(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H05B 33/04 20060101AFI20221208BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20221208BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20221208BHJP
H05B 33/22 20060101ALI20221208BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20221208BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
H05B33/04
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/22 Z
H05B33/12 B
G09F9/30 365
G09F9/30 338
G09F9/30 349Z
(21)【出願番号】P 2019002536
(22)【出願日】2019-01-10
【審査請求日】2021-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】平井 定文
【審査官】辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-120749(JP,A)
【文献】特開2018-205718(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0342704(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0287093(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0190724(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0053973(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0190503(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107742635(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/04
H01L 51/50
H01L 27/32
H05B 33/22
H05B 33/12
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域、および前記表示領域を囲む周辺領域を有する基板、
前記表示領域上のトランジスタ、
前記表示領域上に位置し、前記トランジスタを覆う平坦化膜、
前記平坦化膜上に位置し、前記トランジスタと電気的に接続される画素電極を備える表示素子、
前記画素電極の端部を覆う隔壁、ならびに
前記周辺領域上に位置し、前記平坦化膜から離隔し、前記表示領域を囲む少なくとも一つのダムを有し、
前記少なくとも一つのダムは、
前記平坦化膜と前記隔壁の少なくとも一方に含まれる材料を含む台座、および
前記台座上に位置し、前記台座と接し、無機材料を含むストッパーを有し、
前記少なくとも一つのダムの台座の上面の一部は、前記ストッパーから露出される表示装置。
【請求項2】
前記無機材料は、ケイ素含有無機化合物と0価金属から選択される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記台座は、
前記平坦化膜に含まれる第1の有機化合物を含む第1の層、および
前記第1の層上に位置し、前記第1の層と前記ストッパーに接し、前記隔壁に含まれる第2の有機化合物を含む第2の層を有する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記ストッパーの側面と前記基板の上面の間の角度は、前記第2の層の側面と前記基板の前記上面の間の角度よりも大きい、請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示領域上にパッシベーション膜をさらに有し、
前記パッシベーション膜は、
第1の無機膜、
前記第1の無機膜上の有機膜、および
前記有機膜上の第2の無機膜を有し、
前記少なくとも一つのダムは複数のダムを有し、
前記第1の無機膜と前記第2の無機膜は、前記複数のダムの少なくとも一つと重なる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1の無機膜と前記第2の無機膜は、前記複数のダムと重なる、請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記パッシベーション膜上に樹脂膜をさらに有し、
前記樹脂膜は、前記複数のダムの少なくとも一つと重なる、請求項5に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1の無機膜と前記第2の無機膜は、前記樹脂膜と重なる領域に位置する、請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示領域上にタッチセンサをさらに有する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
表示領域、および前記表示領域を囲む周辺領域を有する基板、
前記表示領域上のトランジスタ、
前記表示領域上に位置し、前記トランジスタを覆う平坦化膜、
前記平坦化膜上に位置し、前記トランジスタと電気的に接続される画素電極を備える表示素子、
前記画素電極の端部を覆う隔壁、
前記周辺領域上に位置し、前記平坦化膜から離隔し、前記表示領域を囲む少なくとも一つのダム、ならびに
前記周辺領域上の付加ダムを有し、
前記少なくとも一つのダムは、前記平坦化膜と前記付加ダムに挟まれ、
前記少なくとも一つのダムは、
前記平坦化膜と前記隔壁の少なくとも一方に含まれる材料を含む台座、および
前記台座上に位置し、前記台座と接し、無機材料を含むストッパーを有し、
前記少なくとも一つのダムの台座の上面の一部は、前記ストッパーから露出される表示装置。
【請求項11】
前記無機材料は、ケイ素含有無機化合物と0価金属から選択される、請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記台座は、
前記平坦化膜に含まれる第1の有機化合物を含む第1の層、および
前記第1の層上に位置し、前記第1の層と前記ストッパーに接し、前記隔壁に含まれる第2の有機化合物を含む第2の層を有する、請求項10に記載の表示装置。
【請求項13】
前記ストッパーの側面と前記基板の上面の間の角度は、前記第2の層の側面と前記基板の前記上面の間の角度よりも大きい、請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記表示領域上にパッシベーション膜をさらに有し、
前記パッシベーション膜は、
第1の無機膜、
前記第1の無機膜上の有機膜、および
前記有機膜上の第2の無機膜を有し、
前記少なくとも一つのダムは複数のダムを有し、
前記第1の無機膜と前記第2の無機膜は、前記複数のダムの少なくとも一つと重なる、請求項10に記載の表示装置。
【請求項15】
前記第1の無機膜と前記第2の無機膜は、前記複数のダムと重なる、請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
前記複数のダムと重なる絶縁膜をさらに有する、請求項14に記載の表示装置。
【請求項17】
前記絶縁膜は前記付加ダムと重なる、請求項16に記載の表示装置。
【請求項18】
前記第1の無機膜と前記第2の無機膜の端部は、前記絶縁膜と重なる領域内に位置する、請求項16に記載の表示装置。
【請求項19】
前記表示領域上のタッチセンサ、および
前記タッチセンサと電気的に接続され、前記絶縁膜上を延伸する配線をさらに有する、請求項16に記載の表示装置。
【請求項20】
前記付加ダムは、前記少なくとも一つのダムを囲む、請求項10に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、および表示装置の製造方法に関する。例えば、有機発光素子に例示される表示素子を各画素に有する表示装置、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の一例として、有機EL(Electroluminescence)表示装置が知られている。有機EL表示装置は、基板上に形成された複数の画素内の各々に有機発光素子(以下、発光素子)を表示素子として備える。発光素子は一対の電極間に有機化合物を含む層(以下、EL層と記す)を有しており、一対の電極間に電流を供給することで駆動される。発光素子の駆動中、有機化合物は酸化あるいは還元されて荷電された状態をとり、さらこれらが再結合することによって励起状態が生じる。このような荷電状態や励起状態などの活性種は、電気的に中性の状態、あるいは基底状態と比べて反応性が高いため、他の有機化合物と反応する、あるいは発光素子に浸入した水や酸素などの不純物と容易に反応する。このような反応は発光素子の特性に影響を与え、発光素子の効率の低下や寿命の低減の原因となる。
【0003】
このような特性劣化を抑制する方法として、無機化合物を含む膜と有機化合物を含む膜が積層された封止膜を用いることが提案されている。このような構造を有する封止膜を発光素子上に形成することで、不純物の侵入が効果的に抑制され、信頼性の高い表示装置を提供することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2018/0226454号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明に係る実施形態の一つは、高い信頼性を有する表示装置、およびその製造方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の一つは表示装置である。この表示装置は、基板、トランジスタ、平坦化膜、表示素子、隔壁、および少なくとも一つのダムを備える。基板は、表示領域、および表示領域を囲む周辺領域を有する。トランジスタは表示領域上に位置する。平坦化膜は表示領域上に位置し、トランジスタを覆う。表示素子は平坦化膜上に位置し、トランジスタと電気的に接続される画素電極を備える。隔壁は画素電極の端部を覆う。少なくとも一つのダムは、周辺領域上に位置し、平坦化膜から離隔し、表示領域を囲む。少なくとも一つのダムは台座とストッパーを有する。台座は、平坦化膜と隔壁の少なくとも一方に含まれる材料を含む。ストッパーは台座上に位置し、台座と接し、無機材料を含む。少なくとも一つのダムの台座の上面の一部は、ストッパーから露出される。
【0007】
