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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】集塵装置及び電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/10 20060101AFI20221208BHJP
   A47L 5/24 20060101ALI20221208BHJP
   A47L 9/16 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
A47L9/10 D
A47L5/24 A
A47L9/16
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019101209
(22)【出願日】2019-05-30
(65)【公開番号】P2020192243
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】大下 悟
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 毅
(72)【発明者】
【氏名】市野 雄之
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/168754(WO,A1)
【文献】特開2006-204882(JP,A)
【文献】特開2014-033807(JP,A)
【文献】特開2013-034751(JP,A)
【文献】特開2017-023231(JP,A)
【文献】特開2012-040149(JP,A)
【文献】特表2016-522052(JP,A)
【文献】特開2014-033718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 5/24
A47L 9/10
A47L 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
含塵空気から塵埃を分離する第一分離部と、
前記第一分離部により分離されなかった塵埃を分離する第二分離部と、
前記第一分離部及び前記第二分離部により分離された塵埃を集積する容器と、を備え、
前記容器は、
含塵空気が導入される導入口と、
前記第一分離部で分離された塵埃を集積する第一集積部と、
前記第二分離部で分離された塵埃を集積する第二集積部と、
前記第一集積部側から前記第二集積部側に向かい徐々に内側に縮小して突出する突出部と、を有し、
前記第一分離部は、前記導入口から前記容器に導入される含塵空気を前記容器の内面に沿って旋回させて塵埃を遠心分離する遠心分離部であり、
前記突出部は、前記第一集積部側から前記第二集積部側に向かい徐々に内側へと傾斜し前記第一分離部に位置する第一傾斜面を備え、
前記導入口は、少なくとも一部が前記第一傾斜面と対向する位置にある
ことを特徴とする集塵装置。
【請求項2】
前記容器は、前記突出部に対応する位置の外面に凹部を有する
ことを特徴とする請求項1記載の集塵装置。
【請求項3】
前記容器は、前記導入口から導入されて内面に沿って旋回された含塵空気を前記容器の内側にガイドするガイドを有する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の集塵装置。
【請求項4】
前記導入口と連通する本体吸込口を備える電気機器に設けられる集塵装置であって、
中心軸が前記本体吸込口の中心軸と交差し、
前記導入口は、前記中心軸間の位置にある
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の集塵装置。
【請求項5】
前記第一分離部は、前記容器の内側に位置して前記第二分離部へと排気する排気部を備え、
前記排気部は、少なくとも一部が前記突出部と対向する位置にある
ことを特徴とする請求項1ないしいずれか一記載の集塵装置。
【請求項6】
前記容器は、前記第一集積部と前記第二集積部との外面の最大径が、前記突出部を挟んで等しく設定されている
ことを特徴とする請求項1ないしいずれか一記載の集塵装置。
【請求項7】
前記第二分離部を有し、前記容器に着脱可能に取り付けられて前記容器との間に前記第一分離部を構成する取付部を備え、
前記突出部は、前記第二集積部側から前記第一集積部側に向かい徐々に内側へと傾斜する第二傾斜面を備え、
前記取付部は、前記第二傾斜面に圧接されて前記第一集積部と前記第二集積部とをシールするシール体を有する
ことを特徴とする請求項1ないし6いずれか一記載の集塵装置。
【請求項8】
請求項1ないし7いずれか一記載の集塵装置を備える
