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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】軸流タービン
(51)【国際特許分類】
   F01D 9/04 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
F01D9/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019035923
(22)【出願日】2019-02-28
(65)【公開番号】P2020139463
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】門間 和弘
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0328185(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0218769(US,A1)
【文献】特開2006-291889(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0003323(US,A1)
【文献】特開2004-028065(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0044551(US,A1)
【文献】特開2015-190421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に配列された複数の翼と、
前記複数の翼の内周側又は外周側を連結すると共に、主流路の壁面を構成する周面を有する部材とを備えた軸流タービンにおいて、
前記部材の前記周面は、複数の窪み部を有し、
前記複数の窪み部の各々は、隣り合う一の翼の負圧面と他の翼の正圧面の間の距離が最も小さくなるスロートより下流側であって、周方向において前記一の翼の負圧面上のスロート位置から前記一の翼の後縁位置までの範囲内に、軸方向において前記周面の後縁位置を含む範囲に形成され
前記複数の窪み部の各々は、前記スロートの下流側における作動流体の流れ方向に沿って形成され、前記作動流体の流れ方向に沿って徐々に深くなるように形成されたことを特徴とする軸流タービン。
【請求項2】
請求項1に記載の軸流タービンにおいて、
前記複数の窪み部の各々は、前記作動流体の流れ方向に沿って前記周面の後縁位置まで徐々に深くなるように形成されたことを特徴とする軸流タービン。
【請求項3】
請求項1に記載の軸流タービンにおいて、
前記複数の窪み部の各々は、軸方向において前記一の翼の後縁位置より下流側だけでなく上流側も含む範囲に形成されたことを特徴とする軸流タービン。
【請求項4】
請求項1に記載の軸流タービンにおいて、
前記部材の前記周面は、複数の突起部を有し、
前記複数の突起部の各々は、前記スロートより下流側であって、周方向において前記一の翼の負圧面上のスロート位置から前記他の翼の後縁位置までの範囲内に、軸方向において前記部材の周面の後縁位置を含む範囲に形成されたことを特徴とする軸流タービン。
【請求項5】
請求項1に記載の軸流タービンにおいて、
前記部材は、
複数の静翼の内周側を連結すると共に、前記主流路の壁面を構成する外周面を有するダイヤフラム内輪、
前記複数の静翼の外周側を連結すると共に、前記主流路の壁面を構成する内周面を有するダイヤフラム外輪、
複数の動翼の内周側を連結すると共に、前記主流路の壁面を構成する外周面を有するロータ、及び
前記複数の動翼の外周側を連結すると共に、前記主流路の壁面を構成する内周面を有するシュラウド、のうちのいずれかであることを特徴とする軸流タービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電プラントの蒸気タービンやガスタービン等に用いられる軸流タービンに関する。
【背景技術】
【0002】
軸流タービンは、例えば、ケーシングの内周側に設けられた環状のダイヤフラム外輪と、ダイヤフラム外輪の内周側に設けられ、周方向に配列された複数の静翼と、複数の静翼の内周側に設けられたダイヤフラム内輪と、ロータと、ロータの外周側に設けられ、複数の静翼の下流側に位置すると共に周方向に配列された複数の動翼と、複数の動翼の外周側に設けられたシュラウドとを備える(例えば特許文献1参照)。
【0003】
