(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/56 20060101AFI20221208BHJP
H01R 13/46 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
H01R13/56
H01R13/46 301A
(21)【出願番号】P 2019155818
(22)【出願日】2019-08-28
【審査請求日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】P 2019109702
(32)【優先日】2019-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 照雄
(72)【発明者】
【氏名】田端 正明
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 治
(72)【発明者】
【氏名】松井 元
(72)【発明者】
【氏名】小林 大樹
(72)【発明者】
【氏名】牧野 健司
(72)【発明者】
【氏名】小林 浩
(72)【発明者】
【氏名】天川 武史
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-317365(JP,A)
【文献】実開昭61-008952(JP,U)
【文献】特開平01-105482(JP,A)
【文献】米国特許第04413872(US,A)
【文献】特開2009-054483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/40-13/533
H01R13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の前方端部に接続された端子と、
前記端子が収容されるハウジングと、を備え、
前記ハウジングは、前記端子が収容される位置から後方に導出された前記電線が載置される載置部と、
前記載置部を覆う位置と、前記載置部から離間する位置との間を移動可能に形成された蓋部と、を備え、
前記蓋部は、前記載置部を覆う位置において前記載置部に載置された前記電線を前記載置部に向けて押圧する電線押圧部を有
し、
少なくとも2つの前記蓋部が前記載置部を挟んで設けられており、
少なくとも2つの前記蓋部のうち一の蓋部には、前記載置部を挟んで設けられた他の蓋部へ向かって突出し、前記載置部を覆う位置において、少なくとも2つの前記蓋部のうち他の蓋部と係止する開き止め部が設けられており、
前記ハウジングが内部に収容されるアウターハウジングを備え、
前記一の蓋部または前記他の蓋部のうち、少なくとも一方の前記蓋部には、前記蓋部の外面から突出するリブが設けられており、
前記アウターハウジングには、前記リブを他方の前記蓋部に向けて押さえる蓋押さえ部が設けられている、コネクタ。
【請求項2】
前記アウターハウジングは前記蓋部を外方から覆う、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記一の蓋部は、前記他の蓋部と、前記電線の導出方向と交差する上下方向から係止され、
前記リブは、前記蓋部における、前記電線の導出方向および前記上下方向と交差する左右方向の側部に設けられている請求項
1または請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記アウターハウジングは、後方に開口する開口部を有し前記ハウジングが前記開口部から収容される収容部を備え、
前記蓋押さえ部は、前記開口部における開口縁の後面から凹んだ形状をなしており、
前記リブは、一方の前記蓋部の後端側に位置しており、前記蓋押さえ部に後方から収容され、
前記蓋押さえ部の内面が、前記リブに他方の前記蓋部に向かう方向から接触することにより、一方の前記蓋部は、他方の前記蓋部に向けて押さられる請求項
3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記蓋部には、前記蓋部の外面から突出し、前記収容部の内面に接触する凸部が設けられている請求項
4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記ハウジングは、前記電線が前後方向と交差する方向に屈曲した状態で保持するストレインリリーフ部を有し、
前記ストレインリリーフ部は前記電線押圧部よりも後方の位置に設けられている、請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記ハウジングの外側に巻き付けられる結束部材を備え、
前記結束部材は、前記ハウジングにおける前記電線押圧部よりも後方の位置で、前記蓋部と前記載置部との間に前記電線が挟持された状態で巻き付けられる請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記蓋部には、前記結束部材が巻き付けられた領域に、前記電線に向かって突出する補助突部が形成されている、請求項
7に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記端子は、前記電線を挟持する挟持部と、
前記挟持部の外方に嵌合されるシェルと、を備え、
前記シェルは、前記挟持部を前記電線に向けて押圧する押圧部を有する、請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記蓋部は、前記載置部から離間する位置から、前記載置部を覆う位置に回動することが可能とされており、
前記電線押圧部は、前記蓋部から突出する形状をなしており、
前記蓋部が前記載置部を覆う位置に回動するときに、前記電線押圧部における前記電線に先に接触する部分である先接触部は角形状をなしている請求項1から請求項
9のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記電線押圧部は、
前記蓋部から立ち上がる平面状の起立面部と、
前記起立面部の先端から、前記電線の導出方向の後方に沿って延びる平面状の先端面部と、を備え、
前記先接触部は、前記起立面部と前記先端面部との間の角形状の部分とされ、
前記起立面部と前記先端面部との間の角度は、90度以下である請求項
10に記載のコネクタ。
【請求項12】
前記蓋部における前記電線押圧部の基端と連なる基端面は、前記蓋部が前記載置部を覆ったときに前記電線に接触する請求項1から請求項
