(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】平面スイッチ
(51)【国際特許分類】
H01H 9/02 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
H01H9/02 N
(21)【出願番号】P 2019010759
(22)【出願日】2019-01-25
【審査請求日】2022-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】小畑 泰敏
(72)【発明者】
【氏名】大森 清
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-162707(JP,A)
【文献】実開昭62-78793(JP,U)
【文献】実公昭52-12131(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁部の開口に埋め込まれる埋め込み型の平面スイッチであって、
前記開口の外側に設けられ、前記開口よりも外形が大きい形状を有する操作パネルと、
前記操作パネルの背面に設けられ、前記操作パネルの操作を検出し、前記開口よりも外形が小さく、前記開口内に収容されるセンサユニットと、
前記壁部内に設けられるスイッチボックスと、
前記センサユニットと前記スイッチボックスとの間に設けられ、前記操作パネルが前記壁部に当接する前記操作パネルの取付位置まで前記センサユニットを引き込んで前記操作パネルの奥行を調整する奥行調整機構と、を備える平面スイッチ。
【請求項2】
前記奥行調整機構は、
前記引き込む方向へ付勢する弾性部材と、
前記弾性部材の前記引き込む方向への移動を規制する規制部と、を備え、
前記規制部による規制を解除することで前記操作スイッチの引き込み動作が開始される、請求項1に記載の平面スイッチ。
【請求項3】
前記奥行調整機構は、折り畳み機構を有する、請求項1又は請求項2に記載の平面スイッチ。
【請求項4】
前記奥行調整機構は、折り畳み機構を有し、
前記折り畳み機構は、折り畳み可能な複数の脚部を有し、
前記弾性部材は、前記複数の脚部のそれぞれに設けられている、請求項1又は請求項2に記載の平面スイッチ。
【請求項5】
前記奥行調整機構は、第1ベース部を備え、
前記センサユニットは、前記第1ベース部に取り付けられる、請求項1から請求項4のいずれかに記載の平面スイッチ。
【請求項6】
前記奥行調整機構は、前記スイッチボックスに取り付けるための第2ベース部を備え、
前記第2ベース部は、前記奥行調整機構の一部を収納する凹部を有する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の平面スイッチ。
【請求項7】
前記弾性部材は、コイルバネである請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の平面スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、平面スイッチにおいて、建物の外壁と内壁との間の距離寸法は建物ごとに様々であるため、スイッチボックスを内壁に取付けたときに、スイッチ面が外壁と面一にすることが難しいという問題があった。
【0003】
このような問題を解決するものとして、特許文献1の平面スイッチが提案されている。
特許文献1の平面スイッチでは、内壁に取り付けるスイッチボックスを外壁との距離に応じて調整する機構が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、建物の外壁と内壁の距離に応じて平面スイッチの位置の調整は手間がかかるため、さらに簡単に外壁と内壁の距離に応じた位置調整ができることが望まれていた。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、外壁と内壁の距離に応じた位置調整を簡単に行うことができる平面スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、以下の構成によって把握される。
(1)本発明の平面スイッチは、壁部の開口に埋め込まれる埋め込み型の平面スイッチであって、前記開口の外側に設けられ、前記開口よりも外形が大きい形状を有する操作パネルと、前記操作パネルの背面に設けられ、前記操作パネルの操作を検出し、前記開口よりも外形が小さく、前記開口内に収容されるセンサユニットと、前記壁部内に設けられるスイッチボックスと、前記センサユニットと前記スイッチボックスとの間に設けられ、前記操作パネルが前記壁部に当接する前記操作パネルの取付位置まで前記センサユニットを引き込んで前記操作パネルの奥行を調整する奥行調整機構と、を備える。
