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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】硬貨入金装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/14 20190101AFI20221208BHJP
【FI】
G07D11/14
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019030520
(22)【出願日】2019-02-22
(65)【公開番号】P2020135624
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】秋田 基晴
(72)【発明者】
【氏名】村岡 至紘
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和樹
(72)【発明者】
【氏名】樋口 直也
【審査官】葛原 怜士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-208107(JP,A)
【文献】特開2009-282583(JP,A)
【文献】特開2010-079389(JP,A)
【文献】実開平04-074376(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第109326042(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00
G07D 11/00、11/14
G07F 1/02- 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨が入金される硬貨入金装置であって、
前記硬貨が投入される開口を有する筐体と、
前記開口を開放または閉塞する開閉部材と、
前記開口から投入される前記硬貨の移動経路に進入して、前記移動経路を遮断する遮断部材と、
前記開閉部材が前記開口を閉塞することに連動して、前記遮断部材を前記硬貨の移動経路に進入させる移動機構と
を備え、
前記開閉部材が前記開口を開放することに連動して、前記移動機構は、前記遮断部材を前記硬貨の移動経路から退避させ
前記移動機構は、
前記開閉部材が前記開口を閉塞している閉状態において、前記開閉部材の内面側から前記開閉部材に当接するアームと、
前記閉状態において、前記アームを前記開閉部材に向かって付勢する付勢部材と
を含み、
前記閉状態において、前記遮断部材は、前記硬貨の移動経路に進入しており、
前記開閉部材が前記開口を開放している開状態において、前記アームは、前記付勢部材によって前記開口に向かって移動されて、前記遮断部材に当接し、
前記開状態において、前記遮断部材は、前記アームの当接によって前記硬貨の移動経路から退避する、硬貨入金装置。
【請求項2】
前記開状態において、前記遮断部材は、前記アームの当接によって回動軸線の回りに回動して、前記硬貨の移動経路から退避する、請求項に記載の硬貨入金装置。
【請求項3】
硬貨が入金される硬貨入金装置であって、
前記硬貨が投入される開口を有する筐体と、
前記開口を開放または閉塞する開閉部材と、
前記開口から投入される前記硬貨の移動経路に進入して、前記移動経路を遮断する遮断部材と、
前記開閉部材が前記開口を閉塞することに連動して、前記遮断部材を前記硬貨の移動経路に進入させる移動機構と
を備え、
前記開閉部材が前記開口を開放することに連動して、前記移動機構は、前記遮断部材を前記硬貨の移動経路から退避させ、
前記硬貨入金装置は、
前記硬貨が前記開口に投入された時に前記硬貨を検知する検知部と、
電力の供給を受けて前記遮断部材を駆動する駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と
をさらに備え、
前記開閉部材は、前記硬貨が投入される投入口を有し、
前記投入口は、1枚の前記硬貨の大きさに対応した大きさを有し、
前記開閉部材が前記開口を閉塞している閉状態において、前記投入口は、前記開口に連通し、
前記閉状態において前記検知部が前記硬貨を検知した場合、前記駆動部がオンになるように、前記制御部は前記駆動部を制御し、
前記駆動部がオンになると、前記遮断部材が前記硬貨の移動経路から退避するように、前記駆動部は前記遮断部材を駆動し、
前記開閉部材が前記開口を開放している開状態において、前記駆動部がオフになるように、前記制御部は前記駆動部を制御する、硬貨入金装置。
【請求項4】
前記駆動部は、弾性部材を含み、
前記閉状態において前記駆動部がオフになると、前記弾性部材は、弾性力によって前記遮断部材を前記硬貨の移動経路に進入させる、請求項に記載の硬貨入金装置。
【請求項5】
複数枚の前記硬貨を受ける受け部材をさらに備え、
前記開閉部材が前記開口を開放している開状態において、前記受け部材は、前記開口に連通する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の硬貨入金装置。
【請求項6】
硬貨が入金される硬貨入金装置であって、
前記硬貨が投入される開口を有する筐体と、
前記開口を開放または閉塞する開閉部材と、
前記開口から投入される前記硬貨の移動経路に進入して、前記移動経路を遮断する遮断部材と、
前記開閉部材が前記開口を閉塞することに連動して、前記遮断部材を前記硬貨の移動経路に進入させる移動機構と