11のいずれか1項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタに装着されて、電線を覆うコネクタカバーとして特開2003-331946号公報に記載のものが知られている。このコネクタカバーは、コネクタに内装された電極に電線が接続されるコネクタにおいて、コネクタを挟んで嵌合されてコネクタに取着される同一形状をした一対のコネクタカバーで構成され、コネクタを挟持した状態で電線と電極との接続領域を覆う。コネクタカバーは、コネクタに取着されたときに対向するコネクタカバーと協働してコネクタに接続された電線を挟持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-331946号公報(第7図(b))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の構成によれば、コネクタカバーが必要となるのでコネクタを構成する部品点数が増加し、製造コストが増大する。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、部品点数が削減されたコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかるコネクタは、電線の前方端部に接続された端子と、前記端子が収容されるハウジングと、を備え、前記ハウジングは、前記端子が収容される位置から後方に導出された前記電線が載置される載置部と、前記載置部を覆う位置と、前記載置部から離間する位置との間を移動可能に形成された蓋部と、を備え、前記蓋部は、前記載置部を覆う位置において前記載置部に載置された前記電線を前記載置部に向けて押圧する電線押圧部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、コネクタの部品点数を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1にかかるコネクタを示す一部拡大断面図である。
【
図3】
図3は、上側蓋部と下側蓋部とが開いた状態を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態2にかかるコネクタを示す断面図である。
【
図9】
図9は、実施形態3にかかるコネクタを示す断面図である。
【
図10】
図10は、電線押え部が電線を押さえた状態を示す一部拡大断面図である。
【
図11】
図11は、電線押え部が電線を押さえた状態を示す一部拡大背面図である。
【
図12】
図12は、上側蓋部と下側蓋部とが載置部から離れた状態を示す断面図である。
【
図13】
図13は、電線押え部が電線と接触した状態を示す一部拡大断面図である。
【
図14】
図14は、先接触部が電線と接触した状態を示す一部拡大断面図である。
【
図15】
図15は、電線押え部が電線の絶縁被覆に食い込んだ状態を示す一部拡大断面図である。
【
図16】
図16は、実施形態3にかかる電線押え部を示す一部拡大背面図である。
【
図17】
図17は、実施形態4にかかる電線押え部を示す一部拡大背面図である。
【
図18】
図18は、実施形態5にかかるリアホルダを示す斜視図である。
【
図21】
図21は、リアホルダとアウターハウジングとを示す斜視図である。
【
図22】
図22は、リアホルダがアウターハウジングに収容された状態を示す斜視図である。
【
図23】
図23は、リアホルダがアウターハウジングに収容された状態を示す側面図である。
【
図24】
図24は、上側蓋部と下側蓋部との間に遊びが形成されている状態を示す一部拡大背面図である。
【
図25】
図25は、上側蓋部と下側蓋部との間のガタつきが抑制された状態を示す一部拡大背面図である。
【
図26】
図26は、他の実施形態(4)に記載されたコネクタを示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様が列挙されて説明される。
【0010】
(1)本開示にかかるコネクタは、電線の前方端部に接続された端子と、前記端子が収容されるハウジングと、を備え、前記ハウジングは、前記端子が収容される位置から後方に導出された前記電線が載置される載置部と、前記載置部を覆う位置と、前記載置部から離間する位置との間を移動可能に形成された蓋部と、を備え、前記蓋部は、前記載置部を覆う位置において前記載置部に載置された前記電線を前記載置部に向けて押圧する電線押圧部を有する。
【0011】
ハウジングに設けられた載置部と蓋部とによって電線が挟持されるので、ハウジングと別部材のカバーを用いる場合に比べて部品点数を削減することができる。これによりコネクタの製造コストを低減できる。
【0012】
載置部と電線押圧部との間に電線が挟持されるので、電線に加えられた外力が端子にまで伝達されることが抑制される。
【0013】
(2)前記ハウジングが内部に収容されるアウターハウジングを備え、前記アウターハウジングは前記蓋部を外方から覆うことが好ましい。
【0014】
アウターハウジングが蓋部を覆うので、蓋部が開くことが抑制される。これにより、電線を確実に挟持することができる。
【0015】
(3)少なくとも2つの前記蓋部が前記載置部を挟んで設けられていることが好ましい。
【0016】
電線が載置部を挟んで並んで配されることにより載置部の一方の面と他方の面の双方に電線が載置される形態のコネクタにおいて、載置部の両面にそれぞれ載置された電線を、載置部を挟んで設けられた蓋部によって押圧することができる。
【0017】
(4)少なくとも2つの前記蓋部のうち一の蓋部には、前記載置部を挟んで設けられた他の蓋部へ向かって突出し、前記載置部を覆う位置において、少なくとも2つの前記蓋部のうち他の蓋部と係止する開き止め部が設けられていることが好ましい。
【0018】
開き止め部により、蓋部が開くことを抑制できる。
【0019】
(5)前記ハウジングが内部に収容されるアウターハウジングを備え、前記一の蓋部または前記他の蓋部のうち、少なくとも一方の前記蓋部には、前記蓋部の外面から突出するリブが設けられており、前記アウターハウジングには、前記リブを他方の前記蓋部に向けて押さえる蓋押さえ部が設けられていることが好ましい。
【0020】
一の蓋部が開き止め部により他の蓋部に係止された状態において、一般的に係止される部分に遊びが設けられていることから、一の蓋部は他の蓋部に対してガタつくこととなる。このガタつきにより、電線押圧部による電線への押圧が弱まることにより、ハウジングの電線保持性能が低下することとなる。そこで、一の蓋部または他の蓋部のうち、一方の蓋部に設けられたリブを、アウターハウジングに設けられた蓋押さえ部が他方の蓋部に向けて押さえることにより、蓋部のガタつきが抑制され、ハウジングの電線保持性能を向上できる。
【0021】
(6)前記一の蓋部は、前記他の蓋部と、前記電線の導出方向と交差する上下方向から係止され、前記リブは、前記蓋部における、前記電線の導出方向および前記上下方向と交差する左右方向の側部に設けられていることが好ましい。
【0022】
リブは左右方向の側部に設けられていることから、例えば、リブが上下方向の側部に設けられている構成と比較して、一の蓋部および他の蓋部の合わさる部分が開くことを抑制できる。
