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特許7190316超音波診断装置、超音波撮像プログラム、及び超音波撮像方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】超音波診断装置、超音波撮像プログラム、及び超音波撮像方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
A61B8/14
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018191574
(22)【出願日】2018-10-10
(65)【公開番号】P2020058593
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 敬介
(72)【発明者】
【氏名】池田 智
【審査官】最首 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-195585(JP,A)
【文献】特開2017-006655(JP,A)
【文献】特開2014-100270(JP,A)
【文献】特開2018-011949(JP,A)
【文献】特開2015-181788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の撮像対象である撮像部位を設定する設定部と、
超音波の3D(three-dimensional)撮像により収集された3D画像データに含まれる、前記撮像部位に対応する構造物の認識の確度により、前記3D画像データに、前記構造物の所定割合が含まれるかを判定する判定部と、
前記3D画像データに、前記構造物の所定割合が含まれると判定された場合、前記3D撮像中にその旨を報知するか、又は、前記3D撮像を終了させる終了支援部と、
を有し、
前記判定部は、
過去の3D画像データに基づいて構造物の部位名に関する情報を生成する学習済みモデルに対して、前記被検体の前記3D画像データを入力することで、前記被検体の構造物の部位名に関する情報を生成し、
前記構造物の部位名の、前記撮像部位に対する確度に基づいて、前記3D画像データに、前記撮像部位に対応する構造物の所定割合が含まれるかを判断する、
音波診断装置。
【請求項2】
被検体の撮像対象である撮像部位を設定する設定部と、
超音波の3D撮像により収集された3D画像データに含まれる、前記撮像部位に対応する構造物の認識の確度により、前記3D画像データに、前記構造物の所定割合が含まれるかを判定する判定部と、
前記3D画像データに、前記構造物の所定割合が含まれると判定された場合、前記3D撮像中にその旨を報知するか、又は、前記3D撮像を終了させる終了支援部と、
を有し、
前記判定部は、
前記3D画像データに含まれる、前記撮像部位を構成する部位要素に対応する構造物の認識の確度により、前記3D画像データに、前記部位要素に対応する構造物の所定割合が含まれるかを判定し、
前記3D画像データに、前記部位要素に対応する構造物の所定割合が含まれると判断された場合、前記3D撮像の進捗度を算出する、
音波診断装置。
【請求項3】
被検体の撮像対象である撮像部位を設定する設定部と、
超音波の3D撮像により収集された3D画像データに含まれる、前記撮像部位に対応する構造物の認識の確度により、前記3D画像データに、前記構造物の所定割合が含まれるかを判定する判定部と、
前記3D画像データに、前記構造物の所定割合が含まれると判定された場合、前記3D撮像中にその旨を報知するか、又は、前記3D撮像を終了させる終了支援部と、
を有し、
前記終了支援部は、前記3D画像データに、前記構造物の所定割合が含まれないと前記判定部により判定された場合であっても、前記3D画像データに、前記撮像部位に対応する構造物の所定割合の増分がないとき、前記3D撮像中にその旨を報知するか、又は、前記3D撮像を終了させる、
音波診断装置。
【請求項4】
被検体の撮像対象である撮像部位を設定する設定部と、
超音波の3D撮像により収集された3D画像データに含まれる、前記撮像部位に対応する構造物の認識の確度により、前記3D画像データに、前記構造物の所定割合が含まれるかを判定する判定部と、
前記3D画像データに、前記構造物の所定割合が含まれると判定された場合、前記3D撮像中にその旨を報知するか、又は、前記3D撮像を終了させる終了支援部と、
を有し、
前記終了支援部は、前記3D画像データに、前記構造物の所定割合が含まれないと前記判定部により判定された場合であっても、前記3D画像データのサイズに増分がないとき、前記3D撮像中にその旨を報知するか、又は、前記3D撮像を終了させる、
音波診断装置。
【請求項5】
前記3D撮像により収集された複数の3D元画像データから、前記3D画像データとしての3D合成画像データを合成する画像合成部を更に有し、
前記判定部は、前記3D合成画像データに、前記撮像部位に対応する構造物の所定割合が含まれるかを判定する、
請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記画像合成部は、前記3D撮像としての3Dパノラマ撮像により収集された複数の3D元画像データから、前記3D合成画像データとしての3Dパノラマ画像データを合成し、
前記判定部は、前記3Dパノラマ画像データに、前記撮像部位に対応する構造物の所定割合が含まれるかを判定する、
請求項に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記3Dパノラマ画像データを、予め指定された外部装置に送信する送信制御部を更に有する、
請求項に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記判定部は、
過去の3D画像データに基づいて構造物の部位要素名に関する情報を生成する学習済みモデルに対して、前記被検体の前記3D画像データを入力することで、前記被検体の構造物の部位要素名に関する情報を生成し、
前記構造物の部位要素名の、前記部位要素に対する確度に基づいて、前記3D画像データに、前記部位要素に対応する構造物の所定割合が含まれるかを判断する、
請求項に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記終了支援部は、前記3D画像データに、前記構造物の所定割合が含まれないと前記判定部により判定された場合であっても、前記3D撮像の開始からの経過時間が予め定められた一定値を超えたとき、前記3D撮像中にその旨を報知するか、又は、前記3D撮像を終了させる、
請求項1乃至のうちいずれか1項に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記終了支援部は、撮像部位ごとに、終了支援機能の要否を設定する、
請求項1乃至のうちいずれか1項に記載の超音波診断装置。
【請求項11】
コンピュータに、
被検体の撮像対象である撮像部位を設定する機能と、
超音波の3D撮像により収集された3D画像データに含まれる、前記撮像部位に対応する構造物の認識の確度により、前記3D画像データに、前記構造物の所定割合が含まれるかを判定する機能と、
前記3D画像データに、前記構造物の所定割合が含まれると判定された場合、前記3D撮像中にその旨を報知するか、又は、前記3D撮像を終了させる機能と、
過去の3D画像データに基づいて構造物の部位名に関する情報を生成する学習済みモデルに対して、前記被検体の前記3D画像データを入力することで、前記被検体の構造物の部位名に関する情報を生成する機能と、
前記構造物の部位名の、前記撮像部位に対する確度に基づいて、前記3D画像データに、前記撮像部位に対応する構造物の所定割合が含まれるかを判断する機能と、
を実現させる超音波撮像プログラム。
【請求項12】
コンピュータに、
