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特許7190335電気掃除機の吸込口体およびそれを備えた電気掃除機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】電気掃除機の吸込口体およびそれを備えた電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/02 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
A47L9/02 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018213993
(22)【出願日】2018-11-14
(65)【公開番号】P2020078529
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】堀元 純生
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-140749(JP,U)
【文献】実公昭55-041168(JP,Y2)
【文献】実公昭34-018263(JP,Y1)
【文献】国際公開第2018/135897(WO,A1)
【文献】特表2018-531714(JP,A)
【文献】特開平10-309247(JP,A)
【文献】特開2003-033299(JP,A)
【文献】特開2005-318939(JP,A)
【文献】特開2008-048901(JP,A)
【文献】特開2012-105845(JP,A)
【文献】特開平10-165337(JP,A)
【文献】特表2020-506751(JP,A)
【文献】実公昭55-023468(JP,Y2)
【文献】実公昭56-045567(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/00- 9/32
A47L11/00-11/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1間隙をもって被清掃面に対面するように構成された第1底面と、
前記第1底面と進行方向前方側で隣接しかつ前記第1間隙よりも広い第2間隙をもって被清掃面に対面するように構成された第2底面と、
前記第1底面と前記第2底面との境界付近において前記進行方向に対する左右方向の中間部に設けられ、前記被清掃面に対面すると共に周縁に上方へ向かうにつれて後方へ突出する短筒状の接続部が設けられている吸込口とを有し、
前記第2間隙が前記左右方向の中間部から両端部に向かうにつれて狭くなるように前記第2底面が形成され
前記第2底面は平面的に視て、前記第1底面の左右両端よりも内側に設けられており、左右方向の中間部から両端部に向かうにつれて前後方向の幅が狭くなる形状で、かつ、前記左右方向の中間部が最も前後方向の幅が広くなる形状に形成され、
前記第2底面の中間部は、前記吸込口の左右方向の幅と略等しい幅を有し、
前記第1底面における前記吸込口の周囲の左右位置から後方位置に亘って、前記第1間隙よりも上下方向に狭い第3間隙をもって被清掃面に近接するリブが設けられていることを特徴とする電気掃除機の吸込口体。
【請求項2】
前記第2底面の前端に沿って設けられて前記前方に面するダスト受け面をさらに有し、
前記ダスト受け面は、平面的に視て、前記左右方向の両端部側から中間部に向かうにつれて後方へ凹んでいる請求項1に記載の吸込口体。
【請求項3】
第1間隙をもって被清掃面に対面するように構成された第1底面と、前記第1底面と進行方向前方側で隣接しかつ前記第1間隙よりも広い第2間隙をもって被清掃面に対面するように構成された第2底面と、前記第1底面と前記第2底面との境界付近において前記進行方向に対する左右方向の中間部に設けられた吸込口とを有し、
前記第2間隙が前記左右方向の中間部から両端部に向かうにつれて狭くなるように前記第2底面が形成されており、
前記第2底面の前端に沿って設けられて前記前方に面するダスト受け面をさらに有し、
前記ダスト受け面は、平面的に視て、前記左右方向の両端部側から中間部に向かうにつれて後方へ凹んでいることを特徴とする電気掃除機の吸込口体。
