(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】キャリアフィルムおよびその製造方法、ならびに電磁波シールドフィルムおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 9/00 20060101AFI20221208BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20221208BHJP
B32B 27/40 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
H05K9/00 W
B32B27/00 D
B32B27/40
(21)【出願番号】P 2018219922
(22)【出願日】2018-11-26
【審査請求日】2021-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】片桐 航
(72)【発明者】
【氏名】佐賀 努
(72)【発明者】
【氏名】竹澤 裕美
(72)【発明者】
【氏名】吉田 一義
(72)【発明者】
【氏名】金指 晃嗣
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-168323(JP,A)
【文献】国際公開第2014/188865(WO,A1)
【文献】特開2018-166167(JP,A)
【文献】特開2018-166180(JP,A)
【文献】特開2009-087615(JP,A)
【文献】特開2017-147276(JP,A)
【文献】特開2011-171522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 9/00
B32B 27/00
B32B 27/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁樹脂層と、導電層と、前記絶縁樹脂層に隣接するキャリアフィルムとを有する電磁波シールドフィルムに用いられるキャリアフィルムであり、
キャリアフィルム本体と、前記キャリアフィルム本体の第1の表面に形成された粘着剤層とを有し、
前記粘着剤層が、
ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)との反応物であるウレタン結合含有樹脂を含
み、
前記ポリイソシアネート(B)が、イソシアヌレート体である、キャリアフィルム。
【請求項2】
絶縁樹脂層と、導電層と、前記絶縁樹脂層に隣接するキャリアフィルムとを有する電磁波シールドフィルムに用いられるキャリアフィルムであり、
キャリアフィルム本体と、前記キャリアフィルム本体の第1の表面に形成された粘着剤層とを有し、
前記粘着剤層が、ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)との反応物である
ウレタン結合含有樹脂を含み、
前記ポリイソシアネート(B)がウレトジオン結合、ビウレット結合及びアロファネート結合のいずれも含まない、キャリアフィルム。
【請求項3】
前記ポリオール(A)の数平均分子量が、500~3000である、請求項
1又は2に記載のキャリアフィルム。
【請求項4】
前記ポリオール(A)が、2種以上の多価アルコールの混合物である、請求項
1~3
のいずれか一項に記載のキャリアフィルム。
【請求項5】
前記ポリオール(A)が、ポリカーボネートポリオール(A1)、及びポリエーテルポリオール(A2)、及びポリエステルポリオール(A3)からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項
1~4のいずれか一項に記載のキャリアフィルム。
【請求項6】
前記ポリイソシアネート(B)が、イソシアヌレート体である、請求項
2に記載のキャリアフィルム。
【請求項7】
前記ウレタン結合含有樹脂のガラス転移温度が、-30~100℃である、請求項1~6のいずれか一項に記載のキャリアフィルム。
【請求項8】
前記ウレタン結合含有樹脂の25℃における貯蔵弾性率が、1.0×10
3~5.0×10
8Paである、請求項1~7のいずれか一項に記載のキャリアフィルム。
【請求項9】
前記キャリアフィルム本体の第1の表面に相対する第2の表面が離型処理されている、請求項1~8のいずれか一項に記載のキャリアフィルム。
【請求項10】
前記粘着剤層が、粒子を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のキャリアフィルム。
【請求項11】
前記粒子の平均粒子径が、0.01~50μmである、請求項10に記載のキャリアフィルム。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のキャリアフィルムを製造する方法であり、
前記キャリアフィルム本体の第1の表面に前記粘着剤層を形成してキャリアフィルムとし、
前記キャリアフィルムを、前記粘着剤層の表面と前記キャリアフィルム本体の第2の表面とが接するようにロール状に巻き取る、キャリアフィルムの製造方法。
【請求項13】
絶縁樹脂層と、
前記絶縁樹脂層に隣接する導電層と、
前記絶縁樹脂層の前記導電層側とは反対側に隣接するキャリアフィルムとを有し、
前記キャリアフィルムが、請求項1~11のいずれか一項に記載のキャリアフィルムである、電磁波シールドフィルム。
【請求項14】
前記キャリアフィルムと前記絶縁樹脂層との界面における剥離強度が、1N/cm以下である、請求項13に記載の電磁波シールドフィルム。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法であって、
前記キャリアフィルムの前記粘着剤層上に、前記絶縁樹脂層を形成する工程(a)を有する、電磁波シールドフィルムの製造方法。
【請求項16】
前記工程(a)が、前記キャリアフィルムの前記粘着剤層上に、熱硬化性樹脂、及び溶剤を含む絶縁樹脂層形成用塗料を塗布して前記絶縁樹脂層を形成する工程である、請求項15に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波シールドフィルム用キャリアフィルムおよびその製造方法、ならびに電磁波シールドフィルムおよびその製造方法と、電磁波シールドフィルムが設けられたプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルプリント配線板から発生する電磁波ノイズや外部からの電磁波ノイズを遮蔽するために、絶縁樹脂層と、絶縁樹脂層に隣接する、金属薄膜層および導電性接着剤層から構成される導電層とからなる電磁波シールドフィルムを、絶縁フィルム(カバーレイフィルム)を介してフレキシブルプリント配線板の表面に設けることがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
電磁波シールドフィルムは、例えば、キャリアフィルムの片面に、熱硬化性樹脂と硬化剤と溶剤とを含む塗工液を塗布し、乾燥させて絶縁樹脂層を形成し、絶縁樹脂層の表面に導電層を設けることによって製造される。
【0004】
キャリアフィルムは、フレキシブルプリント配線板の表面に設けられた絶縁フィルムの表面に電磁波シールドフィルムを、導電性接着剤層が絶縁フィルムに接するように貼り付けた後、絶縁樹脂層から剥離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、キャリアフィルムの表面には粘着剤を含む粘着剤層が形成されている。粘着剤層上に電磁波シールドフィルムの絶縁樹脂層を構成する絶縁樹脂層形成用塗料を塗布すると、粘着剤層が絶縁樹脂層形成用塗料中の溶剤に溶解して、絶縁樹脂層に粘着剤が移行する、あるいは絶縁樹脂層形成用塗料により、粘着剤層が膨潤することで、絶縁樹脂層形成用塗料中の低分子量成分が含侵する(つまり、粘着剤層の耐溶剤性が劣る)という問題があった。
また、粘着層を塗工する際、粘着層が塗工機のガイドロールに貼り付く、さらにロール状巻き取ることでキャリアフィルムがブロッキングする可能性があるため、セパレータフィルムをラミネートする。粘着層の剥離力が軽い、およびまたは粘着層に粘着剤表面から突出するフィラーを含む場合、セパレータフィルムが十分にラミネートできず、キャリアフィルムの搬送不良が発生する。また、セパレータフィルムは絶縁樹脂層形成用塗料を塗布する際に剥離され、廃棄されるため、キャリアフィルムの製造コストを増大させるという問題があった。
【0007】
本発明は、耐溶剤性に優れる粘着剤層を有するキャリアフィルムおよびその簡便な製造方法、ならびに前記キャリアフィルムを用いた電磁波シールドフィルムおよび電磁波シールドフィルム付きプリント配線板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の態様を有する。
[1] 絶縁樹脂層と、導電層と、前記絶縁樹脂層に隣接するキャリアフィルムとを有する電磁波シールドフィルムに用いられるキャリアフィルムであり、
キャリアフィルム本体と、前記キャリアフィルム本体の第1の表面に形成された粘着剤層とを有し、
前記粘着剤層が、ウレタン結合含有樹脂を含む、キャリアフィルム。
[2] 前記ウレタン結合含有樹脂が、ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)との反応物である、[1]に記載のキャリアフィルム。
[3] 前記ポリオール(A)の数平均分子量が、500~3000である、[2]に記載のキャリアフィルム。
[4] 前記ポリオール(A)が、2種以上の多価アルコールの混合物である、[2]又は[3]に記載のキャリアフィルム。
