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特許7190337回折光学レンズを具備した多重映像ディスプレイ装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】回折光学レンズを具備した多重映像ディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20221208BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
H04N5/64 511A
【請求項の数】 38
(21)【出願番号】P 2018217541
(22)【出願日】2018-11-20
(65)【公開番号】P2019101424
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2021-10-20
(31)【優先権主張番号】10-2017-0165233
(32)【優先日】2017-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】李 彰 健
(72)【発明者】
【氏名】徐 元 澤
(72)【発明者】
【氏名】成 基 榮
(72)【発明者】
【氏名】李 泓 錫
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-225341(JP,A)
【文献】特開平07-043633(JP,A)
【文献】特開平01-092718(JP,A)
【文献】特開2015-184561(JP,A)
【文献】特開2015-161737(JP,A)
【文献】米国特許第09658453(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/02
G02B 27/01
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光の波長及び偏光状態によって異なる焦点距離を有する回折光学レンズと、
第1色相映像、第2色相映像及び第3色相映像を有する第1映像を形成する映像形成装置と、
前記第1映像、及び前記第1映像と異なる経路から来る第2映像を、前記回折光学レンズに伝達し、前記第1色相映像、前記第2色相映像及び前記第3色相映像の光路長をそれぞれ異ならせ、前記回折光学レンズの色収差を相殺するように構成される光学系と、を含み、
前記光学系は、前記第1映像の光路上において、前記第1色相映像を、前記回折光学レンズに対して、第1位置に結像させ、前記第2色相映像を、前記回折光学レンズに対して、前記第1位置より遠い第2位置に結像させ、前記第3色相映像を、前記回折光学レンズに対して、前記第2位置より遠い第3位置に結像させ、
前記回折光学レンズは、前記第1色相映像、前記第2色相映像及び前記第3色相映像を同一平面上に結像させる多重映像ディスプレイ装置。
【請求項2】
入射光の波長及び偏光状態によって異なる焦点距離を有する回折光学レンズと、
第1色相映像、第2色相映像及び第3色相映像を有する第1映像を形成する映像形成装置と、
前記第1映像、及び前記第1映像と異なる経路から来る第2映像を、前記回折光学レンズに伝達し、前記第1色相映像、前記第2色相映像及び前記第3色相映像の光路長をそれぞれ異ならせ、前記回折光学レンズの色収差を相殺するように構成される光学系と、を含み、
前記光学系は、
偏光状態により、入射光を透過させたり反射させたりする第1ビームスプリッタと、
前記第1ビームスプリッタの第1面に対向して配置されたダイクロイックミラースタックと、
前記第1ビームスプリッタの第2面に対向して配置され、前記ダイクロイックミラースタックから反射された前記第1色相映像、前記第2色相映像及び前記第3色相映像を、前記第1映像の光路上の互いに異なる位置にフォーカシングするレンズ要素と、
前記第1映像を前記回折光学レンズに反射させ、前記第2映像を、前記回折光学レンズに透過させる第2ビームスプリッタと、を含む多重映像ディスプレイ装置。
【請求項3】
前記映像形成装置は、
前記第1ビームスプリッタの第2面に対して反対側面である前記第1ビームスプリッタの第3面に対向して配置された光源と、
前記第1ビームスプリッタの第1面に対して反対側面である前記第1ビームスプリッタの第4面に対向して配置された空間光変調器と、を含むことを特徴とする請求項2に記載の多重映像ディスプレイ装置。
【請求項4】
前記ダイクロイックミラースタックは、
前記第1ビームスプリッタの第1面に配置されたものであり、前記第1色相映像を反射させ、前記第2色相映像及び前記第3色相映像を透過させる第1ダイクロイックミラーと、
前記第1ダイクロイックミラー上に配置されたものであり、前記第2色相映像を反射させ、前記第3色相映像を透過させる第2ダイクロイックミラーと、
前記第2ダイクロイックミラー上に配置されたものであり、前記第3色相映像を反射させる第3ダイクロイックミラーと、を含み、
前記第1ビームスプリッタの第1面から遠くなる方向に、前記第1ダイクロイックミラー、第2ダイクロイックミラー及び第3ダイクロイックミラーが順次に積層されていることを特徴とする請求項2または3に記載の多重映像ディスプレイ装置。
【請求項5】
前記光学系は、前記第1ビームスプリッタと前記ダイクロイックミラースタックとの間に配置された1/4波長板をさらに含むことを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載の多重映像ディスプレイ装置。
【請求項6】
前記光学系は、前記第2ビームスプリッタと前記回折光学レンズとの間に配置された1/4波長板をさらに含むことを特徴とする請求項2~5のいずれか一項に記載の多重映像ディスプレイ装置。
【請求項7】
前記光学系は、前記第2映像の光路上に配置され、前記第2ビームスプリッタに入射する前記第2映像の偏光状態を選択する偏光板をさらに含むことを特徴とする請求項2~5のいずれか一項に記載の多重映像ディスプレイ装置。
【請求項8】
入射光の波長及び偏光状態によって異なる焦点距離を有する回折光学レンズと、
第1色相映像、第2色相映像及び第3色相映像を有する第1映像を形成し、かつ、ディスプレイパネルを含む映像形成装置と、
前記第1映像、及び前記第1映像と異なる経路から来る第2映像を、前記回折光学レンズに伝達し、前記第1色相映像、前記第2色相映像及び前記第3色相映像の光路長をそれぞれ異ならせ、前記回折光学レンズの色収差を相殺するように構成される光学系と、を含み、
前記光学系は、
前記第1色相映像を前記回折光学レンズに反射させ、前記第2色相映像及び前記第3色相映像を透過させる第1ダイクロイックミラーと、
前記第2色相映像を前記回折光学レンズに反射させ、前記第3色相映像を透過させる第2ダイクロイックミラーと、
前記第3色相映像を前記回折光学レンズに反射させる第3ダイクロイックミラーと、を含み、
前記回折光学レンズから遠くなる方向に、前記第1ダイクロイックミラー、第2ダイクロイックミラー及び第3ダイクロイックミラーが順次に配置されている多重映像ディスプレイ装置。
【請求項9】
前記第2ダイクロイックミラーは、前記第1ダイクロイックミラーと離隔されて配置され、前記第3ダイクロイックミラーは、前記第2ダイクロイックミラーと離隔されて配置されることを特徴とする請求項8に記載の多重映像ディスプレイ装置。
【請求項10】
前記第1ダイクロイックミラーは、前記第1色相映像を反射させる第1面と、前記第2映像を透過させる第2面と、を含み、
前記第2ダイクロイックミラーは、前記第2色相映像を反射させる第1面と、前記第2映像を透過させる第2面と、を含み、
前記第3ダイクロイックミラーは、前記第3色相映像を反射させる第1面と、前記第2映像を透過させる第2面と、を含むことを特徴とする請求項8または9に記載の多重映像ディスプレイ装置。
【請求項11】
入射光の波長及び偏光状態によって異なる焦点距離を有する回折光学レンズと、
第1色相映像、第2色相映像及び第3色相映像を有する第1映像を形成し、かつ、ディスプレイパネルを含む映像形成装置と、
前記第1映像、及び前記第1映像と異なる経路から来る第2映像を、前記回折光学レンズに伝達し、前記第1色相映像、前記第2色相映像及び前記第3色相映像の光路長をそれぞれ異ならせ、前記回折光学レンズの色収差を相殺するように構成される光学系と、を含み、
前記光学系は、
前記第1映像を前記回折光学レンズに反射させ、前記第2映像を透過させるビームスプリッタと、
前記第1色相映像を前記ビームスプリッタに反射させ、前記第2色相映像及び前記第3色相映像を透過させる第1ダイクロイックミラーと、
前記第2色相映像を前記ビームスプリッタに反射させ、前記第3色相映像を透過させる第2ダイクロイックミラーと、
前記第3色相映像を前記ビームスプリッタに反射させる第3ダイクロイックミラーと、を含み、
前記回折光学レンズから遠くなる方向に、前記第1ダイクロイックミラー、第2ダイクロイックミラー及び第3ダイクロイックミラーが順次に配置されている多重映像ディスプレイ装置。
【請求項12】
前記ビームスプリッタから遠くなる方向に、前記第1ダイクロイックミラー、第2ダイクロイックミラー及び第3ダイクロイックミラーが順次に配置されており、
前記第2ダイクロイックミラーは、前記第1ダイクロイックミラーと離隔されて配置され、前記第3ダイクロイックミラーは、前記第2ダイクロイックミラーと離隔されて配置されることを特徴とする請求項11に記載の多重映像ディスプレイ装置。
【請求項13】
前記光学系は、前記映像形成装置と前記ビームスプリッタとの間の前記第1映像の光路上に配置されたものであり、前記第1色相映像、前記第2色相映像及び前記第3色相映像を光路上の互いに異なる位置にフォーカシングするレンズ要素をさらに含むことを特徴とする請求項11または12に記載の多重映像ディスプレイ装置。
【請求項14】
入射光の波長及び偏光状態によって異なる焦点距離を有する回折光学レンズと、
第1色相映像、第2色相映像及び第3色相映像を有する第1映像を形成し、かつ、ディスプレイパネルを含む映像形成装置と、
前記第1映像、及び前記第1映像と異なる経路から来る第2映像を、前記回折光学レンズに伝達し、前記第1色相映像、前記第2色相映像及び前記第3色相映像の光路長をそれぞれ異ならせ、前記回折光学レンズの色収差を相殺するように構成される光学系と、を含み、
前記光学系は、
前記第1映像を前記回折光学レンズに反射させ、前記第2映像を透過させるビームスプリッタと、
前記映像形成装置と前記ビームスプリッタとの間の前記第1映像の光路上に配置されたものであり、前記第1映像をフォーカシングする第1レンズ要素と、
前記映像形成装置と前記ビームスプリッタとの間の前記第1映像の光路上に配置されたものであり、前記第1映像を、前記第1色相映像、前記第2色相映像及び前記第3色相映像に分離するように、前記第1レンズ要素より高い分散値を有する第2レンズ要素と、を含む多重映像ディスプレイ装置。
【請求項15】
前記第2レンズ要素の前記分散値は、前記回折光学レンズの色収差を相殺するように選択されることを特徴とする請求項14に記載の多重映像ディスプレイ装置。
【請求項16】
前記光学系は、前記映像形成装置と前記ビームスプリッタとの間の前記第1映像の光路上に配置され、前記第1映像を前記ビームスプリッタに反射させるミラーをさらに含むことを特徴とする請求項14または15に記載の多重映像ディスプレイ装置。
【請求項17】
入射光の波長及び偏光状態によって異なる焦点距離を有する回折光学レンズと、
第1色相映像、第2色相映像及び第3色相映像を有する第1映像を形成し、かつ、ディスプレイパネルを含む映像形成装置と、
前記第1映像、及び前記第1映像と異なる経路から来る第2映像を、前記回折光学レンズに伝達し、前記第1色相映像、前記第2色相映像及び前記第3色相映像の光路長をそれぞれ異ならせ、前記回折光学レンズの色収差を相殺するように構成される光学系と、を含み、
前記光学系は、前記第1映像を前記回折光学レンズに反射させ、前記第2映像を透過させる格子要素を含み、
前記格子要素は、前記第1色相映像を第1角度で収斂させ、前記第2色相映像を、第1角度より小さい第2角度で収斂させ、前記第3色相映像を、第2角度より小さい第3角度で収斂させる多重映像ディスプレイ装置。