【請求項4】
前記第1底面における前記吸込口の周囲の左右位置から後方位置に亘って、前記第1間隙よりも上下方向に狭い第3間隙をもって被清掃面に近接するリブが設けられている請求項に記載の吸込口体。
【請求項5】
前記第1底面において、前記第2底面の前記左右方向の両端部外側に左右一対の平坦面部が設けられ、かつ、前記左右一対の平坦面部に左右一対の起毛布が設けられ、かつ、後部にローラが回転可能に設けられており、
前記左右一対の起毛布および前記ローラによって前記第1底面が被清掃面上に前記第1間隙をもって支持されている請求項1~4のいずれか1つに記載の吸込口体。
【請求項6】
請求項1~5の吸込口体を備えたことを特徴とする電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機の吸込口体およびそれを備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気掃除機の吸込口体として、例えば特許文献1には、ノズル本体と、使い捨てモップが着脱可能に装着される底部と、底部の前方とノズル本体との間に設けられた吸込口とを有する使い捨てモップ電気掃除機用ノズルが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3036657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の吸込口体では、使い捨てモップが広い面積で床面(フローリング)と接するため、清掃時に床面との摩擦が大きくなり、吸込口体を前後左右方向へ移動させる操作性が悪くなる。この問題の対応策として、吸込口体の底面に使い捨てモップを取り付ける代わりに、底面にローラおよび起毛布を設けて底面を床面から浮かす構造とすることが考えられ、これにより摩擦が低減し操作性が向上する。しかしながら、この構造では、吸込口の周囲全体から空気が吸い込まれてしまうため、吸込口の前部側の吸引力が低下する。さらに、吸込口体は吸込口の左右方向の中間部にダストを集めるように吸引する構造であるため、吸込口の前記中間部から遠い左右両端部側の吸引力は弱くなる。そのため、吸込口体を前進させたときに前方のダスト、特に、左右両端部側のダストを強い吸引力で吸い込みにくくなる。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、掃除性能が向上する電気掃除機の吸込口体およびそれを備えた電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、第1間隙をもって被清掃面に対面するように構成された第1底面と、前記第1底面と進行方向前方側で隣接しかつ前記第1間隙よりも広い第2間隙をもって被清掃面に対面するように構成された第2底面と、前記第1底面と前記第2底面との境界付近において前記進行方向に対する左右方向の中間部に設けられた吸込口とを有し、
前記第2間隙が前記左右方向の中間部から両端部に向かうにつれて狭くなるように前記第2底面が形成された電気掃除機の吸込口体が提供される。
また、本発明によれば、前記吸込口体を備えた電気掃除機が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電気掃除機の吸込口体によれば、吸込口の前部側において強い吸引力を維持しやすくなり、さらに、吸込口から左右方向の距離が遠い両端部においても強い吸引力を維持しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の吸込口体を備えた電気掃除機(実施形態1)を示す斜視図である。
図2図1の電気掃除機における集塵部の斜視図である。
図3図1の電気掃除機における吸込口体の正面図である。
図4図1の電気掃除機における吸込口体の底面図である。
図5図4のI-I線矢視断面図である。
図6図4のII-II線矢視断面図である。
図7図4のIII-III線矢視断面図である。
図8】実施形態1の吸込口体にてダストを吸引する状態を説明する図であって(A)は正面側から視た状態、(B)は底面側から視た状態である。