本発明の実施形態の一つは表示装置である。この表示装置は、基板、トランジスタ、平坦化膜、表示素子、隔壁、少なくとも一つのダム、および付加ダムを備える。基板は、表示領域、および表示領域を囲む周辺領域を有する。トランジスタは表示領域上に位置する。平坦化膜は表示領域上に位置し、トランジスタを覆う。表示素子は平坦化膜上に位置し、トランジスタと電気的に接続される画素電極を備える。隔壁は画素電極の端部を覆う。少なくとも一つのダムは、周辺領域上に位置し、平坦化膜から離隔し、表示領域を囲む。付加ダムは周辺領域上に位置する。少なくとも一つのダムは、台座とストッパーを有し、平坦化膜と付加ダムに挟まれる。台座は、平坦化膜と隔壁の少なくとも一方に含まれる材料を含む。ストッパーは台座上に位置し、台座と接し、無機材料を含む。少なくとも一つのダムの台座の上面の一部は、ストッパーから露出される。
【0008】
本発明の実施形態の一つは表示装置を製造する方法である。この方法は、トランジスタを基板上に形成すること、トランジスタと重なる平坦化膜を形成すること、トランジスタと電気的に接続される画素電極を平坦化膜上に形成すること、画素電極の端部を覆う隔壁を形成すること、および平坦化膜を囲む少なくとも一つのダムを形成することを含む。少なくとも一つのダムは、台座とストッパーを有し、台座は、平坦化膜と隔壁の少なくとも一方に含まれる材料を含む。ストッパーは台座上に位置し、台座と接し、無機材料を含む。ストッパーは、少なくとも一つのダムの台座の上面の一部を露出するように形成される。
【0009】
本発明の実施形態の一つは表示装置を製造する方法である。この方法は、トランジスタを基板上に形成すること、トランジスタを覆う平坦化膜、および平坦化膜を囲む台座の第1の層を同時に形成すること、トランジスタと電気的に接続される画素電極を平坦化膜上に形成すること、画素電極の端部を覆う隔壁、および第1の層上の第2の層を同時に形成すること、ならびに第2の層に接するストッパーを第2の層上に形成することで、第1の層と第2の層とを含む台座、およびストッパーを備えるダムを形成することを含む。ストッパーは、第2の層の上面を露出するように形成される。
【0010】
本発明の実施形態の一つは表示装置を製造する方法である。この方法は、トランジスタを基板上に形成すること、トランジスタと重なる平坦化膜を形成すること、トランジスタと電気的に接続される画素電極を平坦化膜上に形成すること、画素電極の端部を覆う隔壁を形成すること、平坦化膜を囲む少なくとも一つのダムを形成すること、および付加ダムを形成することを含む。少なくとも一つのダムは、平坦化膜と付加ダムに挟まれる。少なくとも一つのダムは、台座とストッパーを備える。台座は、平坦化膜と隔壁の少なくとも一方に含まれる材料を含む。ストッパーは台座上に位置し、台座と接し、無機材料を含む。ストッパーは、少なくとも一つのダムの台座の上面の一部を露出するように形成される。
【0011】
本発明の実施形態の一つは表示装置を製造する方法である。この方法は、トランジスタを基板上に形成すること、トランジスタを覆う平坦化膜、平坦化膜を囲む台座の第1の層、および付加ダムを同時に形成すること、トランジスタと電気的に接続される画素電極を平坦化膜上に形成すること、画素電極の端部を覆う隔壁、および第1の層上の第2の層を同時に形成すること、ならびに第2の層に接するストッパーを第2の層上に形成することで、第1の層と第2の層とを含む台座、およびストッパーを備えるダムを形成することを含む。付加ダムは、ダムが平坦化膜と付加ダムに挟まれるように形成される。ストッパーは、第2の層の上面の一部がストッパーから露出されるように形成される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的上面図。
【
図2】本発明の一実施形態に係る表示装置の画素回路の等価回路。
【
図3】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的断面図。
【
図4】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的上面図。
【
図5】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的上面図。
【
図6】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的断面図。
【
図7】本発明の一実施形態に係る表示装置のダムの模式的断面図。
【
図9】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造工程を示す模式的断面図。
【
図10】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的上面図。
【
図11】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的断面図。
【
図12】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的上面図。
【
図13】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的断面図。
【
図14】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的断面図。
【
図15】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的断面図。
【
図16】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的断面図。
【
図17】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的断面図。
【
図18】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的上面図。
【
図19】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的断面図。
【
図20】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的上面図。
【
図21】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的断面図。
【
図22】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的断面図。
【
図23】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的断面図。
【
図24】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的断面図。
【
図25】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的断面図。
【
図26】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的断面図。
【
図27】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的断面図。
【
図28】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的断面図。
【
図29】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的断面図。
【
図30】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的断面図。
【
図31】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的断面図。
【
図32】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的上面図。
【
図33】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的断面図。
【
図34】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的断面図。
【
図35】本発明の一実施形態に係る表示装置の模式的断面図。
【
図36】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的断面図。
【
図37】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的断面図。
【
図38】本発明の一実施形態に係る表示装置の製造方法を説明するための模式的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の各実施形態について、図面等を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0014】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0015】
本明細書と請求項において、ある一つの膜を加工して複数の膜を形成した場合、これら複数の膜は異なる機能、役割を有することがある。しかしながら、これら複数の膜は同一の工程で同一層として形成された膜に由来し、同一の材料を有する。したがって、これら複数の膜は同一層に存在しているものと定義する。
【0016】
本明細書および請求項において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0017】
本明細書および請求項において、「ある構造体が他の構造体から露出するという」という表現は、ある構造体の一部が他の構造体によって覆われていない態様を意味し、この他の構造体によって覆われていない部分は、さらに別の構造体によって覆われる態様も含む。
【0018】
<第1実施形態>
本実施形態では、一実施形態に係る表示装置100の構造とその製造方法を記述する。
【0019】
1.全体構成
表示装置100の模式的上面図を
図1に示す。
図1に示すように、表示装置100は基板102を有し、その上に複数の画素104が設けられる。画素104は複数の行と列を有するマトリクス状に配置される。画素104を包含する領域、およびこれを取り囲む領域がそれぞれ基板102の表示領域106と周辺領域として定義される。
【0020】
周辺領域には画素104を駆動するための駆動回路が設けられる。
図1に示した例では、表示領域106を挟む二つの走査線駆動回路108や、アナログスイッチなどを含む信号線駆動回路110が設けられる。表示領域106や走査線駆動回路108、信号線駆動回路110からは、図示しない配線が基板102の一辺へ延び、基板102の端部で露出されて端子112を形成する。端子112は、フレキシブル印刷回路(FPC)基板などのコネクタ116と電気的に接続される。コネクタ116上、あるいは基板102上には、画素104を制御するための駆動IC114をさらに搭載してもよい。なお、信号線駆動回路110を周辺領域上に設けず、この機能を駆動IC114によって実現してもよい。