【0023】
(7)前記アウターハウジングは、後方に開口する開口部を有し前記ハウジングが前記開口部から収容される収容部を備え、前記蓋押さえ部は、前記開口部における開口縁の後面から凹んだ形状をなしており、前記リブは、一方の前記蓋部の後端側に位置しており、前記蓋押さえ部に後方から収容され、前記蓋押さえ部の内面が、前記リブに他方の前記蓋部に向かう方向から接触することにより、一方の前記蓋部は、他方の前記蓋部に向けて押さられることが好ましい。
【0024】
蓋押さえ部は、開口縁の後面から凹んだ形状をなしており、リブは蓋部の後端側に位置していることから、ハウジングがアウターハウジングに収容される途中の状態では蓋押さえ部はリブを押さえていないこととなる。これにより、リブが蓋部の前端側に位置している構成と比較して、ハウジングのアウターハウジングへの収容する作業の作業性を向上できる。
【0025】
(8)前記蓋部には、前記蓋部の外面から突出し、前記収容部の内面に接触する凸部が設けられていることが好ましい。
【0026】
凸部が収容部の内面に接触することにより、蓋部の膨らみを抑えることができる。
【0027】
(9)前記ハウジングは、前記電線が前後方向と交差する方向に屈曲した状態で保持するストレインリリーフ部を有し、前記ストレインリリーフ部は前記電線押圧部よりも後方の位置に設けられていることが好ましい。
【0028】
電線は、ストレインリリーフ部によって前後方向について屈曲した姿勢で保持されるので、電線に加えられた外力は、電線のうち屈曲した部分において吸収される。これにより、電線に加えられた外力が端子にまで伝達されることが確実に抑制される。
【0029】
(10)前記ハウジングの外側に巻き付けられる結束部材を備え、前記結束部材は、前記ハウジングにおける前記電線押圧部よりも後方の位置で、前記蓋部と前記載置部との間に前記電線が挟持された状態で巻き付けられることが好ましい。
【0030】
結束部材によって蓋部が開くことが抑制されるので、蓋部と載置部との間に電線を強固に挟持することができる。
【0031】
(11)前記蓋部には、前記結束部材が巻き付けられた領域に、前記電線に向かって突出する補助突部が形成されていることが好ましい。
【0032】
結束部材によって加えられる押圧力は、補助突部を介して確実に電線に伝達される。これにより、電線を蓋部によって確実に保持することができる。
【0033】
(12)前記端子は、前記電線を挟持する挟持部と、前記挟持部の外方に嵌合されるシェルと、を備え、前記シェルは、前記挟持部を前記電線に向けて押圧する押圧部を有することが好ましい。
【0034】
シェルに設けられた押圧部に押圧されることにより、挟持部が電線を挟持する。これにより、端子と電線とが電気的に接続されるので、圧着用の治具等の大規模な設備投資が不要となるので、端子の製造コストを低減できる。
【0035】
(13)前記蓋部は、前記載置部から離間する位置から、前記載置部を覆う位置に回動することが可能とされており、前記電線押圧部は、前記蓋部から突出する形状をなしており、前記蓋部が前記載置部を覆う位置に回動するときに、前記電線押圧部における前記電線に先に接触する部分である先接触部は角形状をなしていることが好ましい。
【0036】
先接触部が角形状をなしているので、蓋部が載置部から離間する位置から、載置部を覆う位置に回動するとき(すなわち、蓋部が閉じられるとき)に、電線押圧部が電線に食い込み易くなる。これにより、電線の保持力を向上できる。また、例えば、先接触部が丸い形状の場合と比較して、蓋部は閉じられ易くなるため、コネクタの組立性を向上できる。
【0037】
(14)前記電線押圧部は、前記蓋部から立ち上がる平面状の起立面部と、前記起立面部の先端から、前記電線の導出方向の後方に沿って延びる平面状の先端面部と、を備え、前記先接触部は、前記起立面部と前記先端面部との間の角形状の部分とされ、前記起立面部と前記先端面部との間の角度は、90度以下であることが好ましい。
【0038】
上記構成とすることで、回動により蓋部が閉じられるときに、先接触部を電線に先に接触させることができる。
【0039】
(15)前記蓋部における前記電線押圧部の基端と連なる基端面は、前記蓋部が前記載置部を覆ったときに前記電線に接触することが好ましい。
【0040】
基端面が電線に接触することで、電線押圧部が電線に過度に食い込むことを抑制できる。これにより、例えば、電線の絶縁被覆が裂けることを抑制できる。
【0041】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態が説明される。本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0042】
<実施形態1>
本開示の実施形態1が
図1から
図5を参照しつつ説明される。本実施形態のコネクタ10は、例えば自動車等の車両に搭載され、電線端末部や機器等に接続された相手側コネクタと嵌合する。以下では、矢線Zで示される方向を上方とし、矢線Yで示される方向を前方とし、矢線Xで示される方向を左方として説明する。また、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0043】
[コネクタ10]
コネクタ10は、
図1に示されるように、電線11に接続される端子20と、ハウジング41と、アウターハウジング50と、を備える。ハウジング41の後端部には、ハウジング41内に収容された端子20の位置を保持するリアホルダ60が配設されている。電線11は、共に、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等からなる芯線12の周囲が絶縁性合成樹脂からなる絶縁被覆13で覆われている。
【0044】
[端子20]
端子20は、
図1に示されるように、端子本体21と、端子本体21に外嵌するシェル30とを有する。端子本体21は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属製の雌端子であって、相手側の雄端子と接続される弾性接触片23が内部に収容された角筒状の筒部22と、筒部22の後方に連なり電線11と接続される電線接続部24と、を備える。電線接続部24の後端部には、芯線12を挟持する上側挟持部26Aおよび下側挟持部26Bが後方に延びて形成されている。
【0045】
上側挟持部26Aおよび下側挟持部26Bは、電線接続部24の後端部における上壁と下壁のそれぞれから後方に長方形の板状に延びている。
【0046】
[シェル30]