[5] 前記ポリオール(A)が、ポリカーボネートポリオール(A1)、及びポリエーテルポリオール(A2)、及びポリエステルポリオール(A3)からなる群から選択される少なくとも1種を含む、[2]~[4]のいずれか一項に記載のキャリアフィルム。
[6] 前記ポリイソシアネート(B)が、イソシアヌレート体である、[2]~[5]のいずれか一項に記載のキャリアフィルム。
[7] 前記ウレタン結合含有樹脂のガラス転移温度が、-30~100℃である、[1]~[6]のいずれか一項に記載のキャリアフィルム。
[8] 前記ウレタン結合含有樹脂の25℃における貯蔵弾性率が、1.0×103~5.0×108Paである、[1]~[7]のいずれか一項に記載のキャリアフィルム。
[9] 前記キャリアフィルム本体の第1の表面に相対する第2の表面が離型処理されている、[1]~[8]のいずれか一項に記載のキャリアフィルム。
[10] 前記粘着剤層が、粒子を含む、[1]~[9]のいずれか一項に記載のキャリアフィルム。
[11] 前記粒子の平均粒子径が、0.01~50μmである、[10]に記載のキャリアフィルム。
[12] [1]~[11]のいずれか一項に記載のキャリアフィルムを製造する方法であり、
前記キャリアフィルム本体の第1の表面に前記粘着剤層を形成してキャリアフィルムとし、
前記キャリアフィルムを、前記粘着剤層の表面と前記キャリアフィルム本体の第2の表面とが接するようにロール状に巻き取る、キャリアフィルムの製造方法。
[13] 絶縁樹脂層と、
前記絶縁樹脂層に隣接する導電層と、
前記絶縁樹脂層の前記導電層側とは反対側に隣接するキャリアフィルムとを有し、
前記キャリアフィルムが、[1]~[11]のいずれか一項に記載のキャリアフィルムである、電磁波シールドフィルム。
[14] 前記キャリアフィルムと前記絶縁樹脂層との界面における剥離強度が、1N/cm以下である、[13]に記載の電磁波シールドフィルム。
[15] [13]又は[14]に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法であって、
前記キャリアフィルムの前記粘着剤層上に、前記絶縁樹脂層を形成する工程(a)を有する、電磁波シールドフィルムの製造方法。
[16] 前記工程(a)が、前記キャリアフィルムの前記粘着剤層上に、熱硬化性樹脂、及び溶剤を含む絶縁樹脂層形成用塗料を塗布して前記絶縁樹脂層を形成する工程である、[15]に記載の電磁波シールドフィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、耐溶剤性に優れる粘着剤層を有するキャリアフィルムおよびその簡便な製造方法、ならびに前記キャリアフィルムを用いた電磁波シールドフィルムおよび電磁波シールドフィルム付きプリント配線板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明のキャリアフィルムの一実施形態を示す断面図である。
【
図2】
図1のキャリアフィルムの製造工程を示す断面図である。
【
図3】本発明の電磁波シールドフィルムの一実施形態を示す断面図である。
【
図4】本発明の電磁波シールドフィルムの他の実施形態を示す断面図である。
【
図5】本発明の電磁波シールドフィルムの他の実施形態を示す断面図である。
【
図6】
図3の電磁波シールドフィルムの製造工程を示す断面図である。
【
図7】本発明の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の一実施形態を示す断面図である。
【
図8】
図7の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板からキャリアフィルムを剥離した状態を示す断面図である。
【
図9】
図7および
図8の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の製造工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「等方導電性接着剤層」とは、厚さ方向および面方向に導電性を有する導電性接着剤層を意味する。
「異方導電性接着剤層」とは、厚さ方向に導電性を有し、面方向に導電性を有しない導電性接着剤層を意味する。
「面方向に導電性を有しない導電性接着剤層」とは、表面抵抗が1×10
4Ω以上である導電性接着剤層を意味する。
ガラス転移温度は、示差熱走査熱量測定(DSC)によって求められる値である。
貯蔵弾性率は、測定対象に与えた応力と検出した歪から算出され、温度または時間の関数として出力する動的粘弾性測定装置を用いて、粘弾性特性の一つとして測定される。
算術平均粗さRaは、試験片についてレーザー顕微鏡を用いて粗さ曲線を測定し、この粗さ曲線から、JIS B 0601:2013(対応国際規格ISO 4287:1997,Amd.1:2009)に基づいて求めた値である。
鏡面光沢度は、JIS Z 8741:1997(対応国際規格ISO 2813:1994,ISO 7668:1986)に準拠し、入射角/受光角が60°/60°の条件で測定された値である。
数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて溶出時間を測定し、分子量既知のポリスチレン標準物質から予め得た、溶出時間対分子量の校正曲線に基づいて求めた数基準の分子量のことである。
粒子の平均粒子径は、粒子の顕微鏡像から30個の粒子を無作為に選び、それぞれの粒子について、最小径および最大径を測定し、最小径と最大径との中央値を一粒子の粒子径とし、測定した30個の粒子の粒子径を算術平均して得た値である。導電性粒子の平均粒子径も同様である。
粒子の変動係数は、粒子の顕微鏡像から30個の粒子を無作為に選び、30個の粒子の粒子径について標準偏差σおよび平均粒子径Dを求め、下記式から算出したCV値(%)である。
CV=σ/D×100
フィルム(キャリアフィルム、絶縁フィルム等)、塗膜(粘着剤層、絶縁樹脂層、導電性接着剤層等)、金属薄膜層等の厚さは、デジタル測長機(測定子:3mmφ)を用いて20箇所の厚さを測定し、平均した値である。
表面抵抗は、JIS K 7194 又は JIS K 6911に基づいて求めた値である。
剥離強度は、JIS K 6854-2:1999(対応国際規格ISO 8510-2:1990)に基づいて求めた値である。
水酸基価は、JIS K 1557 又は JIS K 0070に基づいて求めた値である。
図1~
図9における寸法比は、説明の便宜上、実際のものとは異なったものである。
【0012】
<キャリアフィルム>
本発明のキャリアフィルムは、絶縁樹脂層と、導電層と、絶縁樹脂層に隣接するキャリアフィルムとを有する電磁波シールドフィルムに用いられる。キャリアフィルムは、電磁波シールドフィルムをプリント配線板に実装する際の支持体となるものである。また、キャリアフィルムは、電磁波シールドフィルムの絶縁樹脂層や導電層を形成する際の支持体となるものでもある。
【0013】
図1は、本発明のキャリアフィルムの一実施形態を示す断面図である。
キャリアフィルム30は、キャリアフィルム本体32と、キャリアフィルム本体32の第1の表面に設けられた粘着剤層34とを有する。
粘着剤層34は、ウレタン結合含有樹脂を含む。
【0014】
キャリアフィルム本体32の第2の表面は、キャリアフィルム30がロール状に巻き取られた際に接することになる粘着剤層34との剥離性を高めるために、離型処理されていることが好ましい。離型処理は、キャリアフィルム本体32の第2の表面に離型剤を塗布することによって行われる。離型剤としては、公知の離型剤を用いればよいが、電磁波シールドフィルムは電子部品に搭載されることから、低分子シロキサン汚染を避けるために非シリコーン系の離型剤を用いることが望ましい。
【0015】
キャリアフィルム30においては、製造したキャリアフィルム30をロールで巻き取る際に、粘着剤層34とキャリアフィルム本体32の第2の表面がくっつかないようにするために、キャリアフィルム本体32の第1の表面に相対する第2の表面が粗面化されていることが好ましい。非シリコーン系の離型剤はシリコーン系の離型剤と比較して剥離力が大きいが、キャリアフィルム本体32の第1の表面に相対する第2の表面を粗面化することで、離型性を向上することができる。
【0016】
キャリアフィルム本体32の第2の表面の鏡面光沢度は、5%以上60%以下が好ましく、5%以上50%以下がより好ましく、5%以上40%以下がさらに好ましい。キャリアフィルム本体32の第2の表面の鏡面光沢度が前記範囲の下限値以下になると、キャリアフィルム本体32の第2の表面が過度に粗面化されているため、キャリアフィルム本体32の第2の表面状態が粘着剤層へ転写され、絶縁樹脂層の絶縁性が低下する可能性がある。キャリアフィルム本体32の第2の表面の鏡面光沢度が前記範囲の上限値以下であれば、キャリアフィルム本体32の第2の表面が十分に粗面化されているため、キャリアフィルム30をロールで巻き取る際、粘着剤層34がキャリアフィルム本体32の第2の表面に接着し難くなる。
【0017】
キャリアフィルム本体32の第2の表面の算術平均粗さRaは、0.05μm以上3μm以下が好ましく、0.1μm以上2μm以下がより好ましく、0.2μm以上1μm以下がさらに好ましい。キャリアフィルム本体32の第2の表面の算術平均粗さRaが前記範囲の下限値以上であれば、キャリアフィルム本体32の第2の表面が十分に粗面化されているため、キャリアフィルム30を製造しやすくなる。キャリアフィルム本体32の第2の表面の算術平均粗さRaが前記範囲の上限値以下であれば、その後形成される絶縁樹脂層の絶縁性を保持できる。