ことを特徴とする電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、第一分離部及び第二分離部により分離された塵埃を集積する容器を有する集塵装置及びこれを備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気掃除機等に使用される集塵装置として、粗塵と細塵とをそれぞれ分離する分離部を備えるものがある。分離部で分離された粗塵と細塵とは、容器の内部の第一集積部と第二集積部とに集積される。集積された塵埃を廃棄する際には、第二集積部側を下側とするように容器を逆さにし、容器の端部の塵埃廃棄口から塵埃を廃棄する。このとき、第二集積部が第一集積部に対し拡開状に形成されている容器の場合、第一集積部に集積された塵埃がそのまま塵埃廃棄口から飛び散るおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-33718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、塵埃を廃棄する際の飛び散りを抑制できる集塵装置及びこれを備えた電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の集塵装置は、第一分離部と、第二分離部と、容器と、を備える。第一分離部は、含塵空気から塵埃を分離する。第二分離部は、第一分離部により分離されなかった塵埃を分離する。容器は、第一分離部及び第二分離部により分離された塵埃を集積する。容器は、含塵空気が導入される導入口と、第一集積部と、第二集積部と、突出部と、を有する。第一集積部は、第一分離部で分離された塵埃を集積する。第二集積部は、第二分離部で分離された塵埃を集積する。突出部は、第一集積部側から第二集積部側に向かい徐々に内側に縮小して突出する。第一分離部は、導入口から容器に導入される含塵空気を容器の内面に沿って旋回させて塵埃を遠心分離する遠心分離部である。突出部は、第一集積部側から第二集積部側に向かい徐々に内側へと傾斜し第一分離部に位置する第一傾斜面を備える。導入口は、少なくとも一部が第一傾斜面と対向する位置にある
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態の集塵装置の容器を示す断面図である。
図2】同上容器から塵埃を廃棄する状態を示す断面図である。
図3】同上集塵装置の断面図である。
図4】同上集塵装置の一部を拡大して示す断面図である。
図5】同上集塵装置を備える電気掃除機の断面図である。
図6】同上電気掃除機の正面図である。
図7】同上電気掃除機の平面図である。
図8】同上電気掃除機の斜視図である。
図9】第2の実施形態の集塵装置の容器を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0008】
図3において、DCは集塵装置を示す。集塵装置DCは、含塵空気から塵埃を分離して集積する。集塵装置DCは、円筒状に形成されている。集塵装置DCは、塵埃を溜める容器1を備えている。また、集塵装置DCは、容器1に取り付けられる取付部2を備えている。集塵装置DCには、塵埃を分離する第一分離部3及び第二分離部4が形成される。第一分離部3及び第二分離部4は、任意の塵埃分離方式としてよい。本実施形態において、第一分離部3及び第二分離部4は、それぞれ塵埃を遠心分離する遠心分離部である。
【0009】
容器1は、集塵装置DCの一端部をなす。図1に示すように、容器1は、円筒状の壁部10を備えている。また、容器1は、円形状の底部11を備えている。壁部10の一端部が底部11により閉塞されている。つまり、容器1は、有底円筒状に形成されている。壁部10の他端部は、塵埃廃棄口12となっている。図3に示すように、塵埃廃棄口12には、取付部2が着脱可能となっている。塵埃廃棄口12は、取付部2の脱着により開閉される。容器1の中心軸は、集塵装置DCの中心軸A1と一致、又は略一致している。
【0010】
また、容器1は、第一集積部13を備えている。第一集積部13は、第一分離部3により分離された塵埃を集積する。第一集積部13は、容器1の一端部に形成されている。第一集積部13は、壁部10と底部11とにより囲まれている。
【0011】
さらに、容器1は、第二集積部14を備えている。第二集積部14は、第二分離部4により分離された塵埃を集積する。第二集積部14は、容器1の他端部に形成されている。第二集積部14は、第一集積部13と隣接して形成されている。第二集積部14は、壁部10により周囲が囲まれている。また、第二集積部14は、容器1に対して取付部2が取り付けられた状態で取付部2と壁部10との間に形成される。
