(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】医薬組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/5025 20060101AFI20221208BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20221208BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20221208BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20221208BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20221208BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20221208BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20221208BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
A61K31/5025
A61P35/00
A61P29/00 101
A61P19/02
A61K9/16
A61K9/20
A61K9/48
A61K47/38
(21)【出願番号】P 2019568286
(86)(22)【出願日】2018-07-03
(86)【国際出願番号】 CN2018094211
(87)【国際公開番号】W WO2019007317
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-06-04
(31)【優先権主張番号】201710536705.9
(32)【優先日】2017-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201711105075.6
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510166892
【氏名又は名称】ジエンス ヘンルイ メデイシンカンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU HENGRUI MEDICINE CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110003007
【氏名又は名称】特許業務法人謝国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ザン、デイメイ
(72)【発明者】
【氏名】ザン、ティンティン
(72)【発明者】
【氏名】ディン、フアン
【審査官】井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/007185(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0038496(US,A1)
【文献】国際公開第2016/145138(WO,A1)
【文献】特表2010-526848(JP,A)
【文献】特開2013-103899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分としての(R)-4-アミノ-1-(1-(ブタ-2-イノイル)ピロリジン-3-イル)-3-(4-(2,6-ジフルオロフェノキシ)フェニル)-1,6-ジヒドロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-7-オンまたはその薬剤的に許容される塩、及び担体材料を含有する固形分散体であって、該担体材料がヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートコハク酸塩及びヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸塩からなる群より選択され、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートコハク酸塩である、固形分散体。
【請求項2】
担体材料と有効成分との重量比が0.5:1以上であることを特徴とする、請求項1に記載の固形分散体。
【請求項3】
担体材料と有効成分との重量比が0.5:1~4:1、好ましくは0.8:1~3:1、より好ましくは1:1~2:1であることを特徴とする、請求項1または2に記載の固形分散体。
【請求項4】
有効成分としての(R)-4-アミノ-1-(1-(ブタ-2-イノイル)ピロリジン-3-イル)-3-(4-(2,6-ジフルオロフェノキシ)フェニル)-1,6-ジヒドロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-7-オンまたはその薬剤的に許容される塩、及び担体材料から構成されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の固形分散体。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の固形分散体を製造する方法であって、担体材料及び有効成分またはその薬剤的に許容される塩を共に有機溶媒に溶解し、または、担体材料を有効成分またはその薬剤的に許容される塩の有機溶媒に懸濁・分散させた後、該有機溶媒を除去し、固形分散体を得る工程を含む、方法。
