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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】医用画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/161 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
G01T1/161 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018208338
(22)【出願日】2018-11-05
(65)【公開番号】P2020076584
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2021-10-01
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金田 明義
(72)【発明者】
【氏名】本村 信篤
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-157640(JP,A)
【文献】特開2014-048158(JP,A)
【文献】米国特許第07409240(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/161-1/166
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数時相の核医学データを取得する第1の取得部と
前記複数時相の核医学データに基づいて、前記複数時相のうち少なくとも一部の時相の核医学データを加算した加算画像を生成する第1の学習済みモデルに対して、前記複数時相の核医学データを入力することで前記加算画像を生成する加算画像生成部と、
前記加算画像に基づいて、前記核医学データ中に設定される関心領域に関する情報を生成する第2の学習済みモデルに対して、前記加算画像を入力することで前記関心領域に関する情報を生成する関心領域設定部と、
前記複数時相の核医学データと、前記加算画像と、前記関心領域に関する情報とに基づいて、放射線量の時間変化を示すTime Activity Curveを生成する学習済みモデルに対して、前記複数時相の核医学データと、前記加算画像生成部が生成した前記加算画像と、前記関心領域設定部が生成した前記関心領域に関する情報とを入力することで前記Time Activity Curveを生成する第1の処理部と、
を備えた医用画像処理装置。
【請求項2】
前記学習済みモデルは、
前記核医学データ中に設定される関心領域の情報にさらに基づいて、前記Time Activity Curveを生成する、
請求項1記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記学習済みモデルは、
前記核医学データ中に設定される複数の関心領域の情報にさらに基づいて、前記複数の関心領域のそれぞれに対応する前記Time Activity Curveを生成する、
請求項記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記学習済みモデルは、
前記複数時相の核医学データの収集条件に応じて複数用意される、
請求項1ないしのいずれか1項に記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記学習済みモデルが出力したTime Activity Curveを取得する第2の取得部と、
前記Time Activity Curveに基づいて、前記Time Activity Curveにおける解析処理開始点、解析処理範囲、およびバックグラウンド計算処理範囲の少なくとも1つを生成する第3の学習済みモデルに対して、前記Time Activity Curveを入力することで前記解析処理開始点、前記解析処理範囲、および前記バックグラウンド計算処理範囲の少なくとも1つを生成する第2の処理部と、
をさらに備えた請求項1ないしのいずれか1項に記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
複数時相の医用データを取得する第1の取得部と
前記複数時相の医用データに基づいて、前記複数時相のうち少なくとも一部の時相の医用データを加算した加算画像を生成する第1の学習済みモデルに対して、前記複数時相の医用データを入力することで前記加算画像を生成する加算画像生成部と、
前記加算画像に基づいて、前記医用データ中に設定される関心領域に関する情報を生成する第2の学習済みモデルに対して、前記加算画像を入力することで前記関心領域に関する情報を生成する関心領域設定部と、
前記複数時相の医用データと、前記加算画像と、前記関心領域に関する情報とに基づいて、時間変化を有するデータを生成する学習済みモデルに対して、前記複数時相の医用データと、前記加算画像と、前記加算画像生成部が生成した前記加算画像と、前記関心領域設定部が生成した前記関心領域に関する情報とを入力することで前記時間変化を有するデータを生成する第1の処理部と、
を備えた医用画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体の医用画像診断では、時系列的に連続した複数の医用画像に基づいて、被検体内に投与されたトレーサの時間的な動きを解析する動態解析が利用されることがある。
【0003】