【0021】
以下の説明では、便宜上、表示装置100の端子112側を下部、端子と反対側を上部とする。基板102や表示領域106が主に四つの辺で構成される四角形と見做すことができる場合、端子112側の辺を下辺、端子112と反対側の辺を上辺、上辺と下辺の間の辺を左右辺と呼ぶ。
【0022】
2.画素
2-1.画素回路
各画素104には、表示素子130を含む画素回路が設けられる。画素回路は走査線駆動回路108や信号線駆動回路110などによって駆動される。これにより、表示素子130の動作が制御され、その結果、画像を表示領域106上に表示することが可能となる。以下、表示素子130として発光素子を用いる例を用いて画素回路を説明する。
【0023】
画素回路の構成は任意に選択することができ、その一例を等価回路として
図2に示す。
図2に示した画素回路は、表示素子130に加え、駆動トランジスタ150、発光制御トランジスタ154、補正トランジスタ152、初期化トランジスタ156、書込トランジスタ158、保持容量140、付加容量170を有している。高電位電源線180には高電位PVDDが与えられ、この電位が電流供給線182を介して各列に接続される画素104に与えられる。表示素子130、駆動トランジスタ150、発光制御トランジスタ154、補正トランジスタ152は、高電位電源線180と低電位電源線184との間で直列に接続される。低電位電源線184には低電位PVSSが与えられる。
【0024】
駆動トランジスタ150のゲートは、初期化トランジスタ156を介して第1の信号線188と電気的に接続されるとともに、書込トランジスタ158を介して第2の信号線186と電気的に接続される。第1の信号線188には初期化信号Viniが与えられ、第2の信号線186には映像信号Vsigが与えられる。書込トランジスタ158は、そのゲートに接続される書込制御走査線190に与えられる走査信号SGによって動作が制御される。初期化トランジスタ156のゲートは、初期化制御信号IGが与えられる初期化制御走査線192と接続され、初期化制御信号IGにより動作が制御される。
【0025】
補正トランジスタ152と発光制御トランジスタ154のゲートには、補正制御信号CGが印加される補正制御走査線194、発光制御信号BGが印加される発光制御走査線198がそれぞれ接続される。駆動トランジスタ150のドレインには、補正トランジスタ152を介し、リセット制御線196が接続される。リセット制御線196は、走査線駆動回路108に設けられるリセットトランジスタ160と接続される。リセットトランジスタ160はリセット制御信号RGによって制御され、これによりリセット信号線200に与えられるリセット電位Vrstを補正トランジスタ152を介して駆動トランジスタ150のドレインに印加することができる。
【0026】
駆動トランジスタ150のソースとゲートとの間に保持容量140が設けられ、駆動トランジスタ150のソースと低電位電源線184の間に付加容量170が設けられる。図示しないが、付加容量170は、両端子がそれぞれ駆動トランジスタ150のソースと高電位電源線180に接続されるように配置してもよい。
【0027】
信号線駆動回路110、または/および駆動IC114は、第1の信号線188と第2の信号線186に初期化信号Viniと映像信号Vsigをそれぞれ出力する。一方、走査線駆動回路108は、書込制御走査線190に走査信号SGを出力し、初期化制御走査線192に初期化制御信号IGを出力し、補正制御走査線194に補正制御信号CGを出力し、発光制御走査線198に発光制御信号BGを出力し、リセットトランジスタ160のゲートにリセット制御信号RGを出力する。
【0028】
図2に示した画素回路はあくまで一例であり、トランジスタや容量などの素子の数や接続関係に制約はない。
【0029】
2-2.断面構造
隣接する二つの画素104の断面模式図を
図3に示す。
図3には、表示素子130やこれに接続される保持容量140、駆動トランジスタ150、付加容量170などを含む画素回路、画素回路上に設けられるパッシベーション膜230などが示されている。
【0030】
(1)画素回路
駆動トランジスタ150や保持容量140などの各種素子は、基板102上にアンダーコート202を介して設けられる。基板102は、この上に形成される回路を支持する機能を有し、ガラスや石英、あるいは高分子を含むことができる。基板102にポリイミドやポリアミド、ポリカルボナートなどの高分子を用いることで、表示装置100に可撓性を付与することができ、いわゆるフレキシブルディスプレイを提供することも可能である。
【0031】
駆動トランジスタ150は、半導体膜204、半導体膜204上のゲート絶縁膜206、ゲート絶縁膜206上のゲート電極210、ゲート電極210上の第1の層間膜212、第1の層間膜212上のドレイン電極214、ソース電極216などを有する。半導体膜204は、活性領域204a、活性領域204aを挟持する低濃度不純物領域204b、およびこれらを挟持する高濃度不純物領域204cなどを有してもよい。
図3では駆動トランジスタ150はトップゲート構造のトランジスタとして描かれているが、画素回路を構成するトランジスタの構造に制約はなく、種々の構造のトランジスタを利用することができる。
【0032】
保持容量140は、半導体膜204の一部(高濃度不純物領域204c)、その上のゲート絶縁膜206、ゲート電極210と同一層に存在する容量電極208、容量電極208上の第1の層間膜212、およびソース電極216の一部によって構成される。ここで、ゲート絶縁膜206と第1の層間膜212は、保持容量140の誘電体として機能する。
【0033】
駆動トランジスタ150や保持容量140の上にはさらに、第2の層間膜218とその上の平坦化膜220が設けられる。第2の層間膜218は、画素回路中のトランジスタや容量などの素子に不純物が浸入することを防ぐために設けられる。平坦化膜220によって駆動トランジスタ150や保持容量140などに起因する凹凸が吸収され、平坦な面が形成される。
【0034】
平坦化膜220と第2の層間膜218には、ソース電極216に達する開口が設けらる。この開口と平坦化膜220の一部を覆う接続パッド224がソース電極216と接するように設けられるとともに、付加容量電極172が平坦化膜220上に形成される。接続パッド224と付加容量電極172を覆うように第3の層間膜174がさらに形成される。第3の層間膜174は、平坦化膜220に設けられた開口において接続パッド224の一部を覆わず、接続パッド224の上面を露出する。これにより、その上に設けられる表示素子130の画素電極132と接続パッド224間の電気的接続が可能となる。第3の層間膜174には、その上に設けられる隔壁(リブ、あるいはバンクとも呼ばれる)222と平坦化膜220の接触を許容するための開口226を設けてもよい。なお、接続パッド224や開口226の形成は任意である。接続パッド224を設けることで、引き続くプロセスにおいてソース電極216の表面の酸化を防止することができ、これによる接触抵抗の増大を抑制することができる。開口226は、平坦化膜220から水や酸素などの不純物を放出するための開口として機能することができ、これを設けることで画素回路中の半導体素子や表示素子130の信頼性を向上させることができる。
【0035】
第3の層間膜174上には、接続パッド224と付加容量電極172と重なるように画素電極132が設けられる。画素電極132は、第3の層間膜174と平坦化膜220に設けられる開口において、接続パッド224を介してソース電極216と電気的に接続される。付加容量電極172、第3の層間膜174、および画素電極132によって付加容量170が形成される。したがって、画素電極132は付加容量170と表示素子130によって共有される。
【0036】
アンダーコート202、ゲート絶縁膜206、第1の層間膜212、第2の層間膜218、第3の層間膜174には、例えばケイ素を含む無機化合物を用いることができる。ケイ素を含む無機化合物としては、酸素とケイ素を含む酸化ケイ素、酸素とケイ素、および窒素を含む酸化窒化ケイ素や窒化酸化ケイ素、ケイ素と窒素を含む窒化ケイ素などが挙げられる。これらの膜は単層構造を有していてもよく、積層構造を有していてもよい。平坦化膜220や隔壁222は有機化合物を含む。典型的な有機化合物としては、アクリル樹脂やエポキシ樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂などが例示される。
【0037】
ゲート電極210、容量電極208、ドレイン電極214、ソース電極216は、チタン、モリブデン、タングステン、タンタル、アルミニウム、銅、あるいは、これらの合金を含むように構成される。これらの電極は、例えばアルミニウムや銅などの高い導電性を有する金属をチタン、モリブデン、タングステン、タンタルなどの高融点金属で挟持した構造を有するように構成してもよい。
【0038】
表示素子130は、画素電極132、画素電極132上の対向電極136、および画素電極132と対向電極136に挟まれるEL層134によって構成される。画素電極132は、インジウムとスズの混合酸化物(ITO)やインジウムと亜鉛の混合酸化物(IZO)などの可視光に対して透過性を示す導電性酸化物、あるいは銀やアルミニウムなどの金属、もしくはこれらの金属の合金を含む。画素電極132は単層構造、積層構造のいずれを有してもよい。積層構造を有する場合、例えばITOやIZOなどの導電性酸化物を含む膜で金属を含む膜を挟持した構造を採用することができる。
【0039】
EL層134は、画素電極132と隔壁222を覆うように設けられる。ここでEL層134とは、画素電極132と対向電極136の間に設けられる層全体を指す。EL層134は複数の層から構成することができ、例えば電荷注入層、電荷輸送層、発光層、電荷ブロック層、励起子ブロック層など、種々の機能層を組み合わせて形成することができる。表示素子130は、すべての画素104間でEL層134の構造が同一となる、あるいは隣接する画素104間で構造が異なるように構成することができる。例えば発光層の構造や材料を隣接する画素104間で異なるようにEL層134を形成することで、隣接する画素104から異なる発光を得ることができる。すべての画素104において同一のEL層134を用いる場合には、カラーフィルタを設けることで、複数の発光色を得ることが可能となる。
図3では、見やすさを考慮し、代表的な機能層として、ホール注入・輸送層、発光層、電子注入・輸送層が画素電極132から順に積層された構造が示されている。
【0040】