被検体の撮像対象である撮像部位を設定する機能と、
超音波の3D撮像により収集された3D画像データに含まれる、前記撮像部位に対応する構造物の認識の確度により、前記3D画像データに、前記構造物の所定割合が含まれるかを判定する機能と、
前記3D画像データに、前記構造物の所定割合が含まれると判定された場合、前記3D撮像中にその旨を報知するか、又は、前記3D撮像を終了させる機能と、
前記3D画像データに含まれる、前記撮像部位を構成する部位要素に対応する構造物の認識の確度により、前記3D画像データに、前記部位要素に対応する構造物の所定割合が含まれるかを判定する機能と、
前記3D画像データに、前記部位要素に対応する構造物の所定割合が含まれると判断された場合、前記3D撮像の進捗度を算出する機能と、
を実現させる超音波撮像プログラム。
【請求項13】
コンピュータに、
被検体の撮像対象である撮像部位を設定する機能と、
超音波の3D撮像により収集された3D画像データに含まれる、前記撮像部位に対応する構造物の認識の確度により、前記3D画像データに、前記構造物の所定割合が含まれるかを判定する機能と、
前記3D画像データに、前記構造物の所定割合が含まれると判定された場合、前記3D撮像中にその旨を報知するか、又は、前記3D撮像を終了させる機能と、
前記3D画像データに、前記構造物の所定割合が含まれないと判定された場合であっても、前記3D画像データに、前記撮像部位に対応する構造物の所定割合の増分がないとき、前記3D撮像中にその旨を報知するか、又は、前記3D撮像を終了させる機能と、
を実現させる超音波撮像プログラム。
【請求項14】
コンピュータに、
被検体の撮像対象である撮像部位を設定する機能と、
超音波の3D撮像により収集された3D画像データに含まれる、前記撮像部位に対応する構造物の認識の確度により、前記3D画像データに、前記構造物の所定割合が含まれるかを判定する機能と、
前記3D画像データに、前記構造物の所定割合が含まれると判定された場合、前記3D撮像中にその旨を報知するか、又は、前記3D撮像を終了させる機能と、
前記3D画像データに、前記構造物の所定割合が含まれないと判定された場合であっても、前記3D画像データのサイズに増分がないとき、前記3D撮像中にその旨を報知するか、又は、前記3D撮像を終了させる機能と、
を実現させる超音波撮像プログラム。
【請求項15】
被検体の撮像対象である撮像部位を設定し、
超音波の3D撮像により収集された3D画像データに含まれる、前記撮像部位に対応する構造物の認識の確度により、前記3D画像データに、前記構造物の所定割合が含まれるかを判定し、
前記3D画像データに、前記構造物の所定割合が含まれると判定された場合、前記3D撮像中にその旨を報知するか、又は、前記3D撮像を終了させ、
過去の3D画像データに基づいて構造物の部位名に関する情報を生成する学習済みモデルに対して、前記被検体の前記3D画像データを入力することで、前記被検体の構造物の部位名に関する情報を生成し、
前記構造物の部位名の、前記撮像部位に対する確度に基づいて、前記3D画像データに、前記撮像部位に対応する構造物の所定割合が含まれるかを判断する、
超音波撮像方法。
【請求項16】
被検体の撮像対象である撮像部位を設定し、
超音波の3D撮像により収集された3D画像データに含まれる、前記撮像部位に対応する構造物の認識の確度により、前記3D画像データに、前記構造物の所定割合が含まれるかを判定し、
前記3D画像データに、前記構造物の所定割合が含まれると判定された場合、前記3D撮像中にその旨を報知するか、又は、前記3D撮像を終了させ、
前記3D画像データに含まれる、前記撮像部位を構成する部位要素に対応する構造物の認識の確度により、前記3D画像データに、前記部位要素に対応する構造物の所定割合が含まれるかを判定し、
前記3D画像データに、前記部位要素に対応する構造物の所定割合が含まれると判断された場合、前記3D撮像の進捗度を算出する、
超音波撮像方法。
【請求項17】
被検体の撮像対象である撮像部位を設定し、
超音波の3D撮像により収集された3D画像データに含まれる、前記撮像部位に対応する構造物の認識の確度により、前記3D画像データに、前記構造物の所定割合が含まれるかを判定し、
前記3D画像データに、前記構造物の所定割合が含まれると判定された場合、前記3D撮像中にその旨を報知するか、又は、前記3D撮像を終了させ、
前記3D画像データに、前記構造物の所定割合が含まれないと判定された場合であっても、前記3D画像データに、前記撮像部位に対応する構造物の所定割合の増分がないとき、前記3D撮像中にその旨を報知するか、又は、前記3D撮像を終了させる、
超音波撮像方法。
【請求項18】
被検体の撮像対象である撮像部位を設定し、
超音波の3D撮像により収集された3D画像データに含まれる、前記撮像部位に対応する構造物の認識の確度により、前記3D画像データに、前記構造物の所定割合が含まれるかを判定し、
前記3D画像データに、前記構造物の所定割合が含まれると判定された場合、前記3D撮像中にその旨を報知するか、又は、前記3D撮像を終了させ、
前記3D画像データに、前記構造物の所定割合が含まれないと判定された場合であっても、前記3D画像データのサイズに増分がないとき、前記3D撮像中にその旨を報知するか、又は、前記3D撮像を終了させる、
超音波撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、超音波診断装置、超音波撮像プログラム、及び超音波撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医用分野では、超音波プローブの複数の振動子(圧電振動子)を用いて発生させた超音波を利用して、被検体内部を画像化する超音波診断装置が使用されている。超音波診断装置は、超音波診断装置に接続された超音波プローブから被検体内に超音波を送信させ、反射波に基づくエコー信号を生成し、画像処理によって所望の超音波画像を得る。
【0003】
一般に、超音波画像の映像範囲(FOV:Field of View)は狭く、撮像対象である構造物の全体をFOVに含めることが困難な場合が多い。そのため、超音波プローブの位置を変えながら、構造物の全体に対する撮像が行われる場合がある。その際、構造物の全体の構造を容易に把握できるようにするため、3D(three-dimensional)撮像により収集された画像から立体パノラマ画像を合成する技術が広く知られている。
【0004】
また、収集された立体パノラマ画像の観察には、(複数の)断面を設定したMPR表示やボリュームレンダリング法が用いられることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-233418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、超音波プローブを操作する操作者の習熟度に依存することなく、超音波検査を簡便、かつ、効率的に実施させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る超音波診断装置は、設定部と、判定部と、終了支援部とを有する。設定部は、被検体の撮像対象である撮像部位を設定する。判定部は、超音波の3D(three-dimensional)撮像により収集された3D画像データに含まれる、撮像部位に対応する構造物の認識の確度により、3D画像データに、構造物の所定割合が含まれるかを判定する。終了支援部は、3D画像データに、構造物の所定割合が含まれると判定された場合、3D撮像中にその旨を報知するか、又は、3D撮像を終了させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す概略図。
図2図2は、実施形態に係る超音波診断装置の機能を示すブロック図。
図3図3は、実施形態に係る超音波診断装置の動作をフローチャートとして示す図。