を備え、
前記開閉部材が前記開口を開放することに連動して、前記移動機構は、前記遮断部材を前記硬貨の移動経路から退避させ、
前記移動機構は、
前記開閉部材が前記開口を閉塞している閉状態において、前記開閉部材の内面側の第1位置に位置するアームと、
前記第1位置の前記アームを付勢する付勢部材と
を含み、
前記遮断部材は、
前記閉状態において前記硬貨の移動経路に進入しており、
前記開閉部材が前記開口を開放することで前記アームが前記付勢部材による付勢力で移動する間に、前記アームの当接によって前記硬貨の移動経路から退避する、硬貨入金装置。
【請求項7】
硬貨が入金される硬貨入金装置であって、
前記硬貨が投入される開口を有する筐体と、
前記開口を開放または閉塞する開閉部材と、
前記開口から投入される前記硬貨の移動経路に進入して、前記移動経路を遮断する遮断部材と、
前記硬貨が前記開口に投入された時に前記硬貨を検知する検知部と、
電力の供給を受けて前記遮断部材を駆動する駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と
をさらに備え、
前記開閉部材は、前記硬貨が投入される投入口を有し、
前記開閉部材が前記開口を閉塞している閉状態において、前記投入口は、前記開口に連通し、
前記閉状態において前記検知部が前記硬貨を検知した場合、前記駆動部がオンになるように、前記制御部は前記駆動部を制御し、
前記駆動部がオンになると、前記遮断部材が前記硬貨の移動経路から退避するように、前記駆動部は前記遮断部材を駆動し、
前記開閉部材が前記開口を開放している開状態において、前記駆動部がオフになるように、前記制御部は前記駆動部を制御する、硬貨入金装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨入金装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された自動取引装置は、硬貨一括投入口と、硬貨一括投入口シャッターと、硬貨逐次投入口と、硬貨逐次投入口シャッターと、硬貨受け部と、投入センサーと、制御部とを有する。硬貨受け部は、顧客により硬貨逐次投入口または硬貨一括投入口から硬貨を受け入れる。投入センサーは、硬貨逐次投入口への硬貨投入を検知する。
【0003】
制御部は、硬貨逐次投入口を開くよう制御した後、所定時間内に投入センサーにより硬貨逐次投入口への硬貨投入が検知されない場合、硬貨一括投入口を開くよう制御する。
【0004】
具体的には、硬貨逐次投入口への硬貨の投入が検知されない場合、制御部は、監視タイムアウトが発生するまで硬貨投入検知を継続する。次いで、監視タイムアウトが発生した場合、硬貨逐次投入口の位置が分かり難く、硬貨逐次投入口への投入が顧客にとって困難であると判断できるので、制御部は、硬貨逐次投入口シャッターを移動させ、硬貨逐次投入口を閉じるよう制御する。続いて、制御部は、硬貨一括投入口シャッターを移動させ、硬貨一括投入口を開けるよう制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-12558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された自動取引装置では、硬貨逐次投入口シャッターおよび硬貨一括投入口シャッターは、電力を供給される電子部品によって駆動される。なぜなら、制御部が、硬貨逐次投入口シャッターおよび硬貨一括投入口シャッターの移動を制御するからである。
【0007】
従って、硬貨逐次投入口シャッターおよび硬貨一括投入口シャッターを移動する場合には、硬貨逐次投入口シャッターおよび硬貨一括投入口シャッターは、電力を供給される電子部品によって必ず駆動される。換言すれば、硬貨逐次投入口シャッターおよび硬貨一括投入口シャッターは、常に電子部品を使用して移動される。その結果、自動取引装置は、硬貨逐次投入口シャッターおよび硬貨一括投入口シャッターを移動するたびに、必ず電力を消費する。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、常に電子部品を使用して遮断部材を移動する場合と比較して、消費電力を抑制できる硬貨入金装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一局面によれば、硬貨入金装置には、硬貨が入金される。硬貨入金装置は、筐体と、開閉部材と、遮断部材と、移動機構とを備える。筐体は、前記硬貨が投入される開口を有する。開閉部材は、前記開口を開放または閉塞する。遮断部材は、前記開口から投入される前記硬貨の移動経路に進入して、前記移動経路を遮断する。移動機構は、前記開閉部材が前記開口を閉塞することに連動して、前記遮断部材を前記硬貨の移動経路に進入させる。前記開閉部材が前記開口を開放することに連動して、前記移動機構は、前記遮断部材を前記硬貨の移動経路から退避させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、常に電子部品を使用して遮断部材を移動する場合と比較して、消費電力を抑制できる硬貨入金装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る硬貨入金装置を示す斜視図である。
図2】本実施形態に係る硬貨入金装置の開閉部材が開いた状態を示す斜視図である。