【0012】
また、図1に示すように、容器1は、突出部15を備えている。突出部15は、第一集積部13と第二集積部14との境界の位置にある。突出部15は、第一集積部13側から第二集積部14側に向かい徐々に内側に縮小して突出する。つまり、突出部15は、容器1の一端部から他端部に向かって縮径された第一傾斜面151を有する。本実施形態において、第一傾斜面151は、一定又は略一定の傾斜角度で傾斜する線形テーパ部である。また、本実施形態において、突出部15は、第二集積部14側から第一集積部13側に向かい徐々に内側に縮小して突出する。つまり、本実施形態において、突出部15は、容器1の他端部から一端部に向かって縮径された第二傾斜面152を有する。本実施形態において、第二傾斜面152は、一定又は略一定の傾斜角度で傾斜する線形テーパ部である。また、本実施形態において、容器1の軸方向に対する第二傾斜面152の傾斜角度は、第一傾斜面151の傾斜角度よりも大きく設定されている。突出部15は、第一傾斜面151と第二傾斜面152とが容器1の軸方向に段差状に連なって形成されている。突出部15は、第一傾斜面151と第二傾斜面152とが連なる位置で最も径寸法が小さくなっている。また、図3に示すように、突出部15は、第一傾斜面151と第二傾斜面152とが連なる位置で取付部2を受けるようになっている。つまり、突出部15は、容器1に対し取付部2を支持する支持部である。本実施形態において、突出部15は、容器1の軸方向において、他端部寄りに配置されている。つまり、本実施形態において、第一集積部13の集積量が第二集積部14の集積量よりも大きく設定されている。
【0013】
また、図1に示すように、容器1は、突出部15を挟んで第一集積部13側と第二集積部14側との最大径が等しく、又は略等しく設定されている。本実施形態において、容器1は、突出部15から離れるに従い内面及び外面が徐々に拡径されている。つまり、容器1は、第一集積部13において、底部11側の端部が最大径となっている。また、容器1は、第二集積部14において、塵埃廃棄口12側の端部が最大径となっている。すなわち、底部11の径寸法と塵埃廃棄口12の径寸法とは、互いに等しく、又は略等しく設定されている。
【0014】
容器1の外面には、突出部15に対応する位置に凹部16が形成されている。図2に示すように、凹部16は、容器1を掴む際に指Fを掛ける指掛け部となっている。図1に示すように、凹部16は、突出部15の形状に沿って形成されている。凹部16は、第一集積部13側から第二集積部14側に向かい徐々に縮小されている。つまり、凹部16は、容器1の一端部から他端部に向かって縮径された第一外部傾斜面161を有する。第一外部傾斜面161は、突出部15の第一傾斜面151の外面をなしている。また、本実施形態において、凹部16は、第二集積部14側から第一集積部13側に向かい徐々に内側に縮小されている。つまり、本実施形態において、凹部16は、容器1の他端部から一端部に向かって縮径された第二外部傾斜面162を有する。第二外部傾斜面162は、突出部15の第二傾斜面152の外面をなしている。凹部16は、第一外部傾斜面161と第二外部傾斜面162とが容器1の軸方向に連なって形成されている。容器1は、凹部16の位置で括れて形成されている。
【0015】
図3に示すように、容器1には、含塵空気を内部に導入する導入口17が形成されている。導入口17は、容器1の壁部10から径方向に沿って突出されている。導入口17は、容器1の壁部10の内面に対して法線方向に沿って開口されている。図4に示すように、導入口17の開口縁部には、含塵空気を容器1の壁部10の内面の接線方向に導く第一接線方向ガイド171及び第二接線方向ガイド172が形成されている。第一接線方向ガイド171及び第二接線方向ガイド172は、導入口17において、容器1の周方向の両側の位置に形成されている。第一接線方向ガイド171は、第二接線方向ガイド172側に向かい、容器1の内側に徐々に傾斜して形成されている。第一接線方向ガイド171から第二接線方向ガイド172の方向に向かい、含塵空気がガイドされるようになっている。
【0016】
また、図3に示すように、導入口17は、容器1の周方向及び軸方向に広がって開口されている。本実施形態において、導入口17は、少なくとも一部が突出部15と対向する位置にある。つまり、導入口17の少なくとも一部は、突出部15に対し、容器1の軸方向にオーバーラップしている。導入口17は、突出部15に対し第一集積部13側の部分と対向している。つまり、導入口17は、突出部15に対し第一傾斜面151の位置に対向している。本実施形態において、導入口17は、他端部側が突出部15の第一傾斜面151と対向している。また、導入口17は、一端部側が突出部15に対して第一集積部13側に延びている。つまり、導入口17は、突出部15に対し第二傾斜面152の位置には対向していない。
