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特許7190429処理ライン内で家禽屠体の内蔵パックを吊り下げるシャックル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】処理ライン内で家禽屠体の内蔵パックを吊り下げるシャックル
(51)【国際特許分類】
   A22C 21/00 20060101AFI20221208BHJP
   A22C 21/06 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
A22C21/00 Z
A22C21/06
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019522856
(86)(22)【出願日】2017-11-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 NL2017050730
(87)【国際公開番号】W WO2018088903
(87)【国際公開日】2018-05-17
【審査請求日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】2017755
(32)【優先日】2016-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511126198
【氏名又は名称】マレル ポウルトリー ベースローテン フェンノートシャップ
【住所又は居所原語表記】Handelstraat 3,NL-5831 AV Boxmeer,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(72)【発明者】
【氏名】ドラッベルス,バスティアーン ヴェルヘルミナ ヨハネス エリゼウス ヨセフス
(72)【発明者】
【氏名】ファン オス,マールテン レオナルドゥス
(72)【発明者】
【氏名】コーネリッセン,ロビン ヘンリクス ランベルトゥス
(72)【発明者】
【氏名】クラエッセンス,ロジャー ピエール フーベルトゥス マリア
(72)【発明者】
【氏名】デッカーズ,ルドルフ ヨハネス フーベルトゥス レニエ
【審査官】竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-189670(JP,A)
【文献】特開平05-219882(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第03709869(DE,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00539134(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0042497(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C 5/00 - 29/04
B25B 1/00 - 11/02
F16B 12/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理ライン内で家禽屠体の内蔵パックを吊り下げるシャックルであって、
a フレームと、
b 家禽生産ラインから前記シャックルを吊り下げるために前記フレームの第1端部で前記フレームに連結された連結部と、
c 内蔵パックをクランプするために前記フレームの前記第1端部の反対側である前記フレームの第2端部で前記フレームに連結されたクランプ部と、
d なお、前記クランプ部は第1クランプ要素および第2クランプ要素を有し、前記第2クランプ要素は前記第1クランプ要素に対して、
i 内臓パックを前記第1および前記第2クランプ要素の間に配置することができる開放位置と、
ii 内臓パックを前記第1および前記第2クランプ要素の間でクランプする閉鎖位置と、の間で回転可能に移動可能であり、
e 前記第2クランプ要素を前記第1クランプ要素に対して回転可能に移動させるロッドなどのアクチュエータと、
なお、前記アクチュエータは、
i 前記第1および前記第2クランプ要素が開放位置にある第1位置と、
ii 前記第1および前記第2クランプ要素が閉鎖位置にある第2位置と、の間で移動可能であり、
