(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】伸縮性導体
(51)【国際特許分類】
H01B 7/06 20060101AFI20221208BHJP
B32B 25/10 20060101ALI20221208BHJP
B32B 7/025 20190101ALI20221208BHJP
B32B 15/02 20060101ALI20221208BHJP
A41D 31/04 20190101ALI20221208BHJP
A41D 31/00 20190101ALI20221208BHJP
【FI】
H01B7/06
B32B25/10
B32B7/025
B32B15/02
A41D31/04 Z
A41D31/00 502Z
A41D31/00 504B
A41D31/00 504C
A41D31/00 504D
A41D31/00 504H
(21)【出願番号】P 2019568406
(86)(22)【出願日】2018-06-07
(86)【国際出願番号】 IB2018054105
(87)【国際公開番号】W WO2018229609
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-06-04
(32)【優先日】2017-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】マハジャン,アンキット
(72)【発明者】
【氏名】ジュ,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】シャー,セーガー エー.
(72)【発明者】
【氏名】ペクロフスキー,ミカイル エル.
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナン,ビベック
(72)【発明者】
【氏名】レディー,ケヴィン ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー,クリストファー ビー.ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】クロップ,マイケル エー.
(72)【発明者】
【氏名】メイヤー,カラ エー.
(72)【発明者】
【氏名】ゲデール,テレサ エム.
(72)【発明者】
【氏名】メッツラー,トーマス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ケムリング,ジョナサン ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】バートン,ロジャー ダブリュ.
【審査官】和田 財太
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0238819(US,A1)
【文献】特開昭55-154010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/06
B32B 25/10
B32B 7/025
B32B 15/02
A41D 31/04
A41D 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面を有し、エラストマー材料を含む基材と、
前記基材の前記第1主面上の
第1のワイヤであって、第1の端部及び第2の端部を備え、前記第1の端部と前記第2の端部との間に少なくとも1つの弓状領域を備え
る、第1のワイヤと、を備え、
前記弓状領域において、前記
第1のワイヤの前記弓状領域の少なくとも1つの部分は、前記基材の前記第1主面に埋め込まれた第1の表面積部分と、前記基材に埋め込まれておらず、かつ、前記弓状領域内の前記基材の少なくともある範囲が導電性になる
ように露出されている、第2の表面積部分と、を備え
、
前記第1主面と反対側の前記基材の第2主面上の第2のワイヤであって、前記第2のワイヤは第1の端部及び第2の端部を備え、前記第2のワイヤは、前記第1の端部と前記第2の端部との間に少なくとも1つの弓状領域を含み、前記第2のワイヤの前記少なくとも1つの弓状領域の少なくとも1つの部分は、前記基材の前記第2主面に埋め込まれた第1の表面積部分と、前記基材の前記第2主面に埋め込まれておらず、かつ、前記第2のワイヤの前記少なくとも1つの弓状領域内の前記基材の少なくともある範囲が導電性になるように露出されている、第2の表面積部分と、を備える、第2のワイヤと、
前記第1のワイヤと前記基材の前記第1主面との両方と接触している、伸縮性導電フィルムからなる第1の層と、
前記第2のワイヤと前記基材の前記第2主面との両方と接触している、伸縮性導電フィルムからなる第2の層と、を更に備え、
前記伸縮性導電フィルムの前記第1の層と、前記伸縮性導電フィルムの前記第2の層とが、互いに電気的に接触している
、伸縮性導体。
【請求項2】
前記
第1のワイヤは、複数の編組金属ワイヤストランドを含み、更に、前記エラストマー材料は、前記編組金属ワイヤストランド同士の間の中間領域を占有している、請求項1に記載の伸縮性導体。
【請求項3】
前記弓状領域は、不規則な曲線パターン、蛇行部分、フラクタル蛇行形状、複数の入れ子状の蛇行領域、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の伸縮性導体。
【請求項4】
前記エラストマー材料は、室温で
、100MPa未満のヤング率及び少なくと
も200%の破断伸度を有し、任意選択で、前記エラストマー材料は、天然ゴム、ポリウレタン、ポリブタジエン、ネオプレン、エポキシ、及びシリコーンから選択される、請求項1に記載の伸縮性導体。
【請求項5】
前記第2の表面積部分は、前記
第1のワイヤの総表面積
の1%
~80%を含む、請求項1に記載の伸縮性導体。
【請求項6】
前記
第1のワイヤの前記弓状領域は、前記基材の前記第1主面上にあり、任意選択で、前記弓状領域の一部分は、前記基材の平面よりも上又は下にある、請求項1に記載の伸縮性導体。
【請求項7】
前記第2の表面積部分は、前記基材の前記第1主面上で露出されており、任意選択で、前記第2の表面積部分は、前記第1主面の反対側の前記基材の第2主面上で露出されている、請求項1に記載の伸縮性導体。
【請求項8】
前記第1主面は、
連続的なパターンを含む、請求項1に記載の伸縮性導体。
【請求項9】
前記
第1のワイヤの少なくとも幾つかの領域は、前記基材に完全に埋め込まれている、請求項1に記載の伸縮性導体
。
【請求項10】
請求項1に記載の伸縮性導体と、
非導電性接着剤を用いて前記基材の前記第1主面に接着された導電性布地であって、前記導電性布地と前記
第1のワイヤとが電気的に接触しており、任意選択で、前記導電性布地の一部分と前記
第1のワイヤとの間に配置された導電フィルムの一部分を更に備える、導電性布地と、
を備える複合材物品。
【請求項11】
伸縮性導体の製造方法であって、
蛇行し
たワイヤを剥離層の表面と接触させることであって、任意選択で、前記剥離層はポリマーフィルムを含む、接触させることと、
前記ワイヤの表面積の第1の部分を、前記ワイヤの前記表面積の第2の部分が前記剥離層の前記表面に埋め込まれないままであるようにして、前記剥離層の前記表面に埋め込むことであって、前記ワイヤの前記表面積の前記第2の部分は、前記ワイヤの総表面積
の1%
~80%を含む、埋め込むことと、
前記ワイヤの前記表面積の前記第2の部分の少なくとも一部の上に重なるように液状エラストマー前駆体材料の層を前記剥離層の前記表面上に適用することと、
前記液状エラストマー前駆体材料の層をエラストマー材料の層に変換することと、
前記ワイヤが前記剥離層から分離し、前記ワイヤの前記表面積の前記第2の部分が前記エラストマー材料の層に埋め込まれたままであるようにして、前記エラストマー材料の層を前記剥離層から分離することと、
を含み、
前記方法は、任意選択で、
非導電性接着剤の前駆体を導電性布地に適用することと、
前記ワイヤの前記第2の部分を前記導電性布地の少なくとも一部分と接触させることと、
前記非導電性接着剤前駆体を硬化させながら、少なくとも0.55MPaの圧力を加えて、非導電性接着剤を生成することと、
を更に含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
伸縮性導体は、適合可能なウェアラブル電子機器デバイスにおいて使用することができる。例えば、伸縮性導電フィルムは、布地に直接積層され、電子センサ及びモジュールと一体化することができる。
【0002】
織布金属繊維又は織糸などの伸縮性導電材料は、ウェアラブル電子機器において使用することができるが、これらの材料は高価であり、製造が困難であり得る。エラストマー基材上の印刷された伸縮性導電性銀インクは、織布金属繊維及び織糸より安価に作製することができるが、多くの適合可能な電子機器用途について伸縮性及び導電性要件を満たさない。
【発明の概要】
【0003】
一般に、本開示は、エラストマー基材の主面に部分的に埋め込まれた、第1の端部と第2の端部との間に少なくとも1つの弓状領域を有する細長いワイヤを対象とする。ワイヤの表面積の一部分は、導電性を有する基材を提供するのに十分にエラストマー基材の表面の上で露出されており、一方、ワイヤの表面積の残りの部分は、その基材の表面の下に埋め込まれている。基材の表面の下のワイヤの表面積の一部分は、基材に埋め込まれたままであり、基材が機械的な屈曲及び伸張を受けた後に、破損しない又は基材から剥離しない。
【0004】
エラストマー基材内の弓状ワイヤの埋め込み深さに応じて、基材の主面の上で最終的に露出されている導体の表面積の一部分を制御することができ、これにより、ウェアラブル電子機器及びセンサに使用するのに十分な導電性をもたらすことができる。弓状ワイヤは、破損することなく、基材から剥離することなく、又は複数の伸張サイクル後に導電性の顕著な劣化を全く示すことなく、高い伸張値を維持することができるように、基材の表面に十分に埋め込まれている。
【0005】
伸縮性導体は、細長い弓状ワイヤを部分的に剥離層内に沈めて、続いてワイヤの少なくとも一部分を液状エラストマープレポリマー溶液でオーバーコートすることによって、容易かつ安価に製造することができる。次いで、注型成形されたエラストマーフィルムを、少なくとも部分的に硬化させ、剥離層から剥ぎ取られる。ワイヤは、剥離層よりもエラストマー層により強く接着されており、剥離工程の間にエラストマーフィルムに転写し、エラストマーフィルムに部分的に埋め込まれたままである。導体の全てがエラストマー層に転写されるので、移動後、剥離層に埋め込まれたままのワイヤ部分は存在しない。ワイヤの表面積の一部分はエラストマー層に埋め込まれたままであり、ワイヤの表面積の一部分はエラストマー層の表面上で露出されたままである。
【0006】
一態様では、本開示は、第1主面を有し、エラストマー材料である基材を含む伸縮性導体を対象とする。細長いワイヤは、基材の第1主面上にあり、第1の端部及び第2の端部、並びに第1の端部と第2の端部との間の少なくとも1つの弓状領域を有する。弓状領域において、ワイヤの弓状領域の少なくとも1つの部分は、基材の第1主面に埋め込まれた第1の表面積部分と、基材に埋め込まれておらず、かつ、弓状領域内の基材の少なくともある範囲が導電性になるのに十分な量で露出されている、第2の表面積部分と、を有する。
【0007】
別の態様では、本開示は、伸縮性導体の製造方法を対象とし、本方法は、蛇行した細長いワイヤを剥離層の表面と接触させることと、ワイヤの表面積の第1の部分を、ワイヤの表面積の第2の部分が剥離層の表面に埋め込まれないままであるようにして、剥離層の表面に埋め込むことであって、ワイヤの表面積の第2の部分は、ワイヤの総表面積の約1%~約80%を含む、ことと、ワイヤの表面積の第2の部分の上に重なるように液状エラストマー前駆体材料の層を剥離層の表面上に適用することと、液状エラストマー前駆体材料の層をエラストマー材料の層に変換することと、ワイヤが剥離層から分離し、ワイヤの表面積の第2の部分がエラストマー材料の層に埋め込まれたままであるようにして、エラストマー材料の層を剥離層から分離することと、を含む。
【0008】
更に別の態様では、本開示は、伸縮性導体の製造方法を対象とし、本方法は、細長いワイヤを剥離層の表面と接触させることと、細長いワイヤ及び剥離層のうちの少なくとも1つに力を加えることと、力を除去してワイヤに蛇行領域を形成することと、剥離層の表面にワイヤの蛇行領域の少なくとも一部分を部分的に埋め込むことであって、ワイヤの表面積の第1の部分は剥離層の表面に埋め込まれ、ワイヤの表面積の第2の部分は剥離層の表面に埋め込まれないままである、埋め込むことと、剥離層の表面上にエラストマー前駆体材料の層を適用して、ワイヤの表面積の第2の部分の上に重ねることと、エラストマー前駆体材料の層をエラストマー材料の層に変換することと、ワイヤが剥離層から分離し、ワイヤの第2の部分がエラストマー材料の層に埋め込まれたままであるようにして、エラストマー材料の層を剥離層から分離することと、を含む。
【0009】
更に別の態様では、本開示は、伸縮性導体の製造方法を対象とし、本方法は、伸縮性導体の製造方法であって、不規則に蛇行したワイヤを剥離層の表面と接触させることと、ワイヤの表面積の第1の部分は剥離層の表面に埋め込まれたままであり、ワイヤの表面積の第2の部分は露出されるようにして、ワイヤを剥離層の表面に部分的に埋め込むことであって、ワイヤの表面積の第2の部分は、細長いワイヤの総表面積の約1%~約80%を含む、部分的に埋め込むことと、剥離層の表面上にエラストマー前駆体材料の層を適用して、細長いワイヤの表面積の第2の部分の上に重ねることと、エラストマー前駆体材料の層をエラストマー材料の層に変換することと、ワイヤが剥離層から分離し、ワイヤの表面積の第2の部分がエラストマー材料の層に埋め込まれたままであるようにして、エラストマー材料の層を剥離層から分離することと、を含む。
【0010】
更なる態様では、本開示は、伸縮性導体を対象とし、本導体は、第1主面を有し、エラストマーポリマーフィルムを含む基材と、基材の第1主面上の細長い編組金属ワイヤであって、金属ワイヤは、複数の金属ワイヤストランドを含み、ほぼ円状の断面形状を有し、第1の端部及び第2の端部を備え、金属ワイヤは、第1の端部と第2の端部との間に少なくとも1つの蛇行領域を含み、金属ワイヤの蛇行領域は、基材の第1主面上にある、金属ワイヤと、を備え、金属ワイヤの蛇行領域は、基材の第1主面に埋め込まれた第1の表面積部分と、基材に埋め込まれておらず、露出されている第2の表面積部分とを含み、第2の表面積部分は、金属ワイヤの総表面積の約1%~約80%を含む。
【0011】
追加の態様では、本開示は、伸縮性電気デバイスを対象とし、本伸縮性電気デバイスは、第1の電気接点及び第2の電気接点であって、エラストマーポリマー基材上にある、第1の電気接点及び第2の電気接点と、第1の電気接点と第2の電気接点との間の電気的相互接続部であって、電気的相互接続部は、エラストマーポリマー基材の主面上に細長い編組金属ワイヤを含み、金属ワイヤは、複数の金属ワイヤストランドと、第1の端部及び第2の端部とを含み、金属ワイヤは、第1の端部と第2の端部との間に少なくとも1つの蛇行領域を含み、金属ワイヤの蛇行領域は、基材の主面上にある、電気的相互接続部と、を備え、金属ワイヤの蛇行領域は、基材の主面に埋め込まれた第1の表面積部分と、基材に埋め込まれておらず、露出されている第2の表面積部分、とを含み、第2の表面積部分が、金属ワイヤの総表面積の約1%~約80%を含む。
【0012】
更に別の態様では、本開示は、伸縮性導体の製造方法を対象とし、本方法は、不規則に蛇行した編組金属ワイヤを、構造化剥離層の表面から遠ざかるように突出している表面構造体と接触させることであって、編組金属ワイヤは複数の金属ワイヤストランドを含み、表面構造体は不動態構造体を含み、金属ワイヤは、剥離層の表面上で、不動態構造体の方向に対して垂直な方向に延びている、接触させることと、剥離層を軟化させることであって、不動態構造体同士の間のワイヤの第1の領域において、金属ワイヤの表面積の第1の部分は剥離層の表面に埋め込まれ、ワイヤの表面積の第2の部分は剥離層の表面に埋め込まれないままであるようにして、金属ワイヤの表面積の第2の部分は、ワイヤの総表面積の約1%~約80%を含み、不動態構造体上の金属ワイヤの第2の領域において、ワイヤは剥離層の表面に埋め込まれないままであるようにする、軟化させることと、エラストマー前駆体材料の層を剥離層の第1主面上に適用して、金属ワイヤの第1の領域及び第2の領域の上に重ねて、金属ワイヤストランド同士の間の領域に入るようにすることと、エラストマー前駆体材料の層をエラストマー材料の層に変換することと、金属ワイヤの表面積の第2の部分はエラストマー材料の層に埋め込まれたままであり、金属ワイヤの表面積の第1の部分はエラストマー材料の層の主面の上で露出させるようにして、エラストマー材料の層を剥離層から分離することと、を含む。
【0013】
更なる態様では、本開示は、伸縮性導体の製造方法を対象とし、本方法は、不規則に蛇行した編組金属ワイヤを、構造化剥離層の表面から遠ざかるように突出しているエンボス表面構造体又はダイカット表面構造体と接触させることであって、編組金属ワイヤは複数の金属ワイヤストランドを含み、表面構造体はリブを含み、金属ワイヤが剥離層の表面上でリブの方向に対して垂直な方向に延びている、接触させることと、金属ワイヤの表面積の第1の部分を、ワイヤの表面積の第2の部分が剥離層のリブの表面に埋め込まれないままであるようにして、剥離層のリブの表面に埋め込むことであって、金属ワイヤの表面積の第2の部分は、金属ワイヤの総表面積の約1%~約80%を含む、埋め込むことと、エラストマー前駆体材料の層を剥離層の第1主面上に適用することと、エラストマー前駆体材料の層をエラストマー材料の層に変換することと、金属ワイヤの表面積の第2の部分はエラストマー材料の層に埋め込まれたままであり、金属ワイヤの表面積の第1の部分は、エラストマー材料の層の主面の上で露出させるようにして、エラストマー材料の層を剥離層から分離することと、を含む。
