(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】フレームおよび臓器保持具
(51)【国際特許分類】
A01N 1/02 20060101AFI20221208BHJP
F16C 11/06 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
A01N1/02
F16C11/06 Z
(21)【出願番号】P 2019118336
(22)【出願日】2019-06-26
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】虎井 真司
(72)【発明者】
【氏名】吉本 周平
(72)【発明者】
【氏名】小西 克英
【審査官】神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09770237(US,B2)
【文献】特開2003-206201(JP,A)
【文献】国際公開第2019/106936(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/044354(WO,A1)
【文献】特開2012-092114(JP,A)
【文献】特開2006-057842(JP,A)
【文献】特開2011-085173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 1/02
F16C 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
臓器の灌流保存において、臓器に接続されたチューブを保持するフレームであって、
前記臓器の周囲を取り囲むように配置可能な環状の本体部と、
前記本体部に取り付けられる1つまたは複数のチューブクランプパーツと、
を有し、
前記チューブクランプパーツは、前記チューブを保持するチューブ保持部を有し、
前記チューブクランプパーツは、前記本体部の周方向の位置を移動可能に取り付けられる、フレーム。
【請求項2】
請求項1に記載のフレームであって、
前記本体部は、
周方向に繋がる内部空間と、
前記本体部の外部と前記内部空間とを繋ぎ、前記本体部の延びる方向に延びる第1開口と、
を有し、
前記チューブクランプパーツは、
前記第1開口の幅よりも大きい抜け止め部と、
前記第1開口の幅よりも細い柱状の接続部と、
を有し、
前記接続部の一端は、前記抜け止め部に直接固定され、
前記接続部の他端は、直接または間接的に前記チューブ保持部と接続し、
前記チューブクランプパーツが前記本体部に取り付けられた状態において、前記抜け止め部が前記内部空間に配置されるとともに、前記接続部の他端および前記チューブ保持部は前記本体部の外部に配置される、フレーム。
【請求項3】
請求項2に記載のフレームであって、
前記本体部は、
前記本体部の外部と前記内部空間とを繋ぎ、前記第1開口と周方向に連続する第2開口
をさらに有し、
前記第2開口は、前記抜け止め部が通過可能な大きさである、フレーム。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のフレームであって、
前記本体部は、
周方向に間隔を空けて配置される、複数のパーツ固定部
を有し、
前記パーツ固定部は、前記第1開口の縁部から凹む切り欠きであり、前記接続部を嵌合可能である、フレーム。
【請求項5】
請求項2または請求項3に記載のフレームであって、
前記本体部の前記内部空間を構成する内壁は、
前記第1開口が設けられる第1内壁と、
前記第1内壁と対向する第2内壁と、
を含み、
前記抜け止め部は、
前記第1内壁と前記第2内壁との間で拡張して前記第1内壁および前記第2内壁に対して抗力を付与する付勢部材
を有する、フレーム。
【請求項6】
請求項2ないし請求項5のいずれかに記載のフレームであって、
前記チューブクランプパーツは、
前記接続部と前記チューブ保持部との間に介在する、1つまたは2つのボールジョイント部
を有し、
前記ボールジョイント部は、
球状のボール部と、
前記ボール部と球面接触する凹面を有するソケット部と、
を有する、フレーム。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のフレームであって、
前記チューブクランプパーツは、耐熱性樹脂のみ、または、耐熱性樹脂および金属により形成される、フレーム。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のフレームであって、
前記本体部は、
前記本体部の外側面に設けられる把持溝
を有する、フレーム。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のフレームであって、
前記本体部の下面と対向して配置される環状のシート固定枠と、
前記本体部と前記シート固定枠との間に前記臓器を載置する載置シートを挟んだ状態で、前記本体部と前記シート固定枠とを固定する固定具と、
をさらに有する、フレーム。
【請求項10】