f 前記第2クランプ要素の、前記閉鎖位置への移動および/または前記閉鎖位置からの移動を妨げる力を提供するための、一端が前記第1クランプ要素に配置され、他端が前記第2クランプ要素に配置されたバネと、を備え、
前記第1および前記第2クランプ要素は、少なくとも部分的に整列可能な切り欠き部を備え、前記アクチュエータは前記整列された切り欠き部を貫通して延びるように配置されており、前記アクチュエータは、前記切り欠き部の少なくとも1つの幅と実質的に同じ太さを有している、シャックル。
【請求項2】
前記第1クランプ要素は、実質的に真っ直ぐまたは直線である切り欠き部を有し、前記第2クランプ要素は、実質的に曲がったまたは非直線である切り欠き部または前記第1クランプ要素の切り欠き部に比べて角度を有する切り欠き部を有する、請求項1に記載のシャックル。
【請求項3】
前記第2クランプ要素の前記切り欠き部は、第1端部で第1直行部分と、第2端部で第2直行部分と、前記第1および前記第2直行部分を接続する第3部分とを有し、後続する部分は鈍角に配置されている、請求項1または2に記載のシャックル。
【請求項4】
前記第1直行部分と前記第3部分との間の移行は、前記第3部分と前記第2部分との間の移行に比べてスムーズである、請求項3に記載のシャックル。
【請求項5】
前記アクチュエータは、前記第1および/または前記第2クランプ要素の前記切り欠き部の一端と、前記第1および/または前記第2クランプ要素の前記切り欠き部の他端との間で移動可能であるように配置されており、前記切り欠き部内の前記アクチュエータの動きは、前記第1および前記第2クランプ要素の相互位置を変える、請求項1~4のいずれかに記載のシャックル。
【請求項6】
前記アクチュエータは、前記フレームと前記クランプ部との間で本質的に垂直に延びる、請求項1~5のいずれかに記載のシャックル。
【請求項7】
前記アクチュエータは、前記フレームの前記第1端部の取り付け点から搖動するように配置される、請求項1~6のいずれかに記載のシャックル。
【請求項8】
前記第1クランプ要素は前記フレームと一体に形成されている、および/または前記第1クランプ要素は前記フレームに固定されている、請求項1~7のいずれかに記載のシャックル。
【請求項9】
前記バネは、前記閉鎖位置への移動および/または前記閉鎖位置からの移動を妨げる力を提供するために、一端が前記第1クランプ要素に配置され、他端は前記第2クランプ要素に配置されている、請求項8に記載のシャックル。
【請求項10】
バネの両端が前記クランプ手段によって定義された平面に平行な平面内に配置される、請求項1~9のいずれかに記載のシャックル。
【請求項11】
前記第2クランプ要素は、前記バネの一端の周りに回転可能である、請求項1~10のいずれかに記載のシャックル。
【請求項12】
前記バネは湾曲しており、前記バネの有効長が増加している、請求項1~11のいずれかに記載のシャックル。
【請求項13】
前記フレーム、前記第1および前記第2クランプ要素は、成形可能なプラスチックで作られている、請求項1~12のいずれかに記載のシャックル。
【請求項14】
前記第1および/または前記第2クランプ要素は、階段状である、請求項1~13のいずれかに記載のシャックル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理ライン内で家禽屠体の内蔵パックを吊り下げるシャックル、および、そのようなシャックル内で使用するためのクランプ要素、バネおよびアクチュエータに関する。
【0002】
家禽の自動化された処理の際に、種々のタイプの作業が屠体に対して行われる。通常、家禽は、所定の搬送路に沿って家禽を搬送するために、家禽の両脚をシャックルまたはブラケットで吊り下げられている。そのような搬送路は、通常は、オーバーヘッドコンベアによって制御される。そのような家禽搬送に対して種々のタイプのシャックル構造やコンベアタイプが知られている。シャックルに吊るされている家禽の搬送の際に、種々のタイプの処理が家禽屠体に行われる。
【0003】