【0014】
別の追加の態様では、本開示は、伸縮性導体の製造方法を対象とし、本方法は、蛇行した細長いワイヤを剥離層の表面と接触させることと、ワイヤの表面積の第1の部分を、ワイヤの表面積の第2の部分が剥離層の表面に埋め込まれないままであるようにして、剥離層の表面に埋め込むことであって、ワイヤの表面積の第2の部分は、ワイヤの総表面積の約1%~約80%を含む、ことと、ワイヤの表面積の第3の部分が液状エラストマー前駆体に覆われないままであるようにして、ワイヤの表面積の第2の部分の上に重なるように液状エラストマー前駆体材料の層を剥離層の表面上に適用することと、液状エラストマー前駆体材料の層をエラストマー材料の層に変換することと、ワイヤが剥離層から分離し、ワイヤの表面積の第2の部分がエラストマー材料の層に埋め込まれたままであるようにして、かつワイヤの表面積の第3の部分がエラストマー材料の層に埋め込まれないようにして、エラストマー材料の層を剥離層から分離することと、を含む。
【0015】
更に別の態様では、本開示は、伸縮性導体の製造方法を対象とし、本方法は、第1のサブアセンブリ及び第2のサブアセンブリを、(a)蛇行した細長いワイヤを剥離層の表面と接触させることと、(b)ワイヤの表面積の第1の部分を、ワイヤの表面積の第2の部分が剥離層の表面に埋め込まれないままであるようにして、剥離層の表面に埋め込むことであって、ワイヤの表面積の第2の部分は、ワイヤの総表面積の約1%~約80%を構成している、ことと、(c)埋め込まれていないワイヤの少なくとも一部分を覆うように伸縮性導電フィルムの層を適用することと、によって用意することと、第1のサブアセンブリの剥離層の表面上に液状エラストマー前駆体材料の層を適用して、ワイヤの表面積の第2の部分の上に重ねることと、第2のサブアセンブリを液状エラストマー前駆体材料と接触するように配置することであって、第2のサブアセンブリのワイヤは、第1のサブアセンブリのワイヤに面するように方向付けられている、ことと、第1のサブアセンブリの伸縮性導電フィルムを第2のサブアセンブリの伸縮性導電フィルムと電気接触させるように、第1のサブアセンブリの剥離層を第2のサブアセンブリの剥離層に向かって付勢するように力を加えることと、液状エラストマー前駆体材料の層をエラストマー材料の層に変換することと、ワイヤが剥離層から分離し、両方のワイヤの表面積の第1の部分がエラストマー材料の層に埋め込まれたままであるように、両方のワイヤの表面積の第2の部分がエラストマー材料の層に埋め込まれないようにして、2つの剥離層から前記エラストマー材料の層を分離することと、を含む。
【0016】
最終的な態様では、本開示は、伸縮性導体を提供し、本導体は、第1主面及び第2主面を有し、エラストマー材料を含む基材と、基材の第1主面上の第1の細長いワイヤであって、第1の端部及び第2の端部を備え、第1の端部と第2の端部との間に少なくとも1つの弓状領域を備え、弓状領域において、第1のワイヤの弓状領域の少なくとも1つの部分は、基材の第1主面に埋め込まれた第1の表面積部分と、基材に埋め込まれておらず、かつ、領域内の基材の少なくともある範囲が導電性になるのに十分な量で露出されている、第2の表面積部分と、を備える、第1の細長いワイヤと、基材の第2主面上の第2の細長いワイヤであって、ワイヤは第1の端部及び第2の端部を備え、第2のワイヤは、第1の端部と第2の端部との間に少なくとも1つの弓状領域を含み、弓状領域において、第2のワイヤの弓状領域の少なくとも1つの部分は、基材の表面に埋め込まれた第1の表面積部分と、基材に埋め込まれておらず、かつ、領域内の基材の少なくともある範囲が導電性になるのに十分な量で露出されている、第2の表面積部分と、を含む、第2の細長いワイヤと、第1のワイヤと基材の第1主面の両方と接触する伸縮性導電フィルムからなる第1の層と、
第2のワイヤ及び基材の第2主面との両方と接触する伸縮性導電フィルムからなる第2の層と、を備え、伸縮性導電フィルムからなる第1の層と、伸縮性導電フィルムからなる第2の層とが、互いに電気的に接触している。
【0017】
本開示の発明のこれらの態様のうちの1つ以上の詳細は、以下の例示的な実施形態の列挙において要約される。
【0018】
例示的な実施形態の列挙
実施形態A:第1主面を有し、エラストマー材料を含む基材と、基材の第1主面上の細長いワイヤであって、第1の端部及び第2の端部を備え、第1の端部と第2の端部との間に少なくとも1つの弓状領域を備える、ワイヤと、を備え、弓状領域において、ワイヤの弓状領域の少なくとも1つの部分は、基材の第1主面に埋め込まれた第1の表面積部分と、基材に埋め込まれておらず、かつ、弓状領域内の基材の少なくともある範囲が導電性になるのに十分な量で露出された第2の表面積部分と、を備える伸縮性導体。
【0019】
実施形態B:ワイヤは金属を含む、実施形態Aに記載の伸縮性導体。
【0020】
実施形態C:ワイヤは、中実な延伸金属ワイヤである、実施形態Bに記載の伸縮性導体。
【0021】
実施形態D:ワイヤは、複数の編組金属ワイヤストランドを含む、実施形態Bに記載の伸縮性導体。
【0022】
実施形態E:エラストマー材料は、ストランド同士の間の中間領域を占有している、実施形態Dに記載の伸縮性導体。
【0023】
実施形態F:細長い導体の弓状領域は、不規則な曲線パターンを含む、実施形態A~Eのいずれかに記載の伸縮性導体。
【0024】
実施形態G:弓状領域は、少なくとも1つの蛇行部分を含む、実施形態A~Fのいずれかに記載の伸縮性導体。
【0025】
実施形態H:ワイヤの弓状領域は、フラクタル蛇行形状を含む、実施形態A~Gのいずれかに記載の伸縮性導体。
【0026】
実施形態I:ワイヤの弓状領域は、複数の入れ子状の蛇行領域を含む、実施形態Hに記載の伸縮性導体。
【0027】
実施形態J:エラストマー材料は、室温で、約100MPa未満のヤング率及び少なくとも約200%の破断伸度を有する、実施形態A~Iのいずれかに記載の伸縮性導体。
【0028】
実施形態K:前記エラストマー材料は、室温で、約10MPa未満のヤング率及び少なくとも約100%の破断伸度を有する、実施形態Jに記載の伸縮性導体。
【0029】
実施形態L:エラストマー材料は、天然ゴム、ポリウレタン、ポリブタジエン、ネオプレン、エポキシ、及びシリコーンから選択される、実施形態A~Kのいずれかに記載の伸縮性導体。
【0030】
実施形態M:エラストマー材料は、ポリウレタン、エポキシ、及びシリコーンから選択される、実施形態Lに記載の伸縮性導体。
【0031】
実施形態N:エラストマー材料は、エポキシ樹脂を含む、実施形態Lに記載の伸縮性導体。
【0032】
実施形態O:エラストマー材料は、1分子当たり少なくとも2個のエポキシド基を有するエポキシ樹脂と、少なくとも2個の一次チオール基を有するポリチオール化合物を含むチオール成分と、シラン官能化接着促進剤と、エポキシ樹脂を硬化させるための窒素含有触媒と、任意選択の硬化阻害剤と、を含む、実施形態Nに記載の伸縮性導体。
【0033】
実施形態P:エラストマー材料は、複数のソフトセグメント及び複数のハードセグメントを含む脂肪族ポリウレタンポリマーを含み、ソフトセグメントがポリカーボネートポリオールを含む、実施形態A~Oのいずれかに記載の伸縮性導体。
【0034】
実施形態Q:第2の表面積部分は、ワイヤの総表面積の約1%~約80%を含む、実施形態A~Pのいずれかに記載の伸縮性導体。
【0035】
実施形態R:第2の表面積部分は、ワイヤの総表面積の約20%~約50%を含む、実施形態Qに記載の伸縮性導体。
【0036】
実施形態S:ワイヤの弓状領域は、基材の第1主面上にある、実施形態A~Rのいずれかに記載の伸縮性導体。
【0037】
実施形態T:細長いワイヤの一部分は、基材の平面の外側にあり、弓状領域は、基材の第1主面上にある、実施形態A~Rのいずれかに記載の伸縮性導体。
【0038】
実施形態U:弓状領域の一部分は、基材の平面よりも上又は下にある、実施形態A~Rのいずれかに記載の伸縮性導体。
【0039】
実施形態V:第2の表面積部分は、基材の第1主面上で露出されている、実施形態A~Rのいずれかに記載の伸縮性導体。
【0040】
実施形態W:第2の表面積部分は、基材の第1主面上及び第1主面と反対側の基材の第2主面上で露出されている、実施形態A~Rのいずれかに記載の伸縮性導体。
【0041】
実施形態X:第1主面は、構造化されている、実施形態A~Wのいずれかに記載の伸縮性導体。
【0042】
実施形態Y:ワイヤの少なくとも幾つかの領域は、基材に完全に埋め込まれている、実施形態A~Xのいずれかに記載の伸縮性導体。
【0043】
実施形態Z:ワイヤは編組金属ワイヤを含む、実施形態A~Yのいずれかに記載の伸縮性導体。
【0044】
実施形態AA.細長いワイヤの少なくとも一部分の上に重なった絶縁層を更に備える、実施形態A~Zのいずれかに記載の伸縮性導体。
【0045】
実施形態BB:第1主面と反対側の基材の第2主面上の第2の細長いワイヤであって、第2のワイヤは第1の端部及び第2の端部を備え、第2のワイヤは、第1の端部と第2の端部との間に少なくとも1つの弓状領域を含み、第2のワイヤの少なくとも1つの弓状領域の少なくとも1つの部分は、基材の第2主面に埋め込まれた第1の表面積部分と、基材の第2主面に埋め込まれておらず、かつ、第2のワイヤの少なくとも1つの弓状領域内の基材の少なくともある範囲を導電性にするのに十分な量で露出されている、第2の表面積部分と、を備える、第2の細長いワイヤと、
第1のワイヤと基材の第1主面との両方と接触している、伸縮性導電フィルムからなる第1の層と、
第2のワイヤと基材の第2主面との両方と接触している、伸縮性導電フィルムからなる第2の層と、を更に備え、
伸縮性導電フィルムの第1の層と、伸縮性導電フィルムの第2の層とが、互いに電気的に接触している、実施形態A~AAのいずれかに記載の伸縮性導体。この実施形態は、
図10に示される方法によって形成された物品によって例示される。
【0046】
実施形態CC:実施形態A~AAに記載の伸縮性導体と、非導電性接着剤を用いて基材の第1主面に接着された導電性布地であって、導電性布地と細長いワイヤとが電気的に接触している、導電性布地と、を備える複合材物品。
【0047】
実施形態DD:導電性布地の一部分と細長いワイヤとの間に配置された導電フィルムの一部分を更に備える、実施形態CCに記載の複合材物品。
【0048】
実施形態EE:伸縮性導体の製造方法であって、蛇行した細長いワイヤを剥離層の表面と接触させることと、ワイヤの表面積の第1の部分を、ワイヤの表面積の第2の部分が剥離層の表面に埋め込まれないままであるようにして、剥離層の表面に埋め込むことであって、ワイヤの表面積の第2の部分は、ワイヤの総表面積の約1%~約80%を含む、ことと、ワイヤの表面積の第2の部分の上に重なるように液状エラストマー前駆体材料の層を剥離層の表面上に適用することと、エラストマー前駆体材料の層をエラストマー材料の層に変換することと、ワイヤが剥離層から分離し、ワイヤの表面積の第2の部分がエラストマー材料の層に埋め込まれたままであるようにして、エラストマー材料の層を剥離層から分離することと、を含む方法。
【0049】
実施形態FF:ワイヤは、中実な延伸金属ワイヤ、実施形態EEに記載の方法。
【0050】
実施形態GG:ワイヤは複数のストランドを備え、エラストマー材料は、ストランド同士の間にある、実施形態EEに記載の方法。
【0051】
実施形態HH:剥離層の表面は構造体を含む、実施形態EE~GGのいずれかに記載の方法。
【0052】
実施形態II:構造化表面は、一連の平行な凹部を含む、実施形態HHに記載の方法。
【0053】
実施形態JJ:細長いワイヤは、少なくとも1つの蛇行部分を含む、実施形態EE~IIのいずれかに記載の方法。
【0054】
実施形態KK:細長いワイヤは、フラクタル蛇行形状を含む、実施形態EE~JJのいずれかに記載の方法。
【0055】
実施形態LL:細長いワイヤは、複数の入れ子状の蛇行領域を含む、実施形態KKに記載の方法。
【0056】
実施形態MM:剥離層はポリマーフィルムを含む、実施形態EE~LLのいずれかに記載の方法。
【0057】
実施形態NN:ワイヤの表面積の第2の部分の上に重なるように液状エラストマー前駆体材料の層を剥離層の表面上に適用することは、ワイヤの表面積の第3の部分が液状エラストマー前駆体によって覆われないままであるようにして実行される、実施形態EE~MMのいずれかに記載の方法。
【0058】
実施形態OO:非導電性接着剤の前駆体を導電性布地に適用することと、
ワイヤの第2の部分を導電性布地の少なくとも一部分と接触させることと、
非導電性接着剤前駆体を硬化させながら、少なくとも0.55MPaの圧力を加えて、非導電性接着剤を生成することと、
を更に含む、実施形態EE~NNのいずれかに記載の方法。この実施形態は、実施例10に記載されており、
図12Aに示される方法によって例示される。
【0059】
実施形態PP:導電性布地の一部分とワイヤとの間に導電フィルムの一部分を配置することを更に含む、実施形態OOに記載の方法。この実施形態は、実施例11に記載されており、
図12Bに示される方法によって例示される。
【0060】
実施形態QQ:伸縮性導体の製造方法であって、第1のサブアセンブリ及び第2のサブアセンブリを、(a)蛇行した細長いワイヤを剥離層の表面と接触させることと、(b)ワイヤの表面積の第1の部分を、ワイヤの表面積の第2の部分が剥離層の表面に埋め込まれないままであるようにして、剥離層の表面に埋め込むことであって、ワイヤの表面積の第2の部分は、ワイヤの総表面積の約1%~約80%を構成している、ことと、(c)埋め込まれていないワイヤの少なくとも一部分を覆うように伸縮性導電フィルムの層を適用することと、によって用意することと、第1のサブアセンブリの剥離層の表面上に液状エラストマー前駆体材料の層を適用して、ワイヤの表面積の第2の部分の上に重ねることと、第2のサブアセンブリを液状エラストマー前駆体材料と接触するように配置することであって、第2のサブアセンブリのワイヤは、第1のサブアセンブリのワイヤに面するように方向付けられている、ことと、第1のサブアセンブリの伸縮性導電フィルムを第2のサブアセンブリの伸縮性導電フィルムと電気接触させるように、第1のサブアセンブリの剥離層を第2のサブアセンブリの剥離層に向かって付勢するように力を加えることと、液状エラストマー前駆体材料の層をエラストマー材料の層に変換することと、ワイヤが剥離層から分離し、両方のワイヤの表面積の第1の部分がエラストマー材料の層に埋め込まれたままであり、両方のワイヤの表面積の第2の部分がエラストマー材料の層に埋め込まれないようにして、2つの剥離層からエラストマー材料の層を分離することと、を含む、方法。この実施形態は、
図10に示される方法によって例示される。
【0061】
実施形態RR:伸縮性導体の製造方法であって、細長いワイヤを剥離層の表面と接触させることと、細長いワイヤ及び剥離層のうちの少なくとも1つに力を加えることと、力を除去してワイヤに蛇行領域を形成することと、剥離層の表面にワイヤの蛇行領域の少なくとも一部分を部分的に埋め込むことであって、ワイヤの表面積の第1の部分は剥離層の表面に埋め込まれ、ワイヤの表面積の第2の部分は剥離層の表面に埋め込まれないままである、埋め込むことと、剥離層の表面上にエラストマー前駆体材料の層を適用して、ワイヤの表面積の第2の部分の上に重ねることと、エラストマー前駆体材料の層をエラストマー材料の層に変換することと、ワイヤが剥離層から分離し、ワイヤの第2の部分がエラストマー材料の層に埋め込まれたままであるようにして、エラストマー材料の層を剥離層から分離することと、を含む、方法。
【0062】
実施形態SS:細長いワイヤは形状記憶金属ワイヤであり、方法は、形状記憶金属ワイヤに力を加えることと、力を除去して、形状記憶金属ワイヤを反跳させ、剥離層の表面上に不規則な曲線パターンを取らせることと、を更に含む、実施形態RRに記載の方法。
【0063】
実施形態TT:細長いワイヤは、剥離層の表面上で不規則な曲線パターンに成形される、実施形態RRに記載の方法。
【0064】
実施形態UU:伸縮性導体の製造方法であって、不規則に蛇行したワイヤを剥離層の表面と接触させることと、ワイヤの表面積の第1の部分は剥離層の表面に埋め込まれたままであり、ワイヤの表面積の第2の部分は露出されるようにして、ワイヤを剥離層の表面に部分的に埋め込むことであって、ワイヤの表面積の第2の部分は、細長いワイヤの総表面積の約1%~約80%を含む、部分的に埋め込むことと、剥離層の表面上にエラストマー前駆体材料の層を適用して、細長いワイヤの表面積の第2の部分の上に重ねることと、エラストマー前駆体材料の層をエラストマー材料の層に変換することと、ワイヤが剥離層から分離し、ワイヤの表面積の第2の部分がエラストマー材料の層に埋め込まれたままであるようにして、エラストマー材料の層を剥離層から分離することと、を含む、方法。
【0065】
実施形態VV:ワイヤが内部に埋め込まれた前記エラストマー材料の層を熱成形することを更に含む、実施形態UUに記載の方法。
【0066】
実施形態WW:第1主面を有し、エラストマーポリマーフィルムを含む基材と、基材の第1主面上の細長い編組金属ワイヤであって、金属ワイヤは、複数の金属ワイヤストランドを含み、ほぼ円状の断面形状を有し、第1の端部及び第2の端部を備え、金属ワイヤは、第1の端部と第2の端部との間に少なくとも1つの蛇行領域を含み、金属ワイヤの蛇行領域は、基材の第1主面上にある、金属ワイヤと、を備え、金属ワイヤの蛇行領域は、基材の第1主面に埋め込まれた第1の表面積部分と、基材に埋め込まれておらず、露出されている第2の表面積部分と、を備え、第2の表面積部分は、金属ワイヤの総表面積の約1%~約80%を含む、伸縮性導体。
