(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】ビデオイメージ処理パイプラインのピーク電力消費を減らすコントローラ及び方法
(51)【国際特許分類】
H04N 5/21 20060101AFI20221208BHJP
G06F 12/00 20060101ALI20221208BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
H04N5/21
G06F12/00 580
H04N5/232 410
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019139344
(22)【出願日】2019-07-30
【審査請求日】2022-01-04
(32)【優先日】2018-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502208205
【氏名又は名称】アクシス アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ダールベック, エリク
【審査官】西谷 憲人
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-236325(JP,A)
【文献】特表2011-525008(JP,A)
【文献】特表2010-541088(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0043177(US,A1)
【文献】国際公開第2013/105913(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/21
H04N 5/232
G06F 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路を備えるビデオイメージ処理パイプラインコントローラであって、当該回路が、
ビデオイメージ処理パイプラインの処理機能と、1つ又はそれ以上のメモリアクセスチャンネルを介したシステムメモリとの通信に利用可能な帯域幅を制御し、
前記ビデオイメージ処理パイプラインがビデオストリームを生成する一定のフレームレートを維持することにより、前記ビデオイメージ処理パイプラインのピーク電力消費が低減されるように、フレーム時間内にて前記処理機能の有効時間のシフトを引き起こす、且つ/又は当該有効
時間を延長させる、
よう構成されている、ビデオイメージ処理パイプラインコントローラ。
【請求項2】
一定のフレームレートを維持することは、
現在のフレームレートがターゲットフレームレート未満に下がるまで、前記帯域幅を次第に狭めること、及び
前記現在のフレームレートが前記ターゲットフレームレート未満に減少したことに応えて、前記現在のフレームレートが前記ターゲットフレームレートと等しくなる帯域幅まで前記帯域幅を広げること
を含む、請求項1に記載のビデオイメージ処理パイプラインコントローラ。
【請求項3】
前記現在のフレームレートが前記ターゲットフレームレートと等しくなる帯域幅まで前記帯域幅を広げることは、前記現在のフレームレートが前記ターゲットフレームレート未満に下がらなかった以前の最小の帯域幅まで、前記帯域幅を広げることを含む、請求項2に記載のビデオイメージ処理パイプラインコントローラ。
【請求項4】
前記ターゲットフレームレートはオリジナルのフレームレートである、請求項2または3に記載のビデオイメージ処理パイプラインコントローラ。
【請求項5】
前記回路が、複数のメモリアクセスチャンネルの前記帯域幅をグローバルに制御するようさらに構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のビデオイメージ処理パイプラインコントローラ。
【請求項6】
前記回路が、複数のメモリアクセスチャンネルのそれぞれにおける前記帯域幅を個別に制御するようさらに構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のビデオイメージ処理パイプラインコントローラ。
【請求項7】
ビデオイメージデータを提供するよう構成されているビデオソースと、
複数の処理機能を含むビデオイメージ処理パイプラインであって、当該処理機能のそれぞれが、前記ビデオイメージデータを処理するよう構成されている、ビデオイメージ処理パイプラインと、