図9】実施形態2の吸込口体にてダストを吸引する状態を説明する図であって(A)は正面側から視た状態、(B)は底面側から視た状態である。
図10】実施形態3の吸込口体にてダストを吸引する状態を説明する図であって(A)は正面側から視た状態、(B)は底面側から視た状態である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態1)
図1は本発明の吸込口体を備えた電気掃除機(実施形態1)を示す斜視図であり、図2図1の電気掃除機における集塵部の斜視図である。なお、図1において、この電気掃除機の前後左右上下方向を矢印にて示している。
この電気掃除機Aは、電動送風機1bを内蔵する駆動部1および駆動部1に着脱可能に装着される集塵部2を有する掃除機本体10と、駆動部1の下部に可撓性ホース6およびヒンジ部材7を介して接続された吸込口体3と、駆動部1の上部に接続される棒状のハンドル4とを備えたスティック型の電気掃除機である。
【0010】
駆動部1は、上下方向に長い流線形の筐体1aを有しており、その筐体1aに前記電動送風機1bと共に図示しないバッテリが収納されている。また、筐体1aの前面には電源スイッチ1acが設けられている。
この筐体1aは、その前面側の下半部に、集塵部2を着脱可能に装着するよう前面から左右側面に亘って開口する装着凹部1cが設けられると共に、下端には後述するヒンジ部材7(図1図5参照)とリベット8を介して連結される前後一対の連結片1aeが下方へ突出して設けられている。なお、一対の連結片1aeにはそれぞれ円形孔が形成されている。
【0011】
また、筐体1aにおいて、装着凹部1cの底部1caには可撓性ホース6を介して吸込口体3と接続する第1通風路1cbが設けられると共に、装着凹部1cの天井部1ccには筐体1aの上半部の内部空間と連通する第2通風路1cdが設けられており、第2通風路1cd内に電動送風機1bが収納されている。
【0012】
また、筐体1aの上半部の後面には排気口1aaが設けられており、空気が第2通風路1cdを通過した後に排気口1aaから外部へ排気されるようになっている。
また、筐体1aの上端には有底筒状のハンドル接続部1abが設けられると共に、ハンドル接続部1abの後面上部には、ハンドル4の下端の係止凹部(不図示)と係脱可能に係止する係止爪(不図示)を有する押しボタン1afが設けられている。また、ハンドル4の上部には手元側の電源スイッチ4aが設けられている。
【0013】
押しボタン1afを押しながらハンドル4を引っ張ってハンドル接続部1abから引き抜くことができる。例えば、階段や棚上等を清掃する際は、このように掃除機本体10からハンドル4を引き抜いてスティック型からハンディ型に変え、掃除機本体10のハンドル接続部1abを持って清掃することができる。
【0014】
集塵部2は、上方開口部2aaを有する集塵カップ2aと、集塵カップ2aに着脱可能に収納されるフィルタ2bとを有する。
集塵カップ2aは、集塵部2が駆動部1の装着凹部1cに装着されたときに第1通風路1cbと接続する図示しない空気流入口を底部に有している。この空気流入口は、集塵カップ2aの底部から上方へ突出した短筒形に形成されており、その短筒形の上端には逆止弁(不図示)が設けられている。つまり、空気流入口から集塵カップ2a内にダストを含む空気が流入する際は逆止弁が開き、空気の流れが止まると逆止弁が閉じてダストが空気流入口側へ戻らないようになっている。
【0015】
また、集塵カップ2aは、フィルタ2bの後述する弾性枠体2baの外鍔部42baを載せる複数のリブ2adを内面における上方開口部2aaの近傍に有する。
また、集塵カップ2aの上端の前面には、係止爪112aeを有するスライド部材12aeおよび付勢部材としての図示しない圧縮コイルバネを有するロック機構2aeが設けられると共に、集塵カップ2aの下端には、駆動部1の装着凹部1cの底部1caの周囲部に設けられた図示しない凹部に係止可能な図示しない突起部2afが設けられている。
【0016】
ロック機構2aeのスライド部材12aeは上下方向にスライド可能であり、圧縮コイルバネ(不図示)によって上方へ付勢されている。
