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特許7190456電力重視アプリケーションのためのUSB電力供給ケーブル配線
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】電力重視アプリケーションのためのUSB電力供給ケーブル配線
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/60 20110101AFI20221208BHJP
   H01R 13/6463 20110101ALI20221208BHJP
   H01R 13/66 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
H01R24/60
H01R13/6463
H01R13/66
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019570946
(86)(22)【出願日】2018-06-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-20
(86)【国際出願番号】 EP2018066123
(87)【国際公開番号】W WO2018234242
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】17177325.2
(32)【優先日】2017-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンツ マッティアス
【審査官】松永 謙一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/066371(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/151169(WO,A1)
【文献】特開2005-173937(JP,A)
【文献】特開2011-082802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/6463
H01R 13/66
H01R 24/60
G06F 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力重視アプリケーション用の電力及びデータの伝送のためのケーブルに取り付け可能なコネクタであり、
電力伝送のための接点と、
データ通信のための接点と、
前記電力伝送及び前記データ通信と一緒に信号線のシングル・ツイスト・ペアを介して伝送されるコンフィギュレーション信号を生成するよう構成される変換回路とを有するコネクタであって、
前記コネクタが、コンフィギュレーション信号のための接点を更に有し、前記コンフィギュレーション信号を生成するよう構成される変換回路が、前記コンフィギュレーション信号のための接点を介して受信されるコンフィギュレーション信号を、前記電力伝送及び前記データ通信と一緒に信号線のシングル・ツイスト・ペアを介して伝送されるよう復号及び変換するよう構成される変換回路を有するコネクタ。
【請求項2】
前記変換回路が、前記変換回路のメモリに記憶される所定のパラメータに基づいて前記コンフィギュレーション信号を生成するコンフィギュレーション信号回路を有する請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記変換回路が、前記データ通信から、前記コンフィギュレーション信号回路から受信される前記コンフィギュレーション信号と組み合わせ信号を生成するハブを有する請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ハブからの前記組み合わせ信号が、信号線のシングル・ツイスト・ペアを介して伝送される請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記変換回路が、前記コンフィギュレーション信号回路から受信される復号された前記コンフィギュレーション信号から高周波信号を生成する変調器を有する請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記変換回路が、前記ハブから受信される前記組み合わせ信号から高周波信号を生成する変調器を有する請求項3に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記変換回路が、前記変調器から受信される前記高周波信号を、信号線のシングル・ツイスト・ペアにおいて伝送される前記電力伝送と組み合わせるフィルタユニットを有する請求項5又は6に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記変換回路が、ローカル電源レギュレータを有する請求項1乃至7のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記変換回路が、更に、信号線のシングル・ツイスト・ペアから受信される伝送からコンフィギュレーション信号を抽出するよう構成され、前記伝送が、前記電力伝送及び前記データ通信と一緒に前記コンフィギュレーション信号を有する請求項1乃至8のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項10】