軸流タービンの主流路は、ダイヤフラム外輪の内周面とダイヤフラム内輪の外周面の間に形成された流路と、シュラウドの内周面とロータの外周面の間に形成された流路とで構成されている。主流路を流れる作動流体は、静翼によって増速、転向され、その後、動翼に対して回転力を付与するようになっている。
【0004】
ダイヤフラム内輪とロータの間には、第1キャビティが形成されている。作動流体の一部は、主流路の静翼の上流側から第1キャビティに流入し、第1キャビティから主流路の静翼の下流側に流出する。この作動流体は、静翼によって増速、転向されていないので、損失が発生する。この損失を低減するため、第1キャビティには、ラビリンスシールが設けられている。
【0005】
シュラウドとダイヤフラム外輪(又はケーシング)の間には、第2キャビティが形成されている。作動流体の一部は、主流路の動翼の上流側から第2キャビティに流入し、第2キャビティから主流路の動翼の下流側に流出する。この作動流体は、動翼に対して回転力を付与しないので、損失が発生する。この損失を低減するため、第2キャビティには、ラビリンスシールが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-008756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、一般的に、主流路の静翼又は動翼の出口側では、周方向の圧力分布が生じている。詳しく説明すると、隣り合う一の翼の負圧面(背側面)と他の翼の正圧面(腹側面)の間の距離が最も小さくなるスロートより下流側であって、周方向において一の翼の負圧面上のスロート位置から一の翼の後縁位置までの範囲では、静圧が比較的低くなる。そのため、この範囲では、キャビティから主流路に向かう吹き出し流れが生じる。一方、スロートより下流側であって、周方向において一の翼の負圧面上のスロート位置から他の翼の後縁位置までの範囲では、静圧が比較的高くなる。そのため、この範囲では、主流路からキャビティへ向かう漏れ込み流れが生じる。そして、周方向における流れの違いにより、干渉損失(詳細には、キャビティの出口側では合流損失、キャビティの入口側では分流損失)が大きくなる。また、前述した流れの違いの影響を受けて、下流側の翼の二次流れ損失が大きくなる。
【0008】
本発明は、周方向の圧力差を低減して損失を低減することができる軸流タービンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、周方向に配列された複数の翼と、前記複数の翼の内周側又は外周側を連結すると共に、主流路の壁面を構成する周面を有する部材とを備えた軸流タービンにおいて、前記部材の前記周面は、複数の窪み部を有し、前記複数の窪み部の各々は、隣り合う一の翼の負圧面と他の翼の正圧面の間の距離が最も小さくなるスロートより下流側であって、周方向において前記一の翼の負圧面上のスロート位置から前記一の翼の後縁位置までの範囲内に、軸方向において前記周面の後縁位置を含む範囲に形成され、前記複数の窪み部の各々は、前記スロートの下流側における作動流体の流れ方向に沿って形成され、前記作動流体の流れ方向に沿って徐々に深くなるように形成される
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、周方向の圧力差を低減して損失を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態における蒸気タービンの部分構造を模式的に表す軸方向断面図である。
図2図1中断面II-IIによる周方向断面図であり、主流路内の流れを示す。
図3】本発明の第1の実施形態におけるダイヤフラム内輪の外周面の構造を表す展開図である。
図4図3中矢印IV方向から見た図である。
図5】本発明の第1の実施形態及び比較例における静翼面静圧分布を表す図である。
図6】本発明の第2の実施形態におけるダイヤフラム内輪の外周面の構造を表す展開図である。
図7図6中矢印VII方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を蒸気タービンに適用した場合の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0013】
図1は、本発明の第1の実施形態における蒸気タービンの部分構造を模式的に表す軸方向断面図である。図2は、図1中断面II-IIによる周方向断面図であり、主流路内の流れを示す。
【0014】
本実施形態の蒸気タービンは、ケーシング1の内周側に設けられた環状のダイヤフラム外輪2と、このダイヤフラム外輪2の内周側に設けられた複数の静翼3と、これら静翼3の内周側に設けられた環状のダイヤフラム内輪4とを備えている。複数の静翼3は、ダイヤフラム外輪2とダイヤフラム内輪4の間に、周方向に所定の間隔で配列されている。