一方、駆動部1の筐体1aにおける装着凹部1cの上縁近傍には、装着凹部1cに装着された集塵カップ2aのロック機構2aeの係止爪112aeと係脱可能に係止する図示しない係止凹部が設けられている。
【0017】
集塵カップ2aを駆動部1の装着凹部1cに装着する際、集塵カップ2aの下部の突起部2afが装着凹部1cの底部1caの前記凹部(不図示)に係止すると共に、ロック機構2aeの係止爪112aeが装着凹部1cの上縁近傍の前記係止凹部(不図示)に係止する。集塵カップ2aを駆動部1の装着凹部1cから取り外す際は、ロック機構2aeのスライド部材12aeを圧縮コイルバネ(不図示)の付勢力に抗して下方へスライドすることにより係止爪112aeが係止凹部(不図示)から離脱するため、スライド部材12aeを下方へスライドさせた状態で集塵カップ2aを手前へ引き出すと装着凹部1cから取り外すことができる。
【0018】
フィルタ2bは、弾性変形可能な略カップ形の弾性枠体2baと、弾性枠体2abの集塵カップ2a側の面(外面)に設けられた袋状のフィルタ本体2bbとを有する。
弾性枠体2baは、短筒部12baと、短筒部12baの下端縁から吊り下がるように連設された枠部22baと、枠部22baの底部から上方突出状に連設された倒立U形の摘み部32baと、短筒部12baの外周面に連設された外鍔部42baとを有し、少なくとも枠部22baが弾性変形可能な材料(例えば、樹脂)にて形成されている。
【0019】
集塵部2内に溜まったダストを廃棄する際、集塵カップ2aを駆動部1から取り外して床面や台上に置き、フィルタ2bの外鍔部42baを押えながら摘み部32baを引っ張り上げると枠部22baが弾性変形する。その後、摘み部32baを離すと、枠部22baが元の形に復元する。このとき、枠部22baがフィルタ本体2bbに衝突するため、フィルタ本体2bbの外面に付着したダストが集塵カップ2a内に振るい落とされる。なお、これを複数回繰り返すことによりフィルタ本体2bbをきれいに除塵することができる。その後、フィルタ2bを集塵カップ2aから取り外し(図2参照)、集塵カップ2a内のダストを廃棄する。
【0020】
<吸込口体>
図3図1の電気掃除機における吸込口体の正面図であり、図4図1の電気掃除機における吸込口体の底面図である。また、図5図4のI-I線矢視断面図であり、図6図4のII-II線矢視断面図であり、図7図4のIII-III線矢視断面図である。なお、図4において、吸込口体の前後左右方向を矢印にて示している。
【0021】
図1および図3図7に示すように、吸込口体3は、下部を構成する下ケース3aと、上部を構成する上ケース3bとを備える。
下ケース3aは、左右方向に長い底壁部3aaと、底壁部3aaの後端を除く周囲部に連設された周壁部(バンパー)3abと、底壁部3aaの後端に連設されたローラ保持部3acとを有し、ローラ保持部3acの被清掃面Fと対面する底面にはローラ13acが左右方向の軸心を中心として回転可能に枢着されている。
【0022】
下ケース3aにおいて、底壁部3aaの被清掃面Fと対面する底面には、第1底面13aaと、第1底面13aaの前方側で第1段差面23aaを介して隣接する第2底面33aaと、第2底面33aaの前方側で第2段差面としてのダスト受け面43aaを介して隣接する第3底面53aaとが含まれる。なお、第3底面53aaの前端側は、下ケース3aの周囲壁3abの前端部13abとなっている。また、周囲壁3abは、吸込口体3が壁面などに衝突した際の衝撃を吸収するためのバンパーである。
【0023】
第1底面13aaは第1間隙S1をもって被清掃面F(例えばフローリング)に対面しており、第2底面33aaは第1間隙S1よりも上下方向に広い第2間隙S2をもって被清掃面Fに対面している。
また、第1底面13aaは第1間隙S1が略一定であるのに対し、第2底面33aaは第2間隙S2が左右方向の中間部133aaから両端部に向かうにつれて上下方向に狭くなっている(図3参照)。すなわち、第1底面13aaは全体的に平坦面であるのに対し、第2底面33aaは前方から視て上方向に凸となる略アーチ形となっている。
【0024】