図4図4は、実施形態に係る超音波診断装置における、第tフレームにおけるFOVを示す図。
図5図5は、実施形態に係る超音波診断装置における、第tフレームに係る3Dパノラマ画像データの表示例を示す図。
図6図6(A)は、実施形態に係る超音波診断装置における、学習時におけるデータフローの一例を示す説明図であり、図6(B)は、実施形態に係る超音波診断装置における、トレーニングデータの例を表として示す図。
図7図7は、実施形態に係る超音波診断装置における、運用時におけるデータフローの一例を示す説明図。
図8図8は、実施形態に係る超音波診断装置の第1の変形例の動作をフローチャートとして示す図。
図9図9は、実施形態に係る超音波診断装置の第1の変形例の動作をフローチャートとして示す図。
図10図10(A)は、実施形態に係る超音波診断装置における、学習時におけるデータフローの一例を示す説明図であり、図10(B)は、実施形態に係る超音波診断装置における、トレーニングデータの例を表として示す図。
図11図11は、実施形態に係る超音波診断装置における、運用時におけるデータフローの一例を示す説明図。
図12図12は、実施形態に係る超音波診断装置における、3Dパノラマ撮像の進捗度の表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、超音波診断装置、超音波撮像プログラム、及び超音波撮像方法の実施形態について詳細に説明する。
【0010】
1.実施形態
図1は、実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す概略図である。
【0011】
図1は、実施形態に係る超音波診断装置10を示す。また、図1は、超音波プローブ20、入力インターフェース30、及びディスプレイ40を示す。なお、超音波診断装置10に、超音波プローブ20、入力インターフェース30、及びディスプレイ40のうちの少なくとも1個を加えた装置を超音波診断装置と称する場合もある。以下の説明では、超音波診断装置10の外部に、超音波プローブ20、入力インターフェース30、及びディスプレイ40の全てが備えられる場合について説明する。
【0012】
超音波診断装置10は、コンピュータとしての構成を備える。また、超音波診断装置10は、送受信回路11、Bモード処理回路12、ドプラ処理回路13、画像生成回路14、画像メモリ15、ネットワークインターフェース16、処理回路17、及びメインメモリ18を備える。回路11~14は、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)等によって構成されるものである。しかしながら、その場合に限定されるものではなく、回路11~14の機能の全部又は一部は、処理回路17がプログラムを実行することで実現されるものであってもよい。
【0013】
送受信回路11は、送信回路及び受信回路(図示省略)を有する。送受信回路11は、処理回路17による制御の下、超音波の送受信における送信指向性と受信指向性とを制御する。なお、送受信回路11が超音波診断装置10に設けられる場合について説明するが、送受信回路11は、超音波プローブ20に設けられてもよいし、超音波診断装置10及び超音波プローブ20の両方に設けられてもよい。なお、送受信回路11は、送受信部の一例である。
【0014】
送信回路は、パルス発生回路、送信遅延回路、及びパルサ回路等を有し、超音波振動子に駆動信号を供給する。パルス発生回路は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。送信遅延回路は、超音波プローブ20の超音波振動子から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルス発生回路が発生する各レートパルスに対し与える。また、パルサ回路は、レートパルスに基づくタイミングで、超音波振動子に駆動パルスを印加する。送信遅延回路は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面から送信される超音波ビームの送信方向を任意に調整する。
【0015】
受信回路は、アンプ回路、A/D(Analog to Digital)変換器、及び加算器等を有し、超音波振動子が受信したエコー信号を受け、このエコー信号に対して各種処理を行ってエコーデータを生成する。アンプ回路は、エコー信号をチャンネル毎に増幅してゲイン補正処理を行う。A/D変換器は、ゲイン補正されたエコー信号をA/D変換し、デジタルデータに受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与える。加算器は、A/D変換器によって処理されたエコー信号の加算処理を行ってエコーデータを生成する。加算器の加算処理により、エコー信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。
【0016】
Bモード処理回路12は、処理回路17による制御の下、受信回路からエコーデータを受信し、対数増幅、及び包絡線検波処理等を行って、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(2D又は3Dデータ)を生成する。このデータは、一般に、Bモードデータと呼ばれる。なお、Bモード処理回路12は、Bモード処理部の一例である。
【0017】
なお、Bモード処理回路12は、フィルタ処理により、検波周波数を変化させることで、画像化する周波数帯域を変えることができる。Bモード処理回路12のフィルタ処理機能を用いることにより、コントラストハーモニックイメージング(CHI:Contrast Harmonic Imaging)や、ティッシュハーモニックイメージング(THI:Tissue Harmonic Imaging)等のハーモニックイメージングを実行可能である。すなわち、Bモード処理回路12は、造影剤が注入された被検体の反射波データから、造影剤(微小気泡、バブル)を反射源とするハーモニック成分の反射波データ(高調波データ又は分周波データ)と、被検体内の組織を反射源とする基本波成分の反射波データ(基本波データ)とを分離することができる。Bモード処理回路12は、また、ハーモニック成分の反射波データ(受信信号)から、造影画像データを生成するためのBモードデータを生成することができ、また、基本波成分の反射波データ(受信信号)から、基本波(ファンダメンタル)画像データを生成するためのBモードデータを生成することができる。
【0018】
ドプラ処理回路13は、処理回路17による制御の下、受信回路からのエコーデータから速度情報を周波数解析し、平均速度、分散、パワー等の移動体の移動情報を多点について抽出したデータ(2D又は3Dデータ)を生成する。このデータは、一般に、ドプラデータと呼ばれる。ここで、移動体とは、例えば、血流や、心壁等の組織、造影剤である。なお、ドプラ処理回路13は、ドプラ処理部の一例である。
【0019】
画像生成回路14は、処理回路17による制御の下、超音波プローブ20が受信したエコー信号に基づいて、所定の輝度レンジで表現された超音波画像データを生成する。例えば、画像生成回路14は、超音波画像データとして、Bモード処理回路12によって生成された2DのBモードデータから反射波の強度を輝度にて表した2DのBモード画像データを生成する。また、画像生成回路14は、超音波画像として、ドプラ処理回路13によって生成された2Dのドプラデータから移動態情報を表す平均速度画像、分散画像、パワー画像、又は、これらの組み合わせ画像としての2Dのカラードプラ画像データを生成する。以下、2DのBモード画像データや、2Dのカラードプラ画像データ等の2Dの超音波画像データを、単に「2D画像データ」と呼ぶ。
【0020】