処理の1つは、家禽屠体の内蔵パックを屠体から分離する際の家禽屠体の内蔵摘出である。これは、その後、検査のために、または例えば内蔵収集機(giblet harvesting machine)でさらに処理するために、搬送されてもよい。内蔵パックは、例えば家禽屠体内の病気の視覚的徴候を検出するために獣医によって検査されてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、自動処理ライン内における家禽屠体の内蔵パックを吊り下げるシャックルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はそのために、処理ライン内における家禽屠体の内蔵パックを吊り下げるシャックルを提案する。
シャックルは、フレームと、家禽生産ラインからシャックルを吊り下げるためにフレームの第1端部でフレームに連結された連結部と、内蔵パックをクランプするためにフレームの第1端部の反対側であるフレームの第2端部でフレームに連結されたクランプ部と、を備え、
なお、クランプ部は第1クランプ要素および第2クランプ要素を有し、第2クランプ要素は第1クランプ要素に対して、内臓パックを第1および第2クランプ要素の間に配置することができる開放位置と、内臓パックを第1および第2クランプ要素の間でクランプする閉鎖位置と、の間で特に回転可能に移動可動であり、
シャックルはさらに、第2クランプ要素を第1クランプ要素に対して移動させる、特に回転させる、ロッドなどのアクチュエータを備え、
なお、アクチュエータは、第1および第2クランプ要素が開放位置にある第1位置と、第1および第2クランプ要素が閉鎖位置にある第2位置と、の間で移動可能であり、
シャックルは、さらに、第2クランプ要素の、閉鎖位置への移動および/または閉鎖位置からの移動を妨げる力を提供するための、一端が第1クランプ要素に配置され、他端が第2クランプ要素に配置されたバネを備える。
【0006】
シャックルは、家禽屠体の自動処理ライン内で用いられてもよく、その際、シャックルは典型的には、その連結部から吊るされる。このように、連結部は典型的にはシャックルの上部に位置している。他方の端部、吊り下げられているシャックルの底部には、家禽屠体の内蔵パックをクランプ可能なクランプ部が配置されている。クランピングは、クランプ部内に内蔵パックを挿入するための(またはそこから解放するための)開放位置と、案内された内蔵パックがそこでクランプされる閉鎖位置との間で移動可能な2つのクランプ要素の間で生じる。クランプ要素の動きは、クランプ要素の開放位置に対応する第1位置と、クランプ要素の閉鎖位置に対応する第2位置との間で移動可能であるように、アクチュエータによって生じさせられる。典型的には細長いバネは、第1および第2クランプ要素の間に配置されているので、それら要素が相互に離れるように動かすためには、最終的にはバネの力に打ち克つことが必要である。この力は、閉鎖位置内のクランプ要素相互に保たれており、これにより、内蔵パックは、必要とされる場合にはクランプ要素間で緊密にかつ固定的にクランプされる。この力は、内蔵パックが意図せずに解放されることがないように、内蔵パックを解放することまたはクランプ要素を開放位置の方へ動かすことを妨げることが必要であり、この結果、ラインにおける他の部分への汚染が防止される。
【0007】
フレームの連結部およびクランプ部は、別々の要素として備えられてもよいが、少なくとも部分的にフレームと一体的に形成されてもよい。連結部の少なくとも一部および/またはクランプ部の少なくとも一部とフレームとの一体的な形成は、シャックルの組み立てにおける組立ステップを省く。クランプ部に対しては、典型的には、ただ1つのクランプ要素がフレームに一体的に形成されてもよい。なぜならば、2つのクランプ要素は、開放位置と閉鎖位置との間で相互に移動可能であるからである。
【0008】
第1および第2クランプ要素は、少なくとも部分的に整列可能な切り欠き部を備えてもよい。アクチュエータは、整列された切り欠き部を貫通して延びるように配置されている。アクチュエータが切り欠き部を貫通して延びて動かされる場合には、第1および第2クランプ要素は、典型的には相互に対して動かされる。このため、切り欠き部が少なくともアクチュエータを収容するように部分的に整列を保たねばならない必要性が生じる。第1および第2クランプ要素の切り欠き部は、従って好ましくは、相互に方向づけられるどの位置においても完全には重ならない。アクチュエータはそこで好ましくは、切り欠き部の少なくとも1つの幅と実質的に同じ太さを有する。切り欠き部は、シャックルが生産ラインから実質的に垂直に吊り下げられている場合には、典型的には水平面内に延びている。切り欠き部は、また、クランプ要素内に切り欠き部を生成するために、実質的に垂直な平面内にも延び、この延長路は典型的にはクランプ要素の厚さに制限される。