また、実施形態1の場合、第2底面33aaの中間部133aaは、吸込口3cの左右方向の幅と略等しい幅を有し、かつ、被清掃面Fと略平行な平坦面となっており、その平坦面部分が第2間隙S2で最も広くなっている。また、第2底面33aaにおける左右両端部から中間部133aaまでの間は平坦な傾斜面または前方から視て緩やかな上方向に凸となる曲面となっている。
なお、一例として、第1間隙S1は0.5mm程度、第2間隙S2は1mm~3mm程度の範囲とすることができるが、この寸法に限定されるものではない。
【0025】
また、下ケース3aにおいて、第1底面13aaと第2底面33aaとの境界付近における左右方向の中間部には吸込口3cが設けられている。実施形態1の場合、吸込口3cは楕円形であるが、吸込口3cの形状は特に限定されず、円形、四角形等でもよい。
第2底面33aaは、平面的に視て(図4参照)、第1底面3aaの左右両端部よりも内側に設けられており、左右方向の中間部から両端部に向かうにつれて前後方向の幅が狭くなる形状に形成されている。
また、平面的に視て、第2底面33aaの中間部には吸込口3cの前部が張り出していると共に、第1段差面23aaは吸込口3cの左右側部に緩やかにカーブしながら接近してリブ3fと接続する凸曲面部を有している。
【0026】
第1段差面23aaは、左右方向の両端部から中間部に向かうにつれて後方へ凹んでおり、第1段差面23aaの中間部は吸込口3cの後部周縁となっている(図4参照)。
また、第2段差面としてのダスト受け面43aaも、左右方向の両端部から中間部143aaに向かうにつれて後方へ凹んでいる。このダスト受け面43aaは、清掃時に吸込口体3を前進させると比較的大きなダストが当たる面であり、これについて詳しくは後述する。
【0027】
第1底面13aaにおける第2底面33aaの左右両外側の平坦面部には、左右一対の起毛布3dが設けられている。
これら左右一対の起毛布3dと前記ローラ13acとで、第1底面13aaと被清掃面Fとの間の第1間隙S1が概ね所定値となるように吸込口体3を支持している。
また、第1底面13aaにおける吸込口3cの左右周縁部から後方周縁部に亘って、第1間隙S1よりも上下方向に狭い第3間隙S3をもって被清掃面Fに接近するリブ3fが設けられている(図3図5参照)。
また、第1底面13aaにおける吸込口3cの後方には左右方向に延びる起毛ブラシ3eが設けられている。
【0028】
また、図5に示すように、下ケース3aの底壁部3aaの上面における吸込口3cの周縁には、上方へ向かうにつれて後方へ突出する短筒状の接続部3gが設けられている。この接続部3gと掃除機本体10の駆動部1の第1通風路1cbとが可撓性ホース6にて接続されている(図1参照)。
さらに、図6図7に示すように、下ケース3aの底壁部3aaの上面における接続部3gの左右両側には、左右一対の支持板3hが互いに対面して設けられると共に、左右一対の支持板3hに左右方向の同一軸心上に円形ボス部3haがそれぞれ形成されている。これら左右一対の円形ボス部3haには、後述するヒンジ部材7が連結される。
【0029】
図1図5図7に示すように、ヒンジ部材7は、左右方向から視てU形の上連結部7aと、上連結部7aに連設された前後方向から視て倒立U形の下連結部7bとを有する。
ヒンジ部材7において、上連結部7aの上方へ突出する前後一対の板状部分7aaには前後方向の同一軸心上に前後一対の円形孔17aaが形成されると共に、下連結部7bの下方へ突出する左右一対の板状部分7baには左右方向の同一軸心上に左右一対の円形孔17baが形成されている。
【0030】
ヒンジ部材7を掃除機本体10の駆動部1に連結する際は、ヒンジ部材7の上連結部7aの前後一対の板状部分7aaを外側にして駆動部1の前後一対の連結片1aeと重ねて、重ねられた前側の板状部分7aaの円形孔17aaと連結片1aeの円形孔(不図示)とを連通させ、連通したそれらの孔にリベット8を通してかしめることにより連結する(図1参照)。また、重ねられた後側の板状部分7aaの円形孔17aaと連結片1aeの円形孔(不図示)にも同様にリベット8を通してかしめることにより連結する。
【0031】