図3】本実施形態に係る硬貨入金装置に受け部材を取り付けた状態を示す斜視図である。
図4】本実施形態に係る硬貨入金装置の遮断部材が硬貨の移動経路に進入した状態を示す斜視図である。
図5】本実施形態に係る硬貨入金装置の遮断部材が硬貨の移動経路から退避した状態を示す斜視図である。
図6】本実施形態に係る硬貨入金装置の遮断部材が硬貨の移動経路に進入したときの硬貨入金装置の一部を示す斜視図である。
図7】本実施形態に係る硬貨入金装置の遮断部材が硬貨の移動経路に進入したときの硬貨入金装置の一部を示す模式的平面図である。
図8】本実施形態に係る硬貨入金装置の遮断部材および駆動部を示す斜視図である。
図9】本実施形態に係る硬貨入金装置の遮断部材が硬貨の移動経路から退避したときの硬貨入金装置の一部を示す斜視図である。
図10】本実施形態に係る硬貨入金装置の遮断部材が硬貨の移動経路から退避したときの硬貨入金装置の一部を示す模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、実施形態において、X軸およびY軸は水平方向に略平行であり、Z軸は鉛直方向に略平行であり、X軸とY軸とZ軸とは互いに直交する。
【0013】
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る硬貨入金装置100を説明する。図1は、本実施形態に係る硬貨入金装置100を示す斜視図である。硬貨入金装置100には、硬貨が入金される。また、硬貨入金装置100には、釣銭用の硬貨が入金されて、硬貨入金装置100は、釣銭を払い出す釣銭機として機能する。
【0014】
図1に示すように、硬貨入金装置100は、筐体1と、開閉部材3と、貯留槽7とを備える。硬貨入金装置100はカバー2をさらに備えていてもよい。また、硬貨入金装置100は、硬貨の移動経路PTを有する。以下、硬貨の移動経路PTを「硬貨移動経路PT」と記載する場合がある。
【0015】
筐体1は、貯留槽7、およびその他の各種構成部品を収容する。筐体1は略直方体形状を有する。図1では、硬貨入金装置100の内部構造を明確にするために、筐体1の天板が取り外された状態が示される。筐体1は開口1aを有している。開口1aには硬貨が投入される。具体的には、筐体1は前面部11を含む。前面部11は、正面視において略矩形形状を有する。そして、開口1aは、前面部11に設けられる。
【0016】
開閉部材3は、筐体1に回動自在に取り付けられる。具体的には、開閉部材3は、前面部11に回動自在に取り付けられる。そして、開閉部材3は、回動軸線AX1の回りに回動して、開口1aを開放または閉塞する。図1では、開閉部材3は、閉じられており、開口1aを閉塞している。本実施形態では、回動軸線AX1は水平方向に略平行である。以下、開閉部材3が開口1aを閉塞している状態を「閉状態」と記載する。
【0017】
開閉部材3は投入口3aを有する。カバー2は投入口3aを覆う。カバー2は、開閉部材3に回動自在に取り付けられる。本実施形態では、カバー2は上方に向かって回動して開く。カバー2が開いた状態において、投入口3aが露出する。カバー2は、例えば、透明または半透明である。
【0018】
投入口3aには、硬貨が投入される。投入口3aは、1枚の硬貨の大きさに対応した大きさを有する。従って、投入口3aには、1枚ずつ硬貨が投入される。開閉部材3が開口1aを閉塞している閉状態において、投入口3aは開口1aに連通している。従って、投入口3aに投入された硬貨は、開口1aに投入され、硬貨移動経路PTを第1方向D1に向かって移動して、貯留槽7に貯留される。第1方向D1は、開口1aから貯留槽7に向かう方向を示す。第1方向D1は、硬貨移動経路PTに対して略平行である。本実施形態では、第1方向D1は水平方向に略平行である。
【0019】
次に、図2を参照して、開閉部材3が開口1aを開放している状態を説明する。以下、開閉部材3が開口1aを開放している状態を「開状態」と記載する。
【0020】
図2は、硬貨入金装置100を示す別の斜視図である。図2に示すように、開閉部材3は、開かれており、開口1aを開放している。本実施形態では、開閉部材3は、回動軸線AX1の回りに下方に向かって回動して開く。
【0021】
硬貨入金装置100は搬送部9をさらに備える。搬送部9は、開口1aに投入された硬貨を受け取って、硬貨を貯留槽7(図1)へ搬送する。具体的には、搬送部9は、開口1aから貯留槽7まで直線状に延びている。そして、搬送部9は、第1方向D1に向かって硬貨を搬送する。搬送部9の上面9aが、硬貨移動経路PTを構成している。本実施形態では、搬送部9はベルトコンベアである。ベルトコンベアは、ベルト、複数のローラー、および駆動機構を有する。従って、ベルトの上面が、硬貨移動経路PTを構成している。
【0022】
開閉部材3は、一直線上に並んだ一対の係合部31を含む。本実施形態では、一対の係合部31の各々は、回動軸線AX1に略平行な略棒状である。一方、筐体1は、一対の係合部31に対応して、一直線上に並んだ一対の凹部13を含む。具体的には、前面部11が一対の凹部13を含む。本実施形態では、一対の凹部13の各々は、下方に向かって窪んでいる。
【0023】
開閉部材3が閉じられると(図1)、一対の係合部31が、それぞれ、一対の凹部13に係合する。その結果、開閉部材3は閉状態を維持できる。このように、一対の係合部31と一対の凹部13とは、開閉部材3を筐体1に固定する固定機構として機能する。
【0024】