たとえば、トレーサとして造影剤を用いる場合は、X線CT(Computed Tomography)や磁気共鳴イメージング(MRI:Magnetic Resonance Imaging)装置などによって取得された時間的に連続した複数の医用画像にもとづいて、造影剤の動態解析が行われる。また、核医学画像診断では、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置やPET(Positron Emission Tomography)装置などの核医学診断装置によって取得された時間的に連続した複数の核医学画像にもとづいて、被検体内に投与された放射性医薬品の動態解析が行われる。
【0004】
動態解析では、注目する臓器や腫瘍などに関心領域が設定され、関心領域内の画素値の時間濃度曲線を生成し、時間濃度曲線を解析して様々な情報を得ることができる。しかし、動態解析の前処理における設定項目には、時間濃度曲線を得るための関心領域の設定や、時間濃度曲線に対する解析処理範囲の設定など、ユーザの技量に大きく影響を受ける項目がある。これらの設定項目がばらついてしまうと、動態解析の結果もばらついてしまう。このため、動態解析の結果は、ユーザの技量に応じてばらつきが生じてしまう場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-048158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、被検体内に投与されたトレーサの動態解析の精度を向上させるよう、動態解析の前処理を的確に行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る医用画像処理装置は、第1の取得部と、第1の処理部とを有する。第1の取得部は、ダイナミックデータ(複数時相の核医学データ)を取得する。第1の処理部は、複数時相の核医学データに基づいて、放射線量の時間変化を示すTime Activity Curveを生成する学習済みモデルに対して、複数時相の核医学データを入力することでTime Activity Curveを生成する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)は第1実施形態に係る医用画像処理装置としてのコンソールを含む核医学診断装置の一構成例を示すブロック図、(b)は(a)のX-X’線に沿う断面図。
図2】核医学診断装置の内部構成例を概略的に示すブロック図。
図3】第1実施形態に係る処理回路のプロセッサによる実現機能例を示す概略的なブロック図。
図4】TAC生成機能の第1の学習方法の学習時におけるデータフローの一例を示す説明図。
図5】TAC生成機能の第1の学習方法の運用時におけるデータフローの一例を示す説明図。
図6】(a)はTAC生成機能の第2の学習方法の学習時におけるデータフローの一例を示す説明図、(b)は第2の学習方法の運用時におけるデータフローの一例を示す説明図。
図7】(a)は加算画像生成機能の学習時におけるデータフローの一例を示す説明図、(b)は運用時におけるデータフローの一例を示す説明図。
図8】(a)はROI設定機能の学習時におけるデータフローの一例を示す説明図、(b)は運用時におけるデータフローの一例を示す説明図。
図9】ひとかたまりの学習済みモデルの運用時におけるデータフローの一例を示す説明図。
図10】(a)は処理範囲生成機能の学習時におけるデータフローの一例を示す説明図、(b)は運用時におけるデータフローの一例を示す説明図。
図11】第2の実施形態に係る医用画像処理装置の一構成例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、医用画像処理装置の実施形態について詳細に説明する。
【0010】
本実施形態に係る医用画像処理装置は、被検体内に投与されたトレーサの動態解析の前処理を行うものであり、時系列的に連続した複数の医用画像にもとづいてトレーサの時間変化を有するデータを生成可能なものである。本実施形態に係る医用画像としては、SPECT装置やPET装置などの核医学診断装置で収集される核医学データにもとづく核医学画像、X線CT装置で取得されるX線CT画像、およびMRI装置で取得されるMR画像などを用いることができる。
【0011】
以下の例では、本発明に係る医用画像処理装置が核医学診断装置の一部として含まれる場合について説明する。また、以下の例では、核医学診断装置として3検出器型のガンマ線検出器回転型のSPECT装置を用いる場合の一例について示す。なお、ガンマ線検出器回転型SPECT装置としては、ガンマ線検出器が1つ、2つまたは4以上のものであってもよい。
【0012】
(第1の実施形態)
図1(a)は、第1実施形態に係る医用画像処理装置としてのコンソール30を含む核医学診断装置1の一構成例を示すブロック図であり、(b)は(a)のX-X’線に沿う断面図である。また、図2は核医学診断装置1の内部構成例を概略的に示すブロック図である。
【0013】
核医学診断装置1は、図1(a)に示すように、架台装置10、寝台装置20、および医用画像処理装置としてのコンソール30を有する。
【0014】
架台装置10は、その内部に円筒状の撮像空間を形成する架台本体11と、3つのガンマ線検出器12a、12bおよび12cとを有する。また、架台装置10はさらに、3つのガンマ線検出器12a、12bおよび12cのそれぞれに着脱自在に設けられた3つのコリメータ13a、13bおよび13cと、回転駆動装置14とを備える。
【0015】
架台本体11は、土台と、土台に固定された筐体で構成された固定架台と、固定架台に対して回転可能に支持された回転板を含む回転架台とを備える。固定架台および回転架台は、たとえば架台カバーにより覆われる。固定架台、回転架台、およびこれらを覆う架台カバーの中央部分には、撮像領域を内包する開口が設けられる。