対向電極136は複数の画素104にわたって形成される。すなわち、対向電極136は複数の画素104によって共有される。対向電極136は、例えばITOやIZOなどの透光性を有する導電性酸化物、あるいはアルミニウム、マグネシウム、銀などの金属、もしくは合金を含む。EL層134で得られる発光を画素電極132を介して取り出す場合には、導電性酸化物を含むように画素電極132を形成し、対向電極136は、アルミニウムや銀などの可視光に対する反射率の高い金属を用いて形成される。一方、EL層134で得られる発光を対向電極136を介して取り出す場合には、画素電極132は、アルミニウムや銀などの可視光に対する反射率の高い金属を含むように形成され、対向電極136は可視光に対して透過性を示すように形成される。具体的には、ITOやIZOなどの導電性酸化物を含む膜、あるいは銀やマグネシウム、アルミニウムなどの金属を含み、可視光が透過可能な厚さを有する金属薄膜で対向電極136を構成することができる。
【0041】
(2)パッシベーション膜
表示領域106上には、表示素子130を保護するためのパッシベーション膜230が表示素子130と重なるように設けられる。パッシベーション膜230の構造は任意に選択することができるが、例えば
図3に示すように、無機化合物を含む第1の無機膜232、有機化合物を含む有機膜234、および無機化合物を含む第2の無機膜236を有する積層構造をパッシベーション膜230に適用することができる。この場合、無機化合物としては上述したケイ素を含有する無機化合物を使用することができる。有機化合物としては、エポキシ樹脂やアクリル樹脂などの高分子を使用することができる。
【0042】
ガス透過性の低い第1の無機膜232と第2の無機膜236により、外部からの有機膜234や表示素子130への不純物の侵入を効果的に抑制することができる。有機膜234は比較的大きな厚さを有することができ、これにより、隔壁222、あるいは異物などに起因する凹凸を吸収して平坦な上面が与えられる。有機膜234が有するこの平坦化機能により、この上に形成される第2の無機膜236の平坦性が向上するとともに、第2の無機膜236に亀裂やピンホールが発生することを防ぐことができ、より効果的に表示装置100を保護することができる。
【0043】
(3)その他の構成
パッシベーション膜230上には、樹脂膜240を設けることができる。樹脂膜240は表示領域106を保護するとともに、後述するように、表示装置100の製造時において一時的に端子112を覆う第1の無機膜232と第2の無機膜236を除去するためのマスクとしても機能する。この樹脂膜240もエポキシ樹脂やアクリル樹脂などの高分子を含む。図示しないが、樹脂膜240上に偏光板や対向基板などを設けてもよい。
【0044】
3.周辺領域
3-1.構造
図4に、表示装置100の四隅の構造の模式的上面図を示す。この図では、表示素子130やパッシベーション膜230、樹脂膜240などの構成は省略されている。以下に述べるように、表示装置100は、表示領域106を囲む少なくとも一つのダム250を有している。少なくとも一つのダム250は複数のダム250で構成されてもよく、
図4に示した例では、四つのダム(第1のダム250-1、第2のダム250-2、第3のダム250-3、第4のダム250-4)を有する例が示されている。以下、これらの構造を詳細に説明する。
【0045】
3-2.上部周辺領域
表示領域106に対して端子112と反対側に位置する領域118-1(
図1参照)の上面模式図を
図5に、
図5の鎖線A-A´に沿った断面模式図を
図6に示す。これらの図には、周辺領域、および周辺領域に近接する画素104の一部が示されている。
【0046】
(1)周辺回路
図6に示すように、基板102上部の周辺領域には、基板102の上辺とほぼ平行に延伸する一つ、あるいは複数の配線270、低電位電源線184、および低電位電源線184に接続される第1の接続配線138などが設けられる。配線270の数や用途、機能には制約はなく、例えば画素電極132にPVDDを与えるための高電位電源線180、駆動回路に種々の信号を伝達するための信号線として機能することができる。
図6に示した例では、配線270、低電位電源線184はそれぞれゲート電極210、ソース電極216(ドレイン電極214)と同一の層内に存在する例が示されているが、配線270はソース電極216(ドレイン電極214)と同一の層に存在してもよく、低電位電源線184がゲート電極210と同一の層に存在してもよい。あるいは、配線270や低電位電源線184の両方、または一方は、ゲート電極210やソース電極216(ドレイン電極214)とは異なる層に形成される導電膜で形成してもよい。第1の接続配線138は、ITOやIZOなどの導電性酸化物、あるいはチタンやタングステン、モリブデン、タンタル、アルミニウムなどの金属を含むように構成される。
【0047】
対向電極136は、表示領域106から周辺領域へ延伸し、周辺領域において低電位電源線184と電気的に接続される。低電位電源線184は表示領域106の外周に沿って設けられるため、この構成により、表示領域106全体にわたって対向電極136にほぼ同一の電位(PVSS)を供給することが可能となる。対向電極136と低電位電源線184とは直接接してもよいが、
図6に示すように、第1の接続配線138や第2の接続配線228を介して電気的接続が行われてもよい。第2の接続配線228は平坦化膜220上に位置し、隔壁222に形成される複数の開口229において一部が隔壁222から露出される(
図5、
図6)。この開口229において対向電極136と第2の接続配線228が接続される。第2の接続配線228は画素電極132と同一工程で形成することが可能であり、このため、これらは同一の構造を有し、同一の層内に存在することができる。
【0048】
(2)ダム
表示領域106に設けられる平坦化膜220は、低電位電源線184の一部を覆うように、基板102の上辺方向にも延在する(
図5、
図6)。しかしながら周辺領域では、平坦化膜220の一部は除去され、残存する部分によってダム250の一部である第1の層250aが形成される。後述するように、平坦化膜220と第1の層250aは、有機化合物(第1の有機化合物)を含む材料を用い、同一の工程で形成することができる。したがって、平坦化膜220と第1の層250aは同一層内に存在し、同一の組成を有し、同一の有機化合物を含むことができる。なお、
図6では、表示素子130の下に位置する平坦化膜220、および第2の接続配線228の下に位置する平坦化膜220は分離されているように描かれているが、ソース電極216と表示素子130の電気的接続に用いられる開口はこれらを完全に分離しない。
【0049】
隔壁222は第2の接続配線228の一部を覆うように、基板102の上辺方向にも延在する(
図5、
図6)。しかしながら平坦化膜220と同様、周辺領域では隔壁222の一部は除去され、残存する部分によってダム250の一部である第2の層250bが形成される。後述するように、隔壁222と第2の層250bは、有機化合物(第2の有機化合物)を含む材料を用い、同一の工程で形成することができる。したがって、隔壁222と第2の層250bは同一層内に存在し、同一の組成を有し、同一の有機化合物を含むことができる。第1の層250aと第2の層250bによって構成される部分をダム250の台座とも呼ぶ。
【0050】
ダム250の断面模式図を
図7(A)に示す。各ダム250は、第1の層250a、第1の層250a上に位置し、第1の層250aと接する第2の層250bに加え、ストッパー250cを有する。
図5、
図6に示した例では、第1のダム250-1から第4のダム250-4は、それぞれ第1のストッパー250c-1から第4のストッパー250c-4を有する。台座と同様、各ストッパー250cも表示領域106を囲むように設けることができる(
図4)。ストッパー250cは金属(0価の金属)、あるいは上述したケイ素含有無機化合物を含む。金属としては、アルミニウムやチタン、タングステン、モリブデン、タンタル、銅、あるいはこれを含む合金が挙げられる。ストッパー250cは、台座の上面、すなわち第2の層250bの上面の全ては覆わず、一部を覆う。換言すると、ストッパー250cの底面は、台座の第2の層250bの上面の一部と接し、第2の層250bの上面の一部はストッパー250cから露出する。
【0051】
第1の層250aと第2の層250bの高さの総和(すなわち、台座の高さ)H
1は、ストッパー250cの高さH
2と比較して大きく、例えば高さH
1は高さH
2の2倍以上25倍以下、2倍以上6倍以下、あるいは2倍以上5倍以下とすることができる(
図7(A))。第1の層250aの底面の幅をダム250の幅W
1、ストッパー250cの底面の幅をストッパー250cの幅W
2とした場合、幅W
1は幅W
2よりも大きく、幅W
2の2倍以上100倍以下、5倍以上50倍以下、あるいは10倍以上30倍以下となるよう、各台座とストッパー250cを構成することができる。台座の側面は基板102の法線から傾いており、その底面となす角、すなわち基板102の上面となす角は90°より小さい。より具体的には、第2の層250bの側面と基板102の上面の間の角度θ
1は90°より小さい。一方、ストッパー250cの側面は、基板102の法線と平行、あるいはほぼ平行でも良く、あるいは法線から傾いてもよいが、ストッパー250cの側面とその底面となす角、すなわちストッパー250cの側面と基板102の上面となす角度θ
2は角度θ
1よりも大きい。このため、ストッパー250cの側面は、台座の側面と比較してより切り立った構造となる。
【0052】
各ダム250において、ストッパー250cの数は任意であり、例えば
図7(B)に示すように、各ダム250は複数のストッパー250cを備えてもよい。また、隣接するダム250間で第1の層250aは繋がって一体化されていてもよい(
図7(C))。平坦化膜220は、少なくともいずれか一つのダム250の第1の層250aから分離されるため、第1の層250aに侵入した不純物が平坦化膜220を経由して表示領域106へ輸送されることが防止される。これは、表示装置100の高い信頼性に寄与する。
【0053】
(3)パッシベーション膜と樹脂膜の構造とその制御
パッシベーション膜230の第1の無機膜232と第2の無機膜236は、有機膜234を包み込むように形成され、周辺領域では互いに接する(
図6)。すなわち、有機膜234は第1の無機膜232と第2の無機膜236によって封止され、この構造により、有機膜234に不純物が浸入することが効果的に防止される。第1の無機膜232と第2の無機膜236は、ダム250の少なくとも一部と重なる。すなわち、第1の無機膜232と第2の無機膜236は一部のダム250と重なり、一部のダム250は第1の無機膜232と第2の無機膜236から露出する。樹脂膜240は、表示領域106においてのみならず、周辺領域でもパッシベーション膜230を覆い、その端部は第1の無機膜232と第2の無機膜236の端部と一致してもよい。換言すると、第1の無機膜232と第2の無機膜236は、樹脂膜240が重なる領域内に位置し、この領域内に閉ざされるように形成される。