シェル30は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属製、又は、硬質の合成樹脂製であって、電線接続部24、上側挟持部26A、および下側挟持部26Bを挿通可能な角筒状とされている。シェル30の後方側には、一対の挟持部26A,26Bを押圧する上側押圧部31Aおよび下側押圧部31Bが設けられている。上側押圧部31Aと下側押圧部31Bは、シェル30の上壁および下壁を内方側に突出して形成されており、前後方向において上側挟持部26Aおよび下側挟持部26Bの長さに応じた範囲についてシェルの上壁と下壁との間の寸法が小さくなるように形成されている。
【0047】
[ハウジング41]
コネクタ10は、
図2に示されるように、端子20が収容される絶縁性の合成樹脂製のハウジング41と、ハウジング41に外嵌する絶縁性の合成樹脂製のアウターハウジング50とを備える。ハウジング41は、扁平な直方体状とされており、上下左右に複数のキャビティ42が並んで設けられている。上下段のキャビティ42は、千鳥状に配置されており、左右方向について、上段側の隣り合うキャビティ42間の中間部に下段のキャビティ42の幅方向の中間(軸心)が配置されている。
【0048】
図3に示されるように、ハウジング41の両側壁の外面における後方側には本係止部48と仮係止部47とが前後に並んで突設されている。仮係止部47と本係止部48とは共に前方側が段差状に突出し、後方側は、傾斜状に突出寸法が小さくなる傾斜面を有する形状とされている。
【0049】
アウターハウジング50は、
図2に示されるように、後方が開口されるとともに前部が塞がれた角筒状をなしている。アウターハウジング50にはハウジング41が後方側から嵌め入れられるようになっている。アウターハウジング50の内面には、ハウジング41の外面に係止して、ハウジング41がアウターハウジング50に収容された状態を保持する図示しない離脱規制部が形成されている。
【0050】
[リアホルダ60]
リアホルダ60は、絶縁性の合成樹脂製であって、
図2に示されるように、扁平な直方体状の本体61と、本体61の後方側にヒンジ73を介して回動可能に接続された上側蓋部74Aおよび下側蓋部74Bとを備える。ヒンジ73は、薄肉の帯状で撓み変形可能に形成されている。上側蓋部74Aと下側蓋部74Bは、それぞれ、載置部70の上面および下面を覆う位置と、載置部70から離間する位置との間を移動可能になっている。換言すると、上側蓋部74Aと下側蓋部74Bは、ヒンジ73を回動軸として回動可能になっている。
図2に示されるように、本体61の両側部には、前方に延びる一対の係止枠72が設けられている。
【0051】
図1に示されるように、リアホルダ60の上壁には、内方に突出する端子係止部62が形成されている。端子係止部62がシェルの後端部に後方から接触することにより、端子がハウジングのキャビティ42内において後方に抜け止め状態で保持されるようになっている。
【0052】
本体61の後方側には、
図2に示されるように、電線11が両面に載置される載置部70が延出されている。載置部70には、端子20が収容されたキャビティ42から後方に導出された電線11が載置されている。
図4に示されるように、載置部70の上下の両面には、電線11の外周面に沿うように左右方向に波形状の複数の電線配索溝71が左右方向に並んで形成されている。
【0053】
図3に示されるように、一対の係止枠72は、左右方向に撓み変形可能とされており、長方形状の係止孔72Aが貫通形成されている。係止孔72Aの孔縁には、ハウジング41の仮係止部47又は本係止部48が係止される。
【0054】
図2に示されるように、上側蓋部74Aおよび下側蓋部74Bには、載置部70の両面の電線配索溝71に載置された複数の電線11を押さえる電線押圧部75が電線11側に突出して設けられている。電線押圧部75は、先細状に突出しており、左右方向の全幅に亘って延びている。
【0055】
図3に示されるように、下側蓋部74Bの側壁には、外方に突出する蓋ロック部76が形成されている。上側蓋部74Aには、蓋ロック部76に対応する位置に、枠状をなして弾性変形可能な蓋ロック受け部77が形成されている。蓋ロック部76と蓋ロック受け部77とが弾性的に係止することにより、上側蓋部74Aと下側蓋部74Bとが閉じた状態に保持される。
【0056】
図5に示されるように上側蓋部74Aの後端部には、左右方向の中央位置から突出する開き止め部78が形成されている。開き止め部78は、上側蓋部74Aと下側蓋部74Bとが載置部70を覆う位置において、上側蓋部74Aから下側蓋部74Bに向かって突出している。開き止め部78は弾性変形可能な板状に形成されている。開き止め部78の先端には鉤状に形成された鉤部79が形成されている。左右方向の中央位置は、左右方向の中央位置を含むとともに、左右方向の中央位置でない場合であっても、実質的に左右方向の中央位置を認定しうる場合も含む。
【0057】
図2に示されるように、下側蓋部74Bには、開き止め部78に対応する位置に、鉤部79と係止する開き止め受け部80が形成されている。上側蓋部74Aと下側蓋部74Bとが載置部70を覆う位置において、開き止め部78の鉤部79と、開き止め受け部80とが弾性的に係止することにより、上側蓋部74Aおよび下側蓋部74Bの左右方向の中央位置において、上側蓋部74Aと下側蓋部74Bとが上下方向に開くことが抑制されるようになっている。
【0058】
図5に示されるように、ハウジング41がアウターハウジング50の内部に嵌合された状態で、アウターハウジング50は、上側蓋部74Aおよび下側蓋部74Bの外周を覆うように配されている。
【0059】
[コネクタ10の製造工程の一例]
コネクタ10の製造工程について説明される。コネクタ10の製造工程は下記に限定されない。
【0060】
端子本体21の後端部にシェル30を外嵌した状態の端子20が、ハウジング41のキャビティ42にセットされる。また、リアホルダ60の係止枠72をハウジング41の仮係止部47に係止させることにより、リアホルダ60がハウジング41に仮係止状態に組み付けられる。
【0061】
次に、リアホルダ60の後方側から端末部の絶縁被覆13を剥ぎ取り芯線12を露出させた電線11が挿通され、上側押圧部31Aおよび下側押圧部31Bの間を通されるとともに、さらに上側挟持部26Aおよび下側挟持部26Bの間に通される。続いて、シェル30が端子本体21に対して前方側にスライドさせられる。すると、
図1に示されるように、上側押圧部31Aが上側挟持部26Aを下方に押圧して変形させるとともに、下側押圧部31Bが下側挟持部26Bを上方に押圧して変形させる。これにより、上側挟持部26Aおよび下側挟持部26Bが電線11の芯線12を挟持する。
【0062】
次に、ハウジング41に対してリアホルダ60が前方に移動させられる。すると、仮係止部47への係止が解除され、本係止部48に当接した係止枠72が撓み変形して係止枠72が本係止部48に係止して本係止状態となる。
【0063】