臓器の灌流保存において、チューブが接続された臓器を保持する臓器保持具であって、
請求項9に記載のフレームと、
前記本体部と前記シート固定枠との間に固定された前記載置シートと、
を有する、臓器保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臓器を保持する臓器保持具に用いられるフレームと、当該フレームを有する臓器保持具とに関する。
【背景技術】
【0002】
肝臓移植等の移植手術では、ドナーから臓器を摘出した後、当該臓器をレシピエントへ移植するまでの間、一時的に臓器を保存する。摘出された臓器を移植可能な状態で保存するため、種々の保存方法や灌流方法が開発されている。摘出した臓器を保存するためには、例えば、細胞の代謝を抑制するために臓器内血液を低温の臓器保存液に置き換えてから、低温の保存液に浸漬する単純冷却法が知られている。また、保存している臓器内の老廃物の除去を目的として、臓器内血管網に灌流液を灌流させる灌流保存法が知られている。
【0003】
臓器を体外で保存する従来の装置については、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の装置では、疎水性布からなるハンモックに臓器が保持される。しかしながら、特許文献1のように、ハンモックに臓器を載置するだけでは、ハンモックに対する臓器の位置がずれやすい。このため、ドナーとレシピエントとの間で、臓器を損傷させることなく運搬することが困難である。
【0006】
特に、灌流保存を行う際には、臓器内に灌流液を供給したり、臓器から灌流液を排出したりするために、臓器の血管にカテーテル等の送液管や排液管を接続させる。このため、ハンモックに臓器を保持した場合に、これらの管の位置がずれると、臓器に負担がかかり、損傷しやすくなるという問題が生じる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、臓器の灌流保存を行う場合に、臓器に接続された送液管および排液管等のチューブの位置ずれを抑制できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、臓器の灌流保存において、臓器に接続されたチューブを保持するフレームであって、前記臓器の周囲を取り囲むように配置可能な環状の本体部と、前記本体部に取り付けられる1つまたは複数のチューブクランプパーツと、を有し、前記チューブクランプパーツは、前記チューブを保持するチューブ保持部を有し、前記チューブクランプパーツは、前記本体部の周方向の位置を移動可能に取り付けられる。
【0009】
本願の第2発明は、第1発明のフレームであって、前記本体部は、周方向に繋がる内部空間と、前記本体部の外部と前記内部空間とを繋ぎ、前記本体部の延びる方向に延びる第1開口と、を有し、前記チューブクランプパーツは、前記第1開口の幅よりも大きい抜け止め部と、前記第1開口の幅よりも細い柱状の接続部と、を有し、前記接続部の一端は、前記抜け止め部に直接固定され、前記接続部の他端は、直接または間接的に前記チューブ保持部と接続し、前記チューブクランプパーツが前記本体部に取り付けられた状態において、前記抜け止め部が前記内部空間に配置されるとともに、前記接続部の他端および前記チューブ保持部は前記本体部の外部に配置される。
【0010】
本願の第3発明は、第2発明のフレームであって、前記本体部は、前記本体部の外部と前記内部空間とを繋ぎ、前記第1開口と周方向に連続する第2開口をさらに有し、前記第2開口は、前記抜け止め部が通過可能な大きさである。
【0011】
本願の第4発明は、第2発明または第3発明のフレームであって、前記本体部は、周方向に間隔を空けて配置される、複数のパーツ固定部を有し、前記パーツ固定部は、前記第1開口の縁部から凹む切り欠きであり、前記接続部を嵌合可能である。
【0012】
本願の第5発明は、第2発明または第3発明のフレームであって、前記本体部の前記内部空間を構成する内壁は、前記第1開口が設けられる第1内壁と、前記第1内壁と対向する第2内壁と、を含み、前記抜け止め部は、前記第1内壁と前記第2内壁との間で拡張して前記第1内壁および前記第2内壁に対して抗力を付与する付勢部材を有する。
【0013】
本願の第6発明は、第2発明ないし第5発明のいずれかのフレームであって、前記チューブクランプパーツは、前記接続部と前記チューブ保持部との間に介在する、1つまたは2つのボールジョイント部を有し、前記ボールジョイント部は、球状のボール部と、前記ボール部と球面接触する凹面を有するソケット部と、を有する。
【0014】
本願の第7発明は、第1発明ないし第6発明のいずれかのフレームであって、前記チューブクランプパーツは、耐熱性樹脂のみ、または、耐熱性樹脂および金属により形成される。
【0015】
本願の第8発明は、第1発明ないし第7発明のいずれかのフレームであって、前記本体部は、前記本体部の外側面に設けられる把持溝を有する。
【0016】
本願の第9発明は、第1発明ないし第8発明のいずれかのフレームであって、前記本体部の下面と対向して配置される環状のシート固定枠と、前記本体部と前記シート固定枠との間に前記臓器を載置する載置シートを挟んだ状態で、前記本体部と前記シート固定枠とを固定する固定具と、をさらに有する。