【請求項6】
有機溶媒を溶媒沈殿法により除去することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか1項に記載の固形分散体を含有する、錠剤、丸剤、顆粒剤及びカプセル剤からなる群より選択される固形製剤。
【請求項8】
固形製剤がさらに崩壊剤、充填剤、結合剤及び滑沢剤からなる群より選択される少なくとも1種の薬剤的に許容される賦形剤を含有することを特徴とする、請求項7に記載の固形製剤。
【請求項9】
固形製剤が、
1)10 mg~500 mgの有効成分またはその薬剤的に許容される塩、
2)5~15重量%の崩壊剤、
3)30~90重量%の充填剤、
4)0.5~10重量%の結合剤、及び
5)0.1~5重量%の滑沢剤
を含有することを特徴とする、請求項8に記載の固形製剤。
【請求項10】
媒体ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の0.15%水溶液における固形製剤中の有効成分の溶出率(%)が、45分間で85%以上、好ましくは90%以上であることを特徴とする、請求項7~9のいずれか1項に記載の固形製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医薬製剤の分野に属し、具体的には、(R)-4-アミノ-1-(1-(ブタ-2-イノイル)ピロリジン-3-イル)-3-(4-(2,6-ジフルオロフェノキシ)フェニル)-1,6-ジヒドロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-7-オンを含有する固形分散体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
B細胞リンパ腫は、ヒトの健康に影響を及ぼす頻出の悪性腫瘍の1種であり、悪性リンパ腫の70~80%を占めている。B細胞リンパ腫は、発生率が年々増加し、中国では頻出する悪性腫瘍の1種である。その発生は遺伝的、生物学的、物理的及び化学的要因を含む様々な要因の影響を受けている。その予後は不良であり、現在の治療計画ではその生存率は依然として低い。
【0003】
関節リウマチ(RA)は、主に椎間関節に影響を及ぼす慢性自己免疫疾患である。その病理学的特徴は、主に炎症細胞の浸潤、滑膜組織の過形成及び肥大、並びに骨損傷である。その病因及び病態形成は完全に解明されていない。その発生率は高く、成人では約0.5~1%である。
【0004】
B細胞リンパ腫では、BTK活性の阻害は腫瘍細胞の増殖と生存の阻害に有効である。マントル細胞リンパ腫及び慢性リンパ性白血病の治療には、代表的な薬剤イブルチニブが米国FDAに承認され、臨床では優れた効果を示している。
【0005】
関節リウマチでは、BTK活性の阻害はNF-κB等の転写因子の活性を阻害することを導くことができ、それによって炎症性因子の放出を阻害し、炎症の症状を軽減する。Hanmi Pharmaceuticals社が開発したBTK小分子阻害剤HM61713は、前臨床で優れた抗関節炎効果を示し、現在そのフェーズIの臨床試験が実施されている。
【0006】
特許文献1はイブルチニブの経口製剤を開示している。これは、イブルチニブ、希釈剤、崩壊剤、界面活性剤及び潤滑剤を含有することにより、イブルチニブの薬物製造に必要な溶出性、安定性及び生物学的利用能に関する規格を満たしている。
【0007】
特許文献2は、イブルチニブの構造と類似している式Iの化合物、(R)-4-アミノ-1-(1-(ブタ-2-イノイル)ピロリジン-3-イル)-3-(4-(2,6-ジフルオロフェノキシ)フェニル)-1,6-ジヒドロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-7-オンを開示している。式Iの化合物には、標的に対する特異性が良好であり、キナーゼに対する選択性が高く、また、経口投与時の生物学的利用能が高いといった特徴がある。これがイブルチニブの臨床における副作用を軽減または排除し、B細胞リンパ腫や関節リウマチ等の分野において治療効果を発揮することが期待されている。
【化1】
【0008】
高品質な医薬組成物または錠剤、顆粒及び粉末のような製剤の製造において、医薬有効成分の化合物の溶解度は低いといった課題が多くある。研究者は直面した問題を調べ、それらを解決する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】WO2013184572
【文献】WO2016007185
【発明の概要】
【0010】
本開示では、固体分散の技術を用いて、有効成分としての(R)-4-アミノ-1-(1-(ブタ-2-イノイル)ピロリジン-3-イル)-3-(4-(2,6-ジフルオロフェノキシ)フェニル)-1,6-ジヒドロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-7-オンまたはその薬剤的に許容される塩を溶媒で薬物-担持材料の構造中に分散させ、薬物と担体材料の共分散系を形成することにより、その低溶解度の問題を解決した。