電力重視アプリケーション用の電力及びデータの伝送のためのケーブルに取り付け可能なコネクタであり、
電力伝送のための接点と、
データ通信のための接点と、
信号線のシングル・ツイスト・ペアから受信される伝送からコンフィギュレーション信号を抽出するよう構成される変換回路とを有し、前記伝送が、前記電力伝送及び前記データ通信と一緒に前記コンフィギュレーション信号を有するコネクタであって、
前記コネクタが、コンフィギュレーション信号のための接点を更に有するコネクタ。
【請求項11】
前記伝送が、前記電力伝送及び前記データ通信と一緒に前記コンフィギュレーション信号を有し、前記変換回路が、更に、前記シングル・ツイスト・ペアから受信される前記伝送から前記電力伝送及び前記データ通信を抽出するよう構成される請求項9又は10に記載のコネクタ。
【請求項12】
電力重視アプリケーション用の電力及びデータの伝送のためのケーブルであり、
前記ケーブルの一方の側に請求項1乃至9のいずれか一項に記載の第1コネクタを有すると共に、
前記ケーブルの他方の側に請求項9乃至11のいずれか一項に記載の第2コネクタを有するケーブルであって、
前記ケーブルが、前記電力伝送及び/又は前記データ通信と一緒のコンフィギュレーション信号の通信のためにワイヤの1つのツイスト・ペアしか含まないケーブル。
【請求項13】
前記第1及び第2コネクタが、請求項9に記載のコネクタである請求項12に記載のケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力重視アプリケーションのための新しいUSB power delivery規格を使用したケーブル配線に関する。より具体的には、本発明は、電力重視アプリケーション用の、とりわけ、照明アプリケーションのための電力及びデータの伝送のための、ケーブルに取り付け可能なオスコネクタ、及びケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
USB-PDは、新しいUSBコネクタのフォームファクタのUSB-Cを導入する新しいバージョンのUSB規格である。USB-Cは、USB接続のための将来規格になるだろう。USB-Cコネクタは、以前のUSBコネクタに比べて小さく、USB3.1のデータ転送速度までサポートするだけでなく、非常に堅牢であり、いずれの方向にも収まるように対称形をしている。最後に、USB-Cコネクタは、100Wまでの電力供給をサポートするよう設計されている。
【0003】
USB-Cメスジャックは、充電器、バッテリパック、モバイルデバイス、ラップトップ、モニタ及びドッキングステーションのような様々なデバイスに組み込まれる。
【0004】
この新しいタイプのコネクタ、及びUSB-PDの機能の幾つかは、照明産業などであるが、照明産業に限定されない電力重視アプリケーションの製品にとって非常に魅力的である。しかしながら、高いデータ転送速度及び追加機能の定義は、USB-Cパッチケーブルを非常に高価にする。それらは、多くの導体を含むので、堅くもあり、従って、例えば照明アプリケーションにおいて設置されるのに望ましいレベルの柔軟性を供給しないかもしれない。最後に、USBIFは、高いデータ転送速度及びディスプレイポート機能を保証するために、最大ケーブル長を制限している。従って、フル機能のUSB-PDケーブルは、相対的に高価であり、通常、電力重視アプリケーションには過度に複雑に設計されている。照明アプリケーションなどの電力重視アプリケーションは、多くの場合、例えば建物の敷地全体にわたって、アプリケーションデバイスを接続するために長いケーブル長を必要とすることから、電力重視アプリケーションのために改善されたコネクタ及びケーブルを提供することは望ましいだろう。
【0005】
