IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社IHIの特許一覧 ▶ IHI運搬機械株式会社の特許一覧

特許7190366車両の停止判定方法、異物検知方法およびこれらを用いたシステム
<>
  • 特許-車両の停止判定方法、異物検知方法およびこれらを用いたシステム 図1
  • 特許-車両の停止判定方法、異物検知方法およびこれらを用いたシステム 図2
  • 特許-車両の停止判定方法、異物検知方法およびこれらを用いたシステム 図3
  • 特許-車両の停止判定方法、異物検知方法およびこれらを用いたシステム 図4
  • 特許-車両の停止判定方法、異物検知方法およびこれらを用いたシステム 図5
  • 特許-車両の停止判定方法、異物検知方法およびこれらを用いたシステム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】車両の停止判定方法、異物検知方法およびこれらを用いたシステム
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/18 20060101AFI20221208BHJP
   E04H 6/42 20060101ALI20221208BHJP
   G01V 1/00 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
E04H6/18 601G
E04H6/42 Z
G01V1/00 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019030911
(22)【出願日】2019-02-22
(65)【公開番号】P2020133326
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】弁理士法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】胡 京雨
(72)【発明者】
【氏名】前田 宗彦
(72)【発明者】
【氏名】西村 賢貴
(72)【発明者】
【氏名】中村 健一
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-080735(JP,A)
【文献】特開2013-096092(JP,A)
【文献】特開2014-005726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00 - 6/44
G01V 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の進入する対象領域内を測定し、被検出点データを取得する測域センサを対象領域に対して配置し、
対象領域内の停止場所における車両の停止動作に伴い、対象領域内の被検出点データを時々刻々取得する第一のステップと、
ある時点に取得された被検出点データと、その前の時点に取得された被検出点データとを比較する第二のステップと、
前記第二のステップにおいて、被検出点データ同士の間に閾値以上の差分が認められた場合に、差分全体に対し、車両の右側の右区域または車両の左側の左区域の一方または両方おいて認められた差分の割合が閾値以上であるか否かを判定する第三のステップとを含み、
右区域または左区域の一方または両方おいて認められた差分の割合が閾値以上となる直前の時点を車両が安定停止した時点とする、車両の停止判定方法。
【請求項2】
停止場所への車両の到達を検知する位置センサを備え、
前記位置センサにより車両の仮停止が検知されてから前記第一のステップを開始する、請求項1に記載の車両の停止判定方法。
【請求項3】
前記第三のステップにおける右区域または左区域の一方または両方おいて認められた差分の割合が閾値以上であるとの判定の継続時間が閾値以上であるか否かを判定する第四のステップをさらに含み、
前記第四のステップにおいて差分の割合が閾値以上であるとの判定の継続時間が閾値以上であると判定された場合に、右区域または左区域の一方または両方おいて認められた差分の割合が閾値以上となる直前の時点を車両が安定停止した時点とする、請求項1または2に記載の車両の停止判定方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の車両の停止判定方法を適用した車両の停止判定システム。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項に記載の車両の停止判定方法を実行し、
さらに、車両が安定停止した時点に取得された被検出点データを安定停止状態の被検出点データとして記録し、
前記安定停止状態の被検出点データを利用して、対象領域内の異物検知を行う異物検知方法。
【請求項6】
対象領域に異物が存在しない状態の被検出点データを基準データとして取得する第五のステップと、
任意の時点において被検出点データを取得する第六のステップと、
対象領域のうち、前記安定停止状態の被検出点データに基づいて把握される車両の占める領域以外の領域に関し、前記任意の時点に取得した被検出点データを前記基準データと比較する第七のステップとを実行し、
該第七のステップにおいてデータ間に閾値以上の差分が見られた場合に、前記任意の時点において対象領域内に異物が存在すると判定する、請求項5に記載の異物検知方法。
【請求項7】
任意の時点において被検出点データを取得する第八のステップと、
前記任意の時点に取得した被検出点データを前記安定停止状態の被検出点データと比較する第九のステップとを実行し、
該第九のステップにおいてデータ間に閾値以上の差分が見られた場合に、前記任意の時点において対象領域内に異物が存在すると判定する、請求項5に記載の異物検知方法。
