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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 13/00 20060101AFI20221208BHJP
   B60C 11/00 20060101ALI20221208BHJP
   B60C 15/06 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
B60C13/00 E
B60C13/00 G
B60C11/00 D
B60C15/06 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018247179
(22)【出願日】2018-12-28
(65)【公開番号】P2020104778
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 憲司
【審査官】増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-144516(JP,A)
【文献】特開平7-164839(JP,A)
【文献】特開平11-59141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 13/00
B60C 11/00
B60C 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビード部の外表面を構成するリムストリップゴムと、
トレッド部の外表面を構成するトレッドゴムと、
サイドウォール部の外表面を構成し、前記リムストリップゴム及び前記トレッドゴムにそれぞれ連接されるサイドウォールゴムと、を備え、
前記サイドウォールゴムのゴム硬度は、前記リムストリップゴムのゴム硬度と、同じである、空気入りタイヤであって、
前記サイドウォールゴム及び前記リムストリップゴムのゴム硬度は、前記トレッドゴムのゴム硬度よりも、高い、空気入りタイヤ。
【請求項2】
ビード部の外表面を構成するリムストリップゴムと、
トレッド部の外表面を構成するトレッドゴムと、
サイドウォール部の外表面を構成し、前記リムストリップゴム及び前記トレッドゴムにそれぞれ連接されるサイドウォールゴムと、を備え、
前記サイドウォールゴムのゴム硬度は、前記リムストリップゴムのゴム硬度と、同じである、空気入りタイヤであって、
前記ビード部の内部に配置される一対のビードと、
前記一対のビードの間に架け渡されるカーカスプライと、をさらに備え、
前記カーカスプライは、前記ビードの周りでタイヤ幅方向の内側から外側に巻き上げられる巻き上げ部を備え、
前記巻き上げ部のタイヤ径方向の外側端は、前記空気入りタイヤのタイヤ幅方向の寸法が最大となる最大幅位置よりも、タイヤ径方向の外側に配置される、空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記ビード部の内部に配置される一対のビードと、
前記一対のビードの間に架け渡される複数のカーカスプライと、をさらに備える、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、空気入りタイヤは、ビード部の外表面を構成するリムストリップゴムと、トレッド部の外表面を構成するトレッドゴムと、サイドウォール部の外表面を構成するサイドウォールゴムとを備えている(例えば、特許文献1)。ところで、例えば、レース用等の用途において、剛性を高めた空気入りタイヤが要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-108751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、課題は、剛性を高めることができる空気入りタイヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
空気入りタイヤは、ビード部の外表面を構成するリムストリップゴムと、トレッド部の外表面を構成するトレッドゴムと、サイドウォール部の外表面を構成し、前記リムストリップゴム及び前記トレッドゴムにそれぞれ連接されるサイドウォールゴムと、を備え、前記サイドウォールゴムのゴム材は、前記リムストリップゴムのゴム材と、同じである。
【0006】
また、空気入りタイヤにおいては、前記サイドウォールゴム及び前記リムストリップゴムのゴム硬度は、前記トレッドゴムのゴム硬度よりも、高い、という構成でもよい。
【0007】