【0008】
(2)上記(1)の構成において、前記奥行調整機構は、前記引き込む方向へ付勢する弾性部材と、前記弾性部材の前記引き込む方向への移動を規制する規制部と、を備え、前記規制部による規制を解除することで前記操作スイッチの引き込み動作が開始される。
【0009】
(3)上記(1)又は(2)の構成において、前記奥行調整機構は、折り畳み機構を有する。
(4)上記(1)又は(2)の構成において、前記奥行調整機構は、折り畳み機構を有し、前記折り畳み機構は、折り畳み可能な複数の脚部を有し、前記弾性部材は、前記複数の脚部のそれぞれに設けられている。
【0010】
(5)上記(1)から(4)のいずれか1の構成において、前記奥行調整機構は、第1ベース部を備え、前記センサユニットは、前記第1ベース部に取り付けられる。
【0011】
(6)上記(1)から(5)のいずれか1の構成において、前記奥行調整機構は、前記スイッチボックスに取り付けるための第2ベース部を備え、前記第2ベース部は、前記奥行調整機構の一部を収納する凹部を有する。
【0012】
(7)上記(2)から(6)のいずれか1の構成において、前記弾性部材は、コイルバネである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、外壁と内壁の距離に応じた位置調整を簡単に行うことができる平面スイッチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る実施形態の平面スイッチが部屋等の壁内に埋め込まれて設置されている状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態の平面スイッチの構成を説明するために図である。
【
図3】(a)は本発明の実施形態に係る平面スイッチの取付状態へ移行する前の斜視図、(b)は本発明の実施形態に係る平面スイッチの取付状態の斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る平面スイッチの操作パネルを分解して示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る平面スイッチのセンサユニットを分解して示す斜視図である。
【
図6】センサユニットの奥行調整機構への取付構造について説明する図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る平面スイッチの奥行調整機構を説明する図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る平面スイッチの奥行調整機構の脚部の構成を説明する図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る平面スイッチの奥行調整機構の規制部を説明するための図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る平面スイッチの取付工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明を実施するための実施形態について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。また、以下では、特に説明がない限り、平面スイッチ1が視認できる側を手前側又は表側とし、その反対側を奥側又は裏側とする。
【0016】
図1は本発明に係る実施形態の平面スイッチ1が部屋等の壁内に埋め込まれて設置されている状態を示す斜視図である。
図1に示すように、平面スイッチ1は、例えば、照明装置の調光や調色等の操作を行うためのスイッチである。平面スイッチ1は、図示しないスイッチ操作のための各部品や外壁W1(体裁面を伴う部屋等の壁)に設けられた開口部2が見えないようするために、壁部の開口2に埋め込まれる埋め込み型のものであり、開口部2を覆うように設けられる操作パネル10を備える。
【0017】
なお、本実施形態に係る平面スイッチ1は、外壁W1が部屋等の壁に埋め込まれて設置されているが、平面スイッチ1の設置場所は、鉛直面に限らず、机の表側面等であってもよい。また、平面スイッチ1の操作の対象とする機器類は、照明装置に限らず、空調設備、家電製品、シャッター又はカーテン等、スイッチ操作を伴うものであればよい。
【0018】
図2は本発明の実施形態の平面スイッチの構成を説明するために図である。