ここで、画像生成回路14は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の画像データを生成する。具体的には、画像生成回路14は、超音波プローブ20による超音波の走査形態に応じて座標変換を行なうことで、表示用の画像データを生成する。また、画像生成回路14は、スキャンコンバート以外に、種々の画像処理として、例えば、スキャンコンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行なう。また、画像生成回路14は、超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成する。
【0021】
すなわち、Bモードデータ及びドプラデータは、スキャンコンバート処理前の画像データであり、画像生成回路14が生成するデータは、スキャンコンバート処理後の表示用の画像データである。なお、Bモードデータ及びドプラデータは、生データ(Raw Data)とも呼ばれる。画像生成回路14は、スキャンコンバート処理前の2D画像データから、表示用の2D画像データを生成する。
【0022】
更に、画像生成回路14は、Bモード処理回路12によって生成された3DのBモードデータに対して座標変換を行なうことで、3DのBモード画像データを生成する。また、画像生成回路14は、ドプラ処理回路13によって生成された3Dのドプラデータに対して座標変換を行なうことで、3Dのドプラ画像データを生成する。画像生成回路14は、3DのBモード画像データや3Dドプラ画像データを3Dの超音波画像データ(ボリュームデータ)として生成する。以下、3DのBモード画像データや、3Dのカラードプラ画像データ等の3Dの超音波画像データを、後述する「3D合成画像データ」と区別するために、「3D元画像データ」と呼ぶ。「3D合成画像データ」も「3D元画像データ」も、「3D画像データ」の一種である。
【0023】
さらに、画像生成回路14は、3D画像データをディスプレイ40にて表示するための各種の2D画像データを生成するために、3D画像データに対してレンダリング処理を行なう。また、画像生成回路14は、レンダリング処理として、例えば、3Dの情報を反映した2D画像データを生成するボリュームレンダリング(VR:Volume Rendering)処理を行う。また、画像生成回路14は、断面再構成法(MPR:Multi Planer Reconstruction)を行なって3D画像データからMPR画像データを生成する処理を行う。ステレオ視等によりレンダリング画像の立体視を行う場合には、画像生成回路14において、異なる複数の視点からレンダリング処理を行う。なお、画像生成回路14は、画像生成部の一例である。
【0024】
画像メモリ15は、1フレーム当たり2軸方向に複数のメモリセルを備え、それを複数フレーム分備えたメモリである2次元メモリを含む。画像メモリ15としての2次元メモリは、処理回路17の制御による制御の下、画像生成回路14によって生成された1フレーム、又は、複数フレームに係る2D画像データを記憶する。なお、画像メモリ15は、記憶部の一例である。
【0025】
画像生成回路14は、処理回路17による制御の下、画像メモリ15としての2次元メモリに配列された2D画像データに対し、必要に応じて補間処理を行う3次元再構成を行うことで、画像メモリ15としての3次元メモリ内に2D画像データを3D画像データとして生成する。補間処理方法としては、公知の技術が用いられる。
【0026】
画像メモリ15は、3軸方向(X軸、Y軸、及びZ軸方向)に複数のメモリセルを備えたメモリである3次元メモリを含む場合もある。画像メモリ15としての3次元メモリは、処理回路17の制御による制御の下、画像生成回路14によって生成された2D画像データを3D画像データとして記憶する。
【0027】
ネットワークインターフェース16は、ネットワークの形態に応じた種々の情報通信用プロトコルを実装する。ネットワークインターフェース16は、この各種プロトコルに従って、超音波診断装置10と、外部の医用画像管理装置60及び医用画像処理装置70等の他の機器とを接続する。この接続には、電子ネットワークを介した電気的な接続等を適用することができる。ここで、電子ネットワークとは、電気通信技術を利用した情報通信網全般を意味し、無線/有線の病院基幹のLAN(Local Area Network)やインターネット網のほか、電話通信回線網、光ファイバ通信ネットワーク、ケーブル通信ネットワーク及び衛星通信ネットワーク等を含む。
【0028】
また、ネットワークインターフェース16は、非接触無線通信用の種々のプロトコルを実装してもよい。この場合、超音波診断装置10は、例えば超音波プローブ20と、ネットワークを介さず直接にデータ送受信することができる。なお、ネットワークインターフェース16は、ネットワーク接続部の一例である。
【0029】
処理回路17は、専用又は汎用のCPU(central processing unit)、MPU(micro processor unit)、又はGPU(Graphics Processing Unit)の他、ASIC、及び、プログラマブル論理デバイス等を意味する。プログラマブル論理デバイスとしては、例えば、単純プログラマブル論理デバイス(SPLD:simple programmable logic device)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD:complex programmable logic device)、及び、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)等が挙げられる。
【0030】
また、処理回路17は、単一の回路によって構成されてもよいし、複数の独立した回路要素の組み合わせによって構成されてもよい。後者の場合、メインメモリ18は回路要素ごとに個別に設けられてもよいし、単一のメインメモリ18が複数の回路要素の機能に対応するプログラムを記憶するものであってもよい。なお、処理回路17は、処理部の一例である。
【0031】
メインメモリ18は、RAM(random access memory)、フラッシュメモリ(flash memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等によって構成される。メインメモリ18は、USB(universal serial bus)メモリ及びDVD(digital video disk)等の可搬型メディアによって構成されてもよい。メインメモリ18は、処理回路17において用いられる各種処理プログラム(アプリケーションプログラムの他、OS(operating system)等も含まれる)や、プログラムの実行に必要なデータを記憶する。また、OSに、操作者に対するディスプレイ40への情報の表示にグラフィックを多用し、基礎的な操作を入力インターフェース30によって行うことができるGUI(graphical user interface)を含めることもできる。なお、メインメモリ18は、記憶部の一例である。
【0032】
超音波プローブ20は、前面部に複数個の微小な振動子(圧電素子)を備え、撮像部位を含む領域に対して超音波の送受波を行う。各振動子は電気音響変換素子であり、送信時には電気パルスを超音波パルスに変換し、また、受信時には反射波を電気信号(受信信号)に変換する機能を有する。超音波プローブ20は小型、軽量に構成されており、ケーブル(又は無線通信)を介して超音波診断装置10に接続される。
【0033】
超音波プローブ20は、スキャン方式の違いにより、リニア型、コンベックス型、及びセクタ型等の種類に分けられる。また、超音波プローブ20は、アレイ配列次元の違いにより、アジマス方向に1次元(1D)的に複数個の振動子が配列された1Dアレイプローブと、アジマス方向かつエレベーション方向に2次元(2D)的に複数個の振動子が配列された2Dアレイプローブとの種類に分けられる。なお、1Dアレイプローブは、エレベーション方向に少数の振動子が配列されたプローブを含む。