また、空気入りタイヤは、前記ビード部の内部に配置される一対のビードと、前記一対のビードの間に架け渡されるカーカスプライと、をさらに備え、前記カーカスプライは、前記ビードの周りでタイヤ幅方向の内側から外側に巻き上げられる巻き上げ部を備え、前記巻き上げ部のタイヤ径方向の外側端は、前記空気入りタイヤのタイヤ幅方向の寸法が最大となる最大幅位置よりも、タイヤ径方向の外側に配置される、という構成でもよい。
【0008】
また、空気入りタイヤは、前記ビード部の内部に配置される一対のビードと、前記一対のビードの間に架け渡される複数のカーカスプライと、をさらに備える、という構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る空気入りタイヤのタイヤ子午面における要部断面図である。
図2図2は、図1の要部拡大図である。
図3図3は、図2のIII領域拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、空気入りタイヤにおける一実施形態について、図1図3を参照しながら説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0011】
各図において、第1の方向D1は、空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ともいう)1の回転中心であるタイヤ回転軸と平行であるタイヤ幅方向D1であり、第2の方向D2は、タイヤ1の直径方向であるタイヤ径方向D2であり、第3の方向D3(図示していない)は、タイヤ回転軸周りのタイヤ周方向D3である。
【0012】
なお、タイヤ幅方向D1において、内側は、タイヤ赤道面S1に近い側となり、外側は、タイヤ赤道面S1から遠い側となり、タイヤ径方向D2において、内側は、タイヤ回転軸に近い側となり、外側は、タイヤ回転軸から遠い側となる。また、タイヤ赤道面S1とは、タイヤ回転軸に直交する面で且つタイヤ1のタイヤ幅方向D1の中心に位置する面のことであり、タイヤ子午面とは、タイヤ回転軸を含む面で且つタイヤ赤道面S1と直交する面のことである。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係るタイヤ1は、ビード2aを有する一対のビード部2と、各ビード部2からタイヤ径方向D2の外側に延びるサイドウォール部3と、一対のサイドウォール部3のタイヤ径方向D2の外端部に連接され、タイヤ径方向D2の外表面が路面に接地するトレッド部4とを備えている。本実施形態においては、タイヤ1は、内部に空気が入れられる空気入りタイヤ1であって、リム10に装着される。
【0014】
なお、タイヤ1のタイヤ幅方向D1の寸法(タイヤ幅)W1が最大値となる位置、即ち、最大幅位置1aは、サイドウォール部3に存在している。本実施形態においては、タイヤ幅W1の最大値は、タイヤ断面高さW2の最大値よりも大きくなっている。なお、タイヤ断面高さW2の最大値は、ビード部2のタイヤ径方向D2の内端から、トレッド部4のタイヤ径方向D2の外端までの、タイヤ径方向D2の距離である。
【0015】
また、タイヤ1は、一対のビード2a,2aの間に架け渡されるカーカス層5と、カーカス層5の内側に配置され、空気圧を保持するために、気体の透過を阻止する機能に優れるインナーライナ層6とを備えている。カーカス層5及びインナーライナ層6は、ビード部2、サイドウォール部3、及びトレッド部4に亘って、タイヤ内周に沿って配置されている。
【0016】
図1及び図2に示すように、カーカス層5は、一対のビード2a,2aの間に架け渡されるカーカスプライ5a,5bを備えている。カーカスプライ5a,5bは、ビード2aを巻き込むようにビード2aの周りで折り返されている。これにより、カーカスプライ5a,5bは、一対のビード2a,2aの間に亘るプライ本体部5c,5dと、ビード2aの周りでタイヤ幅方向D1の内側から外側に巻き上げられる巻き上げ部5e,5fとを備えている。
【0017】
カーカスプライ5a,5bは、タイヤ周方向D3に対して直交する方向に配列した複数のコードと、コードを被覆するトッピングゴムとを備えている。なお、カーカスプライ5a,5bのコードの材質は、特に限定されないが、例えば、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、アラミド等の有機繊維、又は、スチール等の金属が好適である。
【0018】
ビード2aは、環状に形成され、ビード部2の内部に配置されている。そして、ビード部2は、ビード部2の外表面を構成するリムストリップゴム2bを備えている。なお、タイヤ1がリム10に装着される際に、リムストリップゴム2bは、リム10に接する。即ち、リムストリップゴム2bは、少なくともリム10に接する部分に、配置されている。