【0017】
また、図4に示すように、容器1には、ガイド18が形成されている。ガイド18は、導入口17から導入されて容器1の壁部10の内面に沿って旋回された含塵空気を容器1の内側にガイドする。ガイド18は、容器1の壁部10の内面に突設されている。ガイド18は、壁部10の内面に沿う円弧に対し、旋回流の下流側に向かって容器1の内側へと徐々に突出するように形成されている。本実施形態において、ガイド18は、第一接線方向ガイド171の近傍に配置されている。ガイド18は、導入口17に近づくほど徐々に容器1の内側に突出するように形成されている。
【0018】
また、図3に示すように、容器1には、集塵装置DCを機器本体に対し位置決めする位置決め部19が形成されている。位置決め部19は、容器1の側部に位置している。本実施形態において、位置決め部19は、容器1の一端部寄りの側部に配置されている。また、本実施形態において、位置決め部19は、導入口17と同側に位置している。
【0019】
容器1には、取付部2が取り付けられる。取付部2は、集塵装置DCの他端部をなす。容器1と取付部2とは、集塵装置DCの軸方向に互いに着脱される。取付部2は、容器1に導入された空気を排出する排出部である。取付部2は、容器1と等しい、又は略等しい最大径を有する円筒状に形成されている。取付部2は、容器1の第一集積部13又は第二集積部14の最大径と等しい、又は略等しい円筒状に形成されている。取付部2は、容器1に取り付けられた状態で、容器1と同軸状に位置する。
【0020】
取付部2は、排気部20を備えている。排気部20は、第一分離部3の一部をなす。排気部20は、取付部2が容器1に取り付けられた状態で容器1の内部に位置する。排気部20は、円筒状に形成されている。排気部20は、通気開口部201を備えている。排気部20は、通気開口部201から第一分離部3の空気を第二分離部4へと排気する。通気開口部201は、排気部20の周方向に複数形成されている。排気部20は、隣接する通気開口部201の間がリブ部202となっている。リブ部202は、排気部20の軸方向に沿って延びている。通気開口部201は、フィルタ203により覆われていてもよい。フィルタ203は、通気開口部201を通過する空気から塵埃の一部を濾過分離する。なお、フィルタ203は、必須の構成ではなく、通気開口部201を微細な孔状に形成することでフィルタ203の代わりとすることも可能である。
【0021】
また、排気部20は、取付部2が容器1に取り付けられた状態で容器1に対し同軸状又は略同軸状に配置される。本実施形態において、排気部20は、取付部2が容器1に取り付けられた状態で容器1の内面との間に含塵空気の旋回流を形成する。排気部20は、取付部2が容器1に取り付けられた状態で旋回流の中心側に位置する。また、排気部20は、取付部2が容器1に取り付けられた状態で少なくとも一部が突出部15と対向する位置にある。つまり、排気部20の少なくとも一部は、取付部2が容器1に取り付けられた状態で、突出部15に対し容器1の軸方向にオーバーラップしている。また、排気部20は、取付部2が容器1に取り付けられた状態で突出部15よりも両端部が軸方向に延びて位置する。
【0022】
取付部2は、コーン部21を備えている。コーン部21は、第二分離部4の少なくとも一部をなす。コーン部21は、一端部から他端部へと徐々に縮径される円筒状に形成されている。コーン部21の中心軸は、取付部2の軸方向と平行、又は、取付部2の軸方向に対して傾斜している。また、コーン部21は、取付部2が容器1に取り付けられた状態で、径寸法が大きい側の一端部が容器1とは反対側に位置し、径寸法が小さい側の他端部が容器1側に位置する。本実施形態において、コーン部21は、複数備えられている。複数のコーン部21は、集塵装置DCの中心軸A1の周囲に円弧状に配置される。
【0023】
コーン部21は、第一分離部3を通過した含塵空気を内部で旋回させる。つまり、取付部2は、排気部20とコーン部21とを連通する通気風路部22を備えている。通気風路部22は、第一分離部3と第二分離部4とを接続する風路である。通気風路部22は、排気部20の端部と接続される。通気風路部22は、通気開口部201と連通する。通気風路部22は、複数のコーン部21の間の位置に配置されている。本実施形態において、通気風路部22は、取付部2の中心軸に沿って形成されている。通気風路部22は、好ましくは、上流側よりも下流側の風路断面積が小さく設定されている。本実施形態において、通気風路部22は、上流側から下流側へと風路断面積が徐々に小さくなる部分を有している。