図2に示すように、平面スイッチ1は、操作パネル10と、センサユニット30と、奥行調整機構40と、スイッチボックス50と、筐体55とを有する。
スイッチボックス50は、筐体55に収容されて筐体55とともに内壁W2に固定されている。
操作パネル10は、開口2の外側に設けられ、開口2よりも外形が大きい形状を有している。このため、操作パネル10は奥行調整機構40により開口2の内部に引き込んだときに開口2の周縁の外壁W1に当接する。
【0019】
センサユニット30は、操作パネル10の背面に設けられ、操作パネル10の操作を検出するものであり、開口2よりも外形が小さく、開口2内に収容される。センサユニット30は、操作パネル10と一体化され、本体ユニットとなる。センサユニット30は、奥行調整機構40に取り付けられる。
【0020】
奥行調整機構40は、リンク(パンタグラフ)方式のものであって、センサユニット30とスイッチボックス50の間に設けられる。
奥行調整機構40は、外壁(壁部)W1側から内壁W2側に付勢されており、
図7~
図9で後述する規制部44による規制が解除されると、操作パネル10の引き込み動作によりパネル取付位置に向かって動き出し、操作パネル10が開口2の周縁の壁部としての外壁W1に当接することにより取付位置で静止する。この奥行調整機構40によって、操作パネルの奥行の調整を自動で行うことができる。
【0021】
図3(a)は本発明の実施形態に係る平面スイッチの取付状態へ移行する前の斜視図、(b)は本発明の実施形態に係る平面スイッチの取付状態の斜視図である。
図3(a)に示すように、奥行調整機構40は、後述する弾性部材45によって常に外壁側W1から内壁側W2に付勢されており、後述する規制部44により奥行調整機構40の動きが規制されている。
【0022】
規制部44による規制が解除されると、操作パネル10が奥行調整機構40の引き込み動作によりパネル取付位置に向かって動き出し、
図3(b)に示す取付位置で操作パネル10が開口2の周縁に当接して静止する。
この奥行調整機構40によって、操作パネル10を引き込んで操作パネル10の奥行を調整することができる。
【0023】
図4は、本発明の実施形態に係る平面スイッチの操作パネルを分解して示す斜視図である。
図4に示すように、操作パネル10は、平面スイッチ1における最も表側に配置される透明パネル11と、両面テープ14を介して透明パネル11の裏側に配置され、図形や文字等の操作アイコン12dがプリントされた被膜状の文字記号フィルム12と、を有する。
カバーブラケット13は、表示板12の裏側に配置され、トップケース31T(
図5参照)に設けられる係止突起31Tjに対して係止される係止爪13jが設けられている。
【0024】
透明パネル11は、裏側は全面が平らになっており、表側は、中央に、裏側の全面と略相似形状であって、操作アイコン12dが表示された領域と略同じ大きさの、裏側の全面と平行な中央面11cを備え、中央面11cからカバー本体11の周縁の四方に向けて傾斜するテーパ面11tを有し、全体が扁平な略截頭四角錐体となっている。そして、前面板Wの表側W1の面から透明パネル11の表側の中央面11cまでの高さ寸法は、約1mm程度で設計される。
【0025】
このように、体裁面となる前面板Wの表側W1(
図1参照)の面から透明パネル11の表側の中央面11cまでは、テーパ面11tにより、なだらかに連なるので、操作パネル10が目立つことなく、すっきりとした外観が得られる。
さらに、中央面11cの大きさが、操作アイコン12dが表示された領域と略同じであるので、透明パネル11の中央面11cに、表示板12の操作アイコン12dを透過させつつ際立たせて表示でき、視認しやすいとともに、美観に優れる。
【0026】
また、透明パネル11は、透明パネル11の裏側に配置される文字記号フィルム12が、透明パネル11の表側から視認できるようにするため、少なくとも中央面11cの部分は透明(光透過率が高い)となっており、テーパ面11tは、開口部2(
図1参照)が透明パネル11の表側から目立たないようにするため、不透明(光透過率が低い)となっている。なお、透明パネル11の全体を透明にしてもよく、中央面11cを透明にしてテーパ面11tを不透明にしてもよく、カバー本体11の周縁を外周に沿って不透明にして中央面11cに近づくにつれて徐々に透明にしてもよい。
【0027】
文字記号フィルム12は、表側に、全面に透明な両面テープ14が貼り付けられ、その両面テープ14の表側に透明パネル11の裏側が貼り付けられる。
【0028】