【0054】
第1の層250a、第2の層250b、およびストッパー250cをそれぞれ備えるダム250は、パッシベーション膜230や樹脂膜240の位置や形状の制御に対して効果的に機能する。具体的には、第1のダム250-1、第2のダム250-2は、有機膜234の形状と位置を制御する機能を有し、一方、第3のダム250-3と第4のダム250-4は、樹脂膜240、および第1の無機膜232と第2の無機膜236の形状制御に寄与する。表示装置100の製造方法は後述するが、有機膜234や樹脂膜240は、インクジェット法や印刷法などを用いて形成される。具体的には、有機膜234や樹脂膜240の原料となる樹脂、あるいはその前駆体を含む溶液、もしくは懸濁液(以下、これらの溶液と懸濁液を総じて原料液と記す)を第1の無機膜232、あるいは第2の無機膜236上に吐出・塗布し、その後原料液の溶媒を溜去する、および/または前駆体を反応させることで有機膜234や樹脂膜240が形成される。一方、第1の無機膜232と第2の無機膜236は、スパッタリング法や化学気相堆積(CVD)法を利用して無機化合物を含む膜を基板102のほぼ全面に形成した後、その上に形成される樹脂膜240をマスクとしてドライエッチング成形することで形成される。このことを考慮すると、パッシベーション膜230と樹脂膜240の位置と形状は、有機膜234を与える原料液の第1の無機膜232上での広がり、および樹脂膜240を与える原料液の第2の無機膜236上での広がりによって決定される。
【0055】
有機膜234を与える原料液は、表示領域106上においてピンホールを形成しないよう、表示領域106上を確実に覆うように吐出・塗布されるため、原料液の一部は表示領域106からはみ出す。はみ出た原料液は第1のダム250-1によって堰き止めることができる。その結果、有機膜234を第1のダム250-1内に選択的に形成することができる。原料液が第1のダム250-1から外側に流出した場合においても、第2のダム250-2も原料液を堰き止める機能を有するため、第2のダム250-2よりも基板102端部側へ有機膜234が形成されることが防止される。
【0056】
同様に、樹脂膜240を与える原料液は、表示領域106と有機膜234を確実に覆うように吐出・塗布されるため、一部は表示領域106や有機膜234からはみ出す。はみ出た原料液は第3のダム250-3によって堰き止められる。その結果、第1のダム250-1や第2のダム250-2と重なる樹脂膜240を第3のダム250-3内に選択的に形成することができる。原料液が第3のダム250-3から外側に流出した場合には、第4のダム250-4によって原料液が堰き止められ、これにより、第4のダム250-4よりも基板102端部側へ樹脂膜240が形成されることが防止される。
【0057】
特に、本実施形態のダム250を用いることで、上述した原料液の広がりをより確実に制御することができる。これを
図8(A)から
図9(C)を用いて説明する。
【0058】
図8(A)はストッパー250cを持たないダム250とその上に形成された第1の無機膜232に対し、原料液252が表示領域106側から近付いた際の断面模式図である。第1の無機膜232や第2の無機膜236はダム250上に形成されるため、これらにもダム250に起因する凸部が形成される。表示領域106を覆うように吐出・塗布された原料液252は、一部が表示領域106から周辺領域へ流れ出し、
図8(A)に示すように、ダム250に達する。原料液252の先端が、第1の無機膜232の凸部の下端(図中、a)に接すると、下端aでは第1の無機膜232の表面の角度(すなわち、表面の法線の方向)が大きく変化するため、原料液252の端部はこの下端aやその上の側面で留まる。これは、原料液252に表面張力が働くためである。
図8(A)の状態に達した後にさらに原料液252が加えられても、原料液252に作用する重力が表面張力を上回らない限り、原料液252がダム250を乗り越えて広がらない。
【0059】
しかしながら、さらに過剰の原料液252が加えられると、原料液252に作用する重力が表面張力に打ち勝ち、原料液252の端部は下端aやその上の側面を超える。後述するように、第1の層250aと第2の層250bは有機化合物を含む感光性樹脂を露光、現像(ウエットエッチング)することで成形されため、側面と上面の間の角は丸みを帯びる。この角の丸みは第1の無機膜232にも反映される。このため、一度側面を超えた原料液252は側面と上面の間の角で留まることができず、ダム250を一挙に乗り越えてしまい、原料液252の広がりを制御することができなくなる(
図8(B))。
【0060】
一方、本実施形態では、ダム250はストッパー250cを有する。このため、ダム250上に形成される第1の層250aと第2の層250bは、台座に起因する凸部上に、ストッパー250cに起因する凸部(
図9(A)における点線楕円内の構造)をさらに有する。ストッパー250cは無機化合物を含む膜をドライエッチングすることで形成される。このため、その側面と基板102の上面とがなす角度θ
2は角度θ
1よりも大きく、また、側面と上面の間の角は、第2の層250bのそれと比較すると丸みを帯びずに角張り、比較的明確なリッジを与える。このため、原料液252の先端が下端aに達した状態(
図9(A))でさらに原料液252が吐出・塗布され、原料液が台座に起因する凸部の側面を超えた場合でも、原料液252はストッパー250cに起因する第1の無機膜232の凸部の下端(
図9(B)中、b)やその側面、あるいは凸部のリッジ(
図9(C)中、c)で留まることができる。ストッパー250cによりダム250が単に高くなるという効果のみならず、このようなメカニズムが働くため、本実施形態のダム250を適用することで、有機膜234や樹脂膜240の位置や形状をより精密に制御することが可能となる。
【0061】
3-3.左右辺周辺領域
表示装置100の左右辺の一部を含む領域118-2(
図1参照)の上面模式図を
図10に、
図10の鎖線B-B´に沿った断面模式図を
図11に示す。以下、領域118-1と同一、または類似する構成については説明を割愛することがある。
【0062】
図11に示すように、周辺領域には走査線駆動回路108に含まれるトランジスタなどが設けられる。領域118-1と同様(
図6)、対向電極136は表示領域106から周辺領域へ延伸し、周辺領域において低電位電源線184と電気的に接続される。
図10、
図11に示すように、周辺領域には少なくとも一つのダム250が設けられ、それぞれのダム250はストッパー250cを備えている。これにより、表示装置100の左右の辺においても、有機膜234や樹脂膜240の位置や形状を精密に制御することができる。
【0063】
3-4.下部周辺領域
表示領域106の端子112側に位置する領域118-3(
図1参照)の上面模式図を
図12に、
図12の鎖線C-C´に沿った断面模式図を
図13に示す。以下の説明においても、領域118-1、118-2と同一、または類似する構成については説明を割愛することがある。
【0064】
図13に示すように、周辺領域には、アナログスイッチなどを備える信号線駆動回路110が形成され、さらに基板102の下辺とほぼ平行に延伸する一つ、あるいは複数の配線272、低電位電源線184、および低電位電源線184に接続される第1の接続配線138や第2の接続配線228などが設けられる。表示領域106と基板102の端部の間には、画素104や駆動回路へ種々の信号や電源を供給するための配線122が形成される。配線122は異なる層内に形成される複数の導電膜から形成することができ、例えば
図13に示すように、駆動トランジスタ150のゲート電極210と同一層に存在する配線122a、およびソース電極216(ドレイン電極214)と同一層に存在する配線122bを接続することで形成することができる。配線122は基板102の端部で露出されて端子112を形成する。端子112においては、配線122の上面は保護導電膜124で覆われていてもよい。保護導電膜124は、例えば画素電極132、あるいは接続パッド224と同時に形成され、これらと同一層に存在することができる。対向電極136は表示領域106から周辺領域へ延伸し、周辺領域において第1の接続配線138や第2の接続配線228を介して低電位電源線184と電気的に接続される。周辺領域には少なくとも一つのダム250が設けられ、それぞれのダム250はストッパー250cを備える。これにより、表示装置100の下辺においても、有機膜234や樹脂膜240の位置や形状を精密に制御することができる。
【0065】
表示装置100では、パッシベーション膜230と樹脂膜240によって表示素子130を含む画素回路が保護されるため、これらの位置や形状を精密に制御することで、表示装置100の信頼性を向上させることができる。上述したように表示装置100では、ストッパー250cを有するダム250を少なくとも一つ設けることで、有機膜234や樹脂膜240の位置や形状が精密に制御される。このため、本実施形態を適用することで、不純物が表示装置100へ侵入することを効果的に抑制することができ、表示装置100は高い信頼性を示す。
【0066】
4.製造方法
表示装置100の製造方法を
図14(A)から
図17(B)を用いて説明する。これの図は、
図6に対応する断面模式図である。
【0067】
図14(A)に、基板102上に駆動トランジスタ150、配線270、低電位電源線184、およびこれらを覆う第2の層間膜218が形成された構造を示す。この構造は公知の方法を適用することで作製できるため、その作製方法の説明は割愛する。
【0068】
4-1.平坦化膜と第1の層の形成
図14(B)に示すように、第2の層間膜218をエッチング加工し、第1の接続配線138と低電位電源線184との電気的接続のための開口を第2の層間膜218に形成する。その後、この開口を覆うように、第2の層間膜218上に第1の接続配線138を形成する(
図14(C))。第1の接続配線138は、スパッタリング法やCVD法などを適用して形成することができる。
【0069】
この後、平坦化膜220、およびダム250の第1の層250aを形成する(
図15(A))。具体的には、まず、表示領域106や周辺領域を覆うように、基板102のほぼ全面に感光性樹脂を形成する。感光性樹脂は、感光性を有するアクリル樹脂やエポキシ樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂などから選択される。感光性樹脂の形成は、スピンコート法やディップコーティング法、インクジェット法、印刷法などを適用して行うことができるが、シート状の樹脂を貼り付けることで行ってもよい。引き続き、感光性樹脂に対してフォトマスクを介して露光し、その後エッチャントを用いて現像することで平坦化膜220と第1の層250aが形成される。
【0070】