WO 2016/066371 A1は、制御コマンド又は状態情報を照明デバイスに/から送信又は受信するために、電力供給インターフェースの電力ネゴシエーション接続を使用する装置及び方法を開示している。電力ネゴシエーション接続は、データ接続とは完全に独立した通信チャネルとして使用されることができ、例えば、調光レベル又は色などの制御コマンドは、関連する電力ネゴシエーションプロトコルのベンダ定義メッセージにおいて符号化されることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電力重視アプリケーションのための電力及びデータの伝送のための改善されたコネクタ及びケーブルを提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、独立請求項に記載の(例えば、オス)コネクタ及びケーブルによって達成される。
【0008】
本発明の或る態様によれば、電力重視アプリケーション用の電力及びデータの伝送のためのケーブルに取り付け可能な(例えばオス)コネクタが提供される。前記オスコネクタは、電力伝送のための接点と、データ通信のための接点と、前記電力伝送及び/又は前記データ通信と一緒に信号線のシングル・ツイスト・ペアを介して伝送されるコンフィギュレーション信号(configuration signaling)を生成するよう構成される変換回路とを有する。
【0009】
前記コネクタ内に変換回路を設けることは、2つ以上の信号を組み合わせ、組み合わされた信号をツイスト信号線の単一のペアを通じて伝送することを可能にする。従って、前記コネクタは、高い柔軟性を持つケーブルの使用を可能にする。
【0010】
コンフィギュレーション信号は、接続されるアプリケーションデバイスによって要求される電力及び電圧要求の信号、及びその後のネゴシエーション信号を指す。前記コンフィギュレーション信号は、好ましくは、USB-PDネゴシエーション信号を使用し、前記データ通信は、好ましくは、参照により本明細書に盛り込まれるUSBインプリメンターズフォーラムによるユニバーサル・シリアル・バスの仕様のリビジョン3.1の一部としての、2017年1月12日付けの、USB Power Deliveryの仕様のリビジョン3.0のバージョン1.1に従うUSBデータ信号を使用する。
【0011】
好ましくは、前記オスコネクタは、照明アプリケーションにおける電力及びデータの伝送のために提供される。照明アプリケーションにおいては、データスループットは、たとえ必要とされるとしても、最小限しか必要とされず、前記ケーブルの低損失、及び例えばケーブル長の増加(例えば5m以上)に焦点のほとんどを当てることができる。損失と、ケーブルの直径と、曲げの柔軟性との間でトレードオフがなされる。
【0012】
或る実施形態においては、前記オスコネクタは、コンフィギュレーション信号のための接点を更に有し、前記コンフィギュレーション信号を生成するよう構成される変換回路は、前記コンフィギュレーション信号のための接点を介して受信されるコンフィギュレーション信号を、前記電力伝送及び/又は前記データ通信と一緒に信号線のシングル・ツイスト・ペアを介して伝送されるよう復号及び変換するよう構成される変換回路を有する。好ましくは、前記オスコネクタはUSB-Cのフォームファクタに準拠する。
【0013】
或る実施形態においては、前記変換回路は、前記変換回路のメモリに記憶される所定のパラメータに基づいて前記コンフィギュレーション信号を生成するコンフィギュレーション信号回路を有する。とりわけ、前記コネクタが、コンフィギュレーション信号を受信するための外部接点を含まない場合には、前記変換回路は、予めプログラムされているパラメータに基づいてこれらの信号を生成することができ、このプログラミングは、製造中、コミッショニング中又は動作中に実施され得る。例えば、前記コネクタが負荷に接続される場合には、前記コンフィギュレーション信号回路は、例えば、署名、タイプなどを識別することによって、又は前記データ通信接点を介して要求を受信することによって、前記負荷の電力要求を決定し得る。その場合、前記コンフィギュレーション信号回路は、前記負荷の代わりに電力要求をネゴシエートするための適切な制御信号を生成し得る。
【0014】
好ましくは、前記変換回路は、前記データ通信から、前記コンフィギュレーション信号回路から受信される前記コンフィギュレーション信号と組み合わせ信号を生成するハブを有する。その場合、前記ハブからの前記組み合わせ信号は、好ましくは、信号線のシングル・ツイスト・ペアを介して伝送され得る。前記電力伝送は、信号線の第2ツイスト・ペアを介して供給される。従って、この実施形態においては、必要とされる前記ケーブルは、より高いデータ転送速度を供給するために少なくともダブル・ツイスト・ペア・ケーブルを含む。
【0015】
別の実施形態においては、前記変換回路は、前記コンフィギュレーション信号を生成する、又は受信されるコンフィギュレーション信号を復号及び変換するコンフィギュレーション信号回路を有すると共に、好ましくは、前記コンフィギュレーション信号回路から受信される前記コンフィギュレーション信号から高周波信号を生成する変調器を有する。好ましくは、前記変換回路は、前記変調器から受信される前記高周波信号を、信号線のシングル・ツイスト・ペアにおいて伝送される前記電力伝送と組み合わせるフィルタユニットを有する。前記データ通信は、信号線の第2ツイスト・ペアを介して供給される。従って、この実施形態においても、前記必要とされるケーブルは、より高いデータ転送速度を供給するために少なくともダブル・ツイスト・ペア・ケーブルを含む。