【0019】
ビード2aは、環状に形成されるビードコア2cと、ビードコア2cのタイヤ径方向D2の外側に配置されるビードフィラー2dとを備えている。タイヤ子午面の断面において、ビードコア2cは、多角形状又は円形状に形成されており、ビードフィラー2dは、タイヤ径方向D2の外側に向けて幅狭のテーパ状となるように、形成されている。
【0020】
ビードコア2cは、例えば、積層される金属のワイヤ(例えば、ブロンズメッキを施した鋼線等)と、ワイヤを被覆するトッピングゴムとを備えている。また、ビードフィラー2dは、例えば、硬質ゴムで形成されている。
【0021】
トレッド部4は、トレッド部4の外表面を構成するトレッドゴム4aと、トレッド部4の内部に配置されるベルト層4bとを備えている。そして、トレッドゴム4aは、路面に接する。また、ベルト層4bは、トレッドゴム4aとカーカス層5との間に配置されている。
【0022】
ベルト層4bは、複数のベルトプライ4c,4dを備えている。ベルトプライ4c,4dの個数は、特に限定されない。本実施形態においては、タイヤ径方向D2の外側から、第1ベルトプライ4c及び第2ベルトプライ4dの二つが備えられている。
【0023】
ベルトプライ4c,4dは、タイヤ周方向D3に対して所定の傾斜角度(例えば、15°~35°)で配列された複数本のコードと、コードを被覆するトッピングゴムとを備えている。なお、ベルトプライ4c,4dのコードの材質は、特に限定されないが、例えば、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、アラミド等の有機繊維、又は、スチール等の金属が好適である。
【0024】
なお、ベルト層4bは、ベルトプライ4c,4dのタイヤ径方向D2の外側に配置されるベルト補強部4eを備えていてもよい。ベルト補強部4eは、トッピングゴムで被覆された少なくとも1本のコードが、タイヤ周方向D3に沿って螺旋状(タイヤ周方向D3に対する傾斜角度は0~5°)に巻回されることで、形成されている。なお、ベルト補強部4eのコードは、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、アラミド等の有機繊維が好適である。
【0025】
サイドウォール部3は、サイドウォール部3の外表面を構成するサイドウォールゴム3aを備えている。サイドウォールゴム3aのタイヤ幅方向D1の内側面は、カーカス層5のタイヤ幅方向D1の外側面に連接されている。
【0026】
また、サイドウォールゴム3aは、リムストリップゴム2b及びトレッドゴム4aにそれぞれ連接されている。具体的には、サイドウォールゴム3aのタイヤ径方向D2の内側端部3bは、リムストリップゴム2bのタイヤ径方向D2の外側端部2eと連接され、サイドウォールゴム3aのタイヤ径方向D2の外側端部3cは、トレッドゴム4aのタイヤ幅方向D1の外側端部4fに連接されている。
【0027】
ここで、本実施形態に係るタイヤ1は、タイヤ1の剛性を高める構成を採用しており、以下、その構成についてそれぞれ説明する。まず、サイドウォールゴム3aのゴム材によって、タイヤ1の剛性を高める構成について説明する。
【0028】
サイドウォールゴム3aのゴム材は、リムストリップゴム2bのゴム材と、同じである。これにより、サイドウォールゴム3aのゴム硬度は、リムストリップゴム2bのゴム硬度と同じであり、サイドウォールゴム3aのモジュラスも、リムストリップゴム2bのモジュラスと同じである。
【0029】
しかも、サイドウォールゴム3a及びリムストリップゴム2bのゴム硬度は、トレッドゴム4aのゴム硬度よりも、高くなっている。これにより、サイドウォール部3の剛性を高めることができるため、タイヤ1の剛性を高めることができる。したがって、例えば、操縦の応答性(リム10の操舵を、タイヤ1を経由して路面に伝える反応の速さ)を向上させることができる。
【0030】
なお、各ゴム2b,3a,4aのゴム硬度は、特に限定されない。サイドウォールゴム3a及びリムストリップゴム2bのゴム硬度は、例えば、60~80であることが好ましく、また、例えば、65~75であることがさらに好ましい。トレッドゴム4aのゴム硬度は、例えば、50~70であることが好ましい。
【0031】
そして、サイドウォールゴム3a及びリムストリップゴム2bのゴム硬度は、トレッドゴム4aのゴム硬度に対して、例えば、5以上高いことが好ましく、また、例えば、10以上高いことがより好ましい。なお、ゴム硬度は、JIS K6253-1-2012 3.2 デュロメータ硬さ(durometer hardness)であり、一般ゴム(中硬さ)用のタイプAデュロメータを用いて、23℃の雰囲気下で測定される。