前記イメージ処理パイプラインの前記処理機能が、1つ又はそれ以上のメモリアクセスチャンネルを介してアクセスするよう構成されているシステムメモリと、
請求項1から6のいずれか一項に記載のビデオイメージ処理パイプラインコントローラと
を含む、ビデオイメージ処理システム。
【請求項8】
前記ビデオイメージ処理パイプラインの前記処理機能は、汎用プロセッサ上、又は、グラフィクス処理ユニット、フィールドプログラマブルゲートアレイ、固定機能アプリケーション特有集積回路、若しくはアナログ回路上で作動するコンピュータソフトウェア部分として実装されている、請求項7に記載のビデオイメージ処理システム。
【請求項9】
前記ビデオソースは、イメージセンサ又はイメージ描画エンジンである、請求項7または8に記載のビデオイメージ処理システム。
【請求項10】
電力消費ユニットと、
前記イメージ処理パイプラインが前記システムメモリと通信する前記帯域幅を制御することにより節約された電力を監視し、前記節約された電力の少なくとも一部を前記電力消費ユニットに分配するよう構成されている電力管理ユニットと
をさらに含む、請求項7から9のいずれか一項に記載のビデオイメージ処理システム。
【請求項11】
前記ビデオイメージ処理システムは、モニタリングカメラなどのカメラ内に実装されている、請求項7から10のいずれか一項に記載のビデオイメージ処理システム。
【請求項12】
ビデオイメージデータをビデオストリームに処理するよう構成されている、複数の処理機能を含むビデオイメージ処理パイプラインにおけるピーク電力消費を減らす方法であって、各処理機能はビデオイメージデータを処理するよう構成されており、ビデオイメージデータの処理中に、前記処理機能は1つ又はそれ以上のメモリアクセスチャンネルを介してシステムメモリにアクセスするよう構成されており、当該方法は、
ビデオイメージ処理パイプラインコントローラにより、前記1つ又はそれ以上のメモリアクセスチャンネルを介した前記ビデオイメージ処理パイプラインの処理機能と前記システムメモリとの通信に利用可能な帯域幅を狭くしつつ、前記ビデオイメージ処理パイプラインがビデオストリームを生成する一定のフレームレートを維持することにより、前記ビデオイメージ処理パイプラインのピーク電力消費が低減されるように、フレーム時間内にて前記処理機能の有効時間のシフトを引き起こすこと、且つ/又は当該有効時間を延長させること、
を含む、方法。
【請求項13】
前記帯域幅を狭くしつつ前記一定のフレームレートを維持することは、
現在のフレームレートがターゲットフレームレート未満に下がるまで、前記帯域幅を次第に狭めること、及び
前記現在のフレームレートが前記ターゲットフレームレート未満に減少したことに応えて、前記現在のフレームレートが前記ターゲットフレームレートと等しくなる帯域幅まで、前記帯域幅を広げること、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記現在のフレームレートが前記ターゲットフレームレートと等しくなる帯域幅まで前記帯域幅を広げることは、前記現在のフレームレートが前記ターゲットフレームレート未満に下がらなかった以前の最小の帯域幅まで、前記帯域幅を広げることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
処理能力を有するデバイスにて実行されると、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法を行うよう構成されているプログラムコードが記録されている、非一時的なコンピュータ可読記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオイメージ処理パイプラインにおけるピーク電力消費の低減に関する。本発明はまた、ビデオイメージ処理パイプラインコントローラ、及び、そのようなコントローラを含むビデオイメージ処理システムに関する。本発明はさらに、ビデオイメージ処理パイプラインにおけるピーク電力消費を減らす方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、ビデオストリームは、イメージセンサを使用して一連のイメージを取得することにより生成される。代替的に、一連のイメージは、イメージ描画エンジンにより描画されてよい。
【0003】
