(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】ブラシレスモータおよび電動送風機
(51)【国際特許分類】
H02K 5/16 20060101AFI20221208BHJP
H02K 5/06 20060101ALI20221208BHJP
H02K 5/08 20060101ALI20221208BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
H02K5/16 Z
H02K5/06
H02K5/08 A
H02K7/14 A
(21)【出願番号】P 2019033219
(22)【出願日】2019-02-26
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】加藤 勝英
【審査官】島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-147179(JP,A)
【文献】特開平10-094231(JP,A)
【文献】特開2018-046721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/16
H02K 5/06
H02K 5/08
H02K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸およびこの回転軸に固定された磁石部を備えたロータと、
前記磁石部を挟む位置で前記回転軸をそれぞれ回転可能に保持するベアリングと、
前記磁石部の周囲に位置するステータコアを備え、前記ロータに回転力を与えるステータと、
前記ベアリングをそれぞれ保持し前記ステータコアを挟み込んで互いに固定される対をなすフレーム体と
、を具備し、
前記ステータコアは、周囲に突出して前記対をなすフレーム体に挟み込まれこれらフレーム体に一体的に固定される係止部を備え、
前記対をなすフレーム体は、
前記ロータの軸方向に沿って突出する突出部を有し前記係止部の側面部に対する前記ロータの回転方向からの前記突出部の当接により前記対をなすフレーム体を位置決めする位置決め部をそれぞれ備え
、
一方の前記フレーム体の前記位置決め部の前記突出部の一部と、他方の前記フレーム体の前記位置決め部の前記突出部の一部と、が前記ロータの回転方向から見て径方向にラップするとともに径方向に互いに対向して位置する
ことを特徴としたブラシレスモータ
。
【請求項2】
突出部は
、ロータの径方向から見て軸方向に重なって位置している
ことを特徴とした請求項
1記載のブラシレスモータ。
【請求項3】
請求項1
または2記載のブラシレスモータと、
このブラシレスモータの回転軸に取り付けられ、このブラシレスモータにより回転されるファンと
を具備したことを特徴とした電動送風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ベアリングをそれぞれ保持しステータコアを挟み込んで互いに固定される対をなすフレームを有するブラシレスモータおよびこれを備えた電動送風機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば電動送風機に用いられるインナロータ型の電動機は、遠心ファンが回転軸に取り付けられたロータと、このロータの周囲に位置してこのロータに回転力を与えるステータと、ロータの回転軸の両端側を保持する対をなすベアリングと、これらベアリングをそれぞれ保持してロータおよびステータを収容するフレームとを備えている。このフレームは、ベアリングをそれぞれ保持する対をなすフレーム体を備えている。そして、これらフレーム体どうしを位置決めして固定することにより、ロータの外径とステータのステータコアのスロット内径との間隙を設定している。
【0003】
フレーム体がプレス加工により形成されている電動機の場合には、フレーム体の寸法精度が比較的良好であるため、上記の構成によって充分な組立精度を得ることができる。これに対して、近年、ブラシレスモータとして、樹脂成形されたフレーム体やアルミニウムなどの金属によりダイキャスト成形されたフレーム体など、寸法精度を出しにくいものが用いられるものがある。このような成形品からなるフレーム体を用いたブラシレスモータにおいても、組立精度を向上することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、組立精度を向上できるブラシレスモータおよびこれを備えた電動送風機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のブラシレスモータは、ロータと、ベアリングと、ステータと、対をなすフレーム体と、を有する。ロータは、回転軸およびこの回転軸に固定された磁石部を備える。