【0034】
ここで、パノラミックスキャン等の3D撮像が実行される場合、超音波プローブ20として、リニア型、コンベックス型、及びセクタ型等のスキャン方式を備えた2Dアレイプローブが利用される。又は、3D撮像が実行される場合、超音波プローブ20として、リニア型、コンベックス型、及びセクタ型等のスキャン方式を備え、エレベーション方向に機械的に揺動する機構を備えた1Dプローブが利用される。後者のプローブは、メカ4Dプローブとも呼ばれる。
【0035】
入力インターフェース30は、操作者によって操作が可能な入力デバイスと、入力デバイスからの信号を入力する入力回路とを含む。入力デバイスは、トラックボール、スイッチ、マウス、キーボード、操作面に触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力デバイス、及び音声入力デバイス等によって実現される。操作者により入力デバイスが操作されると、入力回路はその操作に応じた信号を生成して処理回路17に出力する。なお、入力インターフェース30は、入力部の一例である。
【0036】
ディスプレイ40は、例えば液晶ディスプレイやOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等の一般的な表示出力装置により構成される。ディスプレイ40は、処理回路17の制御に従って各種情報を表示する。画像生成回路14において複数視点からのレンダリング処理を行ってステレオ視等を行う場合、ディスプレイ40は偏向板やアクティブシャッター等を用いた3Dディスプレイ、レンチキュラーレンズ等を用いた裸眼3Dディスプレイ、メガネやゴーグル等の形状を持つウェアラブルディスプレイ等を用いる。なお、ディスプレイ40は、表示部の一例である。
【0037】
また、図1は、超音波診断装置10の外部機器である医用画像管理装置60及び医用画像処理装置70を示す。医用画像管理装置60は、例えば、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)サーバであり、ネットワークNを介してデータ送受信可能に超音波診断装置10等の機器に接続される。医用画像管理装置60は、超音波診断装置10によって生成された超音波画像等の医用画像をDICOMファイルとして管理する。
【0038】
医用画像処理装置70は、ネットワークNを介してデータ送受信可能に超音波診断装置10や医用画像管理装置60等の機器に接続される。医用画像処理装置70としては、例えば、超音波診断装置10によって生成された超音波画像に対して各種画像処理を施すワークステーションや、タブレット端末等の携帯型情報処理端末等が挙げられる。なお、医用画像処理装置70はオフラインの装置であって、超音波診断装置10によって生成された超音波画像を可搬型の記憶媒体を介して読み出し可能な装置であってもよい。
【0039】
続いて、超音波診断装置10の機能について説明する。
【0040】
図2は、超音波診断装置10の機能を示すブロック図である。
【0041】
処理回路17は、メインメモリ18に記憶された、又は、処理回路17内に直接組み込まれたプログラムを読み出して実行することで、設定機能171、画像収集機能172、画像合成機能173、判定機能174、終了支援機能175、及び送信制御機能176を実現する。以下、機能171~176がソフトウェア的に機能する場合を例に挙げて説明するが、機能171~176の全部又は一部は、超音波診断装置10にASIC等の回路等として設けられるものであってもよい。
【0042】
設定機能171は、撮像対象としての撮像部位を設定する。例えば、設定機能171は、操作者が入力インターフェース30を介して入力した入力信号に従って、心臓、胎児、肝臓、及び腎臓等の撮像部位を設定する。又は、設定機能171は、外部装置(例えば、MWM(Modality Worklist Management)サーバ)から送信される検査オーダに含まれる検査部位を撮像部位として設定してもよい。なお、設定機能171は、設定部の一例である。
【0043】
画像収集機能172は、送受信回路11、Bモード処理回路12、ドプラ処理回路13、及び画像生成回路14等を制御して、超音波プローブ20を用いた3D撮像を実行させて3D元画像データを収集する機能を含む。3D元画像データは、3D画像データの一種である。なお、画像収集機能172は、画像収集部の一例である。
【0044】
画像合成機能173は、画像収集機能172によって収集された複数の3D元画像データから3Dの超音波合成画像データ(以下、単に、「3D合成画像データ」という)を合成する機能を含む。3D合成画像データは、3D画像データの一種である。なお、画像合成機能173は、画像合成部の一例である。
【0045】
判定機能174は、3D画像データに含まれる、撮像部位に対応する構造物の認識の確度(3D画像データから認識された構造物が示す部位の、設定された撮像部位らしさ)により、3D画像データに、撮像部位に対応する構造物の所定割合が含まれるかを判定する機能を含む。つまり、判定機能174は、画像収集機能172によって収集された3D元画像データ、又は、画像合成機能173によって合成された3D合成画像データに、撮像部位に対応する構造物の所定割合が含まれるかを判定する機能を含む。なお、所定割合は、閾値であり、予め任意に設定できるものとする。また、判定機能174は、撮像部位ごとに、所定割合を変えて設定することもできる。
【0046】
ここで、撮像部位は、心臓、肝臓、及び腎臓等の臓器の他、胎児をも含み得る。なお、判定機能174は、判定部の一例である。
【0047】
終了支援機能175は、判定機能174により3D画像データに、撮像部位に対応する構造物の所定割合が含まれると判定された場合、3D撮像中にその旨を報知するか、又は、3D撮像を終了させる機能を含む。例えば、終了支援機能175は、撮像部位の所定範囲が画像化されたと判定された場合、3D撮像中に撮像の終了を促す情報をディスプレイ40に表示させることもできるし、その情報をスピーカ(図示省略)から発声させることもできる。なお、終了支援機能175は、終了支援部の一例である。また、終了支援機能175は、撮像部位ごとに、終了支援機能の要否を設定することもできる。
【0048】
送信制御機能176は、3D画像データを、ネットワークインターフェース16を介して、予め設定された外部装置に逐次送信する機能を含む。つまり、送信制御機能176は、画像収集機能172によって収集された3D元画像データ、又は、画像合成機能173によって合成された3D合成画像データを、ネットワークインターフェース16を介して外部装置に逐次送信する機能を含む。これにより、当該外部装置を使って、3D画像データに描画される、構造物の割合を参照することができる。
【0049】
機能171~176の詳細については、図3図12を用いて説明する。
【0050】
続いて、超音波診断装置10の動作について説明する。
【0051】
図3は、超音波診断装置10の動作をフローチャートとして示す図である。図3において、「ST」に数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
【0052】
図3において、画像合成機能173が、画像収集機能172によって収集された複数の3D元画像データから、3D合成画像データとしての3D(立体)パノラマ画像データを合成し、判定機能174が、3Dパノラマ画像データに、撮像部位に対応する構造物の所定割合が含まれるかを判定する場合について説明する。その場合、画像合成機能173は、複数の3D元画像データ(動画像フレーム列)を超音波プローブ20の移動操作に応じて相互に接続する。画像合成機能173は、動画像フレーム列の指定部分を接続することで3Dパノラマ画像データを合成する。