一連のイメージからの1つのイメージがビデオイメージ処理パイプライン内に転送されると、ビデオフレームを生成するために複数の処理が開始され、その1つのイメージを処理する。一般に、これらの処理は、一連のイメージ内の後続のイメージがビデオイメージ処理パイプライン内に転送される前に完了する。そのように生成されたビデオフレームは、ビデオストリームを形成する。
【0004】
これは、ビデオイメージ処理パイプラインがすべて作動する前に、、そのビデオイメージ処理パイプラインが作動しない期間を生じさせる。これは、不均一な電力消費を引き起こすこととなる。したがって、ビデオイメージ処理パイプラインの電力消費は、1つのビデオフレームの生成中に変動する。ビデオイメージ処理パイプラインの電力消費の変動の一例を
図1に示す。ここに見られるように、ビデオイメージ処理パイプラインの電力消費の特徴は、フレームレートと同じ周波数での正弦波に類似している。
図1では、ビデオフレームのタイムスパンが、FT、つまり、フレーム時間(frame time)として示されている。ビデオイメージ処理パイプラインの電力消費における変動は、ビデオイメージ処理パイプラインの個別の処理の異なる電力消費に起因する。
図1に示す電力消費を構成する、ビデオイメージ処理パイプラインの4つの異なる個別の処理の電力消費を、消費の図a)~d)として、
図1の上部に挿入した楕円内に示す。
【0005】
ビデオイメージ処理パイプラインの電力消費の変動は、様々な欠点を有し得る。例えば、ビデオイメージ処理パイプラインに電力を供給する電力供給ユニットは、ピーク電力消費にしたがう規模でなければならない。したがって、ビデオイメージ処理パイプラインの電力消費を均一にする必要がある。
【発明の概要】
【0006】
第1の態様によると、ビデオイメージ処理パイプラインコントローラが提供される。ビデオイメージ処理パイプラインコントローラは、ビデオイメージ処理パイプラインの処理機能が1つ又はそれ以上のメモリアクセスチャンネルを介してシステムメモリと通信する帯域幅を制御するよう構成されている。ビデオイメージ処理パイプラインコントローラは、ビデオイメージ処理パイプラインがビデオストリームを生成する現在のフレームレートと、ビデオイメージ処理パイプラインのターゲットフレームレートと、に基づいて、帯域幅を狭くしつつ、現在のフレームレートがターゲットフレームレート未満に下がらないことを確実にすることで、ビデオイメージ処理パイプラインのピーク電力消費を減らすよう構成されている。
【0007】
したがって、システムメモリとの通信に利用可能な帯域幅が調整される。システムメモリと通信するビデオイメージ処理パイプラインの処理機能の一部又はすべてが制限される。これは、これらの処理機能のタイミングがシフトしたり、又は延長されたりすることとなる。ビデオイメージ処理パイプラインの処理機能の一部又はすべての有効時間がやがてシフトしたり、及び/又は、延長されたりすることにより、電力消費が安定レベルに維持され得る。したがって、ピーク電力消費が下がり得る。帯域幅が過剰に狭くなると、ビデオ処理パイプラインは、ターゲットフレームレートにてビデオストリームを生成できなくなる。したがって、帯域幅を狭くすることは、現在のフレームレートがターゲットフレームレート未満に下がらないように制御する必要がある。換言すると、コントローラは、帯域幅をできる限り狭くしつつ、一定のフレームレートを維持するよう構成されている。1つ又はそれ以上のメモリアクセスチャンネルの帯域幅を正しく制御することにより、上記が達成できる。制御アルゴリズムは、ターゲットフレームレートと、ビデオ処理パイプラインがビデオストリームを生成する現在のフレームレートと、の2つの変数を使用する。ビデオイメージ処理パイプラインのピーク電力消費を減らすために帯域幅を制御することは、バックグラウンドにて継続的に行われてよい。
【0008】
ビデオイメージ処理パイプラインのピーク電力消費を減らすことにより、ビデオイメージ処理パイプラインに電力を供給する電力供給ユニットは、少ない電力を分配するような規模とされてよい。ビデオイメージ処理パイプラインを含むカメラに電力を供給するための、イーサネット(登録商標)経由の電力供給(power over Ethernet又はPoE)を使用する例について、PoEインストレーションは、現在の、ピーク電力を減らすことを有することなく、少ない電力を分配するような規模とされ得る。したがって、ピーク電力が減少すると、PoEの集合体により分配される必要のある電力もまた減少し得る。代替的に、PoEの集合体は、複数のカメラに電力を供給するために使用され得る。
【0009】
電力供給ユニットの小規模化に代わり、余剰電力が、ビデオイメージ処理パイプラインを含むデバイスにおける他の処理により使用されてよい。