【0067】
実施形態XX:基材の第1主面上にポリマーフィルムの層を更に備える、実施形態WWに記載の伸縮性導体。
【0068】
実施形態YY:ポリマーフィルムの層は、開口部の配列を含み、前記金属ワイヤは前記開口部において露出されている、実施形態XXに記載の伸縮性導体。
【0069】
実施形態ZZ:金属ワイヤストランドは、エラストマーポリマーフィルム内に少なくとも部分的に封入されている、実施形態WW~YYのいずれかに記載の伸縮性導体。
【0070】
実施形態AAA:第1の電気接点及び第2の電気接点であって、エラストマーポリマー基材上にある、第1の電気接点及び第2の電気接点と、
第1の電気接点と第2の電気接点との間の電気的相互接続部であって、電気的相互接続部は、エラストマーポリマー基材の主面上に細長い編組金属ワイヤを含み、金属ワイヤは、複数の金属ワイヤストランドを含み、第1の端部及び第2の端部とを備え、金属ワイヤは、第1の端部と第2の端部との間に少なくとも1つの蛇行領域を含み、金属ワイヤの蛇行領域は、基材の主面上にある、電気的相互接続部と、を備え、
金属ワイヤの蛇行領域は、基材の主面に埋め込まれた第1の表面積部分と、基材に埋め込まれておらず、露出されている第2の表面積部分と、を備え、第2の表面積部分は、金属ワイヤの総表面積の約1%~約80%を含む、伸縮性電気デバイス。
【0071】
実施形態BBB:第1の電気接点及び第2の電気接点のうちの少なくとも1つが、編組金属ワイヤの第2の表面積部分にはんだ付けされている、実施形態AAAに記載の伸縮性電気デバイス。
【0072】
実施形態CCC:編組電気ワイヤの第2の表面積部分にはんだ付けされた電気接続部を更に備える、実施形態AAA~BBBの伸縮性電気デバイス。
【0073】
実施形態DDD:伸縮性導体の製造方法であって、不規則に蛇行した編組金属ワイヤを、構造化剥離層の表面から遠ざかるように突出している表面構造体と接触させることであって、編組金属ワイヤは複数の金属ワイヤストランドを含み、表面構造体は不動態構造体を含み、金属ワイヤは、剥離層の表面上で、不動態構造体の方向に対して垂直な方向に延びている、接触させることと、剥離層を軟化させることであって、不動態構造体同士の間のワイヤの第1の領域において、金属ワイヤの表面積の第1の部分は剥離層の表面に埋め込まれ、ワイヤの表面積の第2の部分は剥離層の表面に埋め込まれないままであるようにして、金属ワイヤの表面積の第2の部分は、ワイヤの総表面積の約1%~約80%を含み、不動態構造体上の金属ワイヤの第2の領域において、ワイヤは剥離層の表面に埋め込まれないままであるようにする、軟化させることと、エラストマー前駆体材料の層を剥離層の第1主面上に適用して、金属ワイヤの第1の領域及び第2の領域の上に重ねて、金属ワイヤストランド同士の間の領域に入るようにすることと、エラストマー前駆体材料の層をエラストマー材料の層に変換することと、金属ワイヤの表面積の第2の部分はエラストマー材料の層に埋め込まれたままであり、金属ワイヤの表面積の第1の部分はエラストマー材料の層の主面の上で露出させるようにして、エラストマー材料の層を剥離層から分離することと、を含む、方法。
【0074】
実施形態EEE:構造化剥離層は、エンボス不動態構造体を含む、実施形態DDDに記載の方法。
【0075】
実施形態FFF:構造化剥離層は、印刷不動態構造体を含む、実施形態EEEに記載の方法。
【0076】
実施形態GGG:伸縮性導体の製造方法であって、不規則に蛇行した編組金属ワイヤを、構造化剥離層の表面から遠ざかるように突出しているエンボス表面構造体又はダイカット表面構造体と接触させることであって、編組金属ワイヤは複数の金属ワイヤストランドを含み、表面構造体はリブを含み、金属ワイヤは、剥離層の表面上でリブの方向に対して垂直な方向に延びている、接触させることと、金属ワイヤの表面積の第1の部分を、ワイヤの表面積の第2の部分が剥離層のリブの表面に埋め込まれないままであるようにして、剥離層のリブの表面に埋め込むことであって、金属ワイヤの表面積の第2の部分は、金属ワイヤの総表面積の約1%~約80%を含む、埋め込むことと、エラストマー前駆体材料の層を剥離層の第1主面上に適用することと、エラストマー前駆体材料の層をエラストマー材料の層に変換することと、金属ワイヤの表面積の第2の部分はエラストマー材料の層に埋め込まれたままであり、金属ワイヤの表面積の第1の部分は、エラストマー材料の層の主面の上で露出させるようにして、エラストマー材料の層を剥離層から分離することと、を含む、方法。
【0077】
実施形態HHH:伸縮性導体の製造方法であって、蛇行した細長いワイヤを剥離層の表面と接触させることと、ワイヤの表面積の第1の部分を、ワイヤの表面積の第2の部分が剥離層の表面に埋め込まれないままであるようにして、剥離層の表面に埋め込むことであって、ワイヤの表面積の第2の部分は、ワイヤの総表面積の約1%~約80%を含む、ことと、ワイヤの表面積の第3の部分が液状エラストマー前駆体に覆われないままであるようにして、ワイヤの表面積の第2の部分の上に重なるように液状エラストマー前駆体材料の層を剥離層の表面上に適用することと、液状エラストマー前駆体材料の層をエラストマー材料の層に変換することと、ワイヤが剥離層から分離し、ワイヤの表面積の第2の部分がエラストマー材料の層に埋め込まれたままであるようにして、かつワイヤの表面積の第3の部分がエラストマー材料の層に埋め込まれないようにして、エラストマー材料の層を剥離層から分離することと、を含む方法。この実施形態は、
図11に示す方法によって例示される。
【0078】
本発明の他の特徴、目的、及び利点については、図面、発明を実施するための形態、実施例、及び特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0079】
以下の本開示の様々な実施形態の詳細な説明を添付図面と併せて検討することで、本開示をより完全に理解し得る。
【0080】
【
図1A】本開示による伸縮性導体構成体の一実施形態の概略俯瞰図である。
【0081】
【
図1B】エラストマー材料に部分的に埋め込まれた撚りワイヤの延伸ワイヤストランドの断面の写真である。
【0082】
【
図1C】エラストマー材料に部分的に埋め込まれた撚りワイヤの断面の写真である。
【0083】
【
図1D】本開示による伸縮性導体構成体の一実施形態の概略俯瞰図である。
【0084】
【
図2A】本開示による伸縮性導体構成体の一実施形態の概略断面図である。
【0085】
【
図2B】本開示による伸縮性導体構成体の別の実施形態の概略断面図である。
【0086】
【
図2C】本開示による伸縮性導体構成体の別の実施形態の概略断面図である。
【0087】
【
図3】本開示による伸縮性導体構成体の製造プロセスの概略図である。
【0088】
【
図4A】エンボス剥離層を使用した、本開示による伸縮性導体構成体の製造プロセスの概略俯瞰図であり、
【
図4B】エンボス剥離層を使用した、本開示による伸縮性導体構成体の製造プロセスの概略断面図である。
【0089】
【
図5A】印刷剥離層を使用した、本開示による伸縮性導体構成体の製造プロセスの概略俯瞰図であり、
【
図5B】印刷剥離層を使用した、本開示による伸縮性導体構成体の製造プロセスの概略断面図である。
【0090】
【
図6】本開示の伸縮性導体構成体を組み込んだデバイス構成の一実施形態の概略図である。
【0091】
【
図7】実施例1の編組ワイヤの光学顕微鏡写真である。
【0092】
【
図8】エラストマー基材材料に埋め込まれた実施例1の編組ワイヤの光学顕微鏡写真である。
【0093】
【
図9A】実施例2のエラストマー基材に埋め込まれたワイヤの光学顕微鏡写真である。
【
図9B】実施例2のエラストマー基材に埋め込まれたワイヤの光学顕微鏡写真である。
【0094】
【
図10】本開示による伸縮性導体構成体の代替的な実施形態の製造プロセスの概略図である。
【
図10cont】本開示による伸縮性導体構成体の代替的な実施形態の製造プロセスの概略図である。
【0095】
【
図11】本開示による伸縮性導体構成体の代替的な実施形態の製造プロセスの概略図である。
【0096】
【
図12A】導電性布地の一部分に接合された、本開示による伸縮性導体の平面図である。
【0097】
【
図12B】導電性布地の一部分に接合された、本開示による伸縮性導体の代替的な実施形態の平面図である。
【0098】
図中の同様の記号は、同様の要素を示している。
【0099】
一定の縮尺で描かれないことがある、上記で特定された図面は、本開示の様々な実施形態を明らかにしているが、以下の発明を実施するための形態で指摘されるように、他の実施形態も予想される。
【発明を実施するための形態】
【0100】
本明細書及び添付の実施形態において使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、特に内容により明確な指示がない限り、複数の対象を含む。したがって、例えば「化合物(a compound)」を含有する微細繊維への言及は、2種以上の化合物の混合物を含む。本明細書及び添付の実施形態において使用されるとき、用語「又は」は、その内容が特に明確に指示しない限り、一般的に「及び/又は」を包含する意味で用いられる。
【0101】
本明細書で使用する場合、末端値による数値範囲での記述には、その範囲内に包含されるあらゆる数値が含まれる(例えば1~5には1、1.5、2、2.75、3、3.8、4、及び5が含まれる)。
【0102】
特に指示がない限り、本明細書及び実施形態で使用する量又は成分、特性の測定値などを表す全ての数は、全ての場合において、「約」という用語によって修飾されていると理解するものとする。これに応じて、特に指示がない限り、前述の明細書及び添付の実施形態の列挙において示す数値パラメータは、本開示の教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に応じて変化し得る。最低でも、各数値パラメータは少なくとも、報告される有効桁の数に照らして端数処理技術を適用することにより解釈されるべきであるが、このことは請求項記載の実施形態の範囲への均等論の適用を制限しようとするものではない。
【0103】
以下に、本開示の様々な例示的実施形態を、図面を具体的に参照しながら説明する。本開示の例示的な実施形態には、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更を加えてもよい。したがって、本開示の実施形態は、以下に記載の例示的な実施形態に限定されるものではないが、特許請求の範囲に記載されている限定及びそれらの任意の均等物により支配されるものであることを理解すべきである。
【0104】
ここで図面を参照すると、
図1は、エラストマー材料からなる基材12と、基材12に部分的に埋め込まれた領域を有する少なくとも1つの細長い導電性ワイヤ14とを含む、伸縮性導体構成体10の一部分を示す。伸縮性導体構成体10は、少なくとも1つの領域20を含み、この領域20において、(1)ワイヤの表面積の第1の部分が、ワイヤ14を基材12に接合するのに十分に基材の第1主面13Aに埋め込まれており、(2)ワイヤの表面積の第2の部分が、構成体10の第1主面13Aのある範囲を領域20において導電性に維持するのに十分に露出されている。
【0105】
伸縮性導体構成体10は、任意選択で、ワイヤ14の第1の端部15に電気接続された第1の接点16と、ワイヤ14の第2の端部17に電気接続された任意選択の第2の接点18とを含んでもよい。
【0106】
幾つかの実施形態では、伸縮性導体構成体10は、ワイヤ14を破損させることなく、又は領域20内の基材12の第1主面13Aから剥離させることなく、ワイヤ14の長手方向と概ね整列した方向Aに沿って伸張されることができる。幾つかの実施形態では、伸縮性導体構成体10はまた、ワイヤ14を破損させることなく、又は基材12の第1主面13Aから剥離させることなく、ワイヤ14の長手方向に対して概ね垂直な方向Bに沿って伸張されることができる。方向A及びBに沿って加えられる伸張力は、連続的であってもよいし、又は基材12が繰り返し伸張及び弛緩される伸張サイクルで加えられてもよい。
【0107】
基材12に選択されるエラストマー材料は、意図された用途に応じて広く異なり得るが、一般に、内部に埋め込まれたワイヤ14との結合を形成することができる任意の天然材料又は高分子材料を含む。基材12は、注型成形されてもよいし、又は織布材料であってもよく、幾つかの実施形態では、約0.02mm~約2.0mm、又は約0.05mm~約0.50mmの厚さを有する。
【0108】
幾つかの実施形態では、基材12はエラストマー材料で作製することができ、このエラストマー材料は、本出願では、高い伸長及び回復、並びに破損又はひび割れに対する耐性を有する天然材料又は合成材料を意味する。様々な実施形態において、基材12に使用されるエラストマー材料は、室温約20~25℃で測定して、約100MPa未満、約50MPa未満、約10MPa未満、約1MPa未満、又は更に0.5MPa未満のヤング率を有する。幾つかの実施形態では、基材12のエラストマー材料は、室温で少なくとも約200%、少なくとも約100%、又は少なくとも約50%の引張破断伸度を有する。
【0109】
様々な実施形態において、基材12のためのエラストマー材料は、熱硬化性エラストマー及び熱可塑性エラストマーを含む。エラストマー材料の好適な例としては、天然ゴム、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン尿素、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、アクリル及びメタクリル酸エステルポリマー及びコポリマー、ポリ塩化ビニルポリマー及びコポリマー、ポリ酢酸ビニルポリマー及びコポリマー、ポリアミドポリマー及びコポリマー、フッ素含有ポリマー及びコポリマー、シリコーン、シリコーン含有コポリマー、エポキシ、熱可塑性エラストマー、例えば、ネオプレン、アクリロニトリルブタジエンコポリマーなど、並びにこれらの混合物及び組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。組み合わせは、相互貫入ネットワーク、二重硬化系などの材料の任意の組み合わせを含み得る。
【0110】
幾つかの実施形態では、基材12は、任意選択で、ナノ粒子、繊維、及び他の補強材料又は導電材料を含むことができる。
【0111】
幾つかの実施形態では、基材12は、熱成形性又は伸縮性のエラストマー材料で作製される。好適な熱成形性材料又は伸縮性材料から作製される基材12は、形成されると、その形成された寸法を保持しなければならない。幾つかの実施形態では、基材12は成形温度で弾性を有することがあるが、この弾性は、形成後に復元力を発揮することがある。この過剰な弾性回復を制限又は防止するために、弾性層は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリカーボネート(PC)などの別のより低弾性の材料で積層されることができる。
【0112】
成形可能とするために、成形中又は伸張中に生じる伸長に、破損せず、ひび割れせず、又は他の欠陥を生じることなく耐えられるエラストマー材料を基材12のために選択することができる。幾つかの実施形態では、これは、メルトフロー及び成形を経る温度又はその付近の温度を有するエラストマー材料を選択することによって達成することができる。幾つかの実施形態では、例えば、流動しない架橋材料が用いられることがあるが、これらの材料は、伸長中にひび割れを生じる可能性が高くなり得る。このひび割れを防止するため、ゴム状プラトー領域における低い貯蔵弾性率によって示すことができるように、架橋密度を低く維持しなくてはならない。予想架橋度は、材料の構成成分に基づいて計算することができる架橋1つ当たりの平均分子量の逆数として近似することもできる。更に、幾つかの実施形態では、温度が架橋材料のガラス転移温度よりも高い温度に上昇するのに従い、架橋材料の伸長能力が低下し始めることがあるため、比較的低温で成形を行うことができる。
【0113】
一実施形態では、基材12に選択されるエラストマー材料は、1分子当たり少なくとも2個のエポキシド基を有するエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂成分と、少なくとも2つの一次チオール基を有するポリチオール化合物を含むチオール成分と、エポキシ樹脂のための窒素含有触媒と、シラン官能化接着促進剤と、任意選択で硬化阻害剤と、を含む、硬化性組成物である。様々な実施形態では、硬化阻害剤は、ルイス酸又は弱いブレンステッド酸とすることができる。
【0114】
硬化性エポキシ/チオール樹脂組成物は、1液型組成物又は2液型組成物とすることができる。ある特定の実施形態では、硬化性「1液型」エポキシ/チオール樹脂組成物は、チオール硬化剤、窒素含有触媒、シラン官能化接着促進剤、硬化阻害剤、及び、エポキシ樹脂と混合された任意の任意選択の添加剤(例えば、充填剤、強靭化剤、希釈剤、及び他の接着促進剤)を含む、全ての構成成分を含む。硬化阻害剤は、ルイス酸又は弱いブレンステッド酸とすることができる。1液型組成物の製剤中、窒素含有触媒を加えられる前に、硬化阻害剤がこの組成物の他の構成成分に加えられる。
【0115】
また、硬化性1液型エポキシ/チオール樹脂組成物は、低温硬化性が良好である。ある特定の実施形態では、硬化性1液型エポキシ/チオール樹脂組成物は、少なくとも50℃の温度で硬化性である。ある特定の実施形態では、硬化性1液型エポキシ/チオール樹脂組成物は、80℃以下の温度で硬化性である。ある特定の実施形態では、硬化性1液型エポキシ/チオール組成物は、約60~65℃の温度で硬化性である。
【0116】