次に、図2および図3を参照して、複数枚の硬貨を一括投入するときの硬貨入金装置100を説明する。図3は、硬貨入金装置100を示す別の斜視図である。図3に示すように、硬貨入金装置100は受け部材21をさらに備える。受け部材21は筐体1に取り付けられる。受け部材21の上方は開口している。そして、受け部材21は、複数枚の硬貨を受ける。従って、硬貨入金装置100に対して、受け部材21を介して、複数枚の硬貨を一括投入できる。本実施形態では、受け部材21は受け皿である。受け部材21は、開閉部材3が開口1aを開放している開状態において、開口1aに連通する。そして、受け部材21が受けた複数枚の硬貨は、1枚ずつ開口1aに投入され、搬送部9によって1枚ずつ硬貨移動経路PTを第1方向D1に向かって移動されて、貯留槽7に貯留される。本実施形態によれば、釣銭用の複数枚の硬貨を一括して受け部材21に投入できるため、釣銭用の硬貨を硬貨入金装置100に補充するユーザーの利便性を向上できる。
【0025】
具体的には、図2および図3に示すように、開閉部材3の開状態において、受け部材21は、筐体1に取り付けられて、開口1aを閉塞する。受け部材21は筐体1に対して着脱自在である。更に具体的には、受け部材21は、前面部11に取り付けられて、開口1aを閉塞する。受け部材21は前面部11に対して着脱自在である。受け部材21は連通口21aを有する。連通口21aは、1枚の硬貨の大きさに対応した大きさを有し、開口1aに連通する。従って、複数枚の硬貨は、連通口21aから1枚ずつ開口1aに投入される。
【0026】
次に、図4を参照して、開閉部材3が閉状態であるときの硬貨入金装置100の動作を説明する。図4は、硬貨入金装置100を示す別の斜視図である。図4では、開閉部材3が開口1aを閉塞している閉状態を示している。なお、図4では、硬貨入金装置100の内部構造を明確にするために、開閉部材3の略半分、カバー2の略半分、および前面部11の一部を切断および省略した状態を示している。
【0027】
図4に示すように、硬貨入金装置100は、遮断部材23と、移動機構5とをさらに備える。筐体1は、遮断部材23および移動機構5を収容する。
【0028】
遮断部材23は、開口1aから投入される硬貨の移動経路PTに進入して、移動経路PTを遮断する。具体的には、開閉部材3が開口1aを閉塞することに連動して、移動機構5は、遮断部材23を硬貨移動経路PTに進入させる。従って、開閉部材3の閉状態では、硬貨移動経路PTが遮断されている。その結果、硬貨が硬貨移動経路PTを移動することが禁止される。つまり、硬貨が遮断部材23に当接して、硬貨の移動が禁止される。遮断部材23は、例えば、金属製である。遮断部材23は、例えば、一体成形品であり、単一の部材である。
【0029】
次に、図5を参照して、開閉部材3が開状態であるときの硬貨入金装置100の動作を説明する。図5では、開閉部材3が開口1aを開放している開状態を示している。なお、図5では、硬貨入金装置100の内部構造を明確にするために、前面部11の一部を切断および省略した状態を示している。
【0030】
図5に示すように、開閉部材3が開口1aを開放することに連動して、移動機構5は、遮断部材23を硬貨移動経路PTから退避させる。従って、開閉部材3の開状態では、硬貨移動経路PTが開放されている。その結果、硬貨は硬貨移動経路PTを移動可能である。つまり、硬貨は、搬送部9によって第1方向D1に向かって搬送される。
【0031】
以上、図4および図5を参照して説明したように、本実施形態によれば、移動機構5が、開閉部材3の開閉に連動して、遮断部材23を硬貨移動経路PTから退避させたり、遮断部材23を硬貨移動経路PTに進入させたりする。従って、常に電子部品を使用して遮断部材23を移動する場合と比較して、硬貨入金装置100の消費電力を抑制できる。
【0032】
次に、図6および図7を参照して、硬貨入金装置100の内部構造を説明する。図6は、硬貨入金装置100の一部を示す斜視図である。図6では、硬貨入金装置100の一部を図4に示す方向Daから見ている。図7は、硬貨入金装置100の一部を示す模式的平面図である。図7では、硬貨入金装置100の一部を平面視している。本実施形態において、平面視は、鉛直上方から対象物を見ることを示す。図6および図7では、開閉部材3が閉状態であるときの硬貨入金装置100の一部が示されている。
【0033】
図6および図7に示すように、硬貨入金装置100は検知部25をさらに備える。検知部25は、投入口3aまたは連通口21a(図3)を介して硬貨CNが開口1a(図1図3)に投入された時に硬貨CNを検知する。本実施形態では、検知部25はフォトインタラプターである。
【0034】
具体的には、検知部25は、発光部251と受光部253とを含む。発光部251と受光部253とは、互いに対向している。発光部251は光を受光部253に向けて出射する。従って、発光部251と受光部253との間に光路が形成される。光路は第1方向D1に略直交する。発光部251は、例えば、発光ダイオードのような発光素子を含む。受光部253は光を受光する。受光部253は、例えば、フォトトランジスターのような受光素子を含む。検知部25は、発光部251と受光部253との間の光路が硬貨CNによって遮断されたことを検知する。
【0035】