【請求項18】
前記格子要素は、ホログラム格子または表面凹凸格子を含むことを特徴とする請求項17に記載の多重映像ディスプレイ装置。
【請求項19】
入射光の波長及び偏光状態によって異なる焦点距離を有する回折光学レンズと、
第1色相映像、第2色相映像及び第3色相映像を有する第1映像を形成し、かつ、ディスプレイパネルを含む映像形成装置と、
前記第1映像、及び前記第1映像と異なる経路から来る第2映像を、前記回折光学レンズに伝達し、前記第1色相映像、前記第2色相映像及び前記第3色相映像の光路長をそれぞれ異ならせ、前記回折光学レンズの色収差を相殺するように構成される光学系と、を含み、
前記光学系は、
前記第1色相映像を、前記回折光学レンズに反射及び拡散させ、前記第2色相映像及び前記第3色相映像を透過させる第1拡散板と、
前記第2色相映像を、前記回折光学レンズに反射及び拡散させ、前記第3色相映像を透過させる第2拡散板と、
前記第3色相映像を、前記回折光学レンズに反射及び拡散させる第3拡散板と、を含み、
前記回折光学レンズから遠くなる方向に、前記第1拡散板、第2拡散板及び第3拡散板が順次に配置されている多重映像ディスプレイ装置。
【請求項20】
前記第2拡散板は、前記第1拡散板と離隔されて配置され、前記第3拡散板は、前記第2拡散板と離隔されて配置されることを特徴とする請求項19に記載の多重映像ディスプレイ装置。
【請求項21】
前記第1拡散板は、前記第1色相映像を反射させて拡散させる第1面と、前記第2映像を透過させる第2面と、を含み、
前記第2拡散板は、前記第2色相映像を反射させて拡散させる第1面と、前記第2映像を透過させる第2面と、を含み、
前記第3拡散板は、前記第3色相映像を反射させて拡散させる第1面と、前記第2映像を透過させる第2面と、を含むことを特徴とする請求項19または20に記載の多重映像ディスプレイ装置。
【請求項22】
入射光の波長及び偏光状態によって異なる焦点距離を有する回折光学レンズと、
第1色相映像、第2色相映像及び第3色相映像を有する第1映像を形成し、かつ、ディスプレイパネルを含む映像形成装置と、
前記第1映像、及び前記第1映像と異なる経路から来る第2映像を、前記回折光学レンズに伝達し、前記第1色相映像、前記第2色相映像及び前記第3色相映像の光路長をそれぞれ異ならせ、前記回折光学レンズの色収差を相殺するように構成される光学系と、を含み、
前記光学系は、
前記ディスプレイパネルと対向して配置されたダイクロイックミラースタックと、
前記ディスプレイパネルと前記ダイクロイックミラースタックとの間に配置されたものであり、偏光状態により、入射光を透過させたり反射させたりする第1ビームスプリッタと、
前記第1映像を前記回折光学レンズに反射させ、前記第2映像を透過させる第2ビームスプリッタと、を含み、
前記ダイクロイックミラースタックは、
前記第1色相映像を反射させて集光し、前記第2色相映像及び前記第3色相映像を透過させる第1ダイクロイック凹ミラーと、
前記第2色相映像を反射させて集光し、前記第3色相映像を透過させる第2ダイクロイック凹ミラーと、
前記第3色相映像を反射させて集光する第3ダイクロイック凹ミラーと、を含み、
前記第1ビームスプリッタから遠くなる方向に、前記第1ダイクロイック凹ミラー、第2ダイクロイック凹ミラー及び第3ダイクロイック凹ミラーが順次に積層されている多重映像ディスプレイ装置。
【請求項23】
入射光の波長及び偏光状態によって異なる焦点距離を有する回折光学レンズと、
第1色相映像、第2色相映像及び第3色相映像を有する第1映像を形成し、かつ、ディスプレイパネルを含む映像形成装置と、
前記第1映像、及び前記第1映像と異なる経路から来る第2映像を、前記回折光学レンズに伝達し、前記第1色相映像、前記第2色相映像及び前記第3色相映像の光路長をそれぞれ異ならせ、前記回折光学レンズの色収差を相殺するように構成される光学系と、を含み、
前記光学系は、
前記第1映像が入射する第1入光面、前記第2映像が入射する第2入光面、前記第1映像及び前記第2映像が出射する出光面、及び前記第1入光面に対向する傾いた傾斜面を有し、前記第1入光面から出光面に光を伝達する光導波路と、
前記光導波路の傾斜面に配置されたダイクロイックミラースタックと、を含む多重映像ディスプレイ装置。
【請求項24】
前記ダイクロイックミラースタックは、
前記第1色相映像を反射させ、前記第2色相映像及び前記第3色相映像を透過させる第1ダイクロイックミラーと、
前記第2色相映像を反射させ、前記第3色相映像を透過させる第2ダイクロイックミラーと、
前記第3色相映像を反射させる第3ダイクロイックミラーと、を含み、
前記光導波路の傾斜面から遠くなる方向に、前記第1ダイクロイックミラー、第2ダイクロイックミラー及び第3ダイクロイックミラーが順次に積層されていることを特徴とする請求項23に記載の多重映像ディスプレイ装置。
【請求項25】
前記回折光学レンズは、前記光導波路の出光面に付着していることを特徴とする請求項23または24に記載の多重映像ディスプレイ装置。
【請求項26】
前記光学系は、前記光導波路の出光面に対向する前記光導波路の第2入光面に配置され、入射光を、前記光導波路の出光面に向けて垂直方向に反射させる回折格子をさらに含むことを特徴とする請求項23~25のいずれか一項に記載の多重映像ディスプレイ装置。
【請求項27】
前記光学系は、前記光導波路の出光面に対向して前記光導波路内部に配置された半透過ミラーをさらに含み、前記半透過ミラーは、非球面反射面を有することを特徴とする請求項23~25のいずれか一項に記載の多重映像ディスプレイ装置。
【請求項28】
入射光の波長及び偏光状態によって異なる焦点距離を有する回折光学レンズと、
第1色相映像、第2色相映像及び第3色相映像を有する第1映像を形成する映像形成装置と、
前記第1映像、及び前記第1映像と異なる経路から来る第2映像を、前記回折光学レンズに伝達し、前記第1色相映像、前記第2色相映像及び前記第3色相映像の光路長をそれぞれ異ならせ、前記回折光学レンズの色収差を相殺するように構成される光学系と、を含み、
前記映像形成装置は、
前記第1色相映像を形成する第1ディスプレイパネルと、
前記第2色相映像を形成する第2ディスプレイパネルと、
前記第3色相映像を形成する第3ディスプレイパネルと、を含む多重映像ディスプレイ装置。
【請求項29】
前記光学系は、
前記第1ディスプレイパネルと対向する第1入光面、前記第2ディスプレイパネルと対向する第2入光面、前記第3ディスプレイパネルと対向する第3入光面、及び出光面を有する六面体形態の第1ビームスプリッタと、
前記第1映像を前記回折光学レンズに反射させ、前記第2映像を透過させる第2ビームスプリッタと、を含むことを特徴とする請求項28に記載の多重映像ディスプレイ装置。
【請求項30】
前記第2ディスプレイパネルと前記第2入光面との第2距離は、前記第1ディスプレイパネルと前記第1入光面との第1距離より長く、前記第3ディスプレイパネルと前記第3入光面との第3距離は、前記第2ディスプレイパネルと前記第2入光面との第2距離より長いことを特徴とする請求項29に記載の多重映像ディスプレイ装置。
【請求項31】
前記光学系は、前記第1ビームスプリッタと前記空間光変調器の間に配置された第2 1/4波長板をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の多重映像ディスプレイ装置。
【請求項32】
前記回折光学レンズは、第1偏光状態の光を集束させ、第2偏光状態の光を、屈折なしに透過させるように構成されたことを特徴とする請求項1~31のいずれか一項に記載の多重映像ディスプレイ装置。
【請求項33】
前記光学系は、前記第1映像が、前記第1偏光状態で、前記回折光学レンズに入射し、前記第2映像が、前記第2偏光状態で、前記回折光学レンズに入射するように、前記第1映像及び前記第2映像の偏光状態を制御することを特徴とする請求項32に記載の多重映像ディスプレイ装置。
【請求項34】
前記回折光学レンズは、前記第1色相映像について、第1焦点距離を有し、前記第2色相映像について、前記第1焦点距離より長い第2焦点距離を有し、前記第3色相映像について、前記第2焦点距離より長い第3焦点距離を有し、
前記第1色相映像は、第1光路長を有し、前記第2色相映像は、前記第1光路長より長い第2光路長を有し、前記第3色相映像は、前記第2光路長より長い第3光路長を有することを特徴とする請求項1~33のいずれか一項に記載の多重映像ディスプレイ装置。
【請求項35】
前記映像形成装置は、ディスプレイパネルを含むことを特徴とする請求項1に記載の多重映像ディスプレイ装置。
【請求項36】
入射光の波長及び偏光状態によって変わる焦点距離を有する回折光学レンズと、
第1色相映像、第2色相映像及び第3色相映像を有する第1映像を形成する第1映像形成装置と、
第2映像を形成する第2映像形成装置と、
前記第1色相映像が第1光路長を有するようにし、前記第2色相映像が第1光路長と異なる第2光路長を有するようにし、前記第3色相映像が第1光路長及び第2光路長と異なる第3光路長を有するように構成され、前記第1映像形成装置によって形成された前記第1映像と、前記第2映像形成装置によって形成された前記第2映像とを、前記回折光学レンズに提供するように構成された光学系と、を含み、
前記回折光学レンズは、前記第1色相映像、前記第2色相映像、及び前記第3色相映像を同一平面内にフォーカシングするように構成され
前記光学系は、
前記第1映像形成装置から入射する光の偏光状態により、入射光を透過させたり反射させたりする第1ビームスプリッタと、
前記第1ビームスプリッタの第1面に対向して配置されたダイクロイックミラースタックと、
前記第1ビームスプリッタの第2面に対向して配置され、前記ダイクロイックミラースタックから反射された前記第1色相映像、前記第2色相映像及び前記第3色相映像を、前記第1映像の光路上の互いに異なる位置にフォーカシングするレンズ要素と、
前記第1映像を前記回折光学レンズに反射させ、前記第2映像を、前記回折光学レンズに透過させる第2ビームスプリッタと、を含む多重映像ディスプレイ装置。
【請求項37】
前記ダイクロイックミラースタックは、
前記第1ビームスプリッタの第1面に配置されたものであり、前記第1色相映像を反射させ、前記第2色相映像及び前記第3色相映像を透過させる第1ダイクロイックミラーと、
前記第1ダイクロイックミラー上に配置されたものであり、前記第2色相映像を反射させ、前記第3色相映像を透過させる第2ダイクロイックミラーと、
前記第2ダイクロイックミラー上に配置されたものであり、前記第3色相映像を反射させる第3ダイクロイックミラーと、を含むことを特徴とする請求項36に記載の多重映像ディスプレイ装置。
【請求項38】
前記回折光学レンズは、前記第1色相映像について、第1焦点距離を有し、前記第2色相映像について、前記第1焦点距離より長い第2焦点距離を有し、前記第3色相映像について、前記第2焦点距離より長い第3焦点距離を有することを特徴とする請求項36または37に記載の多重映像ディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡張現実システムのような多重映像ディスプレイ装置に係り、さらに詳細には、回折光学レンズを利用し、広視野角を具現しながら、回折光学レンズの色収差を改善した多重映像ディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、仮想現実(VR:virtual reality)を具現することができる電子機器及びディスプレイ装置が開発されながら、仮想現実(VR)への関心が高まっている。仮想現実の次の段階として、拡張現実(AR:augmented reality)及び混合現実(MR: mixed reality)を実現することができる技術も研究されている。
【0003】