【0016】
図1(b)に示すように、本実施形態に係る核医学診断装置1は、三角形状に配置された3つのガンマ線検出器12a、12bおよび12cを備えた3検出器型のガンマ線検出器回転型のSPECT装置である。
【0017】
3つのガンマ線検出器12a、12bおよび12cは、回転架台に保持される。回転架台が回転駆動装置14を介して回転軸の周り(z軸周り)に回転することにより、3つのガンマ線検出器12a、12bおよび12cは一体として回転軸の周りを回転する
【0018】
ガンマ線検出器12aは、被検体(たとえば患者)に投与されたテクネシウムなどのRI(放射性同位元素)から放射されるガンマ線を検出する。なお、ガンマ線検出器12bおよび12cはガンマ線検出器12aと同様の構成および作用を有するため、説明を省略する。
【0019】
ガンマ線検出器12aは、被検体(たとえば患者)Pに投与されたTl-201やTc-99mなどのRI(放射性同位元素)から放射されるガンマ線を検出する。なお、ガンマ線検出器12bおよび12cはガンマ線検出器12aと同様の構成および作用を有するため、説明を省略する。ガンマ線検出器12aは、シンチレータ型検出器であってもよいし、半導体型検出器であってもよい。
【0020】
ガンマ線検出器12aがシンチレータ型検出器である場合は、ガンマ線検出器12aは、ガンマ線の入射角度を規定するためのコリメータ13aと、コリメータ13aによってコリメートされたガンマ線が入射すると瞬間的な閃光を発するシンチレータと、ライトガイドと、シンチレータから射出された光を検出する2次元に配列された複数の光電子増倍管と、シンチレータ用電子回路などを有する。シンチレータは、たとえばタリウム活性化ヨウ化ナトリウムNaI(Tl)により構成される。
【0021】
シンチレータ用電子回路は、ガンマ線が入射する事象(イベント)が発生するごとに、複数の光電子増倍管の出力にもとづいて複数の光電子増倍管により構成される検出面内におけるガンマ線の入射位置情報(位置情報)、入射強度情報および入射時刻情報を生成しコンソール30の処理回路35に出力する。この位置情報は、検出面内の2次元座標の情報であってもよいし、あらかじめ検出面を複数の分割領域(1次セル)に仮想的に分割しておき(たとえば128×128個に分割しておき)、どの1次セルに入射があったかを示す情報であってもよい。
【0022】
一方、ガンマ線検出器12aが半導体型検出器である場合は、ガンマ線検出器12aは、コリメータ13aと、コリメータ13aによりコリメートされたガンマ線を検出するための2次元に配列された複数のガンマ線検出用半導体素子(以下、半導体素子という)と、半導体用電子回路などを有する。半導体素子は、たとえばCdTeやCdZnTe(CZT)により構成される。
【0023】
半導体用電子回路は、ガンマ線が入射する事象(イベント)が発生するごとに、半導体素子の出力にもとづいて入射位置情報、入射強度情報および入射時刻情報を生成して処理回路35に出力する。この位置情報は、複数の半導体素子(たとえば128×128個)のうちのどの半導体素子に入射したかを示す情報である。
【0024】
すなわち、ガンマ線検出器12aは、イベントごとに入射位置情報、入射強度情報および入射時刻情報を出力する。また、位置情報は、1次セルのどの位置にガンマ線が入射したかを示す情報および検出面内の2次元座標の情報の少なくとも一方である。
【0025】
ガンマ線検出器12a、12bおよび12cは、処理回路35により撮像タイミングを制御される。
【0026】
コリメータ13a、13bおよび13cはそれぞれ、鉛やタングステンなどの放射線を透過しづらい物質により構成され、光子が飛来する方向を規制するための複数の孔が設けられる。この孔は、たとえば六角形などの多角形形状を有する。
【0027】
回転駆動装置14は、回転架台を所定の回転軸rの周りに高速回転させるためのモータなどの回転手段、回転手段の回転を制御するための電子部品、および回転手段の回転を回転架台に伝達するローラなどの伝達手段などを有する。回転駆動装置14は、データ収集回路15を介して処理回路35に制御されて、回転架台を所定の回転軸rの周りに回転させる。たとえば、処理回路35は、回転架台を介してガンマ線検出器12a、12bおよび12cを被検体Pの周りに連続にあるいはステップ的に回転させることにより、複数方向からの被検体のSPECT投影データ(以下、投影データという)を収集することができる。
【0028】
データ収集回路15は、たとえばプリント回路基板により構成され、処理回路35により制御されて、ガンマ線検出器12a、12bおよび12c、回転駆動装置14および天板駆動装置23を制御することにより、被検体Pの撮像を実行する。
【0029】
データ収集回路15は、ガンマ線検出器12a、12bおよび12cのそれぞれの出力をたとえばリストモードで収集し、収集した投影データをコンソール30に出力する。リストモードでは、ガンマ線の検出位置情報、強度情報、ガンマ線検出器12a、12bおよび12cと被検体Pとの相対位置を示す情報(ガンマ線検出器12a、12bおよび12cの位置や角度など)、およびガンマ線の検出時刻がガンマ線の入射イベントごとに収集される。
【0030】
寝台装置20は、天板21と、天板21を垂直方向および水平方向に移動させる寝台本体22と、天板21を移動させる天板駆動装置23とを有する。
【0031】
天板21は、z軸方向に長手方向を有し、x軸方向に短手方向を有する板状の部材により構成される。被検体は、天板21上に載置される。被検体Pは、天板21に載置される。
【0032】