また、硬貨入金装置100の移動機構5は、アーム51と、付勢部材53とを含む。図6および図7では、各構成の理解を容易にするために、アーム51を二点鎖線で示している。アーム51は搬送部9(図7)よりも上方に配置されている。アーム51は、開閉部材3が開口1aを閉塞している閉状態において、開閉部材3の内面側から開閉部材3に当接する。アーム51は第2方向D2に沿って延びる。つまり、アーム51は硬貨移動経路PTに沿って延びる。第2方向D2は、第1方向D1の反対方向であり、貯留槽7から開口1aに向かう方向を示す(図1)。アーム51は、例えば、金属製である。アーム51は、例えば、一体成形品であり、単一の部材である。
【0036】
具体的には、アーム51は、アーム本体511と、第1当接部513とを有する。第1当接部513は、略平板形状を有し、第2方向D2に略直交する。第1当接部513は、第2方向D2におけるアーム本体511の端部から、第3方向D3に向かって略直角に屈曲している。第3方向D3は、第2方向D2に略直交する。加えて、第3方向D3は、平面視において、アーム本体511から硬貨移動経路PTに向かう方向を示す。本実施形態では、第3方向D3は水平方向に略平行である。
【0037】
アーム本体511は第2方向D2に沿って延びる。アーム本体511は、平面視において、硬貨移動経路PTの外側に配置される。アーム本体511は、ストッパー511aと、切欠部511bと、天板部511cと、第2当接部511dと、取付部511eとを有する。なお、図7では、各構成の理解を容易にするために、天板部511cを省略している。
【0038】
ストッパー511aは第2方向D2に沿って延びる。ストッパー511aは、略平板形状を有し、天板部511cの側縁部5111から、鉛直下方向に向かって略直角に屈曲している。
【0039】
切欠部511bは、天板部511cの側縁部5111に対して、第4方向D4に凹んでいる。第4方向D4は、第3方向D3の反対方向である。加えて、第4方向D4は、平面視において、硬貨移動経路PTから離れる方向を示す。本実施形態では、切欠部511bは、第2方向D2におけるアーム本体511の略中央部に位置している。切欠部511bの縁は略U字形状を有する。
【0040】
天板部511cは第2方向D2に沿って延びる。天板部511cは、略平板形状を有している。天板部511cは、遮断部材23および後述する駆動部27の上方に配置される。
【0041】
第2当接部511dは、平面視において、第2方向D2に対して傾斜している。平面視において、第2方向D2に対する第2当接部511dの傾斜角は、鋭角である。第2当接部511dは略平板形状を有する。第2当接部511dは、天板部511cの側縁部5111に対して、硬貨移動経路PTから離れる側に屈曲している。本実施形態では、第2当接部511dは、切欠部511bに隣接している。そして、平面視において、第2当接部511dは、切欠部511bに向かって屈曲している。
【0042】
取付部511eは、略平板形状を有し、第2方向D2に略直交する。取付部511eは、第1方向D1におけるアーム本体511の端部から、鉛直下方向に向かって略直角に屈曲している。
【0043】
付勢部材53は、開閉部材3の閉状態において、アーム51を開閉部材3に向かって付勢する。つまり、付勢部材53は、開閉部材3の閉状態において、アーム51を第2方向D2に向かって付勢する。その結果、アーム51の第1当接部513が、開閉部材3に当接する。付勢部材53は、例えば、コイルバネである。
【0044】
具体的には、図7に示すように、硬貨入金装置100は静止部材33をさらに備える。静止部材33は、直接的または間接的に筐体1に固定される。静止部材33は、付勢部材53の下方に位置する。そして、付勢部材53の一端が静止部材33に取り付けられる。具体的には、付勢部材53の一端が静止部材33の取付部33aに取り付けられる。取付部33aは、略平板形状を有し、第2方向D2に略直交する。取付部33aは、鉛直上方向に向かって略直角に屈曲している。一方、付勢部材53の他端は、アーム51の取付部511eに取り付けられる。なお、図6では、図面の簡略化のため、静止部材33を省略している。
【0045】
開閉部材3の閉状態では、アーム51の第1当接部513は、開閉部材3に当接している。具体的には、開閉部材3は凸部3bを含む。凸部3bは、開閉部材3の内側部分から第1方向D1に向かって突出している。そして、開閉部材3の閉状態では、第1当接部513が凸部3bに当接している。従って、凸部3bは、付勢部材53が第2方向D2に向かって縮もうとする弾性力に抗して、アーム51を第1方向D1に押圧している。換言すれば、開閉部材3の閉状態では、付勢部材53は、第2方向D2に向かって縮もうとする弾性力によって、アーム51を第2方向D2に付勢している。開閉部材3の閉状態では、アーム51の第1当接部513が開閉部材3の凸部3bに当接しているため、アーム51の第1当接部513は第1位置PS1に位置している。
【0046】
開閉部材3の閉状態では、アーム51は遮断部材23から離隔している。従って、アーム51は遮断部材23に作用しない。その結果、開閉部材3の閉状態において、遮断部材23は、硬貨移動経路PTに進入している。
【0047】
具体的には、遮断部材23は遮断部233を有する。そして、開閉部材3の閉状態において、遮断部233は、硬貨移動経路PTに進入している。更に具体的には、遮断部233は遮断片233aを有する。そして、開閉部材3の閉状態において、遮断片233aは、硬貨移動経路PTに進入している。
【0048】
