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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】スキャンシステムのキャリブレーション
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/393 20170101AFI20221208BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20221208BHJP
   B23K 26/34 20140101ALI20221208BHJP
   B29C 64/268 20170101ALI20221208BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20221208BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20221208BHJP
【FI】
B29C64/393
B23K26/21 Z
B23K26/34
B29C64/268
B33Y30/00
B33Y50/02
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020524083
(86)(22)【出願日】2018-10-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 US2018057389
(87)【国際公開番号】W WO2019089323
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】62/578,952
(32)【優先日】2017-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510102122
【氏名又は名称】マテリアライズ・ナムローゼ・フエンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】MATERIALISE NV
【住所又は居所原語表記】Technologielaan 15,B-3001 Leuven,Belgium
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】デルイク,ヨルン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デン エッカー,ピエ
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-510658(JP,A)
【文献】特表2018-538167(JP,A)
【文献】特表2016-532586(JP,A)
【文献】国際公開第2017/158327(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/087451(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/21,26/34
B29C 64/10,64/20,64/268,64/30,
64/393,64/40
B33Y 10/00,30/00,50/00,50/02,
70/00,80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加製造装置におけるスキャンシステムをキャリブレーションするためのコンピュータ実行方法であって、
参照位置における画像取得アセンブリを使用して、付加製造装置においてスキャンシステムの走査領域に平行に配置された較正板の第1の表面上の複数の参照マークに対応する複数の画像参照マークを含む参照画像を取得するステップと、
前記参照画像における前記複数の画像参照マークと、前記較正板の前記第1の表面上の前記複数の参照マークとの間の差を表す誤差関数を決定するステップと、
前記較正板が走査領域にない場合に、該走査領域内の複数の所定の位置に走査マークを適用するようにスキャンシステムからスキャナビームを方向付けるステップと、
前記参照位置における前記画像取得アセンブリを使用して、前記走査マークに対応する画像走査マークを含むスキャン画像を取得するステップと、
前記画像走査マークの位置、前記誤差関数および前記走査領域内の前記所定の位置に基づいて、スキャナ補正を決定するステップと、
前記スキャナ補正を使用して、前記スキャンシステムをキャリブレーションするステップとを含み、
前記複数の参照マークの各々は、所定の座標位置に配置される、方法。
【請求項2】