また、ヒンジ部材7を吸込口体3に連結する際は、ヒンジ部材7の下連結部7bの左右一対の板状部分7baを内側にして吸込口体3の左右一対の支持板3hと重ねて、重ねられた右側の板状部分7baの円形孔17baと支持板3hの円形ボス部3haとを連通させ、連通したそれらの孔にリベット(不図示)を通してかしめることにより連結する。また、重ねられた左側の図示しない板状部分の円形孔と図示しない支持板の円形孔にも同様にリベット(不図示)を通してかしめることにより連結する。
これにより、吸込口体3は、ヒンジ部材7を介して掃除機本体10に対して、左右方向の軸心を中心として前後方向に揺動可能となり、かつ、前後方向の軸心を中心として左右方向に揺動可能となる。
【0032】
<電気掃除機の動作について>
このように構成された実施形態1の電気掃除機Aの動作について、図1図8を参照しながら説明する。なお、図8は実施形態1の吸込口体にてダストを吸引する状態を説明する図であって(A)は正面側から視た状態、(B)は底面側から視た状態である。
床などの清掃(掃除)の際、電気掃除機Aの電源スイッチ1acまたは4aを押すことにより、電動送風機1bが駆動して駆動部1内が負圧となり、それによって吸込口3cからダストを含む空気が吸込口体3内に流入する。この際、吸込口体3の第1底面13aaの第1間隙S1を第2底面33aaの第2間隙S2よりも小さくし、かつ、第1間隙S1よりも上下方向に狭い第3間隙S3をもって被清掃面Fに接近するリブ3fを吸込口3cの左右から後方に亘って設けたことにより、吸込口3cの前部からダストを含む空気が吸い込まれやすくなっている。また、第2間隙S2において、左右方向の両端部側が中間部よりも狭くなっているため、吸込口3cから遠い第2間隙S2の左右両端部側の吸引力の低下が抑えられる。
【0033】
吸込口体3内に流入したダストを含む空気は、可撓性ホース6および駆動部1の第1通風路1cbを通って集塵部2の集塵カップ2a内に空気流入口2abから流入する。集塵部2において、集塵カップ2a内に流入したダストはフィルタ本体2bbに捕捉され、ダストが除去された空気がフィルタ本体2bbを通過して駆動部1の第2通風路1cdに流入し、排気口1aaから外部に排気される。なお、電源スイッチ1acまたは4aをもう一度押すと、電動送風機1bが停止する。
【0034】
図3図4図8(A)および(B)に示すように、被清掃面F(例えばフローリング)上を吸込口体3が矢印A方向に前進しながらダストを吸引する際、ダストの中には第1間隙S1よりも大きいためにダスト受け面43aaに当たる大小のダストD1、D2が含まれる場合がある。なお、ここでの説明では、これらのダストD1、D2の大きさは、第2間隙S2の最も広い中間部133aaの高さよりも小さいものとする。
【0035】
これら大小のダストD1、D2がダスト受け面43aaの中間部143aaの正面にあるときは、ダストD1、D2はダスト受け面43aaに当たることなく吸込口3cの方へ真っ直ぐに吸引される。
また、大小のダストD1、D2がダスト受け面43aaの左右端部側にあってダスト受け面43aaに当たると、ダスト受け面43aaが左右方向の中間部143aaに向かうにつれて後方へ凹んでいるため、吸込口体3が前進することによりダストD1、D2はダスト受け面43aaに沿って中間部143aa側へ移動する。移動したダストD1、D2は、自己が通れる広さ(被清掃面Fからの高さ)を有する第2間隙S2に達すると、そこから吸込口3cへ吸引される。このとき、大きいダストD2は小さいダストD1よりも中間部143aaに近い位置まで移動して吸込口3cへ吸引される。
なお、ダスト受け面43aaに当たるダストが第2間隙S2の最も広い箇所(第2底面33aaの中間部133aaの被清掃面Fからの高さが最も大きい箇所)よりも大きい場合は、使用者が吸込口体3の前部を少し浮かすことによりダストを吸込口3cへ吸引することができる。
【0036】
(実施形態2)
図9は実施形態2の吸込口体にてダストを吸引する状態を説明する図であって(A)は正面側から視た状態、(B)は底面側から視た状態である。なお、図9(A)および(B)において、図8(A)および(B)中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
実施形態2の吸込口体3Xは、第2底面33aaの構成が実施形態1とは異なる以外は、実施形態1の吸込口体3と概ね同様に構成されている。以下、実施形態2における実施形態1とは異なる点を主に説明する。