【0010】
ビデオイメージ処理パイプラインコントローラは、帯域幅を次第に狭くするようさらに構成されてよい。帯域幅を次第に狭くすることは、現在のフレームレートがターゲットフレームレート未満に下がるまで行われてよい。ビデオイメージ処理パイプラインコントローラは、現在のフレームレートがターゲットフレームレート未満に下がることに応えて、現在のフレームレートがターゲットフレームレート未満に下がらない帯域幅まで、帯域幅を広げるようさらに構成されてよい。
【0011】
ビデオイメージ処理パイプラインコントローラは、現在のフレームレートがターゲットフレームレート未満に下がることに応えて、現在のフレームレートがターゲットフレームレート未満に下がらなかった以前の最小の帯域幅まで、帯域幅を広げるようさらに構成されてよい。
【0012】
ターゲットフレームレートは、オリジナルのフレームレートであってよい。オリジナルのフレームレートは、ビデオイメージパイプライン用のビデオイメージデータを生成するビデオソースから読み出されてよい。オリジナルのフレームレートは、帯域幅の制限の前に読み出されてよい。
【0013】
ビデオイメージ処理パイプラインコントローラは、複数のメモリアクセスチャンネルの帯域幅をグローバルに制御するようさらに構成されてよい。
【0014】
ビデオイメージ処理パイプラインコントローラは、複数のメモリアクセスチャンネルのそれぞれにおける帯域幅を個別に制御するようさらに構成されてよい。ビデオイメージパイプラインの電力消費のできる限り良好かつ均一な制御を達成するために、様々なメモリアクセスチャンネルを別々に制御することが好適となり得る。これは、実際に測定又は推定した電力消費をフィードバックとして使用可能であってよい。
【0015】
第2の態様によると、ビデオイメージ処理システムが提供される。ビデオイメージ処理システムは、ビデオイメージデータを提供するよう構成されているビデオソースと、複数の処理機能を含むビデオイメージ処理パイプラインであって、当該処理機能のそれぞれが、ビデオイメージデータを処理するよう構成されている、ビデオイメージ処理パイプラインと、ビデオイメージ処理パイプラインの処理機能が、1つ又はそれ以上のメモリアクセスチャンネルを介してアクセスするよう構成されているシステムメモリと、第1の態様に係るビデオイメージ処理パイプラインコントローラと、を含む。
【0016】
ビデオイメージ処理パイプラインコントローラの上記の特徴は、適用可能であれば、この第2の態様にも適用する。不必要な繰り返しを避けるために、上記を参照されたい。
【0017】
ビデオイメージ処理パイプラインは、次の処理機能の2つ又はそれ以上を含んでよい:イメージセンサ補正機能、ノイズ低減機能、イメージスケーリング機能、ガンマ補正機能、イメージ改善機能、色空間変換機能、彩度サブサンプリング機能、圧縮機能、データ保存機能、及びデータ転送機能。
【0018】
ビデオイメージ処理パイプラインの処理機能は、汎用プロセッサ上、又は、グラフィクス処理ユニット、フィールドプログラマブルゲートアレイ、固定機能アプリケーション特有集積回路、若しくはアナログ回路上で作動するコンピュータソフトウェア部分として実装されてよい。
【0019】
イメージソースは、イメージセンサであってよい。イメージソースは、イメージ描画エンジンであってよい。
【0020】
ビデオイメージ処理システムは、電力消費ユニットと、イメージ処理パイプラインがシステムメモリと通信する帯域幅を制御することにより節約された電力を監視し、節約された電力の少なくとも一部を電力消費ユニットに分配するよう構成されている電力管理ユニットと、をさらに含んでよい。
【0021】
イメージ処理システムは、カメラ内に実装されてよい。カメラは、モニタリングカメラであってよい。
【0022】
第3の態様によると、ビデオイメージ処理パイプラインにおけるピーク電力消費を減らす方法が提供される。ビデオイメージ処理パイプラインは、ビデオイメージデータをビデオストリームに処理するよう構成されている。ビデオイメージ処理パイプラインは、複数の処理機能を含む。各処理機能は、ビデオイメージデータを処理するよう構成されている。ビデオイメージデータの処理中に、処理機能は、1つ又はそれ以上のメモリアクセスチャンネルを介してシステムメモリにアクセスするよう構成されている。この方法は、ビデオイメージ処理パイプラインのターゲットフレームレートを保存することと、ビデオイメージ処理パイプラインがビデオストリームを生成する現在のフレームレートと、ターゲットフレームレートと、に基づいて、処理機能が1つ又はそれ以上のメモリアクセスチャンネルを介してシステムメモリと通信する帯域幅を、ビデオイメージ処理パイプラインコントローラにより狭くしつつ、現在のフレームレートがターゲットフレームレート未満に下がらないことを確実にすることと、を含む。ビデオイメージ処理パイプラインのターゲットフレームレートは、メモリに保存されてよい。