前記スキャナビームを方向付けるステップ、前記スキャン画像を取得するステップ、前記スキャナ補正を決定するステップ、および前記スキャンシステムをキャリブレーションするステップのそれぞれは、前記付加製造装置を使用して物体を構築する間に実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記較正板の前記第1の表面は、前記参照画像を取得するときに、前記走査領域内の構築表面と同じxy平面内に位置決めされる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記画像取得アセンブリは、前記付加製造装置内またはその周囲の位置に固定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記画像取得アセンブリは、光学カメラを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記走査マークは、スポット、線、または十字のパターンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
付加製造装置におけるスキャンシステムをキャリブレーションするためのコンピュータ実行方法であって、
参照位置における画像取得アセンブリを使用して、付加製造装置においてスキャンシステムの走査領域に平行に配置された較正板の第1の表面上の複数の参照マークに対応する複数の画像参照マークを含む参照画像を取得するステップと、
前記参照画像における前記複数の画像参照マークと、前記較正板の前記第1の表面上の前記複数の参照マークとの間の差を表す誤差関数を決定するステップと、
前記較正板が走査領域にない場合に、該走査領域内の複数の所定の位置に走査マークを適用するようにスキャンシステムからスキャナビームを方向付けるステップと、
前記参照位置における前記画像取得アセンブリを使用して、前記走査マークに対応する画像走査マークを含むスキャン画像を取得するステップと、
前記画像走査マークの位置、前記誤差関数および前記走査領域内の前記所定の位置に基づいて、スキャナ補正を決定するステップと、
前記スキャナ補正を使用して、前記スキャンシステムをキャリブレーションするステップとを含み、
前記複数の参照マークは、円形スポットの規則正しいパターンを含む、方法。
【請求項8】
前記規則正しいパターンは、格子のパターンである、請求項に記載の方法。
【請求項9】
付加製造装置におけるスキャンシステムをキャリブレーションするためのコンピュータ実行方法であって、
参照位置における画像取得アセンブリを使用して、付加製造装置においてスキャンシステムの走査領域に平行に配置された較正板の第1の表面上の複数の参照マークに対応する複数の画像参照マークを含む参照画像を取得するステップと、
前記参照画像における前記複数の画像参照マークと、前記較正板の前記第1の表面上の前記複数の参照マークとの間の差を表す誤差関数を決定するステップと、
前記較正板が走査領域にない場合に、該走査領域内の複数の所定の位置に走査マークを適用するようにスキャンシステムからスキャナビームを方向付けるステップと、
前記参照位置における前記画像取得アセンブリを使用して、前記走査マークに対応する画像走査マークを含むスキャン画像を取得するステップと、
前記画像走査マークの位置、前記誤差関数および前記走査領域内の前記所定の位置に基づいて、スキャナ補正を決定するステップと、
前記スキャナ補正を使用して、前記スキャンシステムをキャリブレーションするステップとを含み、
前記誤差関数を決定するステップは、さらに、
前記参照画像内の注目領域を選択するステップと、
前記参照画像内の選択された複数の画像参照マークを含む特徴を、前記注目領域において検出するステップと、
前記特徴につき観察された座標位置を決定するステップと、
前記参照画像における特徴の観察された前記座標位置を、前記較正板上の複数の参照マークの真の座標位置と比較するステップとを含む、方法。
【請求項10】
付加製造装置におけるスキャンシステムをキャリブレーションするためのコンピュータ実行方法であって、
参照位置における画像取得アセンブリを使用して、付加製造装置においてスキャンシステムの走査領域に平行に配置された較正板の第1の表面上の複数の参照マークに対応する複数の画像参照マークを含む参照画像を取得するステップと、
前記参照画像における前記複数の画像参照マークと、前記較正板の前記第1の表面上の前記複数の参照マークとの間の差を表す誤差関数を決定するステップと、
前記較正板が走査領域にない場合に、該走査領域内の複数の所定の位置に走査マークを適用するようにスキャンシステムからスキャナビームを方向付けるステップと、
前記参照位置における前記画像取得アセンブリを使用して、前記走査マークに対応する画像走査マークを含むスキャン画像を取得するステップと、