【請求項8】
請求項5~7のいずれか一項に記載の異物検知方法を適用した異物検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駐車場等、車両の停止する領域内において、車両の停止を判定する方法およびシステム、また、車両以外の異物を検知する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
機械式駐車場の入出庫スペースのように、車両が進入し、停止する空間においては、車両が定められた停止場所に停止したことを検知することが求められる場合がある。
【0003】
機械式駐車場の場合、出入口の扉を開閉したり、車両を載せたパレットを運搬するといった操作を行うにあたり、入出庫スペースに車両の他に運転者や乗員等の異物が存在しないことを確認する必要がある。こうした異物不在の確認作業は、運転者や施設の係員等が目視で行うこともできるが、近年では、このように人力で異物を検知する代わりに、測域センサ等を用いたシステムにより自動的に対象領域内の異物を検知する技術が提案されている(例えば、下記特許文献1、2参照)。
【0004】
ここで、任意の時点(例えば、リアルタイム)における対象領域内の異物の有無を把握しようとする場合、例えば前記任意の時点に測域センサで取得したデータを、別の時点に取得したデータと比較する方法が有効である。先に異物が存在しない状態で測域センサを作動させて基準となるデータ(基準データ)を取得しておき、前記任意の時点に取得したデータと前記基準データとの間に閾値以上の差が認められた場合に、異物が存在すると判定するのである。
【0005】
このような方法により車両周囲の異物検知を行う場合、車両自体を異物として検知しないようにする必要がある。このためには、例えば車両の停止した位置を把握し、車両の占める領域以外に関して異物検知を行えば良い。
【0006】
あるいは、車両が同じ位置に停止している状態同士でデータを比較するのであれば、必ずしも車両の位置を把握しなくとも原理的には異物検知を行うことは可能である。
【0007】
尚、こうした車両の停止を検知する仕組みや、異物の検知を行う仕組みは、機械式駐車場だけでなく、例えば電気自動車の給電設備等、停止した車両の周辺で何らかの操作を行う場所において広く必要とされ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2015-161080号公報
【文献】特開2014-80735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上に説明したような異物検知の方法においては、いずれの方法を採用するにせよ、なるべく車両の停止した位置に正確に即したデータを取得することが重要である。車両の停止した状態のデータを取得するためには、車両が停止状態にある適切なタイミングで対象領域内のデータを取得すれば良いが、そのためには従来、位置センサにより車両の停止を検知する方法が用いられている。パレット上のタイヤ止め等に位置センサを設置しておき、車両の到達を検知した時点を停止の時点として、測域センサによりデータを取得するのである。
【0010】
しかしながら、このように位置センサに頼った従来の技術では、車両の停止した位置の把握に関し、必ずしも正確性が十全でないという難点があった。車両が特定の停止場所に停止する時には、サイドブレーキの作動等により、停止の瞬間に前後方向に位置ずれが生じる場合があり、その結果、車両が実際に安定して停止した位置が、システム側で把握した位置とずれてしまうのである。すなわち、タイヤ止め等に設置した位置センサで車両の到達を検知した時点で測域センサによりデータを取得すると、その後に車両の位置が変わるので、取得されたデータにおける車両の位置が、実際の位置と食い違ってしまう。このため、車両の停止した位置をより正確に把握し得る技術が望まれていた。
【0011】
そこで、本開示においては、車両の停止した位置を簡便に精度良く把握し得る車両の停止判定方法、異物検知方法およびこれらを用いたシステムを説明する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示は、車両の進入する対象領域内を測定し、被検出点データを取得する測域センサを対象領域に対して配置し、対象領域内の停止場所における車両の停止動作に伴い、対象領域内の被検出点データを時々刻々取得する第一のステップと、ある時点に取得された被検出点データと、その前の時点に取得された被検出点データとを比較する第二のステップと、前記第二のステップにおいて、被検出点データ同士の間に閾値以上の差分が認められた場合に、差分全体に対し、車両の右側の右区域または車両の左側の左区域の一方または両方おいて認められた差分の割合が閾値以上であるか否かを判定する第三のステップとを含み、右区域または左区域の一方または両方おいて認められた差分の割合が閾値以上となる直前の時点を車両が安定停止した時点とする、車両の停止判定方法にかかるものである。
【0013】
上述の車両の停止判定方法においては、停止場所への車両の到達を検知する位置センサを備え、前記位置センサにより車両の仮停止が検知されてから前記第一のステップを開始することができる。
【0014】
上述の車両の停止判定方法においては、前記第三のステップにおける右区域または左区域の一方または両方おいて認められた差分の割合が閾値以上であるとの判定の継続時間が閾値以上であるか否かを判定する第四のステップをさらに含み、前記第四のステップにおいて差分の割合が閾値以上であるとの判定の継続時間が閾値以上であると判定された場合に、右区域または左区域の一方または両方おいて認められた差分の割合が閾値以上となる直前の時点を車両が安定停止した時点とすることができる。