ある特定の実施形態では、エポキシ樹脂成分及びチオール成分の選択により、硬化した伸縮性材料を提供することができる。このような構成成分のうちの少なくとも1つは伸縮性であり、これは、エポキシ樹脂成分及び/又はチオール成分(好ましくは、エポキシ樹脂成分及びチオール成分の両方)が、室温で、少なくとも約200%、少なくとも約100%、又は少なくとも約50%の引張伸度を有する硬化した高分子材料を提供するように選択されることを意味する。
【0117】
幾つかの実施形態では、基材12に適したエポキシ樹脂組成物は、約5MPa未満、又は約1MPa未満、又は約0.9MPa未満、又は更には約0.5MPa未満のヤング率を有する。
【0118】
幾つかの実施形態では、基材12に適したエポキシ樹脂は、ビスフェノールAから誘導される(すなわち、ビスフェノールAは、4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタンである)。例としては、Momentive Specialty Chemicals,Inc.(Columbus,OH)から商品名EPON(例えば、EPON 1510、EPON 1310、EPON 828、EPON 872、EPON 1001、EPON 1004、及びEPON 2004)で入手可能なもの、Olin Epoxy Co.(St.Louis,MO)から商品名DER(例えば、DER 331、DER 332、DER 336、及びDER 439)で入手可能なもの、並びにDainippon Ink and Chemicals,Inc.(Parsippany,NJ)から商品名EPICLON(例えば、EPICLON 850)で入手可能なものが挙げられるが、これらに限定されない。他の市販のジグリシジルエーテルエポキシ樹脂は、ビスフェノールFから誘導される(すなわち、ビスフェノールFは、2,2’-ジヒドロキシジフェニルメタンである)。例としては、Olin Epoxy Co.(St.Louis,MO)から商品名DER(例えば、DER 334)で入手可能なもの、Dainippon Ink and Chemicals,Inc.(Parsippany,NJ)から商品名EPICLON(例えば、EPICLON 830)で入手可能なもの、及びHuntsman Corporation(The Woodlands,TX)から商品名ARALDITE(例えば、ARALDITE 281)で入手可能なものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0119】
他の好適なエポキシ樹脂は、ポリ(アルキレンオキシド)ジオールのジグリシジルエーテルである。例としては、ポリ(エチレンオキシド)ジオールのジグリシジルエーテル、ポリ(プロピレンオキシド)ジオールのジグリシジルエーテル、及びポリ(テトラメチレンオキシド)ジオールのジグリシジルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。この種のエポキシ樹脂は、Polysciences,Inc.(Warrington,PA)から市販されている。
【0120】
更に他の好適なエポキシ樹脂は、アルカンジオールのジグリシジルエーテルであり、Hexion Specialty Chemicals、Inc.(Columbus,OH)から商品名EPONEX(例えば、EPONEX 1510)で市販されているもの、及びCVC Thermoset Specialties(Moorestown,NJ)から商品名EPALLOY(例えば、EPALLOY 5001)で市販されているものなどがある。
【0121】
一部の用途では、硬化性コーティング組成物中で用いるのに選択されるエポキシ樹脂は、フェノールノボラック樹脂のグリシジルエーテルであるノボラックエポキシ樹脂である。耐腐食性、耐水性、耐化学薬品性、又はこれらの組み合わせが望まれる用途において、ノボラックエポキシ樹脂の使用が特に望ましい場合がある。そのようなノボラックエポキシ樹脂の1つは、ポリ[(フェニルグリシジルエーテル)-コ-ホルムアルデヒド]である。他の好適なノボラック樹脂は、商品名ARALDITE(例えば、ARALDITE GY289、ARALDITE EPN 1183、ARALDITE EP 1179、ARALDITE EPN 1139、及びARALDITE EPN 1138)でHuntsman Corporation(The Woodlands,TX)から、商品名EPALLOY(例えば、EPALLOY 8230)でCVC Thermoset Specialties(Moorestown,NJ)から、並びに商品名DEN(例えば、DEN 424及びDEN 431)でOlin Epoxy Co.(St.Louis,MO)から市販されている。
【0122】
更に他のエポキシ樹脂としては、少なくとも2個のグリシジル基を有するシリコーン樹脂及び少なくとも2個のグリシジル基を有する難燃性エポキシ樹脂(例えば、Dow Chemical Co.(Midland,MI)から商品名DER 580で市販されているものなどの少なくとも2個のグリシジル基を有する臭素化ビスフェノール型エポキシ樹脂)が挙げられる。
【0123】
幾つかの実施形態では、硬化性エポキシ/チオール樹脂組成物は、典型的には、硬化性エポキシ/チオール樹脂組成物の総重量に基づいて、少なくとも20重量パーセント(重量%)、少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも35重量%、少なくとも40重量%、又は少なくとも45重量%のエポキシ樹脂成分を含む。より低いレベルで用いられる場合、硬化組成物は、所望のコーティング特性をもたらすのに十分な高分子材料(例えば、エポキシ樹脂)を含有することができない。幾つかの実施形態では、硬化性エポキシ/チオール樹脂組成物は、硬化性エポキシ/チオール樹脂組成物の総重量に基づいて、最大80重量パーセント、最大75重量%、又は最大70重量%のエポキシ樹脂成分を含む。
【0124】
チオールは、炭素結合スルフヒドリル又はメルカプト(-C-SH)基を含有する有機硫黄化合物である。好適なポリチオールは、1分子当たり2つ以上のチオール基を有し、かつエポキシ樹脂の硬化剤として機能する多種多様な化合物から選択される。好適なポリチオールの例としては、トリメチロールプロパントリス(β-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(β-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールポリ(β-メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(β-メルカプトプロピオネート)、(C1~C12)アルキルポリチオール(例えば、ブタン-1,4-ジチオール及びヘキサン-1,6-ジチオール)、(C6~C12)芳香族ポリチオール(例えば、p-キシレンジチオール)、及び1,3,5-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン)が挙げられる。所望の場合、ポリチオールの組み合わせを使用することができる。
【0125】
幾つかの実施形態では、硬化性エポキシ/チオール樹脂組成物は、典型的には、硬化性エポキシ/チオール樹脂組成物の総重量に基づいて、少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、又は少なくとも35重量%のチオール成分を含む。幾つかの実施形態では、硬化性エポキシ/チオール樹脂組成物は、硬化性エポキシ/チオール樹脂組成物の総重量に基づいて、最大70重量%、最大65重量%、最大60重量%、最大55重量%、最大50重量%、最大45重量%、又は最大40重量%のチオール成分を含む。所望の場合、2つ以上のポリチオールの様々な組み合わせを用いることができる。
【0126】
幾つかの実施形態では、本開示の硬化性エポキシ/チオール樹脂組成物中のエポキシ樹脂成分のチオール成分に対する比は、0.5:1~1.5:1、又は0.75:1~1.3:1(エポキシ:チオールの当量)である。
【0127】
接着性シラン官能化接着促進剤の例としては、例えば、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン5,6-エポキシヘキシルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、s-(オクタノイル)メルカプトプロピルトリエトキシシラン、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリエトキシシラン、並びにこれらの混合物及び組み合わせが挙げられる。
【0128】
幾つかの実施形態では、硬化性エポキシ/チオール樹脂組成物は、典型的には、エポキシ樹脂及びチオール成分の総合重量の100部に基づいて、少なくとも0.1部、又は少なくとも0.5部のシラン官能化接着促進剤を含む。幾つかの実施形態では、硬化性エポキシ/チオール樹脂組成物は、エポキシ樹脂及びチオール成分の総合重量の100部に基づいて、最大5部、又は最大2部を含む。所望の場合、2つ以上のシラン官能化接着促進剤の様々な組み合わせを用いることができる。
【0129】
本明細書で使用される場合、用語「窒素含有触媒」は、エポキシ樹脂の硬化を触媒する任意の窒素含有化合物を指す。この用語は、特定の硬化の機構又は反応を暗示又は示唆するものではない。窒素含有触媒は、エポキシ樹脂のオキシラン環と直接反応することができるか、ポリチオール化合物とエポキシ樹脂との反応を触媒若しくは促進することができるか、又はエポキシ樹脂の自己重合を触媒若しくは促進することができる。
【0130】
ある特定の実施形態では、窒素含有触媒は、アミン含有触媒である。本明細書での使用のための例示的な窒素含有触媒としては、英国特許第1,121,196号(Ciba Geigy AG)に記載されているように、無水フタル酸と脂肪族ポリアミンとの反応生成物、より具体的には、ほぼ等モル比のフタル酸とジエチルアミントリアミンとの反応生成物が挙げられる。この種の触媒は、Ciba Geigy AGから商品名CIBA HT9506として市販されている。
【0131】
更に別の種類の窒素含有触媒は、(i)多官能エポキシ化合物、(ii)2-エチル-4-メチルイミダゾールなどのイミダゾール化合物、及び(iii)無水フタル酸の反応生成物である。多官能エポキシ化合物は、米国特許第4,546,155号(Hiroseら)に記載されている、分子中に2つ以上のエポキシ基を有する化合物であり得る。この種の触媒は、Ajinomoto Co.Inc.(Tokyo,Japan)からAJICURE PN-23の商品名で市販されており、これは、EPON 828(Hexion Specialty Chemicals,Inc.(Columbus,OH)から市販されている、ビスフェノール型エポキシ樹脂エポキシ当量184~194)、2-エチル-4-メチルイミダゾール、及び無水フタル酸の付加物であると考えられる。
【0132】
他の好適な窒素含有触媒としては、その分子中に1つ以上のイソシアネート基を有する化合物と、その分子中に少なくとも1つの一級又は二級アミノ基を有する化合物との反応生成物が挙げられる。追加の窒素含有触媒としては、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-ベンジル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,4-ジアミノ-8-2-メチルイミダゾリル-(1)-エチル-5-トリアジン、又はそれらの組み合わせ、並びにトリアジンと、イソシアヌル酸、スクシノヒドラジド、アジポヒドラジド、イソフトロヒドラジド、O-オキシベンゾヒドラジド、サリチロヒドラジド、又はこれらの組み合わせとの生成物が挙げられる。
【0133】
窒素含有触媒は、例えば、Ajinomoto Co.Inc.(Tokyo,Japan)から商品名AMICURE MY-24、AMICURE GG-216、及びAMICURE ATU CARBAMATEで、Hexion Specialty Chemicals,Inc.(Columbus,OH)から商品名EPIKURE P-101で、T&K Toka(Chikumazawa,Miyoshi-Machi,Iruma-Gun,Saitama,Japan)から商品名FXR-1020、FXR-1081、及びFXR-1121で、Shikoku(Marugame,Kagawa Prefecture,Japan)から商品名CUREDUCT P-2070及びP-2080で、Air Products and Chemicals(Allentown,PA)から商品名ANCAMINE 2441及び2442で、AC Catalysts (Linden,NJ)から商品名TECHNICURE LC80及びLC100で、並びにAsahi Kasei Kogyo,K.K.(Japan)から商品名NOVACURE HX-372でなど、供給元から市販されている。
【0134】
他の好適な窒素含有触媒は、米国特許第5,077,376号(Dooleyら)、及び米国特許第5,430,112号(Sakataら)に記載されているものであり、「アミン付加物潜在促進剤」と称される。他の例示的な窒素含有触媒は、例えば、英国特許第1,121,196号(Ciba Geigy AG)、欧州特許出願第138465A号(Ajinomoto Co.)、及び欧州特許出願第193068A号(Asahi Chemical)に記載されている。
【0135】
2液型エポキシ/チオール樹脂組成物の実施形態では、アミンなどの様々な窒素含有化合物を触媒として使用することができる。幾つかの実施形態では、アミン触媒は、イミダゾール、イミダゾール塩、イミダゾリン、又はこれらの組み合わせとすることができる。1つの例示的な硬化剤は、Evonik(Essen,Germany)から商品名ANCAMINE K54で市販されているトリス-2,4,6(ジメチルアミノメチル)フェノールである。第2の、より反応性のある例示的な硬化剤は、Sigma Aldrich(St.Louis,MO)から市販されている1,8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデ-7-エン(DBU)である。
【0136】
幾つかの実施形態では、硬化性エポキシ/チオール樹脂組成物は、典型的には、エポキシ樹脂成分100部当たり、少なくとも1部、少なくとも2部、少なくとも3部、少なくとも4部、又は少なくとも5部の窒素含有触媒を含む。幾つかの実施形態では、硬化性エポキシ/チオール樹脂組成物は、典型的には、エポキシ樹脂成分100部当たり、最大45部、最大40部、最大35部、最大30部、最大25部、又は最大20部の窒素含有触媒を含む。所望の場合、2つ以上の窒素含有触媒の様々な組み合わせを使用することができる。
【0137】
1液型エポキシ/チオール樹脂組成物の実施形態では、室温で妥当な貯蔵寿命/作業寿命を得るために、阻害剤が必要であることが多い。阻害剤は、典型的には、窒素含有触媒が室温で相当の速度で進行しないように、窒素含有触媒の活性を遅延させる。硬化阻害剤は、2液型エポキシ/チオール樹脂組成物に使用することができるが、必須ではない。
【0138】
このような硬化阻害剤は、ルイス酸若しくは弱いブレンステッド酸(すなわち、3以上のpHを有する)、又はこれらの組み合わせであり得る。このような硬化阻害剤は、エポキシ/チオール樹脂組成物中に可溶性である。
【0139】
ルイス酸の例としては、Shikoku(Kagawa,Japan)から商品名CUREZOL L-07Nで入手可能なものなどのホウ酸エステル、並びにSigma Aldrich(Milwaukee,WI)から入手可能なCaNO3及びMnNO3が挙げられる。所望の場合、ルイス酸の様々な組み合わせを用いることができる。
【0140】
弱いブレンステッド酸の例としては、バルビツール酸誘導体、1,3-シクロヘキサンジオン、及びSigma Aldrich(Milwaukee,WI)製の2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-4,6-ジオンが挙げられる。
所望の場合、弱いブレンステッド酸の様々な組み合わせを用いることができる。
【0141】
可溶性硬化阻害剤は、粘度を倍増させないように、エポキシ/チオール樹脂組成物が室温で少なくとも72時間硬化性を維持することを可能にする量で、エポキシ/チオール樹脂組成物中で使用される。典型的には、これは、硬化性エポキシ/チオール樹脂組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.01重量%の量である。
【0142】
エポキシ/チオール樹脂組成物に使用される可溶性硬化阻害剤の量が多くなるほど、一般に硬化性エポキシ/チオール樹脂組成物の貯蔵寿命が長くなる。エポキシ/チオール樹脂組成物に使用される硬化阻害剤の量が多くなるほど、一般に硬化性エポキシ/チオール樹脂組成物を硬化させるために必要な時間が長くなり、かつ/又は硬化性エポキシ/チオール樹脂組成物を硬化させるために求められる温度が高くなる。したがって、硬化性組成物の使用に応じて、貯蔵寿命と硬化時間/温度との間のバランスが存在する。典型的には、妥当な貯蔵寿命、硬化時間、及び硬化温度については、使用される可溶性硬化阻害剤の量は、最大1重量%、又は最大0.5重量%である。
【0143】
エポキシ樹脂成分、チオール成分、シラン接着促進剤、窒素含有触媒、及び任意選択の硬化阻害剤に加えて、硬化性組成物は、他の様々な任意選択の添加剤を含み得る。
【0144】