【0017】
本願の第10発明は、臓器の灌流保存において、チューブが接続された臓器を保持する臓器保持具であって、第9発明のフレームと、前記本体部と前記シート固定枠との間に固定された前記載置シートと、を有する。
【発明の効果】
【0018】
本願の第1発明から第10発明によれば、臓器に繋がるチューブを、適切な位置でチューブクランプパーツに固定することができる。これにより、臓器とチューブとの相対位置を安定させることができる。したがって、臓器に負担がかかり、損傷するのを抑制できる。
【0019】
特に、本願の第2発明ないし第6発明によれば、チューブの配置の自由度が高くなる。したがって、臓器とチューブとの相対位置を、臓器により負荷がかからない状態で安定させることができる。その結果、臓器にかかる負担をさらに抑制できる。
【0020】
特に、本願の第7発明によれば、フレームに対してオートクレーブ滅菌処理を行うことができる。
【0021】
特に、本願の第8発明によれば、フレームを安定的に持ち運ぶことができる。
【0022】
特に、本願の第9発明および第10発明によれば、フレームに固定された載置シート上に臓器が保持されることにより、臓器と、チューブクランプパーツに固定されたチューブとの相対的な位置関係がより安定する。これにより、臓器にかかる負担をより低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1実施形態に係る灌流装置の構成を示した概略図である。
【
図2】第1実施形態に係る臓器保持具の斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る臓器保持具の側面図である。
【
図4】第1実施形態に係る臓器保持具の部分断面図である。
【
図5】第1実施形態に係る臓器保持具の部分断面図である。
【
図6】第2実施形態に係る臓器保持具の斜視図である。
【
図7】第2実施形態に係る臓器保持具の側面図である。
【
図8】第2実施形態に係るチューブクランプパーツの姿勢のバリエーションを示した斜視図である。
【
図9】第2実施形態に係る臓器保持具の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本願において「ドナー」および「レシピエント」は、ヒトであってもよいし、非ヒト動物であってもよい。すなわち、本願において、「肝臓」を含む「臓器」は、ヒトの臓器であってもよいし、非ヒト動物の臓器であってもよい。また、非ヒト動物は、マウスおよびラットを含む齧歯類、ブタ、ヤギおよびヒツジを含む有蹄類、チンパンジーを含む非ヒト霊長類、その他の非ヒトほ乳動物であってもよいし、ほ乳動物以外の動物であってもよい。
【0025】
<1.第1実施形態>
<1-1.灌流装置の構成>
本発明の第1実施形態に係るフレーム1を有する臓器保持具10を、灌流装置100とともに用いる場合について、
図1を参照しつつ説明する。
図1は、灌流装置100の構成を示した概略図である。なお、フレーム1および臓器保持具10の詳細については、後述する。
【0026】
この灌流装置100は、ドナーから摘出した肝臓等の臓器を、レシピエントへ移植するまでの間、体外で一時的に保存するための装置である。灌流装置100は、当該臓器に灌流液を供給して灌流を行う。以下では、灌流処理の対象となる臓器が肝臓9である場合について、説明を行う。
【0027】
灌流装置100によって灌流処理が行われる際に、肝臓9は、臓器保持具10に保持された状態で、リアクタ90内に収容される。リアクタ90は、内部に液体と、臓器保持具10に保持された肝臓9等の臓器とを収容することができる臓器収容器である。リアクタ90には、例えば、カップ状(有底筒状)の容器が用いられる。
【0028】
図1に示すように、灌流装置100は、リザーバ20、2つ(2系統)の灌流液流入部30、灌流液流出部40、および制御部50を有する。なお、灌流液流入部30および灌流液流出部40の数はそれぞれ、灌流対象となる臓器の種類や、灌流条件に応じて、1つ(1系統)であってもよいし、2つ(2系統)であってもよい。
【0029】
リザーバ20は、灌流液を貯留する容器である。リザーバ20の周囲には、温度調整機構21およびガス交換機構22が備えられる。本実施形態の灌流液には、ETK液が用いられる。なお、灌流液には、UW液等のその他の種類の灌流液が用いられてもよい。
【0030】
温度調整機構21は、リザーバ20内に貯留される灌流液の温度を調整する。ガス交換機構22は、リザーバ20に貯留される灌流液に、酸素等の気体を供給して、当該気体を灌流液に溶解させる。なお、ガス交換機構22は、灌流液流入部30の後述する流入配管31に介挿されてもよい。
【0031】
灌流液流入部30は、リザーバ20から肝臓9へと灌流液を供給する。灌流液流入部30はそれぞれ、流入配管31、ポンプ32、温度調整ユニット33、脱気ユニット34および圧力計35を含む。ポンプ32、温度調整ユニット33、脱気ユニット34および圧力計35は、流入配管31に介挿される。