【0018】
キャリアフィルム本体32の樹脂材料としては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETとも記す。)、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリアセテート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、合成ゴム、液晶ポリマー等が挙げられる。樹脂材料としては、電磁波シールドフィルム1を製造する際の耐熱性(寸法安定性)および価格の点から、PETが好ましい。
【0019】
キャリアフィルム本体32は、着色剤(顔料、染料等)およびフィラーのいずれか一方または両方を含んでいてもよい。
着色剤およびフィラーのいずれか一方または両方としては、電磁波シールドフィルムの絶縁樹脂層と明確に区別でき、熱プレスした後にキャリアフィルム30の剥がし残しに気が付きやすい点から、絶縁樹脂層とは異なる色のものが好ましく、白色顔料、フィラー、または白色顔料と他の顔料もしくはフィラーとの組み合わせがより好ましい。
【0020】
キャリアフィルム本体32は、さらに粒子を含んでいてもよい。粒子を含むことにより、キャリアフィルム本体32の表面が凹凸になる。キャリアフィルム本体32の表面が凹凸になることにより、ロールで巻き取る際、粘着剤層34がキャリアフィルム本体32の第2の表面に接着し難くなる。
キャリアフィルム本体32の第2の表面の粗面化による光の散乱によってキャリアフィルム30が十分に白色等を呈している場合、キャリアフィルム本体32は、着色剤およびフィラーを含むことなく透明であってもよい。キャリアフィルム本体32が着色剤およびフィラーを含まなければ、キャリアフィルム30を安価に製造できる。
【0021】
キャリアフィルム本体32の厚さは、3μm以上100μm以下が好ましく、12μm以上75μm以下がより好ましい。キャリアフィルム本体32の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、電磁波シールドフィルムのハンドリング性が良好となる。キャリアフィルム本体32の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、絶縁フィルムの表面に電磁波シールドフィルムの導電性接着剤層を熱プレスする際に導電性接着剤層に熱が伝わりやすい。
【0022】
粘着剤層34は、例えば、キャリアフィルム本体32の表面に粘着剤を含む粘着剤組成物を塗布して形成される。キャリアフィルム30が粘着剤層34を有することによって、電磁波シールドフィルムにおいて離型フィルムを導電性接着剤層から剥離する際や電磁波シールドフィルムをプリント配線板等に熱プレスによって貼り付ける際に、キャリアフィルム30が絶縁樹脂層から剥離することが抑えられ、キャリアフィルム30が保護フィルムとしての役割を十分に果たすことができる。
【0023】
粘着剤は、ウレタン結合含有樹脂を含む。
下記の好ましい実施形態であると、粘着剤層の耐溶剤性がより高まる。
ウレタン結合含有樹脂は、ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)の反応物であることが好ましい。
ポリオール(A)としては、2つ以上の水酸基を有する多価アルコールであれば特に限定されない。
ポリオール(A)としては、2種以上の多価アルコールの混合物であることが好ましい。
ポリオール(A)の数平均分子量は、500~3000が好ましい。ポリオール(A)が2種以上の多価アルコールの混合物の場合は、少なくとも1種の多価アルコールの数平均分子量が500~3000であることが好ましい。
ポリオール(A)の水酸基価は、5~300mgKOH/gが好ましく、5~250mgKOH/gがより好ましい。
ポリオール(A)としては、例えば、ポリカーボネートポリオール(A1)、ポリエーテルポリオール(A2)、ポリエステルポリオール(A3)等が挙げられる。
【0024】
ポリカーボネートポリオール(A1)は、分子内に下記式(A1)の構造を有するポリオールである。
-[-O-R1-O-CO-]m- ・・・(A1)
(式(A1)中、R1は2価の有機基であり、mは1以上の整数である。)
2価の有機基としては、2価の芳香族基、2価の直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素基、2価の脂環式炭化水素基が挙げられる。
式(A1)で表される構造の両末端は、水酸基であることが好ましい。
ポリカーボネートポリオール(A1)の数平均分子量は、500~3000が好ましく、500~2500が好ましく、500~2000がより好ましい。
ポリカーボネートポリオール(A1)の水酸基価は、30~300mgKOH/gが好ましく、50~250mgKOH/gがより好ましい。
ポリカーボネートポリオール(A1)の市販品としては、例えば、デュラノールシリーズ(旭化成社製)等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオール(A1)と、後述のポリエーテルポリオール(A2)とを組み合わせて配合する場合、耐溶剤性をより高める観点から、(A1)/(A2)で表される比率は、質量基準で50/50~90/10であることが好ましい。
【0025】
ポリエーテルポリオール(A2)としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が好ましい。
ポリエーテルポリオール(A2)の数平均分子量は、500~3000が好ましく、800~3000が好ましく、1000~3000がより好ましい。
ポリエーテルポリオール(A2)の水酸基価は、30~300mgKOH/gが好ましく、35~250mgKOH/gがより好ましく、35~200mgKOH/gがさらに好ましい。
【0026】
ポリエステルポリオール(A3)としては、ジオール類とジカルボン酸との縮合重合により得られるポリエステルポリオール;ε-カプロラクトン等のラクトンモノマーの開環重合により得られるポリラクトンジオール等が挙げられる。
ジオール類としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなどが挙げられる。
ジカルボン酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸などが挙げられる。
ポリエステルポリオール(A3)の数平均分子量は、500~3000が好ましく、800~3000が好ましく、1000~3000がより好ましい。
ポリエステルポリオール(A3)の水酸基価は、30~300mgKOH/gが好ましく、35~250mgKOH/gがより好ましく、35~200mgKOH/gがさらに好ましい。
【0027】
ポリオール(A)は1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0028】
ポリイソシアネート(B)は、2つ以上のイソシアネート基を有するものであれば特に限定されず、例えば、脂肪族ポリイソシアネート化合物、脂環族ポリイソシアネート化合物、芳香族ポリイソシアネート化合物、芳香脂肪族ポリイソシアネート化合物等のポリイソシアネート化合物;ポリイソシアネート化合物の変性体(例えば、イソシアヌレート体、カルボジイミド体、アダクト体、ビウレット体、アロファネート体等)、ポリイソシアネート化合物の多核体等が挙げられ、2種以上を混合して用いても良い。
【0029】
脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、3-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート等が挙げられ、好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等が挙げられる。
【0030】
脂環族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
【0031】
芳香族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’-ジベンジルジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート等が挙げられ、好ましくは2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等が挙げられる。
【0032】
これらの中でも、耐溶剤性をより向上させることができるという観点から、ポリイソシアネートのイソシアヌレート体が好ましい。
ポリイソシアネート(B)の市販品としては、例えば、デュラネートシリーズ(旭化成社製)等が挙げられる。
【0033】
ポリイソシアネート(B)のNCO含量は、特に限定されるものではないが、例えば5~50%、より好ましくは5~40%、さらに好ましくは5~35%である。
【0034】
粘着剤において、ポリイソシアネート(B)と、ポリオール(A)とのOH/NCO比は、0.6~2.0であることが好ましく、0.8~1.2であることがより好ましい。なお、OH/NCO比は、ポリイソシアネート(B)と、ポリオール(A)の配合量から算出される値である。
【0035】
ウレタン結合含有樹脂は、ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)を触媒(C)存在下に反応させることにより得られる。