【0053】
まず、設定機能171は、撮像対象としての撮像部位を設定する(ステップST1)。例えば、設定機能171は、ステップST1において、操作者が入力インターフェース30を介して入力した指定指示に従って撮像部位を設定する。
【0054】
画像収集機能172は、送受信回路11、Bモード処理回路12、ドプラ処理回路13、及び画像生成回路14等を制御して、超音波プローブ20を用いた超音波の3Dパノラマ撮像を開始させる(ステップST2)。3Dパノラマ撮像は、3D撮像の一種である。画像収集機能172は、画像生成回路14等を制御して、第tフレームに係る3D元画像データを生成して画像メモリ15に記憶させる(ステップST3)。また、画像収集機能172は、ステップST3によって生成された第tフレームに係る3D元画像データをディスプレイ40にライブ表示させる(ステップST4)。
【0055】
図4は、第tフレームにおけるFOVを示す図である。図4(A)は、超音波プローブ20と、t=t1、即ち、第t1フレームに係る3D元画像データのFOV_k1とを示す。図4(B)は、超音波プローブ20と、t=t2、即ち、第t2フレームに係る3D元画像データのFOV_k2とを示す。図4(C)は、超音波プローブ20と、t=t3、即ち、第t3フレームに係る3D元画像データのFOV_k3とを示す。
【0056】
図4(A)~(C)に示すように、FOVは狭く、FOVに撮像部位Uに対応する構造物の全体をFOV内に画像化することは困難な場合がある。そのため、図4(A)~(C)に示すように、超音波プローブ20の位置を変えながら、撮像部位Uに対応する構造物の全体に対するパノラマ3D撮像が行われる。
【0057】
図3の説明に戻って、画像合成機能173は、ステップST3によって画像メモリ15に記憶された第tフレームまでの複数の3D元画像データに基づいて、第tフレームに係る3Dパノラマ画像データを合成する(ステップST5)。また、画像合成機能173は、ステップST5によって合成された第tフレームに係る3Dパノラマ画像データをディスプレイ40に表示させる(ステップST6)。
【0058】
図5は、第tフレームに係る3Dパノラマ画像データの表示例を示す図である。図5(A)は、第t1フレームに係る3Dパノラマ画像データを示す。図5(B)は、第t2フレームに係る3Dパノラマ画像データを示す。図5(C)は、第t3フレームに係る3Dパノラマ画像データを示す。
【0059】
図5(B)に示すように、第t2フレームに係る3Dパノラマ画像データ(例えば、MPR表示)は、第t2フレームまでに生成及び記憶されている第t1フレーム及び第t2フレームに係る3D元画像データに基づいて生成される。また、図5(C)に示すように、第t3フレームに係る3Dパノラマ画像データは、第t3フレームまでに生成及び記憶されている第t1フレーム、第t2フレーム、及び第t3フレームに係る3D元画像データに基づいて生成される。
【0060】
図3の説明に戻って、判定機能174は、ステップST6によって合成された3Dパノラマ画像データに含まれる、撮像部位に対応する構造物の認識の確度により、3Dパノラマ画像データに、撮像部位に対応する構造物の所定割合が含まれるかを判定する(ステップST7,ST8)。
【0061】
まず、判定機能174は、ステップST6によって合成された3Dパノラマ画像データに含まれる、撮像部位に対応する構造物の認識の確度を求めるために、3Dパノラマ画像データに含まれる構造物の部位名に関する情報を生成する(ステップST7)。
【0062】
ステップST7において、判定機能174は、第tフレームに係る3Dパノラマ画像データに基づいて、3Dパノラマ画像データに含まれる構造物の部位名に関する情報を生成する処理を行うものである。この処理には、例えば、各種部位に対応する構造物全体を含む3D画像データ(過去画像)と、構造物の部位名とを関連付けたルックアップテーブル(LUT)が用いられてもよい。また、この処理には、機械学習が用いられてもよい。機械学習を用いる場合、判定機能174は、例えば、部位に対応する構造物全体を含む3D画像データから特徴量を求め、その特徴量について、予め3D画像データを正解データとして学習した辞書とSVM(サポートベクターマシン)等で照合して算出した尤度を撮像部位として出力してもよい。また、機械学習としてCNN(畳み込みニューラルネットワーク)や畳み込み深層信念ネットワーク(CDBN:Convolutional Deep Belief Network)などの、多層のニューラルネットワークを用いた深層学習を用いてもよい。
【0063】
以下の説明では、判定機能174がニューラルネットワークNAを含み、深層学習を用いて、第tフレームに係る3Dパノラマ画像データに基づいて、パノラマ画像データに含まれる構造物の部位名を生成する場合の例を示す。
【0064】
図6(A)は、判定機能174の学習時におけるデータフローの一例を示す説明図である。図6(B)は、トレーニングデータの例を表として示す図である。図7は、判定機能174の運用時におけるデータフローの一例を示す説明図である。
【0065】
図6(A)に示すように、判定機能174は、トレーニングデータが多数入力されて学習を行うことにより、パラメータデータPAを逐次的に更新する。トレーニングデータは、トレーニング入力データ群Fを構成するトレーニング入力データと、トレーニング出力データ群Gを構成するトレーニング出力データとの組みからなる。そして、トレーニング入力データ群Fは、部位に対応する構造物全体を含む3D画像データ(過去画像)F1,F2,F3,…を含み、トレーニング出力データ群Gは、構造物の部位名G1,G2,G3,…を含む。
【0066】
判定機能174は、トレーニングデータが入力されるごとに、3D画像データF1,F2,F3,…をニューラルネットワークNAで処理した構造物の部位名G1,G2,G3,…に近づくようにパラメータデータPAを更新していく、いわゆる学習を行う。一般に、パラメータデータPAの変化割合が閾値以内に収束すると、学習は終了と判断される。以下、学習後のパラメータデータPAを特に学習済みパラメータデータPA´(図7に図示)という。
【0067】
図7に示すように、運用時には、判定機能174は、第tフレームに係る3Dパノラマ画像データをニューラルネットワークNAに入力し、学習済みパラメータデータPA´を用いて構造物の部位名を出力する。
【0068】
なお、ニューラルネットワークNAと学習済みパラメータデータPA´は、学習済みモデル19Aを構成する。ニューラルネットワークNAは、プログラムの形態でメインメモリ18に記憶される。学習済みパラメータデータPA´は、メインメモリ18に記憶されてもよいし、ネットワークを介して超音波診断装置10と接続された記憶媒体に記憶されてもよい。この場合、処理回路17のプロセッサにより実現される、処理部の一例としての判定機能174は、メインメモリ18から学習済みモデル19Aを読み出して実行することで、第tフレームに係る3Dパノラマ画像データに基づいて、構造物の部位名に関する情報を生成する。なお、学習済みモデル19Aは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路によって構築されてもよい。
【0069】
なお、判定機能174を含む学習済みモデル19Aが出力する被検体の構造物の部位名は、例えば、各部位名の可能性をパーセント(確度)で示すデータ(例えば、心臓:x%、肝臓:y%)であってもよい。
【0070】
また、判定機能174による構造物の部位名の精度を向上させるよう、入力データとして、3D画像データF1,F2,F3,…に加え、患者の身長、体重、既往歴、及び血縁者の病歴の少なくとも1つを含む識別情報を用いてもよい。また、複数の撮像部位が存在する場合は、撮像部位ごとにニューラルネットワークを構成してもよい。