【0023】
帯域幅を狭くする作動は、現在のフレームレートがターゲットフレームレート未満に下がるまで、帯域幅を次第に狭くすることと、現在のフレームレートがターゲットフレームレート未満に下がることに応えて、現在のフレームレートがターゲットフレームレート未満に下がらない帯域幅まで、帯域幅を広げることと、を含んでよい。
【0024】
帯域幅を狭くする作動は、現在のフレームレートがターゲットフレームレート未満に下がることに応えて、現在のフレームレートがターゲットフレームレート未満に下がらなかった以前の最小の帯域幅まで、帯域幅を広げることをさらに含んでよい。
【0025】
コントローラ及びシステムの上記の特徴は、適用可能であれば、この第3の態様にも適用する。不必要な繰り返しを避けるために、上記を参照されたい。
【0026】
第4の態様によると、処理能力を有するデバイスにて実行されると、第3の態様に係る方法を行うよう構成されているプログラムコードが記録されている、非一時的なコンピュータ可読記録媒体が提供される。
【0027】
本発明の適用性のさらなる範囲が、以下の詳細説明より明らかとなるであろう。しかし、本発明の好適な実施形態を示す一方で、詳細説明及び具体例は、説明のみの目的に提供されていることが理解されるべきである。なぜなら、本発明の範囲内での種々の変更及び改修が、本詳細説明から当業者に明らかとなるからである。
【0028】
したがって、本発明は、記載するデバイスの特定の構成部品、又は、記載する方法の特定の作動に限定されず、そのようなデバイス及び方法は異なる場合があることが理解されよう。ここに使用する用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定を意図していないこともまた理解されよう。なお、本明細書及び添付の特許請求の範囲に使用されるように、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「said」は、他の例が文脈により明確に決定づけられない限り、要素が1つ又はそれ以上あることを意味するよう意図していることに注意されたい。したがって、例えば、「1つのユニット(a unit)」又は「当該ユニット(the unit)」という引用は、いくつかのデバイスなどを含む場合がある。さらに、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」などという語は、他の要素又はステップを排除しない。
【0029】
以下、本発明の実施形態を示す添付の図面を参照して、本発明の上記態様及び他の態様をより詳細に説明する。これらの図面は、本発明をこれらの具体的な実施形態に限定するものとみなすべきではない。これらはその代わりに、本発明の説明及び理解のために使用される。
【0030】
これらの図面に示すように、各層及び各領域のサイズは、図示の目的のために誇張されている場合があり、したがって、本発明の実施形態の一般的構造を示すために提供されている。類似の参照記号は、これらの図面を通して、同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、従来技術のビデオイメージ処理パイプラインの、複数のフレーム時間にわたる電力消費と、従来技術のビデオイメージ処理パイプラインの4つの異なる個別の処理の電力消費と、を模式的に示す。
【
図2】
図2は、ビデオイメージ処理システムを模式的に示す。
【
図3】
図3は、ビデオイメージ処理パイプラインの、複数のフレーム時間にわたる電力消費と、ビデオイメージ処理パイプラインの4つの異なる個別の処理の電力消費と、を模式的に示す。
【
図4】
図4は、ビデオイメージ処理パイプラインにおけるピーク電力消費を減らす方法のブロックスキームである。
【
図5】
図5は、