【0024】
コーン部21は、径寸法が大きい側の一端部の側部に、第一分離部3を通過した含塵空気が導入される空気導入口211が形成されている。空気導入口211は、通気風路部22と連通する。空気導入口211は、コーン部21の軸方向に対して交差する方向に開口されている。また、空気導入口211は、コーン部21の接線方向に沿って含塵空気を導入するように形成されている。また、コーン部21は、径寸法が大きい側の一端部に塵埃を分離した空気を排出する空気排出口を備えている。空気排出口は、コーン部21の中心軸に沿って開口されている。さらに、各コーン部21は、径寸法が小さい側の他端部が、第二分離部4で分離された塵埃を排出する塵埃排出口213となっている。塵埃排出口213は、取付部2の外部と連通して開口される。取付部2が容器1に取り付けられた状態で、塵埃排出口213は、容器1の第二集積部14と連通する。
【0025】
取付部2は、第二分離部4を通過した空気を集塵装置DCの外部へと排出する排気口23を備えている。排気口23は、コーン部21と連通している。本実施形態において、排気口23は、コーン部21の空気排出口と連通している。排気口23は、取付部2において、容器1とは反対側の端部に形成されている。排気口23には、第二分離部4から排出される空気が通過するフィルタ体231が配置されていてもよい。
【0026】
本実施形態において、取付部2は、拡大部24を備えている。拡大部24は、第一分離部3の一部をなす。また、拡大部24は、第一分離部3で分離された塵埃を圧縮する機能を有する。拡大部24は、取付部2が容器1に取り付けられた状態で容器1の内部に位置する。拡大部24は、排気部20の通気風路部22とは反対側の端部に連なって配置されている。拡大部24は、排気部20よりも外径が大きい円筒状に形成されている。拡大部24は、排気部20と同軸状に位置している。つまり、拡大部24は、容器1に対し同軸状又は略同軸状に配置される。なお、拡大部24は、必須の構成ではない。
【0027】
また、本実施形態において、取付部2は、被支持部25を備えている。被支持部25は、排気部20の拡大部24とは反対側の端部の周囲に配置されている。被支持部25は、排気部20の外側に位置している。被支持部25は、一端部から他端部へと徐々に拡径する円筒状に形成されている。被支持部25は、拡径された他端部側が、取付部2が容器1に取り付けられた状態で突出部15と当接して、容器1に対する取付部2の軸方向の位置を規制する。被支持部25は、取付部2が容器1に取り付けられた状態で第一集積部13と第二集積部14とを仕切る仕切り部である。被支持部25の拡径された他端部には、シール体251が取りつけられていてもよい。シール体251は、取付部2が容器1に取り付けられた状態で突出部15と圧接される。
【0028】
また、被支持部25は、コーン部21の径寸法が小さい側の他端部に対向する位置にある。被支持部25には、塵埃排出口213から排出された塵埃を第二集積部14に導く塵埃ガイド部252が形成されている。塵埃ガイド部252は、被支持部25の拡径に従い傾斜している。つまり、塵埃ガイド部252は、塵埃排出口213側から第二集積部14側に向かい傾斜している。塵埃ガイド部252の傾斜は、容器1の突出部15の第二傾斜面152と交差する方向となっている。なお、被支持部25は、必須の構成ではない。
【0029】
また、本実施形態において、取付部2は、集塵装置DCを機器本体に対して係止するための係止部26を備えている。係止部26は、取付部2の外部に位置している。係止部26は、使用者の操作により機器本体への係止を解除可能となっている。係止部26は、取付部2が容器1に取り付けられた状態で、集塵装置DCにおいて導入口17とは反対側の側部に位置する。係止部26は、集塵装置DCにおいて、位置決め部19の対角に位置する。なお、係止部26は、機器本体に設けられていてもよい。
【0030】
第一分離部3は、容器1に対して取付部2が取り付けられた状態で、少なくとも容器1と取付部2の排気部20とにより形成される。第一分離部3は、導入口17から容器1内に導入された含塵空気を容器1の内面に沿って排気部20の周囲で旋回させることにより、含塵空気中の大きい塵埃つまり粗塵を遠心分離するようになっている。
【0031】
第二分離部4は、取付部2の内部にコーン部21により形成される。第二分離部4は、第一分離部3を通過した含塵空気をコーン部21の内面に沿って旋回させることにより、第一分離部3で分離されなかった小さい塵埃つまり細塵又は微細塵を遠心分離するようになっている。
【0032】