【0015】
また、蒸気タービンは、ロータ5と、このロータ5の外周側に設けられた複数の動翼6と、これら動翼6の外周側に設けられた環状のシュラウド7とを備えている。複数の動翼6は、ロータ5とシュラウド7の間に、周方向に所定の間隔で配列されている。
【0016】
蒸気タービンの主流路8は、ダイヤフラム外輪2の内周面9とダイヤフラム内輪4の外周面10の間に形成された流路や、シュラウド7の内周面11とロータ5の外周面12の間に形成された流路で構成されている。すなわち、ダイヤフラム外輪2は、複数の静翼3の外周側を連結すると共に、主流路8の壁面を構成する内周面9を有する。ダイヤフラム内輪4は、複数の静翼3の内周側を連結すると共に、主流路8の壁面を構成する外周面10を有する。シュラウド7は、複数の動翼6の外周側を連結すると共に、主流路8の壁面を構成する内周面11を有する。ロータ5は、複数の動翼6の内周側を連結すると共に、主流路8の壁面を構成する外周面12を有する。
【0017】
主流路8には、複数の静翼3(言い換えれば、1つの静翼列)が配置されるとともに、それらの下流側(図1中右側)に複数の動翼6(言い換えれば、1つの動翼列)が配置されており、これら静翼3と動翼6の組合せが1つの段落を構成している。なお、図1では、便宜上、1段目の動翼6と、2段目の静翼3及び動翼6しか示されていないが、一般的には、蒸気(作動流体)の内部エネルギーを効率よく回収するために、軸方向に3段以上設けられている。
【0018】
主流路8内の蒸気は、図1中白抜き矢印で示すように流れている。そして、静翼3にて蒸気の内部エネルギー(言い換えれば、圧力エネルギー等)が運動エネルギー(言い換えれば、速度エネルギー)に変換され、動翼6にて蒸気の運動エネルギーがロータ5の回転エネルギーに変換される。また、ロータ5の端部には発電機(図示せず)が接続されており、この発電機によってロータ5の回転エネルギーが電気エネルギーに変換されるようになっている。
【0019】
主流路8内の蒸気の流れ(主流)について、図2を用いて説明する。蒸気は、静翼3の前縁側(図2中上側)から絶対速度ベクトルC1(詳細には、周方向速度成分をほぼ持たない絶対的な流れ)で流入する。そして、静翼3の間を通過する際に増速、転向されて絶対速度ベクトルC2(詳細には、大きな周方向速度成分を持つ絶対的な流れ)となり、静翼3の後縁側(図2中下側)から流出する。静翼3から流出した蒸気の大部分は、動翼6に衝突してロータ5を速度Uで回転させる。このとき、蒸気は、動翼6を通過する際に減速、転向されて、相対速度ベクトルW2から相対速度ベクトルW3となる。したがって、動翼6から流出する蒸気は、絶対速度ベクトルC3(詳細には、周方向速度成分をほぼ持たない絶対的な流れ)となる。
【0020】
上述の図1に戻り、ダイヤフラム内輪4とロータ5の間にはキャビティ13Aが形成されている。蒸気の一部は、主流路8の静翼3の上流側からキャビティ13Aに流入し、キャビティ13Aから主流路8の静翼3の下流側に流出する。この蒸気は、静翼3によって増速、転向されていないので、損失が発生する。この損失を低減するため、キャビティ13Aにはラビリンスシール14Aが設けられている。ラビリンスシール14Aは、例えば、ダイヤフラム内輪4側に設けられた複数のフィンと、ロータ5側に形成された複数の突起で構成されている。
【0021】
シュラウド7とケーシング1の間にはキャビティ13Bが形成されている。蒸気の一部は、主流路8の動翼6の上流側からキャビティ13Bに流入し、キャビティ13Bから主流路8の動翼6の下流側に流出する。この蒸気は、動翼6に対して回転力を付与しないので、損失が発生する。この損失を低減するため、キャビティ13Bにはラビリンスシール14Bが設けられている。ラビリンスシール14Bは、例えば、ケーシング1側に設けられた複数のフィンと、シュラウド7側に形成された複数の突起で構成されている。
【0022】
ところで、一般的に、主流路8の静翼3の出口側では、周方向の圧力分布が生じている。詳しく説明すると、隣り合う静翼3Aの負圧面(背側面)15と静翼3Bの正圧面(腹側面)16の間の距離が最も小さくなるスロート17より下流側であって、周方向において静翼3Aの負圧面15上のスロート位置P1から静翼3Aの後縁位置P2までの範囲(後述の図3参照)では、静圧が比較的低くなる。そのため、この範囲では、キャビティ13Aから主流路8に向かう吹き出し流れが生じる。一方、スロート17より下流側であって、周方向において静翼3Aの負圧面15上のスロート位置P1から静翼3Bの後縁位置P3までの範囲(後述の図3参照)では、静圧が比較的高くなる。そのため、この範囲では、主流路8からキャビティ13Aへ向かう漏れ込み流れが生じる。そして、周方向における流れの違いによって、干渉損失が大きくなる。また、前述した流れの違いの影響を受けて、下流側の動翼6の二次流れ損失が大きくなる。