【0032】
流入配管31の一端は、リザーバ20に接続される。流入配管31の他端は、灌流処理時には、灌流対象となる臓器に接続される。本実施形態では、流入配管31の他端は、肝臓9の有する血管に接続される。これにより、リザーバ20から肝臓9の血管へと灌流液が供給される。
【0033】
本実施形態のように、2系統の灌流液流入部30から肝臓9に灌流液を供給する場合、一方の流入配管31が肝臓9の門脈に接続され、他方の流入配管31が肝臓9の肝動脈に接続される。生体内の肝臓において、血液は門脈と肝動脈とから供給される。肝動脈は動脈系であり、肝動脈内の血液の圧力は大きい。これに対し、門脈は静脈系であり、門脈内の血液の圧力は、肝動脈内の圧力に比べて非常に小さい。この灌流装置100では、2系統の灌流液流入部30を有することにより、肝動脈に供給する灌流液の圧力と門脈に供給する灌流液の圧力とを個別に設定することができる。
【0034】
ポンプ32は、流入配管31内にリザーバ20から肝臓9へと向かう灌流液の流れを発生させる。ポンプ32には、例えば、ブラシレスモータを搭載したポンプが用いられる。温度調整ユニット33は、流入配管31内の灌流液の温度を調整する。温度調整ユニット33は、例えば、4℃、20℃、37℃等の設定された温度の液体内に流入配管31の一部を浸すことにより、流入配管31内の灌流液を設定された温度に調整する。脱気ユニット34は、流入配管31内の灌流液の気体成分を除去する。圧力計35は、流入配管31内の灌流液の圧力を計測する。
【0035】
灌流液流出部40は、肝臓9から灌流液を排出させる。灌流液流出部40は、流出配管41を有する。流出配管41の一端は、灌流処理時には、灌流対象となる臓器に接続される。本実施形態では、流出配管41は、肝臓9の肝上部下大静脈(SH-IVC)または肝下部下大静脈(IH-IVC)に接続される。流出配管41の他端は、リザーバ20に接続される。これにより、肝臓9の肝臓9の肝上部下大静脈(SH-IVC)または肝下部下大静脈(IH-IVC)から排出される灌流液が、リザーバ20へと還流される。流出配管41には、肝臓9からリザーバ20へと向かう灌流液の流れを発生させるポンプが介挿されてもよい。
【0036】
本実施形態の灌流装置100は、肝臓9から排出された灌流液をリザーバ20へと還流させる構成であったが、本発明はこれに限られない。肝臓9から排出された灌流液は、リザーバ20へと還流させず、廃棄したり、他の容器に貯留したりしてもよい。
【0037】
なお、リザーバ20、灌流液流入部30および灌流液流出部40の各部には、pHや、特定の成分を検出するための計測ユニットが適宜備えられていてもよい。また、流入配管31および流出配管41には、流量計や、連通を制御する電磁弁等が介挿されていてもよい。
【0038】
制御部50は、灌流装置100内の各部を動作制御するための部位である。
図1中に概念的に示したように、制御部50は、例えば、CPU等の演算処理部51、RAM等のメモリ52、および、ハードディスクドライブ等の記憶部53を有するコンピュータにより構成される。
【0039】
このような灌流装置100を用いて灌流処理を行う場合、肝臓9には2本の流入配管31と1本の流出配管41とが接続される。また、肝臓9とともに摘出された胆嚢の胆管に、胆汁を排出するための排出管がさらに接続される場合もある。このように、複数のチューブが臓器に接続された状態で臓器を運搬すると、臓器とチューブとの相対位置がずれる虞がある。そのような場合、チューブが接続された血管や、当該血管の周囲の組織が損傷を受ける可能性がある。
【0040】
また、これらのチューブが臓器に繋がれた状態で、移植手術を行う場合もある。このように、チューブが臓器に繋がれた状態で臓器に対して処置を行う場合にも、処置を行う際に作業者の手や器具が当たって臓器とチューブとの相対位置がずれる虞がある。そこで、以下に説明するフレーム1を一実施形態とするフレームを用いることにより、臓器とチューブとの相対位置のずれを抑制することができる。
【0041】
<1-2.フレームおよび臓器保持具の構成>
次に、本発明の第1実施形態に係るフレーム1を有する臓器保持具10について、
図2~
図4を参照しつつ説明する。
図2は、臓器保持具10の斜視図である。
図3は、臓器保持具10の側面図である。
図4および
図5は、臓器保持具10の部分断面図である。なお、
図4および
図5中、チューブクランプパーツ70は、断面でなく、側面図で示している。
【0042】
図2および
図3に示すように、臓器保持具10は、フレーム1と、フレーム1に取り付けられた載置シート11とを有する。
【0043】
フレーム1は、臓器の還流保存において、臓器に接続されたチューブを保持するための器具である。フレーム1は、本体部60と、本体部60に対して着脱可能な1つまたは複数のチューブクランプパーツ70と、シート固定枠80とを有する。
図2および
図3には、6個のチューブクランプパーツ70が図示されている。
【0044】