【0037】
実施形態2の吸込口体3Xでは、実施形態1(図3図4図8等)で説明した吸込口体3の第2間隙S2の最も広い箇所、すなわち、第2底面33aaの中間部133aaの被清掃面Fからの高さよりも少し大きいダストD3を吸引できるように構成されている。
具体的には、吸込口体3Xにおいて、第2底面33aaの中間部133aaにおけるダスト受け面43aaから吸込口3cに亘る範囲に前後方向の溝部233aaが設けられている。
この溝部233aaの被清掃面Fからの高さHは、第2底面33aaの中間部133aaの被清掃面Fからの高さ(第2間隙S2の最も広い部分)よりも高くなっており、例えば、4mm程度となっている。また、溝部233aaの左右方向の幅Wも4mm程度となっている。なお、溝部233aaの高さHおよび幅Wは、この寸法に限定されるものではない。
【0038】
このように第2底面33aaの中間部133aaに前後方向の溝部233aaを設けることにより、被清掃面F(例えばフローリング)上を吸込口体3Xが矢印A方向に前進しながらダストD3を吸引する際、ダストD3が第2間隙S2よりも大きくても、溝部233aaを通過できる大きさであれば吸込口3cへ吸引される。なお、ダストが溝部233aaを通過できない大きさであれば、使用者が吸込口体3の前部を少し浮かすことによりダストを吸込口3cへ吸引することができる。
【0039】
(実施形態3)
図10は実施形態3の吸込口体にてダストを吸引する状態を説明する図であって(A)は正面側から視た状態、(B)は底面側から視た状態である。なお、図10(A)および(B)において、図8(A)および(B)中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
実施形態3の吸込口体3Yは、第2底面333aaの構成が実施形態1とは異なる以外は、実施形態1の吸込口体3と概ね同様に構成されている。以下、実施形態3における実施形態1とは異なる点を主に説明する。
【0040】
実施形態3の吸込口体3Yでは、第2底面333aaが階段状に形成されている。
具体的には、第2底面333aaは、左右方向の中間部から両端部側へ向かうにつれて第2間隙S2が狭くなるよう階段状に形成されている。なお、実施形態3における第2間隙S2の最も広い高さおよび最も狭い高さは、実施形態1における第2間隙S2の最も広い高さおよび最も狭い高さはと同じに設定されている。
このように構成された実施形態3の吸込口体3Yも、実施形態1の吸込口体3と同様の作用効果を奏する。
【0041】
(実施形態4)
実施形態3の吸込口体3Yにおける第2底面333aaの左右方向の中間部に、実施形態2で説明した溝部233aa(図9参照)を設けてもよい。
【0042】
(他の実施形態)
1.実施形態1~3の吸込口体では、第1底面における吸込口の周囲の左右部から後部に亘ってリブが設けられた場合を例示したが、リブを省略してもよい。あるいは、リブを第1底面における第1段差面の左右方向の両端部から、第1段差面に沿って吸込口の周囲の後部に亘って設けてもよい。さらには、吸込口の後方の起毛ブラシ3e(図4参照)を省略し、リブの位置に起毛ブラシを設けてもよい。この場合、起毛ブラシが、吸込口の後部および左右部を囲い、かつ、第1底面における第2底面との境界領域まで延びてもよい。
【0043】
2.実施形態1~3の吸込口体では、ダスト受け面が左右両端部から中間部に向かうにつれて後方へ凹んだ場合を例示したが、ダスト受け面は左右方向に真っ直ぐな平坦面でもよい。なお、ダスト受け面が左右方向に真っ直ぐな平坦面であっても、ダスト受け面を通過できる大きさのダストであれば吸込口まで吸引可能である。
【0044】
3.実施形態1~3の吸込口体では、第1底面の前部の左右両端部に一対の起毛布を設け、かつ、後部にローラを設け、これら3点で第1底面が被清掃面から第1間隙をもって支持される場合を例示したが、左右一対の起毛布の代わりに、ローラよりも軸方向の幅が短い車輪を用いてもよい。さらには、ローラも車輪に代えてもよい。このようにすれば、吸込口体を小さい摩擦抵抗で絨毯または畳の上を移動させて清掃することも可能となる。
【0045】