遮断片233aは、略平板形状を有する。遮断片233aは、硬貨移動経路PTに進入した状態において、硬貨移動経路PTおよび第1方向D1に交差する。本実施形態では、遮断片233aは、硬貨移動経路PTに進入した状態において、硬貨移動経路PTおよび第1方向D1に略直交する。そして、遮断片233aは、第2方向D2において、硬貨CNの投入口3aと対向する。また、遮断片233aは、第2方向D2において、硬貨CNの投入口3aに対して所定間隔をあけて近接している。遮断片233aは、硬貨移動経路PTに進入した状態において、硬貨移動経路PTを遮断する。その結果、遮断片233aは、硬貨CNに接触して、硬貨CNが第1方向D1に移動することを禁止する。
【0049】
引き続き図6および図7を参照して、遮断部材23を説明する。図6に示すように、遮断部材23は、回動軸線AX2の回りに回動可能である。つまり、遮断部材23は、第1回動方向R1または第2回動方向R2に回動可能である。本実施形態では、回動軸線AX2は鉛直方向に略平行である。つまり、回動軸線AX2は、第2方向D2および第3方向D3の各々に略直交する。
【0050】
具体的には、硬貨入金装置100はシャフト29をさらに備える。回動軸線AX2はシャフト29の中心を通る。シャフト29は、直接的または間接的に筐体1に固定される。そして、遮断部材23は、シャフト29を回動軸として回動可能である。
【0051】
図6および図7に示すように、遮断部材23は、本体231と、第1張出部235と、第2張出部237と、第3張出部238とをさらに有する。
【0052】
本体231は、遮断片233aが硬貨移動経路PTに進入した状態で、第2方向D2に沿って延びる。本体231は、平面視において、硬貨移動経路PTの外側、かつ、ストッパー511aの外側に配置される。本体231は、略平板形状を有する。
【0053】
遮断部材23が第1回動方向R1に回動すると、本体231がストッパー511aに当接する。ストッパー511aは第2方向D2に略平行であるため、本体231がストッパー511aに当接した状態では、本体231は、第2方向D2に略平行である。本体231がストッパー511aに当接した状態では、遮断片233aが硬貨移動経路PTに進入している。図6および図7では、本体231がストッパー511aに当接している。
【0054】
遮断部233は、本体231の先端部から、硬貨移動経路PT側に屈曲して延びている。
【0055】
第1張出部235は、本体231の基端部の上部に位置する。第1張出部235は、硬貨移動経路PTに対して外側に向けて、本体231に対して略直角に張り出している。第1張出部235は略平板形状を有する。
【0056】
第2張出部237は、本体231の基端部の下部に位置する。第2張出部237は、硬貨移動経路PTに対して外側に向けて、本体231に対して略直角に張り出している。第2張出部237は略平板形状を有する。
【0057】
第1張出部235および第2張出部237には、シャフト29が緩く挿入されている。第1張出部235および第2張出部237は、回動軸線AX2に略直交する。
【0058】
第3張出部238は、本体231の基端部の中央部に位置する。第3張出部238は、硬貨移動経路PTに対して外側に向けて、本体231に対して略直角に張り出している。第3張出部238は略平板形状を有する。第3張出部238は回動軸線AX2に略平行である。
【0059】
次に、図7および図8を参照して、遮断部材23の駆動について説明する。図7に示すように、硬貨入金装置100は駆動部27をさらに備える。図8は、遮断部材23および駆動部27を示す斜視図である。図8では、図7の方向Dbから、遮断部材23および駆動部27を見ている。また、図8では、各構成の理解を容易にするために、シャフト29を二点鎖線で示している。
【0060】
図7に示すように、駆動部27は、平面視において、硬貨移動経路PTに沿って、硬貨移動経路PTの外側に配置される。また、駆動部27は、平面視において、付勢部材53よりも第2方向D2側に配置され、かつ、遮断部材23の基端部側に配置される。駆動部27は、電力の供給を受けて遮断部材23を駆動する。
【0061】
図8に示すように、駆動部27は、ソレノイド271と、弾性部材273と、ピン275とを含む。ソレノイド271は、電磁力を利用して、電気エネルギーを機械的運動に変換するアクチュエーターである。ソレノイド271は、電子部品の一例である。ソレノイド271は、ソレノイド本体2711と、プランジャー2713とを含む。
【0062】
ソレノイド本体2711は、通電されると磁界を発生して、プランジャー2713を所定位置(以下、「所定位置HP」と記載する。)からソレノイド本体2711の内部に引き込む。つまり、プランジャー2713は、所定位置HPから第1方向D1に引き込まれる。一方、ソレノイド本体2711は、通電されていないと磁界を発生しない。従って、プランジャー2713は、通電が停止されると、第2方向D2に移動して、所定位置HPに復帰する。その結果、ソレノイド本体2711に通電されていないときには、プランジャー2713は所定位置HPに位置する。ソレノイド本体2711は、直接的または間接的に筐体1に固定される。
【0063】
ソレノイド本体2711に通電されていることは、駆動部27がオンされて駆動部27に電力が供給されていることを示す。従って、駆動部27がオンされると、プランジャー2713が所定位置HPから第1方向D1に引き込まれる。駆動部27の「オン」は、駆動部27が電気的にオンであることを示す。一方、ソレノイド本体2711に通電されていないことは、駆動部27がオフされて駆動部27に電力が供給されていないことを示す。従って、駆動部27がオフされると、プランジャー2713が所定位置HPに復帰する。駆動部27の「オフ」は、駆動部27が電気的にオフであることを示す。