本体部60は、臓器の周囲を取り囲むように配置可能な環状の部材である。ここで、「環状」とは、完全な環状だけでなく、環状の一部が途切れた形状(例えばC字状)も含むものとする。なお、本実施形態の本体部60の概形は、円形であるが、本発明はこれに限られない。本体部60の概形は、楕円形、四角形、六角形等の多角形、その他の形状であってもよい。
【0045】
以下では、本体部60が円形に見える上面視において、本体部60の中央から延びる方向を「径方向」、当該中央を中心とした同心円の接線方向、および、本体部60の延びる方向を「周方向」と称する。
【0046】
図4および
図5に示すように、本体部60は、周方向に繋がる内部空間600を有する。内部空間600は、本体部60の延びる方向に延びる空間である。本実施形態では、本体部60は、周方向の全周に亘って配置される1つの内部空間600を有する。なお、本体部60は、周方向の一部に配置された内部空間を複数有するものであってもよい。例えば、本体部が、内角110°相当の長さの内部空間を3つ有するものであってもよい。
【0047】
図2に示すように、本体部60の上部には、本体部60の外部と内部空間600とを連通する第1開口61および第2開口62が設けられる。第2開口62は、第1開口61と周方向に連続する。第1開口61の径方向の幅は、内部空間600の径方向の幅よりも小さい。第2開口62の径方向の幅は、第1開口61の径方向の幅よりも大きい。なお、本実施形態では、第2開口62の径方向の幅は、内部空間600の径方向の幅と同じである。
【0048】
第1開口61は、第2開口62が設けられた部分を除き、本体部60の全周に亘って設けられる。すなわち、内部空間600は、全周に亘って上部に第1開口61または第2開口62が配置される。なお、内部空間600の周方向の一部に、第1開口61および第2開口62のいずれも配置されない部分があってもよい。
【0049】
チューブクランプパーツ70は、本体部60に取り付けられた状態で、臓器に接続されたチューブを保持する部材である。また、チューブクランプパーツ70は、本体部60の周方向の位置を移動可能に取り付けられる。
図4および
図5に示すように、チューブクランプパーツ70は、チューブ保持部71と、抜け止め部72と、接続部73とを有する。
【0050】
図2および
図3に示すように、チューブ保持部71は、チューブを保持するための凹部711を有する。フレーム1を用いて臓器に接続されたチューブを保持する場合、チューブ保持部71の凹部711にチューブが嵌められる。
【0051】
抜け止め部72は、いずれの方向においても、その幅が、第1開口61の幅よりも大きい。ただし、抜け止め部72の幅は、第2開口62の幅よりも小さい。したがって、抜け止め部72を第2開口62を介して内部空間600内に配置することによって、チューブクランプパーツ70を本体部60に取り付けることができる。同様に、抜け止め部72を第2開口62を介して内部空間600内から取り出すことによって、チューブクランプパーツ70を本体部60から取り外すことができる。
図4に示すように、本実施形態の抜け止め部72は、球形である。
【0052】
一方で、抜け止め部72を第1開口61を介して外部空間と内部空間600との間で出し入れすることはできないため、第2開口62以外の周方向の位置において、チューブクランプパーツ70を本体部60に対して着脱することはできない。
【0053】
接続部73は、チューブ保持部71と抜け止め部72とを直接接続する、円柱状の部位である。接続部73の一端は、抜け止め部72と直接固定される。接続部73の他端は、チューブ保持部71と直接固定される。接続部73は、第1開口61の幅よりも細い。
図4に示すように、チューブクランプパーツ70が本体部60に取り付けられた状態、すなわち、抜け止め部72が内部空間600内に配置された状態において、接続部73の他端とチューブ保持部71とは、本体部60の外部に配置される。
【0054】
ここで、
図2および
図5に示すように、本体部60は、第1開口61の内側の縁部に、複数のパーツ固定部63を有する。パーツ固定部63はそれぞれ、第1開口61の縁部から内側に向かって凹む切り欠きである。各パーツ固定部63の大きさは、チューブクランプパーツ70の接続部73がちょうど嵌まる大きさとなっている。これにより、
図5に示すように、チューブクランプパーツ70を傾けて接続部73をパーツ固定部63に嵌めることにより、チューブクランプパーツ70の周方向の移動が規制される。また、パーツ固定部63に嵌め込む深さを調整することにより、チューブクランプパーツ70の傾きを微調整することもできる。特に、本実施形態では、抜け止め部72が球状であるため、抜け止め部72の角度を自由に変更することができる。
【0055】
このように、チューブクランプパーツ70は、本体部60の周方向の位置を移動可能に取り付けられる。このようなフレーム1を用いることにより、臓器に繋がったチューブを、臓器の周囲に配置されたフレーム1のチューブクランプパーツ70に、適切な位置で固定することができる。これにより、臓器とチューブとの相対位置を安定させることができる。したがって、臓器に負担がかかり、損傷するのを抑制できる。
【0056】