また、カバーブラケット13は、表側に、周縁に沿って両面テープ13tが貼り付けられ、その両面テープ13tの表側に文字記号フィルム12の裏側が貼り付けられる。なお、カバーブラケット13に設けられた係止爪13jは、略L字形状となっているので、特に、平面スイッチ1を壁等の鉛直面に対して設ける場合は、係止爪13jの先端を重力方向(鉛直下向き)に向けた状態でカバーブラケット13をトップケース31Tの係止突起31Tjに引っ掛けるだけで、操作パネル10をセンサユニット30に対して取り付けられる。
【0029】
このようにして、透明パネル11、文字記号フィルム12及びカバーブラケット13の各層は重なった状態で一体化され、操作パネル10がサブアセンブリとなる。
【0030】
図5は本発明の実施形態に係る平面スイッチのセンサユニット30を分解して示す斜視図である。
図5に示すように、センサユニット30は、センサケース31と、センサケース31内に収容される制御モジュール32と、センサケース31内に収容される電源モジュール33と、本体ユニットベース34とを備える。
【0031】
センサケース31は、開口部2内に収まるように配置され、表側に設けられたトップケース31Tを備える。
【0032】
トップケース31Tは、全体が略矩形のフレーム状である。また、トップケース31Tには、中央に、後述する表示部32dを露出するための矩形状の開口31Tdが設けられ、周縁部に、後述する発光素子からの光を通すための窓部31Ts及び受光素子への光を通すための窓部31Trが設けられる。トップケース31Tは、例えば樹脂の射出成形により製造できる。
【0033】
トップケース31Tは、四隅に、位置決めネジ21b、22bが挿通される位置決めネジ挿通孔31Thが設けられる。
さらに、トップケース31Tは、周縁に、外側に向けて突出し、カバーブラケット13に設けられた係止爪13j(
図4)が係止される複数の係止突起31Tjを備える。
【0034】
制御モジュール32は、導光板32Uと、基板スペーサと、センサ基板32Dとを備え、表側からこの順番で、層状に重なって配置される。
導光板32Uは、中央に表示部32dを有する薄板状のものであり、例えば、アクリル板の表面に対して端面より入れた光を均一に面発光する。
【0035】
基板スペーサ(不図示)は、例えば、表側に配置される導光板32Uと裏側に配置されるセンサ基板32Dとの間に空隙を設けるための薄板状のものであり、周縁の表側に配置された両面テープにより、導光板32Uの裏側に貼り付けられる。
【0036】
センサ基板32Dは、ユーザがスイッチ操作を行った際に操作を検出する検出部となる部分であって、表側面のほぼ全面が静電容量センサ32となっており、周縁部に、スピーカ32sと無線装置32rと人感センサ32mとが配置され、静電容量センサ32p、スピーカ32s、無線装置32r及び人感センサ32mと接続される制御回路(不図示)を備えている。人感センサ32mは、例えば、発光素子32msから発せられた光の反射光を受光素子32mrで受光するものとする。
【0037】
電源モジュール33は、例えば、電源回路を含む薄板状の第1電源基板33Uと、裏側にコンデンサ等のディスクリート部品(不図示)を実装し、第1電源基板33Uと離間して配置される第2電源基板33Mとを備える。
【0038】
本体ユニットベース34は、センサユニット30を奥行調整機構40に取り付けるためのものである。本体ユニットベース34は、取付用の丸孔34Aと、開口34Bとを有する。
【0039】
図6は、センサユニットの奥行調整機構への取付構造について説明する図である。
図6において、参照符号41は、後述する奥行調整機構40の第1ベース部である。 センサユニット30の本体ユニットベース34は、スペーサ35を介して奥行調整機構40の第1ベース部41に取り付けられる。第1ベース41には、4つの係止爪41Aが形成されている。
スペーサ35は、センサユニット30の本体ユニットベース34を奥行調整機構40の第1ベース41に取り付けるためのものであり、本体ユニットベース34とビスにより取り付けるための丸孔35Aと、奥行調整機構の第1ベースに係止爪41Aが入るスペーサ孔35Bと係止爪41Aが係止される段差部35Cが形成されている。
【0040】
本体ユニットベース34の丸孔34Aと丸孔35Aの位置合わせをしてビスによって固定する。つぎに、奥行調整機構40の第1ベース41の係止爪41Aをスペーサ35のスペーサ孔35Bを通して段差部35Cに引っ掛けて係止させる。これにより、センサユニット30が奥行調整機構40の第1ベース41に取り付けられる。
【0041】
図7は、本発明の実施形態に係る平面スイッチの奥行調整機構を説明する図である。
