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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】容器用栓体
(51)【国際特許分類】
   B65D 39/06 20060101AFI20221208BHJP
   B65D 47/12 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
B65D39/06
B65D47/12 300
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018179575
(22)【出願日】2018-09-25
(65)【公開番号】P2020050367
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-08-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】弁理士法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 龍太
(72)【発明者】
【氏名】熊田 光雄
(72)【発明者】
【氏名】橋本 勝己
(72)【発明者】
【氏名】渡部 篤
(72)【発明者】
【氏名】大久保 雄祐
(72)【発明者】
【氏名】榎本 勝己
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-148321(JP,A)
【文献】実開昭64-047696(JP,U)
【文献】特開2014-231370(JP,A)
【文献】特開2015-081092(JP,A)
【文献】特開2002-165707(JP,A)
【文献】特開2007-069969(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0279879(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/06
B65D 47/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部へ固定可能であって前記容器の内容物を注出可能な注出口が形成された本体と、
前記容器の内部へ押し下げて没入可能に構成されるとともに、前記本体の閉塞部に嵌合されて前記注出口を閉塞可能な封止体と、
前記注出口をカバーする上蓋と、
前記封止体と前記上蓋とにそれぞれ接続可能であって、前記容器の内部に没入した前記封止体を前記注出口へ向けて前記注出口の外側から前記閉塞部まで引き上げ可能な牽引部材と、を含み、
前記牽引部材は糸状又は紐状である可撓性の部材であり、
前記本体と前記上蓋とは分離可能に構成されると共に、前記没入した封止体が前記閉塞部に再封止されるとき、前記上蓋が前記本体から離脱して上方へ持ち上げられることで前記牽引部を介して連結された前記封止体が上昇して引き上げられる、
ことを特徴とする容器用栓体。
【請求項2】
前記閉塞部は、
フランジ面と、前記フランジ面から垂下するアウターリングと、インナーリングと、から形成され、
前記注出口とは別体である請求項1に記載の容器用栓体。
【請求項3】
前記本体の閉塞部は、前記封止体よりも軟質な材料で構成されている請求項1又は2に記載の容器用栓体。
【請求項4】
前記上蓋は、天面壁を有し、
前記天面壁が膨出している請求項1~3のいずれか一項に記載の容器用栓体。
【請求項5】
前記上蓋の内面側には前記注出口へ向けて垂下する中空の円筒壁が設けられ、
前記円筒壁の内側に前記牽引部材との接続部が形成されるとともに、前記上蓋を前記本体へカバーする時に前記円筒壁の先端部によって前記注出口が封止される請求項1~4のいずれか一項に記載の容器用栓体。
【請求項6】
前記注出口の上端の一部が切り欠かれた切り欠き部を有し、
前記封止体が前記容器の内部に没入したときに前記牽引部材の一部が前記切り欠き部で保持される請求項1~5のいずれか一項に記載の容器用栓体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の口部と係合可能な容器用栓体に関するものであり、より詳細には容器の内部に没入可能な封止体によって注出口の開閉栓が可能な構造を有する容器用栓体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば水やお茶あるいは清涼飲料水などの飲料用容器として、PETボトル又は金属/ガラス製ボトルなどが従来から広く使用されている。これらの容器の注出口には内容物を封止するためネジ式あるいは打栓式キャップなどの種々の容器用栓体が用いられる。
【0003】
かような容器用栓体の一例として、例えば特許文献1に示すごとき玉体で注出口を封止して内容物を保存する構造の栓体も知られている。