【0015】
また、本開示は、上述の車両の停止判定方法を適用した車両の停止判定システムにかかるものである。
【0016】
また、本開示は、上述の車両の停止判定方法を実行し、さらに、車両が安定停止した時点に取得された被検出点データを安定停止状態の被検出点データとして記録し、前記安定停止状態の被検出点データを利用して、対象領域内の異物検知を行う異物検知方法にかかるものである。
【0017】
上述の異物検知方法においては、対象領域に異物が存在しない状態の被検出点データを基準データとして取得する第五のステップと、任意の時点において被検出点データを取得する第六のステップと、対象領域のうち、前記安定停止状態の被検出点データに基づいて把握される車両の占める領域以外の領域に関し、前記任意の時点に取得した被検出点データを前記基準データと比較する第七のステップとを実行し、該第七のステップにおいてデータ間に閾値以上の差分が見られた場合に、前記任意の時点において対象領域内に異物が存在すると判定してもよい。
【0018】
上述の異物検知方法においては、任意の時点において被検出点データを取得する第八のステップと、前記任意の時点に取得した被検出点データを前記安定停止状態の被検出点データと比較する第九のステップとを実行し、該第九のステップにおいてデータ間に閾値以上の差分が見られた場合に、前記任意の時点において対象領域内に異物が存在すると判定してもよい。
【0019】
また、本開示は、上述の異物検知方法を適用した異物検知システムにかかるものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の車両の停止判定方法、異物検知方法およびこれらを用いたシステムによれば、車両の停止した位置を簡便に精度良く把握し得るという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の実施例による車両の停止判定システム兼異物検知システムの全体構成を説明する概要平面図である。
図2】本開示の実施例による車両の停止判定方法を説明する概念図である。
図3】車両の停止判定工程の手順の一例を説明するフローチャートである。
図4】車両の停止判定工程の手順の別の一例を説明するフローチャートである。
図5】異物検知工程の手順の一例を説明するフローチャートである。
図6】異物検知工程の手順の別の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本開示における実施例の形態を添付図面を参照して説明する。図1は本開示の実施例による車両の停止判定システム兼異物検知システムの構成を示しており、対象領域Aとして機械式駐車設備の入出庫スペースを想定している。対象領域A内には、車両1を運搬するパレット2が出入りするようになっており、このパレット2上にあたる領域が車両1の停止場所Pに設定されている。そして、停止場所Pに車両1が停止したことを検知するようになっていると共に、対象領域A内において、停止場所Pに停止した車両1以外に物体(異物)Oが存在する場合に、該異物Oを検知するようになっている。尚、「異物」とは、対象領域内に存在する車両以外の物体であって、対象領域にもとより設置された物体以外の物体、例えば、車両の運転者、乗員、設備の係員等の人、また、手荷物等を指す。図1には、一例として対象領域A内に2つの異物Oを図示している。
【0023】
入出庫スペースである対象領域Aは、四方を壁で囲まれた空間であり、奥側(図中上側)に搬送口3が、手前側(図中下側)に入出庫口4が設けられている。車両1を搬送するパレット2は、対象領域A外の格納スペース(図示せず)から搬送口3を通じて入出庫スペースである対象領域Aに出入りする。対象領域Aにおけるパレット2の定位置は、対象領域Aの中央部である。入庫時において、車両1は、入出庫口4を通じて対象領域A内に進入し、パレット2上の停止場所Pに停止し、パレット2と共に搬送口3から前記格納スペースへ搬送され、格納される。出庫時には、車両1はパレット2と共に前記格納スペースから搬送口3を通じて対象領域A内に搬送された後、入出庫口4から対象領域A外へ退出する。
【0024】
対象領域Aには、該対象領域A内の測定を行う測域センサ5が配置されている。測域センサ5は、図1に矢印で示す如く、レーザ光や超音波等を照射波として周囲の空間に照射し、反射波を検出する装置である。測域センサ5からの照射波が周囲の物体、あるいは壁、床、柱といった構造物に到達して反射し、その反射波が測域センサ5に検出されると、反射した点の測域センサ5からの距離、および測域センサ5に対する角度がデータとして取得される(以下、測域センサ5によって反射波を検出された対象領域A内の点を、被検出点と称する)。
【0025】
本実施例では、例えば図1中に示す如く、平面視で長方形状をなす対象領域Aに対し、2個の測域センサ5a,5bを、互いに対角線をなす角部に配置する。このように、一対の測域センサ5a,5bを、車両1の停止場所Pを挟むように配置することで、停止場所Pの平面視における全周を、測域センサ5の測定範囲に含むことができる。照射波は原則として直進するので、仮に対象領域Aに対して測域センサ5を1個だけ配置した場合、測域センサ5から見て停止場所Pに停止した車両1の反対側については測定範囲外となってしまう。そこで、図1に示す如く測域センサ5a,5bを配置すれば、車両1の周辺の領域全体について漏れなく異物検知を行うことができるのである。尚、異物検知の精度を高めたり、測定可能な範囲を広く確保するといった目的で、3個以上の測域センサ5を対象領域Aに対し配置することは自由である。
【0026】