【0011】
本発明は、(R)-4-アミノ-1-(1-(ブタ-2-イノイル)ピロリジン-3-イル)-3-(4-(2,6-ジフルオロフェノキシ)フェニル)-1,6-ジヒドロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-7-オンまたはその薬剤的に許容される塩の固形分散体を提供する。該固形分散体は、有効成分としての(R)-4-アミノ-1-(1-(ブタ-2-イノイル)ピロリジン-3-イル)-3-(4-(2,6-ジフルオロフェノキシ)フェニル)-1,6-ジヒドロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-7-オンまたはその薬剤的に許容される塩及び担体材料を含有する。該担体材料がヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートコハク酸塩とヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸塩からなる群より選択される。
【0012】
いくつかの実施形態において、本開示の固形分散体に用いられる担体材料と有効成分との重量比が少なくとも0.5:1以上の場合、実験中の製造方法で該有効成分と該担体の均一な分散系が得られる。該有効成分の結晶状態が変化して非晶質形になり、該薬物の溶解度及び吸収性が改善され、経口投与後に該薬物の薬効が速やかに現れ、その生物学的利用能が高い。該固形分散体自体は安定であり、6ケ月間の加速条件下では老化現象は見られず、各評価指標に著しい変化はない。
【0013】
本開示の固形分散体において、担体材料と有効成分またはその薬剤的に許容される塩との重量比の範囲が大きい。その最小値は0.5:1である。本開示において、担体材料の含量が多いほど、有効成分を結晶形から非晶質形に変えることが容易になり、対応する固形分散体の生物学的利用能が高くなる。薬物の負荷量と生物学的利用能とのバランスを考慮し、本開示における担体材料と有効成分またはその薬剤的に許容される塩との重量比は0.5:1~4:1であってもよい。いくつかの実施形態では、該重量比は、0.5:1、0.6:1、0.7:1、0.8:1、0.9:1、1:1、1.1:1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、1.5:1、1.6:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1、2:1、2.2:1、2.4:1、2.6:1、2.8:1、3:1、3.2:1、3.4:1、3.6:1、3.8:1、または4:1であってもよく、好ましくは0.8:1~3:1、より好ましくは1:1~2:1である。
【0014】
いくつかの実施形態では、本開示の固形分散体は、有効成分としての(R)-4-アミノ-1-(1-(ブタ-2-イノイル)ピロリジン-3-イル)-3-(4-(2,6-ジフルオロフェノキシ)フェニル)-1,6-ジヒドロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-7-オンまたはその薬剤的に許容される塩及び担体材料で構成される。該担体材料がヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートコハク酸塩とヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸塩からなる群より選択される。
【0015】
本開示の固形分散体は、融解法、溶媒法、溶媒-融解法等の広く知られた製造方法により得ることができる。その他の製造方法として、共融解の原理を用い、粉砕法で共融混合物を得る方法や薬物を有機溶媒に溶解し、不活性の材料に分散・吸着させ、固形表面吸着質を得る方法がある。
【0016】
本開示の溶媒法は共沈法であり、即ち、薬物と担体を共に有機溶媒に溶解し、または薬物と担体をそれぞれ溶媒に溶解した後、よく混合し、または担体材料を有効成分またはその薬剤的に許容される塩の有機溶媒に懸濁して分散させた後、その溶媒を除去して固形分散体を得る方法である。該溶媒の除去法は、当業者に既知され、または決定可能なもので、極性の高い有機溶液を極性の低い溶媒に滴下して固体を析出させる方法、噴霧乾燥または減圧乾燥の方法であってもよい。
【0017】
本開示の融解法は、薬物と担体をよく混合し、加熱して融解させ、または担体を加熱して融解させた後、薬物を加えて撹拌し、次に激しく撹拌しながら融解物を急速に冷却させて固体化し、或いは直接にカプセルに注いた後に冷却する方法である。
【0018】
本開示の溶媒-融解法は、薬物を少量の有機溶媒に溶解した後、融解した担体とよく混合し、有機溶媒を蒸去し、冷却して固体を得る方法である。
【0019】
本開示の固形分散体を製造する方法としては、溶媒法(共沈法としても知られている)が好ましい。これは、担体材料及び有効成分または薬剤的に許容される塩を共に有機溶媒に溶解し、または、担体材料を有効成分またはその薬剤的に許容される塩の有機溶媒に懸濁・分散させた後、有機溶媒を除去して固形分散体を得るといった工程を含む。