【0009】
アクチュエータは、第1および/または第2クランプ要素の切り欠き部の一端と、第1および/または第2クランプ要素の切り欠き部の他端との間で移動可能であるように配置されてもよい。そして切り欠き部内のアクチュエータの動きは、第1および第2クランプ要素の相互位置を変えてもよい。アクチュエータの動きは、典型的には、2つのクランプ要素を互いに関連して動かすように付勢し、その結果、アクチュエータが貫通して延びる切り欠き部は整列を保ったままである。例えばシャックルの外側からアクチュエータを動かすことにより、シャックルのクランプ操作を制御してもよい。
【0010】
第1クランプ要素は、真っ直ぐなまたは直線の切り欠き部を有してもよい。そのような切り欠き部は、第1クランプ要素の切り欠き部を貫通して延びるアクチュエータが、第1クランプ要素の切り欠き部内で真っ直ぐなまたは直線の動きをすることができることをもたらす。第2クランプ要素は、湾曲されたまたは非直線の切り欠き部を有してもよい。アクチュエータはまた、第2クランプ要素の切り欠き部を貫通して延びる。第1クランプ要素の切り欠き部内のアクチュエータの動きは真っ直ぐなまたは直線の動きに限定されている。この同一の動きは第2クランプ要素の湾曲されたまたは非直線の切り欠き部内では、クランプ要素が相互に連携して運動または回転するのではない限り、不可能である。もし、第1クランプ要素が静止していると考えると、第2クランプ要素は、アクチュエータが真っ直ぐおよび湾曲した切り欠き部の両方で、これらクランプ要素の整列部を貫通して移動する。代わりに、少なくとも閉鎖位置で第2クランプ要素の切り欠き部が第1クランプ要素の切り欠き部に対して角度を有して配置されてもよい。これはまた、アクチュエータの移動の際に、クランプ要素の相互運動または回転に帰結する。切り欠き部が、本質的に水平面で前述の形状を有している場合には、切り欠き部をクランプ要素を貫通して、典型的には垂直に対して角度を有して垂直面内に配列することが好ましい。好ましくは、アクチュエータおよびクランプ要素が動く場合のクランプ要素の摩耗を減らすために、アクチュエータがクランプ要素を貫通して延びる際に切り欠き部と整列するように角度が調整される。
【0011】
第2クランプ部の切り欠き部は、第1端部で第1直行部分、第2端部で第2直行部分、および、第1直行部分および第2直行部分を接続する第3部分を有してもよく、ここにおいて、後続する部分は鈍角に配置されてもよい。第1端部の第1直行部分は、クランプ部の開放位置(またはアクチュエータの第1位置)内において、第1クランプ要素の真っ直ぐな切り欠き部と実質的に平行であってもよい。第2端部の第2直行部分は、クランプ部の閉鎖位置(またはアクチュエータの第2位置)内において、第1クランプ要素の真っ直ぐな切り欠き部と実質的に平行であってもよい。切り欠き部のこの平行な方向付けが、アクチュエータを第1および第2クランプ要素の双方に対して、要素間の相互移動なしに軽く動かすことを許容する。時間の経過により、シャックルの部品が摩耗して、部品の比較的小さい動きが発生する。切り欠き部の平行な方向付けは、これらの小さな動きに起因する第1および第2クランプ要素の望ましくない相互運動を防ぎ、従ってシャックルの望ましくないクランプも防ぐ。加えて、平行な方向付けは、これらの小さな動きがもたらす、クランプ要素の望ましくない非クランプ、または解放を防止し、その結果、望まない場合に内蔵パックがクランプ要素から解放されることを防止する。鈍角は、アクチュエータが切り欠き部の第1および第2直行部分の間、およびその間に位置する連続した湾曲部または非線形部を動くことを許容する。例えば、その部分の相互に含む角度は、90度から180度の間であり、特に90度から150度の間である。
【0012】
第1直行部分と第3部分との間の移行はスムーズであり、第3部分と第2直行部分の間の移行は急峻であってもよい。第1直行部分と第3部分との間のスムーズな移行は、完全な開放から閉鎖位置への滑らかな移行を許容する。第3部分と第2部分との間の鋭角での移行は、完全な閉鎖位置から、および完全な閉鎖位置への、より鋭い移行に帰結する。そのようなより鋭い移行は、完全な閉鎖位置に入る、または完全な閉鎖位置からの移動に対する抵抗を増加させて、閉鎖位置内におけるシャックルからの内蔵パックの意図しない解放の機会をさらに減少させる。