拡張現実(AR)は、完全仮想世界を前提にする仮想現実とは異なり、現実世界の環境上に仮想の対象や情報を重ねて(結合して)示すことにより、現実の効果をさらに増大させるディスプレイ技術である。仮想現実が、ゲームや仮想体験のような分野にだけ限定的に適用が可能であるならば、拡張現実は、多様な現実環境に応用が可能であるという長所がある。特に、拡張現実は、ユビキタス(ubiquitous)環境やモノのインターネット(IoT:internet of things)環境に適する次世代ディスプレイ技術として注目されている。そのような拡張現実は、現実世界と、付加的な情報(仮想世界)とを混合して示すという点において、混合現実(MR)の一例であると言うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2017/0115484号明細書
【文献】特開2001-183605号公報
【文献】米国特許第9191568号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、拡張現実または混合現実の具現に適用される多重映像ディスプレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態による多重映像ディスプレイ装置は、入射光の波長及び偏光状態によって異なる焦点距離を有する回折光学レンズと、第1色相映像、第2色相映像及び第3色相映像を有する第1映像を形成する映像形成装置と、前記第1映像、及び前記第1映像と異なる経路から来る第2映像を、前記回折光学レンズに伝達し、前記第1色相映像、前記第2色相映像及び前記第3色相映像の光路長をそれぞれ異ならせ、前記回折光学レンズの色収差を相殺するように構成される光学系と、を含んでもよい。
【0007】
前記回折光学レンズは、第1偏光状態の光を集束させ、第2偏光状態の光を、屈折なしに透過させるように構成されてもよい。
【0008】
前記光学系は、前記第1映像が、前記第1偏光状態で、前記回折光学レンズに入射し、前記第2映像が、前記第2偏光状態で、前記回折光学レンズに入射するように、前記第1映像及び前記第2映像の偏光状態を制御することができる。
【0009】
前記回折光学レンズは、前記第1色相映像について、第1焦点距離を有し、前記第2色相映像について、前記第1焦点距離より長い第2焦点距離を有し、前記第3色相映像について、前記第2焦点距離より長い第3焦点距離を有し、前記第1色相映像は、第1光路長を有し、前記第2色相映像は、前記第1光路長より長い第2光路長を有し、前記第3色相映像は、前記第2光路長より長い第3光路長を有することができる。
【0010】
前記光学系は、前記第1映像の光路上において、前記第1色相映像を、前記回折光学レンズに対して、第1位置に結像させ、前記第2色相映像を、前記回折光学レンズに対して、前記第1位置より遠い第2位置に結像させ、前記第3色相映像を、前記回折光学レンズに対して、前記第2位置より遠い第3位置に結像させ、前記回折光学レンズは、前記第1色相映像、前記第2色相映像及び前記第3色相映像を同一平面上に結像させることができる。
【0011】
前記光学系は、偏光状態により、入射光を透過させたり反射させたりする第1ビームスプリッタと、前記第1ビームスプリッタの第1面に対向して配置されたダイクロイックミラースタックと、前記第1ビームスプリッタの第2面に対向して配置され、前記ダイクロイックミラースタックから反射された前記第1色相映像、前記第2色相映像及び前記第3色相映像を、前記第1映像の光路上の互いに異なる位置にフォーカシングするレンズ要素と、前記第1映像を前記回折光学レンズに反射させ、前記第2映像を透過させる第2ビームスプリッタと、を含んでもよい。
【0012】
例えば、前記映像形成装置は、前記第1ビームスプリッタの第2面に対して反対側面である前記第1ビームスプリッタの第3面に対向して配置された光源と、前記第1ビームスプリッタの第1面に対して反対側面である前記第1ビームスプリッタの第4面に対向して配置された空間光変調器と、を含んでもよい。
【0013】
前記ダイクロイックミラースタックは、前記第1ビームスプリッタの第1面に配置されたものであり、前記第1色相映像を反射させ、前記第2色相映像及び前記第3色相映像を透過させる第1ダイクロイックミラーと、前記第1ダイクロイックミラー上に配置されたものであり、前記第2色相映像を反射させ、前記第3色相映像を透過させる第2ダイクロイックミラーと、前記第2ダイクロイックミラー上に配置されたものであり、前記第3色相映像を反射させる第3ダイクロイックミラーと、を含み、前記第1ビームスプリッタの第1面から遠くなる方向に、前記第1ダイクロイックミラー、第2ダイクロイックミラー及び第3ダイクロイックミラーが順次に積層されてもよい。
【0014】
前記光学系は、前記第1ビームスプリッタと前記ダイクロイックミラースタックとの間に配置された1/4波長板をさらに含んでもよい。
【0015】
前記光学系は、前記第2ビームスプリッタと前記回折光学レンズとの間に配置された1/4波長板をさらに含んでもよい。
【0016】
前記光学系は、前記第2映像の光路上に配置され、前記第2ビームスプリッタに入射する前記第2映像の偏光状態を選択する偏光板をさらに含んでもよい。
【0017】
例えば、前記映像形成装置は、ディスプレイパネルを含んでもよい。
【0018】
また、前記光学系は、前記第1色相映像を前記回折光学レンズに反射させ、前記第2色相映像及び前記第3色相映像を透過させる第1ダイクロイックミラーと、前記第2色相映像を前記回折光学レンズに反射させ、前記第3色相映像を透過させる第2ダイクロイックミラーと、前記第3色相映像を前記回折光学レンズに反射させる第3ダイクロイックミラーと、を含み、前記回折光学レンズから遠くなる方向に、前記第1ダイクロイックミラー、第2ダイクロイックミラー及び第3ダイクロイックミラーが順次に配置されてもよい。
【0019】
前記第2ダイクロイックミラーは、前記第1ダイクロイックミラーと離隔されて配置され、前記第3ダイクロイックミラーは、前記第2ダイクロイックミラーと離隔されて配置されてもよい。
【0020】
前記第1ダイクロイックミラーは、前記第1色相映像を反射させる第1面と、前記第2映像を透過させる第2面と、を含み、前記第2ダイクロイックミラーは、前記第2色相映像を反射させる第1面と、前記第2映像を透過させる第2面と、を含み、前記第3ダイクロイックミラーは、前記第3色相映像を反射させる第1面と、前記第2映像を透過させる第2面と、を含んでもよい。
【0021】
また、前記光学系は、前記第1映像を前記回折光学レンズに反射させ、前記第2映像を透過させるビームスプリッタと、前記第1色相映像を前記ビームスプリッタに反射させ、前記第2色相映像及び前記第3色相映像を透過させる第1ダイクロイックミラーと、前記第2色相映像を前記ビームスプリッタに反射させ、前記第3色相映像を透過させる第2ダイクロイックミラーと、前記第3色相映像を前記ビームスプリッタに反射させる第3ダイクロイックミラーと、を含み、前記回折光学レンズから遠くなる方向に、前記第1ダイクロイックミラー、第2ダイクロイックミラー及び第3ダイクロイックミラーが順次に配置されてもよい。
【0022】
前記ビームスプリッタから遠くなる方向に、前記第1ダイクロイックミラー、第2ダイクロイックミラー及び第3ダイクロイックミラーが順次に配置されており、前記第2ダイクロイックミラーは、前記第1ダイクロイックミラーと離隔されて配置され、前記第3ダイクロイックミラーは、前記第2ダイクロイックミラーと離隔されて配置されてもよい。
【0023】
前記光学系は、前記映像形成装置と前記ビームスプリッタとの間の前記第1映像の光路上に配置されたものであり、前記第1色相映像、前記第2色相映像及び前記第3色相映像を光路上の互いに異なる位置にフォーカシングするレンズ要素をさらに含んでもよい。
【0024】
また、前記光学系は、前記第1映像を前記回折光学レンズに反射させ、前記第2映像を透過させるビームスプリッタと、前記映像形成装置と前記ビームスプリッタとの間の前記第1映像の光路上に配置されたものであり、前記第1映像をフォーカシングする第1レンズ要素と、前記映像形成装置と前記ビームスプリッタとの間の前記第1映像の光路上に配置されたものであり、前記第1映像を、前記第1色相映像、前記第2色相映像及び前記第3色相映像に分離するように、前記第1レンズ要素より高い分散値を有する第2レンズ要素と、を含んでもよい。
【0025】
前記第2レンズ要素の前記分散値は、前記回折光学レンズの色収差を相殺するように選択されてもよい。
【0026】
前記光学系は、前記映像形成装置と前記ビームスプリッタとの間の前記第1映像の光路上に配置され、前記第1映像を前記ビームスプリッタに反射させるミラーをさらに含んでもよい。
【0027】
また、前記光学系は、前記第1映像を前記回折光学レンズに反射させ、前記第2映像を透過させる格子要素を含み、前記格子要素は、前記第1色相映像を第1角度で収斂させ、前記第2色相映像を、第1角度より小さい第2角度で収斂させ、前記第3色相映像を、第2角度より小さい第3角度で収斂させることができる。
【0028】
例えば、前記格子要素は、ホログラム格子または表面凹凸格子を含んでもよい。
【0029】
また、前記光学系は、前記第1色相映像を、前記回折光学レンズに反射及び拡散させ、前記第2色相映像及び前記第3色相映像を透過させる第1拡散板と、前記第2色相映像を、前記回折光学レンズに反射及び拡散させ、前記第3色相映像を透過させる第2拡散板と、前記第3色相映像を、前記回折光学レンズに反射及び拡散させる第3拡散板と、を含み、前記回折光学レンズから遠くなる方向に、前記第1拡散板、第2拡散板及び第3拡散板が順次に配置されてもよい。
【0030】
前記第2拡散板は、前記第1拡散板と離隔されて配置され、前記第3拡散板は、前記第2拡散板と離隔されて配置されてもよい。
【0031】
前記第1拡散板は、前記第1色相映像を反射させて拡散させる第1面と、前記第2映像を透過させる第2面と、を含み、前記第2拡散板は、前記第2色相映像を反射させて拡散させる第1面と、前記第2映像を透過させる第2面と、を含み、前記第3拡散板は、前記第3色相映像を反射させて拡散させる第1面と、前記第2映像を透過させる第2面と、を含んでもよい。
【0032】
また、前記光学系は、前記ディスプレイパネルと対向して配置されたダイクロイックミラースタックと、前記ディスプレイパネルと前記ダイクロイックミラースタックとの間に配置されたものであり、偏光状態により、入射光を透過させたり反射させたりする第1ビームスプリッタと、前記第1映像を前記回折光学レンズに反射させ、前記第2映像を透過させる第2ビームスプリッタと、を含んでもよい。
【0033】
前記ダイクロイックミラースタックは、前記第1色相映像を反射させて集光し、前記第2色相映像及び前記第3色相映像を透過させる第1ダイクロイック凹ミラーと、前記第2色相映像を反射させて集光し、前記第3色相映像を透過させる第2ダイクロイック凹ミラーと、前記第3色相映像を反射させて集光する第3ダイクロイック凹ミラーと、を含んでもよい。
【0034】
前記第1ビームスプリッタから遠くなる方向に、前記第1ダイクロイック凹ミラー、第2ダイクロイック凹ミラー及び第3ダイクロイック凹ミラーが順次に積層されてもよい。
【0035】
また、前記光学系は、前記第1映像が入射する第1入光面、前記第2映像が入射する第2入光面、前記第1映像及び前記第2映像が出射する出光面、及び前記第1入光面に対向する傾いた傾斜面を有し、前記第1入光面から出光面に光を伝達する光導波路と、前記光導波路の傾斜面に配置されたダイクロイックミラースタックと、を含んでもよい。
【0036】
前記ダイクロイックミラースタックは、前記第1色相映像を反射させ、前記第2色相映像及び前記第3色相映像を透過させる第1ダイクロイックミラーと、前記第2色相映像を反射させ、前記第3色相映像を透過させる第2ダイクロイックミラーと、前記第3色相映像を反射させる第3ダイクロイックミラーと、を含み、前記光導波路の傾斜面から遠くなる方向に、前記第1ダイクロイックミラー、第2ダイクロイックミラー及び第3ダイクロイックミラーが順次に積層されてもよい。
【0037】
前記回折光学レンズは、前記光導波路の出光面に付着されてもよい。
【0038】
前記光学系は、前記光導波路の出光面に対向する前記光導波路の第2入光面に配置され、入射光を、前記光導波路の出光面に向けて垂直方向に反射させる回折格子をさらに含んでもよい。
【0039】
また、前記光学系は、前記光導波路の出光面に対向して前記光導波路内部に配置された半透過ミラーをさらに含んでもよい。
【0040】