すなわち特許文献1によれば、清涼飲料のラムネを収容するラムネ瓶において、合成樹脂やエラストマーにより形成された内筒の内部で且つ上下突起の間に密接収容された玉体を用いた閉止装置が提案されており、内筒の下側から予め玉体を圧入しておくことで、下突起を押し広げて玉体が圧入されて上突起に接したところで停止するといった構成であり、開栓時は玉体を押圧して容器内に落下させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭64-47696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
たしかに上記した特許文献1の構成によれば、玉体を用いて簡易に内筒の注出口を封止することができる点で利便性は高い。
しかしながらこの特許文献1を含む従来構造では、いまだに後述する課題は解決されておらず改良の余地があることは否めない。
【0006】
すなわち、特許文献1では注出口を玉体で封止する構成である点において密封性の向上が図れて有効ではあるものの、いったん開栓してしまうと玉体が内筒の下突起より下方に落下して再封止することが著しく困難となってしまう。
このように従来の構造では再封止が困難であるため、例えば内容物が上記したラムネなどの炭酸飲料である場合には容器内の内容物を一度ですべて使用しなければ炭酸が抜けてしまい内容物の劣化を招いてしまう。これに対して特許文献1の構成では玉体を内筒の内部に戻すことは容易でなく、せいぜい注出口をラップ等で閉塞する程度に留まって高い密封性を再度確保することができない。
また、飲料用容器の容器蓋においてはネジ嵌合によって開閉するものが広く用いられているが、このようなネジ嵌合の容器蓋をつまんで捻り回す回動動作が必要であり、例えば握力が弱く握る力が弱い人にとっては開閉栓が困難である。
【0007】
なお上記した課題は炭酸などの飲料に限られず、例えば調味料や洗剤等を内容物とする場合においても同様である。換言すれば、上記した特許文献1を含む従来技術においては、上記した課題に対しては未だ改善の余地はあり、例えば玉体などの封止体を用いて容器の注出口を再封止が可能なように密閉するとともに、開栓時には意匠性や趣向性に優れた使用形態を実現可能な栓体構造は未だ提案されていない。
従って、本発明の目的の1つは、開栓時には封止体を用いて容器の口部を再封止可能に密閉する構造の容器用栓体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の一形態における容器用栓体は、(1)容器の口部へ固定可能であって前記容器の内容物を注出可能な注出口が形成された本体と、前記容器の内部へ押し下げて没入可能に構成されるとともに、前記本体の閉塞部に嵌合されて前記注出口を閉塞可能な封止体と、前記注出口をカバーする上蓋と、前記封止体と前記上蓋とにそれぞれ接続可能であって、前記容器の内部に没入した前記封止体を前記注出口へ向けて前記注出口の外側から前記閉塞部まで引き上げ可能な牽引部材と、を含み、前記牽引部材は糸状又は紐状である可撓性の部材であり、前記本体と前記上蓋とは分離可能に構成されると共に、前記没入した封止体が前記閉塞部に再封止されるとき、前記上蓋が前記本体から離脱して上方へ持ち上げられることで前記牽引部を介して連結された前記封止体が上昇して引き上げられる、ことを特徴とする。
【0009】
なお上記(1)に記載の容器用栓体においては、(2)前記閉塞部は、フランジ面と、前記フランジ面から垂下するアウターリングと、インナーリングと、から形成され、前記注出口とは別体であることが好ましい。
【0010】
また、上記(1)又は(2)に記載の容器用栓体においては、(3)前記本体の閉塞部は、前記封止体よりも軟質な材料で構成されていることが好ましい。
【0011】
また、上記(1)~(3)のいずれかに記載の容器用栓体においては、(4)前記上蓋は、天面壁を有し、前記天面壁が膨出していることが好ましい。
【0012】
また、上記(1)~(4)のいずれかに記載の容器用栓体においては、(5)前記上蓋の内面側には前記注出口へ向けて垂下する中空の円筒壁が設けられ、前記円筒壁の内側に前記牽引部材との接続部が形成されるとともに、前記上蓋を前記本体へカバーする時に前記円筒壁の先端部によって前記注出口が封止されることが好ましい。
【0013】
また、上記(1)~(5)のいずれかに記載の容器用栓体においては、(6)前記注出口の上端の一部が切り欠かれた切り欠き部を有し、前記封止体が前記容器の内部に没入したときに前記牽引部材の一部が前記切り欠き部で保持されることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、開栓時には本体の閉塞部に嵌入された封止体を容器の内部へ没入することで簡易に開栓が実現でき、さらに閉栓時には牽引部材を容器の外側へ向けて引っ張ることで封止体を閉塞部まで引き上げて再嵌合させることで容器の再封止が可能となる。
ひいては、回動動作を伴わずに押圧・引っ張り動作だけで開閉栓を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態における容器用栓体100が容器1に装着された栓体付き容器200の外観を示す斜視図である。