【0013】
アクチュエータは、フレームとクランプ部との間で実質的に垂直に延びてよい。典型的には、アクチュエータは、フレームの第1端部の取り付け点から揺動するように配置されている。アクチュエータのこの方向性は、特に、切り欠き部が水平面内に延びる場合(例えば処理ラインから吊り下げられている場合)には、アクチュエータがクランプ部の切り欠き部を貫通して延びることを許容する。それはまた、アクチュエータがクランプ部を越えて垂直方向に延びることも許容し、これにより、アクチュエータの一部をシャックルの外側から動かすことも可能にする。アクチュエータがフレームの第1端部の取り付け点、すなわちフレームの上側から搖動される場合には、搖動は垂直方向に対する角度をわずかに変化させる。切り欠き部が水平面に本質的に前述の形状を有している場合には、クランプ要素を貫通する切り欠き部は、垂直に対して角度を有するように配置されるのが好ましい。この角度は、クランプ要素を貫通して揺動する場合、アクチュエータが切り欠き部と整列するように選択されるのが好ましい。これは、アクチュエータおよびクランプ要素が相互に移動する場合に、要素の摩耗を減らすためである。
【0014】
第1クランプ要素は、フレームと一体に形成されてもよく、および/または第1クランプ要素はフレームに固定されてもよい。第1クランプ要素をフレームと一体に形成することは、シャックルの生産において追加的な組み立てステップを省き、構造上の弱点を減少する。第1クランプ要素がフレームと一体に形成されている場合、またはフレームに固定されている場合には、第2クランプ要素は、第1クランプ要素およびフレームの双方に対して移動可動または回転可能である必要がある。
【0015】
バネの一端はフレーム上に配置されてもよく、他端は、第2クランプ要素が閉鎖位置に入る、および/または閉鎖位置から出る動作を妨げる力を提供するために、第2クランプ要素上に配置されてもよい。バネのこのような構造は、第1クランプ要素がフレームと一体に形成されている場合または第1クランプ要素が固定されている場合には特に有益でありうる。開放位置と閉鎖位置との間のクランプ要素の相互移動または回転は、固定部分上のバネの端部の正確な位置に無関係にクランプ力を受けることができる。このバネの配置は、例えば一端が第1クランプ要素上に配置されて他端が第2クランプ要素上に配置されている場合には、第1クランプ要素がフレームと一体に形成されているおよび/または第1クランプ要素が固定されている必要はなく、バネ配置の代わりになる。
【0016】
バネの両端は、クランプ手段によって規定される平面に平行な平面内に配置されてもよい。バネの両端がクランプ手段の平面に平行な平面内に位置している場合には、典型的に両方が水平であり、バネに働く閉鎖力および開放力は、バネの力に対して効率的に打ち克つことができる。典型的には水平面内でのクランプ要素の相互移動は、力の垂直成分なしに直接的にバネに伝達できる。
【0017】
第2クランプ要素は、例えば、バネの一端の周りを回転可能である。従って、第2クランプ要素を、開放位置と閉鎖位置との間で、例えばアクチュエータによって回転または移動させることができるが、また、バネの圧縮または解放により、少なくともわずかに並進させることもできる。この並進運動は、特に、バネの影響下で、クランプ部のクランプ力を増加する。
【0018】
バネは曲がっていてもよく、これによりバネの有効長は増加する。バネは例えば処理ラインから吊り下げられた場合、実質的にシャックルの周方向内に配置される。バネは、実質的に水平面内に、すなわちクランプ要素の切り欠き部と同じ面内に延びていてもよい。バネは、例えばフレーム内の相補的な切り欠き部によってフレーム内に収容されてもよい。好ましい実施形態においては、バネはフレームおよび/またはクランプ部に固定される。バネが破損または故障などする予期しない場合においても、バネはシャックルによって保持されることを保ち、そのようなシャックルを用いて処理される家禽屠体の部分が無くなるリスクを減らす。
【0019】