各測域センサ5により取得された各被検出点のデータは、測定信号5cとして制御装置6に入力され、処理される。制御装置6は、入出庫スペースである対象領域Aを含む機械式駐車場全体を監視し、各部の運転を行う装置であり、搬送口3および入出庫口4の開閉、パレット2の搬送、各測域センサ5の作動等を制御する。
【0027】
入出庫口4近傍の外壁には、操作部7が備えられている。操作部7を操作すると、操作の内容に応じた操作信号7aが制御装置6に入力される。制御装置6では、操作信号7aの入力に応じ、入出庫口4の開閉、パレット2の搬送といった各種の動作を実行するようになっている。尚、操作部7の設置位置は、ここに示した例に限らず、入出庫口4をはじめとする各部の動作等に好適な適宜位置を選択することができる。
【0028】
また、パレット2に設けられたタイヤ止め2aには、位置センサ8が設置されている。位置センサ8は、例えば超音波等の照射波を照射し、反射波によって測定範囲内の物体の有無、該物体の距離、速度等を検出する装置である。位置センサ8の検出した物体の位置情報は、位置信号8aとして制御装置6に送信される。そして、パレット2内の停止場所Pに車両1が到達した場合に、これを検知し、制御装置6において把握できるようになっている。尚、ここに説明した位置センサ8の種類、設置位置等は一例であって、停止場所Pへの車両1の到達を検出できれば、位置センサ8としては種々の構成の装置を採用し得る。
【0029】
対象領域Aの内外の各所には、警報装置9が備えられている。警報装置9は、制御装置6の管理する領域(対象領域Aを含む)において、人員に対して注意を促すべき何らかの事態が生じた場合に警報を発する装置であり、制御装置6からの警報信号9aの入力により作動する。「人員に対して注意を促すべき何らかの事態」とは、例えば車両1を対象領域A外の格納スペースへ移動させるにあたり、後述する異物検知工程を実行した結果、対象領域Aに車両1以外の異物Oが検知された場合などである。警報の内容は、アラーム音、警告灯の点灯、警告メッセージの表示など、人員に対して注意を喚起できればどのようなものであっても良く、適当な形式を選択することができる。
【0030】
ここに示した例では、警報装置9を対象領域Aの内壁、および入出庫口4近傍の外壁に図示しているが、この他の箇所にも必要に応じて警報装置9を設けても良い。例えば、図示しない機械式駐車場の管理室等に警報装置9を備えることもできる。
【0031】
測定信号5c、操作信号7a、位置信号8a、警報信号9aといった各種の信号のやり取りは、有線または無線いずれの形式で行っても良い。一例としては、Ethernet(登録商標)等により、制御装置6と測域センサ5、操作部7、位置センサ8、警報装置9といった装置を接続し、相互に通信を行うように構成することができる。
【0032】
次に、上記した本実施例の作動を説明する。
【0033】
本実施例のシステムでは、車両1がパレット2上の停止場所Pに到達した際、これを位置センサ8により仮停止として検知し、その後、車両1が安定停止したことを測域センサ5により取得された被検出点データから判定する(車両の停止判定工程)。さらに、安定停止時の被検出点データを用いて、任意の時点における対象領域A内の異物Oの有無を判定するようになっている(異物検知工程)。
【0034】
本実施例における車両の停止判定工程について、図1および図2を参照して説明する。機械式駐車場の入出庫スペースである対象領域A内に車両1が入庫する際には、入出庫口4から車両1が進入し、パレット2上の停止場所Pに停止する。その後、車両1から人が降車し、入出庫口4を通って対象領域Aから退出する。こうした動きは、測域センサ5により取得される被検出点データの動態として把握することができるが、本実施例の場合、被検出点データから特に人の降車を検出し、降車が始まる直前の時点を、車両1が安定停止した時点と判定する点に特徴がある。
【0035】
人の降車を検出するために、本実施例のシステムでは、車両1の左右における被検出点の動態を特に監視する。具体的には、図2に示す如く、対象領域Aを車両1の位置する中央区域A1、車両1の右側の右区域A2、車両1の左側の左区域A3に仮想的に分割する。そして、右区域A2と左区域A3における被検出点の変動が、対象領域A全体における被検出点の変動に対して占める割合が閾値以上であった場合に、被検出点データを取得した時点において降車が行われていると判定する。
【0036】
対象領域A内において、車両1の停止する範囲は決まっており、本実施例ではパレット2上の停止場所Pである。そこで、車両1の停止する予定の位置(ここでは、停止場所P)に合わせ、上述の如く中央区域A1、右区域A2、左区域A3を設定する。各区域の境界は、例えば図2にB1の符号と共に破線にて示す如く、パレット2の縁に沿って設定しても良いし、またB2の符号と共に一点鎖線にて示す如く、パレット2の縁とは別の位置に設定しても良い。こうした境界B1,B2の位置は、制御装置6内で予め設定しておくことができる。
【0037】
あるいは、B3の符号と共に二点鎖線にて示す如く、停止した車両1の側面に沿って境界を設定することもできる。この場合、車両1が停止場所Pに到達してから境界B3を設定することになる。
【0038】