前記半透過ミラーは、非球面反射面を有することができる。
【0041】
また、前記映像形成装置は、前記第1色相映像を形成する第1ディスプレイパネルと、前記第2色相映像を形成する第2ディスプレイパネルと、前記第3色相映像を形成する第3ディスプレイパネルと、を含んでもよい。
【0042】
また、前記光学系は、前記第1ディスプレイパネルと対向する第1入光面、前記第2ディスプレイパネルと対向する第2入光面、前記第3ディスプレイパネルと対向する第3入光面、及び出光面を有する六面体形態の第1ビームスプリッタと、前記第1映像を前記回折光学レンズに反射させ、前記第2映像を透過させる第2ビームスプリッタと、を含んでもよい。
【0043】
前記第2ディスプレイパネルと前記第2入光面との第2距離は、前記第1ディスプレイパネルと前記第1入光面との第1距離より長く、前記第3ディスプレイパネルと、前記第3入光面との第3距離は、前記第2ディスプレイパネルと前記第2入光面との第2距離より長くてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】一実施形態による多重映像ディスプレイ装置の構成を概略的に図示する図面である。
図2図1に図示された多重映像ディスプレイ装置の光学系の一実施形態及びその動作原理を示す図面である。
図3図1に図示された多重映像ディスプレイ装置の光学系の他の実施形態及びその動作原理を示す図面である。
図4図1に図示された多重映像ディスプレイ装置の光学系のさらに他の実施形態及びその動作原理を示す図面である。
図5】他の実施形態による多重映像ディスプレイ装置の構成を概略的に図示する図面である。
図6図1及び図5に図示された多重映像ディスプレイ装置の等価的な光学構造を示す図面である。
図7】さらに他の実施形態による多重映像ディスプレイ装置の構成を概略的に図示する図面である。
図8】さらに他の実施形態による多重映像ディスプレイ装置の構成を概略的に図示する図面である。
図9】さらに他の実施形態による多重映像ディスプレイ装置の構成を概略的に図示する図面である。
図10図9に図示された多重映像ディスプレイ装置の格子要素の動作について説明する図面である。
図11図9に図示された多重映像ディスプレイ装置の格子要素の動作について説明する図面である。
図12図9に図示された多重映像ディスプレイ装置の格子要素の動作について説明する図面である。
図13】さらに他の実施形態による多重映像ディスプレイ装置の構成を概略的に図示する図面である。
図14】さらに他の実施形態による多重映像ディスプレイ装置の構成を概略的に図示する図面である。
図15】さらに他の実施形態による多重映像ディスプレイ装置の構成を概略的に図示する図面である。
図16】さらに他の実施形態による多重映像ディスプレイ装置の構成を概略的に図示する図面である。
図17】さらに他の実施形態による多重映像ディスプレイ装置の構成を概略的に図示する図面である。
図18】さらに他の実施形態による多重映像ディスプレイ装置の構成を概略的に図示する図面である。
図19】一実施形態による多重映像ディスプレイ装置の全体的な構造を概略的に示すブロック図である。
図20】他の実施形態による多重映像ディスプレイ装置の全体的な構造を概略的に示すブロック図である。
図21】さらに他の実施形態による多重映像ディスプレイ装置の全体的な構造を概略的に示すブロック図である。
図22図19ないし図21に図示された多重映像ディスプレイ装置を適用することができる一電子機器を図示する図面である。
図23図19ないし図21に図示された多重映像ディスプレイ装置を適用することができる他の電子機器を図示する図面である。
図24図19ないし図21に図示された多重映像ディスプレイ装置を適用することができるさらに他の電子機器を図示する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、添付された図面を参照し、回折光学レンズを具備した多重映像ディスプレイ装置について詳細に説明する。以下の図面において、同一参照符号は、同一構成要素を指し、図面上において、各構成要素の大きさは、説明の明瞭さ及び便宜さのために、誇張されてもいる。また、以下で説明される実施形態は、ただ例示的なものに過ぎず、そのような実施形態から、多様な変形が可能である。また、以下で説明する階層構造において、「上部に」または「上に」と記載された表現は、接触し、すぐ上/下/左/右にあるものだけではなく、非接触で、上/下/左/右にあるものを含んでもよい。また、例えば、「a、b、及びcのうち少なくとも一つ」は、aのみを含むか、bのみを含むか、cのみを含むか、a及びbを含むか、a及びcを含むか、b及びcを含むか、あるいはa、b及びcをいずれも含むと理解することができる。
【0046】
また、以下の説明において、「含む」という表現は、言及された特徴や構成要素の存在を特定するものであり、他の特徴や構成要素の存在または付加を排除するものではないということを理解することができる。
【0047】
図1は、一実施形態による多重映像ディスプレイ装置の構成を概略的に図示する。図1を参照すれば、一実施形態による多重映像ディスプレイ装置は、映像をフォーカシングする回折光学レンズDL、第1映像L10を形成するための映像形成装置I10、並びに第1映像L10、及び第1映像L10と異なる経路から来る第2映像L20を回折光学レンズDLに伝達する光学系OSを含んでもよい。
【0048】
例えば、第1映像L10は、多重映像ディスプレイ装置内において、映像形成装置I10によって形成されて提供される「ディスプレイ映像」として、仮想の現実、または仮想の情報を含んでもよい。第2映像L20は、ユーザが対面する外部映像であってもよい。第2映像L20は、ユーザが対面する前景のイメージを含んでもよく、所定の背景被写体(background subject)を含んでもよい。そのような第2映像L20は、現実世界の映像であってもよい。従って、本実施形態による多重映像ディスプレイ装置は、拡張現実(AR:augmented reality)または混合現実(MR:mixed reality)の具現にも適用される。その場合、前記多重映像ディスプレイ装置は、近眼(near-eye)ARディスプレイ装置であってもよい。
【0049】
映像形成装置I10は、光源LS10と空間光変調器SLMとを含んでもよい。また、空間光変調器SLMは、例えば、GaAsのような化合物半導体基盤の半導体変調器、LCoS(liquid crystal on silicon)パネル、LCD(liquid crystal display)パネル、DLP(digital light projection)パネルなどを含んでもよい。映像形成装置I10は、そのような光源LS10と空間光変調器SLMとを利用し、第1映像L10を形成することができる。光源LS10は、例えば赤色光、緑色光及び青色光をそれぞれ放出する多数の発光ダイオード、または多数のレーザダイオードを含んでもよい。従って、映像形成装置I10によって形成される第1映像L10は、赤色映像、緑色映像及び青色映像を有することができる。
【0050】
光学系OSは、光源LS10から放出された光を空間光変調器SLMに伝達し、空間光変調器SLMで形成された第1映像L10を、回折光学レンズDLに伝達する役割を行う。そのために、光学系OSは、例えば、第1ビームスプリッタBS10、ダイクロイックミラースタックDMS、レンズ要素LE10及び第2ビームスプリッタBS11を含んでもよい。第1ビームスプリッタBS10は、光が入出力される4つの光学面を含んでもよい。例えば、ダイクロイックミラースタックDMSは、第1ビームスプリッタBS10の第1面に対向して配置され、レンズ要素LE10は、第1ビームスプリッタBS10の第2面に対向して配置され、光源LS10は、第2面に対して反対側面である第1ビームスプリッタBS10の第3面に対向して配置され、空間光変調器SLMは、第1面に対して反対側面である第1ビームスプリッタBS10の第4面に対向して配置されてもよい。
【0051】
第1ビームスプリッタBS10は、偏光状態により、入射光を透過させたり反射させたりする偏光ビームスプリッタであってもよい。例えば、第1ビームスプリッタBS10は、第1線偏光成分の光を反射させ、第2線偏光成分の光を透過させることができる。その場合、第1ビームスプリッタBS10の第4面と、空間光変調器SLMとの間に、第1 1/4波長板WP10が配置され、第1ビームスプリッタBS10の第1面と、ダイクロイックミラースタックDMSとの間に、第2 1/4波長板WP11がさらに配置されてもよい。
【0052】
それにより、光源LS10から放出された光のうち、第1線偏光成分は、第1ビームスプリッタBS10によって反射され、第1 1/4波長板WP10を経て、空間光変調器SLMに入射することができる。第2線偏光成分の光は、第1ビームスプリッタBS10をそのまま通過することができる。その代わりに、第1線偏光成分の光のみを放出するように、光源LS10が構成されてもよい。光源LS10と第1ビームスプリッタBS10の第3面との間に、第1線偏光成分の光のみを透過させる偏光板がさらに配置されてもよい。
【0053】
第1 1/4波長板WP10は、線偏光された光を円偏光された光に、またはその逆に変換する役割を行う。例えば、第1 1/4波長板WP10は、第1線偏光成分の光を、第1円偏光成分の光に変換するか、あるいは第1円偏光成分の光を、第1線偏光成分の光に変換し、第2線偏光成分の光を、第2円偏光成分の光に変換するか、あるいは第2円偏光成分の光を、第2線偏光成分の光に変換することができる。従って、空間光変調器SLMには、第1円偏光成分の光が入射することになる。空間光変調器SLMに入射した第1円偏光成分の光は、第1映像L10を有することになる。また、該光は、空間光変調器SLMによって反射されながら、第2円偏光成分に変わり、第1 1/4波長板WP10を透過することになる。それにより、該光は、第2線偏光成分を有することになり、第1ビームスプリッタBS10を透過することができる。
【0054】
第1ビームスプリッタBS10を透過した第2線偏光成分の光は、第1ビームスプリッタBS10の第1面と、第2 1/4波長板WP11とを経て、ダイクロイックミラースタックDMSに入射する。第2線偏光成分の光は、第2 1/4波長板WP11によって第2円偏光成分を有することになる。ダイクロイックミラースタックDMSは、赤色映像を反射させ、緑色映像及び青色映像を透過させる第1ダイクロイックミラーDM1、緑色映像を反射させ、赤色映像及び青色映像を透過させる第2ダイクロイックミラーDM2、並びに青色映像を反射させ、赤色映像及び緑色映像を透過させる第3ダイクロイックミラーDM3を含んでもよい。第1ダイクロイックミラーDM1、第2ダイクロイックミラーDM2及び第3ダイクロイックミラーDM3は、第1ビームスプリッタBS10の第1面から遠くなる方向に順次に積層されてもよい。言い換えれば、第1ダイクロイックミラーDM1、第2ダイクロイックミラーDM2及び第3ダイクロイックミラーDM3が順次に積層され、ダイクロイックミラースタックDMSを形成し、第1ダイクロイックミラーDM1が、第1ビームスプリッタBS10の第1面に最も近いように、ダイクロイックミラースタックDMSが配置されてもよい。
【0055】
第1ダイクロイックミラーDM1、第2ダイクロイックミラーDM2及び第3ダイクロイックミラーDM3によってそれぞれ反射された赤色映像、緑色映像及び青色映像は、第1円偏光成分を有し、第2 1/4波長板WP11を経ながら、第1線偏光成分を有することになる。従って、赤色映像、緑色映像及び青色映像は、第1ビームスプリッタBS10によって反射され、第2ビームスプリッタBS11に向かうことになる。
【0056】