【0020】
さらに、有機溶媒の除去法は、当業者に既知され、または決定可能なもので、極性の高い有機溶液を極性の低い溶媒または水に滴下して固体を析出させる方法(即ち、溶媒沈殿法)、噴霧乾燥または減圧乾燥の方法であってもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、有効成分またはその薬剤的に許容される塩と担体材料であるヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートコハク酸塩を共に第1有機溶媒に溶解した後、得られた溶液を第2溶媒に滴下し、本開示の固形分散体を得る。滴下速度は、好ましくは1~100 g/分、より好ましくは2~50 g/分であり、具体的には、2、6、10、14、16、20、24、28、32、36、40、44、48または50 g/分である。さらに、固形分散体からの薬物の製造規格(即ち、得られた固形分散体における残留溶媒の量が120 ppm未満であること)を満たすため、組成物の上記製造方法は、ろ過、洗浄及び乾燥のいずれか1つの工程を含んでもよい。
【0022】
さらに、第1溶媒は極性の高い有機溶媒であり、当業者に既知され、または決定可能なものである。これには、ジメチルスルホキシド等のスルホン溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド及びN,N-ジメチルアセトアミド等のアミド溶媒、アセトン等のケトン溶媒、テトラクロロメタン等のハロゲン化炭化水素溶媒、エタノールやメタノール等のアルコール溶媒が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、エタノール及びメタノールのうちの少なくとも1種である。
【0023】
第2溶媒は極性の低い溶媒である。(低極性溶媒としても知られ、第1溶媒と混和できる。第1有機溶媒と混和した後、系内の該有効成分またはその薬剤的に許容される塩の溶解度が小さくなる。)これには、n-ヘキサンや石油エーテル等のアルカン溶媒、エタノールやメタノール等のアルコール溶媒、テトラヒドロフラン等のフラン溶媒、ジエチルエーテルやジプロピルエーテル等のエーテル溶媒及び水または酸性の水溶液が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、メタノール、エタノール、水及び酸性の水溶液のうちの少なくとも1種である。
【0024】
一つの実施形態において、有効成分またはその薬剤的に許容される塩及び担体材料を共にジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド及びN,N-ジメチルアセトアミドからなる群より選択される少なくとも1種の有機溶媒に溶解し、次いで得られた溶液を水に滴下する。滴下速度は、好ましくは1~100 g/分、より好ましくは2~50 g/分であり、具体的には2、6、10、14、16、20、24、28、32、36、40、44、48、または50 g/分である。
【0025】
本開示の固形分散体をさらに錠剤、丸剤、顆粒、カプセル等の固形製剤に製剤化してもよい。その中に有効成分またはその薬剤的に許容される塩の含量は、固形製剤の8~40重量%であり、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、または40重量%であってもよく、好ましくは15~25重量%である。
【0026】
いくつかの実施形態では、本開示の有効成分またはその薬剤的に許容される塩の量(重量または質量)は、10~500 mgであり、200 mg、190 mg、180 mg、170 mg、160 mg、150 mg、140 mg、130 mg、120 mg、110 mg、100 mg、95 mg、75 mg、50 mg、25 mg、15 mg、または10 mgであってもよく、好ましくは200 mg、100 mg、または25 mgである。さらに、固形製剤は薬剤的に許容される賦形剤も含む。該賦形剤は、当業者に既知され、または決定可能なものであり、崩壊剤、充填剤、結合剤及び潤滑剤のうちの少なくとも1種を含むが、これらに限定されない。
【0027】
いくつかの実施形態では、媒体ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の0.15%水溶液における本開示の固形製剤中の有効成分の溶出率(%)は、45分間で85%以上であり、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%以上であってもよく、好ましくは90%以上である。さらに、固形製剤中の有効成分の溶出率(%)は、15分間で70%以上であり、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、または95%以上であってもよい。固形製剤の溶出は迅速かつ完全であり、その生物学的利用能は良好である。固形製剤の製造過程は簡単であり、大規模な生産に適している。
【0028】