本実施形態では、1つの第2開口62と35個のパーツ固定部63との、合わせて36個が、内角10°毎に等間隔に配置されている。このように複数のパーツ固定部63が周方向に間隔を空けて配置されることにより、チューブの配置の自由度が高くなる。したがって、臓器とチューブとの相対位置を、臓器により負荷がかからない状態で安定させることができる。その結果、臓器にかかる負担をさらに抑制できる。
【0057】
なお、本体部60の内部空間600と抜け止め部72との間に十分な静止摩擦力が発生する場合、パーツ固定部63以外の第1開口61にチューブクランプパーツ70を配置しても、チューブを軽く固定することができる。より強固にチューブを固定する場合にはパーツ固定部63にチューブクランプパーツ70を配置するなど、適宜使用方法を工夫してもよい。
【0058】
また、本実施形態では、抜け止め部72が球形であるため、本体部60に取り付けた状態で、チューブクランプパーツ70を水平方向に回転させることが可能である。これにより、チューブクランプパーツ70で保持したチューブの向きを調整することができる。
【0059】
図3に示すように、シート固定枠80は、本体部60の下面に対向して配置される、環状の部材である。シート固定枠80は、固定具81によって本体部60の下面に沿って固定される。固定具81は、本体部60とシート固定枠80との間に載置シート11を挟んだ状態で、本体部60とシート固定枠80とを固定する。固定具81には、例えば、ネジが用いられる。その場合、
図4に示すように、固定具81がシート固定枠80に設けられたネジ穴と、載置シート11に設けられた貫通孔と、本体部60の下面に設けられたネジ穴との間に嵌められる。
【0060】
載置シート11は、その上面に臓器を載置して、臓器を保持するための部材である。載置シート11は、例えば、弾性力を有する樹脂や、不織布等によって形成される。フレーム1に取り付けられる載置シート11の種類や枚数は、保持する臓器の種類や、臓器の保存目的等によって適宜選択される。例えば、2種類の載置シート11を重ねて用いてもよい。
【0061】
フレーム1に固定された載置シート11上に臓器が保持されることにより、臓器と、チューブクランプパーツ70に固定されたチューブとの相対的な位置関係がより安定する。これにより、臓器にかかる負担をより低減することができる。
【0062】
図2および
図3において、載置シート11の中央は、フレーム1の下端部よりも下方まで下がっている。載置シート11が予めこのようなボウル状の形状をしていてもよい。また、臓器載置前の載置シート11はフレーム1の下端部に沿って平面状の形状をしており、臓器を載置すると重みでこのようなボウル状の形状となるものであってもよい。なお、例えば、後述する第2実施形態の載置シート11Aのように、載置シート11があまり変形せず、載置シート11が殆ど下方に下がらないものであってもよい。
【0063】
本実施形態の載置シート11には、複数の貫通孔111が設けられている。これにより、載置シート11の上方と下方とにおいて、貫通孔111を介して液体が通過することができる。このため、フレーム1に載置シート11が取り付けられた臓器保持具10をリアクタ90にセットすれば、載置シート11上に載置された臓器を、リアクタ90内に満たされた液体に浸けることができる。
【0064】
なお、本実施形態の載置シート11は、不織布や樹脂のシートに貫通孔111が設けられたものであるが、本願はこれに限られない。載置シート11には、例えば、網目状に織られたメッシュ布や、ネットが用いられてもよい。
【0065】
フレーム1は、載置シート11とともに用いられず、単体で用いられてもよい。例えば、リアクタ90内に保持された臓器や、摘出前後または移植前後において生体内に保持された臓器に対して、複数のチューブを接続しながら処置を行う場合に、当該臓器を囲むようにフレーム1を配置し、臓器に繋がるチューブや、臓器にこれから繋ぐチューブをチューブクランプパーツ70に固定する。このようにすれば、臓器に対して処置を行っている間、臓器に繋がったチューブが移動することによって臓器に負荷がかかるのが抑制される。
【0066】
なお、本実施形態において、フレーム1を構成する本体部60、チューブクランプパーツ70およびシート固定枠80は、いずれも、耐熱性樹脂により形成される。耐熱性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等が用いられる。このように、フレーム1を耐熱性材料により形成することにより、フレーム1に対してオートクレーブ滅菌処理を行うことができる。
【0067】
フレーム1をEOG(酸化エチレンガス)滅菌処理によって滅菌する場合には、フレーム1の各部は、例えば、ナイロン等のその他の樹脂により形成されてもよい。また、フレーム1がディスポーザブルであってもよい。その場合、フレーム1の滅菌処理は必要ない。
【0068】
<2.第2実施形態>
続いて、本発明の第2実施形態に係るフレーム1Aを有する臓器保持具10Aについて、
図6~