ベアリングは、磁石部を挟む位置で回転軸をそれぞれ回転可能に保持する。ステータは、磁石部の周囲に位置するステータコアを備え、ロータに回転力を与える。対をなすフレーム体は、ベアリングをそれぞれ保持しステータコアを挟み込んで互いに固定される。ステータコアは、周囲に突出して対をなすフレーム体に挟み込まれこれらフレーム体に一体的に固定される係止部を備える。そして、対をなすフレーム体は、ロータの軸方向に沿って突出する突出部を有し係止部の側面部に対するロータの回転方向からの突出部の当接により対をなすフレーム体を位置決めする位置決め部をそれぞれ備える。一方のフレーム体の位置決め部の突出部の一部と、他方のフレーム体の位置決め部の突出部の一部と、がロータの回転方向から見て径方向にラップするとともに径方向に互いに対向して位置する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態のブラシレスモータの一部を示す断面図である。
【
図2】同上ブラシレスモータの一部を示す分解斜視図である。
【
図3】同上ブラシレスモータを備えた電動送風機の分解斜視図である。
【
図4】同上電動送風機を一部を切り欠いて示す斜視図である。
【
図5】第2の実施形態のブラシレスモータの一部を示す断面図である。
【
図6】第3の実施形態のブラシレスモータの一部を示す平面図である。
【
図7】第4の実施形態のブラシレスモータの一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、第1の実施形態の構成を、図面を参照して説明する。
【0009】
図3および
図4において、11は電動送風機を示す。この電動送風機11は、例えば電気掃除機に用いられる。この電動送風機11は、ブラシレスモータ13を備える。また、この電動送風機11は、ファンである遠心ファン14を備える。さらに、この電動送風機11は、整流体(整流板)であるディフューザ15を備える。また、この電動送風機11は、ファンカバー16を備える。そして、この電動送風機11(ブラシレスモータ13)は、図示されない制御回路により駆動が制御される。
【0010】
ブラシレスモータ13は、本実施形態において、例えば単相4極のものである。そして、このブラシレスモータ13は、ロータ21を備えている。また、このブラシレスモータ13は、ステータ22を備えている。さらに、このブラシレスモータ13は、センサ基板23を備えている。また、このブラシレスモータ13は、フレーム24を備えている。なお、以下、電動送風機11の軸方向のブラシレスモータ13側を後方向(
図4などに示す矢印RR側)、遠心ファン14側を前方向(
図4などに示す矢印FR側)として説明する。
【0011】
ロータ21は、回転磁極を形成するものである。このロータ21は、永久磁石型ロータである。このロータ21は、回転軸であるシャフト26を備えている。また、このロータ21は、磁石部27を備えている。さらに、このロータ21は、少なくとも1つのスリーブ28を備えていてもよい。そして、このロータ21は、一対のベアリング29,30を介してフレーム24に対して回転自在に保持されている。
【0012】
シャフト26は、ブラシレスモータ13の出力軸となる回転軸である。このシャフト26には、遠心ファン14が接続されている。具体的に、このシャフト26には、フレーム24から突出した前端側に遠心ファン14が接続されている。
【0013】
磁石部27は、例えば焼結磁石により円筒状に形成され、中央部にシャフト26が固着されている。すなわち、この磁石部27は、シャフト26に対して同軸状に固定されている。この磁石部27には、回転方向(周方向)に互いに異なる極性を有する磁極(回転磁極)が隣接して形成されている。したがって、この磁石部27には、回転方向にN極とS極とが順次交互に配置されて対をなしている。
【0014】
スリーブ28は、本実施形態では一対備えられ、磁石部27の前端部および後端部に隣接してシャフト26に固定されている。なお、このスリーブ28は、必須の構成ではない。
【0015】
ベアリング29,30は、シャフト26の一端側および他端側に取り付けられており、フレーム24にそれぞれ固定されて、ロータ21をフレーム24に対して回転自在に保持するようになっている。すなわち、これらベアリング29,30は、磁石部27を軸方向に挟む位置、換言すれば磁石部27に対して軸方向一端側(前側)の位置と軸方向他端側(後側)の位置とでシャフト26を回転可能に保持している。これらベアリング29,30は、それぞれ径方向に大きく軸方向に小さい、すなわち扁平な円筒状に形成されている。また、ベアリング30の後側には、円板状のベアリングキャップ31がこのベアリング30を覆ってフレーム24に保持される。
【0016】
図1ないし