図2のビデオイメージ処理システムを含むカメラを模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明を、添付図面を参照して以下に更に詳細に説明する。ここでは、本発明の現在の好適な実施形態を示す。本発明はしかし、多くの異なる形態にて体現されてよく、以下に示す実施形態に限定されるものとして理解すべきでない。むしろこれらの実施形態は、完璧性及び完全性のために、そして、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるために提供される。
【0033】
図2は、ビデオイメージ処理システム1を示す。ビデオイメージ処理システム1は、ビデオソース10と、ビデオイメージ処理パイプライン20と、システムメモリ30と、1つ又はそれ以上のメモリアクセスチャンネル40と、ビデオイメージ処理パイプラインコントローラ50と、を含む。
【0034】
ビデオソース10は、ビデオイメージデータを提供するよう構成されている。ビデオイメージデータは、一連のイメージであってよい。ビデオソース10は、イメージセンサであってよい。イメージセンサは、ビデオイメージデータを取得するよう構成されている。イメージセンサは、ビデオカメラの一部を形成してよい。代替的に、又は組み合わせにて、ビデオソース10は、イメージ描画エンジンであってよい。イメージ描画エンジンは、ビデオイメージデータを描画するよう構成されている。イメージ描画エンジンは、コンピュータプログラムを用いた2D又は3Dモデルから、写実的又は非写実的イメージを描画するよう構成されてよい。ビデオソース10は、ビデオイメージデータをビデオイメージ処理パイプライン20に転送するよう構成されている。
【0035】
ビデオイメージ処理パイプライン20は、ビデオイメージデータをビデオフレームに処理するよう構成されている。ビデオイメージ処理パイプライン20は、複数の処理機能25を含む。各処理機能25は、ビデオイメージデータを処理するよう構成されている。複数の処理機能25のいくつかは、互いに依存し合ってよい。したがって、これらは順次実行される必要がある。複数の処理機能25のいくつかは、互いに独立していてよい。したがって、これらは並行して実行されてよい。複数の処理機能25の処理は通常、一連のイメージ内の後続のイメージが、ビデオイメージ処理パイプライン20に転送される前に完了する。
【0036】
ビデオイメージ処理パイプライン20は、次の処理機能25の2つ又はそれ以上を含む:イメージセンサ補正機能、ノイズ低減機能、イメージスケーリング機能、ガンマ補正機能、イメージ改善機能、色空間変換機能、彩度サブサンプリング機能、圧縮機能、データ保存機能、及びデータ転送機能。イメージセンサ補正機能は、ベイヤーフィルタを含んでよい。色空間変換機能は、RGB、YUV、及びYCbCrなどの異なるフォーマット間の変換を含んでよい。
【0037】
ビデオイメージ処理パイプライン20の特定の処理機能25は、汎用プロセッサ上、又は、グラフィクス処理ユニット、フィールドプログラマブルゲートアレイ、固定機能アプリケーション特有集積回路、若しくはアナログ回路上で作動するコンピュータソフトウェア部分として実装されてよい。複数の処理機能25はすべて、同じ種類の実装形態を使用して実装されてよい。複数の処理機能25はそれぞれ、処理機能25の異なる実装形態を使用して実装されてよい。複数の処理機能25のサブセットは、同じ種類の実装形態を使用して実装されてよい。したがって、ビデオイメージ処理パイプライン20の処理機能25は、ソフトウェア、専用ハードウェア若しくはファームウェア、又は、専用ハードウェア、ファームウェア、並びに/若しくはソフトウェアのいくつかの組み合わせとして実装されてよい。
【0038】
システムメモリ30は、ビデオイメージデータをビデオフレームに処理する間に処理機能25により使用されるメモリである。システムメモリ30は、ランダムアクセスメモリ(random-access memory又はRAM)などの揮発性メモリであってよい。
【0039】
イメージ処理パイプライン20の処理機能25は、1つ又はそれ以上のメモリアクセスチャンネル40を介してシステムメモリ30にアクセスするよう構成されている。1つ又はそれ以上のメモリアクセスチャンネルは、ダイレクトメモリアクセス(direct memory access又はDMA)チャンネルであってよい。イメージ処理パイプライン20の処理機能25は、単一のメモリアクセスチャンネル40を介してシステムメモリ30にアクセスするよう構成されてよい。イメージ処理パイプライン20の処理機能25は、複数のメモリアクセスチャンネル40を介してシステムメモリ30にアクセスするよう構成されてよい。