【0016】
他の実施形態においては、前記コンフィギュレーション信号を生成する、又は制御信号のための接点を介して受信されるコンフィギュレーション信号を復号及び変換するコンフィギュレーション信号回路が供給されると共に、好ましくは、前記データ通信から、前記コンフィギュレーション信号回路から受信される復号された前記コンフィギュレーション信号と組み合わせ信号を生成するハブ、及び前記ハブから受信される前記組み合わせ信号から高周波信号を生成する変調器が供給される。好ましくは、前記変換回路は、前記変調器から受信される前記高周波信号を、信号線のシングル・ツイスト・ペアにおいて伝送される前記電力伝送と組み合わせるフィルタユニットを有する。
【0017】
或る実施形態においては、前記変換回路は、ローカル電源レギュレータを有する。
【0018】
或る実施形態においては、前記変換回路は、更に、信号線のシングル・ツイスト・ペアから受信される伝送からコンフィギュレーション信号を抽出するよう構成され、前記伝送は、前記電力伝送及び/又は前記データ通信と一緒に前記コンフィギュレーション信号を有する。この実施形態においては、前記変換回路は、複数の信号から少なくとも1つの組み合わせ信号への変換機能、及び少なくとも1つの組み合わせ信号から複数の信号への変換機能を供給する。前記変換回路は、1つ以上のツイスト・ペア・ケーブルを介して受信される信号の、各々の出力接点への変換が、前記接点を介して受信される各々の入力信号の、前記ツイスト・ペア・ケーブルに供給される出力への変換の逆になるような、対称変換機能を供給することが可能になる。この場合には、単方向伝送を供給するためには、各々のコネクタ内には1つの変換回路しか設けられない。
【0019】
本発明の或る態様によれば、電力重視アプリケーション用の電力及びデータの伝送のためのケーブルに取り付け可能なオスコネクタであり、電力伝送のための接点と、データ通信のための接点と、信号線のシングル・ツイスト・ペアから受信される伝送からコンフィギュレーション信号を抽出するよう構成される変換回路とを有するオスコネクタであって、前記伝送が、前記電力伝送及び/又は前記データ通信と一緒に前記コンフィギュレーション信号を有するオスコネクタが提供される。
【0020】
或る実施形態においては、前記コネクタは、制御信号のための接点を更に有する。前記伝送が、前記電力伝送及び前記データ通信と一緒に前記コンフィギュレーション信号を有する場合には、前記変換回路は、更に、前記シングル・ツイスト・ケーブルから受信される前記伝送から前記電力伝送及び前記データ通信を抽出するよう構成される。
【0021】
本発明の他の態様によれば、電力重視アプリケーション用の電力及びデータの伝送のためのケーブルであり、前記ケーブルの一方の側に請求項1乃至10のいずれか一項に記載の第1オスコネクタを有すると共に、前記ケーブルの他方の側に請求項10乃至13のいずれか一項に記載の第2オスコネクタを有するケーブルであって、前記ケーブルが、前記電力伝送及び/又は前記データ通信と一緒のコンフィギュレーション信号の通信のためにワイヤの1つのツイスト・ペアしか含まないケーブルが提供される。必要とされる伝送方向に応じて、両方の端部に、両方の変換方向を供給する、又は適切な場合には、単一の変換方向しか供給しない変換回路が設けられ得る。
【0022】
好ましくは、前記ケーブルは、対称的な機能を供給し、前記オスコネクタは、USB-Cのフォームファクタに従って形成される。このような場合には、ユーザは、ケーブル配線方向に関しては注意を払う必要がない。他の例においては、前記オスコネクタのうちの少なくとも1つはまた、別のUSBのフォームファクタに従って、又はコンフィギュレーション信号接点を備える若しくは備えない負荷特有の設計に従って形成されてもよい。
【0023】
請求項1に記載のオスコネクタ、請求項11に記載のオスコネクタ、及び請求項13に記載のケーブルは、とりわけ、従属請求項において規定されているような、同様の及び/又は同一の好ましい実施形態を有することは理解されるだろう。
【0024】
本発明の好ましい実施例は、従属請求項又は上記の実施例と、各々の独立請求項の如何なる組み合わせでもあり得ることは理解されるだろう。
【0025】
下記の実施例を参照して、本発明のこれら及び他の態様を説明し、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1A】本発明の実施形態によるオスコネクタを例示的且つ概略的に示す。
