は、原水用開閉弁40を開放位置に移動させた後、原水用操作部60Aに対して止水操作が行われたか否かを繰り返し判定する。制御部70は、原水用操作部60Aに対して止水操作が行われたと判定すると、原水用開閉弁40を閉塞位置に移動させる。これにより、水栓装置1は止水する。
【0058】
これに対し、制御部70は、電池92の交換時期であって且つ浄水カートリッジ94の交換時期である場合において、浄水用操作部60Bに対して吐水操作が行われると、浄水用開閉弁42を開放位置に移動させつつ、浄水用吐水表示部62B、電池用交換表示部64A及び浄水カートリッジ用交換表示部64Bを点灯させる。より具体的には、制御部70は、浄水用開閉弁42を開放位置に移動させつつ、浄水用吐水表示部62Bを点灯状態とする上述の吐水用点灯制御を行い、浄水カートリッジ用交換表示部64Bを点灯状態とする上述の浄水カートリッジ用点灯制御を行い、電池用交換表示部64Aを点灯状態とする上述の電池用点灯制御を行う。これにより、水栓装置1は、吐水(浄水を吐出)しつつ、浄水用吐水表示部62B及び電池用交換表示部64Aを点灯させ、さらに浄水カートリッジ用交換表示部64Bも点灯させる。
【0059】
制御部70は、浄水用開閉弁42を開放位置に移動させた後、浄水用操作部60Bに対して止水操作が行われたか否かを繰り返し判定する。制御部70は、浄水用操作部60Bに対して止水操作が行われたと判定すると、浄水用開閉弁42を閉塞位置に移動させる。これにより、水栓装置1は止水する。
【0060】
このように、この水栓装置1は、電池92の交換時期となったことに基づき電池用交換表示部64Aを点灯させ、浄水カートリッジ94の交換時期となったことに基づき浄水カートリッジ用交換表示部64Bを点灯させる。また、この水栓装置1は、電池92の交換時期であり且つ浄水カートリッジ94の交換時期である状況下において、浄水用操作部60Bに対して吐水操作が行われた場合に、電池用交換表示部64A及び浄水カートリッジ用交換表示部64Bの両方を点灯させる。このため、この水栓装置1は、浄水カートリッジ94の交換時期であることを報知するだけでなく、電池92の交換時期であることも報知することができる。
【0061】
但し、この水栓装置1は、電池92の交換時期であり且つ浄水カートリッジ94の交換時期である状況下において、原水用操作部60Aに対して吐水操作が行われた場合には、浄水カートリッジ用交換表示部64Bを点灯させることなく電池用交換表示部64Aを点灯させる。こうすることで、この水栓装置1は、使用者が点灯している浄水カートリッジ用交換表示部64Bを見て、誤って浄水を吐出させてしまったと誤認する事態の発生を抑制することができる。
【0062】
したがって、本発明の水栓装置1は、電池92の交換時期であることを報知する機能と、浄水カートリッジ94の交換時期であることを報知する機能とを兼ね備えつつ、使用者が報知内容を誤認しにくくすることができる。
【0063】
また、この水栓装置1は、電池用交換表示部64Aを点灯状態とした後、第1所定期間経過後に消灯状態とする。このため、この水栓装置1は、電池用交換表示部64Aを一旦電池用点灯状態とした後、電池切れとなるまで電池用点灯状態を継続させる場合と比較して、電池92の消耗を抑えることができる。さらに、この水栓装置1は、浄水カートリッジ用交換表示部64Bを点灯状態とした後、第2所定期間経過後に消灯状態とする。このため、この水栓装置1は、浄水カートリッジ用交換表示部64Bを一旦浄水カートリッジ用点灯状態とした後、電池切れとなるまで浄水カートリッジ用点灯状態を継続させる場合と比較して、電池92の消耗を抑えることができる。
【0064】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例1に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施例1の水栓装置は、原水用開閉弁及び浄水用開閉弁の両方が閉塞位置にあるときに原水用操作部が人体等を検知すると原水用操作部に対して吐水操作が行われたと判定し、原水用開閉弁が開放位置にあるときに原水用操作部が人体等を検知すると原水用操作部に対して止水操作が行われたと判定するようにした。しかし、水栓装置は、原水用操作部が人体等を検知したときに原水用操作部に対して吐水操作が行われたと判定し、原水用操作部が人体等を検知しなくなったときに原水用操作部に対して止水操作が行われたと判定するようにしてもよい。浄水用操作部に対する吐水操作及び止水操作についても同様である。
(2)実施例1の水栓装置は、操作部として近接センサを採用したが、近接センサ以外のセンサを操作部として採用してもよいし、センサ以外の操作部(例えばボタン)を採用してもよい。
(3)実施例1の水栓装置は、原水用操作部に対して吐水操作が行われたときに電池用交換表示部を点灯させる一方、止水操作が行われたときには電池用交換表示部を点灯させない構成とした。しかし、水栓装置は、原水用操作部に対して吐水操作が行われたときだけでなく、原水用操作部に対して止水操作が行われたときにも電池用交換表示部を点灯させる構成としてもよい。
(4)実施例1の水栓装置は、電池用点灯パターンと浄水カートリッジ用点灯パターンは、互いに点灯色が異なるようにしたが、点灯し続けるか点滅であるか、点滅の周期、点滅の周期に占めるオン時間の割合(デューティ比)などの要素が異なるようにしてもよい。
(5)実施例1の水栓装置は、電池用点灯パターンと浄水カートリッジ用点灯パターンを異なる点灯パターンとしたが、同じ点灯パターンとしてもよい。
(6)実施例1の水栓装置は、原水吐水用点灯パターンと浄水吐水用点灯パターンは、互いに点灯色が異なるようにしたが、点灯し続けるか点滅であるか、点滅の周期、点滅の周期に占めるオン時間の割合(デューティ比)などの要素が異なるようにしてもよい。
(7)実施例1の水栓装置は、原水吐水用点灯パターンと浄水吐水用点灯パターンを異なる点灯パターンとしたが、同じ点灯パターンとしてもよい。
(8)実施例1の水栓装置は、電池用交換表示部による電池用点灯状態の終了時期を、電池用点灯状態を開始してから所定時間経過後としたが、止水操作が行われたときとしてもよい。また、電池切れとなるまで電池用点灯状態を継続させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…水栓装置
10…水栓本体
16…吐水部
40…原水用開閉弁(電磁弁)
42…浄水用開閉弁(電磁弁)
60A…原水用操作部
60B…浄水用操作部
62A…原水用吐水表示部
62B…浄水用吐水表示部
64A…電池用交換表示部(表示部)
64B…浄水カートリッジ用交換表示部
70…制御部
84…流出路(流路)
86…浄水路(流路)
92…電池
94…浄水カートリッジ