次に、上側蓋部74Aが下方に回動されるとともに下側蓋部74Bが上方に回動される。蓋ロック部76と蓋ロック受け部77とが係止されるとともに、開き止め部78と開き止め受け部80とが係止される。その後、ハウジング41の前方側からアウターハウジング50が装着されるとコネクタ10が完成する。
【0064】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態によれば、以下の作用、効果を奏する。本実施形態に係るコネクタ10は、電線11の前方端部に接続された端子20と、端子20が収容されるハウジング41と、を備え、ハウジング41は、端子20が収容される位置から後方に導出された電線11が載置される載置部70と、載置部70を覆う位置と、載置部70から離間する位置との間を移動可能に形成された上側蓋部74Aおよび下側蓋部74Bと、を備え、上側蓋部74Aおよび下側蓋部74Bは、載置部70を覆う位置において載置部70に載置された電線11を載置部70に向けて押圧する電線押圧部75を有する。
【0065】
ハウジング41に設けられた載置部70と、上側蓋部74Aおよび下側蓋部74Bとによって電線11が挟持されるので、ハウジング41と別部材のカバーを用いる場合に比べて部品点数を削減することができる。これによりコネクタ10の製造コストを低減できる。
【0066】
載置部70と電線押圧部75との間に電線11が挟持されるので、電線11に加えられた外力が端子20にまで伝達されることが抑制される。
【0067】
本実施形態によれば、ハウジング41が内部に収容されるアウターハウジングを50備え、アウターハウジング50は上側蓋部74Aおよび下側蓋部74Bを外方から覆う。
【0068】
アウターハウジング50が上側蓋部74Aおよび下側蓋部74Bを覆うので、上側蓋部74Aおよび下側蓋部74Bが開くことが抑制される。これにより、電線11を確実に挟持することができる。
【0069】
本実施形態によれば、ハウジング41には上側蓋部74Aと下側蓋部74Bが載置部70を挟んで設けられている。
【0070】
電線11が載置部70を挟んで並んで配されることにより載置部70の上面と下面の双方に電線11が載置される形態のコネクタ10において、載置部70の両面にそれぞれ載置された電線11を、載置部70を挟んで設けられた上側蓋部74Aおよび下側蓋部74Bによって押圧することができる。
【0071】
本実施形態によれば、上側蓋部74Aには、載置部70を挟んで設けられた下側蓋部74Bへ向かって突出し、載置部70を覆う位置において、下側蓋部74Bと係止する開き止め部78が設けられている。
【0072】
開き止め部78により、蓋部が開くことを抑制できる。
【0073】
本実施形態によれば、開き止め部78は左右方向(電線11が導出された方向と交差する方向)の中央位置に設けられている。
【0074】
開き止め部78が、電線11の導出される方向と交差する方向の中央位置に設けられているので、上側蓋部74Aおよび下側蓋部74Bが開くことを一層抑制できる。
【0075】
本実施形態によれば、端子20は、電線11を挟持する上側挟持部26Aおよび下側挟持部26Bと、上側挟持部26Aおよび下側挟持部26Bの外方に嵌合されるシェル30と、を備え、シェル30は、上側挟持部26Aおよび下側挟持部26Bを電線11に向けて押圧する上側押圧部31Aおよび下側押圧部31Bを有する。
【0076】
シェル30に設けられた上側押圧部31Aおよび下側押圧部31Bに押圧されることにより、上側挟持部26Aおよび下側挟持部26Bが電線11を挟持する。これにより、端子20と電線11とが電気的に接続されるので、圧着用の治具等の大規模な設備投資が不要となるので、端子20の製造コストを低減できる。
【0077】
<実施形態2>
次に、本開示の実施形態2にかかるコネクタ90について、
図6から
図8を参照しつつ説明される。
図6に示されるように、リアホルダ91のうち電線押圧部75の後方には、ストレインリリーフ部92が形成されている。ストレインリリーフ部92は、リアホルダ91の上壁から下方に突出して形成されている。ストレインリリーフ部92の前面および後面は比較的に緩やかな斜面が形成されている。電線11は、前後方向に延びるとともに、ストレインリリーフ部92の傾斜に沿って下方に屈曲した形状に保持される。ストレインリリーフ部92の、リアホルダ91の上壁からの突出寸法は、電線11の直径よりも大きく設定されている。
【0078】
図6に示されるように、リアホルダ91には、ストレインリリーフ部92よりも後方の位置に、電線11に向かって突出する上側補助突部93Aおよび下側補助突部93Bが形成されている。上側補助突部93Aは上側蓋部94Aに設けられており、下側補助突部93Bは下側蓋部94Bに設けられている。上側補助突部93Aと、下側補助突部93Bとは、上側蓋部94Aと下側蓋部94Bとが閉じられた状態で、対応する位置に形成されている。上側補助突部93Aおよび下側補助突部93Bは、左右方向に延びるとともに、前後方向に2条並んで形成されている。上側蓋部94Aと下側蓋部94Bとが閉じられた状態で、上側補助突部93Aおよび下側補助突部93Bによって電線11が挟まれた状態になっている。
【0079】
図7に示されるように、上側蓋部94Aと下側蓋部94Bとが閉じられた状態で、上側蓋部94Aおよび下側蓋部94Bには、外側から結束部材95が巻き付けられている。この結束部材95によって、上側蓋部94Aおよび下側蓋部94Bは、それぞれ、電線11に向かって押圧される。結束部材95は、帯状をなすバンド部96と、バンド部96の端部同士を抜け止め状態で固定する抜け止め部97と、を有する。結束部材95は合成樹脂製であってもよいし、また、金属製であってもよい。結束部材95としては、公知の構造のものを適宜に選択できる。
【0080】
図6に示されるように、上側蓋部94Aおよび下側蓋部94Bは、結束部材95が取り付けられる溝98が陥没して形成されている。溝98の前後方向の幅寸法は、結束部材95の前後方向の幅寸法と同じか、やや大きく形成されている。上記した上側補助突部93Aと、下側補助突部93Bは、溝98に対応する位置に形成されている。換言すると、上側蓋部94Aに形成された溝98の下方に上側補助突部93Aが形成されており、下側蓋部94Bに形成された溝98の上方に下側補助突部93Bが形成されている。これにより、結束部材95によって電線に向かって加えられた力は、上側補助突部93Aおよび下側補助突部93Bに直接に伝達されるようになっている。
【0081】
図8に示されるように、溝98は、後方から見て、上下方向にやや膨らんだ形状に形成されている。これにより、上側蓋部94Aおよび下側蓋部94Bの左右方向の中央付近において、結束部材95が浮き上がってしまうことが抑制される。これにより、結束部材95によって電線11に向かって加えられた力が、確実に電線11に伝達されるようになっている。
【0082】