なお、この段階において、駆動トランジスタ150と表示素子130との電気的接続のための開口の一部が平坦化膜220に形成される(
図15(A))。その後、この開口においてさらに第2の層間膜218がエッチングされ、ソース電極216が平坦化膜220から露出される(
図15(B))。
【0071】
4-2.ダムの形成
引き続き、平坦化膜220と第2の層間膜218に形成された開口を覆うように接続パッド224を、平坦化膜220の上面の一部を覆うように付加容量電極172を形成する。これらもCVD法やスパッタリング法を適用して形成することができる。この時、同時に端子112において配線122を保護する保護導電膜124を形成してもよい(
図13参照)。
【0072】
引き続き、付加容量電極172、および接続パッド224の一部を覆う第3の層間膜174を形成する(
図15(B))。さらに付加容量電極172と重なるように画素電極132を、平坦化膜220の一部と第1の接続配線138と重なるように第2の接続配線228を形成する(
図16(A))。これらの膜や配線も、CVD法やスパッタリング法を適用して形成することができる。画素電極132と第2の接続配線228は同時に形成することができるため、これらは同一の構造を有し、同一の層内に存在することができる。画素電極132の形成により、付加容量170が形成される(
図3参照)。
【0073】
さらに、画素電極132の端部を覆うように、かつ、ダム250の第1の層250aと重なるように、隔壁222とダム250の第2の層250bを形成する(
図16(A))。これらも第1の層250aと同様、感光性樹脂を基板102のほぼ全面に塗布し、フォトマスクを介した感光性樹脂の露光、エッチャントを用いる現像を行うことで形成される。この時、開口229も同時に形成される。このように隔壁222とダム250の第2の層250bを同時に形成することにより、これらは同一の層内に存在し、同一の組成を有し、同一の有機化合物を含むことができる。したがって、ダム250は、平坦化膜220と隔壁222の少なくとも一方に含まれる材料を有する。また、第1の層250aと第2の層250bはそれぞれ、平坦化膜220と隔壁222と同一の材料を含み、同一の組成を持つことができる。
【0074】
この後、ストッパー250cを形成する。ストッパー250cは、CVD法やスパッタリング法を用いて基板102のほぼ全面に金属膜、あるいはケイ素を含む無機化合物の膜を形成し、これをドライエッチングによって成形することで形成される。以上の工程により、ダム250が形成される(
図16(B))。
【0075】
4-3.表示素子の形成
その後、隔壁222と画素電極132を覆うようにEL層134を形成し、さらにEL層134上に対向電極136を形成する(
図17(A))。これらはインクジェット法や印刷法などの湿式成膜法の他、蒸着法やスパッタリング法を用いて形成される。対向電極136はEL層134を覆うのみならず、開口229において第2の接続配線228と接続されるよう、表示領域106から周辺領域に亘って形成される。以上の工程により、表示素子130が形成される。
【0076】
4-4.パッシベーション膜の形成
まず、CVD法、あるいはスパッタリング法を利用し、第1の無機膜232を基板102のほぼ全面に形成する。これにより、表示素子130のみならず、ダム250が第1の無機膜232によって覆われる(
図17(A))。
【0077】
その後、有機膜234を形成する(
図17(B))。有機膜234は、これを与える原料液をインクジェット法や印刷法により表示領域106上に吐出・塗布し、その後原料液に含まれる溶媒を溜去する、および/あるいは前駆体を反応させることで形成される。必要に応じ、加熱や光照射を行ってもよい。原料液を吐出・塗布する際、表示領域106からはみ出る原料液は、ストッパー250cを有するダム250(例えば第1のダム250-1、第2のダム250-2)の堰き止め効果(
図9(A)から
図9(C)参照)により、その広がる範囲が規制され、その結果、有機膜234の位置や形状が精密に制御される。ここで示した例では、有機膜234は第2のダム250-2と重ならずに第1のダム250-1の一部と重なるように設けられるが、第2のダム250-2の一部、あるいは全てと重なるように設けてもよい。
【0078】
その後、CVD法、あるいはスパッタリング法を利用し、有機膜234と第1の無機膜232の上に第2の無機膜236が形成される(
図17(B))。第2の無機膜236も基板102のほぼ全面に形成されるため、第2の無機膜236は第1のダム250-1から第4のダム250-4と重なり、第3のダム250-3や第4のダム250-4上で第1の無機膜232は第2の無機膜236と接する。この構成によって有機膜234は第1の無機膜232と第2の無機膜236によって封止される。
【0079】
4-5.樹脂膜の形成
引き続き、樹脂膜240を形成する(
図17(B))。有機膜234と同様、樹脂膜240も、原料液をインクジェット法や印刷法を利用して形成することができる。原料液を吐出・塗布する際、表示領域106からはみ出る原料液は、ストッパー250cを有するダム250(例えば第3のダム250-3、第4のダム250-4)の堰き止め効果(
図9(A)から
図9(C)参照)により、その広がる範囲が規制され、その結果、樹脂膜240の位置や形状が精密に制御される。ここで示した例では、樹脂膜240は第4のダム250-4と重ならずに第3のダム250-3の一部と重なるように設けられるが、第4のダム250-4の一部、あるいは全てと重なるように設けてもよい。
【0080】
その後、樹脂膜240をマスクとして用い、ドライエッチング加工を第1の無機膜232と第2の無機膜236に対して行い、第1の無機膜232と第2の無機膜236を部分的に除去する(
図6)。この時、第3のダム250-3の一部と第4のダム250-4が露出されるだけでなく、端子112上に形成される第1の無機膜232と第2の無機膜236も除去される(
図13参照)。これにより、導電性を有する配線122、あるいは保護導電膜124が露出し、コネクタ116との電気的接続が可能となる。以上の工程により、表示装置100が製造される。
【0081】
上述したように、本実施形態の製造方法を適用することで、パッシベーション膜230や樹脂膜240の位置や形状が精密に制御された表示装置を提供することができる。このため、本実施形態の製造方法により、信頼性の高い表示装置が提供される。
【0082】
<第2実施形態>
本実施形態では、本発明の実施形態の一つに係る表示装置330の構造とその製造方法を記述する。第1実施形態と同一、類似する構成については説明を割愛することがある。
【0083】
1.全体構成
表示装置330が第1実施形態の表示装置100と異なる点の一つは、前者では表示素子130と重なるように表示領域106上にタッチセンサ300が設けられる点である。具体的には
図18に示すように、列方向にストライプ状に配列される複数の第1のタッチ電極302と、行方向にストライプ状に配列され、第1のタッチ電極302と交差する複数の第2のタッチ電極304が表示領域106上に配置される。第1のタッチ電極302と第2のタッチ電極304の一方は送信電極(Tx)、他方は受信電極(Rx)とも呼ばれる。第1のタッチ電極302と第2のタッチ電極304は、それぞれほぼ四角形の形状を有する複数の四角形領域(ダイアモンド電極)を備える。第1のタッチ電極302、あるいは第2のタッチ電極304において、隣接するダイアモンド電極はブリッジ電極(後述)によって電気的に接続される。第1のタッチ電極302と第2のタッチ電極304は、
図18では示されない絶縁膜(容量絶縁膜306)を介して互いに離間して電気的に独立しており、これらの間で容量が形成される。人の指などが第1のタッチ電極302と第2のタッチ電極304を介して表示領域106に触れる(以下、この動作をタッチとも呼ぶ)ことで容量が変化し、この変化を読み取ることでタッチの位置が決定される。このように、第1のタッチ電極302と第2のタッチ電極304により、いわゆる投影型静電容量方式のタッチセンサ300が形成される。
【0084】
各ダイアモンド電極は、ITOやIZOなどの可視光を透過する導電性酸化物を含んでもよく、あるいはメッシュ状の金属膜であってもよい。後者の場合、メッシュの開口部が画素104と重なるようにダイアモンド電極を構成することが好ましい。
【0085】
2.断面構造
隣接する二つの画素104の断面模式図を
図19に示す。
図19は
図3に対応する。タッチセンサ300はパッシベーション膜230上に設けられる。具体的には、図示しない絶縁膜を介し、第2の無機膜236上に第1のタッチ電極302や第2のタッチ電極304が配置される。第1のタッチ電極302と第2のタッチ電極304上には容量絶縁膜306が設けられ、容量絶縁膜306に設けられる開口と重なるようにブリッジ電極308が形成される。ブリッジ電極308により、隣接するダイアモンド電極が電気的に接続される。第1のタッチ電極302、第2のタッチ電極304、および容量絶縁膜306がタッチセンサ300の基本構造である。図示しないが、容量絶縁膜306を挟むように、第1のタッチ電極302上に第2のタッチ電極304を設けてもよい。この場合、第1のタッチ電極302と第2のタッチ電極304は互いに異なる層に存在する。
【0086】
タッチセンサ300上には保護絶縁膜320が設けられ、その上に直接、あるいは図示しない絶縁膜を介して偏光板400を配置することができる。図示しないが、偏光板400上にはさらに保護絶縁膜や対向基板を配置してもよい。
【0087】
3.周辺領域
3-1.構造
図20に、表示装置100の四隅の構造の模式的上面図を示す。この図では、表示素子130やパッシベーション膜230、タッチセンサ300、偏光板400などの構成は省略されている。表示装置100と同様、表示装置330もストッパー250cを有するダム250が少なくとも一つ、表示領域106を囲むように備える。表示装置330はさらに、ダム250と端子112の間に、付加ダム254を有する。本実施形態の付加ダム254は、表示領域106と端子112の間の領域に選択的に形成されるが、表示領域106やダム250を囲むように付加ダム254を設けてもよい。
【0088】
3-2.上部周辺領域
領域118-1(
図18参照)の断面模式図を
図21に示す。
図21は
図6に対応する。
図21に示すように、表示装置330は、周辺領域に緩衝絶縁膜(埋込絶縁膜とも呼ばれる)244を備える。緩衝絶縁膜244は、ダム250、およびダム250を覆う第1の無機膜232と第2の無機膜236を覆う。これにより、ストッパー250cは緩衝絶縁膜244に埋め込まれ、緩衝絶縁膜244はダム250による凹凸を吸収して平坦な上面となだらかに傾斜する面を与える。また、第1の無機膜232と第2の無機膜236は、緩衝絶縁膜244と重なる領域内に位置し、この領域内に閉ざされる。
【0089】