第1ビームスプリッタBS10の第2面と、第2ビームスプリッタBS11との間には、赤色映像、緑色映像及び青色映像をフォーカシングするレンズ要素LE10がさらに配置されてもよい。ダイクロイックミラースタックDMSにおいて、第1ダイクロイックミラーDM1、第2ダイクロイックミラーDM2及び第3ダイクロイックミラーDM3の位置が異なるために、レンズ要素LE10は、赤色映像、緑色映像及び青色映像を、光路上の互いに異なる位置にフォーカシングすることができる。例えば、図1を参照すれば、第1ダイクロイックミラーDM1、第2ダイクロイックミラーDM2及び第3ダイクロイックミラーDM3において、第1ダイクロイックミラーDM1とレンズ要素LE10との距離が最も短く、第3ダイクロイックミラーDM3とレンズ要素LE10との距離が最も長い。従って、赤色映像L11は、レンズ要素LE10から最も遠い第1上平面IP1上にフォーカシングされ、緑色映像L12は、第2上平面IP2上にフォーカシングされ、青色映像L13は、レンズ要素LE10に最も近い第3上平面IP3上にフォーカシングされる。言い換えれば、レンズ要素LE10により、赤色映像L11がフォーカシングされる第1上平面IP1は、回折光学レンズDLに最も近く形成され、レンズ要素LE10により、青色映像L13がフォーカシングされる第3上平面IP3は、回折光学レンズDLから最も遠く形成される。
【0057】
その後、赤色映像L11、緑色映像L12及び青色映像L13を含む第1映像L10は、第2ビームスプリッタBS11によって反射され、回折光学レンズDLに入射することができる。第2ビームスプリッタBS11は、偏光状態により、入射光を透過させたり反射させたりする偏光ビームスプリッタであってもよく、または単に、入射光の半分を反射させて残り半分を透過させる半透過ミラーであってもよい。第2ビームスプリッタBS11が偏光ビームスプリッタである場合、第2ビームスプリッタBS11は、第1線偏光成分の光を反射させ、第2線偏光成分の光を透過させるように構成されてもよい。第1ビームスプリッタBS10から反射され、第2ビームスプリッタBS11に入射する第1映像L10が第1線偏光成分を有するために、第1映像L10は、ほぼ損失なしに、第2ビームスプリッタBS11によっても反射される。
【0058】
前述の方式で、光学系OSは、第1映像L10を回折光学レンズDLに伝達することができる。また、光学系OSは、第1映像L10と異なる経路から来る第2映像L20を回折光学レンズDLに伝達することができる。例えば、図2ないし図4は、図1に図示された多重映像ディスプレイ装置の光学系OSの多様な実施形態及びその動作原理を示す。
【0059】
まず、図2を参照すれば、第2ビームスプリッタBS11は、第1線偏光成分の光を反射させ、第2線偏光成分の光を透過させる偏光ビームスプリッタである。第1線偏光成分を有する第1映像L10は、第2ビームスプリッタBS11の第1面に入射し、約90°の角度で反射される。第1線偏光成分及び第2線偏光成分をいずれも有する第2映像L20は、第1面に対して反対側にある第2ビームスプリッタBS11の第2面に入射する。第2映像L20において第1線偏光成分は、第2ビームスプリッタBS11の第2面によって反射され、第2線偏光成分は、第2ビームスプリッタBS11の第2面を透過し、回折光学レンズDLに入射することになる。従って、光学系OSは、第1線偏光成分を有する第1映像L10、及び第2線偏光成分を有する第2映像L20が回折光学レンズDLに入射するように、第1映像L10及び第2映像L20の偏光状態を制御することができる。
【0060】
また、図3を参照すれば、光学系OSは、第2ビームスプリッタBS11と回折光学レンズDLとの間に配置された第3 1/4波長板WP11をさらに含んでもよい。第3 1/4波長板WP11は、第1線偏光成分の光を、第1円偏光成分の光に変換するか、あるいは第1円偏光成分の光を、第1線偏光成分の光に変換し、第2線偏光成分の光を、第2円偏光成分の光に変換するか、あるいは第2円偏光成分の光を、第2線偏光成分の光に変換することができる。従って、第3 1/4波長板WP11により、第1映像L10の第1線偏光成分は、第1円偏光成分に変換され、第2映像L20の第2線偏光成分は、第2円偏光成分に変換されてもよい。その場合、第1円偏光成分を有する第1映像L10、及び第2円偏光成分を有する第2映像L20が回折光学レンズDLに入射することができる。
【0061】
図4を参照すれば、第2ビームスプリッタBS11は、単純な半透過ミラーであってもよい。その場合、光学系OSは、回折光学レンズDLに対して反対側である第2ビームスプリッタBS11の一側面において、第2映像L20の光路上に配置され、第2ビームスプリッタBS11に入射する第2映像L20の偏光状態を選択する偏光板LP10をさらに含んでもよい。例えば、偏光板LP10は、第1線偏光成分の光を遮断し、第2線偏光成分の光を透過させることができる。そのような構成において、第1線偏光成分を有する第1映像L10の一部は、第2ビームスプリッタBS11の第1面を透過し、第2線偏光成分を有する第1映像L10の一部は、第2ビームスプリッタBS11の第1面により、約90°の角度で反射され、回折光学レンズDLに入射する。第1線偏光成分及び第2線偏光成分をいずれも有する第2映像L20は、偏光板LP10を通過しながら、第2線偏光成分のみを有することになる。その後、第2線偏光成分のみを有する第2映像L20は、第2ビームスプリッタBS11の第2面を透過し、回折光学レンズDLに入射する。従って、第1線偏光成分を有する第1映像L10、及び第2線偏光成分を有する第2映像L20が回折光学レンズDLに入射することができる。
【0062】
回折光学レンズDLは、入射光の偏光状態によって異なる焦点距離を有するように構成される。例えば、図2及び図4に図示された実施形態において、回折光学レンズDLは、第1線偏光成分を有する光に対して、正(+)の屈折力を有する凸レンズとして作用することができる。また、回折光学レンズDLは、第2線偏光成分を有する光に対して、ほぼ無限大(∞)の焦点距離を有するように構成されてもよい。言い換えれば、回折光学レンズDLは、第2線偏光成分を有する光に対して、屈折なしにそのまま通過させる平板として作用することができる。その代わりに、図3に図示された実施形態において、回折光学レンズDLは、第1円偏光成分を有する光に対して、正(+)の屈折力を有する凸レンズとして作用することができ、第2円偏光成分を有する光に対して、平板として作用することができる。従って、回折光学レンズDLは、第1線偏光成分または第1円偏光成分を有する第1映像L10を、ユーザの視覚器官(ocular organ)10、特に、ユーザの瞳孔5に集束して提供することができる。また、回折光学レンズDLは、第2線偏光成分または第2円偏光成分を有する第2映像L20を、ユーザの視覚器官10に、歪曲なしに伝達することができる。
【0063】
例えば、第1映像L10が仮想のディスプレイ映像であり、第2映像L20が現実世界の映像(外部映像)である場合、回折光学レンズDLは、ディスプレイ映像に対して凸レンズのように作用して視野角を広げる役割を行うことができ、外部映像に対して平板のように作用し、映像歪曲問題を誘発しない。そのように、回折光学レンズDLが入射光の偏光状態に依存する特性を有するために、前述の効果を同時に得ることができる。
【0064】
一般的な透視型ディスプレイ装置の場合、外部映像を歪曲なしに見るためには、ユーザの目の前でレンズを使用することができない。すなわち、ユーザの目と、外部前景との間に、外部映像を歪曲させるレンズを配置することができない。従って、仮想のディスプレイ映像を見るためのレンズは、ユーザの目と、外部前景との間の領域を避けて配置(回避して配置)する必要がある。ところで、その場合、ユーザの目と、前記レンズとの光路が長くなるために、視野角が狭くなるという問題がある。
【0065】
しかし、本実施形態の場合、前述の回折光学レンズDLを使用することにより、ディスプレイ映像については、回折光学レンズDLを凸レンズのように作用させ、外部映像については、平板のように作用させる。従って、ユーザの視覚器官10と、回折光学レンズDLとの光路を縮めることにより、ディスプレイ映像に対して広い視野角を容易に確保し、同時に、外部映像に対する、平板のような回折光学レンズDLの作用により、歪曲なしに外部映像を見せることができる。例えば、本実施形態による多重映像ディスプレイ装置は、約60゜以上の広い視野角を具現することが可能である。そのような広い視野角の提供は、ディスプレイ映像と、実際の外部前景とに係わる視野範囲の間隙を減らすことにより、さらに臨場感ある拡張現実(AR)経験を提供することができる。
【0066】
入射光の偏光状態によって異なる焦点距離を有する回折光学レンズDLは、透明な基板上に、多数の非線形物質要素(nonlinear material element)のパターンを形成することによっても具現される。例えば、液晶重合体(liquid crystal polymer)のような微細な非線形物質要素の二次元パターンまたは三次元パターンにより、回折光学レンズDLが偏光依存的な特性を有することができる。ところで、そのような回折光学レンズDLは、波長による分散効果(dispersion)により、色収差(chromatic aberration)を有することになる。一般的な屈折レンズ(refractive lens)の場合、波長に比例して焦点距離が長くなる。一方、回折を利用するレンズ(diffractive lens)の焦点距離は、光の波長値に反比例する。従って、入射光の波長が長いほど、回折光学レンズDLの焦点距離が短くなり、焦点距離値は、波長の変化によって敏感に変化する。例えば、回折光学レンズDLは、赤色映像L11について、第1焦点距離を有し、緑色映像L12について、第1焦点距離より長い第2焦点距離を有し、青色映像L13について、第2焦点距離より長い第3焦点距離を有することができる。
【0067】
本実施形態の場合、ダイクロイックミラースタックDMSの第1ダイクロイックミラーDM1、第2ダイクロイックミラーDM2及び第3ダイクロイックミラーDM3の光路上の位置を異ならせることにより、赤色映像L11、緑色映像L12及び青色映像L13の光路長をそれぞれ異ならせ、回折光学レンズDLの色収差を相殺することができる。例えば、前述のように、第1ダイクロイックミラーDM1、第2ダイクロイックミラーDM2及び第3ダイクロイックミラーDM3は、第1ビームスプリッタBS10の第1面から遠くなる方向に順次に積層される。それにより、赤色映像L11は、第1光路長を有し、緑色映像L12は、第1光路長より長い第2光路長を有し、青色映像L13は、第2光路長より長い第3光路長を有することができる。また、レンズ要素LE10は、第1映像L10の光路上において、赤色映像L11を回折光学レンズDLに対して、第1位置に結像させ、緑色映像L12を回折光学レンズDLについて、第1位置より遠い第2位置に結像させ、青色映像L13を回折光学レンズDLについて、第2位置より遠い第3位置に結像させることができる。
【0068】
第1ダイクロイックミラーDM1、第2ダイクロイックミラーDM2及び第3ダイクロイックミラーDM3の距離、及びレンズ要素LE10の焦点距離は、回折光学レンズDLの色収差を考慮し、色収差を相殺するように選択される。そのような点で、ダイクロイックミラースタックDMSとレンズ要素LE10は、第1映像L10を、赤色映像L11、緑色映像L12及び青色映像L13に分離し、光路上の異なる位置に結像させる色分離要素と見ることができる。それにより、回折光学レンズDLは、赤色映像L11、緑色映像L12及び青色映像L13を同一平面上に結像させることができる。従って、ユーザは、色収差をほとんど感じることなしに、第1映像L10を鑑賞することができる。
【0069】
図5は、他の実施形態による多重映像ディスプレイ装置の構成を概略的に図示する。図5を参照すれば、多重映像ディスプレイ装置は、第1映像L10を形成するための映像形成装置として、ディスプレイパネルD10を含んでもよい。例えば、ディスプレイパネルD10は、マイクロLED(light emitting diode)ディスプレイパネル、OLED(organic light emitting diode)ディスプレイパネルまたはLCDディスプレイパネルを含んでもよい。ディスプレイパネルD10を利用して具現する第1映像L10は、二次元(2D:two-dimensional)映像や三次元(3D:3-dimensional)映像であってもよく、例えば、3D映像は、ホログラム(hologram)映像、ステレオ(stereo)映像、ライトフィールド(light field)映像、IP(integral photography)映像などであってもよい。