触媒(C)としては、オクチル酸錫、ジラウリン酸ジブチル錫、チタン酸2-エチルヘキシル、塩化錫、塩化鉄、硝酸ビスマス、ナフテン酸亜鉛、アンチモントリクロリド等の有機金属触媒や、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミンなどのアミン触媒が挙げられる。なかでも、安全性が高いことから、オクチル酸錫、ジラウリン酸ジブチル錫が好ましく、ジラウリン酸ジブチル錫がより好ましい。
【0036】
触媒(C)の添加量は、ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)の合計100質量部に対し、0.05~5質量部が好ましく、0.2~3質量部が好ましい。
触媒の添加量が上記下限値以上であると、ポリオールとポリイソシアネートを十分に反応させることができる。
触媒の添加量が上記上限値以下であると、ポットライフを十分に確保することができる。
【0037】
ウレタン結合含有樹脂のガラス転移温度は、-30~100℃が好ましく、-20~30℃がより好ましい。
ガラス転移温度が上記下限値以上であると、ガイドロールへの貼り付きやロール状に巻き取った際のブロッキングを防止できる。ガラス転移温度が上記上限値以下であると、キャリアフィルム30は絶縁樹脂層に対して適度な剥離力を確保できる。
ウレタン結合含有樹脂の25℃における貯蔵弾性率は、1.0×103~5.0×108Paが好ましく、1.0×103~1.0×107Paがより好ましい。
貯蔵弾性率が上記下限値以上であると、塗工機のガイドロールへの貼り付きやロール状に巻き取った際のブロッキングを防止できる。貯蔵弾性率が上記上限値以下であると、キャリアフィルム30は絶縁樹脂層に対して適度な剥離力を確保できる。
【0038】
粘着剤層34は、ウレタン結合含有樹脂に加えて、他の樹脂を含んでいてもよい。他の樹脂としては、アクリル樹脂、合成ゴム等が挙げられる。
粘着剤層34を構成する樹脂100質量%に対するウレタン結合含有樹脂の含有量は、50~100質量%が好ましく、100質量%がより好ましい。
【0039】
粘着剤層34は、さらに粒子を含んでいてもよい。
粒子は、粘着剤層34の表面に凹凸を付与するものである。
粒子としては、無機粒子、ポリマー粒子等が挙げられる。無機粒子としては、シリカ粒子、炭酸カルシウム粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子等が挙げられる。ポリマー粒子としては、アクリル粒子、メラミン粒子等が挙げられる。粒子としては、粘着剤になじみやすく、均一な凹凸を生み出す点から、シリカ粒子およびアクリル粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
粒子は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
粘着剤層34に含まれる粒子によってキャリアフィルム30が十分に白色等を呈している場合、キャリアフィルム本体32は、着色剤およびフィラーを含むことなく透明であってもよい。キャリアフィルム本体32が着色剤およびフィラーを含まなければ、キャリアフィルム30を安価に製造できる。
【0040】
粒子の平均粒子径は、0.01~50μmが好ましく、1~30μmがより好ましい。粒子の平均粒子径が前記範囲の下限値以上であれば、粘着剤の膜厚と同程度にすることができるため、粘着剤層34に粒子の凹凸が埋もれてしまうことを防ぐことができる。粒子の平均粒子径が前記範囲の上限値以下であれば、粒子が粘着剤層34から脱離することがない。
【0041】
粒子の変動係数は、1%以上50%以下が好ましく、3%以上30%以下がより好ましく、5%以上20%以下がさらに好ましい。粒子の変動係数が前記範囲の下限値以上であれば、コストがあまり高くならない。粒子の変動係数が前記範囲の上限値以下であれば、粒子が粘着剤層34に埋もれたり、この上の絶縁樹脂層の膜厚を部分的に極端に薄くしたり、突き破ったりする粒子の混入がない。
【0042】
粒子の添加量は、粘着剤の固形分100質量部に対して、1質量部以上100質量部以下が好ましく、5質量部以上50質量部以下がより好ましい。粒子の添加量が前記範囲の下限値以上であれば、キャリアフィルム30の粘着剤層34の表面の凹凸が絶縁樹脂層10の表面に十分に転写される。その結果、キャリアフィルム30を剥離した後の絶縁樹脂層10の表面における光の反射が十分に抑えられる。粒子の添加量が前記範囲の上限値以下であれば、粒子が粘着剤の粘着性を阻害せず、粘着剤層34が適度な粘着性を有する。
【0043】
粘着剤層34の表面の鏡面光沢度は、5%以上60%以下が好ましく、5%以上50%以下がより好ましく、5%以上40%以下がさらに好ましい。粘着剤層34の表面の鏡面光沢度が前記範囲の下限値以上であれば、粘着剤の性能を損なわない程度の粒子の添加量で粘着剤層34を形成できる。粘着剤層34の表面の鏡面光沢度が前記範囲の上限値以下であれば、キャリアフィルム30の粘着剤層34の表面の凹凸が電磁波シールドフィルムの絶縁樹脂層の表面に十分に転写される。その結果、キャリアフィルム30を剥離した後の絶縁樹脂層の表面における光の反射が十分に抑えられる。
【0044】
粘着剤層34の厚さは、0.5μm以上50μm以下が好ましく、0.8μm以上30μm以下がより好ましく、1μm以上10μm以下がさらに好ましい。粘着剤層34の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、作業性に必要な粘着力を保つことができる。粘着剤層34の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、軽剥離な粘着剤層34を得ることができる。
【0045】
キャリアフィルム30の厚さは、25μm以上125μm以下が好ましく、38μm以上100μm以下がより好ましい。キャリアフィルム30の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、電磁波シールドフィルム1のハンドリング性が良好となる。キャリアフィルム30の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、絶縁フィルムの表面に電磁波シールドフィルム1の導電性接着剤層を熱プレスする際に導電性接着剤層に熱が伝わりやすい。
【0046】
(キャリアフィルムの製造方法)
キャリアフィルム30は、例えば、
図2に示すように、キャリアフィルム本体32の第2の表面を粗面化する。続いて、キャリアフィルム本体32の第2の表面を離型処理する。さらに続いて、キャリアフィルム本体32の第1の表面に粘着剤層34を形成してキャリアフィルム30とし、キャリアフィルム30を、粘着剤層34の表面とキャリアフィルム本体32の第2の表面とが接するようにロール状に巻き取ることによって製造される。
【0047】
離型処理は、キャリアフィルム本体32の第2の表面に離型剤を塗布することによって行われる。離型剤としては、公知の離型剤を用いればよいが、電磁波シールドフィルムは電子部品に搭載されることから、低分子シロキサン汚染を避けるために非シリコーン系の離型剤を用いることが望ましい。
【0048】
キャリアフィルム本体32の第2の表面を粗面化する方法としては、キャリアフィルム本体32の第2の表面に砥粒を吹き付ける方法(ブラスト処理)、キャリアフィルム本体32の第2の表面にエンボスロールの凹凸を転写する方法(エンボス処理)、キャリアフィルム本体32に粒子を含ませる方法等が挙げられる。
【0049】
粘着剤層34は、例えば、キャリアフィルム本体32の表面に粘着剤を含む粘着剤組成物を塗布し、乾燥することによって形成される。
ロール状に巻き取られたキャリアフィルム30は、キャリアフィルム本体32の第1の表面に塗布された未硬化の粘着剤を硬化させて粘着剤層34の形成を完了させるために、未硬化の粘着剤の硬化温度の条件下にしばらく放置される。
【0050】
(作用効果)
以上説明したキャリアフィルム30は、粘着剤層34がウレタン結合含有樹脂を含むため、耐溶剤性に優れる。
【0051】
<電磁波シールドフィルム>
図3は、本発明の電磁波シールドフィルムの第1の実施形態を示す断面図であり、
図4は、本発明の電磁波シールドフィルムの第2の実施形態を示す断面図であり、
図5は、本発明の電磁波シールドフィルムの第3の実施形態を示す断面図である。
第1の実施形態、第2の実施形態および第3の実施形態の電磁波シールドフィルム1は、絶縁樹脂層10と;絶縁樹脂層10に隣接する導電層20と;絶縁樹脂層10の導電層20とは反対側に隣接するキャリアフィルム30と;導電層20の絶縁樹脂層10とは反対側に隣接する離型フィルム40とを有する。
【0052】
第1の実施形態の電磁波シールドフィルム1は、導電層20が、絶縁樹脂層10に隣接する金属薄膜層22と、離型フィルム40に隣接する異方導電性接着剤層24とを有する例である。
第2の実施形態の電磁波シールドフィルム1は、導電層20が、絶縁樹脂層10に隣接する金属薄膜層22と、離型フィルム40に隣接する等方導電性接着剤層26とを有する例である。
第3の実施形態の電磁波シールドフィルム1は、導電層20が、等方導電性接着剤層26のみからなる例である。
【0053】
キャリアフィルム30と絶縁樹脂層10との界面における剥離強度は、1N/cm以下が好ましく、0.01~1N/cmがより好ましく、0.02~0.5N/cmがさらに好ましい。
【0054】
(絶縁樹脂層)
絶縁樹脂層10は、金属薄膜層22を形成する際のベース(下地)となる。また、絶縁樹脂層10は、電磁波シールドフィルム1をフレキシブルプリント配線板の表面に設けられた絶縁フィルムの表面に貼着し、キャリアフィルム30を剥離した後には、金属薄膜層22の保護層となる。