図1B】本発明の実施形態によるオスコネクタを例示的且つ概略的に示す。
図2】本発明の実施形態によるオスコネクタの変換回路の第1バージョンを例示的且つ概略的に示す。
図3】本発明の実施形態によるオスコネクタの変換回路の第2バージョンを例示的且つ概略的に示す。
図4】本発明の実施形態によるオスコネクタの変換回路の第3バージョンを例示的且つ概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1Aは、本発明の実施形態によるオスコネクタを例示的且つ概略的に示している。この実施形態によるコネクタ10は、USB-Cのフォームファクタに従った形状を有する。USB-Cコネクタは、コンパクト且つ堅牢であり、100Wまでサポートする。コネクタは、ピン定義が、いずれの方向にもプラグ挿入することを可能にするよう対称にミラーリングされていることから、反転可能(flipable)である。USBインプリメンターズフォーラムによって2017年1月12日にリリースされたUSB Power Deliveryの仕様のリビジョン3.0の一部である、2016年3月25日付けの、ユニバーサル・シリアル・バスのタイプCのケーブル及びコネクタの仕様のリビジョン1.2に従うUSB-Cピンレイアウトは、5つの異なるセクションを規定する。1つのデータペアは、USB2.0用であり、2つの高速データペアは、USB3.x用であり、バスパワーのサイドバンド使用ピン(sideband use pins)SBU1/2は、USBモードでは使用されず、コンフィギュレーションチャネルピンCC1/2は、USB-PD関連通信のために、並びにバスモード及び挿入方向の検出のために使用される。他方で、コネクタは、ケーブル12に取り付け可能であり、ケーブルは、例えば参照により本願明細書に盛り込まれる規格IEEE802.3bu及び802.3bpにおいて記載されているような、1つ以上のツイスト・ペア・ケーブルを含み得る。
【0028】
コネクタ10は、変換回路11を含む回路基板を覆うために好ましくはポリカーボネート製の支持スリーブ13を含む。好ましくは、回路基板及び前記回路基板上の変換回路は、回路基板の周りに圧着される精密溶接金属シールド14によって保護される。高速データ伝送用の一般的なUSB-PDケーブルは、通常、とりわけ、電力伝送、データ伝送、制御信号などのために複数のケーブルワイヤを含むが、ケーブル12は、削減された数のケーブルワイヤ、例えば、図1Bにおいて示されているような、電力P及びデータD/制御C情報を送信するためのシングル・ツイスト・ペア・ケーブル又はダブル・ツイスト・ペア・ケーブルしか含まない。変換回路11は、入力として、とりわけ、電力伝送Pを受け取り、オプションとして、コンフィギュレーション信号C及びデータ通信Dを受け取るが、変換回路11の出力は、図1BにおいてPで示されているシングル・ツイスト・ペアまでに減らされる、又はオプションとして、図1BにおいてDと表記され破線で示されている第2ツイスト・ペアまでに減らされる。制御信号のための接点の供給はオプションである。USB-Cコネクタは、このような接点を供給する。しかしながら、制御信号は、コネクタに設けられる変換回路11によっても、接続された負荷の代わりに電力ネゴシエーションを処理するために生成され得る。従って、コネクタ10と一体化した変換回路11は、USB-PDネゴシエーションをローカルで行うことができる、又は受電デバイスとの電力ネゴシエーションのために必要とされるコンフィギュレーション信号Cを転送し、例えば、受信し、デコードし、変換し、それをデータ通信Dに追加することができる、又は電力伝送上に変調されたそれを追加することができる。シングル・ツイスト・ペア・ケーブルの実施例においては、データ信号線もケーブルから取り除かれ、全ての情報C+Dが電力伝送線Pの電力線通信を使用して転送される。変換回路は、製造又はコミッショニング中に予めプログラムされ得る。それは、動作中に(再)プログラムされてもよい。例えば、(信号CC1及びCC2による)USB3に準拠した電力要求信号のために、電力パラメータが、変換回路にプログラムされ得る、例えば、5V及び1Aシンクに調整され得る。ケーブルの他方の側は、コンフィギュレーション信号を供給しない、マイクロ若しくはミニUSBのようなUSBアプライアンスコネクタ、又は特定用途向けコネクタのいずれかを備えていてもよい。このようなコネクタの場合は、変換回路は、コンフィギュレーション信号の生成に役立つ。
【0029】