図8は、本発明の実施形態に係る平面スイッチの奥行調整機構の脚部の構成を説明する図である。
図9は、本発明の実施形態に係る平面スイッチの奥行調整機構の規制部を説明するための図である。
【0042】
図2、
図7及び
図8(a)に示すように、奥行調整機構40は、外壁W1側から内壁W2側に付勢されており、操作パネル10が外壁W1に当接する操作パネル10の取付位置までセンタユニット30を引き込んで操作パネルの奥行を調整するものである。
奥行調整機構40は、スペースの観点から折り畳み機構を有し、ここでは折り畳み機構の例としてパンタグラフを例にとって説明する。奥行調整機構40は必ずしも折り畳みの機構を備えていなくてもよい。
【0043】
具体的には、奥行調整機構40は、第1ベース部41、第2ベース部42、折り畳み機構としての複数の脚43、規制部44、付勢部45等を有する。
第1ベース部41は、矩形を有しており、下面には第1脚部43Aを取り付けるための4つの板状部41Bが立設されている。
【0044】
第2ベース部42は、奥行調整機構40をスイッチボックス50に取り付けるためのものであり、パンタグラフの複数の脚43を収容する凹部42Aを有し、脚43の折り畳み状態では、奥行調整機構の一部として各脚43は凹部42Aに収納される。
各脚43は、第1脚部43Aと第2脚部43Bとを有し、第1脚部43Aと第2脚部43Bの一端の孔に軸43Cを挿入し、止め輪46Aにて固定することにより脚43の関節となる。
【0045】
第1脚部43Aの他端の孔と、第1ベース部41の板状部41Bの孔に軸47を挿入し、止め輪46Bにて回転可能に固定されている。第2脚部43Bの他端は、第2ベース部42の側壁42Bの孔に軸48を挿入し、止め輪49にて回転可能に固定されている。
それぞれの軸43C、47、48に対して第1脚部43A、第2脚部43Bは回転可能に構成されており、第1脚部43A及び第2脚部43Bは折り畳むことができる。脚43は折り畳み状態では、第2ベース部42に設けられた凹部42Aに収納される。
【0046】
図8(a)~(d)に示すように、折り畳んだ際の厚みが薄くなるよう2つのパンタグラフの脚43の第1脚部43A及び43Bの付け根部にそれぞれ弾性部材45が設けられている。
弾性部材45は、奥行調整機構40を外壁W1の内壁W2との間で収縮する方向(操作スイッチを引き込む方向)に付勢するものであり、この弾性部材45によって、平面スイッチ10の操作面は外壁面に当接することにより位置決めされる。
弾性部材45は、ここではコイルバネによって構成されている。
【0047】
図8(c)(d)に示すように、弾性部材45としてのコイルバネの一端45Aは、巻回部45Bの先端を内側に折り曲げられて形成され、一端45Aを軸47のスリット部(不図示)に挿入して係止している。
弾性部材45としてのコイルバネの他端45Cは、第1脚部43Aの突起43Eに係合するように構成されている。この構成により、パンタグラフの脚43は外壁W1から内壁W2に引き込む方向に付勢される。
【0048】
次に規制部44について説明する。
規制部44は、弾性部材45の引き込む方向への移動を規制するものである。ここでは、規制部44は、ピンによって構成されている。
図9(a)(b)に示すように、規制部44としてのピンは、先端部44Aを有しており、この先端部44Aを、第2脚部43Bの孔43GBと第1脚部43Aの孔43GAとに挿入することにより、弾性部材45による折り畳み方向(引き込む方向)への移動を規制できる。これにより、センサユニット30を第1ベース部41に固定する際に第1ベース部41の位置を固定でき、センサユニット30を第1ベース部41に取り付ける際の取付作業性が向上する。
【0049】
規制部44としてのピンを第1脚部43Aの孔43GAと第2脚部43Bの孔43GBから外して規制部44による規制を解除することで、弾性部材45による付勢力によって、各脚43が折り畳まれて操作スイッチ10の引き込み動作が開始される。操作パネル10が外壁に当接して操作パネル10が取り付けられる。内壁W2と外壁W1が平行でない場合や、ねじれ方向に傾斜している場合でも、奥行調整機構40のパンタグラフの脚43のそれぞれが個別に追従することが可能なため、操作パネル10と外壁W1を隙間なく当接させることができる。
【0050】
奥行調整機構44は、操作スイッチ10を奥行調整機構44による引き込む方向とは反対方向に所定の力で引くことによりセンサユニット30を元の位置に戻すことができる。このとき、規制部44としてのピンの先端部44Aを、第2脚部43Bの孔43GBと第1脚部43Aの孔43GAとに挿入し、弾性部材45による折り畳み方向(引き込む方向)への移動を規制できる。