【0055】
絶縁樹脂層10としては、熱硬化性樹脂と硬化剤とを含む塗料を塗布し、半硬化または硬化させて形成された塗膜;熱可塑性樹脂を含む塗料を塗布して形成された塗膜;熱可塑性樹脂を含む組成物を溶融成形したフィルムからなる層等が挙げられる。ハンダ付け等の際の耐熱性の点から、熱硬化性樹脂と硬化剤とを含む塗料を塗布し、半硬化または硬化させて形成された塗膜が好ましい。
【0056】
熱硬化性樹脂としては、アミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、合成ゴム、紫外線硬化アクリレート樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、耐熱性に優れる点から、アミド樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。
硬化剤としては、熱硬化性樹脂の種類に応じた公知の硬化剤が挙げられる。
【0057】
絶縁樹脂層10は、プリント配線板のプリント回路を隠蔽したり、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板に意匠性を付与したりするために、着色剤(顔料、染料等)およびフィラーのいずれか一方または両方を含んでいてもよい。
着色剤およびフィラーのいずれか一方または両方としては、耐候性、耐熱性、隠蔽性の点から、顔料またはフィラーが好ましく、プリント回路の隠蔽性、意匠性の点から、黒色顔料、または黒色顔料と他の顔料もしくはフィラーとの組み合わせがより好ましい。
【0058】
絶縁樹脂層10は、難燃剤を含んでいてもよい。
絶縁樹脂層10は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。
【0059】
キャリアフィルム30を剥離した後の絶縁樹脂層10の表面の鏡面光沢度は、5%以上60%以下が好ましく、5%以上50%以下がより好ましく、5%以上40%以下がさらに好ましい。絶縁樹脂層10の表面の鏡面光沢度が前記範囲の下限値以上であれば、粘着剤の性能を損なわない程度の粒子の添加量で粘着剤層34を形成できる。絶縁樹脂層10の表面の鏡面光沢度が前記範囲の上限値以下であれば、キャリアフィルム30を剥離した後の絶縁樹脂層10の表面における光の反射が十分に抑えられる。
【0060】
絶縁樹脂層10の表面抵抗は、電気的絶縁性の点から、1×106Ω以上が好ましい。
絶縁樹脂層10の表面抵抗は、実用上の点から、1×1016Ω以下が好ましい。
絶縁樹脂層10の厚さは、0.1μm以上30μm以下が好ましく、0.5μm以上20μm以下がより好ましい。絶縁樹脂層10の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、絶縁樹脂層10が保護層としての機能を十分に発揮できる。絶縁樹脂層10の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1を薄くできる。
【0061】
(導電層)
導電層20としては、絶縁樹脂層10に隣接する金属薄膜層22と、導電層20において絶縁樹脂層10とは反対側の最表層となる導電性接着剤層(異方導電性接着剤層24または等方導電性接着剤層26)とを有する導電層(I);または等方導電性接着剤層26のみからなる導電層(II)が挙げられる。導電層20としては、電磁波シールド層として十分に機能できる点から、導電層(I)が好ましい。
【0062】
(金属薄膜層)
金属薄膜層22は、金属の薄膜からなる層である。金属薄膜層22は、面方向に広がるように形成されていることから、面方向に導電性を有し、電磁波シールド層等として機能する。
【0063】
金属薄膜層22としては、物理蒸着(真空蒸着、スパッタリング、イオンビーム蒸着、電子ビーム蒸着等)またはCVDによって形成された蒸着膜、めっきによって形成されためっき膜、金属箔等が挙げられる。面方向の導電性に優れる点から、蒸着膜、めっき膜が好ましく、厚さを薄くでき、かつ厚さが薄くても面方向の導電性に優れ、ドライプロセスにて簡便に形成できる点から、蒸着膜がより好ましく、物理蒸着による蒸着膜がさらに好ましい。
【0064】
金属薄膜層22を構成する金属としては、アルミニウム、銀、銅、金、導電性セラミックス等が挙げられる。電気伝導度の点からは、銅、または銀が好ましく、化学的安定性の点からは、導電性セラミックスが好ましい。
【0065】
金属薄膜層22の表面抵抗は、0.001Ω以上1Ω以下が好ましく、0.001Ω以上0.5Ω以下がより好ましい。金属薄膜層22の表面抵抗が前記範囲の下限値以上であれば、金属薄膜層22を十分に薄くできる。金属薄膜層22の表面抵抗が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールド層として十分に機能できる。
【0066】
金属薄膜層22の厚さは、0.01μm以上5μm以下が好ましく、0.05μm以上3μm以下がより好ましい。金属薄膜層22の厚さが0.01μm以上であれば、面方向の導電性がさらに良好になる。金属薄膜層22の厚さが0.05μm以上であれば、電磁波ノイズの遮蔽効果がさらに良好になる。金属薄膜層22の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1を薄くできる。また、電磁波シールドフィルム1の生産性、可とう性がよくなる。
【0067】
(導電性接着剤層)
導電性接着剤層は、少なくとも厚さ方向に導電性を有し、かつ接着性を有する。
導電性接着剤層としては、厚さ方向に導電性を有し、面方向には導電性を有さない異方導電性接着剤層24、または厚さ方向および面方向に導電性を有する等方導電性接着剤層26が挙げられる。導電層(I)における導電性接着剤層としては、導電性接着剤層を薄くでき、導電性粒子の量が少なくなり、その結果、電磁波シールドフィルム1を薄くでき、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる点からは、異方導電性接着剤層24が好ましい。導電層(I)における導電性接着剤層としては、安定的にグランドと電気的に接続できる点からは、等方導電性接着剤層26が好ましい。
【0068】
導電性接着剤層としては、硬化後に耐熱性を発揮できる点から、熱硬化性の導電性接着剤層が好ましい。熱硬化性の導電性接着剤層は、未硬化の状態であってもよく、Bステージ化された状態であってもよい。
熱硬化性の異方導電性接着剤層24は、例えば、熱硬化性接着剤24aと導電性粒子24bとを含む。
熱硬化性の等方導電性接着剤層26は、例えば、熱硬化性接着剤26aと導電性粒子26bとを含む。
【0069】
熱硬化性接着剤としては、接着性を有する熱硬化性樹脂と硬化剤とを含むものが挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、合成ゴム、紫外線硬化アクリレート樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、耐熱性に優れる点から、エポキシ樹脂が好ましい。
硬化剤としては、熱硬化性樹脂の種類に応じた公知の硬化剤が挙げられる。
【0070】
熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂の場合、熱硬化性接着剤は、可とう性付与のためのゴム成分(カルボキシ変性ニトリルゴム、アクリルゴム等)、粘着付与剤等を含んでいてもよい。
熱硬化性接着剤は、必要に応じて難燃剤を含んでいてもよい。
熱硬化性接着剤は、導電性接着剤層の強度を高め、打ち抜き特性を向上させるために、セルロース樹脂、ミクロフィブリル(ガラス繊維等)を含んでいてもよい。
熱硬化性接着剤は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。
【0071】
導電性粒子としては、金属(銀、白金、金、銅、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、ハンダ等)の粒子、黒鉛粉、焼成カーボン粒子、めっきされた焼成カーボン粒子等が挙げられる。導電性粒子としては、導電性接着剤層が適度の硬さを有するようになり、熱プレスの際の導電性接着剤層における圧力損失を低減できる点からは、金属粒子が好ましく、銅粒子がより好ましい。
【0072】
異方導電性接着剤層24における導電性粒子24bの平均粒子径は、1μm以上26μm以下が好ましく、2μm以上16μm以下がより好ましい。導電性粒子24bの平均粒子径が前記範囲の下限値以上であれば、異方導電性接着剤層24の厚さを確保することができ、十分な接着強度を得ることができる。導電性粒子24bの平均粒子径が前記範囲の上限値以下であれば、異方導電性接着剤層24の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができる。
【0073】
等方導電性接着剤層26における導電性粒子26bの平均粒子径は、0.1μm以上10μm以下が好ましく、0.2μm以上1μm以下がより好ましい。導電性粒子26bの平均粒子径が前記範囲の下限値以上であれば、導電性粒子26bの接触点数が増えることになり、3次元方向の導通性を安定的に高めることができる。導電性粒子26bの平均粒子径が前記範囲の上限値以下であれば、等方導電性接着剤層26の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができる。
【0074】