【0070】
第1映像L10を回折光学レンズDLに伝達するために、光学系OSは、赤色映像L11を回折光学レンズDLに反射させ、緑色映像L12及び青色映像L13を透過させる第1ダイクロイックミラーDM1、緑色映像L12を回折光学レンズDLに反射させ、青色映像L13を透過させる第2ダイクロイックミラーDM2、並びに青色映像L13を回折光学レンズDLに反射させる第3ダイクロイックミラーDM3を含んでもよい。第1ダイクロイックミラーDM1、第2ダイクロイックミラーDM2及び第3ダイクロイックミラーDM3は、回折光学レンズDLに対して傾くように配置され、ディスプレイパネルD10と回折光学レンズDLとの間の第1映像L10の光路を約90°ほど折り曲げることができる。また、光学系OSは、ディスプレイパネルD10と第1ダイクロイックミラーDM1との間に配置され、第1映像L10をフォーカシングするレンズ要素LE10をさらに含んでもよい。
【0071】
また、第2映像L20を回折光学レンズDLに伝達するために、第1ダイクロイックミラーDM1は、赤色映像L11を反射させる第1面と、第2映像L20を透過させる第2面とを含み、第2ダイクロイックミラーDM2は、緑色映像L12を反射させる第1面と、第2映像L20を透過させる第2面とを含み、第3ダイクロイックミラーDM3は、青色映像L13を反射させる第1面と、第2映像L20を透過させる第2面とを含んでもよい。従って、第1ダイクロイックミラーDM1、第2ダイクロイックミラーDM2及び第3ダイクロイックミラーDM3は、色分離要素としての機能と、ビームスプリッタとしての機能とを共に遂行することができる。それにより、第2映像L20は、第3ダイクロイックミラーDM3、第2ダイクロイックミラーDM2及び第1ダイクロイックミラーDM1を順に透過し、回折光学レンズDLに入射することができる。
【0072】
また、第1線偏光成分を有する第1映像L10、及び第2線偏光成分を有する第2映像L20を回折光学レンズDLに入射させるために、光学系OSは、第2映像L20の光路上に配置され、第2線偏光成分を有する光のみを透過させる第1偏光板LP10、及び第1映像L10の光路上に配置され、第1線偏光成分を有する光のみを透過させる第2偏光板LP11をさらに含んでもよい。例えば、第1偏光板LP10は、第3ダイクロイックミラーDM3の第2面に対向して配置され、第2偏光板LP11は、ディスプレイパネルD10と第1ダイクロイックミラーDM1との間に配置されてもよい。
【0073】
回折光学レンズDLの色収差を相殺するために、第1ダイクロイックミラーDM1、第2ダイクロイックミラーDM2及び第3ダイクロイックミラーDM3は、回折光学レンズDLから遠くなる方向に順次に配置されてもよい。例えば、第1ダイクロイックミラーDM1が回折光学レンズDLに最も近く配置される。そして、第2ダイクロイックミラーDM2は、第1ダイクロイックミラーDM1の第2面に対向し、第1ダイクロイックミラーDM1と離隔されて配置され、第3ダイクロイックミラーDM3は、第2ダイクロイックミラーDM2の第2面に対向し、第2ダイクロイックミラーDM2と離隔されて配置されてもよい。ここで、第1ダイクロイックミラーDM1と第2ダイクロイックミラーDM2との距離、及び第2ダイクロイックミラーDM2と第3ダイクロイックミラーDM3との距離を調節することにより、回折光学レンズDLの色収差を相殺することができる。
【0074】
一方、図1及び図5において、第1ダイクロイックミラーDM1、第2ダイクロイックミラーDM2及び第3ダイクロイックミラーDM3が平板形態を有するように図示されたが、必要により、第1ダイクロイックミラーDM1、第2ダイクロイックミラーDM2及び第3ダイクロイックミラーDM3の反射面が曲面形態を有することもできる。例えば、第1ダイクロイックミラーDM1、第2ダイクロイックミラーDM2及び第3ダイクロイックミラーDM3の反射面が凹形態を有するか、あるいは凸形態を有することもできる。
【0075】
図6は、図1及び図5に図示された多重映像ディスプレイ装置の等価的な光学構造を示す。図6は、便宜上、回折光学レンズDLの色収差を相殺するための光学的構造のみを図示している。図6を参照すれば、図1及び図5に図示された多重映像ディスプレイ装置は、赤色映像L11を形成する赤色ディスプレイパネルD11、緑色映像L12を形成する緑色ディスプレイパネルD12、及び青色映像L13を形成する青色ディスプレイパネルD13が、互いに異なる深さ位置にある場合と同一の効果を提供する。第1映像L10の光路上において、そのような赤色ディスプレイパネルD11、緑色ディスプレイパネルD12及び青色ディスプレイパネルD13の深さ位置を調節することにより、回折光学レンズDLの色収差を相殺することができる。
【0076】
図7は、さらに他の実施形態による多重映像ディスプレイ装置の構成を概略的に図示する。図7を参照すれば、多重映像ディスプレイ装置は、第1映像L10を形成するための映像形成装置として、ディスプレイパネルD10を含む。光学系OSは、第1ダイクロイックミラーDM1、第2ダイクロイックミラーDM2及び第3ダイクロイックミラーDM3及びビームスプリッタBS11を含んでもよい。図5に図示された実施形態と異なり、第1ダイクロイックミラーDM1、第2ダイクロイックミラーDM2及び第3ダイクロイックミラーDM3は、単に色分離要素としての役割のみを遂行する。例えば、第1ダイクロイックミラーDM1は、赤色映像L11をビームスプリッタBS11に反射させ、緑色映像L12及び青色映像L13を透過させるように構成され、第2ダイクロイックミラーDM2は、緑色映像L12をビームスプリッタBS11に反射させ、青色映像L13を透過させるように構成され、第3ダイクロイックミラーDM3は、青色映像L13をビームスプリッタBS11に反射させるように構成される。
【0077】
ビームスプリッタBS11は、第1映像L10を回折光学レンズDLに反射させ、第2映像L20を透過させるように構成されてもよい。例えば、ビームスプリッタBS11は、半透過ミラーまたは偏光ビームスプリッタであってもよい。第1映像L10及び第2映像L20が互いに異なる偏光成分を有するようにするために、光学系OSは、図5に図示された第1偏光板LP10及び第2偏光板LP11をさらに含んでもよい。例えば、ディスプレイパネルD10とビームスプリッタBS11との間の第1映像L10の光路に、第2偏光板LP11が配置され、ビームスプリッタBS11を基準として、回折光学レンズDLの反対側にある第2映像L20の光路に、第1偏光板LP10が配置されてもよい。そのような第1ダイクロイックミラーDM1、第2ダイクロイックミラーDM2及び第3ダイクロイックミラーDM3、並びにビームスプリッタBS11により、ディスプレイパネルD10と回折光学レンズDLとの間の第1映像L10の光路が、約180°ほど曲折される。
【0078】
回折光学レンズDLの色収差を相殺するために、第1ダイクロイックミラーDM1、第2ダイクロイックミラーDM2及び第3ダイクロイックミラーDM3は、回折光学レンズDL及びビームスプリッタBS11から遠くなる方向に順次に配置されてもよい。例えば、第1ダイクロイックミラーDM1がビームスプリッタBS11に最も近く配置される。第2ダイクロイックミラーDM2は、第1ダイクロイックミラーDM1と離隔されて配置され、第3ダイクロイックミラーDM3は、第2ダイクロイックミラーDM2と離隔され、ビームスプリッタBS11から最も遠く配置されてもよい。ここで、第1ダイクロイックミラーDM1と第2ダイクロイックミラーDM2との距離、及び第2ダイクロイックミラーDM2と第3ダイクロイックミラーDM3との距離を調節することにより、回折光学レンズDLの色収差を相殺することができる。
【0079】
また、光学系OSは、ディスプレイパネルD10と第1ダイクロイックミラーDM1との間に配置され、第1映像L10をフォーカシングするレンズ要素LE10をさらに含んでもよい。レンズ要素LE10、並びに第1ダイクロイックミラーDM1、第2ダイクロイックミラーDM2及び第3ダイクロイックミラーDM3の作用によって、赤色映像L11、緑色映像L12及び青色映像L13が光路上の互いに異なる位置にフォーカシングされてもよい。
【0080】
図8は、さらに他の実施形態による多重映像ディスプレイ装置の構成を概略的に図示する。図8を参照すれば、多重映像ディスプレイ装置は、第1映像L10を形成するための映像形成装置として、ディスプレイパネルD10を含む。光学系OSは、色分離要素として、3個のダイクロイックミラーの代りに、分散値が大きい凸レンズを使用する。例えば、光学系OSは、第1映像L10を回折光学レンズDLに反射させ、第2映像L20を透過させるビームスプリッタBS11、ディスプレイパネルD10とビームスプリッタBS11との間の第1映像L10の光路上に配置された第1レンズ要素LE11、及びディスプレイパネルD10とビームスプリッタBS11との間の第1映像L10の光路上に配置された第2レンズ要素LE12を含んでもよい。例えば、ビームスプリッタBS11は、半透過ミラーまたは偏光ビームスプリッタであってもよい。第1映像L10及び第2映像L20が互いに異なる偏光成分を有するようにするために、光学系OSは、図5に図示された第1偏光板LP10と第2偏光板LP11とをさらに含んでもよい。
【0081】
第1レンズ要素LE11は、第1映像L10をフォーカシングする役割を行う。第2レンズ要素LE12は、分散値が第1レンズ要素LE11より高い凸レンズであり、第1映像L10を、赤色映像L11、緑色映像L12及び青色映像L13に分離する色分離要素の役割を行う。そのような第1レンズ要素LE11と第2レンズ要素LE12との作用により、赤色映像L11、緑色映像L12及び青色映像L13が光路上の互いに異なる位置にフォーカシングされてもよい。赤色映像L11、緑色映像L12及び青色映像L13がフォーカシングされる位置は、第2レンズ要素LE12の分散値によって主に決定される。従って、第2レンズ要素LE12の分散値を適切に選択することにより、回折光学レンズDLの色収差を相殺することができる。
【0082】
また、光学系OSは、ディスプレイパネルD10とビームスプリッタBS11との間の第1映像L10の光路上に配置され、第1映像L10をビームスプリッタBS11に反射させるミラーM1をさらに含んでもよい。そのようなミラーM1とビームスプリッタBS11とにより、ディスプレイパネルD10と回折光学レンズDLとの間の第1映像L10の光路が約180°ほど曲折される。しかし、ミラーM1を省略し、ディスプレイパネルD10が直接ビームスプリッタBS11と対向するように配置されてもよい。その場合、第1映像L10の光路は、ビームスプリッタBS11により、約90°ほど曲折される。
【0083】
図9は、さらに他の実施形態による多重映像ディスプレイ装置の構成を概略的に図示する。図9を参照すれば、多重映像ディスプレイ装置は、第1映像L10を形成するための映像形成装置として、ディスプレイパネルD10を含む。光学系OSは、色分離要素として、格子要素GE10を使用する。例えば、光学系OSは、回折光学レンズDLに対向して配置された格子要素GE10、及びディスプレイパネルD10と格子要素GE10との間の第1映像L10の光路上に配置されたレンズ要素LE10を含んでもよい。ディスプレイパネルD10とレンズ要素LE10は、格子要素GE10に対して斜めに配置されてもよい。また、第1映像L10及び第2映像L20が互いに異なる偏光成分を有するようにするために、光学系OSは、図5に図示された第1偏光板LP10と第2偏光板LP11とをさらに含んでもよい。
【0084】
格子要素GE10は、第1映像L10に対して、波長によって焦点距離が異なる凹ミラーとしての役割を行うように作製されてもよい。また、格子要素GE10は、第1映像L10を反射させる第1面と、第2映像L20を透過させる第2面とを含んでもよい。例えば、格子要素GE10は、第1面に入射する第1映像L10の少なくとも一部を、回折光学レンズDLに反射させ、第2面に入射する第2映像L20の少なくとも一部を、回折光学レンズDLに透過させるように構成されてもよい。従って、格子要素GE10は、色分離要素としての役割と、ビームスプリッタとしての役割とを共に遂行することができる。