図4に示すステータ22は、ロータ21に回転力を与える固定磁極を構成するものである。このステータ22は、ステータコア33を備えている。また、このステータ22は、絶縁体であるステータ絶縁34を備えている。さらに、このステータ22は、コイル35を備えている。また、このステータ22は、端子36を備えている。
【0017】
ステータコア33は、電磁鋼板などの薄板状の磁性体が積層かしめされて略一定の厚みを有する板状に形成されている。このステータコア33は、ヨーク部としての円環状(円筒状)のバックヨーク41を備えている。また、このステータコア33は、3以上、本実施形態では4つのティース42を備えている。さらに、このステータコア33は、係止部としてのフレーム取付部43を備えている。また、このステータコア33は、例えば分割部44によって略半円弧状ずつに2分割されていてもよい(
図2)。
【0018】
バックヨーク41は、ティース42間を互いに連結し、対をなすティース42,42に巻回されたコイル35,35によって生じる固定磁極間を磁気的に(磁束で)結合する磁路が形成されるものである。
【0019】
ティース42は、コイル35により固定磁極が形成されるものである。これらティース42は、2つずつで磁気的に対をなしている。また、これらティース42は、バックヨーク41の内周部から中心方向、すなわちロータ21側に向けてそれぞれ突設されている。すなわち、このティース42は、バックヨーク41(ステータコア33)の径方向に沿って長手状に形成されており、基端部がバックヨーク41と連結され、先端部が自由端状に突出している。換言すれば、このティース42は、放射状に配置されている。また、各ティース42の先端部には、ロータ21の外周面に対向する磁気作用面42cが構成されている。この磁気作用面42cは、コイル35により各ティース42に形成される固定磁極をロータ21の磁石部27に作用させるもので、ロータ21の磁石部27の外周面に対して僅かな間隙を介して離間されている。したがって、ステータコア33には、各ティース42の磁気作用面42cにより囲まれロータ21の磁石部27の外周面に対して所定の間隙を介して対向して位置する開口部47が中央部に開口されている。
【0020】
フレーム取付部43は、ステータコア33(ステータ22)に対してフレーム24を位置決めするものである。フレーム取付部43は、例えばティース42に対応して配置されている。すなわち、本実施形態において、フレーム取付部43は、4つ備えられている。これらフレーム取付部43は、ティース42の基端部近傍に位置し、バックヨーク41に対してティース42とは反対側である外方(ロータ21とは反対側)に突出されている。このため、これらフレーム取付部43は、ステータコア33の周方向に互いに離れて略均等に配置されている。また、これらフレーム取付部43は、四角形状に形成されている。すなわち、各フレーム取付部43には、バックヨーク41(ステータコア33)の外周面に対して径方向に沿って延びる側面部43a,43aが両側部に形成されている。すなわち、これら側面部43a,43aは、一方がフレーム取付部43に対してロータ21の回転方向の前側、他方がこの回転方向の後側に位置している。さらに、各フレーム取付部43には、軸方向(前後方向)に貫通する挿通孔43bが設けられている。この挿通孔43bには、取付部材であるねじ49が挿入され、このねじ49がフレーム24側に螺合されることでステータコア33(ステータ22)を挟み込んでフレーム24が固定されるようになっている。
【0021】
ステータ絶縁34は、ステータコア33に対してコイル35および端子36などを絶縁するものである。このステータ絶縁34は、絶縁性の合成樹脂などによりステータコア33と一体成形されている。そして、このステータ絶縁34は、コイル35を保持する巻線保持部51を備えている。また、このステータ絶縁34は、端子36を保持する端子保持部52を備えている。
【0022】
巻線保持部51は、角筒状(ボビン状)に形成されており、中心軸に沿って各ティース42が挿通されている。
【0023】
端子保持部52は、後側が開口した四角形箱状に形成されており、端子36の数に対応して本実施形態では4つ設けられている。端子保持部52は、対をなすティース42,42間の位置にてバックヨーク41にそれぞれ一対ずつ、対をなして配置されている。
【0024】
コイル35は、各ティース42に固定磁極を形成するものである。本実施形態では、ステータ22(ステータコア33)の周方向に交互に異極が生じるようにコイル35が配置されている。
【0025】
端子36は、制御回路と各コイル35とを電気的に接続するためのものである。この端子36は、端子保持部52に保持されている。
【0026】