寝台本体22は、床面に設置され、天板21を昇降自在に支持する。たとえば、寝台本体22は、長尺形状を有しX字状に配された2つの支持部材と、2つの支持部材の中央部を軸支する連結ピンとを有し、2つの支持部材の上端部に天板21が支持される。この場合、天板21は、たとえば2つの支持部材の下端部どうしの間隔を狭めることにより上昇し、下端部どうしの間隔を広げることにより下降する。
【0033】
天板駆動装置23は、データ収集回路15を介して処理回路35に制御されて、天板21を移動させる。具体的には、天板駆動装置23は、天板21をz軸方向やx軸方向に沿って移動させる駆動源としてのモータ、およびこのモータを制御するための電子部品などを有する。また、天板駆動装置23は、天板21を昇降させる駆動源としてのモータ、およびこのモータを制御するための電子部品などを有する。
【0034】
一方、核医学診断装置1のコンソール30は、たとえば一般的なパーソナルコンピュータやワークステーションなどにより構成され、入力インターフェース31、ディスプレイ32、記憶回路33、ネットワーク接続回路34および処理回路35を有する。なお、コンソール30は独立して設けられずともよく、たとえばコンソール30の構成31-35の一部が固定架台に分散して設けられてもよい。コンソール30は、医用画像処理装置の一例である。
【0035】
入力インターフェース31は、たとえばトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、テンキーなどの一般的な入力装置により構成され、ユーザの操作に対応した操作入力信号を処理回路35に出力する。たとえば、ユーザは、入力インターフェース31を介して撮像対象部位や検査で用いるRIを指定することができる。
【0036】
ディスプレイ32は、たとえば液晶ディスプレイやOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイなどの一般的な表示出力装置により構成される。
【0037】
記憶回路33は、磁気的もしくは光学的記録媒体または半導体メモリなどの、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体を含んだ構成を有する。記憶回路33は、処理回路35により制御されて、被検体Pの複数時相の核医学データ(核医学画像、核医学画像データ、または生データ)を記憶する。これら記録媒体内のプログラムおよびデータの一部または全部は、電子ネットワークを介した通信によりダウンロードされるように構成してもよい。
【0038】
ネットワーク接続回路34は、たとえば所定のプリント回路基板を有するネットワークカードなどにより構成され、ネットワークの形態に応じた種々の情報通信用プロトコルを実装する。ネットワーク接続回路34は、この各種プロトコルに従って核医学診断装置1と他の機器とを接続する。この接続には、電子ネットワークを介した電気的な接続などを適用することができる。ここで電子ネットワークとは、電気通信技術を利用した情報通信網全般を意味し、無線/有線の病院基幹LAN(Local Area Network)やインターネット網のほか、電話通信回線網、光ファイバ通信ネットワーク、ケーブル通信ネットワークおよび衛星通信ネットワークなどを含む。
【0039】
処理回路35は、記憶回路33に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、被検体Pに投与されたトレーサの動態解析の精度を向上させるよう、動態解析の前処理を的確に行うための処理を実行するプロセッサである。
【0040】
動態解析の前処理は、被検体Pの複数時相の核医学データ(以下適宜、ダイナミックデータという)から、関心領域の放射線量の時間変化を示すTime Activity Curve(以下、TACという)を生成する処理を少なくとも含む。以下の説明では、TACの生成処理のほか、動態解析の前処理に、TAC生成に用いられる関心領域の設定処理、当該関心領域の設定に用いられる加算画像の生成処理、ならびにTACに対して動態解析の解析処理開始点、解析処理範囲、およびバックグラウンド計算処理範囲の少なくとも1つを生成する処理を含む場合の例を示す。これらの前処理の実行後に、解析処理が実行される。なお、解析処理は、前処理を実行する医用画像処理装置の一例としてのコンソール30で前処理に続けて実行されてもよいし、他の装置で実行されてもよい。
【0041】
図3は、第1実施形態に係る処理回路35のプロセッサによる実現機能例を示す概略的なブロック図である。
【0042】
図3に示すように、処理回路35のプロセッサは、ダイナミックデータ取得機能41、TAC生成機能42、加算画像生成機能43、ROI設定機能44、TAC取得機能45、および処理範囲生成機能46を実現する。また、これらの各機能はそれぞれプログラムの形態で記憶回路33に記憶されている。
【0043】
ダイナミックデータ取得機能41は、ダイナミックデータ(被検体Pの複数時相の核医学データ)を取得する。学習済みモデルの運用時において、ダイナミックデータ(複数時相の核医学データ)はデータ収集回路15を介して取得される。なお、ダイナミックデータ(複数時相の核医学データ)は、ダイナミック断層像をスライス単位に並び替えて作成したダイナミックデータ(複数時相の核医学データ)を含んでもよい。ダイナミックデータ取得機能41は、第1の取得部の一例である。
【0044】
TAC生成機能42は、複数時相の核医学データに基づいて、TAC(放射線量の時間変化を示すTime Activity Curve)を生成する学習済みモデルに対して、複数時相の核医学データを入力することでTACを生成する。TAC生成機能42は、第1の処理部の一例である。
【0045】