図9を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態に係るフレーム1と共通する構成については、一部説明を省略する。第1実施形態と同等あるいは対応する構成については、第1実施形態と同じ符号に「A」を加えた符号を付している。
【0069】
図6は、臓器保持具10Aの斜視図である。
図6中には、チューブクランプパーツ70Aの1つが保持するチューブTの一部が示されている。
図7は、臓器保持具10Aの側面図である。
図8は、チューブクランプパーツ70Aの姿勢のバリエーションを示した斜視図である。
図9は、臓器保持具10Aの部分断面図である。
【0070】
図6および
図7に示すように、臓器保持具10Aは、フレーム1Aと、フレーム1Aに取り付けられた載置シート11Aとを有する。
【0071】
フレーム1Aは、本体部60Aと、本体部60Aに対して着脱可能な1つまたは複数のチューブクランプパーツ70Aと、シート固定枠80Aとを有する。
図6および
図7には、4個のチューブクランプパーツ70Aが図示されている。
【0072】
図9に示すように、本体部60Aは、周方向に繋がる内部空間600Aを有する。本実施形態では、本体部60Aは、周方向の全周に亘って配置される1つの内部空間600Aを有する。
【0073】
本体部60Aの上部には、本体部60Aの外部と内部空間600Aとを連通する第1開口61Aおよび第2開口62Aが設けられる。第1開口61Aは、第2開口62Aが設けられた部分を除き、本体部60Aの全周に亘って設けられる。第1開口61Aの径方向の幅は、内部空間600Aの径方向の幅よりも小さい。第2開口62Aの径方向の幅は、第1開口61Aの径方向の幅よりも大きい。なお、本実施形態では、第2開口62Aの径方向の幅は内部空間600の径方向の幅と同じである。
【0074】
図8に示すように、チューブクランプパーツ70Aは、チューブ保持部71A、抜け止め部72A、接続部73A、第1ソケット部74A、ダブルボール部材75A、および第2ソケット部76Aを有する。
【0075】
図6~
図8に示すように、チューブ保持部71Aは、チューブを保持するための凹部711Aを有する。フレーム1Aを用いて臓器に接続されたチューブを保持する場合、チューブ保持部71Aの凹部711Aにチューブが嵌められる。
【0076】
図8に示すように、抜け止め部72Aは、略長方形の抜け止め板721Aと、2つのプランジャ(付勢部材)722Aとを有する。プランジャ722Aには、例えば、ボールプランジャが用いられる。
【0077】
チューブクランプパーツ70Aが本体部60Aに取り付けられた場合、抜け止め板721Aが内部空間600A内に配置される。このとき、抜け止め板721Aの短手方向が本体部60Aの径方向、抜け止め板721Aの長手方向が本体部60Aの周方向となるように、チューブクランプパーツ70Aが取り付けられる。抜け止め板721Aの上面側の中央には、接続部73Aの一端が固定される。抜け止め板721Aの長手方向において、接続部73Aの両側には、プランジャ722Aのボールが抜け止め板721Aの下方に露出するように固定されている。このため、プランジャ722Aは上下方向に収縮すると、抜け止め板721Aを上方へと付勢する。
【0078】
ここで、第2開口62Aの径方向の幅は、抜け止め板721Aの短手方向の長さよりも大きい。また、第2開口62Aの周方向の幅は、抜け止め板721Aの長手方向の長さよりも大きい。このため、第2開口62Aを介して、抜け止め部72Aを、外部から内部空間600A内へと取り付けたり、内部空間600Aから外部へと取り外したりすることができる。
【0079】
一方で、抜け止め板721Aは、長手方向および短手方向のいずれの方向においても、その幅が、第1開口61Aの幅よりも大きい。したがって、抜け止め部72Aを第1開口61Aを介して外部空間と内部空間600Aとの間で出し入れすることはできないため、第2開口62A以外の周方向の位置において、チューブクランプパーツ70Aを本体部60Aに対して着脱することはできない。
【0080】
接続部73Aは、チューブ保持部71Aと抜け止め部72Aとを間接的に接続する部位である。接続部73Aの一方側は、直方体状であり、抜け止め部72Aと直接固定される。接続部73Aの他方側は、円柱状であり、その端部が第1ソケット部74Aと直接固定される。
【0081】
ダブルボール部材75Aは、球状の第1ボール部751Aと、球状の第2ボール部752Aと、2つのボール部751A,752Aを繋ぐ棒状のボール接続部753Aとを有する。第1ソケット部74Aは、第1ボール部751Aと球面接触する凹面を有する。第1ボール部751Aが第1ソケット部74Aに嵌まることにより、球体関節状に接続される第1のボールジョイント部が形成される。
【0082】
一方、チューブ保持部71Aは、第2ソケット部76Aと直接固定される。第2ソケット部76Aは、第2ボール部752Aと球面接触する凹面を有する。第2ボール部752Aが第2ソケット部76Aに嵌まることにより、球体関節状に接続される第2のボールジョイント部が形成される。
【0083】