【0071】
図3の説明に戻って、判定機能174は、ステップST7によって生成された構造物の部位名の、ステップST1によって設定された撮像部位に対する確度に基づいて、ステップST6によって生成された第tフレームに係る3Dパノラマ画像データに、撮像部位に対応する構造物の所定割合が含まれるか否かを判断する(ステップST8)。例えば、判定機能174は、ステップST7によって生成された構造物の部位名の、撮像部位に対する確度が90%以上である場合に、3Dパノラマ画像データに、撮像部位に対応する構造物の100%(全体)が含まれると判断する。
【0072】
ステップST8の判断にてNO、即ち、第tフレームに係る3Dパノラマ画像データに、撮像部位に対応する構造物の所定割合が含まれていないと判断された場合、画像収集機能172は、画像生成回路14等を制御して、次のフレームについて、3D元画像データを生成して画像メモリ15に記憶させる(ステップST3)。つまり、3Dパノラマ撮像が継続される。なお、第tフレームに係る3Dパノラマ画像データに、撮像部位に対応する構造物の所定割合が含まれていないと判断された場合とは、撮像範囲が未だ狭い場合に起因する他、患者が疾患を抱えている場合も考えられる。その場合、終了支援機能175は、当該撮像部位名をディスプレイ40に強調表示させることもできる。
【0073】
一方で、ステップST8の判断にてYES、即ち、第tフレームに係る3Dパノラマ画像データに、撮像部位に対応する構造物の所定割合が含まれると判断された場合、終了支援機能175は、ステップST2によって開始された3Dパノラマ撮像を強制的に終了させる(ステップST9)。なお、3Dパノラマ画像データに、撮像部位に対応する構造物の所定割合が含まれると判断された場合、終了支援機能175は、3Dパノラマ撮像中にその旨を報知してもよい。その場合、操作者が入力インターフェース30を介して入力した終了指示に従って、3Dパノラマ撮像を終了させる。
【0074】
超音波診断装置10によれば、超音波プローブ20を操作する操作者の習熟度に依存することなく、超音波検査の終了のタイミングを操作者に提示することができる。
【0075】
2.第1の変形例
以上では、撮像部位の全体を認識するディープニューラルネットを用いて、撮像部位に対応する構造物を画像化するための3D撮像を終了させるべきかを判断する構成について説明した。しかしながら、その場合に限定されるものではない。ここでは、撮像部位を構成する各部位要素に対応する構造物を個別に認識するディープニューラルネットを用いてもよい。
【0076】
部位要素とは、例えば撮像部位が心臓である場合の弁(僧帽弁、三尖弁、大動脈弁)、中隔、心房(右/左)、心室(右/左)、及びそれらの組み合わせを意味する。また、部位要素とは、例えば、撮像部位が胎児である場合の頭部、上肢(右/左)、トルソ、大腿部、下肢(右/左)、及びそれらの組み合わせを意味する。
【0077】
続いて、超音波診断装置10の第1の変形例の動作について説明する。
【0078】
図8及び図9は、超音波診断装置10の第1の変形例の動作をフローチャートとして示す図である。図8及び図9において、「ST」に数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。なお、図8において、図3と同一ステップには同一符号を付して説明を省略する。
【0079】
ステップST8の判断にてNO、即ち、第tフレームに係る3Dパノラマ画像データに、撮像部位に対応する構造物の所定割合が含まれていないと判断された場合、判定機能174は、ステップST6によって合成された3Dパノラマ画像データに含まれる、部位要素に対応する構造物の認識の確度により、3Dパノラマ画像データに、部位要素に対応する構造物の所定割合が含まれるかを判定する(ステップST11,ST12)。
【0080】
まず、判定機能174は、ステップST6によって合成された3Dパノラマ画像データに含まれる、部位要素に対応する構造物の認識の確度を求めるために、3Dパノラマ画像データに含まれる構造物の部位要素名に関する情報を生成する(ステップST11)。
【0081】
ステップST11において、判定機能174は、第tフレームに係る3Dパノラマ画像データに基づいて、3Dパノラマ画像データに含まれる構造物の部位要素名に関する情報を生成する処理を行うものである。以下の説明では、判定機能174がニューラルネットワークNBを含み、深層学習を用いて、第tフレームに係る3Dパノラマ画像データに基づいて、パノラマ画像データに含まれる構造物の部位要素名を生成する場合の例を示す。
【0082】
図10(A)は、判定機能174の学習時におけるデータフローの一例を示す説明図である。図10(B)は、トレーニングデータの例を表として示す図である。図11は、判定機能174の運用時におけるデータフローの一例を示す説明図である。
【0083】
図10(A)に示すように、判定機能174は、トレーニングデータが多数入力されて学習を行うことにより、パラメータデータPBを逐次的に更新する。トレーニングデータは、トレーニング入力データ群Hを構成するトレーニング入力データと、トレーニング出力データ群Jを構成するトレーニング出力データとの組みからなる。そして、トレーニング入力データ群Hは、部位要素に対応する構造物全体を含む3D画像データ(過去画像)H1,H2,H3,…を含み、トレーニング出力データ群Jは、構造物の部位要素名J1,J2,J3,…を含む。
【0084】
判定機能174は、トレーニングデータが入力されるごとに、3D画像データH1,H2,H3,…をニューラルネットワークNBで処理した構造物の部位要素名J1,J2,J3,…に近づくようにパラメータデータPBを更新していく、いわゆる学習を行う。一般に、パラメータデータPBの変化割合が閾値以内に収束すると、学習は終了と判断される。以下、学習後のパラメータデータPAを特に学習済みパラメータデータPB´(図11に図示)という。
【0085】
図11に示すように、運用時には、判定機能174は、第tフレームに係る3Dパノラマ画像データをニューラルネットワークNBに入力し、学習済みパラメータデータPB´を用いて構造物の部位要素名を出力する。
【0086】
なお、ニューラルネットワークNBと学習済みパラメータデータPB´は、学習済みモデル19Bを構成する。ニューラルネットワークNBは、プログラムの形態でメインメモリ18に記憶される。学習済みパラメータデータPB´は、メインメモリ18に記憶されてもよいし、ネットワークを介して超音波診断装置10と接続された記憶媒体に記憶されてもよい。この場合、処理回路17のプロセッサにより実現される、処理部の一例としての判定機能174は、メインメモリ18から学習済みモデル19Bを読み出して実行することで、第tフレームに係る3Dパノラマ画像データに基づいて、構造物の部位要素名に関する情報を生成する。なお、学習済みモデル19Bは、ASIC、FPGA等の集積回路によって構築されてもよい。
【0087】
なお、判定機能174を含む学習済みモデル19Bが出力する被検体の構造物の部位要素名は、例えば、各部位要素名の可能性をパーセント(確度)で示すデータ(例えば、弁:x%、弁・中隔:y%)であってもよい。
【0088】
図9の説明に戻って、判定機能174は、ステップST11によって生成された構造物の部位要素名の、ステップST1によって設定された撮像部位を構成する部位要素に対する確度に基づいて、ステップST6によって生成された第tフレームに係る3Dパノラマ画像データに、部位要素に対応する構造物の所定割合が含まれるか否かを判断する(ステップST12)。例えば、判定機能174は、ステップST11によって生成された構造物の部位要素名の、部位要素に対する確度が90%以上である場合に、3Dパノラマ画像データに、部位要素に対応する構造物の100%(全体)が含まれると判断する。