異方導電性接着剤層24における導電性粒子24bの割合は、異方導電性接着剤層24の100体積%のうち、1体積%以上30体積%以下が好ましく、2体積%以上10体積%以下がより好ましい。導電性粒子24bの割合が前記範囲の下限値以上であれば、異方導電性接着剤層24の導電性が良好になる。導電性粒子24bの割合が前記範囲の上限値以下であれば、異方導電性接着剤層24の接着性、流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)が良好になる。また、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。
【0075】
等方導電性接着剤層26における導電性粒子26bの割合は、等方導電性接着剤層26の100体積%のうち、50体積%以上80体積%以下が好ましく、60体積%以上70体積%以下がより好ましい。導電性粒子26bの割合が前記範囲の下限値以上であれば、等方導電性接着剤層26の導電性が良好になる。導電性粒子26bの割合が前記範囲の上限値以下であれば、等方導電性接着剤層26の接着性、流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)が良好になる。また、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。
【0076】
異方導電性接着剤層24の表面抵抗は、1×104Ω以上1×1016Ω以下が好ましく、1×106Ω以上1×1014Ω以下がより好ましい。異方導電性接着剤層24の表面抵抗が前記範囲の下限値以上であれば、導電性粒子24bの含有量が低く抑えられる。
異方導電性接着剤層24の表面抵抗が前記範囲の上限値以下であれば、実用上、異方性に問題がない。
【0077】
等方導電性接着剤層26の表面抵抗は、0.05Ω以上2.0Ω以下が好ましく、0.1Ω以上1.0Ω以下がより好ましい。等方導電性接着剤層26の表面抵抗が前記範囲の下限値以上であれば、導電性粒子26bの含有量が低く抑えられ、導電性接着剤の粘度が高くなりすぎず、塗布性がさらに良好となる。また、等方導電性接着剤層26の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)をさらに確保できる。等方導電性接着剤層26の表面抵抗が前記範囲の上限値以下であれば、等方導電性接着剤層26の全面が均一な導電性を有するものとなる。
【0078】
異方導電性接着剤層24の厚さは、1μm以上25μm以下が好ましく、3μm以上15μm以下がより好ましい。異方導電性接着剤層24の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、異方導電性接着剤層24の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができる。異方導電性接着剤層24の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1を薄くできる。また、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。
【0079】
等方導電性接着剤層26の厚さは、1μm以上20μm以下が好ましく、3μm以上17μm以下がより好ましい。等方導電性接着剤層26の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、等方導電性接着剤層26の導電性が良好になり、電磁波シールド層として十分に機能できる。また、等方導電性接着剤層26の流動性(絶縁フィルムの貫通孔の形状への追随性)を確保でき、絶縁フィルムの貫通孔内を導電性接着剤で十分に埋めることができ、耐折性も確保でき繰り返し折り曲げても等方導電性接着剤層26が断裂することはない。
等方導電性接着剤層26の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1を薄くできる。また、電磁波シールドフィルム1の可とう性がよくなる。
【0080】
(キャリアフィルム)
キャリアフィルム30は、電磁波シールドフィルム1のハンドリング性を良好にして、絶縁樹脂層10や導電層20を形成する際の支持体となるものでもある。キャリアフィルム30は、電磁波シールドフィルム1をプリント配線板等に貼り付けた後には、絶縁樹脂層10から剥離される。
【0081】
キャリアフィルム30としては、本発明のキャリアフィルムを用いる。
キャリアフィルム30は、キャリアフィルム30の粘着剤層34と絶縁樹脂層10とが接するように設けられる。
【0082】
(離型フィルム)
離型フィルム40は、導電性接着剤層を保護するものであり、電磁波シールドフィルム1のハンドリング性を良好にする。離型フィルム40は、電磁波シールドフィルム1をプリント配線板等に貼り付ける前に、導電性接着剤層から剥離される。
【0083】
離型フィルム40は、例えば、離型フィルム本体42と、離型フィルム本体42の導電性接着剤層側の表面に設けられた離型剤層44とを有する。
【0084】
離型フィルム本体42の樹脂材料としては、キャリアフィルム本体32の樹脂材料と同様なものが挙げられる。
離型フィルム本体42は、着色剤、フィラー等を含んでいてもよい。
離型フィルム本体42の厚さは、5μm以上500μm以下が好ましく、10μm以上150μm以下がより好ましく、25μm以上100μm以下がさらに好ましい。
【0085】
離型剤層44は、離型フィルム本体42の表面を離型剤で処理して形成される。離型フィルム40が離型剤層44を有することによって、離型フィルム40を導電性接着剤層から剥離する際に、離型フィルム40を剥離しやすく、導電性接着剤層が破断しにくくなる。
離型剤としては、公知の離型剤を用いればよい。
【0086】
離型剤層44の厚さは、0.001μm以上20μm以下が好ましく、0.01μm以上10μm以下がより好ましい。離型剤層44の厚さが前記範囲内であれば、離型フィルム40をさらに剥離しやすくなる。
【0087】
(電磁波シールドフィルムの厚さ)
電磁波シールドフィルム1の厚さ(キャリアフィルム30および離型フィルム40を除く。)は、3μm以上50μm以下が好ましく、3μm以上30μm以下がより好ましい。電磁波シールドフィルム1の厚さ(キャリアフィルム30および離型フィルム40を除く。)が前記範囲の下限値以上であれば、キャリアフィルム30を剥離する際に破断しにくい。電磁波シールドフィルム1の厚さ(キャリアフィルム30および離型フィルム40を除く。)が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板を薄くできる。
【0088】
(電磁波シールドフィルムの製造方法)
本発明の電磁波シールドフィルムは、例えば、下記の工程(a)~(c)を有する方法(α)によって製造できる。
工程(a):キャリアフィルムの片面に絶縁樹脂層を形成する工程。
工程(b):工程(a)の後、絶縁樹脂層の表面に導電層を形成する工程。
工程(c):工程(b)の後、導電層の表面に離型フィルムを貼り付ける工程。
【0089】
また、本発明の電磁波シールドフィルムは、例えば、下記の工程(a’)、(b’1)、(b’2)、(c’)を有する方法(β)によって製造できる。
工程(a’):キャリアフィルムの片面に絶縁樹脂層を形成する工程。
工程(b’1):絶縁樹脂層の表面に金属薄膜層を形成することによって、キャリアフィルムと、絶縁樹脂層と、金属薄膜層とを順に備えた第1の積層体を得る工程。
工程(b’2):離型フィルムの片面に導電性接着剤層を形成することによって、離型フィルムと、導電性接着剤層とを順に備えた第2の積層体を得る工程。
工程(c’):第1の積層体と第2の積層体とを、金属薄膜層と導電性接着剤層とが接触するように貼り合わせる工程。
【0090】
以下、
図3に示す電磁波シールドフィルム1を方法(α)によって製造する方法について、
図6を参照しながら説明する。
【0091】
工程(a):
図6に示すように、キャリアフィルム30の粘着剤層34の表面に絶縁樹脂層10を形成する。
絶縁樹脂層10の形成方法としては、リフロー方式のハンダ付け等の際の耐熱性の点から、熱硬化性樹脂と硬化剤とを含む絶縁樹脂層形成用塗料を塗布し、半硬化または硬化させる方法が好ましい。
絶縁樹脂層形成用塗料は、必要に応じて溶剤、着色剤、フィラー、難燃剤、または他の成分を含んでいてもよい。粘度を調整して塗布を容易にするという観点から、絶縁樹脂層形成用塗料は溶剤を含むことが好ましい。溶剤としては、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、トルエン、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノン等が挙げられる。
【0092】
工程(b):
図6に示すように、絶縁樹脂層10の表面に金属薄膜層22を形成し(工程(b1))、金属薄膜層22の表面に異方導電性接着剤層24を形成する(工程(b2))。
【0093】
金属薄膜層22の形成方法としては、物理蒸着、CVDによって蒸着膜を形成する方法、めっきによってめっき膜を形成する方法、金属箔を貼り付ける方法等が挙げられる。面方向の導電性に優れる金属薄膜層22を形成できる点から、物理蒸着、CVDによって蒸着膜を形成する方法、またはめっきによってめっき膜を形成する方法が好ましく、金属薄膜層22の厚さを薄くでき、かつ厚さが薄くても面方向の導電性に優れる金属薄膜層22を形成でき、ドライプロセスにて簡便に金属薄膜層22を形成できる点から、物理蒸着、CVDによって蒸着膜を形成する方法がより好ましく、物理蒸着によって蒸着膜を形成する方法がさらに好ましい。
【0094】
異方導電性接着剤層24の形成方法としては、金属薄膜層22の表面に熱硬化性導電性接着剤組成物を塗布する方法が挙げられる。