図8に示されるように、リアホルダ91から電線11が導出される電線導出口99の形状は、後方から見て、左右方向に細長く延びるとともに、上に凸状に形成されている。
【0083】
[本実施形態の作用効果]
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態によれば、ハウジング41に取り付けられたリアホルダ91は、電線11を前後方向について屈曲した状態で保持するストレインリリーフ部92を有し、ストレインリリーフ部92は電線押圧部75よりも後方の位置に設けられている。
【0084】
電線11は、ストレインリリーフ部92によって前後方向について屈曲した姿勢で保持されるので、電線11に加えられた外力は、電線11のうち屈曲した部分において吸収される。これにより、電線11に加えられた外力が端子20にまで伝達されることが確実に抑制される。
【0085】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0086】
本実施形態によれば、ハウジング41の外側に巻き付けられる結束部材95を備え、結束部材95は、ハウジング41における電線押圧部75よりも後方の位置で、上側蓋部74Aおよび下側蓋部74Bとの間に電線11が挟持された状態で巻き付けられる。
【0087】
結束部材95によって上側蓋部74Aおよび下側蓋部74Bが開くことが抑制されるので、上側蓋部74Aおよび下側蓋部74Bと、載置部70との間に電線11を強固に挟持することができる。
【0088】
本実施形態によれば、上側蓋部94Aおよび下側蓋部94Bには、それぞれ、結束部材95が巻き付けられた領域に、電線11に向かって突出する上側補助突部93Aおよび下側補助突部93Bが形成されている。
【0089】
結束部材95によって加えられる押圧力は、上側補助突部93Aおよび下側補助突部93Bを介して確実に電線11に伝達される。これにより、電線11を上側蓋部74Aおよび下側蓋部74Bによって確実に保持することができる。
【0090】
<実施形態3>
次に、本開示の実施形態3について
図9から
図15を参照しつつ説明する。
図9に示されるように、本実施形態にかかるコネクタ100のリアホルダ101には、前後方向に間隔を空けて複数列(本実施形態では2列)に並ぶ電線押圧部102が形成されている。電線押圧部102は、リアホルダ101の上側蓋部103の下面108(基端面の一例)から下方に突出するとともに、リアホルダ101の下側蓋部104の上面109(基端面の一例)から上方に突出している。
【0091】
図10に示されるように、電線押圧部102は、上側蓋部103の下面108および下側蓋部104の上面109から立ち上がる起立面部105を有する。起立面部105は、上側蓋部103および下側蓋部104が閉じられた状態で、前後方向と交差する平面状に形成されている。
【0092】
電線押圧部102は、上側蓋部103および下側蓋部104が閉じられた状態で、起立面部105の先端から、後方に沿って延びる平面状の先端面部106を有する。
【0093】
起立面部105と、先端面部106との境界部分は角形状をなしており、先接触部107とされる。先接触部107は、左右方向に延びて形成されている。先接触部107は、上側蓋部103および下側蓋部104がヒンジ73を回動軸として載置部70を覆う位置に回動するときに、電線押圧部102の中で最初に電線11に接触するようになっている。
【0094】
起立面部105と先端面部106とのなす角度は特に限定されないが、90度以下が好ましい。本実施形態では、実質的に90度となっている。実質的に90度とは、90度を含むと共に、90度でなくとも実質的に90度と認め得る角度をいい、例えば、85度以上95度以下の範囲が含まれうる。
【0095】
本実施形態においては、電線押圧部102の後部は、後方に向かうに従って上側蓋部103の下面および下側蓋部104の上面に近付くように傾斜している。これにより、電線押圧部102は、側方から見て、上側蓋部103および下側蓋部104から先端面部106に向けて先細りの形状をなしている。
【0096】
図11に示されるように、上側蓋部103および下側蓋部104が閉じられた状態では、上側蓋部103の下面108は、電線11に上方から接触する。また、詳細には図示しないが、下側蓋部104の上面109は電線11に下方から接触するようになっている。電線押圧部102が電線11と接触した状態で、電線押圧部102の先端は電線11の芯線に接触しないようになっている。
【0097】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0098】
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。
図12には、上側蓋部103が電線11から離間した状態が示されている。ヒンジ73を回動軸として、上側蓋部103を載置部に接近させる方向に回動させる。すると、
図13および
図14に示されるように、電線押圧部102の先接触部107が電線11の絶縁被覆に上方から接触する。先接触部107は角形状をなしているので、電線押圧部102の先接触部107は電線11の絶縁被覆13に食い込むようになっている。
【0099】
さらに、ヒンジ73を回動軸として上側蓋部103を回動させると、
図15に示されるように、電線押圧部102の先端面部106が電線11の絶縁被覆13に食い込む。
【0100】
上側蓋部103が載置部70を覆った状態に固定された状態では、
図10に示されるように、電線押圧部102の起立面部105は上下方向に切り立った状態になっており、先端面部106は前後方向に延びる状態になっている。これにより、電線11が後方に引っ張られたときに、電線押圧部102の起立面部105によって、電線11が後方に引っ張られた力を受けることができるようになっている。
【0101】
本実施形態においては、上側蓋部103および下側蓋部104は、載置部70から離間する位置から、載置部70を覆う位置に回動することが可能とされており、電線押圧部102は、上側蓋部103および下側蓋部104のそれぞれから突出する形状をなしており、上側蓋部103および下側蓋部104が載置部70を覆う位置に回動するときに、電線押圧部102における電線11に先に接触する部分である先接触部107は角形状をなしている。
【0102】
先接触部107が角形状をなしているので、上側蓋部103および下側蓋部104が載置部70から離間する位置から、載置部70を覆う位置に回動するとき(すなわち、上側蓋部103および下側蓋部104が閉じられるとき)に、電線押圧部102が電線11に食い込み易くなる。これにより、電線11の保持力を向上できる。また、例えば、先接触部107が丸い形状の場合と比較して、上側蓋部103および下側蓋部104は閉じられ易くなるため、コネクタ100の組立性を向上できる。
【0103】