ケーブル12のもう他方の端部には、また、オスコネクタ20が存在し、オスコネクタ20も変換回路21を有し、変換回路21は、Pと表記されている及びオプションとしてDと表記されている各々のツイスト・ペア・ケーブルを介して受信した1つ以上の信号から逆変換を実施して、各々の出力信号、電力伝送P、コンフィギュレーション信号C及びデータ通信Dを抽出するよう適合される。好ましくは、変換回路11及び21は、同じ構造を有し、従って、好ましくは、双方向信号変換を可能にする両方向の信号の変換を可能にする。例えば、ケーブルの両方の端部がUSB-Cコネクタを備えている場合には、双方向の電力の流れが発生する可能性がある。コンフィギュレーション信号の符号化及び復号は、ケーブルが使用される方向における完全な柔軟性をユーザに与えるために、完全に対称的であるべきである。その場合には、ユーザは、ケーブル配線方向に関しては注意を払う必要がない。しかしながら、単方向の電力の流れで十分である、又は単方向の電力の流れが好ましくすらあるアプリケーションも存在し得る。その場合、回路は、このような単方向の電力の流れ及び対応する制御信号を供給するよう、削減され得る。例えば、ケーブルの片側が、例えばコンピュータのソケットに差し込むホスト側USBコネクタ、又は例えばスマートフォンのようなモバイルデバイスに差し込むアプライアンス側USBコネクタである場合、これは、可能な電力の流れの方向を自動的に設定する。従って、コンフィギュレーション信号の対称的な処理の必要はない。しかしながら、データの流れは依然として対称的である。その場合、両側の変換回路は、それらの機能において異なり得る。第2コネクタ20はまた、他の任意のUSBのフォームファクタに準拠する、又はシングル・ツイスト・ペア若しくはオプションとしてダブル・ツイスト・ペアを介して受信される信号に対応する特定用途向けプラグを備える、任意の他の適切な設計を有してもよい。
【0030】
図2は、本発明の実施形態によるオスコネクタの変換回路の第1バージョンを例示的且つ概略的に示している。図1に関連して記載したように、電力伝送P、データ通信D、及びオプションとしてコンフィギュレーション信号Cが、オスコネクタ10の接触ピンを介して受信される。回路11は、それ自体を、USB-Cジャックの適切な接点を使用するUSB3.x接続として識別することができる、又は中央データペア接点を使用するUSB2.x接続としてしか識別しないことができる。USB3においては、データチャネルは2つのデータペアであり、電力制限はより高い。ケーブルは、例えば拡大された電力範囲を得るために、有効なUSB3ケーブルとして識別し、それでも、伝送のためにはケーブル内のデータペアを1つしか使用しないことができる。従って、合計データ転送速度はUSB3の見込みに反して低くなるだろう。データではなく電力を重視するアプリケーションにおいては、これは有利であり得る。変換回路11は、各々の接点を介して受信されるコンフィギュレーション信号Cを復号するコンフィギュレーション信号回路112を有する。コネクタが制御信号のための接点を供給しない場合には、コンフィギュレーション信号回路112が、これらの信号、例えばUSB-PD制御信号のために定義されているCC1及びCC2を生成し得る。制御信号を生成するためのパラメータは、予めプログラムされ、変換回路、例えばメモリに記憶されてもよい。それらは、製造又はコミッショニング中に予めプログラムされてもよい。負荷と接続すると、負荷がそれ自体を識別することができ、コンフィギュレーション信号回路112が制御信号Cを生成するために各々のパラメータを決定することができるような、記憶される、各々のデバイスタイプと関連する複数のパラメータが存在し得る。コンフィギュレーション回路は、更に、復号又は生成されたコンフィギュレーション信号Cをデータ通信Dに準拠したフォーマットに変換する。データ通信D及びコンフィギュレーション信号回路112の出力は、両方とも、データ通信D、例えばUSB通信データの流れと、USB-PD管理に関連する情報を組み合わせるハブ113に入力される。ハブ113の出力C+Dは、電力伝送Pのために使用される第2ツイスト・ペア12aに沿ったツイスト・ペア12bを介して送信される。変換回路11は、オプションとして、全ての回路に電力を供給する電源レギュレータ117を有する。
【0031】
図3は、本発明の実施形態によるオスコネクタの変換回路の第2バージョンを例示的且つ概略的に示している。変換回路11は、コンフィギュレーション信号Cが電力伝送ケーブルを介して伝送される電力伝送上に電力線変調されるという点で、図2において示されているバージョンによる変換回路とは異なる。それを達成するために、コンフィギュレーション信号回路112の出力は、復号されたコンフィギュレーション信号Cから高周波信号を生成する変調器114に供給される。この高周波信号は、コンデンサ及びインダクタを含むフィルタユニット116を介して電力伝送Pと組み合わされる。インダクタは、電力伝送のためのDC成分のみを伝導するために使用され、コンデンサは、データ伝送のために使用される高周波成分を伝導している。両方の成分は、確実に、意図しないRF又はDCの流れが生じないようにする。データ通信は、1つのツイスト・ペア・ケーブル12b'を介して送信され、電力伝送P及びコンフィギュレーション信号C情報は、ツイスト・ペア・ケーブル12a'を介してケーブルの他方の端部にある各々のコネクタ20に送信される。