例えば、幾つかの実施形態では、硬化性組成物は、レオロジー特性を改変するための非反応性可塑剤を追加的に含有し得る。市販の可塑剤としては、商品名BENZOFLEX 131でEastman Chemical(Kingsport,TN)から入手できるもの、ExxonMobil Chemical(Houston,TX)から入手できるJAYFLEX DINA、及びBASF(Florham Park,NJ)製のPLASTOMOLL(例えば、アジピン酸ジイソノニル)が挙げられる。
【0145】
幾つかの実施形態において、硬化性組成物は、最適には、基材への接合を増強するためにシラン接着促進剤以外の接着促進剤を含有する。接着促進剤の具体的な種類は、それが付着する表面の組成によって変動する可能性がある。加工中の金属ストックの引き抜きを促進するために使用されるイオン型潤滑剤でコーティングされた表面に特に有用であることが見出されている接着促進剤としては、例えば、カテコール及びチオジフェノールなどの二価フェノール化合物が挙げられる。
【0146】
硬化性組成物は、1種以上の従来の添加剤、例えば充填剤(例えば、アルミニウム粉末、カーボンブラック、グラスバブルズ、タルク、粘土、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、溶融石英などのシリカ、シリケート、ガラスビーズ、及びマイカ)、顔料、軟化剤、反応性希釈剤、非反応性希釈剤、難燃剤、帯電防止材、熱伝導性及び/又は導電性粒子、並びに発泡剤、例えば、アゾジカーボンアミドのような化学発泡剤又は炭化水素液を含有する発泡性高分子ミクロスフェア、例えば商品名EXPANCELでExpancel Inc.(Duluth,GA)から販売されているものなども任意選択で含有してもよい。粒子状充填剤は、フレーク、ロッド、球などの形態であり得る。添加剤は、得られる接着剤に望ましい効果を生じる量で一般に添加される。
【0147】
このような添加剤の量及び種類は、組成物の意図される最終用途に応じて、当業者によって選択され得る。
【0148】
別の態様では、基材12に選択されるエラストマー材料は、複数のソフトセグメント及び複数のハードセグメントを有する脂肪族ポリウレタンポリマーを含み、ソフトセグメントはポリカーボネートポリオールを含む。限定することを意図しない幾つかの実施形態では、脂肪族ポリウレタンポリマーのセグメント及び部分の特定の化学的同一性及び相対量は、基材の10℃以下のガラス転移温度、約10MPa未満、又は約7MPa未満のヤング率、及び約25℃~約175℃まで15MPa未満で変化する基材の貯蔵弾性率を付与するように選択される。
【0149】
幾つかの実施形態では、基材12に選択されるエラストマー材料としては、溶媒コーティングされた2成分型(又は本明細書では「2K」とも呼ぶ)ウレタン、100%固体の2成分型ウレタン、及び2層ウレタンが挙げられる。ウレタンエラストマー材料は、例えば、溶液、水性分散液、又は、ホットメルト若しくは押し出し成形などの100%固体のコーティングから形成することができる。ウレタンエラストマー層は、透明、半透明、又は不透明であってよく、着色されていても、又は無色であってもよい。エラストマー基材層は、例えば、透明かつ無色であってもよい、又は、不透明、透明、若しくは半透明な染料及び/若しくは顔料で着色してもよい。幾つかの実施形態において、例えば、金属のフレーク顔料などの特殊顔料を含ませることが有用な場合がある。
【0150】
幾つかの実施形態では、基材12に選択されるエラストマー材料としては、商品名SylgardでDow Corning(Midland,MI)から入手可能なものなどのシリコーンが挙げられる。様々な実施形態において、好適なシリコーン材料は、室温で約10MPa未満、又は約8MPa未満、又は約7MPa未満のヤング率を有する。
【0151】
幾つかの実施形態では、基材12に選択されるエラストマー材料は、架橋されていないか、又は非常に軽度に架橋されている。軽度に架橋された材料は、成形プロセスにおいて変形された後により少ない弾性回復エネルギーを有する物品を製造することが望ましい場合に、高度に架橋された材料より有用であり得る。また、軽度に架橋された材料は、高度に架橋された材料に比べ、破断する前に、より高い伸長度に対応する傾向がある。幾つかの実施形態では、非常に高い伸長度を与えるために非架橋材料が好ましい。幾つかの実施形態では、水及び化学物質に対するより良好な耐性をもたらし、またクリープ及び他の経時的な寸法不安定性に対して耐性をもたらすために、軽度に架橋された材料は、非架橋材料よりも有用である。
【0152】
再び
図1Aを参照すると、幾つかの実施形態では、基材12は、例えば、基材12の特性を強化する、さもなければ変更するために、1つ以上の追加の支持層21を含むことができる。例えば、幾つかの実施形態では、支持層21は、比較的低い成形温度を有する熱可塑性材料であり得る。熱可塑性層21に適した例としては、PC及びPC配合物、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、及びアモルファスPET又はPETGなどの非結晶性PETが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、支持層21は、例えば、シリコーン、織布材料若しくは不織布材料、又は布地などのバッキング材料を含み得る。
【0153】
幾つかの実施形態では、支持層21又は基材12は、基材12を別の構成要素又は層に付着させるための接着剤層23を含み得る。接着剤層23は、任意選択で、保護剥離ライナー25を含み得る。
【0154】
幾つかの実施形態では、
図1Aに概略的に示されるように、基材12の表面13Aの全て又は一部分は、任意選択のオーバーコートされた又は積層された保護層27と重なり得る。保護層27は、任意選択で、例えば、ヒト又は動物の皮膚、他の導体、スイッチ、電子デバイスなどとの電気的接触をもたらすためにワイヤ14の選択された部分を露出させるためのアクセス領域29を含んでもよい。
【0155】
幾つかの実施形態では、ワイヤ14の一部分が露出されており、ワイヤ14の露出部分は、他のワイヤ又は電子デバイス16、18に、はんだ付け、さもなければ電気接続され得る。電子部品は、インク系導電トレースに直接はんだ付けすることが困難であることが知られており、伸縮性導電構成体10は、電子部品をそこに直接はんだ付けすることができる任意の数の部位を提供することができ、又は導電性接着剤のための取り付け部位を提供することができる。
【0156】
細長い導電性ワイヤ14はまた、構成体10の意図された用途に応じて大きく異なり得、本出願では、金属からなる単一の可撓性のストランド又はロッドを指す。様々な実施形態において、ワイヤ14は、金属、金属合金、金属酸化物、導電ポリマー、炭素、及びこれらの組み合わせから作製することができる。様々な実施形態において、金属又は金属合金としては、アルミニウム、ステンレス鋼、又は遷移金属、及び炭素との合金を含む任意の適用可能な金属合金を挙げることができるが、これらに限定されない。遷移金属の非限定的な例としては、銅、銀、金、白金、亜鉛、ニッケル、チタン、クロム、又はパラジウム、黄銅、青銅、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。他の非限定的な例では、好適な導電材料は、シリコーン系導電材料、インジウムスズ酸化物若しくは他の透明導電性酸化物、又はグループIII-IV導体(GaAsを含む)を含む、半導体系導電材料を含み得る。半導体系導電材料は、任意選択でドープされてもよい。幾つかの実施形態では、ワイヤは、例えば、炭素、炭素ナノチューブ、グラフェン、及び導電ポリマー(例えば、PEDOT)などの非金属材料である。
【0157】
本明細書に記載された実施例の構成体のいずれにおいても、ワイヤ14は、約0.1μm、約0.3μm、約0.5μm、約0.8μm、約1μm、約1.5μm、約2μm、約5μm、約9μm、約12μm、約25μm、約50μm、約75μm、約100μm、又はそれ以上の厚さを有する。
【0158】
様々な実施形態において、ワイヤ14は、
図1Bにおいて断面図で示される中実な延伸ワイヤ、撚り合わされた複数の導電性ストランドから作製された撚りワイヤ(
図1C)、中心コアの周りに巻かれた撚りストランドを含む編組ワイヤ、又は、例えば、抵抗ワイヤ及び同軸ケーブルなどの他の特殊な種類のワイヤとすることができる。
【0159】
本出願における「延伸ワイヤ」という用語は、薄い、中実の、可撓性の糸又はロッドの状態に延伸された金属を指す。ワイヤ延伸は、ワイヤを単一又は一連の延伸ダイス(単数又は複数)を通して引っ張ることによってワイヤの断面を低減するために使用される金属加工プロセスである。延伸は、通常、室温で行われ、したがって冷間加工プロセスとして分類されるが、大きなワイヤについては力を低減するために高温で実施されてもよい。延伸ワイヤは、任意の断面形状を有し得るが、正方形又は矩形の横断面を有する延伸ワイヤと同様に、概ね円形又は楕円形の断面形状を有する円筒状のワイヤが良好に機能することが分かった。
【0160】
注型成形欠陥及び取り扱いに起因する機械的損傷に通常関連する冶金的欠陥を除いて、ワイヤの表面の特性は、少なくとも部分的には、ワイヤの加工に使用される作業面、ロール、及びダイスによるものである。例えば、これらの作業面の表面粗さは、表面計で測定することができる。ワイヤに固有の狭い幅及び様々に異なる形状のために、最も信頼性の高い測定はワイヤの中心で行われ、次いで、指定されたワイヤの長さにプロファイルされる。表面粗さの仕様は、使用される測定尺度から導出される。限定することを意図するものではない様々な実施形態において、冷延伸ワイヤの表面粗さの範囲は、約0.2ミクロン~12ミクロン、又は約0.8ミクロン~3.2ミクロンである。
【0161】
固体金属材料の構造は結晶性である。バルク材料を構成するために一緒に結合された元素原子は、規則的な反復三次元アレイに配置される。銅合金は、ほとんどの金属と同様に、多結晶であり、境界で接合された結晶の凝集から構成される。単位結晶の凝集はグレインと呼ばれ、それらの間の境界は粒界である。
【0162】
粒度は、アニール処理によって制御される。金属は、その再結晶化温度よりも高い温度まで加熱される。この温度では、冷間加工により歪んだ結晶構造内の原子は、結晶格子に保存された冷間加工エネルギーと、加熱から吸収されたエネルギーとを使用して核形成し、新たな規則的な結晶パターンとなる。次いで、これらの新しいグレインは、新たな量の冷間加工を吸収することができる。新しいグレインの粒度は、アニール温度、温度における時間、先行する冷間加工の量、及び先行するアニールからの粒度に依存する。粒度測定は、完全にアニールされた展伸金属において粒形態が等軸である、すなわち、各グレインの見かけのサイズが、任意の測定軸線に対して本質的に同じであるという仮定に基づいて予測される。金属構造体は、粒度及び形状が様々に異なるグレインの集合体であり、粒度は平均サイズの推定値であり、ミリメートル単位で報告される(ASTM E112を参照)。
【0163】
金属又は単相合金の粒度は、平均粒径の推定値であり、通常ミリメートル単位で表される。平均粒度が減少するにつれて、金属はより強くなり(塑性流動に対する抵抗性が高まる)、粒度が増大するにつれて、強度に反対の効果が生じる。一般に、所与の合金及び厚さに関して、延性は、粒度及び強度が低下するにつれて増大する。これは、グレインが小さいほど、転位が移動することができる距離が短くなり得るためである。したがって、幾つかの実施形態では、経済的な方法で所望のワイヤ構造に作製することができる最小平均粒度の金属を使用することが望ましい。
【0164】
非限定的な例として提供される幾つかの実施形態では、銅の場合の粒度の範囲は、約0.005mm~約0.060mm、又は約0.005mm~約0.020mmである。
【0165】
撚りワイヤは、互いの周りに巻き付けられた複数の薄い細長い導電性金属ワイヤを含み、管形状又は接地ストラップのような平坦状に形成されてもよい。編組ワイヤは、より大きな直径を有する延伸金属ワイヤコアの周りに巻き付けられた又は撚られた複数の撚り金属ワイヤを含む。
【0166】
幾つかの実施形態では、ワイヤ14が、撚り金属ワイヤ又は編組金属ワイヤである場合、エラストマー材料は、そのワイヤの金属ストランド同士の間の隙間にあり、その撚り金属ワイヤ又は編組金属ワイヤの個々の金属ストランドを封入してこれらに接合する。幾つかの実施形態では、これらの複数の封入部位及び接着部位は、撚り金属ワイヤ又は編組金属ワイヤ14のエラストマー基材12への接着を強化し、基材12が伸張されるときに、さもなければ変形されるときに、基材12からのワイヤ14の剥離及び脱離を低減又は排除することができる。中間部エラストマー材料を有する撚りワイヤの断面図の例を
図1B~
図1Cに示す。
【0167】
幾つかの実施形態では、延伸された、撚り合わされた、又は編組されたワイヤ14内の導電性ストランドの全て又は一部分は、シールド又は他の絶縁性被覆を含んでもよいが、第1主面13A上で露出されたワイヤは、伸縮性導体構成体10の領域20内でより良好な導電性をもたらすことができる。幾つかの実施形態では、シールド又は絶縁被覆は、任意選択で、他の電子デバイスへの電気的相互接続を可能にする開口部を含むことができる。
【0168】
幾つかの実施形態では、基材12は、任意選択で、機械的安定性を提供し、構成体10を伸張させるために方向A又は方向Bに沿って力が加えられるときに電気ワイヤの変形又は剥離に抵抗するために、電気ワイヤ14に沿った、さもなければ基材12内若しくは基材12上に配置された、非導電性補強材22を含んでもよい。
【0169】
ワイヤ14は、基材12の第1主面13A上の導電性領域20に多種多様なパターンを有してもよく、典型的には、基材12を上方から見たときに不規則又は非不規則な組織的な曲線パターンを有する。ワイヤ14のパターンは、その第1の端部15と第2の端部17との間に少なくとも1つの弓状領域24を含み、幾つかの実施形態は、複数の弓状領域24を含む。本出願において、「弓状」という用語は、ワイヤ14が、ワイヤ14の端部15と17との間の直線の長さよりも長い全長を有することを指す。弓状ワイヤ14は、方向A又は方向Bに沿って構成体10を伸張させるように力が加えられたときに伸長することができ、ワイヤ14に対する損傷又は基材12の第1主面13Aからのワイヤ14の剥離を防止することができる。
【0170】
図1Dの伸縮性導電構成体110の実施形態に示されるように、ワイヤ114の多種多様なパターンを使用して、導体114と基材112との間の結合を更に向上させることができる。
図1Dでは、ワイヤ114は、その第1の端部115と第2の端部117との間の導電性領域120において蛇行パターンを有してもよく、これは、ワイヤ114が端部115と端部117との間で蛇状の構成で蛇行していることを意味する。
図1Bの実施形態では、蛇行パターンはネストループ134を含み、このネストループ134は、変形又は基材112から剥離若しくは脱離することなく、ワイヤ114を複数の方向A及び方向Bに伸張させることを可能にする。他の実施形態では、フラクタル蛇行パターン、正弦波若しくは方形波パターン、又は任意の不規則な曲線パターンを、導電性領域120内のワイヤ114で使用して、ワイヤを変形又は剥離なく複数の方向A及び方向Bに伸張させることを可能にし得る。
【0171】
様々な実施形態において、ワイヤ114のパターンは、ワイヤをマンドレルの周囲に形成すること若しくは屈曲すること、ワイヤに力を加えてワイヤを基材上に適用する前に又は後にワイヤを弛緩させること、ワイヤを加熱又は冷却すること、あるいは所定の形状若しくはパターンを有する形状記憶金属ワイヤを使用することを含むがこれらに限定されない任意の好適な手法によって適用することができる。
【0172】
図2Aを参照すると、基材212の第1主面213Aに部分的に埋め込まれた導電性ワイヤ214を含む、伸縮性導電構成体210の一部分が示されている。ワイヤ214は、基材212の第1主面213に埋め込まれており、かつ、第1主面213よりも下に位置する第1の表面積部分214Aを含む。このワイヤは、基材212の第1主面213の上で露出されている第2の表面積部分214Bを更に含む。幾つかの実施形態では、第1の表面積部分214Aと第2の表面積部分214Bとの間の関係は、ワイヤ214と基材212との間の剥離を防止する、又は伸張力若しくは歪みが基材212に加えられたときにワイヤ214の破損を防止するように選択され得る。第1の表面積部分214Aと第2の表面積部分214Bとの間の関係は、例えば、ワイヤ214の断面形状及び直径d、並びにワイヤとエラストマー基材212に選択された材料との間の接着レベルを含む要因に基づいて制御され得る。幾つかの実施形態では、第1の表面積部分214Aと第2の表面積部分214Bとの間の関係は、基材212の選択された領域に対して所望の導電性レベルをもたらすように選択され得る。ほとんどの場合、剥離も、表面213の導電性も、伸張及び歪みに対する抵抗もが、第1の表面積部分214Aと第2の表面積部分214Bとの間の関係を選択する際に考慮される。例えば、様々な実施形態において、表面積部分214A、214B間の関係はまた、第1主面213の上で露出されている、ワイヤの表面積の第2の部分214Bが、ワイヤ214の総表面積の約1%~約99%、又は約5%~約70%、又は約10%~約50%、又は約25%~約50%を構成するように制御されてもよい。
【0173】
図2Bに示す別の実施形態では、基材212’の主面213’内の領域217’に部分的に埋め込まれたワイヤ214’を含む、伸縮性導電構成体210’の一部分が示されている。ワイヤ214’は第1の表面積部分214A’を含み、この第1の表面積部分214A’は、領域217’に埋め込まれており、領域217’の第1の側面217A’上の第1の導体/基材接点219A’から領域217’の第2の側面217B’上の第2の導体/基材接点219B’まで延びている線によって画定される表面218’よりも下に位置している。このワイヤ214’は、表面218’の上で露出されている第2の表面積部分214B’を更に含む。幾つかの実施形態では、第1の表面積部分214A’と第2の表面積部分214B’との間の関係は、基材213’の表面に十分な導電性をもたらし、