【0064】
プランジャー2713は、本体部2714と、一対の挿入部2715とを有する。本体部2714は略円柱形状を有する。一対の挿入部2715は、本体部2714の先端から延びており、間隔をあけて互いに対向する。一対の挿入部2715の各々は、略半円柱形状を有する。そして、ピン275が、一対の挿入部2715を貫通している。
【0065】
一方、遮断部材23の第1張出部235は貫通孔235aを有する。また、第2張出部237は貫通孔237aを有する。そして、シャフト29が、貫通孔235aおよび貫通孔237aを貫通している。また、第3張出部238は、略半円状の一対の貫通孔238aと、当接部238bとを有する。一対の貫通孔238aは、当接部238bを挟んでいる。
【0066】
プランジャー2713の一対の挿入部2715は、それぞれ、第3張出部238の一対の貫通孔238aに緩く挿入されている。また、プランジャー2713には、弾性部材273が挿入されている。弾性部材273は、第3張出部238とソレノイド本体2711との間に配置される。具体的には、弾性部材273は、第3張出部238の当接部238bとソレノイド本体2711との間に配置される。そして、弾性部材273の先端は当接部238bに当接している。一方、弾性部材273の基端はソレノイド本体2711に当接している。弾性部材273は、例えば、コイルばねである。
【0067】
開閉部材3の閉状態において、プランジャー2713が所定位置HPに位置しているときには、第3張出部238の当接部238bは弾性部材273によって、第2方向D2に押圧されている。つまり、開閉部材3の閉状態において、駆動部27がオフであるときには、第3張出部238の当接部238bは弾性部材273によって、第2方向D2に押圧されている。従って、図7に示すように、遮断部材23を第1回動方向R1に回動させる力が遮断部材23の第3張出部238に作用して、遮断部材23の本体231がストッパー511aに当接する。その結果、遮断部材23が硬貨移動経路PTに進入する。具体的には、遮断片233aが硬貨移動経路PTに進入する。つまり、開閉部材3の閉状態において、駆動部27がオフであるときには、遮断片233aが硬貨移動経路PTに進入した状態が維持される。
【0068】
以上、図7および図8を参照して説明したように、本実施形態によれば、開閉部材3の閉状態において駆動部27がオフになると、弾性部材273は、弾性力によって遮断部材23を硬貨移動経路PTに進入させる。従って、電力を消費することなく、遮断部材23を硬貨移動経路PTに進入させることができる。
【0069】
一方、開閉部材3の閉状態において、駆動部27がオンにされると、プランジャー2713が、所定位置HPから第1方向D1に引き込まれる。従って、ピン275が、第3張出部238に当接しつつ第1方向D1に移動する。その結果、遮断部材23を第2回動方向R2に回動させる力が遮断部材23の第3張出部238に作用して、遮断部材23が第2回動方向R2に回動する。遮断部材23が第2回動方向R2に回動すると、遮断部材23が硬貨移動経路PTから退避する。具体的には、遮断部材23が第2回動方向R2に回動すると、遮断片233aが硬貨移動経路PTから退避する。
【0070】
引き続き図7を参照して、駆動部27の制御について説明する。硬貨入金装置100は制御部32をさらに備える。制御部32は駆動部27を制御する。制御部32は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサー、および、記憶装置を含む。記憶装置は、データおよびコンピュータープログラムを記憶する。具体的には、記憶装置は、半導体メモリーのような主記憶装置と、半導体メモリーおよび/またはハードディスクドライブのような補助記憶装置とを含む。制御部32のプロセッサーは、記憶装置が記憶しているコンピュータープログラムを実行して、駆動部27を制御する。
【0071】
開閉部材3の閉状態において検知部25が硬貨CNを検知した場合、駆動部27がオンになるように、制御部32は駆動部27を制御する。駆動部27がオンになると、遮断部材23が硬貨移動経路PTから退避するように、駆動部27は遮断部材23を駆動する。従って、遮断部材23が硬貨移動経路PTから退避するため、硬貨CNは硬貨移動経路PTを移動でき、搬送部9によって第1方向D1に搬送される。
【0072】
以上、図7を参照して説明したように、本実施形態によれば、開閉部材3の閉状態において検知部25が硬貨CNを検知した場合にだけ駆動部27がオンになるため、硬貨入金装置100の電力消費を抑制できる。
【0073】
また、本実施形態では、開閉部材3の閉状態において検知部25が、所定時間以上、硬貨CNを検知しない場合には、駆動部27がオフになるように、制御部32は駆動部27を制御する。駆動部27がオフになると、弾性部材273の弾性力によって遮断部材23が硬貨移動経路PTに進入する。
【0074】