いくつかの実施形態では、本開示の固形製剤は、25℃/60%RHで少なくとも3ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも9ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、少なくとも18ヶ月間、または少なくとも24ヶ月間安定である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、40℃/75%RHで少なくとも1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、さらには6ヶ月間、またはこれ以上長く安定である。
【0029】
いくつかの実施形態では、本開示の固形分散体は、25℃/60%RHで少なくとも3ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも9ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、少なくとも18ヶ月間、または少なくとも24ヶ月間安定である。いくつかの実施形態では、該医薬組成物は、40℃/75%RHで少なくとも1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、さらには6ヶ月間、またはこれ以上長く安定である。
【0030】
充填剤は、錠剤を処理可能な実用的なサイズにするための体積を提供し、加工処理に寄与し、該固形製剤の流動性、圧縮性、硬度等の物理的特性を改善することもできる。本開示の充填剤は、当業者に既知され、または決定可能なものであり、デキストリン、ラクトース、スクロース、リン酸水素カルシウム、デンプン、無水リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、微結晶セルロース及びマンニトールのうちの少なくとも1種を含むが、これらに限定されない。該充填剤は、好ましくは該固形製剤の重量に対して、30~90重量%、より好ましくは35~60重量%の量で存在する。一つの実施形態において、該充填剤は、該固形製剤の重量に対して、35、38、40、42、45、47、50、52、55、58、または60重量%の量で存在してもよい。
【0031】
本開示の崩壊剤は、当業者に既知され、または決定可能なものであり、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、カルボキシメチルデンプンナトリウム、デンプン、アルファ化デンプン及びアルギン酸のうちの少なくとも1種を含むが、これらに限定されない。該崩壊剤は、好ましくは該固形製剤の重量に対して、1~20重量%の量で存在する。一つの実施形態において、該崩壊剤は、該固形製剤の重量に対して、1.0、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12 、13、14、15、16、17、18、19、または20重量%の量で存在してもよく、好ましくは5~15重量%の量で存在する。
【0032】
本開示の結合剤は、当業者に既知され、または決定可能なものであり、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びアルギン酸塩のうちの少なくとも1種を含むが、これらに限定されない。好ましくは、ポリビニルピロリドン(商品名K30)及びヒドロキシプロピルセルロースのうちの少なくとも1種である。該結合剤は、より好ましくは該固形製剤の重量に対して、0.5~10重量%の量で存在する。一つの実施形態において、該結合剤は、該固形製剤の重量に対して、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10重量%の量で存在してもよい。
【0033】
本開示の潤滑剤は、当業者に既知され、または決定可能なものであり、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸カルシウム、タルク、カルナウバワックス、フマル酸ステアリルナトリウムのうちの少なくとも1種を含むが、これらに限定されない。本開示の潤滑剤は、好ましくは該固形製剤の重量に対して、0.1~5重量%の量で存在する。一つの実施形態において、該潤滑剤は、該固形製剤の重量に対して、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5、または5重量%の量で存在してもよく、好ましくは0.1~2重量%の量で存在する。
【0034】
好ましい実施形態では、本開示の固形製剤は、
1)10 mg~500 mgの有効成分またはその薬剤的に許容される塩、
2)5~15重量%の崩壊剤、
3)30~90重量%の充填剤、
4)0.5~10重量%の結合剤、及び
5)0.1~5重量%の潤滑剤
を含有する。
【0035】
さらに、固形製剤中の担体材料は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートコハク酸塩である。
【0036】