センサ基板23は、ロータ21(磁石部27)の磁極の極性を検出することによってロータ21の回転位置(回転角度)を検出するもので、例えばホールICなどを備えている。このセンサ基板23は、例えばC字状に形成され、ロータ21の磁石部27の外周に沿って配置されている。また、このセンサ基板23は、例えばステータ22の後側に重ねられ、例えばねじなどの基板固定部材59によりステータ絶縁34に固定されている。
【0027】
フレーム24は、例えばアルミニウム、あるいはマグネシウムなどの、軽量で、かつ、導電性を有する金属部材によりダイキャスト成形された成形品である。このフレーム24は、対をなすフレーム体61,62を備えている。そして、このフレーム24は、これらフレーム体61,62がねじ49により互いに前後に固定されることにより、ロータ21、ステータ22およびセンサ基板23を前後から挟み込んで収容するように構成されている。
【0028】
一方のフレーム体61は、ロータ21、ステータ22およびセンサ基板23に対して前側に位置するものである。このフレーム体61は、円環状の外枠部64を備えている。このフレーム体61は、(一方の)フレーム体本体部65を備えている。このフレーム体61は、外枠部64とフレーム体本体部65とを連結する(一方の)連結部66を備えている。このフレーム体61は、(一方の)ベアリング保持部67を備えている。このフレーム体61は、(一方の)位置決め部68を備えている。このフレーム体61は、(一方の)固定部としてのねじボス部69を備えている。また、このフレーム体61は、ディフューザ15に対向して開口されたフレーム吸気開口部70を備えている。また、このフレーム体61には、ブラシレスモータ13とディフューザ15とを前後方向に固定するためのねじなどの固定体71が螺合される丸孔状の螺合孔72が設けられている。
【0029】
外枠部64は、フレーム24(フレーム体61)の最外郭を形成している。この外枠部64は、例えばディフューザ15と略等しい径寸法に形成され、このディフューザ15に対して、このディフューザ15と同軸状に後方から重ねられる。また、この外枠部64の後端部(後端面)、すなわちフレーム体62側の端部(端面)は、ステータコア33の後面と略面一に位置するようになっている。
【0030】
フレーム体本体部65は、ステータ22に対して前方から対向している。このフレーム体本体部65は、外枠部64よりも小さい径寸法を備える円形状に形成されている。このフレーム体本体部65は、外枠部64に対して中心側(内側)かつ前側に離れて位置している。
【0031】
連結部66は、外枠部64とフレーム体本体部65の外縁部とを径方向に沿って連結するものである。この連結部66は、フレーム体本体部65の外縁部と径方向に沿って連続する基端部分と、外枠部64に対して前側から連続する先端部分とにより、側方から見て後方へとL字状に屈曲して形成されている。また、連結部66は、本実施形態において、例えば4つ形成されている。これら連結部66は、それぞれ周方向に略等配されて互いに離れている。
【0032】
ベアリング保持部67は、ベアリング29を内部に保持するものである。このベアリング保持部67は、フレーム体本体部65の中央部に円筒状に形成されている。このベアリング保持部67は、フレーム体本体部65の後面に対して前方に突出している。
【0033】
位置決め部68は、フレーム体61をステータ22のステータコア33に対して位置決めするものである。この位置決め部68は、各連結部66の先端部分と連続して外枠部64の内周面に、軸方向(前後方向)に沿って長手状のリブとして形成されている。本実施形態において、位置決め部68は、連結部66毎に、各連結部66の両側の位置に連続するように一対ずつ形成されている。すなわち、本実施形態において、位置決め部68は、四対形成されている。対をなす位置決め部68,68は、互いに略平行に形成され、外枠部64の内周面から中心側に向かって突出している。このため、これら位置決め部68,68間にステータ22のステータコア33のフレーム取付部43が挿入保持されるようになっている。換言すれば、これら位置決め部68,68がフレーム取付部43の側面部43a,43aにそれぞれ接触することで、フレーム体61がステータ22のステータコア33に対して(ステータコア33を基準として)周方向に位置決めされるようになっている。したがって、これら位置決め部68,68は、フレーム取付部43に対して、両側方向、すなわちロータ21の回転方向側およびその反対側から当接するようになっている。また、各位置決め部68は、例えばダイキャスト成形されたフレーム体61に対して切削などの後加工によって形成されている。このため、各位置決め部68は、フレーム体61の他部分よりも寸法精度(位置精度)、特に対をなす位置決め部68,68間の寸法精度が良好となっている。また、各位置決め部68の前後方向寸法は、それぞれステータコア33(フレーム取付部43)の厚み(前後方向寸法)に対して小さく設定されている。すなわち、各位置決め部68の後端部は、外枠部64の後端部(後端面)に対して前方に段差状にオフセットして位置している。したがって、各フレーム取付部43が位置決め部68,68間に挿入保持された状態で、各フレーム取付部43の側面部43a,43aの後側寄りの位置が位置決め部68,68に対して後側に突出するようになっている。