学習済みモデルは、複数時相の核医学データの収集条件に応じて複数用意される。収集条件は、収集部位、収集方法、放射性医薬品、および被検体の体格などを含む。また、収集方法は、収集時間および収集拡大率を含む。
【0046】
また、TAC生成機能42は、核医学データ中に設定される関心領域の情報にさらに基づいて、TACを生成してもよい。また、TAC生成機能42は、核医学データ中に設定される複数の関心領域の情報が利用可能な場合は、複数の関心領域のそれぞれに対応するTACを生成してもよい。
【0047】
加算画像生成機能43は、複数時相の核医学データに基づいて、複数時相のうち少なくとも一部の時相の核医学データを加算した加算画像を生成する第1の学習済みモデルに対して、複数時相の核医学データを入力することで加算画像を生成する。なお、医用画像処理装置としてのコンソール30は、加算画像生成機能43を備えずともよい。
【0048】
ROI設定機能44は、加算画像に基づいて、核医学データ中に設定される関心領域に関する情報を生成する第2の学習済みモデルに対して、加算画像を入力することで核医学データ中に設定される関心領域に関する情報を生成する。なお、医用画像処理装置としてのコンソール30は、ROI設定機能44を備えずともよい。
【0049】
TAC取得機能45は、TAC生成機能42が生成したTACを取得する。TAC取得機能45は、第2の取得部の一例である。
【0050】
処理範囲生成機能46は、TACに基づいて、TACにおける解析処理開始点、解析処理範囲、およびバックグラウンド計算処理範囲の少なくとも1つを生成する第3の学習済みモデルに対して、TACを入力することで解析処理開始点、解析処理範囲、およびバックグラウンド計算処理範囲の少なくとも1つを生成する。処理範囲生成機能46は、第2の処理部の一例である。
【0051】
図4は、TAC生成機能42の第1の学習方法の学習時におけるデータフローの一例を示す説明図である。
【0052】
TAC生成機能42は、トレーニングデータを多数入力されて学習を行うことにより、パラメータデータ422を逐次的に更新する。
【0053】
第1の学習方法では、トレーニングデータは、トレーニング入力データとしてのダイナミックデータ群51を構成するダイナミックデータ(複数時相の核医学データ)511、512、513、・・・、と、各ダイナミックデータ(複数時相の核医学データ)に対応する理想的なTAC611、612、613、・・・、により構成された教師データ群61と、の組みからなる。理想的なTAC611、612、613、・・・、は、それぞれ、対応するダイナミックデータ511、512、513、・・・、から実際に生成したものを用いる。
【0054】
なお、ダイナミックデータ群51は、ダイナミックデータ(複数時相の核医学データ)511、512、513、・・・、の最初と最後の所定時相を間引く、またはダミーデータを追加する、または各データをスムージングする、などして、ダイナミックデータ群51の数を増やすことにより、トレーニングデータを増やしてもよい。
【0055】
TAC生成機能42は、トレーニングデータが与えられるごとに、ダイナミックデータ(複数時相の核医学データ)511、512、513、・・・、をニューラルネットワーク421で処理した結果が理想的なTAC611、612、613、・・・、に近づくようにパラメータデータ422を更新していく、いわゆる学習を行う。一般に、パラメータデータ422の変化割合が閾値以内に収束すると、学習は終了と判断される。以下、学習後のパラメータデータ422を特に学習済みパラメータデータ422tという。
【0056】
図5は、TAC生成機能42の第1の学習方法の運用時におけるデータフローの一例を示す説明図である。第1の学習方法の運用時には、TAC生成機能42は、TACの生成対象となる被検体Pのダイナミックデータ(複数時相の核医学データ)71を入力され、学習済みモデル420を用いてTAC81を生成する。
【0057】
なお、ニューラルネットワーク421と学習済みパラメータデータ422tは、学習済みモデル420を構成する。ニューラルネットワーク421は、プログラムの形態で記憶回路33に記憶される。学習済みパラメータデータ422tは、記憶回路33に記憶されてもよいし、ネットワークを介してコンソール30と接続された記憶媒体に記憶されてもよい。学習済みモデル420(ニューラルネットワーク421と学習済みパラメータデータ422t)が記憶回路33に記憶される場合、処理回路35のプロセッサにより実現される、第1の処理部の一例としてのTAC生成機能42は、記憶回路33から学習済みモデル420を読み出して実行することでダイナミックデータ(複数時相の核医学データ)71にもとづいてTAC81を生成する。
【0058】
なお、学習済みモデル420を含め、本実施形態に係る学習済みモデルのそれぞれは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路によって構築されてもよい。
【0059】
また、学習済みモデル420を含め、本実施形態に係る学習済みモデルのそれぞれの学習時に用いられる教師データは、複数のユーザにより作成されることが好ましい。教師データには、教師データの作成者の癖が反映されてしまい、データが偏ってしまうことがあるためである。
【0060】
また、TAC生成機能42によるTAC81の生成精度を向上させるよう、収集条件(収集部位、収集方法(収集時間、収集拡大率など)、放射性医薬品、および被検体の体格など)に応じて学習済みモデル420を用意される。この場合、ダイナミックデータ群51を構成するダイナミックデータ(複数時相の核医学データ)を収集条件に応じて分類し、分類ごとに学習済みモデル420を構築する。なお、この場合、ダイナミックデータ群51の収集条件と、当該収集条件にもとづいて構築された学習済みモデル420の運用時の入力データ71の収集条件とは、一致させるべきことに注意する。