図2Aを参照して上述したように、剥離、ワイヤ破損、及び基材の伸張及び歪みに対する抵抗を防止するように選択され得る。
【0174】
図2Cに示す別の実施形態では、基材212”の主面213”よりも上に延びている隆起表面構造体215”内の領域217”に部分的に埋め込まれたワイヤ214”を含む、伸縮性導電構成体210”の一部分が示されている。ワイヤ214”は第1の表面積部分214A”を含み、この第1の表面積部分214A”は、領域217”に埋め込まれており、領域217”の第1の側面217A”上の第1の導体/基材接点219A”から領域217”の第2の側面217B”上の第2の導体/基材接点219B”まで延びている線によって画定される表面218”よりも下に位置している。このワイヤ214”は、表面218”の上で露出されている第2の表面積部分214B”を更に含む。幾つかの実施形態では、第1の表面積部分214A”と第2の表面積部分214B”との間の関係は、基材213”の表面に十分な導電性をもたらし、
図2A~
図2Bを参照して上述したように、剥離、ワイヤ破損、及び基材の伸張及び歪みに対する抵抗を防止するように選択され得る。
【0175】
上述したように、
図1A~
図1B及び
図2A~
図2Cは、ワイヤ14、114、214の一部分のみを示す。様々な実施形態において、
図1A~
図1B及び
図2A~
図2Cに示されていないワイヤの他の領域は、直線状であっても若しくは弓状領域を含んでもよく、基材12、112、212の主面よりも上に若しくは下に延びていてもよく、又は電気的相互接続のための追加の構造体若しくは追加の電子デバイス、例えば、半導体デバイス、電子デバイス、光学デバイス、光電子デバイス、機械デバイス、微小電気機械デバイス、ナノ電気機械デバイス、マイクロ流体デバイス、センサ、発光デバイス、又は熱デバイスなどを含んでもよい。ワイヤ14に接続され得る、又は伸縮性構成体10に含まれ得るデバイスの好適な例としては、光検出器、フォトダイオードアレイ、ディスプレイ、発光デバイス、光起電デバイス、センサ、センサアレイ、発光ダイオード、半導体レーザー、光撮像システム、トランジスタ、マイクロプロセッサ、集積回路、又はそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0176】
図3は、本開示による伸縮性導電構成体の製造プロセス300の実施形態を示す。工程301では、ワイヤ314の少なくとも一部分を一時的に部分的に埋め込む剥離層307の第1主面308に、不規則に蛇行したワイヤ314が接触する。
【0177】
幾つかの実施形態では、不規則に蛇行したワイヤ314は、剥離層307の第1主面308に接触する前に、好適な不規則な曲線パターンに予め形成されてもよい。幾つかの実施形態では、ワイヤ314、剥離層307、又はそれらの両方は、ワイヤに不規則な曲線又は蛇行形状を取らせるように伸張及び弛緩されてもよい。このような伸張プロセスは、例えば、ワイヤが中実なばね鋼のワイヤ又は編組ワイヤである場合に好適であり得る。
【0178】
剥離層307に選択される材料は、広く異なり得、幾つかの実施形態では、剥離層307を除去してワイヤ314の表面を露出させることができるように、剥離層307は、ワイヤ314に対して低い接着性を有する熱可塑性高分子材料から作製されてもよい。剥離層307に好適な熱可塑性高分子材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、有機蝋類、これらの配合物などのポリオレフィンが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、低密度~中密度(約0.910~0.940g/cc密度)のポリエチレンが、剥離層307に有用であるが、これは、このポリエチレンが、物品の用意に関わり得る後続のコーティング及び乾燥作業に適応するほどの高い融点を有するためであり、かつ本明細書に記載した導電性材料及び硬化エラストマー材料の範囲から逸脱するためである。
【0179】
剥離層307の厚さは、内部に埋め込まれたワイヤ314に従って選択される。例えば、剥離層307内にその直径の約30%まで埋め込まれているワイヤ314は、典型的には、剥離層307上に適用される任意の後続の適用層内にその直径の約70%まで埋め込まれる。
【0180】
幾つかの実施形態では、剥離層307は、任意選択の、寸法安定性支持層321を含み、この支持層321は、伸縮性導電物品の用意中に、収縮、膨張、相変化などしてはならない。有用な支持層309は、例えば、熱可塑性であっても、非熱可塑性であっても、又は熱硬化性であってもよい。支持層が熱可塑性層である場合、好ましくは転写キャリアの熱可塑性剥離層の融点よりも高い融点を有さなければならない。剥離層を形成するのに有用な支持層としては、これらに限定されるものではないが、紙、ポリマーフィルム、及び、例えば、二軸配向ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどの織布又は不織布のうちの少なくとも1つから選択されるものであり、これらは、良好な温度安定性及び引張性を呈するため、ビーズコーティング、接着剤コーティング、乾燥、印刷などの処理作業を施すことができる。幾つかの実施形態では、支持層321は、接着剤層323及び保護剥離ライナー325を任意選択で含んでもよい。
【0181】
工程302では、ワイヤ314の第1の部分314Cが、剥離層307の第1主面308に沈み込んで埋め込まれる。ワイヤ314の表面積の第2の部分314Dは、表面308の上で露出されたままである。ワイヤ314を剥離層307に部分的に埋め込むためは、剥離層307は、好ましくは、粘着状態(本質的に粘着性であるか、かつ/又は、加熱による)とする。例えば、ワイヤ314を剥離層307の表面308に適用し、続いて剥離層307を軟化させる、ワイヤ314に(例えばローラーを用いて)圧力を加える、又はその両方を行う、のうちの少なくとも1つによって、ワイヤ314を剥離層307に部分的に埋め込むことができる。剥離層307は、加熱、化学線(例えば紫外線(UV)光)への曝露などを含む任意の好適な方法によって軟化することができる。
【0182】
工程303では、液状エラストマー前駆体材料330が、ワイヤ314の第2の表面積部分314Dの上に重なるのに十分な厚さで、剥離層307の第1主面308を覆うように適用される。エラストマー前駆体材料330は、工程304に示されるように、後にエラストマー基材材料312の層に変換されることができる任意の材料から選択することができる。変換工程は、エラストマー前駆体材料に応じて広く異なり得るが、幾つかの実施形態では、変換工程は、加熱して、又は化学線に曝露して、エラストマー前駆体材料330を少なくとも部分的に硬化又は完全に硬化させてエラストマー基材材料312を形成することを含む。
【0183】
工程305では、エラストマー基材312が剥離層307から剥離されて分離され、ワイヤ314の第2の表面積部分314Bが基材312の第1主面313Aの上で露出されている一方、第1の表面積部分314Aは、その表面313Aの下に埋め込まれたままとなる。幾つかの実施形態では、エラストマー基材312及び剥離層307の材料は、エラストマー基材312が剥離層307の第1主面308から剥ぎ取られてきれいに分離し、エラストマー基材312の表面313A上又はワイヤ314上に残留物をほぼ残さないように選択されるべきである。
【0184】
幾つかの実施形態では、ワイヤ314が撚り金属ワイヤ又は編組金属ワイヤである場合、工程303でワイヤを覆うように適用されたエラストマー前駆体材料330が、ワイヤ314の金属ストランド同士の間の隙間に入る。エラストマー前駆体材料330がその後、工程304でエラストマー基材312に変換されると、エラストマー材料は、撚り金属ワイヤ又は編組金属ワイヤ314の個々の金属ストランドを封入してこれらに接合する。幾つかの実施形態では、これらの複数の封入部位及び接着部位は、撚り金属ワイヤ又は編組金属ワイヤ314のエラストマー基材312への接着を強化し、基材312が伸張されるときに、さもなければ変形されるときに、基材312からのワイヤ314の剥離及び脱離を低減又は排除することができる。中間部エラストマー材料を有する撚りワイヤの断面図の例を
図1B及び
図1Cに示す。
【0185】
ここで
図4Aの上面図を参照すると、蛇行ワイヤ414は、剥離層407の一領域の第1主面408上に配置されている。
図4Aのその領域における剥離層407の第1主面408は、表面微細構造体のほぼ連続的なパターンを含む。
図4の実施形態では、表面微細構造体は、
図4Aにおいてxで示された第1の軸方向に概ね沿って延びているリブ442同士の間の複数の実質的にエンボス加工又はダイカットされたチャネル440を含む。微細構造体442は、剥離層407の表面408全体にわたって連続的である必要はなく、表面408は、微細構造体のない範囲を含んでもよい。加えて、リブは、
図4Aに示すように平行である必要はなく、不規則形状を含む任意の構成を有してもよい。
【0186】
微細構造体442の平均ピッチは、約5μm~約300μm程度なので、
図4Aは縮尺通りではない。ピッチは、好ましくは、全ての微細構造体442同士の間でほぼ同じであるが、このような配列は必須ではなく、微細構造体のピッチがばらつくことがある。一例としてのみ提供される幾つかの実施形態では、微細構造体442は、剥離層407の第1主面408の平面から測定して、約1μm~約200μmの
図4Aのz方向に沿った高さを有する。幾つかの実施形態では、各構造体の高さはほぼ同じであるが、そのような構成は必須ではなく、幾つかの実施形態では、微細構造体442は高さがばらつくことがある。
【0187】
本明細書に記載の構造化表面剥離層407を製造するために使用されるツールのためのマスターは、押出成形によるにしても又は注型成形及び硬化プロセスによるにしても、既知のダイヤモンド旋削技術によって作製することができる。好適なダイヤモンド旋削装置は、例えば、米国特許第6,322,236号、第6,354,709号、第7,328,638号及び国際公開第2000/48037号に示され、記載されている。
【0188】
図4Bは、本開示による伸縮性導電構成体の製造プロセス400の実施形態を示す。工程401では、
図4Aのワイヤ414の一部分が、構造化剥離層407の微細構造体442上に示されている。
【0189】
工程402では、ワイヤ414の第1の部分414Cが微細構造体442の上面409内に沈み込んで埋め込まれるように、微細構造体442の表面409が十分に軟化される、又はワイヤ414に若しくはワイヤ414及び表面409の両方に十分な圧力が加えられる。ワイヤ314の表面積の第2の部分414Dは、表面409の上で露出されたままである。剥離層407上の微細構造体442は、加熱、化学線(例えば紫外線(UV)光)への曝露などを含む任意の好適な方法によって軟化することができる。
【0190】
工程403では、液状エラストマー前駆体材料が、エラストマー前駆体材料がチャネル440に入り、ワイヤ414の第2の表面積部分414Dの上に重なるのに十分な厚さで剥離層407の第1主面408上に載るように、微細構造体442を覆うように適用される。エラストマー前駆体材料は、次いで、エラストマー基材材料412を形成するためにエラストマー前駆体材料を少なくとも部分的に硬化させる又は完全に硬化させるための加熱又は化学線への曝露などの任意の好適なプロセスによって、エラストマー基材材料412の層に変換される。
【0191】
工程404では、剥離層407が、エラストマー基材412から剥離され、剥ぎ取られる。エラストマー基材412は、剥離層407のチャネル440内に形成された平行な微細構造体444の配列を含む。微細構造体444は、チャネル446によって分離されており、これらのチャネル446は、剥離層407内の微細構造体442により形成される。
【0192】
剥離層407の除去により、ワイヤ414の第2の表面積部分414Bはチャネル446内及び基材412の第1主面413Aの上で露出される一方、第1の表面積部分414Bは、微細構造体444及び主面413Aの下に埋め込まれたままとなる。幾つかの実施形態では、エラストマー微細構造体444によるワイヤ414の部分的封入は、伸縮性導電フィルム構成体の堅牢性を向上させることができる。
【0193】
幾つかの実施形態では、エラストマー基材412及び剥離層407の材料は、エラストマー基材412が剥離層407の第1主面408からきれいに分離し、エラストマー基材412の表面413A上又はワイヤ414上に残留物をほぼ残さないように選択されるべきである。幾つかの実施形態では、残留物のない導体414により、導電性が向上した伸縮性導体構成体を提供することができる。
【0194】
上述したように、幾つかの実施形態では、ワイヤ414は、撚り金属ワイヤ又は編組金属ワイヤである。エラストマー基材412は、次いで、この金属ワイヤの個々の金属ストランドを封入してこれらに接着し、これにより、基材412が伸張される、さもなければ変形されるときに、エラストマー基材412からのワイヤの剥離及び脱離を低減又は排除することができる。
【0195】
ここで
図5Aの上面図を参照すると、蛇行ワイヤ514は、剥離層507の一領域の第1主面508上に配置されている。
図5Aのその領域における剥離層507の第1主面508は、その上に表面微細構造体のほぼ連続的な印刷パターンを含む。
図5Aの実施形態では、表面微細構造体は、
図5Aにおいてxで示された第1の軸方向に沿って延びている、ほぼ一定の高さを有する不動態(目止め)材料からなる印刷された平行なリブ542同士の間のほぼ直線状の複数のチャネル540を含む。微細構造体542は、剥離層507の表面508全体にわたって連続的である必要はなく、表面508は、微細構造体のない範囲を含んでもよい。
【0196】
幾つかの実施形態では、平行リブ542は、印刷によって剥離層507の表面上に形成される。様々な印刷技術が好適であり、フレキソ印刷、パターン化ロールコーティング、凸版印刷、リソグラフィ、ステンシル印刷、インクジェット印刷などを含むが、これらに限定されない。好適なプリンタは、例えば、Exco Technologies Ltd.(Markham,Ontario,CA)から市販されている。
【0197】
1つの特に好適な接触印刷の方法は、フレキソ印刷である。フレキソ印刷装置は、典型的には、例えば、印刷シリンダの外面上に取り付けることができるフレキソ印刷版を含む(又は、幾つかの実施形態では、フレキソ印刷版自体が円筒形状で供給され得る)。アニロックスロールが設けられてもよく、このアニロックスロールは、その外面のセル内に液体を受け入れることができる。アニロックスロール及び印刷シリンダの移動(例えば、回転)は、液体をアニロックスロールのセルからフレキソ印刷版の印刷面上に(計量された量で)転写させる。印刷シリンダの継続的な移動(例えば、回転)によって、フレキソ印刷版の印刷面から剥離層の第1主面上に液体が転写される。
【0198】
幾つかの実施形態では、フレキソ印刷版は、その印刷版に所望の印刷パターンを付与するために平板として加工され、次いで、所望の場合、湾曲させて印刷シリンダの外面上に取り付けられてもよい。幾つかの実施形態では、フレキソ印刷版は、最終的に印刷シリンダの周囲に巻き付けられ得る平板としてではなく、円筒形状で提供されてもよい。他の一般的な種類の実施形態では、フレキソ印刷版は、フレキソ版前駆体材料をマスター成形型に接触させて成形することによって提供されてもよく、このマスター成形型の表面は、版材にもたらされることが所望されるレリーフパターンに相補的なレリーフパターンを含む。成形プロセスは、このようにして所望のレリーフ構造を備えたフレキソ版材料を製造することになる。このようなフレキソ版の前駆体材料は、任意の好適な流動性(成形可能)材料であってよく、熱可塑性材料又は熱硬化性材料から選択されてもよい。
【0199】
上記印刷技術のそれぞれを使用して、剥離層507の表面508に、規則的なパターン又は不規則なパターンのいずれかのパターンで材料を適用することができる。感圧接着剤層からなる表面に適用されるこの材料は、多種多様な形態を取ることができる。この材料は、100%固体の組成物、液体と固体との混合物、硬化性組成物、又はインクであり得る。100%固体である組成物は、溶媒を含まないか、又は本質的に含まない。加えて、多種多様な材料組成物が好適であり、例えば、材料は、エラストマー材料、熱可塑性材料、又は硬化性材料を含み得る。硬化性材料としては、硬化の際に熱硬化性材料、熱可塑性材料又はエラストマー材料となり得る材料が挙げられる。
【0200】
例示的な材料としては、樹脂、高分子材料、染料、インク、ビニル、無機材料、UV硬化性ポリマー、顔料、粒子、ビーズ、及びこれらの組み合わせが挙げられる。特に適しているのは、高分子材料、UV硬化性高分子材料、及び電子ビーム硬化性高分子材料である。好適な高分子材料の中には、ポリエチレン及びポリプロピレン、ポリウレタン及びポリ尿素材料などのオレフィン性材料、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などの(メタ)アクリレート材料、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル材料などがある。UV硬化性高分子材料の例としては、広範な(メタ)アクリレート材料が挙げられる。これらの硬化性(メタ)アクリレート材料としては、(メタ)アクリレートモノマー及びオリゴマー、ビニルエステル及びスチレンなどのビニル官能性モノマー及びオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。幾つかの実施形態では、高分子材料は、熱活性化されてもよい。