前記画像走査マークの位置、前記誤差関数および前記走査領域内の前記所定の位置に基づいて、スキャナ補正を決定するステップと、
前記スキャナ補正を使用して、前記スキャンシステムをキャリブレーションするステップとを含み、
前記スキャナビームを方向付ける前に、前記較正板を前記画像取得アセンブリの経路から移動させるステップをさらに含む、方法。
【請求項11】
付加製造装置におけるスキャンシステムをキャリブレーションするためのコンピュータ実行方法であって、
参照位置における画像取得アセンブリを使用して、付加製造装置においてスキャンシステムの走査領域に平行に配置された較正板の第1の表面上の複数の参照マークに対応する複数の画像参照マークを含む参照画像を取得するステップと、
前記参照画像における前記複数の画像参照マークと、前記較正板の前記第1の表面上の前記複数の参照マークとの間の差を表す誤差関数を決定するステップと、
前記較正板が走査領域にない場合に、該走査領域内の複数の所定の位置に走査マークを適用するようにスキャンシステムからスキャナビームを方向付けるステップと、
前記参照位置における前記画像取得アセンブリを使用して、前記走査マークに対応する画像走査マークを含むスキャン画像を取得するステップと、
前記画像走査マークの位置、前記誤差関数および前記走査領域内の前記所定の位置に基づいて、スキャナ補正を決定するステップと、
前記スキャナ補正を使用して、前記スキャンシステムをキャリブレーションするステップとを含み、
前記スキャン画像は、単一の画像または画像のスタックを含む、方法。
【請求項12】
付加製造装置におけるスキャンシステムをキャリブレーションするためのコンピュータ実行方法であって、
参照位置における画像取得アセンブリを使用して、付加製造装置においてスキャンシステムの走査領域に平行に配置された較正板の第1の表面上の複数の参照マークに対応する複数の画像参照マークを含む参照画像を取得するステップと、
前記参照画像における前記複数の画像参照マークと、前記較正板の前記第1の表面上の前記複数の参照マークとの間の差を表す誤差関数を決定するステップと、
前記較正板が走査領域にない場合に、該走査領域内の複数の所定の位置に走査マークを適用するようにスキャンシステムからスキャナビームを方向付けるステップと、
前記参照位置における前記画像取得アセンブリを使用して、前記走査マークに対応する画像走査マークを含むスキャン画像を取得するステップと、
前記画像走査マークの位置、前記誤差関数および前記走査領域内の前記所定の位置に基づいて、スキャナ補正を決定するステップと、
前記スキャナ補正を使用して、前記スキャンシステムをキャリブレーションするステップとを含み、
前記スキャン画像は、前記走査マークの全てが適用される前に取得される、方法。
【請求項13】
付加製造装置におけるスキャンシステムをキャリブレーションするためのコンピュータ実行方法であって、
参照位置における画像取得アセンブリを使用して、付加製造装置においてスキャンシステムの走査領域に平行に配置された較正板の第1の表面上の複数の参照マークに対応する複数の画像参照マークを含む参照画像を取得するステップと、
前記参照画像における前記複数の画像参照マークと、前記較正板の前記第1の表面上の前記複数の参照マークとの間の差を表す誤差関数を決定するステップと、
前記較正板が走査領域にない場合に、該走査領域内の複数の所定の位置に走査マークを適用するようにスキャンシステムからスキャナビームを方向付けるステップと、
前記参照位置における前記画像取得アセンブリを使用して、前記走査マークに対応する画像走査マークを含むスキャン画像を取得するステップと、
前記画像走査マークの位置、前記誤差関数および前記走査領域内の前記所定の位置に基づいて、スキャナ補正を決定するステップと、
前記スキャナ補正を使用して、前記スキャンシステムをキャリブレーションするステップとを含み、
前記スキャンシステムは、前記走査マークをパイロットレーザにより適用する、方法。
【請求項14】
付加製造装置におけるスキャンシステムをキャリブレーションするためのコンピュータ実行方法であって、
参照位置における画像取得アセンブリを使用して、付加製造装置においてスキャンシステムの走査領域に平行に配置された較正板の第1の表面上の複数の参照マークに対応する複数の画像参照マークを含む参照画像を取得するステップと、
前記参照画像における前記複数の画像参照マークと、前記較正板の前記第1の表面上の前記複数の参照マークとの間の差を表す誤差関数を決定するステップと、
前記較正板が走査領域にない場合に、該走査領域内の複数の所定の位置に走査マークを適用するようにスキャンシステムからスキャナビームを方向付けるステップと、