フレームは、シャックルの連結部の方に曲線状の縁部、すなわち曲線状縁部を備えてもよい。曲線状縁部は、実質的に水平方向に曲がっていてもよく、例えばシャックルが処理ライン内で吊り下げられている場合には、水平方向に湾曲してもよい。曲線状縁部は、処理ラインの回転する外面に係合するように配置されてもよい。ラインに沿ってシャックルが動いて、曲線状縁部と処理ラインの外面とが接触する際に、曲線状縁部は処理ラインの外面に沿って進み、シャックルの回転をもたらす。曲線状縁部は、実質的に楕円形状であってもよい。曲線状縁部が生産ラインの壁部に係合する場合、例えば摩擦の影響下にある場合には、曲線状縁部は、この壁部に沿って進んでもよく、それにより、シャックルを方向転換や回転させる。曲線状縁部を使用することは、例えばマルタ十字(Malteser-cross)よりも、シャックルの回転が緩やかであり、急激ではない。このことはまた、シャックルから吊り下げられた内蔵パックへの回転力が段階的であることを意味し、この結果、内蔵パックは多くは搖動しない。このようにして本ラインは、従来ラインに比べて内蔵パックの搖動に対して同一のマージンを確保しつつ、より高速で稼働することができるので、本処理ラインの効率は向上する。
【0020】
フレーム、第1および第2クランプ要素は、プラスチック、特に成形可能なプラスチックで作られてもよい。このことにより、シャックルを射出成形などの比較的速く安価な生産方法で製造することが可能になる。
【0021】
第1および/または第2クランプ要素は、階段的形状であってもよい。本発明による階段的形状は、例えば、閉鎖位置内で内蔵パックを係合する水平部分と、アクチュエータを収容する切り欠き部を備えている別の水平部分と、この2つの水平部分を接続する垂直部分とを備える。垂直部分はクランプ部と切り欠き部が相互に離れることを可能にし、例えばクランプ部内における内蔵パックによる切り欠き部の汚染を防止する。
【0022】
本発明は、さらに、本発明によるシャックル内で使用するための第2クランプ要素、バネ、アクチュエータに関する。シャックルのこれらの要素は、容易に交換できて最も摩損しやすい。
【0023】
以下の図に示される例示的な実施形態に基づいて、本発明を以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】閉鎖位置における本発明によるシャックルの斜視図である。
図2】開放位置における本発明によるシャックルの斜視図である。
図3】閉鎖位置における本発明によるシャックルの別の斜視図である。
図4】開放位置における本発明によるシャックルの底面図である。
図5】本発明による第2クランプ要素の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、屠殺された家禽の内臓パックを処理ライン内に吊り下げるシャックル1を示す。シャックル1は、フレーム2と、フレーム2に連結された連結部3と、フレーム2に連結されたクランプ部4とを備える。家禽生産ラインからシャックル1を吊り下げる連結部3はフレーム2の第1端部に配置されている。内蔵パックをクランプするクランプ部4は、フレーム2の第1端部の反対側である、フレーム2の第2端部に配置されている。
【0026】
フレーム2は、連結部3の側に、実質的に楕円形状である曲線状の縁部17を有する。この曲線状の縁部17が、例えば摩擦の影響下で生産ラインの壁部に係合している場合には、曲線状の縁部17はこの壁部に沿って移動し、そのため、このシャックル1を方向転換または回転させる。例えば、マルタ十字(Malteser-cross)よりも、曲線状の縁部17の使用は、シャックル1の回転が緩やかであり、急激ではない。このことは、また、シャックル1から吊り下げられた内蔵パックへの回転力が、それらのパックが余り余計に揺れ動かないように緩やかであることを意味する。このようにして本ラインは、従来型のラインに比べて、内蔵パックの揺れに対して同一のマージンを確保しつつ、より速い速度で稼働することができるので生産ラインの効率が高まる。
【0027】
クランプ部4は第1クランプ要素5および第2クランプ要素6を有している。第2クランプ要素6は第1クランプ要素5に対して移動可能、この場合においては回転可能である。即ち、内蔵パックをクランプ部4の間に配置することができる開放位置と、内蔵パックをクランプ部4の間にクランプする閉鎖位置との間で移動可能である。図1は閉鎖位置を示す。図1において、第1クランプ要素5はフレーム2と一体に形成されている。第1および第2クランプ要素5、6の双方は、階段状として図示されている。フレーム2は、本質的にはシャックル2の垂直方向に延びる部分であると考えてもよいが、第1クランプ要素5はこの垂直方向に延びる部分の下方の階段状要素である。