また、本実施形態においては、電線押圧部102は、上側蓋部103および下側蓋部104からそれぞれ立ち上がる平面状の起立面部105と、起立面部105の先端から、電線11の導出方向の後方に沿って延びる平面状の先端面部106と、を備え、先接触部107は、起立面部105と先端面部106との間の角形状の部分とされ、起立面部105と先端面部106との間の角度は、90度以下である。
【0104】
上記構成とすることで、回動により上側蓋部103および下側蓋部104が閉じられるときに、先接触部107を電線11に先に接触させることができる。
【0105】
本実施形態では、電線押圧部102は、上側蓋部103および下側蓋部104側の基端から先端面部106に向けて先細りの形状をなしている。
【0106】
上記構成とすることで、電線押圧部102は電線11に食い込み易くなる。
【0107】
本実施形態では、上側蓋部103の下面108は電線押圧部102の基端と連なっており、下側蓋部104の上面109は電線押圧部102の基端と連なっている。上側蓋部103の下面108および下側蓋部104の上面109は、上側蓋部103および下側蓋部104が載置部70を覆ったときに電線11に接触する。
【0108】
上側蓋部103の下面108および下側蓋部104の上面109が電線11に接触することで、電線押圧部102が電線11に過度に食い込むことを抑制できる。これにより、例えば、電線11の絶縁被覆13が裂けることを抑制できる。
【0109】
本実施形態では、電線押圧部102は上側蓋部103および下側蓋部104に複数設けられている。
【0110】
電線押圧部102を複数設けることで、さらに電線11の保持力を向上できる。
【0111】
<実施形態4>
次に、本開示の実施形態4にかかる電線押圧部110について、
図16を参照しつつ説明する。本実施形態においては、複数の電線押圧部110が、左右方向に間隔を空けて並んでいる。左右方向に隣り合う電線押圧部110の間隔は、電線11の直径よりも小さく設定されている。これにより、電線押圧部110の左右両側部は、電線11の絶縁被覆に食い込むようになっている。
【0112】
上記以外の構成については、実施形態3と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0113】
<実施形態5>
次に、本開示の実施形態5にかかる電線押圧部111について、
図17を参照しつつ説明する。本実施形態においては、複数の電線押圧部111が、左右方向に間隔を空けて並んでいる。各電線押圧部111は、電線11に対応する位置に設けられている。電線押圧部111の先端面部106は、前後方向から見て弧状に形成されている。
【0114】
上記以外の構成については、実施形態3と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0115】
<実施形態6>
次に、本開示の実施形態6にかかるコネクタ119について
図18から
図25を参照しつつ説明する。
図18および
図19に示されるように、本実施形態にかかるリアホルダ120の上側蓋部121の後端部には、左方および右方に突出する上側リブ122(リブの一例)が突出している。また、リアホルダ120の下側蓋部123の後端部には、左方および右方に突出する下側リブ124(リブの一例)が突出している。上側リブ122および下側リブ124の、左右方向への突出寸法はほぼ同じに形成されている。
【0116】
図20に示されるように、上側リブ122および下側リブ124の前端部は、前方に向けて傾斜するテーパー状をなしている。これにより、上側リブ122および下側リブ124は前方に向かうに従って先細り形状に形成されている。
【0117】
図21および
図22に示されるように、アウターハウジング125はハウジング126が収容される収容部127を有する。収容部127は後方に開口する開口部128を有する。この開口部128から、ハウジング126が収容部127内に、後方から収容されるようになっている。
【0118】
収容部127の開口部128には、左右両端部に、開口部128における後面から凹んだ形状に形成された蓋押さえ部129が形成されている。蓋押さえ部129は、リアホルダ120の上側リブ122および下側リブ124が後方から収容されるようになっている。
【0119】
図22および
図23に示されるように、ハウジング126が収容部127内に収容されるときに、蓋押さえ部129の内面は、リアホルダ120の上側リブ122および下側リブ124と当接するようになっている。これにより、リアホルダ120の上側蓋部121は下方に押圧され、リアホルダ120の下側蓋部123は上方に押圧されるようになっている。この結果、リアホルダ120の上側蓋部121と下側蓋部123との間隔は、ハウジング126が収容部127内に収容される前の状態と比べて狭くなるようになっている。
【0120】
図18に示されるように、上側蓋部121の上面には、後端部寄りの位置に、左右方向に間隔を空けて並ぶ複数(本実施形態では3つ)の上側凸部130(凸部の一例)が上方に突出して形成されている。3つの上側凸部130のうち、左右方向の中央に位置するものが、左方および右方に位置するものに比べてやや大きく形成されている。
【0121】
図19に示されるように、下側蓋部123の下面には、後端部寄りの位置に、左右方向に間隔を空けて並ぶ複数(本実施形態では3つ)の下側凸部131(凸部の一例)が下方に突出して形成されている。3つの下側凸部131のうち、左右方向の中央に位置するものが、左方および右方に位置するものに比べてやや大きく形成されている。
【0122】
図21および
図22に示されるように、上側凸部130は、上側蓋部121の下面と接触することにより下方に押圧される。これにより、上側蓋部121は下側蓋部123に向けて押し下げられる。また、下側凸部131は、下側蓋部123の上面と接触することにより上方に押圧される。これにより、下側蓋部123は、上側蓋部121に向けて押し上げられる。この結果、リアホルダ120の上側蓋部121と下側蓋部123との間隔は、ハウジング126が収容部127内に収容される前の状態と比べて狭くなるようになっている。
【0123】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0124】
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。
図20に示されるように、リアホルダ120の、上側蓋部121と下側蓋部123とは、蓋ロック部132と蓋ロック受け部133とが弾性的に係合することにより閉じられた状態になっている。蓋ロック部132と蓋ロック受け部133とが弾性的に係合するために、蓋ロック部132および蓋ロック受け部133の一方または双方には、いわゆる遊び設けられている。また、上側蓋部121と下側蓋部123には、部品の製造公差が設定されているとともに、組み付け公差も設定されている。このため、