緩衝絶縁膜244は、表示領域106上では画素104と重ならないように設けられる。したがって表示領域106では、第2の無機膜236は緩衝絶縁膜244から露出する。緩衝絶縁膜244は、その上面と、緩衝絶縁膜244から露出する第2の無機膜236の上面とが一致するように形成することが好ましい。すなわち、緩衝絶縁膜244の上面と、緩衝絶縁膜244から露出する第2の無機膜236の上面とによって大きな段差が生じないよう、緩衝絶縁膜244を形成することが好ましい。緩衝絶縁膜244もエポキシ樹脂やアクリル樹脂、ポリカルボナート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂などを含み、インクジェット法や印刷法などを適用して形成することができる。
【0090】
図21に示した例では、緩衝絶縁膜244は基板102の端部まで伸び、その端部と基板102の端部が一致する。ただし、基板102、アンダーコート202、ゲート絶縁膜206、第1の層間膜212、あるいは第2の層間膜218の一部が緩衝絶縁膜244から露出するように緩衝絶縁膜244を構成してもよい。
【0091】
3-3.左右辺周辺領域
表示装置100の左右辺の一部を含む領域118-2(
図18参照)の断面模式図を
図22に示す。
図22は、
図11に対応する。以下、領域118-1と同一、または類似する構成については説明を割愛することがある。
【0092】
領域118-1と同様、
図22に示すように、周辺領域には、ダム250、およびダム250を覆う第1の無機膜232と第2の無機膜236を覆う緩衝絶縁膜244が設けられる。第1のタッチ電極302、あるいは第2のタッチ電極304にはリード配線310が接続される。リード配線310は周辺領域へ延伸し、さらに端子112へ延伸する。
【0093】
3-4.下部周辺領域
表示領域106の端子112側に位置する領域118-3(
図18参照)の断面模式図を
図23に示す。
図23は
図13に対応する。以下の説明においても、領域118-1、118-2と同一、あるいは類似する構成については説明を割愛することがある。
【0094】
上述したように、領域118-3には、基板102の端部とダム250の間に付加ダム254が設けられる。付加ダム254は、平坦化膜220と付加ダム254によってダム250が挟まれるように配置される。付加ダム254は、平坦化膜220と隔壁222の少なくとも一方に含まれる材料を含む。後述するように、付加ダム254は平坦化膜220と同時、あるいは隔壁222と同時に形成することができる。前者の場合、付加ダム254は平坦化膜220や第1の層250aに含まれる有機化合物を含み、これらと同一の組成を有することができる。後者の場合、付加ダム254は隔壁222に含まれる有機化合物を含み、これと同一の組成を有することができる。
【0095】
図23に示すように、付加ダム254は、その高さがダム250よりも小さくなるように構成することができる。また、付加ダム254は必ずしもストッパー250cを備える必要は無い。ただし、図示しないが、ダム250と同様、付加ダム254も二層構造を有してもよく、この場合、ダム250の台座と同様の構造を有し、同様の高さを有することができる。
【0096】
領域118-1、118-2と同様、周辺領域には、ダム250、およびダム250を覆う第1の無機膜232と第2の無機膜236を覆う緩衝絶縁膜244が設けられる。
図23に示すように、緩衝絶縁膜244は、少なくとも付加ダム254の側面、側面と上面の間のリッジ、あるいは上面と接する。緩衝絶縁膜244は付加ダム254の一部と重なってもよい。タッチセンサ300からは、第1のタッチ電極302、あるいは第2のタッチ電極304と接続されるリード配線310が第2の無機膜236や緩衝絶縁膜244上を延伸する。リード配線310は第2の無機膜236や緩衝絶縁膜244と接してもよい。リード配線310は端子112と電気的に接続され、これにより、タッチを検出するための信号が図示しない外部回路から第1のタッチ電極302と第2のタッチ電極304に供給される。
【0097】
上述したように、ストッパー250cは0価の金属を含むように形成することができるため、ストッパー250cとリード配線310が接すると、隣接するリード配線310がストッパー250cによって電気的に接続されてしまい、タッチを検出するための信号を第1のタッチ電極302と第2のタッチ電極304のそれぞれに独立して与えることができない。しかしながら、緩衝絶縁膜244はダム250と重なるように設けられ、ストッパー250cは緩衝絶縁膜244によって覆われる。このため、ストッパー250cはリード配線310から絶縁され、ストッパー250cとリード配線310との短絡が防がれる。また、緩衝絶縁膜244はダム250に起因する凹凸を吸収し、平坦な表面やなだらかに傾斜した上面を形成する。この上面に沿ってリード配線310が設けられるため、リード配線310の切断を防止することができる。
【0098】
表示装置100と同様、表示装置330においても、有機膜234はインクジェット法や印刷法で形成することができ、その原料液の広がりはダム(例えば第1のダム250-1や第2のダム250-2)によって制御することができる。このため、有機膜234を第1のダム250-1、あるいは第2のダム250-2内に選択的に形成することができる。その結果、有機膜234は第1の無機膜232と第2の無機膜236に封止され、かつ、これらを含むパッシベーション膜230が表示領域106を確実に覆うように配置することができる。したがって、表示装置330は高い信頼性を示す。
【0099】
同様に緩衝絶縁膜244もインクジェット法や印刷法で形成することができ、その原料液の広がりは付加ダム254によって制御される。このため、緩衝絶縁膜244を付加ダム254内に選択的に形成することができるとともに、ストッパー250cを緩衝絶縁膜244によって覆うことができる。その結果、リード配線310の切断や、ストッパー250cとリード配線310間の導通を効果的に防止することができる。
【0100】
4.製造方法
表示装置330の製造方法を
図24(A)から
図27(B)を用いて説明する。これらの図は、
図23に対応する。
【0101】
図24(A)に、基板102上に駆動トランジスタ150、配線272、配線122、信号線駆動回路110、第2の層間膜218、および第1の接続配線138が形成された構造を示す。この構造は公知の方法や第1実施形態で述べた方法を適用することで作製できるため、説明は割愛する。
【0102】
4-1.平坦化膜、第1の層、付加ダムの形成
第2の層間膜218上に平坦化膜220、ダム250の第1の層250a、および付加ダム254を同時に形成する。引き続き、第1実施形態で述べたように、駆動トランジスタ150と表示素子130との電気的接続のための開口において第2の層間膜218がエッチングされ、ソース電極216が平坦化膜220から露出されるとともに、端子112が形成される領域において第2の層間膜218がエッチングにより除去される(
図24(B))。引き続き、付加容量電極172、第3の層間膜174、画素電極132、および第2の接続配線228を形成する(
図24(C))。これらの電極や膜はいずれも第1実施形態で述べた方法と同様の方法を適用して形成することができる。図示しないが、付加ダム254を隔壁222と同時に形成する場合には、平坦化膜220と第1の層250aの形成時に付加ダム254を形成する必要は無い。
【0103】
この後、画素電極132の端部を覆うように、かつ、ダム250の第1の層250aを覆うように、隔壁222とダム250の第2の層250bを形成するとともに、開口229を形成する(
図25(A))。平坦化膜220と第1の層250aの形成時に付加ダム254を形成しない場合には、隔壁222を形成する際に付加ダム254が形成される。この後、第1実施形態と同様の方法を適用し、ストッパー250cを形成する(
図25(B))。
【0104】
4-2.表示素子とパッシベーション膜の形成
その後、隔壁222と画素電極132を覆うように、EL層134を形成し、EL層134上に対向電極136を形成する。さらに対向電極136上に第1の無機膜232を形成する。第1の無機膜232は、端子112上にも形成される(
図25(B))。
【0105】
その後、有機膜234を形成し、さらに有機膜234を覆うように第2の無機膜236を形成する。第2の無機膜236は、端子112上にも形成される(
図26(A))。これによりパッシベーション膜230が形成される。EL層134や対向電極136、パッシベーション膜230は、第1実施形態と同様の方法によって形成すればよい。有機膜234を与える原料液は、ストッパー250cを有するダム250(例えば第1のダム250-1、あるいは第2のダム250-2)により、その広がる範囲が形成され、その結果、有機膜234の位置や形状を精密に制御することができる。ここで示した例では、有機膜234は第2のダム250-2とは重ならず第1のダム250-1の一部と重なるように設けられるが、第2のダム250-2の一部、あるいは全てと重なるように有機膜234を設けてもよい。
【0106】
引き続き、表示領域106や有機膜234、およびダム250の一部と重なるレジストマスク242を形成する(
図26(B))。具体的には、インクジェット法や印刷法を利用し、感光性樹脂の溶液、あるいは懸濁液を、有機膜234を覆うよう、表示領域106や周辺領域上に吐出・塗布し、その後溶媒を溜去することで、感光性樹脂の膜を形成する。その後、フォトマスクを介する露光と現像を行うことでレジストマスク242が形成される。この時、感光性樹脂の溶液や懸濁液は、ストッパー250cを有するダム250(例えば第3のダム250-3、あるいは第4のダム250-4)により、その広がる範囲が形成され、その結果、レジストマスク242の位置や形状を精密に制御することができる。ここで示した例では、レジストマスク242は第1のダム250-1、第2のダム250-2、および第3のダム250-3の一部と重なるように設けられるが、第4のダム250-4の一部、あるいは全てと重なるようにレジストマスク242を設けてもよい。
【0107】
その後、レジストマスク242をマスクとして用い、ドライエッチング加工を第1の無機膜232と第2の無機膜236に対して行い、第1の無機膜232と第2の無機膜236を部分的に除去する(
図27(A))。この時、端子112上に形成される第1の無機膜232と第2の無機膜236も除去される。これにより、配線122、あるいは保護導電膜124が露出し、コネクタ116との電気的接続が可能となる。レジストマスク242はその後アッシングなどにより除去される。
【0108】
この後、緩衝絶縁膜244を形成する(