【0051】
図10は、本発明の実施形態に係る平面スイッチの取付工程を説明するための図である。
図10(a)に示すように、スイッチボックス50及び筐体55を外壁W1の開口2から内部に入れて、スイッチボックス50及び筐体55を内壁W2に固定する。
【0052】
次に、同図(b)に示すように、奥行調整機構40の第2ベース42を外壁W1の開口2から挿入し、スイッチボックス50に固定する。奥行調整機構40の第1ベース部41の位置が固定されるため、センサユニット30を奥行調整機構40の第1ベース部41に取り付け易くなる。
【0053】
次に、同図(c)に示すように、奥行調整機構40の第1ベース41の係止爪41Aを、センサユニット30に取り付けられたスペーサ35のスペーサ孔35Bを通して段差部35Cに引っ掛けて係止させ、センサユニット30を奥行調整機構40の第1ベース41に取り付ける。
【0054】
次に、同図(d)に示すように、奥行調整機構40の規制部44としてのピンを奥行調整機構40の第1脚部43Aの孔43GAと第2脚部53Bの孔43GBから外して規制部44による規制を解除することで、弾性部材45による付勢力によって、各脚43が折り畳まれて操作スイッチ10の引き込み動作が開始される。操作パネル10が外壁に当接して操作パネル10の取付が完了する。
【0055】
従来の平面スイッチでは、内壁に固定したスイッチボックスに対して、センサユニットの奥行位置の調整を行ってから操作パネルをセンサユニットに取り付ける必要があった。
この時、操作パネルとセンサユニット間の奥行位置の調整が困難となり、操作パネルと外壁の間に隙間が生じるおそれもあった。また、操作パネルを外壁に直接固定する場合、外壁に操作パネルを接着したり、外壁にネジ穴をあけて固定するなど、外壁への加工が必要となっていた。
【0056】
本実施形態によれば、外壁W1と内壁W2の距離に応じた位置調整を簡単に行うことができる平面スイッチを提供できる。また、内壁W2と外壁W1が平行でない場合や、ねじれ方向に傾斜している場合でも、奥行調整機構40のパンタグラフの脚43のそれぞれが個別に追従することが可能なため、操作パネル10と外壁W1を隙間なく当接させることができる。
このように、それぞれの脚43が弾性力を持つため、取り付ける内壁W2面と外壁W1面が平行でない場合、特にねじれる方向に傾斜している場合でも、操作パネル10を外壁W1面に追従して接触させることができる。
【0057】
また、操作パネル10とセンサユニット30を一体化することで、両者のクリアランスの管理が可能となり、センサによる検出感度の向上につながる。また、外壁W1への加工が不要となるため、リワークを簡単に行うことができる。
【0058】
本実施形態において、奥行調整機構40は、折り畳み機構を有するパンタグラフを例に説明したが、本発明は折り畳み機構を有するものやパンタグラフには限定されず、折り畳み機構やパンタグラフを用いないものであっても本発明に含まれる。
また、弾性部材45の例としてコイルバネを例にとって説明したが、弾性部材45はこれに限定されるものではなく、センサユニット30を引き込む方向へ付勢するものであればどのような弾性部材であってもよい。
また、規制部44の例としてピンを例にとって説明したが、本発明の規制部44はこれに限定されるものではない。
【0059】
また、センサユニット30を奥行調整機構40の第1ベース部41に取り付ける例について説明したが、センサユニット30と奥行調整機構40の取付は、この取付方法に限定されず、他の部材を介してセンサユニット30と奥行調整機構40を取り付ける場合も本発明に含まれる。
【0060】
また、スイッチボックス50を奥行調整機構40の第2ベース部42に取り付ける例について説明したが、スイッチボックス50と奥行調整機構40の取付は、この取付方法には限定されず、他の部材を介してスイッチボックス50と奥行調整機構40を取り付ける場合も本発明に含まれる。
【0061】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明に係る平面スイッチは上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変化が可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 平面スイッチ
10 操作パネル
30 センサユニット
40 奥行調整機構
41 第1ベース部
42 第2ベース部
42A 凹部
43 脚
44 規制部
45 弾性部材
50 スイッチボックス