【0085】
図10ないし図12は、図9に図示された多重映像ディスプレイ装置の格子要素GE10の動作を例示的に示す。図10を参照すれば、格子要素GE10は、赤色映像L11を反射させながら、第1角度θ1で収斂させることができる。また、図11を参照すれば、格子要素GE10は、緑色映像L12を反射させながら、第1角度θ1より小さい第2角度θ2で収斂させることができる。また、図12を参照すれば、格子要素GE10は、青色映像L13を反射させながら、第2角度θ2より小さい第3角度θ3で収斂させることができる。従って、格子要素GE10は、赤色映像L11に対して最も短い焦点距離を有し、青色映像L13に対して最も長い焦点距離を有することができる。赤色映像L11、緑色映像L12及び青色映像L13に対する格子要素GE10の焦点距離は、回折光学レンズDLの色収差を考慮し、色収差を相殺するように選択される。
【0086】
そのような格子要素GE10は、例えば、平板形態の表面凹凸格子(surface relief grating)、または体積格子(volume grating)であるホログラム格子を含んでもよい。該表面凹凸格子は、格子要素GE10の第1面に微細な凹凸パターンを形成して形成されてもよい。該表面凹凸格子の凹凸パターンは、入射光を回折させ、回折される光が波長によって異なる角度で反射されるように構成されてもよい。また、該ホログラム格子は、透明な感光性材料に、物体光と参照光とを照射し、干渉パターンを記録することによって形成されてもよい。例えば、赤色光、緑色光及び青色光が混合された白色光を参照光として、感光性材料の第1面に斜めに入射させながら、第1角度θ1で発散する赤色光を、物体光として感光性材料の第1面に入射させ、第2角度θ2で発散する緑色光を、物体光として感光性材料の第1面に入射させ、第3角度θ3で発散する青色光を、物体光として感光性材料の第1面に入射させることができる。また、感光性材料の第1面と第2面とにそれぞれ物体光と、参照光としての白色光とを垂直に入射させることができる。それにより、感光性材料内部において、物体光と参照光とが干渉して形成された干渉パターンが、感光性材料に記録される。そのように形成された干渉パターンにより、格子要素GE10は、前述の作用を遂行することができる。
【0087】
図13は、さらに他の実施形態による多重映像ディスプレイ装置の構成を概略的に図示する。図13を参照すれば、多重映像ディスプレイ装置は、第1映像L10を形成するための映像形成装置として、ディスプレイパネルD10を含む。光学系OSは、色分離要素として、3枚の反射拡散板を使用する。例えば、光学系OSは、赤色映像L11を回折光学レンズDLに反射させて拡散させ、緑色映像L12及び青色映像L13を透過させる第1拡散板DF1、緑色映像L12を回折光学レンズDLに反射させて拡散させ、青色映像L13を透過させる第2拡散板DF2、並びに青色映像L13を回折光学レンズDLに反射させて拡散させる第3拡散板DF3を含んでもよい。また、光学系OSは、ディスプレイパネルD10と第1拡散板DF1との間の第1映像L10の光路上に配置されたレンズ要素LE10を含んでもよい。ディスプレイパネルD10とレンズ要素LE10は、第1拡散板DF1に対して斜めに配置され、第1拡散板DF1、第2拡散板DF2及び第3拡散板DF3は、回折光学レンズDLと平行に配置されてもよい。また、第1映像L10及び第2映像L20が互いに異なる偏光成分を有するようにするために、光学系OSは、図5に図示された第1偏光板LP10と第2偏光板LP11とをさらに含んでもよい。
【0088】
第2映像L20を回折光学レンズDLに伝達するために、第1拡散板DF1は、赤色映像L11を反射させて拡散させる第1面と、第2映像L20を透過させる第2面とを含み、第2拡散板DF2は、緑色映像L12を反射させて拡散させる第1面と、第2映像L20を透過させる第2面とを含み、第3拡散板DF3は、青色映像L13を反射させて拡散させる第1面と、第2映像L20を透過させる第2面とを含んでもよい。従って、第1拡散板DF1、第2拡散板DF2及び第3拡散板DF3は、色分離要素としての役割と、ビームスプリッタとしての役割とを共に遂行することができる。
【0089】
また、回折光学レンズDLの色収差を相殺するために、第1拡散板DF1、第2拡散板DF2及び第3拡散板DF3は、回折光学レンズDLから遠くなる方向に順次に配置されてもよい。例えば、第1拡散板DF1が回折光学レンズDLに最も近く配置される。そして、第2拡散板DF2は、第1拡散板DF1の第2面に対向し、第1拡散板DF1と離隔されて配置され、第3拡散板DF3は、第2拡散板DF2の第2面に対向し、第2拡散板DF2と離隔されて配置されてもよい。ここで、第1拡散板DF1と第2拡散板DF2との距離、及び第2拡散板DF2と第3拡散板DF3との距離を調節することにより、回折光学レンズDLの色収差を相殺することができる。
【0090】
図14は、さらに他の実施形態による多重映像ディスプレイ装置の構成を概略的に図示する。図14を参照すれば、多重映像ディスプレイ装置は、第1映像L10を形成するための映像形成装置として、赤色映像L11を形成する第1ディスプレイパネルD11、緑色映像L12を形成する第2ディスプレイパネルD12、及び青色映像L13を形成する第3ディスプレイパネルD13を含んでもよい。従って、赤色映像L11、緑色映像L12及び青色映像L13が個別的に分離されて生成されるために、光学系OSは、色分離要素を別途に必要としない。
【0091】
光学系OSは、赤色映像L11、緑色映像L12及び青色映像L13を、1つの光路上に結合させ、第1映像L10を形成する第1ビームスプリッタBS13、及び第1映像L10を回折光学レンズDLに反射させ、第2映像L20を透過させる第2ビームスプリッタBS11を含んでもよい。また、光学系OSは、第1ビームスプリッタBS13と、第2ビームスプリッタBS11との間の第1映像L10の光路上に配置されたレンズ要素LE10をさらに含んでもよい。第2ビームスプリッタBS11は、半透過ミラーまたは偏光ビームスプリッタであってもよい。第1映像L10及び第2映像L20が互いに異なる偏光成分を有するようにするために、光学系OSは、図5に図示された第1偏光板LP10及び第2偏光板LP11をさらに含んでもよい。
【0092】
第1ビームスプリッタBS13は、第1ディスプレイパネルD11と対向する第1入光面13a、第2ディスプレイパネルD12と対向する第2入光面13b、第3ディスプレイパネルD13と対向する第3入光面13c、及び出光面13dを含んでもよい。例えば、第1ビームスプリッタBS13は、六面体形態のXキューブであってもよい。それにより、赤色映像L11は、第1入光面13aを介して、第1ビームスプリッタBS13の内部に入ってきた後、第1ビームスプリッタBS13の内部の反射面で反射され、出光面13dを介して、外部に出る。緑色映像L12は、第2入光面13bを介して、第1ビームスプリッタBS13の内部に入ってきた後、第1ビームスプリッタBS13の内部の他の反射面で反射され、出光面13dを介して、外部に出ることになる。また、青色映像L13は、第3入光面13cを介して、第1ビームスプリッタBS13の内部に入ってきた後、第1ビームスプリッタBS13を透過し、出光面13dを介して、外部に出ることになる。第2ビームスプリッタBS11は、第1ビームスプリッタBS13の出光面13dに対向して配置される。
【0093】
回折光学レンズDLの色収差を相殺するために、第1ディスプレイパネルD11、第2ディスプレイパネルD12及び第3ディスプレイパネルD13は、第1ビームスプリッタBS13に対して互いに異なる距離に配置されてもよい。例えば、第2ディスプレイパネルD12と第2入光面13bとの第2距離は、第1ディスプレイパネルD11と第1入光面13aとの第1距離より長く、第3ディスプレイパネルD13と第3入光面13cとの第3距離は、第2ディスプレイパネルD12と第2入光面13bとの第2距離より長くてもよい。従って、第1ディスプレイパネルD11と第1入光面13aとの第1距離が最も短く、第3ディスプレイパネルD13と第3入光面13cとの第3距離が最も長い。特に、第1距離は、ゼロであってもよい。言い換えれば、第1ディスプレイパネルD11は、第1入光面13aに密着して配置されてもよい。第1ディスプレイパネルD11と第1入光面13aとの第1距離、第2ディスプレイパネルD12と第2入光面13bとの第2距離、第3ディスプレイパネルD13と第3入光面13cとの第3距離を調節することにより、回折光学レンズDLの色収差を相殺することができる。
【0094】
図15は、さらに他の実施形態による多重映像ディスプレイ装置の構成を概略的に図示する。図15を参照すれば、多重映像ディスプレイ装置は、第1映像L10を形成するための映像形成装置として、ディスプレイパネルD10を含んでもよい。光学系OSは、ディスプレイパネルD10と対向して配置されたダイクロイックミラースタックDMS、ディスプレイパネルD10とダイクロイックミラースタックDMSとの間に配置された第1ビームスプリッタBS10、及び第1映像L10を回折光学レンズDLに反射させ、第2映像L20を透過させる第2ビームスプリッタBS11を含んでもよい。また、光学系OSは、ディスプレイパネルD10と第1ビームスプリッタBS10との間に配置されたレンズ要素LE11をさらに含んでもよい。
【0095】
第1ビームスプリッタBS10及び第2ビームスプリッタBS11は、半透過ミラーであってもよく、または第1線偏光成分の光を反射させ、第2線偏光成分の光を透過させる偏光ビームスプリッタであってもよい。第1ビームスプリッタBS10及び第2ビームスプリッタBS11が半透過ミラーである場合、第1映像L10及び第2映像L20が互いに異なる偏光成分を有するようにするために、光学系OSは、図5に図示された第1偏光板LP10と第2偏光板LP11とをさらに含んでもよい。第1ビームスプリッタBS10が偏光ビームスプリッタである場合、光学系OSは、ダイクロイックミラースタックDMSと第1ビームスプリッタBS10との間に配置された第1波長板WP10をさらに含んでもよい。また、第1ビームスプリッタBS10が偏光ビームスプリッタであり、第2ビームスプリッタBS11が半透過ミラーである場合、光学系OSは、第2ビームスプリッタBS11に対向し、第2映像L20の光路上に配置された第1偏光板LP10を含んでもよい。
【0096】
一方、ダイクロイックミラースタックDMSは、赤色映像L11を反射させて集光し、緑色映像L12及び青色映像L13を透過させる第1ダイクロイック凹ミラーDM4、緑色映像L12を反射させて集光し、青色映像L13を透過させる第2ダイクロイック凹ミラーDM5、及び青色映像L13を反射させて集光する第3ダイクロイック凹ミラーDM6を含んでもよい。第1ダイクロイック凹ミラーDM4、第2ダイクロイック凹ミラーDM5及び第3ダイクロイック凹ミラーDM6が反射光を集束させる役割を行うことができるために、レンズ要素LE10、並びに第1ダイクロイック凹ミラーDM4、第2ダイクロイック凹ミラーDM5及び第3ダイクロイック凹ミラーDM6が共に作用し、赤色映像L11、緑色映像L12及び青色映像L13を互いに異なる第1上平面IP1、第2上平面IP2及び第3上平面IP3の上にフォーカシングすることができる。従って、多重映像ディスプレイ装置の設計自由度が向上され、赤色映像L11、緑色映像L12及び青色映像L13の結像位置を効果的に選択することができる。
【0097】
回折光学レンズDLの色収差を相殺するために、第1ダイクロイック凹ミラーDM4、第2ダイクロイック凹ミラーDM5及び第3ダイクロイック凹ミラーDM6は、第1ビームスプリッタBS10から遠くなる方向に順次に積層されてもよい。例えば、第1ダイクロイック凹ミラーDM4が、第1ビームスプリッタBS10に最も近く配置される。第2ダイクロイック凹ミラーDM5は、第1ダイクロイック凹ミラーDM4上に積層され、第3ダイクロイック凹ミラーDM6は、第2ダイクロイック凹ミラーDM5上に積層されてもよい。ここで、第1ダイクロイック凹ミラーDM4、第2ダイクロイック凹ミラーDM5及び第3ダイクロイック凹ミラーDM6の距離、並びにレンズ要素LE10の焦点距離は、回折光学レンズDLの色収差を考慮し、色収差を相殺するように選択される。