車両1の入庫に係る一連の流れにおいて、対象領域Aの被検出点は、車両1が停止場所P内へ進入し、位置センサ8からの位置信号8aにより仮停止が判定されるまでは、主に中央区域A1において変動する。また、仮停止後、サイドブレーキが作動し、車両1が前後動する間も、被検出点は主に中央区域A1において変動する。サイドブレーキの作動後は、車両1が安定停止した状態となるが、続いて人の降車が開始されると、はじめのうち、被検出点は右区域A2または左区域A3の一方または両方において大きく変動する。車両1の両側面のドアが開放されて人が降り、さらにドアが閉じられるといった動きのためである。その後、人が退去するまでは、右区域A2および左区域A3に加え、中央区域A1においても被検出点が変動する可能性がある。降車した人が中央区域A1に立ち入ったり、車両1のトランクを開閉する場合があるためである。したがって、入庫を開始してから、車両1の停止動作に伴って被検出点データを時々刻々取得し、右区域A2または左区域A3における被検出点の変動が大きくなった時点を特定すれば、その直前を車両1が安定停止した時点と判定することができるのである。
【0039】
この方法によれば、例えば位置センサ8の位置信号8aのみに基づいて車両1の停止を判定するような方法と異なり、サイドブレーキの作動により車両1に前後動が生じた後の時点を、車両1が安定停止した時点として特定することができる。そして、この時点に取得された被検出点データに基づけば、車両1が実際に停止している位置を正確に把握することができる。
【0040】
図1図2に示す本実施例のシステムによる車両の停止判定の手順の一例を、図3のフローチャートを参照して説明する。ここに説明する車両の停止判定工程は、以下の第一~第三のステップを含む。尚、ここでいう「第一」「第二」「第三」は、単に各ステップを区分するための便宜上の呼称であり、ステップの順序を規定する呼称ではない(後に説明する第四~第九のステップについても同様である)。
・車両1の停止動作に伴って対象領域A内の被検出点データを時々刻々検出する第一のステップ(ステップS3,S4)。
・ある時点に取得された被検出点データと、その前の時点に取得された被検出点データとを比較する第二のステップ(ステップS5,S6)。
・前記第二のステップにおいて、被検出点データ同士の間に閾値以上の差分が認められた場合に、差分全体に対し、車両の右側の右区域A2および車両の左側の左区域A3に認められた差分の割合が閾値以上であるか否かを判定する第三のステップ(ステップS7,S8)。
【0041】
車両1の入庫を行う際には、車両1の運転者、乗員、施設の係員といった人員が操作部7を操作し、入庫の開始を指示する。制御装置6は、指示に応じて入出庫口4を開放する。入庫の開始にあたっては、空のパレット2が対象領域A内の定位置である中央部に配備された状態で入出庫口4を開放する。仮に、入庫の開始が指示された時点で対象領域A内に空のパレット2が存在しない場合には、搬送口3を開放して空のパレット2を対象領域Aへ搬送し、中央部に配備してから、入出庫口4を開放する。
【0042】
尚、入庫の開始は、必ずしも操作部7への入力によらなくとも良く、他の方式により実行されるようにしても良い。例えば、自動運転車である車両1が無人の状態で入出庫スペースである対象領域Aの入出庫口4の前に移動し、自動で入庫する場合、操作部7を操作する人員がいない状況も想定される。そのような場合、例えば車両1を入出庫口4の前に検出するセンサを別途設け、該センサにより車両1が検知されたら、その検知信号の入力を条件としてパレット2の搬送、入出庫口4の開放等を実行しても良い。あるいは、入庫に際し、車両1から何らかの信号を出力するようにしても良い。
【0043】
入庫が開始すると、車両1が入出庫口4から対象領域A内に進入してくる(ステップS1)。車両1がパレット2の上の停止場所Pに到達すると、位置センサ8が車両1を検知する。制御装置6では、位置センサ8から入力される位置信号8aにより、位置センサ8の測定範囲内における物体(ここでは、車両1)の有無、また、車両1の動きを把握することができる。そして、位置信号8aによって車両1が停止場所P内に停止したことを検出した時に、車両1が仮停止したと判定する(ステップS2)。
【0044】
車両1の仮停止が判定されたら、各測域センサ5により、対象領域A内の被検出点データを取得する(ステップS3およびステップS4)。続いて、ある時点(ステップS4)にて取得した被検出点データを、その直前の時点(ここでは、ステップS3)にて取得した被検出点データと比較する。ステップS5では、ステップS3とステップS4にて取得した被検出点データ同士の差分を算出し、ステップS6では、この差分データに閾値以上の被検出点が存在するか否かを判定する。差分データに見られた被検出点が閾値未満であった場合にはステップS4に戻って再度、被検出点データを取得し、その前のステップS4で取得された被検出点データと比較する。
【0045】
被検出点データ同士の間に、閾値以上の差分が認められた場合、すなわち、ステップS6において、差分データの被検出点が閾値以上であると判定された場合には、ステップS7,S8へ進む。ステップS7,S8では、被検出点データ同士の比較により得られた差分の全体に対し、右区域A2および左区域A3において認められた差分の割合が閾値以上であるか否かの判定を行う。
【0046】
ステップS7では、差分データに含まれる被検出点のうち、中央区域A1以外にあたる被検出点、すなわち右区域A2および左区域A3における被検出点の合計が、差分データ全体の被検出点に対して占める割合を算出する。そして、ステップS8において、ステップS7で算出された割合が閾値以上であるか否かを判定する。
【0047】
右区域A2および左区域A3における被検出点の割合が閾値未満であった場合には、ステップS4に戻る。割合が閾値以上であった場合には、直近のステップS4において人の降車が行われたと考えられるので、その直前の時点を車両が安定停止した時点と見なすことができる。したがって、右区域A2および左区域A3における被検出点の割合が閾値以上と判定された直前のステップS4またはステップS3にて取得された被検出点データを、安定停止状態の被検出点データとして記録する(ステップS9)。