【0032】
図4は、本発明の実施形態によるオスコネクタの変換回路の第3バージョンを例示的且つ概略的に示している。本発明の実施形態のこのバージョンにおいては、電力P、データD及び信号情報Cを伝送するために、信号線のシングル・ツイスト・ペアしか使用されない。変換回路11は、図2及び3において示されている実施形態の組み合わせ回路を有する。コンフィギュレーション信号回路112の出力は、ハブ113に供給され、ハブ113においてデータ通信Dと組み合わされる。組み合わされた出力は、組み合わされた信号から高周波信号を生成する変調器114によって受信される。この高周波信号は、上で図3について説明したのと同じ理由で、コンデンサ及びインダクタを含むフィルタユニット116を介して電力伝送Pと組み合わされる。
【0033】
この実施形態においては、電圧及び電力要求についての情報、例えばコンフィギュレーション信号Cは、ケーブル12の電源導体Pにおける電力線通信によって転送される。このケーブル12は、高効率での電力供給のために最適化された1つのツイスト・ペアしか含まない。それは、例えば規格IEEE802.3bu及び802.3bpにおいて記載されているようなシングル・ツイスト・ペアを通じた信頼性の高いデータ及び電力伝送を可能にするように適切な絶縁を選択することによってデータ通信Dもサポートする。
【0034】
図1B、2、3及び4において示されている全ての実施形態で、コネクタ側部のうちの一方のみが、USB-Cタイプのものであってもよく、他方は、他のUSBコネクタ又は負荷特有のコネクタのいずれかであってもよい。電力ネゴシエーションのためのネゴシエーションパラメータは、例えば、製造時、設置若しくはコミッショニング時、又は動作中に、コネクタ集積回路において予めプログラムされ得る。コネクタのうちの1つが制御信号接点を供給しない場合には、変換回路が、電力ネゴシエーションのための各々の制御信号を生成し得る。好ましくは、ネゴシエーションのためのパラメータは、変換回路においてプログラムされ、記憶され得る。このプログラミングを行うために複数のやり方が使用されることができ、例えば、専用のUSB通信を介して工場内のプログラマがこのプログラミングを行うことができる。あるいは、負荷が、必要に応じて、ネゴシエーションプログラミングをチェックし、変更することができてもよい。例えば、負荷によって最初のネゴシエーションサイクルが開始され次第、変換回路は、ネゴシエーションパラメータを記憶し、後で、例えば、負荷のための再起動後に、ネゴシエーションを開始することができる。ケーブルの両側に、制御信号接点、例えば、USB Cコネクタが設けられる場合にも、変換回路において予めプログラムされたネゴシエーションを有することは有益であり得る。長いケーブルの場合は、リアルタイムでのネゴシエーション信号の伝送は、ケーブル長によって導入される時間シフトのために最適なソリューションではないかもしれない。そのため、長いケーブルを備えるアプリケーションにおいては、2つのコネクタは、最初に、両側の接続デバイスが何をネゴシエートしているかをやり取りし、コネクタが取り出されない限りその情報をローカルに記憶することができる。その場合、制御信号の最初の学習サイクルは、再起動直後に、如何なる準備もなしに、又は時としてデバイスからのトリガすらなしに、実施されることができる。コネクタは、デバイスの代わりに制御ネゴシエーションを実施することができる。
【0035】
本発明は、図面及び前述の説明において詳細に図示及び説明されているが、このような図示及び説明は、限定のためのものではなく、説明又は例示のためのものであると見なされるべきであり、本発明は、開示されている実施形態に限定されない。当業者は、請求項に記載の発明を実施する際に、図面、明細及び添付の請求項の研究から、開示されている実施形態に対する他の変形を、理解し、達成し得る。請求項において、「有する」という用語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形表記は、複数の存在を除外しない。単に、特定の手段が、互いに異なる従属請求項において挙げられているという事実は、これらの手段の組み合わせが有利になるように用いられることができないことを示すものではない。請求項における如何なる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されてはならない。
図1A
図1B
図2
図3
図4