【0061】
収集条件に応じて複数の学習済みモデル420を用意し、ダイナミックデータ(複数時相の核医学データ)71の収集条件に応じた学習済みモデル420を利用することにより、より精度よくTAC81を得ることができる。
【0062】
図6(a)はTAC生成機能42Aの第2の学習方法の学習時におけるデータフローの一例を示す説明図であり、(b)は第2の学習方法の運用時におけるデータフローの一例を示す説明図である。
【0063】
第2の学習方法は、トレーニング入力データとして、ダイナミックデータ群51に加えて、関心領域情報群52と、加算画像群53とを用いる点で第1の学習方法と異なる。関心領域情報群52は、ダイナミックデータ(複数時相の核医学データ)511、512、513、・・・、のそれぞれに設定される関心領域の情報(以下、ROI情報という)521、522、523、・・・、により構成される。ROI情報は、ダイナミックデータ(複数時相の核医学データ)中に設定された関心領域の位置の情報を含む。また、加算画像群53は、ROI情報521、522、523、・・・、に含まれるROIの設定に利用された加算画像531、532、533、・・・、により構成される。
【0064】
TAC生成機能42Aは、ニューラルネットワーク421Aを用いた学習により学習済みパラメータデータ422Atを得る。ニューラルネットワーク421Aと学習済みパラメータデータ422Atは、学習済みモデル420Aを構成する。
【0065】
第2の学習方法の運用時には、TAC生成機能42Aは、TACの生成対象となる被検体Pのダイナミックデータ(複数時相の核医学データ)71と、ROI情報72と、加算画像73とを入力され、学習済みモデル420Aを用いてTAC81を生成する。
【0066】
また、TAC生成機能42は、トレーニング入力データとして加算画像群53を用いない第3の学習方法を利用してもよい。第2の学習方法や第3の学習方法の運用時は、ROI情報72を利用することにより、第1の学習方法で生成された学習済みモデル420を用いる場合よりもさらに精度の高いTAC81を生成することができる。
【0067】
また、第2の学習方法および第3の学習方法において、トレーニング入力データとしてのROI情報521、522、523、・・・、のそれぞれには、複数のROIが設定されてもよい。この場合、運用時には、ROI情報72には、1つのダイナミックデータ(複数時相の核医学データ)71に対して複数設定されたROIの情報が含まれ、TAC生成機能42(42A)は、それぞれのROIに対応するTACを生成する。この場合、たとえば、ユーザは、入力インターフェース31を介して、生成された複数のTACからダイナミックデータ(複数時相の核医学データ)71に最適と考える1つのTACを選択するとよい。
【0068】
図7(a)は、加算画像生成機能43の学習時におけるデータフローの一例を示す説明図であり、(b)は運用時におけるデータフローの一例を示す説明図である。
【0069】
加算画像生成機能43は、トレーニングデータを多数入力されて学習を行うことにより、パラメータデータ432を逐次的に更新する。トレーニングデータは、トレーニング入力データとしてのダイナミックデータ群51を構成するダイナミックデータ(複数時相の核医学データ)511、512、513、・・・、と、各ダイナミックデータ(複数時相の核医学データ)に対応する理想的な加算画像531、532、533、・・・、により構成された教師データ群53と、の組みからなる。教師データ群53には、加算画像を生成するための加算範囲の設定情報が含まれてもよい。加算範囲は、たとえばダイナミックデータ群51の時相区間により定義される。理想的な加算画像531、532、533、・・・、は、それぞれ、対応するダイナミックデータ(複数時相の核医学データ)511、512、513、・・・、から実際に生成したものを用いる。
【0070】
加算画像生成機能43は、トレーニングデータが与えられるごとに、ダイナミックデータ(複数時相の核医学データ)511、512、513、・・・、をニューラルネットワーク431で処理した結果が理想的な加算画像531、532、533、・・・、に近づくようにパラメータデータ432を更新していく。学習後のパラメータデータ432を特に学習済みパラメータデータ432tという。ニューラルネットワーク431と学習済みパラメータデータ432tは、第1の学習済みモデル430を構成する。
【0071】
運用時には、加算画像生成機能43は、記憶回路33から読み出した第1の学習済みモデル430に対して、加算画像の生成対象となるダイナミックデータ(複数時相の核医学データ)71を入力され、第1の学習済みモデル430を用いて加算画像73を生成する。
【0072】
図8(a)は、ROI設定機能44の学習時におけるデータフローの一例を示す説明図であり、(b)は運用時におけるデータフローの一例を示す説明図である。
【0073】
ROI設定機能44は、トレーニングデータを多数入力されて学習を行うことにより、パラメータデータ442を逐次的に更新する。トレーニングデータは、トレーニング入力データとしての加算画像群53を構成する加算画像531、532、533、・・・、と、各加算画像に対応する理想的なROI情報521、522、523、・・・、により構成された教師データ群52と、の組みからなる。理想的なROI情報521、522、523、・・・、は、それぞれ対応する加算画像531、532、533、・・・、に対して実際に設定されたものを用いる。ROIの設定は、ダイナミックデータ(複数時相の核医学データ)に対して直接に行うよりも、加算画像に対して行うほうが精度がよい。