【0023】
そこで、本実施形態では、ダイヤフラム内輪4の外周面10は、周方向における圧力差を低減するための構造を有している。その詳細を、図3及び図4を用いて説明する。図3は、本実施形態におけるダイヤフラム内輪の外周面の構造を表す展開図である。図4は、図3中矢印IV方向から見た図である。なお、図3中の点線は、窪み部の等高線を示している。
【0024】
本実施形態のダイヤフラム内輪4の外周面10は、ほぼ円筒面であり、この円筒面から半径方向の内側に窪んだ複数の窪み部18を有している。
【0025】
各窪み部18は、隣り合う静翼3Aの負圧面15と静翼3Bの正圧面16の間の距離が最も小さくなるスロート17より下流側であって、周方向において静翼3Aの負圧面15上のスロート位置P1から静翼3Aの後縁位置P2までの範囲に、軸方向において外周面10の後縁位置を含み且つ静翼3Aの後縁位置P2より下流側だけでなく上流側も含む範囲に形成されている。
【0026】
また、各窪み部18は、スロート17の下流側における蒸気の流れ方向(言い換えれば、上述した絶対速度ベクトルC2の向き)に沿って形成されている。詳しく説明すると、周方向における窪み部18の各断面は、例えば略三角形状をなし、各断面の底を結んだ直線が蒸気の流れ方向となっている。また、各窪み部18は、蒸気の流れ方向に沿って徐々に深くなるように形成されている。これにより、蒸気の流れ方向に対する影響を抑えるようになっている。
【0027】
本実施形態では、ダイヤフラム内輪4の外周面10の窪み部18により、その周方向の範囲における主流路8の幅が拡大する。これにより、その周方向の範囲における蒸気の流速が低下し、静圧が上昇する。したがって、周方向における圧力差を低減して、周方向における流れの違いを抑えることができる。その結果、干渉損失や、下流側の動翼6の二次流れ損失を低減することができる。
【0028】
また、本実施形態では、窪み部18は、軸方向において静翼3Aの後縁位置P2より下流側だけでなく上流側も含む範囲に形成されている。すなわち、静翼3Aの負圧面15の近くまで形成されている。これにより、図5で示すように、窪み部18を形成しない場合の比較例と比べ、静翼3Aの負圧面15における静圧が上昇する。したがって、静翼の正圧面と負圧面の差圧を低減して、静翼の二次流れ損失を低減することができる。
【0029】
なお、第1の実施形態において、窪み部18は、周方向において静翼3Aの負圧面15上のスロート位置P1から静翼3Aの後縁位置P2までの範囲に形成された場合を例にとって説明したが、これに限られず、前述した範囲内に形成されていればよい。具体的に説明すると、窪み部18は、スロート位置P1に対して例えば翼間のピッチ長Lの10%程度だけ後縁位置P2側に移動した位置から、形成されてもよい。また、窪み部18は、後縁位置P2に対して例えば翼間のピッチ長Lの10%程度だけスロート位置P1側に移動した位置まで、形成されてもよい。このような場合も、上記同様の効果を得ることができる。
【0030】
あるいは、窪み部18は、周方向において静翼3Aの負圧面15上のスロート位置P1から静翼3Aの後縁位置P2までの範囲より、若干はみ出して形成されてもよい。具体的に説明すると、窪み部18は、スロート位置P1に対して例えば翼間のピッチ長Lの10%程度だけ後縁位置P2とは反対側に移動した位置から、形成されてもよい。また、窪み部18は、後縁位置P2に対して例えば翼間のピッチ長Lの10%程度だけスロート位置P1とは反対側に移動した位置まで、形成されてもよい。このような場合も、上記同様の効果を得ることができる。
【0031】
また、第1の実施形態において、窪み部18は、軸方向において静翼3Aの後縁位置P2より下流側だけでなく上流側も含む範囲に形成された場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、静翼の二次流れ損失の低減を図る効果が得られないものの、窪み部18は、軸方向において静翼3Aの後縁位置P2より下流側だけを含む範囲に形成されてもよい。
【0032】
本発明の第2の実施形態を、図6及び図7を用いて説明する。なお、本実施形態において、第1の実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜、説明を省略する。