図2】閉栓状態における栓体付き容器200の外観と断面をそれぞれ示す模式図である。
図3】容器用栓体100のうち上蓋30の構造を示す模式図である。
図4】容器用栓体100のうち本体10の構造を示す模式図である。
図5】本体10のうち閉塞部12の詳細構造を示す模式図である。
図6】上蓋30を用いた封止体20の開栓動作を示した模式図である。
図7】上蓋30と牽引部材40を用いた封止体20の閉栓動作を示した模式図である。
図8】第2実施形態における容器用栓体100のうち閉塞部12´の詳細構造を示す側面図、断面図および外観斜視図である。
図9】第2実施形態における容器用栓体100を用いて容器1の内容物を注出した状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を好適に実施するための実施形態について説明する。
なお本実施形態においては、説明の便宜上、図を用いた説明においてX、Y及びZ方向を適宜設定したが、説明の便宜上であって本発明を何ら過度に限定するものではない。
【0017】
[第1実施形態]
<栓体付き容器200>
図1及び図2は、本実施形態に係る栓体付き容器200をそれぞれ異なる方向から見た図である。なお説明の便宜上、図1(a)では栓体付き容器200を半透明の状態で示し、図1(b)では牽引部材40を省略して示している。これらの図から明らかなとおり、栓体付き容器200は、容器用栓体100が容器1に装着されており、当該容器1内に内容物を貯留し保存する。
【0018】
ここで、容器1としては、金属製ボトルやガラス瓶などの容器が例示される。容器の口部には、容器用栓体100を固定するための固定部が形成されている。本実施形態では、容器用栓体100の固定部が容器の口部に打栓されて係合することで互いが固定される。
【0019】
なお容器用栓体100と容器1との固定方法は上記のごとき打栓式に限られず、例えば公知のネジ構造など種々の構造を適用してもよい。また、容器1に貯蔵されるのに好適な内容物としては特に制限はなく、水やお茶あるいは清涼飲料水の他にアルコール飲料や炭酸飲料なども例示でき、さらには飲料に限られず各種の調味料やトイレタリー液など種々の液体が例示できる。
【0020】
<容器用栓体100>
以下、上記した容器1の口部1aに固定可能な容器用栓体100について、図1~7を適宜参照しながら詳述する。
例えば図1及び2からも明らかなとおり、本実施形態における容器用栓体100は、本体10、封止体20、上蓋30、及び牽引部材40を含んで構成されている。この容器用栓体100の材質に特に制限はないが、例えば本体10と上蓋30は射出成形が可能な公知の合成樹脂(例えばポリエチレンやポリプロピレンなど)で構成され、封止体20はガラスや金属材料で構成され、牽引部材40は金属材料や樹脂材料あるいは糸などの繊維材料で構成されることが好ましい。
【0021】
本体10は、図4及び5などにも示されるとおり、容器1の口部へ固定可能であって内容物を注出可能な注出口11を有するように構成され、より具体的には上記した注出口11の他、閉塞部12、切り欠き部13、天面板14及び周壁15を含んで構成されている。
【0022】
このうちまず注出口11は、図1図2から明らかなとおり、天面板14から上方に向けてラッパ状に広がるように立設されている。そして容器1の内容物は、注出時にこの注出口11の内面を流通する。また、注出口11の内面のうち下端部は、後述する閉塞部12の内面と連続するように構成されている。
【0023】
一方、本実施形態の注出口11には、注出口11の内面のうち上端の一部が切り欠かれた切り欠き部13が形成されていてもよい。この切り欠き部13は、後述する封止体20が容器1の内部に没入したときに、牽引部材40の一部を挟持して保持する機能を有するように構成されている。これにより牽引部材40の端部にある封止体20は容器1の内部で宙吊り状態を維持することが可能となる。
なお牽引部材40の一部を挟持して保持する部位は、必ずしも注出口11を加工して切り欠き部13とせずに、例えば天面板14にフックを別途立設するなどしてもよい。
【0024】
なお図4からも明らかなとおり、周壁15の外周面には滑り止めなどを目的として平面となる切り欠きを周方向で適宜形成することができる。また周壁15の内周面における下端には容器1と係合可能な固定部15aが形成されているが、容器1と係合可能な限りにおいてこの固定部15aの構造に特に制限はない。
【0025】
閉塞部12は、容器1の閉栓時に後述する封止体20が嵌合されて注出口11を閉塞する機能を有して構成されている。かような機能面から閉塞部12は、封止体20よりも軟質な材料で構成されていることが好ましい。
【0026】
より具体的には図4及び5に示されるとおり、閉塞部12は、フランジ面12aと、このフランジ面12aから垂下するアウターリング12bと、このアウターリング12bの内側でフランジ面12aから同様に垂下するインナーリング12cとで形成されており、上記した注出口11とは別体となるように構成されている。
【0027】