前記参照位置における前記画像取得アセンブリを使用して、前記走査マークに対応する画像走査マークを含むスキャン画像を取得するステップと、
前記画像走査マークの位置、前記誤差関数および前記走査領域内の前記所定の位置に基づいて、スキャナ補正を決定するステップと、
前記スキャナ補正を使用して、前記スキャンシステムをキャリブレーションするステップとを含み、
前記スキャナ補正を決定するステップは、
前記スキャン画像内の注目領域を選択するステップと、
前記スキャン画像内の選択された前記複数の画像走査マーク
を含む特徴を、前記注目領域において検出するステップと、
前記特徴につき観察された座標位置を決定するステップと、
前記特徴の真の座標位置を得るために、前記誤差関数を適用するステップと、
前記真の座標位置と、前記走査領域内の前記所定の位置との間の偏差値を取得するステップと、
前記偏差値に基づいてスキャナ補正を決定するステップとをさらに含む、方法。
【請求項15】
前記偏差値を取得するステップは、表面フィッティングをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
付加製造装置におけるスキャンシステムをキャリブレーションするためのコンピュータ実行方法であって、
参照位置における画像取得アセンブリを使用して、付加製造装置においてスキャンシステムの走査領域に平行に配置された較正板の第1の表面上の複数の参照マークに対応する複数の画像参照マークを含む参照画像を取得するステップと、
前記参照画像における前記複数の画像参照マークと、前記較正板の前記第1の表面上の前記複数の参照マークとの間の差を表す誤差関数を決定するステップと、
前記較正板が走査領域にない場合に、該走査領域内の複数の所定の位置に走査マークを適用するようにスキャンシステムからスキャナビームを方向付けるステップと、
前記参照位置における前記画像取得アセンブリを使用して、前記走査マークに対応する画像走査マークを含むスキャン画像を取得するステップと、
前記画像走査マークの位置、前記誤差関数および前記走査領域内の前記所定の位置に基づいて、スキャナ補正を決定するステップと、
前記スキャナ補正を使用して、前記スキャンシステムをキャリブレーションするステップとを含み、
前記スキャンシステムをキャリブレーションするステップは、前記スキャンシステム内のスキャナの座標位置を、前記スキャナ補正に対応する距離または係数だけ調整するステップを含む、方法。
【請求項17】
付加製造装置におけるスキャンシステムをキャリブレーションするためのコンピュータ実行方法であって、
参照位置における画像取得アセンブリを使用して、付加製造装置においてスキャンシステムの走査領域に平行に配置された較正板の第1の表面上の複数の参照マークに対応する複数の画像参照マークを含む参照画像を取得するステップと、
前記参照画像における前記複数の画像参照マークと、前記較正板の前記第1の表面上の前記複数の参照マークとの間の差を表す誤差関数を決定するステップと、
前記較正板が走査領域にない場合に、該走査領域内の複数の所定の位置に走査マークを適用するようにスキャンシステムからスキャナビームを方向付けるステップと、
前記参照位置における前記画像取得アセンブリを使用して、前記走査マークに対応する画像走査マークを含むスキャン画像を取得するステップと、
前記画像走査マークの位置、前記誤差関数および前記走査領域内の前記所定の位置に基づいて、スキャナ補正を決定するステップと、
前記スキャナ補正を使用して、前記スキャンシステムをキャリブレーションするステップとを含み、
少なくとも第2のスキャンシステムをキャリブレーションするステップと、
単一の走査フィールドを得るために、少なくとも前記第2のスキャンシステムおよびスキャンシステムに対応する複数の走査フィールドを位置合わせするステップとをさらに含む、方法。
【請求項18】
付加製造装置におけるスキャンシステムをキャリブレーションするためのコンピュータ実行方法であって、
参照位置における画像取得アセンブリを使用して、付加製造装置においてスキャンシステムの走査領域に平行に配置された較正板の第1の表面上の複数の参照マークに対応する複数の画像参照マークを含む参照画像を取得するステップと、
前記参照画像における前記複数の画像参照マークと、前記較正板の前記第1の表面上の前記複数の参照マークとの間の差を表す誤差関数を決定するステップと、
前記較正板が走査領域にない場合に、該走査領域内の複数の所定の位置に走査マークを適用するようにスキャンシステムからスキャナビームを方向付けるステップと、
前記参照位置における前記画像取得アセンブリを使用して、前記走査マークに対応する画像走査マークを含むスキャン画像を取得するステップと、