【0201】
高分子材料及びUV硬化性高分子材料は、添加剤又は充填剤を含有することができる。これらの添加剤及び充填剤としては、可塑化樹脂、粘着付与樹脂、抗菌剤、安定化剤(熱安定剤又は紫外線安定剤など)、着色剤(顔料及び染料など)、並びにカーボンブラック、シリカ、チタニア、ガラスミクロスフィア、炭酸カルシウムなどの粒子状充填剤を挙げることができる。
【0202】
この材料は、任意の所望の構造体パターンで剥離層507の表面508に適用されることができる。パターンは規則的であってもよく、又は不規則であってもよい。パターンは、単一の形状、様々な形状の構造体を含むことができ、またパターンが画像を形成するように配置することができる。
【0203】
様々な実施形態において、剥離層507の表面508に適用される材料の乾燥厚さは、剥離層自身の厚さと比較して小さい。したがって、剥離層507の表面508に適用される材料の乾燥厚さは、典型的には、剥離層の厚さの50%未満、より典型的には剥離層の厚さの40%未満、又は剥離層の厚さの30%未満、又は更には剥離層の厚さの20%未満である。
【0204】
剥離層507の表面508に材料が適用された後、堆積した材料の性質に応じて、乾燥、硬化、又はこれらの組み合わせなどの更なる加工工程を行うことができる。乾燥及び/又は硬化は、熱若しくは放射線(紫外線など)の適用によって、又はこれらの組み合わせによって実施することができる。熱は、例えば、オーブン内で、又はIRランプを用いて適用することができる。
【0205】
微細構造化不動態材料542の平均ピッチは、約50μm~約1000μm程度なので、
図5Aは縮尺通りではない。ピッチは、好ましくは、全ての微細構造体542同士の間でほぼ同じであるが、このような配列は必須ではなく、微細構造体のはピッチがばらつくことがある。一例としてのみ提供される幾つかの実施形態では、微細構造体542は、剥離層507の第1主面508の平面から測定して、約1μm~約20μmの
図5Aのz方向に沿ったほぼ一定の高さを有する。構造体同士の高さはほぼ同じであるが、そのような構成は必須ではなく、幾つかの実施形態では、微細構造体542は高さがばらつくことがある。
【0206】
図5Bは、本開示による伸縮性導電構成体の製造プロセス500の実施形態を示す。工程501では、
図5Aのワイヤ514の一部分が、印刷構造化剥離層507の微細構造体542上に示されている。
【0207】
工程502では、ワイヤ514の第1の部分514Cが微細構造体542の上面509内に沈み込んで埋め込まれるように、剥離層507の表面508が十分に軟化される。ワイヤ514の表面積の第2の部分514Dは、表面509の上で露出されたままである。剥離層507上の印刷微細構造体542は、加熱、化学線(例えば紫外線(UV)光)への曝露などを含む任意の好適な方法によって軟化することができる。しかしながら、微細構造体542は軟化せず、構造体542の上に重なっているワイヤ514の部分は、表面508に沈み込まず、代わりに構造体542の上部に留まる。
【0208】
工程503では、エラストマー前駆体材料が、エラストマー前駆体材料がチャネル540に入り込み、ワイヤ514の第2の表面積部分514Dの上に重なるのに十分な厚さで剥離層507の第1主面508上に載るように、ワイヤ514を覆うように適用される。エラストマー前駆体材料は、次いで、エラストマー基材材料512を形成するためにエラストマー前駆体材料を少なくとも部分的に硬化させる又は完全に硬化させるための加熱又は化学線への曝露などの任意の好適な技術を使用して、エラストマー基材材料512の層に変換される。
【0209】
工程504では、剥離層507が、エラストマー層512から剥離され、剥ぎ取られる。剥離層507の剥離は微細構造体542を除去することによって、剥離層507に元々埋め込まれていた領域内でワイヤ514の表面積部分514Cを露出させたまま残す一方で、剥離層507の上で元々露出されていた領域514Dはエラストマー層512に埋め込まれている。
【0210】
幾つかの実施形態では、エラストマー基材512及び剥離層507の材料は、エラストマー基材層512が剥離層507の第1主面508からきれいに分離し、エラストマー基材512の表面513A上又はワイヤ514上に残留物をほぼ残さないように選択されるべきであり、これにより、結果として得られる構成体の導電性を向上させることができる。
【0211】
幾つかの実施形態では、ワイヤ514は、撚り金属ワイヤ又は編組金属ワイヤである。エラストマー基材512は、このワイヤの個々の金属ストランドを封入してこれらに接着し、これにより、基材512が伸張される、さもなければ変形されるときに、エラストマー基材512からのワイヤの剥離及び脱離を低減又は排除することができる。
【0212】
様々な実施形態において、本明細書に記載の伸縮性導体構成体を、多種多様な適合可能な又は伸縮性の電子システムにおいて使用することができる。例えば、伸縮性導体構成体は、シャツ、ベスト、コート、靴下、パンツ、下着などの衣類の布地に積層する又は縫い込むことができる。限定することを意図しない様々な例示的実施形態では、伸縮性導体構成体はコンフォーマルセンサシステムの構成要素とすることができ、コンフォーマルセンサシステムは、1つ以上の、温度センサ、神経センサ、水和センサ、心臓センサ、流量センサ、圧力センサ、機器モニタ(例えば、スマート機器)、呼吸器調律モニタ、皮膚コンダクタンスモニタ、電気接点、又はこれらの任意の組み合わせであって、例えば、温度センサ、歪みセンサ、及び/又は電気生理学センサ、組み合わされた運動/心臓/神経センサ、組み合わされた心臓/温度センサなどのうちの任意の1つ以上を含むが、これらに限定されない。
【0213】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載された伸縮性導電構成体は、自動車室内用又は航空宇宙機室内用の成形電子機器において、又は座席において乗員の存在を感知するために使用ことができる。
【0214】
図6は、その上に伸縮性導体構成体610が取り付けられている又は縫い付けられている布基材650を含む例示的なデバイス680を示す。伸縮性導体構成体610は、少なくとも1つの不規則に蛇行したワイヤ614が内部に部分的に埋め込まれたエラストマー基材612を含む。ワイヤ614は、1つ以上のセンサ652、654に電気接続されており、これらのセンサは、1つ以上の電子デバイス656、例えば、分析器、送信モジュール、データ記憶デバイス、プロセッサ、インジケータ、ディスプレイなどに接続されている。
【0215】
例えば、送信モジュールは、センサ652、654から分析器に、記憶デバイスに、外部メモリに、又は別の記憶デバイスに、ネットワークに、及び/又はオフボードコンピューティングデバイスに、データを送信するように構成することができる。一実施例では、送信モジュールは、無線ネットワーク、無線周波数通信プロトコル、Bluetooth(登録商標)、近距離通信(NFC)によって、及び/又は光学的に赤外線若しくは非赤外線LEDを使用して、データを送信するのに使用することができる無線送信モジュールである。データは、外部メモリ又は他の記憶デバイス、ネットワーク、及び/又はオフロボードコンピューティングデバイスに送信することができる。
【0216】
図10は、本開示による伸縮性導電構成体の代替的な実施形態の製造プロセス1000の実施形態を示す。工程1000Aでは、蛇行したワイヤ1014が、剥離層1007の第1主面1008に接触する。工程1000Bでは、ワイヤ1014の第1の部分1014Cが、剥離層1007の第1主面1008に沈み込んで埋め込まれる。ワイヤ1014の表面積の第2の部分1014Dは、表面1008の上で露出されたままである。ワイヤ1014を剥離層1007に部分的に埋め込むためは、剥離層1007は、好ましくは、粘着状態(本質的に粘着性であるか、かつ/又は、加熱によるとする。ワイヤ1014は、例えば、ワイヤ1014を剥離層1007の表面1008に適用し、続いて剥離層1007を軟化させる、ワイヤ1014に(例えばローラーを用いて)圧力を加える、又はその両方を行う、のうちの少なくとも1つによって、剥離層1007に部分的に埋め込むことができる。剥離層1007は、加熱、化学線(例えば紫外線(UV)光)への曝露などを含む任意の好適な方法によって軟化することができる。
【0217】
工程1000Cでは、伸縮性導電フィルム1050の層が、ワイヤ1014の少なくとも一部分を覆うように配置される。工程1000Dでは、液状エラストマー前駆体材料1030が、ワイヤ1014の第2の表面積部分1014Dの上に重なるのに十分な厚さで、剥離層1007の第1主面1008を覆うように適用される。エラストマー前駆体材料1030は、工程1000Fと関連して説明されるように、後にエラストマー基材材料1012の層に変換されることができる任意の材料から選択することができる。工程1000Cの第2の構成体の例は、ワイヤ1014’がワイヤ1014に面するように方向付けられており、剥離層1007’がワイヤ1014から離れた状態で、エラストマー前駆体材料1030内に配置されている。
【0218】
工程1000Eでは、剥離層1007を剥離層1007’に向かって付勢するように、また伸縮性導電フィルム1050を伸縮性導電フィルム1050’と電気接触させるように、穏やかな力が(例えばローラーを用いて)加えられている。工程1000Fでは、エラストマー前駆体材料1030が硬化して、エラストマー基材材料1012を形成している。工程1000Gでは、エラストマー基材1012が剥離層1007と1007’の両方から剥離されて分離され、ワイヤ1014の第2の表面積部分1014C及びワイヤ1014’の第2の表面積部分1014C’が、エラストマー基材1012の両側で露出されたままとなる。
【0219】
図11は、本開示による伸縮性導電構成体の代替的な実施形態の製造プロセス1100の実施形態を示す。工程1100Aでは、ワイヤ1114(この図では螺旋状に巻かれて示される)が、剥離層1107の第1主面1108に接触する。工程1100Bでは、ワイヤ1114の第1の部分1114Cが、剥離層1107の第1主面1108に沈み込んで埋め込まれる。ワイヤ1114の表面積の第2の部分1114Dは、表面1108の上で露出されたままである。
【0220】
ワイヤ1114を剥離層1107に部分的に埋め込むためは、剥離層1107は、好ましくは、粘着状態(本質的に粘着性であるか、かつ/又は、加熱による)とする。ワイヤ1114は、例えば、ワイヤ1114を剥離層1107の表面1108に適用し、続いて剥離層1107を軟化させる、ワイヤ1114に(例えばローラーを用いて)圧力を加える、又はその両方を行う、のうちの少なくとも1つによって、剥離層1107に部分的に埋め込むことができる。剥離層1007は、加熱、化学線(例えば紫外線(UV)光)への曝露などを含む任意の好適な方法によって軟化することができる。
【0221】
工程1100Cでは、液状エラストマー前駆体材料1130が、ワイヤ1114の第2の表面積部分1114Dの上に重なるのに十分な厚さで、剥離層1107の第1主面1108を覆うように適用される。エラストマー前駆体材料1130は、工程1100Dと関連して説明されるように、後にエラストマー基材材料1112の層に変換されることができる任意の材料から選択することができる。エラストマー前駆体材料1130の厚さは、ワイヤ1114の第3の部分1114Eが覆われていないまま残すように意図的に選択される。
【0222】
工程1100Dでは、エラストマー前駆体材料1130は硬化して、エラストマー基材材料1112を形成している。工程1100Eでは、エラストマー基材1112が、剥離層1107両方から剥離されて分離され、ワイヤ1114の第2の表面積部分1114C及び第3の表面積部分が、エラストマー基材1112の両側で露出されたままとる。
【0223】
図12Aは、導電性布地1280の一部分に接合された伸縮性導体1205を示す。図示した実施形態では、伸縮性導体1205は、
図3に示される実施形態と同様である。ワイヤ1214は、エラストマー基材1212に部分的に埋め込まれており、ワイヤ1214の第2の表面積部分1214Bが、基材1212の第1主面1213Bの上で露出されている(図示された構成体の向こう側)一方、第1の表面積部分1214Aは、その表面1213Aの下に埋め込まれたまま(図示された構成体の手前側)である。非導電性接着剤1282の層が、第1主面1213Bと導電性布地1280との間に配置される。この構成体が、例えば、実施例Xに関連して後述するように、正確に作製されるとき、第1主面1213Bと導電性布地1280との間の接続は電気的に連続的である。
【0224】
図12Bは、導電性布地1280の一部分に接合された伸縮性導体1205の代替的な実施形態を示す。この実施形態では、導電性布地1280の少なくとも一部分と第1主面1213Bとの間に導電フィルムの一部分が介在しており、他の点では、
図12Aの実施形態と同様である。
【0225】
本開示の装置の動作及びプロセスを、以下の詳細な実施例に関して更に説明する。これらの実施例は、様々な具体的な好ましい実施形態及び技術を更に示すために提供される。しかしながら、本開示の範囲内に留まりつつ、多くの変更及び修正を加えることができるということが理解されるべきである。
【実施例】
【0226】
これらの実施例は、単に例証を目的としたものであり、添付の特許請求の範囲を過度に限定することを意図するものではない。本開示の幅広い範囲を示す数値範囲及びパラメータは近似値であるが、具体的な実施例において示される数値は、可能な限り正確に報告している。しかしながら、いずれの数値にも、それらのそれぞれの試験測定値において見出される標準偏差から結果として必然的に生じる、ある特定の誤差が本質的に含まれる。最低でも、各数値パラメータは少なくとも、報告される有効桁の数に照らして通常の丸め技法を適用することにより解釈されるべきであるが、このことは特許請求の範囲の範囲への均等論の適用を制限しようとするものではない。
【0227】
材料
特に記載のない限り、実施例及び本明細書の他の箇所における全ての部、百分率、比などは、重量によるものである。使用した溶媒及び他の試薬は、特に断りの無い限り、Sigma-Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI)から入手することができる。加えて、表1は、以下の実施例で使用された全ての材料に関する、省略識別子及び供給元を提示するものである。
【表1】
【0228】
シリコーン基材のコロナ処理
シリコーンゴム基材を、0.2キロワットの電力レベル及び30フィート/分(9.1メートル/分)の供給量で周囲空気雰囲気下でコロナ処理して、Enercon Industries Corporation(Menomonee Falls,WI)製のモデルSS1908 Corona Treaterを使用して、0.32ジュール/平方センチメートルの総用量を提供した。このシリコーンゴム基材は、使用前2週間以内にコロナ処理した。
【0229】
伸張試験方法
伸縮性導電フィルムの伸張試験は、Instron Corp.(Norwood,MA)から商品名Mini 55で入手可能な引張試験機を50Nの静的ロードセル(カタログ#2530-471)と共に用いて実施した。試験サンプルは、幅1インチ、長さ約3インチであった。サンプルを、75psiの圧縮空気が供給される空気圧クランプを用いて試験機内にクランプし、クランプ同士の間の露出されたサンプルの長さが1.25インチになるように配置した。次いで、サンプルは、周期的引張歪試験(Bluehill 2 v2.33ソフトウェアに書き込まれている)を所定のサイクル回数施され、各サイクルでは、サンプルを、40%/秒の歪み速度で所望される最大歪み率(すなわち20%、40%、60%など)まで伸張し、次いで三角形傾斜において同じ速度で元の長さに戻した。Bluehillソフトウェアは、時間、伸展、負荷、引張歪、及び引張応力の値を500Hzのデフォルトデータレートで取り込み及び出力するように設定された(試験機のデフォルトモードは、2つのチャネル、すなわち、0.002秒の時間間隔での時間、又は0.025lbfの負荷間隔での負荷によって取り込まれたデータを使用した)。
【0230】
実施例1 伸縮性導体転写用物品の製造方法
実施例1A-裸ワイヤを使用して作製された導体キャリア
直径8ミル(0.20mm)のステンレス鋼ワイヤ(California Fine Wire Company)を使用して蛇行パターンを作成した。蛇行の振幅は3mmであり、2つの連続する山同士又は谷同士の間の間隔は5mmであった。導体として機能するワイヤを、約140℃(284°F)に予熱したポリエチレンコーティングされたPET基材を含む転写キャリア内にヒートシンクさせ、拡大撮像システムによって決定される約25~30ミクロンに対応する深さまでポリエチレン層に埋め込まれた裸ワイヤを有する導体キャリアを形成する。
【0231】
実施例1B-多重ワイヤを使用して作製された導体キャリア
7巻Cuワイヤ(California Fine Wire Company)を使用して蛇行パターンを作成した。個々のワイヤの直径は2ミル(0.05mm)であり、7巻ワイヤの総平均直径は3.5ml(0.09mm)であった。蛇行の振幅は3mmであり、2つの連続する山同士又は谷同士の間の間隔は5mmであった。導体として機能するワイヤを、約140℃(284°F)に予熱したポリエチレンコーティングされたPET基材を含む転写キャリア内にヒートシンクさせ、拡大撮像システムによって決定される約25~30ミクロンの深さまでポリエチレン層に埋め込まれた裸ワイヤを有する導体キャリアを形成する。
【0232】
実施例1C-Cuワイヤに巻き付けられたステンレス鋼糸を使用して作製された導体キャリア