【0048】
尚、ここでは車両の停止判定工程に際し、被検出点データの取得を仮停止の検出後に開始する場合を説明したが、これより前の時点、例えば車両1が進入を開始した時点で被検出点データの取得を開始しても良い。また、入庫の有無にかかわらず常に被検出点データの取得を行うようにしても良い。車両1の停止動作から降車までの間の被検出点の動きを把握することができれば、被検出点データの取得の開始時点はいつでも良い。ただし、図3に説明したように、車両1の仮停止後に取得された被検出点データのみを停止判定に用いるようにすれば、最少限の被検出点データから、安定停止のタイミングを簡単なデータ処理により効率的に特定することができる。
【0049】
図4は車両の停止判定工程の手順の別の一例を示している。基本的には図3に説明した手順と同様であるが、図4に示す手順では、図2に示す如き区域間の境界を、車両1の位置に応じて設定するようにしている。
【0050】
この場合、ステップS2で車両1の仮停止を判定した後に、図2に二点鎖線にて示す如く境界B3を設定すれば良い。境界B3の設定には、車両1の位置を把握する必要があるが、ステップS3で被検出点データを取得するので、それに基づいて境界B3を設定すれば良い(ステップS21)。尚、仮停止後、安定停止までの間には上述の如くサイドブレーキの作動による前後動が生じる場合があるが、これは前後方向に沿った動きであるため、境界B3の設定に大きな影響はない。また、仮にステップS21で境界B3を設定した後、車両1の位置が左右方向に多少ずれたとしても、その結果として、降車時の変動が中央区域A1に区分された領域においてステップS8の判定に影響するほど大きく検出されない限り、実際上の問題は生じない。
【0051】
また、図4に示す手順では、降車を検出する工程として、主に右区域A2および左区域A3において被検出点の変動が生じている状態の継続時間を判定する第四のステップ(ステップS22)を、ステップS8の後に組み込んでいる。すなわち、ステップS8における判定の結果がYESである間は降車が継続していると考えられるので、さらにその状態が閾値以上の時間にわたって続いた場合に、その時間を降車中と判定するのである。ステップS22において、ステップS8の判定がYESである状態の継続時間が閾値以上と判定された場合には、右区域A2および左区域A3に認められた差分の割合が閾値以上となる直前の時点を、車両1が安定停止した時点と見なすことができる。そこでステップS9に進み、相当する時点のステップS3またはステップS4にて取得された被検出点データを、安定停止状態のデータとして記録する。右区域A2および左区域A3の変動の継続時間が閾値に満たない場合には、ステップS4に戻る。
【0052】
このようにすると、例えばある瞬間における被検出点データの取得にノイズ等が生じた場合に、誤動作によって人の降車中であると判定され、車両1が安定停止した時点の判定を誤ってしまうといったリスクを低減することができる。測域センサ5による被検出点データの取得の周期(一度ステップS4を実行してから、次にステップS4を実行するまでの時間)が十分に短い場合には有効である。
【0053】
続いて、本実施例のシステムによる異物検知工程の手順の一例を、図5のフローチャートを参照しながら説明する。ここに説明する異物検知工程は、以下の第五~第七のステップを含む。
・対象領域Aに異物Oが存在しない状態の被検出点データを基準データとして取得する第五のステップ(ステップS11)。
・任意の時点において被検出点データを取得する第六のステップ(ステップS13)。
・対象領域Aのうち、前記安定停止状態の被検出点データに基づいて把握される車両1の占める領域以外の領域に関し、前記任意の時点に取得した被検出点データを前記基準データと比較する第七のステップ(ステップS15,S16)。
【0054】
ここに説明する異物検知の工程においては、先のステップS9(図3図4参照)において取得した安定停止状態の被検出点データを利用するので、車両1の停止した位置が正確に反映されたデータに基づき、精度の高い異物検知を実行することができる。
【0055】
異物検知工程は、対象領域A内の状態を確認したい任意のタイミングで開始することができる。例えば、入庫時に車両1内に運転者や乗員がいたり、対象領域A内に係員等がいたりする場合には、停止場所Pに車両1が停止した後、パレット2による車両1の搬送を開始する前に、対象領域Aが無人であることを確認する必要があることが想定できる。その場合は、車両1の入庫後、図3および図4に説明した停止判定工程が完了したら異物検知工程を自動的に開始し、異物Oが検知されなかったことを条件としてパレット2の移動を実行すれば良い。あるいは、操作部7の操作等により車両1の搬送が指示された時点で異物検知工程を開始し、異物Oが検知されなかった場合に搬送を行い、検知されたら搬送を停止するようにしても良い。
【0056】
図5に説明する異物検知工程では、異物検知をしたい任意の時点(例えば、リアルタイム)における被検出点データを、別の時点に取得した基準となる被検出点データ(基準データとする)と比較する。閾値以上の差分が認められた場合には、前記任意の時点に異物Oが存在すると考えられるので、異物Oを検知したと判定する。
【0057】
まず、任意の時点において被検出点データを取得するのに先立って、対象領域A内に車両1および異物Oが存在しない状態で測域センサ5による測定を行い、被検出点データを基準データとして取得しておく(ステップS11)。尚、図5では便宜上、このステップS11から、ステップS13以降を一連の流れとして表示しているが、基準データの取得は、対象領域A内に異物Oの存在しない時点であればどの時点に実行しても良い。また、取得した基準データの処理(次のステップS12)についても、ステップS13以降の工程とは独立に実行して良い。