【0034】
ねじボス部69は、ねじ49が螺合されることでフレーム体61,62を互いに締結するものである。このねじボス部69は、連結部66毎に形成され、位置決め部68,68間にて外枠部64の内周面側に露出している。また、このねじボス部69は、後端部にステータコア33のフレーム取付部43が重ねられる部分である。すなわち、このねじボス部69は、位置決め部68,68間に挿入されたステータコア33のフレーム取付部43を支持する支持部となっている。そして、このねじボス部69は、軸方向に沿って長手状で、後方に向けて開口するボス状(円筒状)に形成されている。
【0035】
フレーム吸気開口部70は、外枠部64と、フレーム体本体部65と、隣り合う連結部66,66との間に形成されている。
【0036】
また、他方のフレーム体62は、ロータ21、ステータ22およびセンサ基板23に対して後側に位置するものである。このフレーム体62は、(他方の)フレーム体本体部74を備えている。このフレーム体62は、(他方の)連結部75を備えている。このフレーム体62は、(他方の)ベアリング保持部76を備えている。このフレーム体62は、(他方の)位置決め部77を備えている。このフレーム体62は、(他方の)固定部としてのねじ受け部78を備えている。そして、このフレーム体62には、ブラシレスモータ13内に流入した空気を外部へと排気するフレーム排気開口部79がそれぞれ区画される。
【0037】
フレーム体本体部74は、ステータ22に対して後方から対向している。このフレーム体本体部74は、フレーム体本体部65と略等しい径寸法を有する円形状に形成されている。
【0038】
連結部75は、フレーム体62をフレーム体61と連結するものである。この連結部75は、フレーム体本体部74の外縁部と径方向に沿って連続する基端部分と、この基端部分の先端に対して前方に連続する自由端状の先端部分とにより、側方から見て前方へとL字状に屈曲して形成されている。また、この連結部75は、フレーム体61の連結部66に対応して形成されている。すなわち、連結部75は、本実施形態において、例えば4つ形成されており、それぞれ周方向に略等配されて互いに離れている。
【0039】
ベアリング保持部76は、ベアリング30およびベアリングキャップ31を内部に保持するものである。このベアリング保持部76は、フレーム体本体部74の中央部に円筒状に形成されている。このベアリング保持部76は、フレーム体本体部74の前面に対して後方に突出している。
【0040】
位置決め部77は、フレーム体62をステータ22のステータコア33に対して位置決めするものである。この位置決め部77は、各連結部75の先端部分と連続して、軸方向(前方向)に沿って突出するリブとして形成されている。本実施形態において、位置決め部77は、連結部75毎に、各連結部75の両側の位置に連続するように一対ずつ形成されている。すなわち、本実施形態において、位置決め部77は、四対形成されている。対をなす位置決め部77,77は、互いに略平行に形成されている。このため、これら位置決め部77,77間にステータ22のステータコア33のフレーム取付部43が挿入保持されるようになっている。換言すれば、これら位置決め部77,77がフレーム取付部43の側面部43a,43aにそれぞれ接触することで、フレーム体62がステータ22のステータコア33に対して(ステータコア33を基準として)周方向に位置決めされるようになっている。したがって、これら位置決め部77,77は、フレーム取付部43に対して、両側方向、すなわちロータ21の回転方向側およびその反対側から当接するようになっている。また、各位置決め部77は、例えばダイキャスト成形されたフレーム体62に対して切削などの後加工によって形成されている。このため、各位置決め部77は、フレーム体62の他部分よりも寸法精度(位置精度)、特に対をなす位置決め部77,77間の寸法精度が良好となっている。また、各位置決め部77の前後方向寸法は、それぞれステータコア33(フレーム取付部43)の厚み(前後方向寸法)に対して小さく設定されている。したがって、各フレーム取付部43が位置決め部77,77間に挿入保持された状態で、各フレーム取付部43の側面部43a,43aの前側寄りの位置が位置決め部77,77に対して前側に突出するようになっている。換言すれば、各フレーム取付部43の側面部43a,43aは、前側の部分が位置決め部68,68に、後側の部分が位置決め部77,77に、それぞれ当接するようになっている。