6ミル(0.15mm)のCuワイヤの周囲にステンレス鋼糸を手作業で巻くことによって作製された導体を使用して、蛇行パターンを作成した。蛇行の振幅は3mmであり、2つの連続する山同士又は谷同士の間の間隔は5mmであった。導体として機能するワイヤを、約140℃(284°F)に予熱したポリエチレンコーティングされたPET基材を含む転写キャリア内にヒートシンクさせ、ポリエチレン層に部分的に埋め込まれた裸ワイヤを有する導体キャリアを形成する。
【0233】
実施例1D-炭素糸を使用して作製された導体キャリア
直径10ミル(0.25mm)の炭素糸を使用して、蛇行パターンを作成した。導体として機能するワイヤを、約140℃(284°F)に予熱したポリエチレンコーティングされたPET基材を含む転写キャリア内にヒートシンクさせ、ポリエチレン層に部分的に埋め込まれた裸ワイヤを有する導体キャリアを形成する。
【0234】
実施例1E-構造化ポリエチレンコーティングされたPET上のステンレス鋼裸ワイヤを使用して作製された導体キャリア
直径8ミル(0.20mm)のステンレス鋼ワイヤ(California Fine Wire Company)を使用して蛇行パターンを作成した。蛇行の振幅は3mmであり、2つの連続する山同士又は谷同士の間の間隔は5mmであった。導体として機能するワイヤを、室温でポリエチレンコーティングされたPET基材にエンボス加工された、ワイヤ蛇行方向に垂直なチャネル(幅=1mm、高さ=0.1mm)を含む転写キャリア内にヒートシンクさせた。ワイヤの蛇行を、約140℃(284°F)まで予熱した構造化ポリエチレンコーティングされたPET基材内にヒートシンクさせ、ワイヤ蛇行(チャネルの上部には位置していない)の一部分がポリエチレン層に部分的に埋め込まれた導体キャリアを形成した。
【0235】
実施例1F-印刷不動態特徴部を備えたポリエチレンコーティングされたPET上のステンレス鋼裸ワイヤを使用して作製された導体キャリア
直径8ミル(0.20mm)のステンレス鋼ワイヤ(California Fine Wire Company)を使用して蛇行パターンを作成した。蛇行の振幅は3mmであり、2つの連続する山同士又は谷同士の間の間隔は5mmであった。導体として機能するワイヤを、ワイヤ蛇行方向に垂直な印刷不動態ラインからなるポリエチレンコーティングされたPET転写キャリア内にヒートシンクさせた。不動態ラインは、ポリエチレンコーティングされたPET上にUV硬化性インク(Nazdar 3500 UV Durable Graphic Screen Ink)をスクリーン印刷することによって作成した。ワイヤ蛇行を、約140℃(284°F)まで予熱した、印刷されたポリエチレンコーティングされたPET基材内にヒートシンクさせ、ワイヤ蛇行(印刷不動態ラインの上部には位置していない)の一部分がポリエチレン層に部分的に埋め込まれた導体キャリアを形成した。
【0236】
実施例2
以下の真空脱気された材料、すなわち、0.41グラムのDesmodur N3300A、3.63グラムのDesmodur W、及び15.64グラムのC2090:MPD/95:5(重量比)の混合物をMAX 60 Speedmixerカップ(FlackTek Inc,Landrum,SC)に加えることにより、MEK溶液中で90%固体の2液型ポリウレタンを調製した。真空を15秒間にわたってカップに直接適用した後、DAC 150.1 FVZ-K Speedmixer(FlackTek Inc,Landrum,SC)内で完全真空下で2600回転/分で45秒間混合した。次いで、ミキサーから混合物を取り外し、18マイクロリットルのT12(DABCO T12)を、マイクロピペットを用いて加えた。カップを再び真空下に15秒間置き、完全真空下で2600回転/分で更に45秒間混合した。得られた混合物を、実施例1Bに記載されたように導体キャリアの上部に適用し、約3.0メートル/分の速度で、ワイヤの上部とコーティングナイフとの間に8ミル(0.20mm)の隙間を設定することにより、ノッチバーコーターを使用して、幅30.5センチメートル(12インチ)になるようにした。コーティングされた前駆体は、80℃で1時間硬化された。一方の側でポリエチレンに部分的に埋め込まれ、他方の側でポリカーボネート系ポリウレタン樹脂に部分的に埋め込まれたワイヤを有する転写用積層体物品が得られた。ライナーの除去により、0.007インチ(0.18mm)の厚さの埋め込まれた銅ワイヤ編組を有する自立型ポリカーボネート系ポリウレタンフィルムがもたらされた。サンプルに伸張試験(40%伸長で1000伸張サイクル)を行った。試験前及び試験後に、サンプルに裂け目又は剥離などの物理的欠陥は観察されなかった。試験前後にKeithley 2000マルチメータを使用して測定した抵抗は、それぞれ10.1Ω及び10.2Ωであった。
【0237】
実施例3
100gの速度混合カップ(FlackTek Inc(Landrum,SC))中でSylgard50.02gを硬化剤5.01gと混合し、2800回転/分で1分間混合して混合物バッチを生成した。得られた混合物を、実施例1Bに記載されたようにポリエチレンコーティングされたポリエステルフィルム剥離ライナーと導体キャリアとの間に適用し、約3.0メートル/分の速度で、ワイヤの上部とコーティングナイフとの間に9ミル(0.23mm)の隙間を設定することにより、ノッチバーコーターを使用して、両方とも幅30.5センチメートル(12インチ)になるようにした。コーティングされた前駆体は、100℃で1時間硬化された。一方の側でポリエチレンに部分的に埋め込まれ、他方の側で硬化したシリコーン樹脂に部分的に埋め込まれたワイヤを有する転写用積層体物品が得られた。ライナーの除去により、0.01インチ(0.25mm)の厚さの埋め込まれた銅ワイヤ編組を有する自立型シリコーンフィルムがもたらされた。サンプルに伸張試験(20%伸長で1000伸張サイクル)を行い、物理的特性及び電気的特性の劣化を示さないことが分かった。
【0238】
実施例4
1液型エポキシ樹脂接合組成物を、以下の表2に示す材料及び量を使用して調製した。FXR 1081以外の材料をMAX 60 SPEEDMIXERカップ(Flacktek Incorporated,Landrum,SC)に加えて、DAC 600 FVZ SPEEDMIXER(FlackTek Incorporated,Landrum,SC)を使用して、1500回転/分で1分間混合した。次いで、各混合物にFXR 1081を加え、続いて1500回転/分で1分間更に混合して、未硬化エポキシ樹脂接合組成物を得た。
【表2】
【0239】
次いで、未硬化エポキシ樹脂組成物を、実施例1Bに記載されたように導体キャリアの表面上に適用し、ナイフコーティング装置を使用して0.020インチ(0.50mm)のコーティング厚さを形成することによって、幅6インチ×長さ8インチ(15.2センチメートル×20.3センチメートル)になるようにした。適用前に、このシートの一方の端部の幅に沿った1インチ(2.5cm)領域をテープ止めして、この領域が組成物でコーティングされることを防止した。適用後、剥離ライナーを未硬化エポキシ樹脂組成物に押し付けた。次いで、このアセンブリを、オーブン内で、80℃で1時間硬化した。剥離ライナーの除去により、0.020インチ(0.51mm)の厚さの埋め込まれた銅ワイヤ編組を有する、シリコーンバッキング上の自立型可撓性エポキシフィルムがもたらされた。サンプルに伸張試験(40%伸長で1000伸張サイクル)を行い、物理的特性及び電気的特性の劣化を示さないことが分かった。サンプルに伸張試験(20%伸長で1000伸張サイクル)を行い、物理的特性及び電気的特性の劣化を示さないことが分かった。
【0240】
実施例5-シリコーンバッキングを有するエポキシ
1液型エポキシ樹脂接合組成物を、以下の表3に示す材料及び量を使用して調製した。FXR 1081以外の材料をMAX 60 SPEEDMIXERカップ(Flacktek Incorporated,Landrum,SC)に加えて、DAC 600 FVZ SPEEDMIXER(FlackTek Incorporated,Landrum,SC)を使用して、1500回転/分で1分間混合した。次いで、各混合物にFXR 1081を加え、続いて1500回転/分で1分間更に混合して、未硬化エポキシ樹脂接合組成物を得た。
【表3】
【0241】
次いで、未硬化エポキシ樹脂組成物を、厚さ約0.040インチ(10.2mm)を有するシリコーンシート(シリコーンゴム1)のコロナ処理面上に適用し、ナイフコーティング装置を使用して約0.011インチ(0.28mm)のコーティング厚さを形成することによって、幅6インチ×長さ8インチ(15.2センチメートル×20.3センチメートル)になるようにした。適用前に、このシートの一方の端部の幅に沿った1インチ(2.5cm)領域をテープ止めして、この領域が組成物でコーティングされることを防止した。適用後、実施例1Bに記載される導体キャリアを、未硬化エポキシ樹脂組成物に押し付けた。次いで、このアセンブリを、オーブン内で、80℃で1時間硬化した。剥離ライナーの除去により、0.051インチ(1.30mm)の厚さの埋め込まれた銅ワイヤ編組を有する、シリコーンバッキング上の自立型可撓性エポキシフィルムがもたらされた。サンプルに伸張試験(20%伸長で1000伸張サイクル)を行い、物理的特性及び電気的特性の劣化を示さないことが分かった。
【0242】
実施例6-積層体の熱成形
実施例2に記載の20.3cm(8インチ)角のフィルムは、COMET熱成形器(モデルC32.5S,MAAC MAchinery Corporation,Carol Stream,Ill.)を用いて熱成形された。6.35cm(2.50インチ)角の基部、1.27cm(0.5インチ)の高さ、並びにその垂直側に対して様々な半径及び抜け勾配を有する雄試験型を使用して、ポリカーボネートフィルムに成形した。このフィルムはその後バッキングとして使用され、このバッキングを覆うように伸縮性導電体フィルムが形成された。以下のパラメータを採用した。商品名「Scotchtrak Infrared Heat Tracer IR-16L3」で3M Company(St.Paul,Minn)から市販されている、レーザーサイトを備えた携帯型非接触(赤外)温度計を用い、成形直前のシート温度を測定した。
【0243】
積層体を形成するために使用した熱成形パラメータは、圧力容器作動圧力0.31MPa(45PSI)、熱成形直前に測定されたシート温度171~188℃(340~370°F)、及び金型温度32~35℃(90~95°F)であった。
【0244】
実施例7
はんだごて(Weller WX2021 Soldering Iron,Apex Tool Group,Sparks,Maryland,USA)を使用して、実施例5に記載のように、伸縮性導電性基材上にワイヤ(PVC Hookup Wire,直径0.23mm,Belden)をはんだ付けした。はんだ接合は、エポキシ基材の目に見える劣化がなく堅牢であることが分かった。
【0245】
実施例8
アクセス穴(直径:1cm)がPUフィルム(Bemis 3916 Sewfreeテープ)にダイカットされ、アクセス穴がワイヤと並ぶようにして、実施例2に記載の伸縮性導電フィルムに熱積層された。アクセス穴内のワイヤには、異方性導電フィルム(ACF,3M 9707)からなる円板状点(直径0.8cm)を取り付けた。次いで、金属スナップコネクタ(09864スナップ取り付け、Newark)を、手動で押し下げることによって、ACFフィルムに結合した。次いで、エポキシポッティング(3 MScotch-Weld Epoxy Adhesive DP420)材料を使用してACFフィルムの周囲の間隙を封止した。これにより、伸縮性導電フィルム及びACFコネクタ内のワイヤを、水分及び他の化学物質による劣化から保護する構成体がもたらされた。
【0246】
実施例9
伸縮性導体は、概して
図10に関して記載したようなプロセスによって形成された。ステンレス鋼の一本鎖金属ワイヤを、厚さ0.004インチ(0.10mm)のポリエチレンフタル酸フィルム上に厚さ0.001インチ(0.025mm)のポリエチレンのコーティングを含む剥離ライナーと接触させて配置した。ライナーを、PEの融点よりも高いがPETの融点よりも低い温度まで加熱し(約138~149℃)、ワイヤの一部分をライナー内に沈めた。次に、3M CompanyからACF 9707として市販されている伸縮性フィルムからなる導電性の薄いストリップをワイヤの一部分を覆うように置き、第1のサブアセンブリが形成された。次いで、このサブアセンブリの第2の例が用意された。
【0247】
次いで、第1のサブアセンブリが、Dow ChemicalからSYLGARD-184として市販されているポリ(ジメチルシロキサン)からなる薄層でオーバーコートされた。次いで、導電性の伸縮性フィルムからなるストリップ同士が互いに接触して配置されるように、第2のサブアセンブリを第1のワイヤの上部に静かに積層して、未硬化ポリマーをその接続点から搾り出すが、それらの2つのライナーの間以外の全ての場所には未硬化ポリマーの層を残した。最後に、紫外線を用いてポリマーを伸縮性ポリマーに硬化させ、ライナーをサンプルの両側から剥ぎ取って、導電性の伸縮性フィルムからなる2つのストリップ間の接触によって確立された2本のワイヤ間の電気的接続を備えた、ポリマー層の両側で露出されたワイヤの蛇行を露呈させる。
【0248】
実施例10
ワイヤが撚り合わされた直径0.076mmの3本の銅ワイヤからなる複合ワイヤであることを除いて、概して実施例1Aに記載したように伸縮性導体を作製した。Adafruit Industries(New York,NY)からKnit Conductive Fabric P1167として市販されている導電性布地の見本を得た。3M Company(St.Paul,MN)からSCOTCH-WELD XA-007-3481-9 One Part Epoxy Adhesive 6100LV Off-Whiteとして市販されている非導電性エポキシ接着剤が、少量、導電性布地上に配置された。伸縮性導体の露出されたワイヤを有する側が非導電性接着剤に押し込まれ、導電性布地と接触した。プラテンを使用して、伸縮性導体の他方の面と導電性布地の他方の面との間に圧力を加えた。非導電性接着剤を90~100℃で5~10分間硬化させながら、80psi(0.55MPa)の圧力を加えた。非導電性接着剤を硬化させた後、ワイヤと導電性布地との間の電気抵抗を評価され、約2オームであることが分かった。
【0249】
次いで、これらのサンプルは洗浄試験にかけられ、接続が通常の衣類洗浄において耐久性があるかどうかが判定された。洗浄試験は、石鹸水(Dawn食器洗浄洗剤を使用)中のサンプルをローラー上のプラスチックボトル内で72時間回転させ、サンプルをより多量の水で静かにすすいで石鹸を除去し、サンプルを57℃(135°F)のオーブン内で1.5時間乾燥させることで構成された。次いで、サンプルは、伸縮性導体と導電性布地との間の電気的接続について再試験にかけられた。電気抵抗は、洗浄試験後に約2オームのままであったことが分かった。
【0250】
実施例11
3M Company(St.Paul MN)からACFとして市販されている導電フィルムの一部分を、概して
図12Bに示すように、導電性布地の一部分とワイヤとの間に介在させたことを除いて、実施例10に記載のように、導電性布地に接合された伸縮性導体を有する物品が用意された。非導電性接着剤を加熱及び圧力下で硬化させた後、ワイヤと導電性布地との間の電気抵抗を評価し、約2オームであることが分かった。実施例10のように、サンプルは洗浄試験にかけられ、洗浄後に電気抵抗が約2オームのままであることが分かった。
【0251】
本明細書全体を通して、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」、又は「ある実施形態」に対する言及は、「実施形態」という用語の前に、「例示的な」という用語が含まれているか否かに関わらず、その実施形態に関連して説明される具体的な特色、構造、材料、又は特徴が、本開示の特定の例示的な実施形態のうちの少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して、様々な箇所における「1つ以上の実施形態において」、「ある特定の実施形態では」、「一実施形態において」、又は「ある実施形態において」などの表現の出現は、必ずしも本開示の特定の例示的な実施形態のうちの同一の実施形態に言及するものとは限らない。更に、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、1つ以上の実施形態において任意の好適な方法で組み合わされてもよい。
【0252】
本明細書ではある特定の例示的な実施形態について詳細に説明してきたが、当業者には上述の説明を理解した上で、これらの実施形態の修正形態、変形形態、及び均等物を容易に想起できることが、諒解されるであろう。したがって、本開示は、ここまで説明してきた例示的実施形態に、過度に限定されるものではないことを理解されたい。特に、本明細書で使用する場合、端点による数値範囲の列挙は、その範囲内に包含される全ての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)ことが意図される。加えて、本明細書で使用される全ての数は、用語「約」によって修飾されるものと想定される。
【0253】
更には、本明細書で参照される全ての刊行物及び特許は、個々の刊行物又は特許を参照により組み込むことが詳細かつ個別に指示されている場合と同じ程度に、それらの全容が参照により組み込まれる。様々な例示的な実施形態について説明してきた。これらの実施形態及び他の実施形態は、以下の特許請求の範囲に含まれる。