そして、図8に示すように、本実施形態の集塵装置DCは、電気機器、好ましくは電気掃除機VCに用いられる。本実施形態においては、電気掃除機VCとして、スティック型のコードレス電気掃除機を例に挙げて説明する。以下、説明をより明確にするために、使用者が電気掃除機VCを把持した状態で、使用者から遠い側の端部を一端部、使用者に近い側の端部を他端部とする。スティック型の電気掃除機VCは、一端部から他端部に亘り長手状に形成されている。以下、両端方向又は長手方向を第一方向とする。また、第一方向に対して直交する両側方向又は幅方向を第二方向とする。さらに、第一方向及び第二方向に対して直交する方向を第三方向とする。図8等において、第一方向の一方又は一端側を矢印D1aで示し、第一方向の他方又は他端側を矢印D1bで示す。また、第二方向の一方を矢印D2aで示し、第二方向の他方を矢印D2bで示す。また、第三方向の一方を矢印D3aで示し、他方を矢印D3bで示す。
【0033】
図5に示すように、集塵装置DCは、電気掃除機VCの機器本体である掃除機本体5に対し、中心軸A1を第一方向に沿わせ、容器1側の端部を第一方向の一方側、取付部2側の端部を第一方向の他方側とした状態で取り付けられる。この状態で、集塵装置DCは、導入口17が第三方向の一方側、係止部26が第三方向の他方側となるように位置する。
【0034】
電気掃除機VCは、機器本体である掃除機本体5を備えている。掃除機本体5は、吸込部50を備えている。吸込部50は、延長管や吸込口体等の風路体が接続可能な部分である。吸込部50は、掃除機本体5の一端部に位置している。吸込部50は、筒状に形成されている。吸込部50は、第一方向の一方に向かい、第三方向の他方へと傾斜している。吸込部50には、集塵装置DCを位置決めする受け部501が形成されている。受け部501には、集塵装置DCの位置決め部19が挿入される。受け部501は、吸込部50の第三方向の他方側に形成されている。
【0035】
また、吸込部50の一端部又は先端部には、本体吸込口502が形成されている。本体吸込口502は、第一方向の一方に向かい、第三方向の他方へと傾斜する方向に開口されている。本体吸込口502の中心軸A2は、集塵装置DCが掃除機本体5に取り付けられた状態で、集塵装置DCの中心軸A1に対し集塵装置DCの一端部側、つまり集塵装置DCの第一方向の一方側の位置で交差する。また、吸込部50の内部には、本体吸込口502と連通して吸込風路503が形成されている。吸込風路503の上流端が本体吸込口502となっている。また、吸込風路503の下流端は、接続開口部504となっている。接続開口部504は、集塵装置DCの導入口17と接続される。図5及び図6に示すように、集塵装置DCの導入口17は、集塵装置DCが掃除機本体5に取り付けられた状態で、集塵装置DCの中心軸A1と本体吸込口502の中心軸A2との間に位置する。図7に示すように、集塵装置DCの導入口17は、電気掃除機VCの第二方向の中央部に位置する。
【0036】
また、図5に示すように、掃除機本体5は、筐体52を備えている。筐体52は、掃除機本体5の他端部に位置している。筐体52は、第一方向に沿って形成されている。筐体52の第一方向の一方側、かつ、吸込部50の第三方向の他方側に集塵装置DCが取り付けられる。また、筐体52には、電動送風機6、電池7、及び、制御手段8が配置される。さらに、筐体52の一端部又は先端部には、接続口521が形成されている。接続口521は、第一方向に沿って開口されている。接続口521は、集塵装置DCの排気口23と接続される。筐体52の内部には、接続口521と連通して風路部522が形成されている。風路部522の上流端が接続口521となっている。風路部522に電動送風機6が配置される。また、風路部522の下流端は、図7に示す本体排気口523となっている。さらに、図5に示すように、筐体52には、集塵装置DCの係止部26が係脱可能となっている。
【0037】
さらに、掃除機本体5は、掃除操作用の把持部54を備えている。把持部54は、吸込部50から筐体52に亘り形成されている。本実施形態において、把持部54は、一端側が吸込部50に接続されている。また、把持部54は、他端側が筐体52に接続されている。把持部54には、電動送風機6等の動作を設定する設定手段541が配置されている。設定手段541は、制御手段8に対し、設定に応じた信号を送出する。
【0038】
次に、第1の実施形態の動作を説明する。
【0039】