【0041】
ねじ受け部78は、連結部75毎に形成され、ステータコア33のフレーム取付部43の後部に重ねられる部分である。すなわち、このねじ受け部78は、位置決め部77,77間に挿入されたステータコア33のフレーム取付部43をフレーム体61のねじボス部69との間で挟持する挟持部となっている。また、このねじ受け部78には、フレーム体61のねじボス部69に締結されるねじ49が挿通される挿通孔78aが形成されている。この挿通孔78aは、位置決め部77,77間にてねじ受け部78を軸方向に沿って貫通して形成されている。
【0042】
フレーム排気開口部79は、フレーム体61の外枠部64と、フレーム体62のフレーム体本体部74と、隣り合う連結部75,75との間に形成されている。
【0043】
遠心ファン14は、シャフト26に接続されてブラシレスモータ13により回転されることで空気を中心側から外周側へと押し出す(吹き出す)ものである。この遠心ファン14は、中央部に、シャフト26が挿通されるシャフト挿通孔81を備えている。また、この遠心ファン14は、複数のファン翼82を備えている。そして、シャフト挿通孔81に挿通されたブラシレスモータ13のシャフト26の前端部に固定部材としてのナット83が螺合されることにより、遠心ファン14がシャフト26に一体的に固定される。
【0044】
ディフューザ15は、遠心ファン14により押し出された空気を整流してブラシレスモータ13の内部へと流し込むものである。このディフューザ15は、取付開口部85を中央部に備えている。また、このディフューザ15は、固定孔部である通孔86を取付開口部85の両側に備えている。さらに、このディフューザ15は、整流翼87を外縁近傍に備えている。また、このディフューザ15は、整流翼87,87間に、ディフューザ15を前後方向に貫通する風路部88を備えている。そして、このディフューザ15は、このディフューザ15に対してフレーム24を位置決めするフレーム受け部89を前部に備えている。フレーム受け部89は、フレーム24の各連結部66がそれぞれ後方から嵌合するように凹設されている。したがって、フレーム受け部89は、本実施形態において、周方向に互いに離れて4つ配置されている。
【0045】
ファンカバー16は、遠心ファン14の一部を覆ってディフューザ15に取り付けられている。このファンカバー16には、遠心ファン14の中央部を露出させる吸気口91が開口されている。
【0046】
制御回路は、例えばインバータ回路を含むドライバと、このドライバをPWM制御する制御部とを備え、各端子36およびセンサ基板23と電気的に接続されている。そして、この制御回路は、ドライバによってコイル35の巻線に流れる電流の向きや通電時間を制御することで、各コイル35を介してステータ22のステータコア33の各ティース42にそれぞれ生じさせる磁極を時間毎に切り換えるように構成されている。
【0047】
次に、上記第1の実施形態の電動送風機11の組み立て手順を説明する。
【0048】
この電動送風機11の組み立て手順は、概略として、ディフューザ15にフレーム体61を組み付け、このフレーム体61に、それぞれ組み立てたステータ22およびロータ21を組み付け、センサ基板23をステータ22に組み付け、フレーム体62を一方のフレーム体61およびディフューザ15に組み付けて、フレーム体61,62によりロータ21、ステータ22およびセンサ基板23を挟み込み、ロータ21に遠心ファン14を接続した後、ファンカバー16により遠心ファン14を覆う。
【0049】
具体的に、ディフューザ15のフレーム受け部89に対して、予め成形したフレーム24のフレーム体61の連結部66を嵌合させてディフューザ15に対してフレーム体61を位置合わせし、通孔86に挿入した固定体71を螺合孔72に螺合させることでフレーム体61とディフューザ15とを互いに固定する。この後、別途組み立てたステータ22のステータコア33の各フレーム取付部43をフレーム体61の位置決め部68,68間に挿入してステータコア33をねじボス部69に重ねることで、ステータコア33を基準としてフレーム体61を位置決めするとともに、センサ基板23を、基板固定部材59によりステータ22に対して固定する。ロータ21は、ステータ22のコイル35,35間からシャフト26の前端側をフレーム体61に挿通した後、このロータ21のシャフト26の前端側にベアリング29を取り付け、フレーム体61のベアリング保持部67に嵌合保持するとともに、シャフト26の後端側にベアリング30を取り付ける。
【0050】