【0028】
シャックル1はさらにロッド7として示されるアクチュエータ7を備えており、アクチュエータは第1クランプ要素5に対して第2クランプ要素6を回転させる。このアクチュエータ7は、第1および第2クランプ要素5、6が開放位置にある第1位置と、第1および第2クランプ要素5、6が閉鎖位置にある第2位置との間で移動可能である。図1は第2位置を示す。図1のアクチュエータ7は、連結部3に近いフレーム2の上部とクランプ部4との間で垂直方向に延びている。アクチュエータ7は、フレーム2と一体的に形成された第1クランプ要素5の切り欠き部11を貫通して延びている。
【0029】
シャックル1は、さらにバネ8を備えており、バネ8は、その一端が第1クランプ要素5に配置され、他端が第2クランプ要素6に配置されている。このバネ8は、第2クランプ要素6が閉鎖位置に入る、または閉鎖位置から出る移動を妨げる力を提供する。図1に示す実施形態においては、第2クランプ要素6は、バネ8の一端10の周りを回転可能である。バネ8は、その有効長を増加させるためにフレーム2の周りに湾曲している。このように、直線バネと比較して、バネ8内に蓄えられる力および応力をより広い領域に渡って分散することができるので、バネ8に働く臨界力、およびバネ8の最終的な故障を低減または防ぐことが可能である。
【0030】
図2は、図1のシャックル1を示しているが、開放位置である。第2クランプ要素6は、図1に比べて回転された形状で示されている。アクチュエータ7は異なって、すなわち第1位置に示されており、第1クランプ要素5の切り欠き部11内の異なる位置に配置されている。シャックル1のこの開放位置内では、内蔵パックは、開口部9を通って第1および第2クランプ要素5、6の間に作られた位置に配置されてもよい。
【0031】
図3は、図1のシャックル1を別の視点から示す。図1のアクチュエータ7は、フレーム2の上側つまり連結部3の近くと、クランプ部4との間で、垂直に延び、フレーム2からサスペンション12で吊り下げられており、そのサスペンション12から揺動運動をしてもよいように構成されている。図3の斜視図は、また、第2クランプ要素6内の切り欠き部13を示す。アクチュエータ7は、また、第1クランプ要素の切り欠き部11を貫通するのと同様に、この切り欠き部13を貫通して延びる。
【0032】
第2クランプ要素6の切り欠き部13は、S字状のように湾曲している。切り欠き部13は、第1直行部分14、第2直行部分15、および直行部分14、15に鈍角、すなわち90度より大きい角度で接続する第3部分16を有している。
【0033】
図4は、前の図のシャックル1を下から示す。第1クランプ要素5の切り欠き部11および第2クランプ要素6の切り欠き部13の両方はこの図に見えており、アクチュエータ7は、両方の部分11、13を貫通して延びている。第1クランプ要素5の切り欠き部11は、図4においては直線であるので、アクチュエータは、切り欠き部11を通る直線運動Lしかできない。第2クランプ要素6は、第1クランプ要素5に対して軸Aの周りで回転可能である。図4に示すようにアクチュエータ7が上昇する場合、それは、第2クランプ要素6の切り欠き部13内で曲げ部に出会う。アクチュエータ7は直線L内を動くことができるだけなので、第2クランプ要素6がアクチュエータ7の収容を保つように、その回転軸Aの周りを回転し、従って第2クランプ要素6は閉鎖位置に向かって回転する。アクチュエータ7は、従って切り欠き部11、13の整列した部分を貫通して延びるように保たれる。
【0034】
図5は、前の図によるシャックル1内で使用することができる第2クランプ要素6の斜視図を示す。要素6は階段状であり、湾曲した切り欠き部13を備える。この切り欠き部13は、第1直行部分14、第2直行部分15および直行部分14、15に鋭角、すなわち、90度よりも大きな角度で接続する第3部分を有する。切り欠き部が第1直行部分14のみを有し、第2部分が第3部分16の曲線状の縁部であることもまた可能である。
図1
図2
図3
図4
図5