【0058】
ステップS12では、ステップS11にて取得した基準データから、車両1の占める領域に相当する被検出点のデータを除外する。車両1の占める領域は、先の車両の停止判定工程(図3図4参照)のステップS9にて取得した安定停止状態の被検出点データに基づいて把握することができる。例えば、安定停止状態の被検出点データと、車両1と異物Oの不在時の被検出点データである基準データとを比較し、その差分にあたるデータを、車両1の占める領域に相当するデータと考えることができる。
【0059】
ステップS13で、異物検知をしたい任意の時点における被検出点データを取得する。リアルタイムの異物検知を行う場合、この時点で測域センサ5を作動させ、対象領域A内の測定を行う。次のステップS14では、ステップS13において取得した被検出点データから、車両1の占める領域に相当する被検出点データを除く。
【0060】
続くステップS15,S16では、ステップS13にて取得され、ステップS14の処理を経た被検出点データを、ステップS11にて取得され、ステップS12の処理を経た基準データと比較する。さらに、ステップS17では、ステップS15,S16で行った比較の結果、データ間に閾値以上の差分が見られるか否かを判定し、これに基づき、ステップS13にて被検出点データを取得した時点において対象領域Aに異物Oが存在するか否かを判定する。比較に係る両データからは車両1の占める領域のデータが除かれているので、ステップS15~S17の工程は、対象領域Aのうち、車両1の占める領域以外に検出された被検出点に関してのみ行われることになる。
【0061】
ステップS15では、抽出後の両データの差分を、測域センサ5毎に算出する。ステップS16では、算出された各測域センサ5の差分データに関し、閾値以上の被検出点が認められるかを判定する。ステップS16において、被検出点が閾値以上であると判定されたら、異物Oが検知されたと判定し(ステップS17)、異物検知工程は終了する。いずれの測域センサ5の差分データにも閾値以上の値を示す被検出点データがなければ、異物検知工程は終了する。
【0062】
以上の異物検知工程において異物Oが検知された場合には、例えばパレット2の移動、あるいは入出庫口4の開閉といった動作を停止したり、操作を禁止するなどの処置を行う。また、必要に応じて警報装置19から警報を発報する。そして、例えば係員等により対象領域A内に異物Oが無いことが確認され、警報が解除されたら、再度上記の異物検知工程を実行する。異物検知工程を再実行し、異物Oが検知された場合には、パレット2、入出庫口4等の操作を禁止したままとし、検知されなければ、操作の禁止を解除すれば良い。
【0063】
尚、上では基準データと、任意の時点に取得した被検出点データのそれぞれから車両1の占める領域に関する被検出点データを除外してから両者を比較する場合を説明したが、異物検出に係る工程の手順はこれに限定されない。例えば、両データの差分を算出した後で、車両1の占める領域に関する被検出点データを異物Oとして判断する対象から除外するような処理を行っても良い。
【0064】
また、基準データとしては、不在時の被検出点データ、すなわち「対象領域A内に異物Oがなく、車両1もない状態の被検出点データ」に限らず、「対象領域A内に異物Oがない状態の被検出点データ」であれば利用できる。さらには、「対象領域Aのうち、車両1の占める領域以外の領域に異物Oのない状態の被検出点データ」であれば足りる。上に説明した手順では、車両1の占める領域以外の部分について異物検知を行うので、車両1の占める領域内にあたる被検出点データの如何は、異物検知に影響しないからである。つまり、例えばステップS9(図3図4参照)で取得した安定停止状態の被検出点データを、基準データとして用いることも、原理的には可能である。
【0065】
あるいは、図6に示す如く、車両1の占める領域にあたるデータを除外することなく、安定停止状態の被検出点データを、異物検知をしたい任意の時点に取得した被検出点データとそのまま比較することもできる。この場合、図5におけるステップS11に相当する工程は図3図4のステップS9として既に実行済みであるし、また、ステップS12、S14は不要である。任意の時点において被検出点データを取得したら(第八のステップ。ステップS31)、ステップS9において記録された安定停止状態の被検出点データとの差分を算出し、差分データに含まれる被検出点が閾値以上か否かの判定を行う(第九のステップ。ステップS32,S33)。ここで閾値以上であると判定されれば、異物を検知したと判定する(ステップS34)。例えば、出庫時に異物検知を行いたい場合、同一の車両1の入庫時と、その後の出庫時であれば、パレット2上における車両1の位置や角度は一致するはずであるので、有効な方法である。また、入庫時、車両1の停止後、人の退出を確認したい場合にも有効である。
【0066】
また、上では異なる時点に取得した被検出点データ同士を比較し、その差分の有無あるいは大小により異物検知を行う場合を例示したが、これ以外に、例えば以下の如き方法によれば、差分を取るという操作を行うことなく異物検知を行うことも可能である。まず、異物検知をしたい任意の時点の被検出点データを取得し、その中から床面付近に検出された被検出点データを抽出する。そのうち、車両1の占める領域以外に検出された被検出点データから、柱や壁、床等の構造物にあたる被検出点データを除外し、残った被検出点データがあれば、その被検出点データは異物の被検出点データと考え、異物を検出したと判定することができる。対象領域A内の床や構造物の形状が単純であれば、それらの被検出点データを除外するための計算量が少なくて済むので、有効な手法である。