【0032】
また、各ゴム2b,3aのモジュラスは、特に限定されない。サイドウォールゴム3a及びリムストリップゴム2bのモジュラスは、例えば、ビードフィラー2dのモジュラスの25%以上であることが好ましく、また、例えば、30%以上であることがさらに好ましい。
【0033】
これにより、サイドウォール部3の剛性を高めることができるため、タイヤ1の剛性を高めることができる。したがって、例えば、操縦の応答性を向上させることができる。なお、モジュラスは、JISK6251に準拠して23℃で測定した100%伸び引張応力である。
【0034】
次に、カーカスプライ5a,5bによって、タイヤ1の剛性を高める構成について説明する。
【0035】
タイヤ1においては、最大幅位置1aの剛性が低くなり易い。それに対して、第1カーカスプライ5aの巻き上げ部5eのタイヤ径方向D2の外側端5gは、最大幅位置1aよりも、タイヤ径方向D2の外側に配置されている。これにより、第1カーカスプライ5aの巻き上げ部5eが、最大幅位置1aに配置されているため、最大幅位置1aの剛性が低くなることを抑制することができる。
【0036】
なお、カーカスプライ5a,5bの個数は、特に限定されないが、本実施形態においては、カーカスプライ5a,5bは、複数備えられている。具体的には、第1カーカスプライ5a及び第2カーカスプライ5bの二つが備えられている。これにより、カーカスプライ5a,5bがサイドウォール部3に複数配置されるため、サイドウォール部3の剛性を高めることができている。
【0037】
次に、サイドウォールゴム3aの厚みによって、タイヤ1の剛性を高める構成について説明する。
【0038】
まず、図2及び図3に示すように、タイヤ1は、ビード部2及びサイドウォール部3の内部に配置されるサイドプライ7を備えている。サイドプライ7は、カーカス層5とビード2aとの間に配置されている。具体的には、サイドプライ7は、カーカスプライ5a,5bの巻き上げ部5e,5fとビードフィラー2dとの間に配置されている。
【0039】
これにより、サイドウォール部3(特に、タイヤ径方向D2の内側部分)及びビード部2の剛性を高めることができる。なお、サイドプライ7の個数は、特に限定されない。本実施形態においては、一つのサイドウォール部3及びビード部2に対して、一つのサイドプライ7が備えられている。また、例えば、一つのサイドウォール部3及びビード部2に対するサイドプライ7の個数は、ベルトプライ4c,4dの個数よりも、少ないことが好ましい。
【0040】
サイドプライ7は、タイヤ周方向D3に対して傾斜する方向に配列した複数のコードと、コードを被覆するトッピングゴムとを備えている。サイドプライ7のコードの材質は、特に限定されないが、例えば、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、アラミド等の有機繊維、又は、スチール等の金属が好適である。
【0041】
本実施形態においては、ベルトプライ4c,4d及びサイドプライ7のコードは、金属としており、ベルト補強部4e及びカーカスプライ5a,5bのコードは、非金属(例えば、有機繊維)としている。これにより、タイヤ1は、ベルトプライ4c,4dとサイドプライ7との間に、メタルレス領域1bを備えている。そして、メタルレス領域1bの剛性は、ベルトプライ4c,4d及びサイドプライ7を有する領域(メタル領域)の剛性よりも、低くなり易い。
【0042】
ところで、タイヤ1を正規リム10に装着して正規内圧を充填した無負荷状態の、タイヤ子午面の断面において、図3に示すように、メタルレス領域1bは、内表面の曲率半径が異なる複数の領域1c~1eを備えている。なお、各領域1c~1eの境界線(図3において、破線で図示している)は、タイヤ1の内表面の法線である。
【0043】
そして、複数の領域1c~1eは、内表面の曲率半径が最も小さい最小領域1cと、最小領域1cとベルトプライ4c,4dとの間に配置される第1領域1dと、最小領域1cとサイドプライ7との間に配置される第2領域1eとを含んでいる。なお、複数の領域1c~1eの個数は、特に限定されない。
【0044】
そして、タイヤ1が走行中に弾性変形する際に、メタルレス領域1bのうち、最小領域1cに、応力が集中し易い。それに対して、最小領域1cは、メタルレス領域1bにおける、サイドウォールゴム3aの厚みW3が最大となる最大厚み位置3dを、含んでいる。これにより、最小領域1cの剛性を高めることができている。なお、サイドウォールゴム3aの厚みW3は、タイヤ1の内表面の法線方向の寸法である。