次いで、フレーム体62のベアリング保持部76にベアリングキャップ31とともにベアリング30を嵌合保持しつつ、位置決め部77,77間にステータコア33の各フレーム取付部43をそれぞれ挿入するようにフレーム体62を被せることで、ステータコア33を基準としてフレーム体62を位置決めする。この状態で、フレーム体61の位置決め部68,68とフレーム体62の位置決め部77,77とが、フレーム取付部43の両側の位置で前後に対向するように配置される。このとき、互いに対向する位置決め部68,68と位置決め部77,77とは、前後方向に離れていることが好ましいが、例えば僅かに接触してもよい。そして、各フレーム取付部43に重ねられたねじ受け部78の挿通孔78aからねじ49をフレーム取付部43の挿通孔43bに挿通してねじボス部69に螺合させることで、フレーム体61,62によりステータ22、センサ基板23およびロータ21を挟み込むように固定する。
【0051】
さらに、ディフューザ15の取付開口部85から前側に突出するブラシレスモータ13のシャフト26を遠心ファン14のシャフト挿通孔81に挿通してナット83により固定し、この遠心ファン14を覆ってファンカバー16をディフューザ15の前側に圧入あるいは接着固定することで、電動送風機11が完成する。
【0052】
このように組み立てた電動送風機11は、センサ基板23によりロータ21の回転位置を検出しつつ、この回転位置に応じて、制御回路により各コイル35の巻線に流れる電流の向きおよび通電時間を制御することで、各ティース42に順次磁極を形成し、これら磁極とロータ21の磁極との反発・吸引によってロータ21を回転させる。そこで、電動送風機11の遠心ファン14の回転により発生した負圧により、空気が吸気口91から電動送風機11に吸い込まれる。そして、この吸い込まれた空気は、遠心ファン14のファン翼82によりこの遠心ファン14の周囲へと整流され、ディフューザ15の整流翼87により整流されて風路部88からフレーム吸気開口部70を介してブラシレスモータ13へと流し込まれ、ブラシレスモータ13のステータ22のティース42,42間およびロータ21の磁石部27と磁気作用面42cとの間(磁石部27と開口部47との間隙)を通過することで、ステータ22、ロータ21およびベアリング30を冷却しながらブラシレスモータ13のフレーム24内を通過して各端子36を冷却しつつフレーム排気開口部79から排気される。
【0053】
このように、第1の実施形態によれば、対をなすフレーム体61,62に位置決め部68,77を設け、これら位置決め部68,77を用いてステータコア33に対してフレーム体61,62を位置決めすることで、フレーム体61とフレーム体62とがステータコア33を基準として組み付けられるので、組立精度を向上できる。したがって、これらフレーム体61,62がステータコア33に対しフレーム体61,62に保持されるベアリング29,30により回転可能に保持されるロータ21のシャフト26がステータコア33に対して同軸度精度が向上し、磁石部27の外周とステータコア33の開口部47との間隙が均一化され、ブラシレスモータ13の性能を安定させることができる。また、ロータ21(シャフト26)がステータコア33に対して斜めに取り付けられにくく、シャフト26とステータコア33との直角度も向上できるので、動作時の振動を抑制できる。
【0054】
特に、フレーム体61,62が成形品である場合、寸法精度を向上することが容易でないため、金属のプレス加工により形成され寸法精度が良好なステータコア33を基準とし、後加工によって精度を確保した位置決め部68,77を用いてフレーム体61,62の位置決めをすることにより、成形品であるフレーム体61,62であっても、良好な組立精度を得ることができる。
【0055】
また、ステータコア33の周囲にフレーム取付部43を突出し、各フレーム体61,62の位置決め部68,77を、ロータ21の回転方向に対して少なくとも反対側でフレーム取付部43に対して当接させることで、ロータ21の回転時に生じる磁石部27とステータ22の固定磁極との反力に対してステータコア33を位置決め部68,77によって周方向に強固に、かつ、安定的に支持できる。
【0056】
そして、上記ブラシレスモータ13を用いて遠心ファン14を回転させる電動送風機11を構成することで、動作時の振動が少なく仕事率が高い電動送風機11を提供できる。
【0057】
特に、電気掃除機に用いられる電動送風機11は、例えばブラシレスモータ13が100000rpm程度の高速で回転されることから、このような高速回転時でも振動を抑制することができ、ロータ21の磁石部27とステータコア33との接触を防止できる。
【0058】
次に、第2の実施形態を、
図5を参照して説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0059】