図3に示すように、集塵装置DCは、容器1に対し、取付部2を取り付けることで組み立てられる。取付部2は、被支持部25の端部が容器1の突出部15に支持されることで、容器1に対して位置決めされる。この状態で、被支持部25の端部にあるシール体251が突出部15に圧接されて、容器1の内部が第一集積部13と第二集積部14とに仕切られる。取付部2の排気部20が容器1の導入口17に対向して容器1と同軸に配置される。また、集塵装置DCにおいては、導入口17から、第一分離部3、通気風路部22、第二分離部4、排気口25に至る風路が形成される。
【0040】
図5に示すように、使用者は、組み立てた集塵装置DCを掃除機本体5に取り付ける。集塵装置DCを掃除機本体5に取り付ける際には、集塵装置DCの位置決め部19を掃除機本体5の受け部501に挿入し、位置決め部19及び受け部501を支点として集塵装置DCを回動させて、係止部26を筐体52に係止する。電気掃除機VCは、本体吸込口502が集塵装置DCと連通し、集塵装置DCが電動送風機6の吸込側と連通することで、本体吸込口502から集塵装置DC、電動送風機6、図7に示す本体排気口523に至る風路が形成される。
【0041】
図5に示すように、本実施形態では、集塵装置DCを掃除機本体5に取り付けると、集塵装置DCの導入口17が掃除機本体5の接続開口部504に接続されて集塵装置DCの吸込側が吸込風路503と連通され、集塵装置DCの排気口23が掃除機本体5の接続口521に接続されて集塵装置DCの排気側が風路部522と連通される。
【0042】
使用者が把持部54を把持し、設定手段541を操作すると、設定手段541の操作に応じて制御手段8が電動送風機6を動作させる。電動送風機6の動作により生じた負圧が本体吸込口502を介して作用することで被掃除面から含塵空気を集塵装置DCに吸い込む。
【0043】
使用者は、把持部54によって電気掃除機VCを前後に移動させながら、本体吸込502、又は、本体吸込口502に接続された風路体によって被掃除面の塵埃を吸い込ませる。
【0044】
本体吸込口502から吸い込まれた含塵空気は、導入口17から集塵装置DCの容器1の内部へと導入される。このとき、図4の矢印に示すように、導入口17には、第一接線方向ガイド171及び第二接線方向ガイド172が配置されているため、導入口17から導入される含塵空気は、容器1の内面に沿って接線方向に導かれ、容器1の内面に沿って旋回する。また、図3に示すように、旋回流は、導入口17と対向する突出部15の第一傾斜面151により第一集積部13側へと整流される。含塵空気中の塵埃のうち、粗塵は、旋回により生じる遠心力によって空気から遠心分離され、容器1の内面に沿って第一集積部13に集積される。
【0045】
第一分離部3の旋回流は、その中央部に位置する排気部20から、通気風路部22へと通過する。排気部20の通気開口部201は、フィルタ203により覆われているため、塵埃の一部がフィルタ203により濾過分離される。フィルタ203等、排気部20の外面に付着した塵埃は、旋回流により剥がされて第一集積部13に集積される。第一集積部13に集積された塵埃は、気流によって拡大部24の内部に向けて押し込まれて圧縮される。
【0046】
通気風路部22へと通過した含塵空気は、第二分離部4へと導入される。第二分離部4をなすコーン部21へと流入する含塵空気は、空気導入部211によりコーン部21の内面の接線方向に沿って導かれ、コーン部21の内面に沿って旋回する。含塵空気中の塵埃に残留した細塵又は微細塵は、旋回により生じる遠心力によって空気から分離され、コーン部21の塵埃排出口213から排出され、第二集積部14に集積される。
【0047】
第二分離部4の旋回流は、コーン部21の中央部に位置する空気排出口から排出されるとともに、排気口23を介して集塵装置DCから排出される。このとき、空気がフィルタ体231を通過することで、仮に塵埃が僅かに残留していたとしてもそれら塵埃はフィルタ体231により濾過分離される。
【0048】
図5に示すように、集塵装置DCで塵埃が分離捕集された空気は、電動送風機6に吸い込まれ、図7に示す本体排気口523から排気風として排出される。
【0049】
掃除を終了する際には、使用者が設定手段541を操作すると、制御手段8が電動送風機6を停止させる。
【0050】
集塵装置DCに集積された塵埃は、集塵装置DCからごみ箱等に廃棄可能である。この場合、使用者は、まず、集塵装置DCを掃除機本体5から取り外す。本実施形態では、使用者は、係止部26を操作することで集塵装置DCの掃除機本体5に対する係止を解除し、位置決め部19及び受け部501を支点として集塵装置DCを回動させて、掃除機本体5から集塵装置DCを取り外す。
【0051】
掃除機本体5から取り外した集塵装置DCは、さらに取付部2を容器1から取り外す。図2に示すように、使用者は、容器1の凹部16に沿って指Fを掛け、容器1をごみ箱等の上で逆さにし、塵埃廃棄口12から塵埃を廃棄する。