【0045】
また、ベルトプライ4c,4dの剛性は、サイドプライ7の剛性よりも高くなっている。例えば、各プライ4c,4d,7のコードの直径、コードのエンド数(単位幅当たりのコードの本数)が異なることによって、ベルトプライ4c,4dの、単位幅当たりのコード総質量は、サイドプライ7の、単位幅当たりのコード総質量よりも、大きくなっている。
【0046】
それに対して、最小領域1cとベルトプライ4dとの距離W4は、最小領域1cとサイドプライ7との距離W5よりも、小さくなっている。これにより、最小領域1cが、剛性の高いベルトプライ4c,4dに近づいているため、最小領域1cの剛性を高めることができている。
【0047】
なお、最小領域1cと各プライ4d,7との距離W4,W5は、タイヤ1の内表面に沿った距離である。また、最小領域1cとベルトプライ4dとの距離W4は、ベルトプライ4c,4dの端部のうち、最もタイヤ幅方向D1の外側の端部(本実施形態においては、第2ベルトプライ4dの端部4g)と、最小領域1cとの距離W4である。
【0048】
また、最小領域1cは、最小領域1cの中心1fからタイヤ径方向D2の外側に配置される外側領域1gと、最小領域1cの中心1fからタイヤ径方向D2の内側に配置される内側領域1hとを備えている。そして、内側領域1hが、剛性の高いベルトプライ4c,4dから離れているため、内側領域1hの剛性が低くなり易い。
【0049】
それに対して、内側領域1hは、ゴム硬度の高いサイドウォールゴム3aの最大厚み位置3dを含んでいる。しかも、内側領域1hの、サイドウォールゴム3aの厚みW3の平均は、外側領域1gの、サイドウォールゴム3aの厚みW3の平均よりも、厚くなっている。これにより、内側領域1hの剛性を高めることができている。
【0050】
以上より、本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、ビード部2の外表面を構成するリムストリップゴム2bと、トレッド部4の外表面を構成するトレッドゴム4aと、サイドウォール部3の外表面を構成し、前記リムストリップゴム2b及び前記トレッドゴム4aにそれぞれ連接されるサイドウォールゴム3aと、を備え、前記サイドウォールゴム3aのゴム材は、前記リムストリップゴム2bのゴム材と、同じである。
【0051】
斯かる構成によれば、サイドウォールゴム3aのゴム材が、リムストリップゴム2bのゴム材と同じであるため、サイドウォール部3の剛性を高めることができる。これにより、空気入りタイヤ1の剛性を高めることができる。
【0052】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、前記サイドウォールゴム3a及び前記リムストリップゴム2bのゴム硬度は、前記トレッドゴム4aのゴム硬度よりも、高い、という構成である。
【0053】
斯かる構成によれば、サイドウォールゴム3a及びリムストリップゴム2bのゴム硬度が、トレッドゴム4aのゴム硬度よりも高いため、サイドウォール部3の剛性をさらに高めることができる。これにより、空気入りタイヤ1の剛性をさらに高めることができる。
【0054】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、前記ビード部2の内部に配置される一対のビード2a,2aと、前記一対のビード2a,2aの間に架け渡されるカーカスプライ5aと、をさらに備え、前記カーカスプライ5aは、前記ビード2aの周りでタイヤ幅方向D1の内側から外側に巻き上げられる巻き上げ部5eを備え、前記巻き上げ部5eのタイヤ径方向D2の外側端5gは、前記空気入りタイヤ1のタイヤ幅方向D1の寸法W1が最大となる最大幅位置1aよりも、タイヤ径方向D2の外側に配置される、という構成である。
【0055】
斯かる構成によれば、最大幅位置1aの剛性が低くなり易いことに対して、巻き上げ部5eのタイヤ径方向D2の外側端5gは、最大幅位置1aよりも、タイヤ径方向D2の外側に配置されている。これにより、巻き上げ部5eが最大幅位置1aに配置されているため、最大幅位置1aの剛性が低くなることを抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、前記ビード部2の内部に配置される一対のビード2a,2aと、前記一対のビード2a,2aの間に架け渡される複数のカーカスプライ5a,5bと、をさらに備える、という構成である。
【0057】