この第2の実施形態は、上記第1の実施形態の各位置決め部68および各位置決め部77が、(一方および他方の)突出部94,95を備えるものである。
【0060】
突出部94は、位置決め部68の先端側に、フレーム体62側である後側に向けて突出して形成されている。同様に、突出部95は、位置決め部77の先端側に、フレーム体61側である前側に向けて突出して形成されている。
【0061】
また、これら突出部94,95は、径方向に互いにずれた位置に形成されている。すなわち、これら突出部94,95は、径方向に互い違いとなる位置に形成されている。本実施形態では、突出部94に対して突出部95がロータ21側、すなわち径方向の中心側に位置して形成されているが、突出部95に対して突出部94がロータ21側に位置していてもよい。したがって、突出部94,95は、いずれか一方が他方に対して径方向中心側に位置するように配置されている。このため、位置決め部68,77の先端部には、これら突出部94,95に隣接して、(一方および他方の)切欠部96,97が形成されている。これら切欠部96,97は、本実施形態において、突出部94,95に対して径方向に隣接して形成されている。
【0062】
さらに、これら突出部94,95は、先端側がロータ21の軸方向にラップして配置されている。すなわち、突出部94の先端部は、突出部95の先端部よりも下方に延びている。そして、突出部94,95の先端側が、切欠部97,96に対して挿入される。したがって、突出部94,95には、ロータ21の軸方向に所定のラップ代OLが生じている。なお、突出部94,95の先端部は、ステータコア33をフレーム体61,62の位置決めの基準とするために、位置決め部77,68に対して離れていることが好ましいが、僅かに接触していてもよい。
【0063】
この第2の実施形態によれば、上記第1の実施形態の効果に加えて、フレーム体61の位置決め部68とフレーム体62の位置決め部77との一部が互いにラップしていることにより、位置決め部68,77によってステータコア33のフレーム取付部43の側面部43aを広い面積で保持する。この結果、電磁鋼板を積層して形成されていることで横ずれ方向の力に対して相対的に弱いステータコア33を、フレーム体61,62の剛性によって側方から強固に保持でき、ステータコア33の強度を確保できる。
【0064】
具体的に、各フレーム体61,62の位置決め部68,77が、ロータ21の軸方向に沿って突出する突出部94,95を備え、これら突出部94,95が、ロータ21の径方向から見て軸方向に重なって位置しているので、ステータコア33のフレーム取付部43の側面部43aをフレーム体61,62によって保持できる。
【0065】
なお、上記第2の実施形態において、
図6に示す第3の実施形態のように、突出部94,95を位置決め部68,77の径方向に沿って突出させ、切欠部96,97を突出部94,95に対してロータ21の回転方向(周方向)に隣接する位置に形成して、突出部94,95をロータ21の回転方向(周方向)から見て径方向に重なって位置するようにしてもよい。
【0066】
また、
図7に示す第4の実施形態のように、突出部94,95を位置決め部68,77のロータ21の回転方向(周方向)に互いに異なる位置でロータ21の軸方向(前後方向)に突出させ、切欠部96,97を突出部94,95に対してロータ21の回転方向(周方向)に隣接する位置に形成して、突出部94,95をロータ21の回転方向(周方向)に重なって位置するようにしてもよい。
【0067】
さらに、突出部94,95の形状は、上記第2ないし第4の実施形態のいずれか2つを組み合わせて用いることもできる。
【0068】
そして、上記各実施形態において、フレーム体61,62は、例えば合成樹脂により成形された成形品であってもよい。フレーム体61,62を合成樹脂により成形する場合、温度や湿度で寸法が変化することで、寸法精度を確保し難いものの、上記各実施形態と同様に構成することにより、合成樹脂成形されたフレーム体61,62であっても、組立精度を確保できる。なお、フレーム体61,62を合成樹脂により成形する場合、好ましくは例えばBMC(Bulk Molding Compound)などの、寸法精度が良好で熱に対して変形が少ない合成樹脂を用いる。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲をこれらの実施形態に限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
11 電動送風機
13 ブラシレスモータ
14 ファンである遠心ファン
21 ロータ
22 ステータ
26 回転軸であるシャフト
27 磁石部
29,30 ベアリング
33 ステータコア
43 係止部としてのフレーム取付部
43a 側面部
61,62 フレーム体
68,77 位置決め部
94,95 突出部