次に、図3図9、および図10を参照して、開閉部材3の開状態での遮断部材23を説明する。図9は、硬貨入金装置100の一部を示す別の斜視図である。図9では、硬貨入金装置100の一部を図5に示す方向Daから見ている。なお、図9では、図面の簡略化のため、静止部材33を省略している。図10は、硬貨入金装置100の一部を示す別の模式的平面図である。図10では、硬貨入金装置100の一部を平面視している。なお、図10では、各構成の理解を容易にするために、天板部511cを省略している。図9および図10では、図3に示す開閉部材3が開状態であるときの硬貨入金装置100の一部が示されている。
【0075】
図3図9、および図10に示すように、開閉部材3が開口1aを開放している開状態において、アーム51は、付勢部材53によって開口1aに向かって移動されて、遮断部材23に当接する。具体的には、アーム51の第2当接部511dが遮断部材23の基端部に当接する。そして、開閉部材3の開状態において、遮断部材23は、アーム51の当接によって硬貨移動経路PTから退避する。加えて、開閉部材3が開口1aを開放している開状態において、駆動部27がオフになるように、制御部32は駆動部27を制御する。従って、本実施形態によれば、電力を消費することなく、簡素な構成によって、硬貨移動経路PTから遮断部材23を容易に退避させることができる。
【0076】
特に、本実施形態では、開閉部材3の開状態において、遮断部材23は、アーム51の当接によって回動軸線AX2の回りに回動して、硬貨移動経路PTから退避する。加えて、開閉部材3の開状態においては、駆動部27はオフである。従って、本実施形態によれば、電力を消費することなく、アーム51の当接によって遮断部材23を回動させるだけで、硬貨移動経路PTから遮断部材23をさらに容易に退避させることができる。
【0077】
具体的には、開閉部材3が開かれると、アーム51は、付勢部材53によって第2方向D2に向かって移動される。そして、アーム51の第2当接部511dが遮断部材23の基端部に当接する。具体的には、遮断部材23は当接部239を有する。当接部239は、第2当接部511dに対応して、遮断部材23の基端部の上部に位置する。従って、アーム51が第2方向D2に移動すると、アーム51の第2当接部511dが遮断部材23の当接部239に当接する。
【0078】
そして、第2当接部511dは傾斜しているため、第2当接部511dが第2方向D2に移動しつつ当接部239に当接すると、遮断部材23を第2回動方向R2に回動させる力が遮断部材23に作用して、遮断部材23が第2回動方向R2に回動する。その結果、遮断部材23が硬貨移動経路PTから退避する。具体的には、遮断片233aが硬貨移動経路PTから退避する。
【0079】
開閉部材3の開状態では、アーム51の第2当接部511dが遮断部材23の当接部239に当接するため、アーム51が第2方向D2に移動すると、アーム51の第1当接部513は第2位置PS2で停止する。つまり、開閉部材3が閉状態から開状態になると、アーム51の第1当接部513は、第1位置PS1から第2位置PS2まで移動する。
【0080】
なお、アーム51の第2当接部511dの上端は、遮断部材23の第1張出部235よりも下方に位置している。従って、第2当接部511dは、第1張出部235に接触しない。
【0081】
一方、開閉部材3が閉じられると、アーム51は、開閉部材3によって第1方向D1に向かって移動される。従って、アーム51の第1当接部513は、第2位置PS2から第1位置PS1まで移動する。その結果、アーム51の第2当接部511dが遮断部材23の当接部239から離隔する。そして、駆動部27がオフであると、弾性部材273が弾性力によって遮断部材23を第1回動方向R1に回動させる。その結果、遮断部材23が硬貨移動経路PTに進入する。具体的には、遮断片233aが硬貨移動経路PTに進入する。
【0082】
以上、図6図10を参照して説明したように、本実施形態によれば、開閉部材3の開状態では駆動部27はオフである。また、開閉部材3が開かれるときには、駆動部27のソレノイド271を使用せずに、移動機構5によって遮断部材23を硬貨移動経路PTから退避させる。加えて、開閉部材3の開状態では、硬貨CNが投入されない限りは、駆動部27はオフである。また、開閉部材3が閉じられるときには、駆動部27のソレノイド271を使用せずに、弾性部材273によって遮断部材23を硬貨移動経路PTに進入させる。
【0083】
従って、常に駆動部のソレノイドを使用して遮断部材の進入と退避とを実行する場合と比較して、駆動部27のソレノイド271の発熱および使用時間を低減できる。その結果、駆動部27のソレノイド271の耐久性を向上できて、硬貨入金装置100の信頼性を向上できる。
【0084】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、または、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0085】
また、図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、硬貨入金装置を提供するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0087】
1 筐体
3 開閉部材
5 移動機構
21 受け部材
23 遮断部材
25 検知部
27 駆動部
32 制御部
51 アーム
53 付勢部材
273 弾性部材
100 硬貨入金装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10