【0033】
図6は、本実施形態におけるダイヤフラム内輪の外周面の構造を表す展開図である。図7は、図6中矢印VII方向から見た図である。なお、図6中の点線は、窪み部及び突起部の等高線を示している。
【0034】
本実施形態のダイヤフラム内輪4の外周面10は、第1の実施形態と同様、ほぼ円筒面であり、この円筒面から半径方向の内側に窪んだ複数の窪み部18を有している。本実施形態のダイヤフラム内輪4の外周面10は、更に、円筒面から半径方向の外側に突出した複数の突起部19を有している。
【0035】
各突起部19は、隣り合う静翼3Aの負圧面15と静翼3Bの正圧面16の間の距離が最も小さくなるスロート17より下流側であって、周方向において静翼3Aの負圧面15上のスロート位置P1から静翼3Bの後縁位置P3までの範囲に、軸方向において外周面10の後縁位置を含み且つ静翼3Bの後縁位置P3より下流側だけでなく上流側も含む範囲に形成されている。
【0036】
また、各突起部19は、軸方向に沿って形成されている。詳しく説明すると、周方向における突起部19の各断面は、例えば略三角形状をなし、各断面の頂を結んだ直線が軸方向となっている。また、各突起部19は、軸方向の下流側に向かって徐々に高くなるように形成されている。
【0037】
本実施形態では、ダイヤフラム内輪4の外周面10の突起部19により、その周方向の範囲における主流路8の幅が縮小する。これにより、その周方向の範囲における蒸気の流速が上昇し、静圧が低下する。したがって、第1の実施形態と比べ、周方向における圧力差を更に低減して、周方向における流れの違いを更に抑えることができる。その結果、干渉損失や、下流側の動翼6の二次流れ損失を更に低減することができる。
【0038】
なお、第2の実施形態において、突起部19は、周方向において静翼3Aの負圧面15上のスロート位置P1から静翼3Bの後縁位置P3までの範囲に形成された場合を例にとって説明したが、これに限られず、前述した範囲内に形成されていればよい。具体的に説明すると、突起部19は、スロート位置P1に対して例えば翼間のピッチ長Lの10%程度だけ後縁位置P3側に移動した位置から、形成されてもよい。また、突起部19は、後縁位置P3に対して例えば翼間のピッチ長Lの10%程度だけスロート位置P1側に移動した位置まで、形成されてもよい。このような場合も、上記同様の効果を得ることができる。
【0039】
あるいは、突起部19は、周方向において静翼3Aの負圧面15上のスロート位置P1から静翼3Bの後縁位置P3までの範囲より、若干はみ出して形成されてもよい(但し、その分、窪み部18を小さくする必要がある)。具体的に説明すると、突起部19は、スロート位置P1に対して例えば翼間のピッチ長Lの10%程度だけ後縁位置P3とは反対側に移動した位置から、形成されてもよい。また、突起部19は、後縁位置P3に対して例えば翼間のピッチ長Lの10%程度だけスロート位置P1とは反対側に移動した位置まで、形成されてもよい。このような場合も、上記同様の効果を得ることができる。
【0040】
また、第2の実施形態において、突起部19は、軸方向において静翼3Bの後縁位置P3より下流側だけでなく上流側も含む範囲に形成された場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、突起部19は、軸方向において静翼3Bの後縁位置P3より下流側だけを含む範囲に形成されてもよい。
【0041】
また、第1及び第2の実施形態においては、本発明の特徴をダイヤフラム内輪4の外周面10に適用した場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、ダイヤフラム外輪2の内周面9、シュラウド7の内周面11、ロータ5の外周面12のうちのいずれかに適用してもよい。
【0042】
また。第1及び第2の実施形態においては、本発明を蒸気タービンに適用した場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、ガスタービンに適用してもよい。
【符号の説明】
【0043】
2 ダイヤフラム外輪
3,3A,3B 静翼
4 ダイヤフラム内輪
5 ロータ
6 動翼
7 シュラウド
8 主流路
9 ダイヤフラム外輪の内周面
10 ダイヤフラム内輪の外周面
11 シュラウドの内周面
12 ロータの外周面
15 負圧面
16 正圧面
17 スロート
18 窪み部
19 突起部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7