熱硬化性導電性接着剤組成物としては、熱硬化性接着剤24aと導電性粒子24bとを含むものを用いる。
【0095】
工程(c):
図6に示すように、異方導電性接着剤層24の表面に離型フィルム40を貼り付けて、電磁波シールドフィルム1を得る。
【0096】
(他の実施形態)
本発明の電磁波シールドフィルムは、絶縁樹脂層と、絶縁樹脂層に隣接する導電層と、絶縁樹脂層の導電層とは反対側に隣接するキャリアフィルムとを有し;キャリアフィルムが、本発明のキャリアフィルムであればよく、図示例の実施形態に限定はされない。
例えば、離型フィルムは、導電性接着剤層の表面のタック性が少ない場合は、離型剤層の代わりに粘着剤層を有していてもよい。または、離型フィルムを省略しても構わない。
離型フィルムは、離型フィルム本体の離型性が高い場合は、離型剤層を有さず、離型フィルム本体のみからなるものであってもよい。
絶縁樹脂層は、2層以上であってもよい。
【0097】
<電磁波シールドフィルム付きプリント配線板>
図7は、本発明の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の一実施形態を示す断面図である。
電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2は、フレキシブルプリント配線板50と、絶縁フィルム60と、第1の実施形態の電磁波シールドフィルム1とを備える。
フレキシブルプリント配線板50は、ベースフィルム52の少なくとも片面にプリント回路54が設けられたものである。
絶縁フィルム60は、フレキシブルプリント配線板50のプリント回路54が設けられた側の表面に設けられる。
電磁波シールドフィルム1の異方導電性接着剤層24は、絶縁フィルム60の表面に接着され、かつ硬化されている。また、異方導電性接着剤層24は、絶縁フィルム60に形成された貫通孔(図示略)を通ってプリント回路54に電気的に接続されている。
電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2においては、離型フィルム40は、異方導電性接着剤層24から剥離されている。
【0098】
電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2においてキャリアフィルム30が不要になった際には、
図8に示すように、キャリアフィルム30は、絶縁樹脂層10から剥離される。キャリアフィルム30を剥離した後、絶縁樹脂層10の表面には、キャリアフィルム30の粘着剤層34の表面の凹凸が転写されて形成された凹凸が露出する。
【0099】
貫通孔のある部分を除くプリント回路54(信号回路、グランド回路、グランド層等)の近傍には、電磁波シールドフィルム1の金属薄膜層22が、絶縁フィルム60および異方導電性接着剤層24を介して離間して対向配置される。
貫通孔のある部分を除くプリント回路54と金属薄膜層22との離間距離は、絶縁フィルム60の厚さと異方導電性接着剤層24の厚さの総和とほぼ等しい。離間距離は、20μm以上200μm以下が好ましく、20μm以上150μm以下がより好ましい。離間距離が20μmより小さいと、信号回路のインピーダンスが低くなるため、50Ω等の特性インピーダンスを有するためには、信号回路の線幅を小さくしなければならず、線幅のバラツキが特性インピーダンスのバラツキとなって、インピーダンスのミスマッチによる反射共鳴ノイズが電気信号に乗りやすくなる。離間距離が200μmより大きいと、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2が厚くなり、可とう性が不足する。
【0100】
(フレキシブルプリント配線板)
フレキシブルプリント配線板50は、銅張積層板の銅箔を公知のエッチング法により所望のパターンに加工してプリント回路(電源回路、グランド回路、グランド層等)としたものである。
銅張積層板としては、ベースフィルム52の片面または両面に接着剤層(図示略)を介して銅箔を貼り付けたもの;銅箔の表面にベースフィルム52を形成する樹脂溶液等をキャストしたもの等が挙げられる。
接着剤層の材料としては、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
接着剤層の厚さは、0.5μm以上30μm以下が好ましい。
【0101】
(ベースフィルム)
ベースフィルム52としては、耐熱性を有するフィルムが好ましく、ポリイミドフィルム、液晶ポリマーフィルムがより好ましい。
ベースフィルム52の表面抵抗は、電気的絶縁性の点から、1×106Ω以上が好ましい。ベースフィルム52の表面抵抗は、実用上の点から、1×1016Ω以下が好ましい。
ベースフィルム52の厚さは、5μm以上200μm以下が好ましく、屈曲性の点から、5μm以上25μm以下がより好ましく、10μm以上25μm以下がより好ましい。
【0102】
(プリント回路)
プリント回路54(信号回路、グランド回路、グランド層等)を構成する銅箔としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられ、屈曲性の点から、圧延銅箔が好ましい。
銅箔の厚さは、1μm以上50μm以下が好ましく、18μm以上35μm以下がより好ましい。
プリント回路54の長さ方向の端部(端子)は、ハンダ接続、コネクター接続、部品搭載等のため、絶縁フィルム60や電磁波シールドフィルム1に覆われていない。
【0103】
(絶縁フィルム)
絶縁フィルム60(カバーレイフィルム)は、絶縁フィルム本体の片面に、接着剤の塗布、接着剤シートの貼り付け等によって接着剤層(図示略)を形成したものである。
絶縁フィルム本体の表面抵抗は、電気的絶縁性の点から、1×106Ω以上が好ましい。絶縁フィルム本体の表面抵抗は、実用上の点から、1×1016Ω以下が好ましい。
絶縁フィルム本体としては、耐熱性を有するフィルムが好ましく、ポリイミドフィルム、液晶ポリマーフィルムが好ましい。
絶縁フィルム本体の厚さは、1μm以上100μm以下が好ましく、可とう性の点から、3μm以上25μm以下がより好ましい。
接着剤層の材料としては、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン等が挙げられる。エポキシ樹脂は、可とう性付与のためのゴム成分(カルボキシ変性ニトリルゴム等)を含んでいてもよい。
接着剤層の厚さは、1μm以上100μm以下が好ましく、1.5μm以上60μm以下がより好ましい。
【0104】
貫通孔の開口部の形状は、特に限定されない。貫通孔62の開口部の形状としては、例えば、円形、楕円形、四角形等が挙げられる。
【0105】
(電磁波シールドフィルム付きプリント配線板の製造方法)
本発明の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板は、例えば、下記の工程(d)~(g)を有する方法によって製造できる。
工程(d):プリント配線板のプリント回路が設けられた側の表面に、プリント回路に対応する位置に貫通孔が形成された絶縁フィルムを設け、絶縁フィルム付きプリント配線板を得る工程。
工程(e):工程(d)の後、絶縁フィルム付きプリント配線板と、離型フィルムを剥離した本発明の電磁波シールドフィルムとを、絶縁フィルムの表面に導電性接着剤層が接触するように重ね、これらを熱プレスすることによって、絶縁フィルムの表面に導電性接着剤層を接着し、かつ導電性接着剤層を、貫通孔を通ってプリント回路に電気的に接続し、電磁波シールドフィルム付きプリント配線板を得る工程。
工程(f):工程(e)の後、キャリアフィルムが不要になった際にキャリアフィルムを剥離する工程。
工程(g):必要に応じて、工程(e)と工程(f)との間、または工程(f)の後に異方導電性接着剤層を本硬化させる工程。
【0106】
以下、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板を製造する方法について、
図9を参照しながら説明する。
【0107】
(工程(d))
図9に示すように、フレキシブルプリント配線板50に、プリント回路54に対応する位置に貫通孔62が形成された絶縁フィルム60を重ね、フレキシブルプリント配線板50の表面に絶縁フィルム60の接着剤層(図示略)を接着し、接着剤層を硬化させることによって、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板3を得る。フレキシブルプリント配線板50の表面に絶縁フィルム60の接着剤層を仮接着し、工程(g)にて接着剤層を本硬化させてもよい。
接着剤層の接着および硬化は、例えば、プレス機(図示略)等による熱プレスによって行う。
【0108】
(工程(e))
図9に示すように、絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板3に、離型フィルム40を剥離した電磁波シールドフィルム1を重ね、熱プレスすることによって、絶縁フィルム60の表面に異方導電性接着剤層24が接着され、かつ異方導電性接着剤層24が、貫通孔62を通ってプリント回路54に電気的に接続された電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2を得る。
【0109】
異方導電性接着剤層24の接着および硬化は、例えば、プレス機(図示略)等による熱プレスによって行う。