また図4(a)のとおり、閉塞部12のインナーリング12cの内側は注出口11と連通しており、組み立て時には周壁15の下側からフランジ面12aが上側を向く形で挿入される。
【0028】
なお図4(c)からも明らかなとおり、閉塞部12のフランジ面12aは天面板14の内面と密着することから、これらが接着剤や熱溶着など公知の手段を介して互いに密着していてもよい。これにより内容物がフランジ面12aと天面板14の内面との間から漏れ出ずシール性を確保することも可能となる。
【0029】
さらに同図から明らかなとおり、閉塞部12のうちアウターリング12bは、容器1の口部の内周面と密着可能な外径を有して構成される。したがってこのアウターリング12bと容器1の口部とが互いに密着することで、内容物のシール性が確保されることになる。
【0030】
上述のとおり閉栓時にはインナーリング12cの内面側には封止体20が嵌合される。したがって図2(c)や図5(c)に示されるとおり、本実施形態のインナーリング12cの内周面にはアンダーカットで形成された下側突出部12eと上側突出部12fがそれぞれ形成されている。それゆえ、封止体20によって注出口11が閉塞されるときは、図2(c)にも示すとおりこの封止体20が閉塞部12の下側突出部12eと上側突出部12fとの間に嵌入され、下側突出部12eで封止体20の下部を保持し、上側突出部12fと封止体20が嵌合することによって密封を確保している。
【0031】
封止体20は、容器1の内部へ押し下げて没入可能に構成されるとともに、本体10の閉塞部12に嵌合されて注出口を閉塞可能なように構成されている。
より具体的に本実施形態の封止体20は、牽引部材40と接続された球状体となっている。なお封止体20の外形は、必ずしも球状である必要はなく、牽引部材40により牽引可能で且つ閉塞部12を閉塞可能であれば円錐状など他の形状となっていてもよい。かような場合には閉塞部12に対して封止体20が圧入される形態となるため、アンダーカットで形成される下側突出部12eと上側突出部12fは適宜省略されるようにしてもよい。
【0032】
また封止体20の材質は、上述のとおりガラスや金属あるいは樹脂など公知の種々の材料が適用できる。上述のとおり封止体20は閉塞部12よりも硬度が高いことが好ましいため、意匠性なども鑑みるとガラス又は金属材料がより好ましいと言える。
【0033】
次に図2及び図3を適宜参照して本実施形態の上蓋30について説明する。
上蓋30は、上記した本体10の注出口11をカバーする機能を有する。より具体的には図3に示すとおり、本実施形態の上蓋30は、天面壁31、円筒壁32、接続部33、及びスカート壁34を含んで構成されている。このうち天面壁31は、その中央の一部が上方に向けて凸となるように膨出する膨出部31aを有する構成となっている。
【0034】
また、本実施形態では、上蓋30のスカート壁34の内径は、上記した本体10の周壁15の上端における外径よりも若干小さくなるように設定されている。したがって本体10に対して上蓋30を装着する際には、この周壁15の上端縁部に対してスカート壁34の内周下端を嵌入することで本体10と上蓋30とが互いに固定される。なお本体10と上蓋30との固定方法は上記に限定されず公知の種々の固定手法を採用してもよい。
【0035】
そして上蓋30の内面側には注出口11へ向けて垂下する中空の円筒壁32が設けられ、この円筒壁32の内側には後述する牽引部材40との接続部33が形成されている。したがって上蓋30を本体10へカバーする時に円筒壁32の先端部が注出口11の内面に密着し、注出口11が円筒壁32の先端部によって封止されるように構成されている。
【0036】
接続部33は、図2(c)に示すとおりリング状の形状を有しており、上記した牽引部材40の一端と接続可能なように構成される。なお牽引部材40の一端との接続態様については特に制限はなく、物理的に引っ掛かる形状でもよく、公知の接着剤や融着などで固着される形態であってもよい。
【0037】
これにより、牽引部材40は、図2(c)に示されるとおり、一端が上蓋30の接続部33と接続されるとともに、他端が封止体20と接続される。したがって封止体20によって本体10の注出口11が閉栓されているときは、牽引部材40は円筒壁32の内部において撓んで収容されており、開封により容器1の内部に没入した封止体20を注出口11の外側から閉塞部12の内面まで引き上げ、封止体20を再び嵌入し、注出口11を再封止する機能を有している。
なお、牽引部材40は、糸状または紐状の形態を有する可撓性の部材である。かような牽引部材40としては、例えば天然繊維または合成繊維で構成される糸、あるいは樹脂製又は金属製のチェーンやひもなどが例示できる。
【0038】
<容器用栓体100の開栓方法>
次に図6も適宜参照して、本実施形態における容器用栓体100を用いた開栓方法について説明する。
開栓時においては、上蓋30を把持して容器1に固定された本体10から上蓋30を離脱させる。円筒壁32内に収容された牽引部材40は接続部33の移動に追従して伸長する。
【0039】