【0052】
このとき、第1の実施形態によれば、容器1の内部に突出する突出部15が、第一集積部13側から第二集積部14側に向かい徐々に内側に縮小しているため、第一集積部13に集積された塵埃が塵埃廃棄口12へと移動する際に図2の矢印に示すように突出部15に沿って容器1の内側へと向かうことで、塵埃が飛び散りにくい。
【0053】
また、容器1の突出部15に対応する位置の外面に凹部16が形成されているため、凹部16に指Fを掛けることで集塵装置DC及び容器1を持ちやすくなるとともに、塵埃を廃棄する際に、凹部16に指Fを掛けた状態で容器1を逆さにしても、凹部16の位置で容器1が使用者の指Fに確実に引っ掛かって滑り止めとなるので、塵埃を廃棄しやすい。
【0054】
導入口17の少なくとも一部が突出部15と対向する位置にあるため、突出部15の傾斜、本実施形態では第一傾斜面151の傾斜が、導入口17から容器1の内部に導入された含塵空気を第一集積部13側へと整流するガイドとなる。そのため、第一分離部3において塵埃を遠心分離するための風速が落ちにくく、分離効率がよい。
【0055】
第一分離部3から第二分離部4へと排気する排気部20の少なくとも一部が突出部15と対向する位置にあるため、流速が外側よりも遅くなる第一分離部3の旋回流の中心側の風速を速く保つことができ、排気部20の外面に塵埃が引っ掛かりにくくなる。特に、排気部20の外面にフィルタ203を備える場合、フィルタ203に塵埃が引っ掛かりにくくなる。
【0056】
導入口17から導入されて内面に沿って旋回された含塵空気をガイド18によって容器1の内側にガイドするため、導入口17から導入された塵埃が導入口17まで旋回してきたときに、遠心力によって導入口17からそのまま飛び出してしまうことを抑制できる。
【0057】
また、容器1の第一集積部13と第二集積部14との外面の最大径が、突出部15を挟んで等しく設定されているため、全体としての最大径を大きくすることなく第一集積部13の集塵容積を大きくできるとともに、第二集積部14の外面の最大径を第一集積部13の外面の最大径よりも大きくするものと比較して、集塵装置DCの小型化が期待できる。
【0058】
さらに、集塵装置DCが掃除機本体5に取り付けられた状態で、集塵装置DCの中心軸A1が本体吸込口502の中心軸A2と交差し、かつ、これら中心軸A1,A2の間に導入口17が位置するため、風路を短くでき、圧力損失を抑制できる。また、集塵装置DCが掃除機本体5に取り付けられた状態で、導入口17が第二方向に突出しないため、電気掃除機VCをスリムに形成できる。
【0059】
集塵装置DCを備えることで、塵埃を廃棄しやすく、分離効率が良好な電気掃除機VCを提供できる。
【0060】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について図9を参照して説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0061】
容器1の突出部15は、第一集積部13側から第二集積部14側に向かい内側に徐々に円弧状に縮小して突出している。つまり、本実施形態の突出部15は、第一傾斜面151の傾斜角度が徐々に大きくなるように変化するテーパ部である。
【0062】
このように、突出部15を第一集積部13側から第二集積部14側に向かい内側に徐々に円弧状に縮小させた構成でも、第1の実施形態と同様に、第一集積部13に集積された塵埃が塵埃廃棄口12へと移動する際に突出部15に沿って容器1の内側へと向かうことで、塵埃が飛び散りにくい。
【0063】
なお、各実施形態において、集塵装置DCは、スティック型のコードレス電気掃除機に用いられるものに限られず、床走行型の電気掃除機や、ロボット型の電気掃除機等に用いられるものでもよい。また、集塵装置DCは、電気掃除機に用いられるものに限られず、電気掃除機に捕集された塵埃を移送する基地装置等、その他の電気機器に用いられるものでもよい。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲をこれらの実施形態に限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
A1,A2 中心軸
DC 集塵装置
VC 電気掃除機
1 容器
取付部
3 第一分離部
4 第二分離部
13 第一集積部
14 第二集積部
15 突出部
16 凹部
17 導入口
18 ガイド
20 排気部
151 第一傾斜面
152 第二傾斜面
251 シール体
502 本体吸込口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9