図20および
図24に示されるように、蓋ロック部132と蓋ロック受け部133とが弾性的に係合した状態では、上側蓋部121と下側蓋部123との間には隙間が生じており、上側蓋部121と下側蓋部123とがガタつくようになっている。このガタつきにより、電線11押圧部による電線11への押圧力が弱まることにより、ハウジング126の電線11保持性能が低下することが懸念される。
【0125】
上記の点を鑑み、本実施形態にかかるコネクタ119は、ハウジング126が内部に収容されるアウターハウジング125を備え、上側蓋部121および下側蓋部123には、上側蓋部121および下側蓋部123の外面からそれぞれ突出する上側リブ122および下側リブ124が設けられており、アウターハウジング125には、ハウジング126が収容されるときに上側リブ122を下側蓋部123に向けて押えるとともに、下側リブ124を上側蓋部121に向けて押さえる蓋押さえ部129が設けられている。
【0126】
上側リブ122を下側蓋部123に向けて押えるとともに、下側リブ124を上側蓋部121に向けて押さえることにより、上側蓋部121と下側蓋部123と間のガタつきが抑制され、ハウジング126の電線保持性能を向上できる(
図23および
図25参照)。
【0127】
本実施形態によれば、上側蓋部121と下側蓋部123とは、電線11の導出方向と交差する上下方向から、蓋ロック部132と蓋ロック受け部133とによって係止され、上側リブ122および下側リブ124は、それぞれ、上側蓋部121および下側蓋部123における、電線11の導出方向および上下方向と交差する左右方向の側部に設けられている。
【0128】
上側リブ122および下側リブ124は左右方向の側部に設けられていることから、例えば、上側リブ122および下側リブ124が上下方向の側部に設けられている構成と比較して、上側蓋部121と下側蓋部123の合わさる部分が開くことを抑制できる。
【0129】
本実施形態によれば、アウターハウジング125は、後方に開口する開口部128を有しハウジング126が開口部128から収容される収容部127を備え、蓋押さえ部129は、開口部128における開口縁の後面から凹んだ形状をなしており、リブは、一方の蓋部の後端側に位置しており、蓋押さえ部129に後方から収容され、蓋押さえ部129の内面が、上側リブ122に対しては下側蓋部123に向かう方向(上方)から接触し、下側リブ124に対しては上側蓋部121に向かう方向(下方)から接触することにより、上側蓋部121および下側蓋部123がお互いに近付くように押えられる。
【0130】
蓋押さえ部129は、開口縁の後面から凹んだ形状をなしており、上側リブ122および下側リブ124はそれぞれ、上側蓋部121および下側蓋部123の後端側に位置していることから、ハウジング126がアウターハウジング125に収容される途中の状態では蓋押さえ部129は上側リブ122および下側リブ124を押さえていないこととなる。これにより、上側リブ122および下側リブ124が上側蓋部121および下側蓋部123の前端側に位置している構成と比較して、ハウジング126のアウターハウジング125への収容する作業の作業性を向上できる。
【0131】
本実施形態によれば、上側リブ122および下側リブ124の前端部は、前方に向けて傾斜するテーパー状をなしている。
【0132】
上側リブ122および下側リブ124の前端部は、テーパー状をなしているため、ハウジング126をアウターハウジング125の収容部127に収容する際のガイドとなる。
【0133】
本実施形態によれば、上側蓋部121および下側蓋部123には、それぞれ、上側蓋部121および下側蓋部123の外面から突出し、収容部127の内面に接触する上側凸部130および下側凸部131が設けられている。
【0134】
上側凸部130および下側凸部131が収容部127の内面に接触することにより、上側蓋部121および下側蓋部123の膨らみを抑えることができる。
【0135】
<他の実施形態>
本開示は上記記述および図面によって説明された実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に開示された技術の技術的範囲に含まれる。
【0136】
(1)実施形態1および実施形態2においては、ハウジング41はリアホルダ60,91を有する構成としたが、ハウジング41はリアホルダを有しない構成としてもよい。
【0137】
(2)端子は、電線の外周に圧着するバレルにより、電線と接続される構成としてもよい。
【0138】
(3)端子は、1つ、または3つ以上の挟持部を有する構成としてもよい。
【0139】
(4)
図26に示されるように、実施形態1にかかる開き止め部および開き止め受け部は省略してもよい。
【0140】
(5)実施形態2において、リアホルダ91に形成された、電線押圧部、ストレインリリーフ部92、補助突部93A,93B、および溝98の、前後方向の配置は限定されず、任意の配置とすることができる。
【0141】
(6)開き止め部78は、左右方向の中央位置と異なる位置に設けられてもよい。2つ以上の開き止め部78が設けられてもよい。
【0142】
(7)ハウジングには、1つ、または3つ以上の蓋部が設けられる構成としてもよい。
【0143】
(8)上側凸部130および下側凸部131の個数は1つ、2つ、または4つ以上でもよい。
【符号の説明】
【0144】
10,90,100,119: コネクタ
11: 電線
12: 芯線
13: 絶縁被覆
20: 端子
21: 端子本体
22: 筒部
23: 弾性接触片
24: 電線接続部
26A: 上側挟持部
26B: 下側挟持部
30: シェル
31A: 上側押圧部
31B: 下側押圧部
41,126: ハウジング
42: キャビティ
47: 仮係止部
48: 本係止部
50,125: アウターハウジング
51: 角筒部
60,91,101,120: リアホルダ
61: 本体
62: 端子係止部
70: 載置部
71: 電線配索溝
72: 係止枠
72A: 係止孔
73: ヒンジ
74A,94A,103,121: 上側蓋部
74B,94B,104,123: 下側蓋部
75,102,110,111: 電線押圧部
76,132: 蓋ロック部
77,133: 蓋ロック受け部
78: 開き止め部
79: 鉤部
80: 開き止め受け部
92: ストレインリリーフ部
93: 補助突部
93A: 上側補助突部
93B: 下側補助突部
95: 結束部材
96: バンド部
97: 抜け止め部
98: 溝
99: 電線導出口
105: 起立面部
106: 先端面部
107: 先接触部
108: 下面
109: 上面
122: 上側リブ
124: 下側リブ
127: 収容部
128: 開口部
129: 蓋押さえ部
130: 上側凸部
131: 下側凸部