このように、接続部73Aは、チューブ保持部71Aと抜け止め部72Aとを、第1ソケット部74A、ダブルボール部材75Aおよび第2ソケット部76Aによって構成される2つのボールジョイント部を介して接続する。これにより、チューブ保持部71Aは、抜け止め部72Aおよび接続部73Aに対して、相対的な位置関係および角度の変更自由度が高い。
【0084】
図6および
図9に示すように、チューブクランプパーツ70Aが本体部60Aに取り付けられた状態、すなわち、抜け止め部72Aが内部空間600A内に配置された状態において、接続部73Aの一部が第1開口61A内に配置されるとともに、接続部73Aの上端、第1ソケット部74A、ダブルボール部材75A、第2ソケット部76A、およびチューブ保持部71Aは、本体部60Aの外部に配置される。
【0085】
ここで、
図9に示すように、内部空間600Aを構成する内壁のうち、内部空間600Aの下側の内壁を第1内壁601A、内部空間600Aの上側の内壁を第2内壁602Aと称する。第1内壁601Aおよび第2内壁602Aは、互いに対向する。内部空間600A内にチューブクランプパーツ70Aの抜け止め部72Aが配置された状態において、プランジャ722A内のスプリングはやや圧縮されている。このため、プランジャ722Aは、第1内壁601Aと第2内壁602Aとの間で拡張して第1内壁601Aおよび第2内壁602Aに対して抗力を付与する。その結果、抜け止め板721Aの上面と第1内壁601Aとの間で摩擦力が発生し、チューブクランプパーツ70Aの周方向の移動が制限される。
【0086】
なお、チューブクランプパーツ70Aの周方向の位置を変更する場合には、チューブクランプパーツ70Aを下方へと押し込みながら動かすことができる。チューブクランプパーツ70Aを下方へと押すと、プランジャ722A内のスプリングがさらに圧縮され、抜け止め板721Aの上面と第1内壁601Aとの間の抗力および摩擦力が低減する。このため、容易にチューブクランプパーツ70Aを移動することができる。
【0087】
このようなチューブクランプパーツ70Aを用いることにより、チューブクランプパーツ70Aを第1開口61Aの存在範囲のいずれの場所にも固定して使用することができる。したがって、チューブクランプパーツ70Aで保持するチューブの位置を微調整することができる。
【0088】
なお、本実施形態において、フレーム1Aを構成する本体部60A、チューブクランプパーツ70Aおよびシート固定枠80Aは、いずれも、プランジャ722Aを除いて耐熱性樹脂により形成される。また、プランジャ722Aは、金属により形成される。このように、フレーム1Aを耐熱性材料および金属により形成することにより、フレーム1Aに対してオートクレーブ滅菌処理を行うことができる。
【0089】
本実施形態では、
図6および
図7に示すように、本体部60Aの上部に、フレーム1Aを持ち上げるためのハンドル64Aが取り付け可能である。これにより、臓器保持具10Aを安定的に持ち運ぶことができる。
【0090】
また、本実施形態では、
図7に示すように、本体部60Aの外側面において全周に亘って配置される把持溝65Aを有する。これにより、本体部60A自体を掴んでフレーム1Aを持ち上げる場合に、作業者の指を把持溝65A内に引っかけて本体部60Aを把持することができる。したがって、臓器保持具10Aを安定的に持ち運ぶことができる。
【0091】
なお、把持溝65Aは、本体部60Aの外側面の一部のみに設けられてもよい。把持溝65Aの上下方向の幅は、1.5センチ以上であることが好ましい。これにより、作業者の指を把持溝65A内に挿入しやすい。
【0092】
<3.変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
【0093】
上記の実施形態に係るフレーム1,1Aは、いずれも、チューブクランプパーツ70,70Aを本体部60,60Aの周方向のほぼ全周において移動可能であったが、本発明はこれに限られない。チューブクランプパーツは、本体部の周方向の所定の数カ所に取り付け可能な構成であってもよい。
【0094】
また、上記の実施形態に係るフレーム1,1Aでは、チューブクランプパーツ70,70Aの一部が本体部60,60Aの内部に配置可能であったが、本発明はこれに限られない。チューブクランプパーツは、本体部の外表面に設けられた取り付け機構に取り付けられてもよい。
【0095】
また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1,1A フレーム
9 肝臓
10,10A 臓器保持具
11,11A 載置シート
60,60A 本体部
61,61A 第1開口
62,62A 第2開口
63 パーツ固定部
65A 把持溝
70,70A チューブクランプパーツ
71,71A チューブ保持部
72,72A 抜け止め部
73,73A 接続部
74A 第1ソケット部
75A ダブルボール部材
76A 第2ソケット部
80,80A シート固定枠
81 固定具
600,600A 内部空間
601A 第1内壁
602A 第2内壁
711,711A 凹部
751A,752A ボール部