【0089】
なお、撮像部位を構成する部位要素は、予め撮像部位に対応付けておけばよい。例えば、撮像部位として「心臓」が設定された場合は、部位要素として、弁、中隔、心房、心室、及びそれらの組み合わせが抽出される。
【0090】
ステップST12の判断にてNO、即ち、第tフレームに係る3Dパノラマ画像データに、部位要素に対応する構造物の所定割合が含まれていないと判断された場合、画像収集機能172は、画像生成回路14等を制御して、次のフレームについて、3D元画像データを生成して画像メモリ15に記憶させる(ステップST3)。つまり、3Dパノラマ撮像が継続される。
【0091】
一方で、ステップST12の判断にてYES、即ち、第tフレームに係る3Dパノラマ画像データに、部位要素に対応する構造物の所定割合が含まれると判断された場合、終了支援機能175は、3Dパノラマ撮像の進捗度を算出する(ステップST13)。3Dパノラマ撮像の進捗度は、部位要素としての弁の全体が含まれている場合は「10%」と、部位要素としての弁及び中隔の全体が含まれている場合は「45%」と、部位要素としての弁、中隔、及び心房の全体が含まれている場合は「80%」と予め設定さていればよい。
【0092】
終了支援機能175は、ステップST13によって算出された3Dパノラマ撮像の進捗度をディスプレイに表示させる(ステップST14)。3Dパノラマ進捗度の表示は、プログレスバー等を用いて操作者に示すことができる。また、進捗度は、音声情報として操作者にフィードバックすることもできる。
【0093】
図12は、3Dパノラマ撮像の進捗度の表示例を示す図である。図12(A)は、第t1フレームに係るパノラマ画像を示し、図12(B)は、第t2フレームに係るパノラマ画像を示す。
【0094】
図12(A),(B)に示すように、3Dパノラマ撮像の進捗度は、図5に示す表示画面上に示されればよい。3Dパノラマ進捗度の表示は、プログレスバーIを用いて操作者に示すことができる。図12(A)は、例えば、撮像部位が「心臓」である場合の、部位要素「弁及び中隔」の全体が撮像された時点における進捗度「45%」の表示を示す。図12(B)は、例えば、撮像部位が「心臓」である場合の、部位要素「弁、中隔、及び心房」の全体が撮像された時点における進捗度「80%」の表示を示す。
【0095】
超音波診断装置10の第1の変形例によれば、超音波プローブ20を操作する操作者の習熟度に依存することなく、3D撮像の進捗度を提示しつつ、3D撮像の終了のタイミングを操作者に提示することができる。
【0096】
3.第2の変形例
3Dパノラマ画像データに、撮像部位に対応する構造物の所定割合が含まれる場合に、3Dパノラマ撮像を強制的に終了させる場合について説明した。しかし、その場合に限定されるものではない。終了支援機能175は、3Dパノラマ画像データに、撮像部位に対応する構造物の所定割合が含まれない場合であっても、[1]3Dパノラマ撮像の開始からの経過時間が予め定められた一定値を超えたとき、[2]3Dパノラマ画像データに、撮像部位に対応する構造物の所定割合の増分がないとき、[3]3D画像データのサイズに増分がないとき、の少なくとも1つの条件を満たせば、3Dパノラマ撮像を強制的に終了させてもよい。
【0097】
上記条件[1]について説明する。操作者が超音波プローブ20の操作に手間取り、撮像部位ごとに予め定められた時間を経過しても操作を終了できていない場合には、半ば強制的に3Dパノラマ撮像を終了させるように構成してもよい。つまり、終了支援機能175は、3Dパノラマ画像データに、構造物の所定割合が含まれないと判定機能174により判定された場合であっても、3Dパノラマ撮像の開始からの経過時間が予め定められた一定値を超えたとき、3Dパノラマ撮像中にその旨を報知するか、又は、3Dパノラマ撮像を終了させる。終了支援機能175は、撮像部位ごとに、タイマ機能の要否を設定することもできる。
【0098】
終了支援機能175は、初期設定としてタイマ時間を設定しておき、3Dパノラマ撮像の開始よりタイマ動作を開始させる。通常、操作者が所定時間内に3Dパノラマ撮像を終了させた場合には、終了支援機能175は、画像収集機能172よりタイマ機能の停止に必要なメッセージ情報を受信する。
【0099】
しかし、終了支援機能175は、所定時間内に3Dパノラマ撮像を終了していない場合には、アラーム通知等を行う。そして、終了支援機能175は、3Dパノラマ撮像、信号、画像処理、3Dパノラマ画像の合成処理等の動作を終了させると共に、操作者に対して動作を終了させた旨を通知するためのメッセージ表示、又は、音声通知を行う。また、終了支援機能175は、超音波プローブ20による撮像方向の変更や、患者に体位の変更を促すためのメッセージ表示、又は、音声通知を行うこともできる。
【0100】
なお、途中まで合成された3Dパノラマ画像データを保存、又は、外部装置にネットワーク伝送する等を行うこともでき、また、一旦終了させた3Dパノラマ撮像を継続して実行できるようにしてもよい。前者の場合、外部装置の側で、3Dパノラマ画像データに基づき3Dパノラマ撮像の終了の原因を判断することができる。後者の場合、ディスプレイ40へのメッセージ表示、又は、音声によるメッセージ伝達を受けて操作者がタッチ操作や音声指示により3Dパノラマ撮像を継続させることができる。ただし、この場合には、初期設定よりも短い時間を設定することで効率的な画像収集を操作者に促すことが好適である。また、延長操作の回数については制限を持たせることでもよいし、操作者が必要な分だけ時間を確保できるように無制限とすることも可能である。
【0101】
続いて、上記条件[2]について説明する。終了支援機能175は、3Dパノラマ画像データに、構造物の所定割合が含まれないと判定機能174により判定された場合であっても、3Dパノラマ画像データに、構造物の所定割合の増分がないとき、3Dパノラマ撮像中にその旨を報知するか、又は、3Dパノラマ撮像を終了させる。なお、上記条件[2]に関わる動作については、上記条件[1]で説明したものと同様であるので、説明を省略する。
【0102】
続いて、上記条件[3]について説明する。終了支援機能175は、3Dパノラマ画像データに、構造物の所定割合が含まれないと判定機能174により判定された場合であっても、3Dパノラマ画像データのサイズ(撮像された空間的な領域)に増分がないとき、3Dパノラマ撮像中にその旨を報知するか、又は、3Dパノラマ撮像を終了させる。なお、上記条件[2]に関わる動作については、上記条件[1]で説明したものと同様であるので、説明を省略する。
【0103】
超音波診断装置10の第2の変形例によれば、超音波プローブ20を操作する操作者の習熟度に依存することなく、適切な撮像が行われていない場合を検知しつつ、3D撮像の終了のタイミングを操作者に提示することができる。
【0104】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、超音波プローブを操作する操作者の習熟度に依存することなく、超音波検査を簡便、かつ、効率的に実施させることができる。
【0105】
なお、設定機能171は、設定部の一例である。画像収集機能172は、画像収集部の一例である。画像合成機能173は、画像合成部の一例である。判定機能174は、判定部の一例である。終了支援機能175は、終了支援部の一例である。送信制御機能176は、送信制御部の一例である。
【0106】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0107】
10 超音波診断装置
17 処理回路
171 設定機能
172 画像収集機能
173 画像合成機能
174 判定機能
175 終了支援機能
176 送信制御機能
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