【0074】
ROI設定機能44は、トレーニングデータが与えられるごとに、加算画像531、532、533、・・・、をニューラルネットワーク441で処理した結果が理想的なROI情報521、522、523、・・・、に近づくようにパラメータデータ442を更新していく。学習後のパラメータデータ442を特に学習済みパラメータデータ442tという。ニューラルネットワーク441と学習済みパラメータデータ442tは、第2の学習済みモデル440を構成する。
【0075】
運用時には、ROI設定機能44は、記憶回路33から読み出した第2の学習済みモデル440に対して、ROI情報の生成対象となる加算画像73を入力され、第2の学習済みモデル440を用いてROI情報72を生成する。
【0076】
続いて、第1の学習済みモデル430による加算画像生成処理(図7(b)参照)、第2の学習済みモデル440によるROI設定処理(図8(b)参照)、および学習済みモデル420AによるTAC生成処理(図6(b)参照)を一連の処理として運用する場合について説明する。
【0077】
図9は、ひとかたまりの学習済みモデル420Bの運用時におけるデータフローの一例を示す説明図である。
【0078】
図9に示すように、第1の学習済みモデル430による加算画像生成処理、第2の学習済みモデル440によるROI設定処理、および学習済みモデル420AによるTAC生成処理を一連の処理として運用されてもよい。この場合も、外観的には、学習済みモデル420と同様に、ひとかたまりの学習済みモデル420Bに対してダイナミックデータ(複数時相の核医学データ)71が入力されてTAC81が出力される。
【0079】
また、第1の学習済みモデル430による加算画像生成処理と第2の学習済みモデル440によるROI設定処理を一連の処理として運用しつつ、学習済みモデル420または学習済みモデル420A、または第3の学習方法で生成した学習済みモデル420を別な処理として運用してもよい。
【0080】
図10(a)は、処理範囲生成機能46の学習時におけるデータフローの一例を示す説明図であり、(b)は運用時におけるデータフローの一例を示す説明図である。
【0081】
処理範囲生成機能46は、トレーニングデータを多数入力されて学習を行うことにより、パラメータデータ462を逐次的に更新する。トレーニングデータは、トレーニング入力データとしてのTAC群54を構成するTAC541、542、543、・・・、と、各TACに対応する理想的なカーソル位置C1、C2、C3が設定された理想的な処理範囲設定情報621、622、623、・・・、により構成された教師データ群62と、の組みからなる。理想的な処理範囲設定情報621、622、623、・・・、は、TAC541、542、543、・・・のそれぞれに実際に設定されたものを用いる。
【0082】
カーソル位置C1は、本実施形態に係る前処理の後に実行される動態解析の解析処理開始点を示す。また、カーソル位置C2とカーソル位置C3の間の範囲は、バックグラウンドの計算に利用する範囲(バックグラウンド計算処理範囲)を定義する。また、カーソル位置C1とC3の間の範囲は、動態解析の解析処理範囲を定義する。
【0083】
なお、TAC群54は、TAC541、542、543、・・・、の最初と最後の所定時相を間引く、またはダミーデータを追加する、またはカーブをスムージングする、などして、TAC群54の数を増やすことにより、トレーニングデータを増やしてもよい。
【0084】
処理範囲生成機能46は、トレーニングデータが与えられるごとに、TAC541、542、543、・・・、をニューラルネットワーク461で処理した結果が理想的な処理範囲設定情報621、622、623、・・・、に近づくようにパラメータデータ462を更新していく。学習後のパラメータデータ462を特に学習済みパラメータデータ462tという。ニューラルネットワーク461と学習済みパラメータデータ462tは、第3の学習済みモデル460を構成する。
【0085】
運用時には、処理範囲生成機能46は、記憶回路33から読み出した第3の学習済みモデル460に対して、処理範囲設定情報の生成対象となるTAC81を入力され、第3の学習済みモデル460を用いて処理範囲設定情報91を生成する。このとき、TAC81として学習済みモデル420、420A、420Bの出力を利用し、TAC生成処理と処理範囲設定処理を一連の処理として運用してもよい。
【0086】
本実施形態に係る核医学診断装置1の処理回路35によれば、学習済みモデル420を用いることにより、ユーザの技量によることなく、的確に動態解析の前処理としてのTAC生成処理を行うことができる。また、第1、第2、および第3の学習済みモデル430、440、および460を用いることにより、ユーザの技量によることなく、的確に動態解析の前処理としての加算画像生成処理、ROI設定処理、および処理範囲設定処理をそれぞれ行うことができる。また、この前処理で得られたTAC81および処理範囲設定情報91を用いることにより、後処理としての動態解析処理の精度を大幅に向上させることができる。
【0087】
なお、学習済みモデル420を含め、本実施形態に係る学習済みモデルのそれぞれは、運用時の入力データおよび出力データの組を、トレーニングデータとして学習にフィードバックさせてもよい。
【0088】
また、学習済みモデル420(420A、420B)、430、440、および460の生成物であるTAC81、加算画像73、ROI情報72、および処理範囲設定情報91は、それぞれ、ユーザによる修正を受け付けるための対話ウィンドウとともにディスプレイ32に表示されて、ユーザによる入力インターフェース31を介した修正を受け付けてもよい。また、修正を受けつけた場合は、当該修正の後のデータを教師データとして学習にフィードバックさせてもよい。