【0098】
図16は、さらに他の実施形態による多重映像ディスプレイ装置の構成を概略的に図示する。図16を参照すれば、多重映像ディスプレイ装置は、第1映像L10を形成するための映像形成装置として、ディスプレイパネルD10を含んでもよい。光学系OSは、ダイクロイックミラースタックDMS及び光導波路LGPを含んでもよい。光導波路LGPは、第1映像L10が入射する第1入光面S1、第2映像L20が入射する第2入光面S2、第1映像L10及び第2映像L20が出射する出光面S3、並びに第1入光面S1に対向する傾いた傾斜面S4を含んでもよい。ディスプレイパネルD10は、光導波路LGPの第1入光面S1に対向して配置されてもよい。また、光学系OSは、ディスプレイパネルD10と、光導波路LGPの第1入光面S1との間に配置されたレンズ要素LE10をさらに含んでもよい。第1映像L10及び第2映像L20が互いに異なる偏光成分を有するようにするために、光学系OSは、第2入光面S2に対向して配置された第1偏光板LP10(図5)、及びディスプレイパネルD10と第1入光面S1との間に配置された第2偏光板LP11(図5)をさらに含んでもよい。
【0099】
図16に図示されているように、第1入光面S1と傾斜面S4とが互いに対向して配置され、第2入光面S2と出光面S3とが互いに対向して配置される。そして、第1入光面S1と出光面S3とが光導波路LGPの第1側面において、互いに異なる領域に配置され、第2入光面S2と傾斜面S4とが、第1側面の反対側である光導波路LGPの第2側面において、互いに異なる領域に配置される。そのような構成において、第1入光面S1を介して、光導波路LGP内に入ってきた第1映像L10は、傾斜面S4によって斜めに反射された後、全反射を介して、光導波路LGPの内部を進行することになる。そして、第1映像L10は、出光面S3から光導波路LGPを出て、回折光学レンズDLに入射することができる。従って、光導波路LGPは、第1入光面S1から出光面S3に、第1映像L10を伝達する役割を行うことができる。出光面S3には、第1映像L10を出射させるための回折格子が形成される。回折光学レンズDLは、出光面S3に対向して配置される。例えば、回折光学レンズDLは、出光面S3上に付着されてもよい。一方、第2入光面S2を介して、光導波路LGP内に入ってきた第2映像L20は、そのまま光導波路LGPを通過した後、出光面S3を介して、光導波路LGPを出て、回折光学レンズDLに入射することができる。
【0100】
ダイクロイックミラースタックDMSは、赤色映像L11を反射させ、緑色映像L12及び青色映像L13を透過させる第1ダイクロイックミラーDM1、緑色映像L12を反射させ、青色映像L13を透過させる第2ダイクロイックミラーDM2、並びに青色映像L13を反射させる第3ダイクロイックミラーDM3を含んでもよい。回折光学レンズDLの色収差を相殺するために、第1ダイクロイックミラーDM1、第2ダイクロイックミラーDM2及び第3ダイクロイックミラーDM3は、光導波路LGPの傾斜面S4から遠くなる方向に順次に積層されてもよい。言い換えれば、第1ダイクロイックミラーDM1が、傾斜面S4に最も近く配置される。例えば、第1ダイクロイックミラーDM1は、傾斜面S4上に付着されてもよい。第2ダイクロイックミラーDM2は、第1ダイクロイックミラーDM1上に積層され、第3ダイクロイックミラーDM3は、第2ダイクロイックミラーDM2上に積層されてもよい。ここで、第1ダイクロイックミラーDM1、第2ダイクロイックミラーDM2及び第3ダイクロイックミラーDM3の距離は、回折光学レンズDLの色収差を考慮し、色収差を相殺するように選択される。
【0101】
図17は、さらに他の実施形態による多重映像ディスプレイ装置の構成を概略的に図示する。図17に図示された多重映像ディスプレイ装置は、光学系OSが回折格子GPをさらに含むという点において、図16に図示された多重映像ディスプレイ装置と違いがある。図17に図示された多重映像ディスプレイ装置の残りの構成は、図16に図示された多重映像ディスプレイ装置の構成と同一である。回折格子GPは、光導波路LGPの第2入光面S2上に配置され、第1映像L10を、光導波路LGPの出光面S3に向け、垂直方向に反射させる役割を行う。それにより、第1映像L10は、ほぼ損失なしに出光面S3を通過し、回折光学レンズDLに垂直に入射することができる。また、回折格子GPは、第2映像L20をそのまま通過させるように構成されてもよい。
【0102】
図18は、さらに他の実施形態による多重映像ディスプレイ装置の構成を概略的に図示する。図18に図示された多重映像ディスプレイ装置は、光学系OSが、光導波路LGPの内部に配置された半透過ミラーAMをさらに含むという点において、図16に図示された多重映像ディスプレイ装置と違いがある。図18に図示された多重映像ディスプレイ装置の残りの構成は、図16に図示された多重映像ディスプレイ装置の構成と同一である。半透過ミラーAMは、光導波路LGPの内部において、第2入光面S2及び出光面S3に対向して配置される。そのような半透過ミラーAMは、第1映像L10の一部を、光導波路LGPの出光面S3に向け、垂直方向に反射させ、第2映像L20を、変化なしに通過させるように構成されてもよい。また、半透過ミラーAMは、第1映像L10を、歪曲なしに効率的に集束させるために非球面反射面を有することもできる。
【0103】
光導波路LGPの内部に半透過ミラーAMを配置するために、光導波路LGPは、第1光導波路部分LGP1と第2光導波路部分LGP2とを含んでもよい。第1光導波路部分LGP1は、第1入光面S1、出光面S3及び傾斜面S4を有するように構成され、第2光導波路部分LGP2は、第2入光面S2を有するように構成される。そのような第1光導波路部分LGP1と第2光導波路部分LGP2とを接合し、光導波路LGPが作製される。第1光導波路部分LGP1と第2光導波路部分LGP2とを接合するとき、第1光導波路部分LGP1と第2光導波路部分LGP2との接合面に、半透過ミラー材料をコーティングすることにより、光導波路LGPの内部に半透過ミラーAMが形成される。
【0104】
図19は、一実施形態による多重映像ディスプレイ装置の全体的な構造を概略的に示すブロック図である。図19を参照すれば、多重映像ディスプレイ装置は、光学系100、映像形成装置200及び制御部300を含んでもよい。光学系100は、図1ないし図18で説明した多様な光学系OSのうち一つであってもよい。映像形成装置200は、例えば、光源LS10と空間光変調器SLMとを含むか、あるいはディスプレイパネルD10,D11,D12,D13を含んでもよい。ユーザの視覚器官10は、光学系100に対面するように配置されてもよい。制御部300は、映像形成装置200に連結され、映像形成装置200を制御する役割を行う。例えば、制御部300は、CPU(central processing unit)のようなプロセッサをさらに含んでもよい。また、図19の多重映像ディスプレイ装置は、ユーザインターフェースのための入力部及び出力部をさらに含んでもよい。
【0105】
図20は、他の実施形態による多重映像ディスプレイ装置の全体的な構造を概略的に示すブロック図である。図19に図示された構造は、左右対称的になる1対に具備されてもよい。図20は、その一例を図示する。図20を参照すれば、多重映像ディスプレイ装置は、第1光学系100A、並びにそれに対応する第1映像形成装置200A及び第1制御部300Aを含んでもよい。また、多重映像ディスプレイ装置は、第1光学系100Aと離隔された第2光学系100B、並びにそれに対応する第2映像形成装置200B及び第2制御部300Bを含んでもよい。第1光学系100Aは、ユーザの第1視覚器官10Aに対応するように配置され、第2光学系100Bは、ユーザの第2視覚器官10Bに対応するように配置されてもよい。例えば、第1視覚器官10Aは、ユーザの左目であり、第2視覚器官10Bは、ユーザの右目であってもよい。従って、図20の構造は、両眼型多重映像ディスプレイ装置にも適用される。
【0106】
図21は、さらに他の実施形態による多重映像ディスプレイ装置の全体的な構造を概略的に示すブロック図である。図20に図示された多重映像ディスプレイ装置において、第1制御部300Aと第2制御部300Bは、別途に作製されず、1つの制御部として統合して製造されてもよい。図21を参照すれば、1つの制御部300Cに、第1映像形成装置200A及び第2映像形成装置200Bが共に連結される。また、場合により、制御部300Cは、有線方式ではない無線方式で、第1映像形成装置200A及び第2映像形成装置200Bに連結されてもよい。
【0107】
図22ないし図24は、図19ないし図21に図示された多重映像ディスプレイ装置を適用することができる多様な電子機器を図示する。図22ないし図24に図示されているように、多様な実施形態による多重映像ディスプレイ装置の少なくとも一部は、ウェアラブル(wearable)装置を構成することができる。言い換えれば、多重映像ディスプレイ装置は、ウェアラブル装置にも適用される。例えば、多重映像ディスプレイ装置は、ヘッド装着型ディスプレイ(HMD:head mounted display)にも適用される。また、多重映像ディスプレイ装置は、めがね型ディスプレイ(glasses-type display)またはゴーグル型ディスプレイ(goggle-type display)にも適用される。図22ないし図24に図示されたウェアラブル電子機器は、スマートフォンと連動されて動作させられてもよい。
【0108】
さらには、多様な実施形態による多重映像ディスプレイ装置は、スマートフォン内に具備させることができ、そのようなスマートフォン自体を多重映像ディスプレイ装置として使用することもできる。言い換えれば、図22ないし図24のようなウェアラブル機器ではない小型電子機器(モバイル電子機器)内に、多重映像ディスプレイ装置を適用することもできる。それ以外にも、多様な実施形態による多重映像ディスプレイ装置の適用分野は、多様に変化可能である。例えば、多様な実施形態による多重映像ディスプレイ装置は、拡張現実または混合現実(MR)の具現に適用するだけではなく、その他の分野にも適用することができる。言い換えれば、拡張現実や混合現実ではないとしても、複数の映像を同時に見ることができるディスプレイに、前述の多様な実施形態の思想が適用される。
【0109】
前述の回折光学レンズを具備した多重映像ディスプレイ装置は、図面に図示された実施形態を参照して説明されたが、それらは、例示的なものに過ぎず、当該分野で当業者であるならば、それらから多様な変形、及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解するであろう。従って、開示された実施形態は、限定的な観点ではなく、説明的な観点から考慮されなければならない。権利範囲は、前述の説明ではなく、特許請求の範囲に示されており、それと同等な範囲内にある全ての差異は、権利範囲に含まれたものであると解釈されなければならないのである。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明の、回折光学レンズを具備した多重映像ディスプレイ装置は、例えば、ディスプレイ関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【符号の説明】
【0111】
100,OS 光学系
200 映像形成装置
300 制御部
AM 非球面半透過ミラー
BS10,BS11,BS12,BS13 ビームスプリッタ
DM1,DM2,DM3,DM4,DM5,DM6 ダイクロイックミラー
D10,D11,D12,D13 ディスプレイパネル
DF1,DF2,DF3 拡散板
DL 回折光学レンズ
DMS ダイクロイックミラースタック
GE10 格子要素
GP 回折格子
LE10,LE11 レンズ素子
LGP 導光板
LP10,LP11 偏光板
LS10 光源
SLM 空間光変調器
WP10,WP11,WP12 1/4波長板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24