本開示の固形製剤の溶出率は、中国薬局方2015年版第IV巻の一般規則に記載されている溶出率試験の第2法(パドル法)に従って測定される。本開示の組成物の溶出試験は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の0.15%水溶液を溶出媒体とし、好ましくはその1000 mlを用いて、37±0.5℃及びパドル速度50 rpmで実施される。
【0037】
本開示の固形分散体の溶出率は、中国薬局方2015年版第IV巻の一般規則に記載されている溶出率試験の第2法(パドル法)に従って測定される。溶出試験は、SDSの0.15%水溶液を溶出媒体とし、その1000 mlを用いて、37±0.5℃及びパドル速度75 rpmで実施される。
【0038】
また、本開示は、有効成分としての(R)-4-アミノ-1-(1-(ブタ-2-イノイル)ピロリジン-3-イル)-3-(4-(2,6-ジフルオロフェノキシ)フェニル)-1,6-ジヒドロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-7-オンまたはその薬剤的に許容される塩及び担体材料を含む固形製剤を提供する。媒体ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の0.15%水溶液における固形製剤中の有効成分の溶出率(%)は、45分間で85%以上であり、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%以上であってもよく、好ましくは90%以上である。さらに、固形製剤中の有効成分の溶出率(%)は、15分間で70%以上であり、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、または95%以上であってもよい。いくつかの実施形態では、固形分散体中の有効成分またはその薬剤的に許容される塩及び該担体材料は固形分散体の形態である。該担体材料が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートコハク酸塩及びヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸塩からなる群より選択され、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートコハク酸塩である。
【0039】
本開示の(R)-4-アミノ-1-(1-(ブタ-2-イノイル)ピロリジン-3-イル)-3-(4-(2,6-ジフルオロフェノキシ)フェニル)-1,6-ジヒドロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-7-オンの固形分散体からなる固形製剤を製造する方法は次のとおりである。固形分散体を粉砕し、固形製剤の成形に必要な充填剤及び/または崩壊剤とよく混合し、結合剤を加え、湿式造粒または乾式造粒に供し、その後、得られた顆粒を乾燥させ、ふるいでふるい分け、製粉し、潤滑剤とよく混合し、錠剤または顆粒に調製するか、錠剤に圧縮するか、またはカプセルに充填する。または、該固形分散体に適切な補助材料を加え、カプセルに直接充填するか、錠剤に圧縮してもよい。必要に応じ、得られた顆粒や生錠剤またはカプセルをさらにコーティングしてもよい。
【0040】
本開示の有効成分(R)-4-アミノ-1-(1-(ブタ-2-イノイル)ピロリジン-3-イル)-3-(4-(2,6-ジフルオロフェノキシ)フェニル)-1,6-ジヒドロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-7-オンは酸と反応して薬剤的に許容される塩を提供することができる。前記酸は当業者に既知され、または決定可能なものであり、塩酸、メタンスルホン酸、フマル酸、トリフルオロ酢酸及びリン酸を含むが、これらに限定されない。
【0041】
本開示の用語「該固形製剤の重量に対して」は、有効成分または他の種類の薬剤的な補助材料の使用量範囲の計算は、コーティング剤を含まない錠剤コアの重量に基づいていることを意味する。詳細については実施例1を参照。
【0042】
本開示の典型的な安定性許容基準は次のとおりである。HPLC測定による総不純物含量の増加が通常約1%以下、好ましくは0.5%以下であり、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、または0.5%であってもよい。または/かつ、総不純物含量が0.5%以下であり、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、または0.5%であってもよい。または/かつ、X線粉末回折試験の分析による該固形分散体/固形製剤中の該有効成分の物理的形態が非晶質形のままであり、老化現象を生じない。
【0043】
本開示のX線粉末回折試験は、Rigaku Ultima IV型複合多機能X線回折計で実施される。具体的な取得情報は、Cu陽極(40 kV, 40 mA)、Cu-Kα1光線(λ=1.5418 Å)、スキャン速度:20°/分、スキャン範囲(2q範囲):3~45°、スキャンステップサイズ:0.02、スリット幅:0.01である。
【0044】
本開示のHPLC検出条件については、オクタデシルシラン結合シリカを充填剤として使用し(Waters Symmetry C18カラム)、0.01 mol/Lリン酸二水素カリウム緩衝液とアセトニトリルを移動相及び溶離液として使用した。検出波長は210 nmである。