【0089】
(第2の実施形態)
図11は、第2の実施形態に係る医用画像処理装置30Nの一構成例を示すブロック図である。この第2実施形態に示す医用画像処理装置30Nは、ネットワーク100を介して接続された核医学診断装置101、画像サーバ102、X線CT装置103、MRI装置104などのモダリティとは独立して設けられる点で第1実施形態に示すコンソール30と異なる。他の構成および作用については図1に示すコンソール30と実質的に異ならないため同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0090】
医用画像処理装置30Nは、核医学診断装置101、画像サーバ102、X線CT装置103、MRI装置104などのモダリティとは独立して、これらのモダリティのそれぞれとデータ送受信可能にネットワーク100を介して接続される。
【0091】
ネットワーク接続回路34Nは、医用画像処理装置30Nと、核医学診断装置101、画像サーバ102、X線CT装置103、MRI装置104とを接続する。この接続には、電子ネットワークを介した電気的な接続などを適用することができる。ここで電子ネットワークとは、電気通信技術を利用した情報通信網全般を意味し、無線/有線の病院基幹LAN(Local Area Network)やインターネット網のほか、電話通信回線網、光ファイバ通信ネットワーク、ケーブル通信ネットワークおよび衛星通信ネットワークなどを含む。
【0092】
ダイナミックデータ取得機能41Nは、学習済みモデルの運用時において、ネットワーク100を介して、必要に応じて核医学診断装置101、画像サーバ102、X線CT装置103、MRI装置104のいずれかから複数時相の医用データ(ダイナミックデータ)を取得する。
【0093】
たとえば、核医学診断装置101からダイナミックデータを取得する場合は、ダイナミックデータは複数時相の核医学データであり、学習済みモデル420、430、440、460は第1実施形態と同等のものが構築される。また、たとえばX線CT装置103からを取得する場合は、ダイナミックデータは時系列的に連続した複数のX線CT画像またはX線CT画像データであり、学習済みモデル420は造影剤の時間濃度曲線TDCを生成し、学習済みモデル460はTDCにもとづいて処理範囲設定情報を生成する。処理回路35Nのその他の動作については第1実施形態に係る処理回路35と同様である。
【0094】
第2実施形態に係る医用画像処理装置30Nの処理回路35Nによっても、第1実施形態に係るコンソール30の処理回路35と同様の効果を奏する。また、第2実施形態に係る医用画像処理装置30Nによれば、核医学データのほか、X線CTデータやMRデータを含む医用データをあつかうことができ、複数時相の医用データに基づいて時間変化を有するデータ(TAC、TDC)を生成することができる。
【0095】
また、本実施形態に係る医用画像処理装置30Nは、トレーサの時間変化を有するデータを生成するものであり、たとえばトレーサが放射性医薬品であり医用データが核医学データであれば、心臓のダイナミックデータ(複数時相の核医学データ)に基づいてTACを生成することができる。このTACを用いて、本実施形態に係る医用画像処理装置30Nにより実行される前処理の実行後に、脳血流量を推定する動態解析が行われる。
【0096】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、被検体内に投与されたトレーサの動態解析の精度を向上させるよう、動態解析の前処理を的確に行うことできる。
【0097】
なお、上記実施形態において、「プロセッサ」という文言は、たとえば、専用または汎用のCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、または、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(たとえば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、およびFPGA)等の回路を意味するものとする。プロセッサは、記憶媒体に保存されたプログラムを読み出して実行することにより、各種機能を実現する。
【0098】
また、上記実施形態では処理回路の単一のプロセッサが各機能を実現する場合の例について示したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサが各機能を実現してもよい。また、プロセッサが複数設けられる場合、プログラムを記憶する記憶媒体は、プロセッサごとに個別に設けられてもよいし、1つの記憶媒体が全てのプロセッサの機能に対応するプログラムを一括して記憶してもよい。
【0099】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0100】
1 核医学診断装置
30 コンソール
30N 医用画像処理装置
41、41N ダイナミックデータ取得機能
42、42A TAC生成機能
43 加算画像生成機能
44 ROI設定機能
45 TAC取得機能
46 処理範囲生成機能
51 ダイナミックデータ群
52 関心領域情報群
53 加算画像群
54 TAC群
71 ダイナミックデータ
72 ROI情報
73 加算画像
91 処理範囲設定情報
420、420A、420B 学習済みモデル
430 第1の学習済みモデル
440 第2の学習済みモデル
460 第3の学習済みモデル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11