図27(B))。緩衝絶縁膜244は、これを与える原料液をインクジェット法や印刷法により周辺領域に吐出・塗布し、その後原料液に含まれる溶媒を溜去することで形成される。必要に応じ、加熱や光照射を行ってもよい。付加ダム254により、この原料液が広がる範囲が規制され、その結果、緩衝絶縁膜244の位置や形状を精密に制御することができる。付加ダム254を設けることで、緩衝絶縁膜244が付加ダム254と端子112の間に形成されることが防止される。付加ダム254と端子112の間を折り曲げることで、端子112やそれに接続されるコネクタ116を基板102と重なるように配置することができる。これにより、表示装置330を小型の筐体に収納することができ、デザイン性の高い電子デバイスが提供される。この時、折り曲げられる領域に緩衝絶縁膜244が存在すると、表示装置330が折り曲げにくくなるだけでなく、緩衝絶縁膜244にクラックが生じることがあり、これは信頼性の低下の原因となる。しかしながら、付加ダム254を設けることで、緩衝絶縁膜244の位置や形状を精密に制御することができるため、このような信頼性低下の要因を排除することが可能となる。
【0109】
<第3実施形態>
本実施形態では、本発明の実施形態の一つに係る表示装置340の構造とその製造方法を記述する。第1、第2実施形態と同一、類似する構成については説明を割愛することがある。
【0110】
1.周辺領域の構造
表示装置340の上部周辺領域、左右辺周辺領域、下部周辺領域の断面模式図をそれぞれ
図28、
図29、
図30に示す。これらの領域はそれぞれ領域118-1、118-2、118-3((
図1、
図18参照)に対応し、
図28から
図30は表示装置330の断面模式図(
図21、
図22、
図23)に対応する。これらの図に示すように、表示装置340が表示装置330と異なる点の一つは、第1の無機膜232と第2の無機膜236が、複数のダム250のすべてを覆う点である。第1の無機膜232と第2の無機膜236は、付加ダム254の一部を覆ってもよい(
図30)。このような構成を採用することで、リード配線310をより確実にストッパー250cから絶縁することが可能となる。
【0111】
1.製造方法
表示装置340の製造方法を、
図31(A)、
図31(B)を用いて説明する。これらの図は
図30に対応する。表示装置330の製造と同様、パッシベーション膜230の第1の無機膜232、有機膜234、第2の無機膜236をダム250と付加ダム254を覆うように、基板102のほぼ全面に形成する(
図31(A))。この段階までで、有機膜234の位置と形状は、ストッパー250cを有するダム250によって制御される。
【0112】
この後、レジストマスク242を形成する。
図31(A)に示すように、レジストマスク242は、ダム250のすべてを覆い、付加ダム254の一部を覆うように形成するが、付加ダム254のすべてを覆うように形成してもよい。レジストマスク242は、表示領域106やダム250、付加ダム254を覆うように感光性樹脂を基板102のほぼ全面に形成し、その後フォトマスクを介する露光、および現像によって形成することができる。露光は、感光性樹脂が現像後に表示領域106、ダム250、および付加ダム254の一部の上で残存するように行う。
【0113】
この後、レジストマスク242をエッチングマスクとして用い、第1の無機膜232と第2の無機膜236をドライエッチングする。この過程により、レジストマスク242から露出した第1の無機膜232と第2の無機膜236が除去され、同時に端子112において配線122、あるいは保護導電膜124が露出する(
図31(B))。その後レジストマスク242をアッシングなどにより除去し、さらに第2実施形態で述べたように緩衝絶縁膜244を形成する(
図31(B))。緩衝絶縁膜244はインクジェット法や印刷法などによって形成され、その位置や形状は付加ダム254によって制御することができる。その後の過程は第2実施形態のそれと同様なので、説明は割愛する。
【0114】
<第4実施形態>
本実施形態では、本発明の実施形態の一つに係る表示装置350の構造とその製造方法を記述する。第1から第4実施形態と同一、類似する構成については説明を割愛することがある。
【0115】
1.周辺領域の構造
表示装置350が表示装置330と相違する点の一つは、レジストマスク242の位置や形状を制御するためのダム(例えば表示装置330における第3のダム250-3や第4のダム250-4)を設けない点である。具体的な説明を
図32から
図35を用いて行う。これらの図はそれぞれ、表示装置350の四隅の上面模式図、および上部周辺領域、左右辺周辺領域、下部周辺領域の断面模式図であり、表示装置330の上面と断面の模式図(
図20から
図23)に対応する。
【0116】
これらの図に示されるように、表示装置350は二つのダム(第1のダム250-1と第2のダム250-2)を有しており、第2のダム250-2と基板102の端部の間には、ストッパー250cを有するダム250は設けられない。下部周辺領域には付加ダム254が設けられる。パッシベーション膜230の第1の無機膜232と第2の無機膜236は、ストッパー250cを有するダム250のすべてと重なるように配置してもよく、一つのダム(第1のダム250-1)の全体を覆い、他のダム(ここでは第2のダム250-2)の一部を覆うように配置してもよい。図示しないが、第1の無機膜232と第2の無機膜236は、付加ダム254を覆うように設けてもよい。緩衝絶縁膜244はダム250を覆い、これにより、その上に設けられるリード配線310がストッパー250cから絶縁される。緩衝絶縁膜244の位置と形状は、付加ダム254によって制御される。
【0117】
このような態様を有する表示装置350では、ダム250の数を低減することができるため、より周辺領域の面積の小さい表示装置を提供することができ、このことは表示装置のデザイン性の向上に寄与する。
【0118】
2.製造方法
表示装置350の製造方法を
図36(A)から
図38を用いて説明する。これらの図は、
図35に対応する。
【0119】
第2実施形態の表示装置330と同様に、表示素子130までを形成する。
図36(A)は、表示素子130までが形成された状態を示す断面模式図である。ここでは、表示領域106を囲むダム250は二つ形成され、下部周辺領域においては、ダム250と端子112の間に付加ダム254が形成される。
【0120】
引き続き、パッシベーション膜230を形成する(
図36(B))。パッシベーション膜230は、第2実施形態で述べた方法と同様の方法を適用することで形成することができる。周辺領域に設けられる二つのダム250により、有機膜234の位置と形状が制御される。
【0121】
その後、レジストマスク242を形成する。ここで示した例では、レジストマスク242は、ダム250を覆い、付加ダム254を覆わないように形成される(
図37(A))。図示しないが、付加ダム254の一部、あるいは全てを覆うようにレジストマスク242を形成してもよい。レジストマスク242は、第2実施形態で述べたように、感光性樹脂の吐出・塗布、フォトマスクを介した露光、および現像によって形成することができる。フォトマスクによってレジストマスク242の位置や形状が制御されるため、表示装置350では、レジストマスク242の制御のためのダム250を別途設けなくてもよい。
【0122】
引き続き、レジストマスク242から露出した第1の無機膜232と第2の無機膜236が除去され、同時に端子112において配線122、あるいは保護導電膜124が露出する(
図37(B))。その後レジストマスク242をアッシングなどにより除去し、さらに第2実施形態で述べたように緩衝絶縁膜244を形成する(
図38)。緩衝絶縁膜244はインクジェット法や印刷法などによって形成され、その位置や形状は付加ダム254、あるいは第2のダム250-2によって制御することができる。その後の過程は第2実施形態と同様であるため、説明は割愛する。
【0123】
以上述べたように、ストッパー250cを有するダム250を表示領域106を囲むように少なくとも一つ設けることにより、パッシベーション膜230や樹脂膜240、レジストマスク242、緩衝絶縁膜244の位置や形状を精密に制御することが可能となり、これにより、高い信頼性を有する表示装置を再現性良く提供することができる。
【0124】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【0125】
本明細書においては、開示例として主にEL表示装置の場合を例示したが、他の適用例として、その他の自発光型表示装置、液晶表示装置、あるいは電気泳動素子などを有する電子ペーパ型表示装置など、あらゆるフラットパネル型の表示装置が挙げられる。また、中小型から大型まで、特に限定することなく適用が可能である。
【0126】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0127】
100:表示装置、102:基板、104:画素、106:表示領域、108:走査線駆動回路、110:信号線駆動回路、112:端子、114:駆動IC、116:コネクタ、118-1:領域、118-2:領域、118-3:領域、122:配線、122a:配線、122b:配線、124:保護導電膜、130:表示素子、132:画素電極、134:EL層、136:対向電極、138:第1の接続配線、140:保持容量、150:駆動トランジスタ、152:補正トランジスタ、154:発光制御トランジスタ、156:初期化トランジスタ、158:書込トランジスタ、160:リセットトランジスタ、170:付加容量、172:付加容量電極、174:第3の層間膜、180:高電位電源線、182:電流供給線、184:低電位電源線、186:第2の信号線、188:第1の信号線、190:書込制御走査線、192:初期化制御走査線、194:補正制御走査線、196:リセット制御線、198:発光制御走査線、200:リセット信号線、202:アンダーコート、204:半導体膜、204a:活性領域、204b:低濃度不純物領域、204c:高濃度不純物領域、206:ゲート絶縁膜、208:容量電極、210:ゲート電極、212:第1の層間膜、214:ドレイン電極、216:ソース電極、218:第2の層間膜、219:感光性樹脂、220:平坦化膜、222:隔壁、224:接続パッド、226:開口、228:第2の接続配線、229:開口、230:パッシベーション膜、232:第1の無機膜、234:有機膜、236:第2の無機膜、240:樹脂膜、242:レジストマスク、244:緩衝絶縁膜、250:ダム、250-1:第1のダム、250c-1:第1のストッパー、250-2:第2のダム、250c-2:第2のストッパー、250-3:第3のダム、250c-3:第3のストッパー、250-4:第4のダム、250c-4:第4のストッパー、250a:第1の層、250b:第2の層、250c:ストッパー、252:原料液、254:付加ダム、270:配線、272:配線、300:タッチセンサ、302:第1のタッチ電極、304:第2のタッチ電極、306:容量絶縁膜、308:ブリッジ電極、310:リード配線、320:保護絶縁膜、330:表示装置、340:表示装置、350:表示装置、400:偏光板