4.実施形態1~3では吸込口体が掃除機本体と可撓性ホースおよびヒンジ部材にて連結されたスティック型の電気掃除機を例示したが、本発明の吸込口体は他の電気掃除機にも適用可能である。この場合、ヒンジ部材の機能を有する関節部と、可撓性ホースの機能を有する関節部に接続された接続管部とを吸込口体に一体的に設け、この吸込口体の接続管部をキャニスター型の電気掃除機の延長パイプに着脱可能に接続して使用してもよい。あるいは、手元ハンドルを有する掃除機本体に直接または延長管を介して吸込口体の接続管部を着脱可能に接続して、ハンディ型またはスティック型またはキャニスター型の電気掃除機として使用してもよい。
【0046】
(まとめ)
本発明の電気掃除機の吸込口体は、第1間隙をもって被清掃面に対面するように構成された第1底面と、前記第1底面と進行方向前方側で隣接しかつ前記第1間隙よりも広い第2間隙をもって被清掃面に対面するように構成された第2底面と、前記第1底面と前記第2底面との境界付近において前記進行方向に対する左右方向の中間部に設けられた吸込口とを有し、
前記第2間隙が前記左右方向の中間部から両端部に向かうにつれて狭くなるように前記第2底面が形成されている。
この構成によれば、吸込口の前方側からダストを含む空気が流入しやすくなるため、吸込口の前部側において強い吸引力を維持しやすくなる。さらに、吸込口の前方の第2間隙は、第2底面の左右方向の中間部から両端部に向かうにつれて上下方向に狭くなっているため、吸込口から左右方向の距離が遠い両端部においては吸引時の空気の流速が速くなって強い吸引力を維持しやすくなる。よって、本発明の吸込口体を電気掃除機の掃除機本体に接続することにより掃除性能を向上させることができる。
【0047】
本発明の電気掃除機の吸込口体は、次のように構成されてもよく、それらが適宜組み合わされてもよい。
(1)前記第1底面における前記吸込口の周囲の左右位置から後方位置に亘って、前記第1間隙よりも上下方向に狭い第3間隙をもって被清掃面に近接するリブが設けられていてもよい。
この構成によれば、リブによって吸込口の左右および後方からの空気の吸引を抑えることができるため、吸込口の前部側から効率よく吸引することができる。
【0048】
(2)前記第2底面の前端に沿って設けられて前記前方に面するダスト受け面をさらに有し、
前記ダスト受け面は、平面的に視て、前記左右方向の両端部側から中間部に向かうにつれて後方へ凹んでいてもよい。
この構成によれば、吸込口体を前進させることによりダスト受け面に当たったダストを第2間隙が広い左右方向の中間部側へ誘導することができ、ダストの吸込口への吸引を効率よく行うことができる。
【0049】
(3)前記第2底面の前記中間部における前記ダスト受け面から前記吸込口に亘る範囲に溝部が設けられてもよい。
この構成によれば、第2間隙の最も広いより箇所よりも大きいダストを溝部を通して吸込口へ吸引させることができる。
【0050】
(4)前記第1底面において、前記第2底面の前記左右方向の両端部外側に左右一対の平坦面部が設けられ、かつ、前記左右一対の平坦面部に左右一対の起毛布が設けられ、かつ、後部にローラが回転可能に設けられており、
前記左右一対の起毛布および前記ローラによって前記第1底面が被清掃面上に前記第1間隙をもって支持されてもよい。
この構成によれば、吸込口体の第1底面と被清掃面との間の第1間隙が所定の狭い間隙寸法となるように、構成が簡単な左右一対の起毛布およびローラの3点で吸込口体を支持することができると共に、吸込口体の被清掃面(例えばフローリング)との摩擦抵抗を小さくして使用性を向上させることができる。
【0051】
なお、開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0052】
3、3X、3Y 吸込口体
3c 吸込口
3d 起毛布
3f リブ
13aa 第1底面
13ac ローラ
33aa 第2底面
43aa ダスト受け面
133aa 中間部
143aa 中間部
233aa 溝部
A 電気掃除機
F 被清掃面
S1 第1間隙
S2 第2間隙
S3 第3間隙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10