【0067】
その他、異物検知の具体的な工程は上に説明した手順に限定されず、車両1の安定停止状態の被検出点データに基づいて異物検知を行うことができれば、種々の工程を採用できる。
【0068】
また、ここでは、対象領域Aの例として、車両1の搬送のための装置としてパレット2のみを備えた入出庫スペースを説明したが、対象領域Aの形式はこれに限定されない。例えば、パレットの手前にターンテーブルを備えた形式の入出庫スペースにおいて、前記ターンテーブルおよびその周辺と、前記パレットおよびその周辺に、それぞれ本開示における異物検知システムと同様のシステムを備えることもできる。あるいは、機械式駐車場に限らず、例えば電気自動車の給電設備など、車両の周辺で何らかの操作を行う設備一般に広く適用し得る。
【0069】
以上のように、上記本実施例の車両の停止判定方法においては、車両1の進入する対象領域A内を測定し、被検出点データを取得する測域センサ5を対象領域Aに対して配置し、対象領域A内の停止場所Pにおける車両1の停止動作に伴い、対象領域A内の被検出点データを時々刻々取得する第一のステップS3,S4と、ある時点に取得された被検出点データと、その前の時点に取得された被検出点データとを比較する第二のステップS5,S6と、前記第二のステップS5,S6において、被検出点データ同士の間に閾値以上の差分が認められた場合に、差分全体に対し、車両の右側の右区域A2および車両の左側の左区域A3に認められた差分の割合が閾値以上であるか否かを判定する第三のステップS7,S8とを含み、右区域A2および左区域A3に認められた差分の割合が閾値以上となる直前の時点を車両が安定停止した時点としている。このようにすれば、車両1が実際に停止している位置を正確に把握することができる。
【0070】
本実施例の車両の停止判定方法においては、停止場所Pへの車両1の到達を検知する位置センサ8を備え、前記位置センサ8により車両1の仮停止が検知されてから前記第一のステップS3,S4を開始するようにしている。このようにすれば、最少限の被検出点データから、安定停止のタイミングを簡単なデータ処理により効率的に特定することができる。
【0071】
本実施例の車両の停止判定方法においては、前記第三のステップS7,S8における右区域A2および左区域A3に認められた差分の割合が閾値以上であるとの判定の継続時間が閾値以上であるか否かを判定する第四のステップS22をさらに含み、前記第四のステップS22において差分の割合が閾値以上であるとの判定の継続時間が閾値以上であると判定された場合に、右区域A2および左区域A3に認められた差分の割合が閾値以上となる直前の時点を車両1が安定停止した時点とすることができる。このようにすれば、誤動作によって人の降車中であると判定され、車両1が安定停止した時点の判定を誤ってしまうリスクを低減することができる。
【0072】
また、上記本実施例の車両の停止判定システムにおいては、上述の車両の停止判定方法を適用しているので、車両の停止判定システムに関し、上述の車両の停止判定方法による作用効果を奏することができる。
【0073】
また、上記本実施例の異物検知方法においては、上述の車両の停止判定方法を実行し、さらに、車両1が安定停止した時点に取得された被検出点データを安定停止状態の被検出点データとして記録し、前記安定停止状態の被検出点データを利用して、対象領域A内の異物検知を行うようにしている。このようにすれば、車両1の位置が正確に反映されたデータに基づき、精度の高い異物検知を実行することができる。
【0074】
本実施例の異物検知方法を実行するにあたっては、対象領域Aに異物Oが存在しない状態の被検出点データを基準データとして取得する第五のステップS11と、任意の時点において被検出点データを取得する第六のステップS13と、対象領域Aのうち、前記安定停止状態の被検出点データに基づいて把握される車両1の占める領域以外の領域に関し、前記任意の時点に取得した被検出点データを前記基準データと比較する第七のステップS15,S16とを実行し、該第七のステップS15,S16においてデータ間に閾値以上の差分が見られた場合に、前記任意の時点において対象領域A内に異物Oが存在すると判定してもよい。
【0075】
本実施例の異物検知方法を実行するにあたっては、任意の時点において被検出点データを取得する第八のステップS31と、前記任意の時点に取得した被検出点データを前記安定停止状態の被検出点データと比較する第九のステップS32,S33とを実行し、該第九のステップS32,S33においてデータ間に閾値以上の差分が見られた場合に、前記任意の時点において対象領域A内に異物Oが存在すると判定してもよい。
【0076】
また、上記本実施例の異物検知システムにおいては、上述の異物検知方法を適用しているので、異物検知システムに関し、上述の異物検知方法による作用効果を奏することができる。
【0077】
したがって、上記本実施例によれば、車両の停止した位置を簡便に精度良く把握し得る。
【0078】
尚、本開示において説明した本発明の車両の停止判定方法、異物検知方法およびこれらを用いたシステムは、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0079】
1 車両
2 パレット
2a タイヤ止め
3 搬送口
4 入出庫口
5 測域センサ
5a 測域センサ
5b 測域センサ
5c 測定信号
6 制御装置
7 操作部
7a 操作信号
8 位置センサ
8a 位置信号
9 警報装置
9a 警報信号
A 対象領域
A1 中央区域
A2 右区域
A3 左区域
B1 境界
B2 境界
B3 境界
O 物体(異物)
P 停止場所
図1
図2
図3
図4
図5
図6