斯かる構成によれば、カーカスプライ5a,5bがサイドウォール部3に複数配置されるため、サイドウォール部3の剛性をさらに高めることができる。これにより、空気入りタイヤ1の剛性をさらに高めることができる。
【0058】
なお、空気入りタイヤ1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、空気入りタイヤ1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0059】
(1)上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、内側領域1hは、最大厚み位置3dを、含む、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成が好ましいものの、斯かる構成に限られない。例えば、外側領域1gは、最大厚み位置3dを、含む、という構成でもよい。
【0060】
(2)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、内側領域1hの、サイドウォールゴム3aの厚みW3の平均は、外側領域1gの、サイドウォールゴム3aの厚みW3の平均よりも、厚い、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成が好ましいものの、斯かる構成に限られない。例えば、内側領域1hの、サイドウォールゴム3aの厚みW3の平均は、外側領域1gの、サイドウォールゴム3aの厚みW3の平均以下である、という構成でもよい。
【0061】
(3)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、最小領域1cとベルトプライ4cとの距離W4は、最小領域1cとサイドプライ7との距離W5よりも、小さい、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成が好ましいものの、斯かる構成に限られない。例えば、最小領域1cとベルトプライ4cとの距離W4は、最小領域1cとサイドプライ7との距離W5以上である、という構成でもよい。
【0062】
(4)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、複数のカーカスプライ5a,5bのうち、一つのカーカスプライ5aの巻き上げ部5eのタイヤ径方向D2の外側端5gは、最大幅位置1aよりも、タイヤ径方向D2の外側に配置される、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。
【0063】
例えば、複数のカーカスプライ5a,5bのうち、全てのカーカスプライ5a,5bの巻き上げ部5e,5fのタイヤ径方向D2の外側端5gは、最大幅位置1aよりも、タイヤ径方向D2の外側に配置されている、という構成でもよい。なお、例えば、複数のカーカスプライ5a,5bのうち、全てのカーカスプライ5a,5bの巻き上げ部5e,5fのタイヤ径方向D2の外側端5gは、最大幅位置1aよりも、タイヤ径方向D2の内側に配置されている、という構成でもよい。
【0064】
(5)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、サイドウォールゴム3a及びリムストリップゴム2bのゴム硬度は、トレッドゴム4aのゴム硬度よりも、高い、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成が好ましいものの、斯かる構成に限られない。例えば、サイドウォールゴム3a及びリムストリップゴム2bのゴム硬度は、トレッドゴム4aのゴム硬度以下である、という構成でもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…空気入りタイヤ、1a…最大幅位置、1b…メタルレス領域、1c…最小領域、1d…第1領域、1e…第2領域、1f…中心、1g…外側領域、1h…内側領域、2…ビード部、2a…ビード、2b…リムストリップゴム、2c…ビードコア、2d…ビードフィラー、2e…外側端部、3…サイドウォール部、3a…サイドウォールゴム、3b…内側端部、3c…外側端部、3d…最大厚み位置、4…トレッド部、4a…トレッドゴム、4b…ベルト層、4c…第1ベルトプライ、4d…第2ベルトプライ、4e…ベルト補強部、4f…外側端部、4g…端部、5…カーカス層、5a…第1カーカスプライ、5b…第2カーカスプライ、5c,5d…プライ本体部、5e,5f…巻き上げ部、5g…外側端、6…インナーライナ層、7…サイドプライ、10…リム、D1…タイヤ幅方向、D2…タイヤ径方向、S1…タイヤ赤道面
図1
図2
図3