【0045】
ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートコハク酸塩等の薬剤的補助材料及び試薬は市販のものを使用する。(R)-4-アミノ-1-(1-(ブタ-2-イノイル)ピロリジン-3-イル)-3-(4-(2,6-ジフルオロフェノキシ)フェニル)-1,6-ジヒドロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-7-オン(化合物A)またはその薬剤的に許容される塩は特許文献2の実施例109に記載の方法に従って製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
以下にそれぞれ表す図面を参照して本開示の上記または他の目的及び特徴は明らかになるであろう。
【
図1】原料薬(API)の化合物AのX線回折スペクトル
【
図2】APIの化合物Aと担体ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートコハク酸塩の物理的混合物のX線回折スペクトル
【
図3】担体ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートコハク酸塩のX線回折スペクトル
【発明の詳細な説明】
【0047】
以下の実施例及び実験例を参照し、さらにて本開示を詳細に説明する。これらの実施例及び実験例は、例示のみを目的とするものであり、本開示の範囲を限定するものと見なされるべきではない。
【実施例1】
【0048】
固形分散体の製造
(R)-4-アミノ-1-(1-(ブタ-2-イノイル)ピロリジン-3-イル)-3-(4-(2,6-ジフルオロフェノキシ)フェニル)-1,6-ジヒドロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリダジン-7-オン(化合物Aと称する)及び異なる種類の担体材料から固形分散体を製造した。具体的な配合を表1に示す。
【表1】
【0049】
製造方法(共沈法):
化合物Aと担体材料を配合に従って秤量し、N,N-ジメチルアセトアミド(DMF)に完全に溶解した。N,N-ジメチルアセトアミドと精製水との比1:15(g/g)に従って、処方量の精製水を秤量した。化合物Aと該担体材料を含む溶液を30 g/分の流速で当該水に滴下し、白色の綿状沈殿物を析出した。これを濾過し、洗浄した後に乾燥させ、固形分散体を得た。
【0050】
溶出試験
中国薬局方2015年版第IV巻の一般規則に記載されている溶出率試験の第2法(パドル法)に従って、実験例1~3のAPIと担体の混合物の溶出率を測定した。SDSの0.15%水溶液1000 mlを溶出媒体として用い、37±0.5℃及びパドル速度75 rpmで溶解試験を実施した。
【表2】
この結果に示されたように、オイドラギットL100-55を担体材料として使用した場合、溶出は遅く、かつ不完全であり、溶出率が45分間で約70%に過ぎなかった。これは、薬剤に製造された後の化合物Aの生物学的利用能にある程度影響を与える。ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸塩またはヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートコハク酸塩、特にヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートコハク酸塩を担体材料として使用した場合、該溶出挙動が著しく改善された。
【0051】
安定性試験
実験例3の固形分散体を25℃/60%RH及び40℃/75%RHの条件下でそれぞれ保存し、長期保存安定性を調べた。そのデータを次に示す。
【表3】
【実施例2】
【0052】
化合物A及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートコハク酸塩(重量比:1:1)から固形分散体を調製し、所望の粒径に関する規格を満たすようにこれを粉砕した。設計の配合に従って規定量の該固形分散体、乳糖及び微結晶性セルロースを秤量し、崩壊剤としてのクロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ナトリウムカルボキシメチルデンプンまたは低置換ヒドロキシプロピルセルロースをそれぞれ加えた。該混合物を造粒タンクに注ぎ、よく混合し、結合剤としてのヒドロキシプロピルセルロースを加え、顆粒を調製した。この湿った柔らかい材料を湿式粉砕し、乾燥させた後、該乾燥顆粒(水分含量が3%未満)を乾式粉砕した。規定量のステアリン酸マグネシウムを加え、該顆粒とよく混合した。得られた総混合顆粒を錠剤に圧縮した。具体的な配合比を表4に示す。
【表4】
【0053】
溶出試験
中国薬局方2015年版第IV巻の一般規則に記載されている溶出率試験の第2法(パドル法)に従って、実験例4~7の錠剤の溶出率を測定した。溶解試験は、SDSの0.15%水溶液1000 mlを溶出媒体として用い、37±0.5℃及びパドル速度50 rpmで実施した。
【表5】