【0040】
ビデオイメージ処理パイプラインコントローラ50は、1つ又はそれ以上のメモリアクセスチャンネル40の帯域幅を制御するよう構成されている。複数のメモリアクセスチャンネル40の場合、ビデオイメージ処理パイプラインコントローラ50は、各メモリアクセスチャンネル40の帯域幅を個別に制御するよう構成されてよい。したがって、各メモリアクセスチャンネル40における帯域幅は、他のメモリアクセスチャンネル40における帯域幅から独立して制御されてよい。ビデオイメージパイプライン20の電力消費のできる限り良好かつ均一な制御を達成するために、様々なメモリアクセスチャンネルを別々に制御することが好適となり得る。これは、実際に測定又は推定した電力消費をフィードバックとして使用可能であってよい。実際の電力消費は、電力管理ユニット70により与えられてよい。代替的に、複数のメモリアクセスチャンネル40の場合、ビデオイメージ処理パイプラインコントローラ50は、メモリアクセスチャンネル40の帯域幅をグローバルに制御するよう構成されてよい。したがって、複数のメモリアクセスチャンネルの各帯域幅は、1つ又はそれ以上のメモリアクセスチャンネル40のトータルの帯域幅を制御することと共に制御されてよい。したがって、ビデオイメージ処理パイプラインコントローラ50は、ビデオイメージ処理パイプライン20の処理機能25が1つ又はそれ以上のメモリアクセスチャンネル40を介してシステムメモリ30と通信する帯域幅を制御するよう構成されている。ビデオイメージ処理パイプラインコントローラ50は、帯域幅を狭くするように、帯域幅を制御するよう構成されている。帯域幅を制御することは、ビデオイメージ処理パイプライン20がビデオストリームを生成する現在のフレームレートと、ビデオイメージ処理パイプライン20のターゲットフレームレートと、に基づいて行われる。ターゲットフレームレートは、ビデオイメージ処理システム1のメモリ55に保存されてよい。ターゲットフレームレートは、ビデオストリームのオリジナルのフレームレートであってよい。オリジナルのフレームレートは、ビデオソースが一連のイメージを生成しているフレームレートであってよい。帯域幅を狭くすることは、現在のフレームレートがターゲットフレームレート未満に下がらないことを確実にするよう制御される。したがって、帯域幅は、ターゲットとしてのオリジナルのフレームレートと共に、現在のフレームレートに基づいて制御されてよい。
【0041】
1つ又はそれ以上のメモリアクセスチャンネル40の帯域幅を、このスキームにしたがって制御することにより、ビデオイメージ処理パイプライン20のピーク電力消費を減らすことが達成されてよい。これは、帯域幅を狭くすることが、フレーム時間内にて、処理機能25の有効時間がシフトすること、及び/又は、延長されることを引き起こすからである。有効時間がシフトすること、及び/又は、延長されることにより、電力消費を安定レベルに維持できる。したがって、ピーク電力消費が下がり得る。これを、
図3と関連して模式的に示す。上記スキームにしたがって帯域幅を狭くした後の、
図1に示すような電力消費を構成する、ビデオイメージ処理パイプライン20の4つの異なる個別の処理の電力消費を、
図3の上部に挿入した楕円内に模式的に示す。帯域幅を狭くすることは、特定の処理機能25の実行がやがて発生することとなり得る。これは、その特定の処理機能25に対する電力消費がまた、やがて発生することを暗示し得る。これを、
図3の上部に挿入した楕円内に示す。ここでは、異なる処理機能25に関する異なる処理a)~d)の電力消費が、帯域幅を狭くすることなく実行されるビデオイメージ処理システムと比較して、やがて発生する。後者を、
図1に模式的に示す。代替的に、又は組み合わせにて、帯域幅を狭くすることは、特定の処理機能25の実行が、やがてシフトすることとなり得る。これをまた、
図3の上部に挿入した楕円内に示す。ここでは、処理a)及びb)の電力消費が、帯域幅を狭くすることなく実行されるビデオイメージ処理システムと比較して、やがてシフトする。後者を、
図1に模式的に示す。
【0042】
上述するように、複数の処理機能25のいくつかは、互いに依存し合ってよい。
図1及び
図3に示す例では、処理a)及びc)が、互いに依存し合っており、処理b)及びd)が、互いに依存し合っている。したがって、これらは順次実行される。さらに、上述するように、複数の処理機能25のいくつかはまた、互いに独立していてよい。例えば、
図1及び