熱プレスの時間は、20秒以上60分以下であり、30秒以上30分以下がさらに好ましい。熱プレスの時間が前記範囲の下限値以上であれば、絶縁フィルム60の表面に異方導電性接着剤層24が接着される。また、絶縁樹脂層10が十分に硬化し、絶縁樹脂層10とキャリアフィルム30との界面における剥離力が十分に低下する。熱プレスの時間が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2の製造時間を短縮できる。
【0110】
熱プレスの温度(プレス機の熱盤の温度)は、140℃以上190℃以下が好ましく、150℃以上180℃以下がより好ましい。熱プレスの温度が前記範囲の下限値以上であれば、絶縁フィルム60の表面に異方導電性接着剤層24が接着される。また、熱プレスの時間を短縮できる。また、絶縁樹脂層10が十分に硬化し、絶縁樹脂層10とキャリアフィルム30との界面における剥離力が十分に低下する。熱プレスの温度が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1、フレキシブルプリント配線板50等の劣化等を抑えることができる。
【0111】
熱プレスの圧力は、0.5MPa以上20MPa以下が好ましく、1MPa以上16MPa以下がより好ましい。熱プレスの圧力が前記範囲の下限値以上であれば、絶縁フィルム60の表面に異方導電性接着剤層24が接着される。また、熱プレスの時間を短縮できる。熱プレスの圧力が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1、フレキシブルプリント配線板50等の破損等を抑えることができる。
【0112】
(工程(f))
図9に示すように、キャリアフィルムが不要になった際に、絶縁樹脂層10からキャリアフィルム30を剥離する。
【0113】
(工程(g))
工程(e)における熱プレスの時間が20秒以上10分以下の短時間である場合、工程(e)と工程(f)との間、または工程(f)の後に異方導電性接着剤層24の本硬化を行うことが好ましい。
異方導電性接着剤層24の本硬化は、例えば、オーブン等の加熱装置を用いて行う。
加熱時間は、15分以上120分以下であり、30分以上60分以下が好ましい。加熱時間が前記範囲の下限値以上であれば、異方導電性接着剤層24を十分に硬化できる。加熱時間が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板2の製造時間を短縮できる。
加熱温度(オーブン中の雰囲気温度)は、120℃以上180℃以下が好ましく、120℃以上150℃以下が好ましい。加熱温度が前記範囲の下限値以上であれば、加熱時間を短縮できる。加熱温度が前記範囲の上限値以下であれば、電磁波シールドフィルム1、フレキシブルプリント配線板50等の劣化等を抑えることができる。
加熱は、特殊な装置を使用しなくてもよい点から、無加圧で行うことが好ましい。
【0114】
(他の実施形態)
なお、本発明の電磁波シールドフィルム付きプリント配線板は、プリント配線板と、プリント配線板のプリント回路が設けられた側の表面に隣接する絶縁フィルムと、導電層が絶縁フィルムに隣接し、かつ導電層が絶縁フィルムに形成された貫通孔を通ってプリント回路に電気的に接続された本発明の電磁波シールドフィルムを有するものであればよく、図示例の実施形態に限定はされない。
例えば、フレキシブルプリント配線板は、裏面側にグランド層を有するものであってもよい。また、フレキシブルプリント配線板は、両面にプリント回路を有し、両面に絶縁フィルムおよび電磁波シールドフィルムが貼り付けられたものであってもよい。
フレキシブルプリント配線板の代わりに、柔軟性のないリジッドプリント基板を用いてもよい。
第1の実施形態の電磁波シールドフィルム1の代わりに、第2の実施形態の電磁波シールドフィルム1、第3の実施形態の電磁波シールドフィルム1等を用いてもよい。
【実施例】
【0115】
以下、実施例を示す。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例で使用した各成分を以下に示す。
・a-1:ポリカーボネートポリオール(デュラノールT5652、旭化成社製)、数平均分子量2000、水酸基価51~61mgKOH/g。
・a-2:ポリカーボネートポリオール(デュラノールG3452、旭化成社製)、数平均分子量2000、水酸基価51~61mgKOH/g。
・a-3:ポリエステルポリオール(エリーテルUE-9900、ユニチカ社製)、粘度平均分子量15000、水酸基価8mgKOH/g。
・a-4:ポリプロピレングリコール(ポリプロピレングリコール3000、特級、純正化学社製)、数平均分子量3000、水酸基価37mgKOH/g。
・a-5:ポリプロピレングリコール(ポリプロピレングリコール700、特級、純正化学社製)、数平均分子量700、水酸基価160mgKOH/g。
・a-6:ポリオキシプロピレンソルビット(ユニオールHS-1600D、日油社製)、数平均分子量1600、水酸基価70mgKOH/g。
・a-7:アクリル系樹脂(SKダイン1499M,綜研化学社製)。
・b-1:ポリイソシアネートのイソシアヌレート体(デュラネートTPA-100、旭化成社製)、固形分100%、NCO含量23.1%。
・b-2:ポリイソシアネートのイソシアヌレート体(デュラネートMHG-80B、旭化成社製)、固形分80%、NCO含量15.1%。
・c-1:ジラウリル酸ジブチル錫(特級、純正化学社製)。
【0116】
(耐溶剤性)
絶縁樹脂層形成用塗料として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製、jER(登録商標)828)の100質量部、硬化剤(三菱化学社製、jERキュア(登録商標)ST12)の40質量部、カーボンブラック(三菱化学社製、MA100)の5質量部を溶剤(メチルエチルケトン)で固形分40質量%に調整した塗料を用意した。
キャリアフィルムの粘着剤層の表面に絶縁樹脂層形成用塗料をウェット膜厚20μmで塗布し、120℃で5分間乾燥し、厚さ8μmの絶縁樹脂層を形成した。
【0117】
絶縁樹脂層からキャリアフィルムを剥離して、以下の評価基準で耐溶剤性を評価した。
◎:粘着剤層が絶縁樹脂層側に移行しておらず、粘着剤層の表面も変形していない。
○:粘着剤層が絶縁樹脂層側に移行していないが、粘着剤層の表面に若干の変形がみられる。
△:粘着剤層が絶縁樹脂層側に移行していないが、粘着剤層の表面が変形している。
×:粘着剤層が絶縁樹脂層側に移行してしまい、粘着剤層の表面が変形している。
【0118】
(剥離力)
各実施例及び比較例で得られたキャリアフィルムについて、引張試験機(島津製作所、AGS-50NX)を用いて、JIS K 6854-2:1999(対応国際規格ISO 8510-2:1990)に基づいて剥離強度を求めた。
【0119】
(ガラス転移温度(T.g.))
示差熱走査熱量測定(DSC)によってウレタン結合含有樹脂のガラス転移温度を求めた。
【0120】
(貯蔵弾性率)
ウレタン結合含有樹脂の貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置(Rheometric Scientific,Inc.製、RSAII)を用いて測定した。
【0121】
(実施例1)
混合容器に希釈用酢酸エチル、ポリカーボネートポリオールa-1を50質量部と、ポリプロピレングリコールa-4を50質量部とを加え、さらにポリイソシアネートb-1をOH/NCO比が1.0となるように加えた。さらに触媒c-1を2質量部加えて、充分に混合して、固形分15質量%の粘着剤組成物を得た。
【0122】
第2の表面が粗面化されたロール状の透明PETフィルム(第2の表面の鏡面光沢度:20%、第2の表面の算術平均粗さRa:0.35μm)を用意した。PETフィルムの第2の表面を非シリコーン系離型剤(アシオ産業社製、アシオレジン(登録商標))にて離型処理した。ロールから巻き出したPETフィルムの第1の表面に粘着剤組成物をグラビアコータを用いて21g/m2(ウェット膜厚:20μm)で塗布し、120℃で1分間乾燥し、ロール状に巻き取った。ロール状のPETフィルムを50℃の恒温槽内で48時間放置し、キャリアフィルムを得た。キャリアフィルムの粘着剤層の厚さは3.0μmであった。
【0123】
(実施例2~10)
ポリオール、ポリイソシアネートを表1のように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてキャリアフィルムを製造した。
【0124】
(比較例1)
ウレタン結合含有樹脂を表1に記載のアクリル系樹脂a-7に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてキャリアフィルムを製造した。
【0125】
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明の電磁波シールドフィルムは、スマートフォン、携帯電話、光モジュール、デジタルカメラ、ゲーム機、ノートパソコン、医療器具等の電子機器用のフレキシブルプリント配線板における、電磁波シールド用部材として有用である。
【符号の説明】
【0127】
1 電磁波シールドフィルム、
2 電磁波シールドフィルム付きフレキシブルプリント配線板、
3 絶縁フィルム付きフレキシブルプリント配線板、
10 絶縁樹脂層、
20 導電層、
22 金属薄膜層、
24 異方導電性接着剤層、
24a 熱硬化性接着剤、
24b 導電性粒子、
26 等方導電性接着剤層、
26a 熱硬化性接着剤、
26b 導電性粒子、
30 キャリアフィルム、
32 キャリアフィルム本体、
34 粘着剤層、
40 離型フィルム、
42 離型フィルム本体、
44 離型剤層、
50 フレキシブルプリント配線板、
52 ベースフィルム、
54 プリント回路、
60 絶縁フィルム、
62 貫通孔。