次いで使用者は、図6に示すように、膨出部31aが封止体20と対向するように上蓋30をひっくり返して膨出部31aの先端を封止体20と接触させる。その後に上蓋30を封止体20に向けて押圧することで、閉塞部12内に嵌入されていた封止体20は容器1の内部へ没入することで開栓される。
【0040】
このとき封止体20は牽引部材40と連結されているため、開栓時に封止体20が容器1に没入した後も容器1の内部底に落下せずに牽引部材40を介して容器1の内部で宙づり状態を維持できる。
次いで使用者は、図7(a)に示すように、牽引部材40の一部を注出口11の切り欠き部13に押し込むことで、切り欠き部13で牽引部材40を保持させることができる。
以上の工程を経て本実施形態の容器用栓体100の開栓が完了する。
【0041】
<容器用栓体100の閉栓方法>
次に図7(b)を適宜参照しつつ本実施形態の容器用栓体の閉栓方法について説明する。
内容物を注出口11から適宜注出した後、まず使用者は上蓋30を把持し、切り欠き部13から牽引部材40の一部を離脱させる。
【0042】
次いで同図に示すとおり、使用者が上蓋30を上方へ持ち上げることで牽引部材40に連結された封止体20も上昇する。そして牽引部材40による牽引動作を継続することで、封止体20は本体10の閉塞部12の下側突出部12eを弾性的に乗り越える。
使用者が上蓋30をさらに持ち上げると、牽引部材40を介して封止体20が上側突出部12fと下側突出部12eとの間に嵌入され、上側突出部12fによって密封される。
以上の工程を経て本実施形態の容器用栓体100の閉栓が完了する。
【0043】
このように本実施形態の容器用栓体100においては、開栓時には本体10の閉塞部12に嵌入された封止体20を容器1の内部へ没入することで簡易に開栓することができる。一方で閉栓時には牽引部材40を容器1の外側へ向けて引っ張ることで、容器1の内部に没入している封止体20を閉塞部12まで容易に引き上げて再嵌入させることで容器1の再封止が可能となる。
【0044】
[第2実施形態]
次に図8および図9を用いて第2実施形態における容器用栓体100について説明する。なお以下の説明においては、第1実施形態における容器用栓体100と機能および構造が同様な要素については同じ番号を付して適宜その説明は省略する。また特に断りがない限り、以下で詳述する構成以外については第1実施形態における容器用栓体100の構成を適用してもよい。
【0045】
図8に第2実施形態における容器用栓体100のうち閉塞部12´を抜粋して示す。
同図に示すとおり、本実施形態の閉塞部12´はインナーリング12cに切り欠き12gが形成されている点に主とした特徴がある。すなわち切り欠き12gは、インナーリング12cの下端が切り欠いて形成された凹部であり、容器1に閉塞部12´が装着された際に容器の内部と外部とを連通する流通口として機能する。
【0046】
なお本実施形態の切り欠き12gは、インナーリング12cの下端で90度間隔で周方向に4つ形成されているがこの形態に限られない。すなわち、注出用凹部12gの上記周方向における形成個数は4つ以外でもよく、例えば等間隔または不等間隔で2つ以上形成されていてもよく、さらには容器1の軸に対して上記した切り欠き部13とは反対方向に形成されていてもよい。
【0047】
かような切り欠き12gによれば、第1実施形態の容器用栓体100により得られる効果に加えて更に以下に述べる効果も享受できる。
すなわち容器1の内容物を消費するとき、内容物の残量によっては注出口11が下方を向く程度に容器1を傾斜させる必要もある。このとき封止体20は自重の作用によって鉛直下方に転動してインナーリング12cの下端に到達し、さらに閉塞部12´の下側突出部12eを塞ぐ可能性も考えられる。
【0048】
このとき本実施形態のごとく切り欠き12gがインナーリング12cに設けられていれば、封止体20が下側突出部12eに入り込んで流路を塞いでしまったとしても、図9(b)のように切り欠き12gと封止体20との間には新たな流通口が形成されることになる。これにより流路が完全に塞がれることが防止され、容器1から内容物を継続して注出口11から注出することが実現できる。
【0049】
上記した各実施形態は本発明を実施するのに好適な一例であって、本願の趣旨を逸脱しない限りにおいて実施形態の各要素を適宜変形または組み合わせて新たな容器用栓体を構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、注出口を封止可能な封止体を用いて簡便な動作によって開閉栓を実行可能な容器用栓体を提供するのに適している。
【符号の説明】
【0051】
1:容器
10:本体
11:注出口
12、12´:閉塞部
13:切り欠き部
14:天面板
15:外周壁
20:封止体
30:上蓋
31:天面壁
32:円筒壁
33:接続部
34:スカート壁
40:牽引部材
100:容器用栓体
200:栓体付き容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9