図3に示す例では、処理a)が、処理b)及びd)から独立している。したがって、処理a)は、処理b)及び/又はd)と並行して実行されてよい。
【0043】
ビデオイメージ処理パイプラインコントローラ50は、イメージ処理パイプライン20の処理機能25が1つ又はそれ以上のメモリアクセスチャンネル40を介してシステムメモリ30と通信する帯域幅を、ピーク電力が最小となるまで調整するよう構成されてよい。
【0044】
ビデオイメージ処理パイプラインコントローラ50は、イメージ処理パイプライン20の処理機能25が1つ又はそれ以上のメモリアクセスチャンネル40を介してシステムメモリ30と通信する帯域幅を次第に狭くするようさらに構成されてよい。帯域幅は、現在のフレームレートがターゲットフレームレート未満に下がるまで、次第に狭くされてよい。現在のフレームレートがターゲットフレームレート未満に下がることに応えて、ビデオイメージ処理パイプラインコントローラ50は、現在のフレームレートがターゲットフレームレート未満に下がらない帯域幅まで、帯域幅を広げるよう構成されてよい。これは、例えば、現在のフレームレートがターゲットフレームレート未満に下がらなかった以前の最小の帯域幅まで帯域幅を広げることにより行われてよい。
【0045】
ビデオイメージ処理システム1は、電力消費ユニット60と、電力管理ユニット70と、をさらに含んでよい。
【0046】
電力消費ユニット60は、ビデオソース10から見たシーンを明るくするよう構成されている照明デバイス、ビデオソース10をパン/チルトするよう構成されているパン/チルトモータ、及び、システム1の1つ又はそれ以上のコンポーネントを冷却するよう構成されている冷却構成の1つ又はそれ以上であってよい。
【0047】
電力管理ユニット70は、イメージ処理パイプライン20が1つ又はそれ以上のメモリアクセスチャンネル40を介してシステムメモリ30と通信する帯域幅を制御することにより節約された電力を監視するよう構成されている。電力管理ユニット70は、節約された電力の少なくとも一部を電力消費ユニット60に分配するようさらに構成されてよい。
【0048】
図4と関連して、ビデオイメージ処理パイプライン20におけるピーク電力消費を減らす方法を説明する。この方法は、以下の作動を含む。ビデオイメージ処理パイプライン20のターゲットフレームレートを保存することS402。ターゲットフレームレートは、ビデオイメージ処理システム1のメモリ55に保存されてよい。ビデオイメージ処理パイプライン20がビデオストリームを生成する現在のフレームレートと、ターゲットフレームレートと、に基づいて、処理機能25が1つ又はそれ以上のメモリアクセスチャンネル40を介してシステムメモリ30と通信する帯域幅を狭くすることS404。狭くすることS404は、現在のフレームレートがターゲットフレームレート未満に下がらないことを確実にするよう行われる。狭くすることS404の作動は、ビデオイメージ処理パイプラインコントローラ50により行われてよい。帯域幅を狭くすることS404の作動は、現在のフレームレートがターゲットフレームレート未満に下がるまで、帯域幅を次第に狭くすることと、現在のフレームレートがターゲットフレームレート未満に下がることに応えて、現在のフレームレートがターゲットフレームレート未満に下がらない帯域幅まで、帯域幅を広げることと、を含んでよい。帯域幅を狭くすることS404の作動は、現在のフレームレートがターゲットフレームレート未満に下がることに応えて、現在のフレームレートがターゲットフレームレート未満に下がらなかった以前の最小の帯域幅まで、帯域幅を広げることをさらに含んでよい。
【0049】
本発明は決して、上記の好適な実施形態に限定されないことを当業者は理解する。それどころか、特許請求の範囲内での多くの変形及びバリエーションが可能である。
【0050】
例えば、ビデオイメージ処理システムは、カメラ100内に実装されてよい。これを、
図5と関連して示す。カメラ100は、モニタリングカメラであってよい。システムがカメラ100内に実装されている場合、電力消費ユニット60は、カメラ100から見たシーンを明るくするよう構成されている照明デバイス、カメラ100をパン/チルトするよう構成されているパン/チルトモータ、及び、カメラ100を冷却するよう構成されている冷却構成の1つ又はそれ以上であってよい。
【0051】
さらに、開示する実施形態に対するバリエーションが、特許権を主張する本発明の実施において、本図面、本開示、及び添付の本特許請求の範囲の検討により、当業者により理解され、達成され得る。