この結果に示されたように、実験例5及び7の溶出は遅く、溶出率が45分間で僅か50%程度に達した。これらの固形製剤が医薬有効成分を迅速に溶出させることができない。対照的に、実験例1及び3は比較的に良好な溶出特性を示し、溶出率が45分間で90.0%に達した。
【実施例3】
【0054】
共沈法により化合物A及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートコハク酸塩(重量比:1:1)から固形分散体を調製した後、これを粉砕した。設計の配合に従って規定量の該固形分散体、乳糖、微結晶性セルロース及びクロスカルメロースナトリウムを秤量した。該混合物を造粒タンクに注ぎ、よく混合し、結合剤としてのヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプンまたはヒドロキシプロピルセルロースをそれぞれ加え、顆粒を調製した。この湿った柔らかい材料を湿式粉砕し、乾燥させた後、該乾燥顆粒(水分含量が3%未満)を乾式粉砕した。規定量のステアリン酸マグネシウムを加え、該顆粒とよく混合した。得られた総混合顆粒を錠剤に圧縮した。具体的な配合比を表6に示す。
【表6】
【0055】
溶出試験
中国薬局方2015年版第IV巻の一般規則に記載されている溶出率試験の第2法(パドル法)に従って、実験例4及び8~11の錠剤の溶出率を測定した。溶解試験は、SDSの0.15%水溶液1000 mlを溶出媒体として用い、37±0.5℃及びパドル速度50 rpmで実施した。
【表7】
この結果に示されたように、実験例9の溶出は遅く、かつ不完全であり、溶出率が45分間で僅か85%程度に達した。対照的に、実験例8~11は比較的に良好な溶出特性を示し、溶出率が45分間で93.0%に達した。
【実施例4】
【0056】
共沈法により化合物A及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートコハク酸塩から固形分散体を調製した後、これを粉砕した。設計の配合に従って規定量の該固形分散体、乳糖、微結晶性セルロース及びクロスカルメロースナトリウムを秤量した。該混合物を造粒タンクに注ぎ、よく混合し、結合剤としてのポリビニルピロリドンを加えて顆粒を調製した。この湿った柔らかい材料を湿式粉砕し、乾燥させた後、乾燥顆粒(水分含量が3%未満)を乾式粉砕した。顆粒外補助材料を加え、該顆粒とよく混合した。得られた総混合顆粒を錠剤に圧縮した。具体的な配合比を表8に示す。
【表8】
【0057】
溶出試験
中国薬局方2015年版第IV巻の一般規則に記載されている溶出率試験の第2法(パドル法)に従って、実験例12~15の錠剤の溶出率を測定した。溶出試験は、SDSの0.15%水溶液1000 mlを溶出媒体として用い、37±0.5℃及びパドル速度50 rpmで実施した。
【表9】
この結果に示されたように、オイドラギットL100-55を担体材料として用いた場合、溶出は遅く、かつ不完全であり、溶出率が45分間で僅か約65%に達した。これは化合物Aの生物学的利用能に影響を与える。ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートコハク酸塩を担体材料として用いた場合、溶出率が著しく改善された。
【0058】
安定性試験
実験例14の錠剤を25℃/60%RH及び40℃/75%RHの条件下でそれぞれ保存し、長期保存安定性を調べた。そのデータを次に示す。
【表10】
【実施例5】
【0059】
動物における薬物動態(PK)試験
12匹のビーグル犬を2群に分けた(各群に6匹ずつ、半分がオス、半分がメス)。実験前に該ビーグル犬を12時間以上絶食させ、実験当日、投薬4時間後に食物を提供した。実験中に給水は停止しなかった。該2群の動物に化合物Aの結晶形及び化合物Aの固形分散体(実験例3の配合に従って化合物Aとヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートコハク酸塩との比は1:1であった。)を30 mg/kgの投与量でそれぞれ経口投与した。投与前及び投与後0.25、0.5、1.0、2.0、4.0、6.0、8.0、12、24及び72時間に足静脈から血液0.6 mlを採取した。該血液を抗凝固剤エチレンジアミン四酢酸(EDTA)の試験管に入れ、3500 rpmで10分間遠心し(4℃)、血漿を分離した。該血漿を-70℃で保存した。
液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(LC/MS/MS)を用いて、血漿及び投与液中のAPI濃度を測定した。Phoenix WinNonlin 6.4ソフトウェアの非コンパートメントモデルを用いて、得られた血漿中濃度からビーグル犬の投薬後薬物動態パラメーターを計算した。その結果を表11に示す。
【表11】
表11中の結果から分かるように、化合物Aが固形分散体に製造された後、該APIの体内吸収が化合物Aの結晶形の場合より著しく良好である。ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートコハク酸塩で製造された固形分散体は、薬物に製造された後の化合物Aの生物学的利用能及び該APIの体内吸収を著しく増加させることが示された。