前記画像走査マークの位置、前記誤差関数および前記走査領域内の前記所定の位置に基づいて、スキャナ補正を決定するステップと、
前記スキャナ補正を使用して、前記スキャンシステムをキャリブレーションするステップとを含み、
前記スキャンシステムは、複数のスキャンシステムを備える複合スキャンシステムであり、前記複合スキャンシステムは、前記複数のスキャンシステムに対応する複数の走査フィールドを備える単一の走査フィールドに対応し、前記誤差関数は、前記複数の走査フィールドの各々をキャリブレーションするために使用される、方法。
【請求項19】
付加製造装置におけるスキャンシステムをキャリブレーションするためのシステムであって、
複数の参照マークを有する第1の表面を含み、前記スキャンシステムの走査領域に平行に取り外し可能に位置決めされるように構成された較正板と、
走査領域にスキャナビームを向けるように構成されたスキャンシステムと、
参照位置に配置され、少なくとも2つの時点の間に前記走査領域の少なくとも一部の画像を取得するように構成された画像取得装置を含む画像取得アセンブリと、
メモリとプロセッサとを有する1つ以上のコンピュータを含むコンピュータ制御システムとを含み、
前記少なくとも2つの時点は、
前記較正板が前記付加製造装置の前記走査領域に配置される第1の時点、および、
前記スキャンシステムが前記走査領域にスキャナビームを送出した第2の時点を含み、
前記コンピュータ制御システムは、
前記較正板の前記第1の表面上の前記参照マークに対応する複数の画像参照マークを含む参照画像を受け取り、
前記参照画像内の前記複数の画像参照マークと、前記較正板の前記第1の表面上の前記複数の参照マークとの間の差に基づいて、誤差関数を決定し、
前記スキャンシステムに、前記走査領域上の複数の所定の位置に向けて前記スキャナビームを方向付けさせて、それによって、1つまたは複数の走査マークを生成し、
前記走査マークに対応する画像走査マークを含む画像を受け取り、
前記画像走査マークの位置、前記誤差関数および前記走査領域内の前記所定の位置に基づいてスキャナ補正を決定する、ように構成され
前記複数の参照マークの各々は、所定の座標位置に配置される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願とのクロスレファレンス)
本出願は、2017年10月30日に出願された米国仮特許出願第62/578,952号の利益を主張する。該仮出願の内容は、参照により完全に組み込まれる。
【0002】
(本発明の分野)
本出願は、レーザスキャンシステム等のスキャンシステムのキャリブレーションに関する。本出願は、キャリブレーションのための参照として画像を使用するスキャンシステムをキャリブレーションするためのシステムおよび方法に関する。キャリブレーションは、スキャンシステムが付加製造装置において物体を構築するなどのようなタスクを完了させている間に実行されてもよい。
【背景技術】
【0003】
レーザスキャンシステムのようなスキャンシステムは、多くの異なる用途で使用されている。これらの用途の1つは、3次元固体物体がデジタルモデルから形成される付加製造の分野である。製造された物体は3次元であるため、付加製造は一般に3次元(「3D」)印刷と呼ばれる。付加製造におけるレーザスキャンシステムの使用は特に、ステレオリソグラフィおよび選択的レーザ焼結(「SLS」)製造技術において一般的である。これらの技術では、所望の3次元(「3D」)物体を生成するために使用される構築材料の層を重合または固化するために、スキャンシステムを使用して、スキャナビームを指定された位置に向ける。
【0004】
付加製造に関連して使用されるスキャンシステムは、非常に高い精度を提供しなければならない。この高い精度は、製造された物体がデジタルモデルと一致することを保証するのに役立つ。しかしながら、この精度を長く維持するためには、種々の理由でスキャンシステムにキャリブレーションが必要になる場合がある。いくつかの事例では、装置の使用に伴って発生するスキャナビームの変化のために、キャリブレーションが必要である。他の事例では、温度のばらつきがスキャンシステムの精度に影響を及ぼす場合がある。さらに、検流計を含むようなスキャンシステムにおけるミラーのジオメトリは、別の誤差の原因となり得る。
【0005】
スキャンシステムをキャリブレーションするための様々な既存の技法があるが、一部は高価で複雑であり、ほとんどの必要な設備および調整では、その技法を頻繁に実行することは非実用的である。その結果、ユーザは典型的には好都合であるが、選択された時間にのみスキャンシステムをキャリブレーションする。しかしこれでは、付加製造装置上の個々の構築の精度を保証するのに十分な頻度ではない可能性がある。例えば、スキャンシステムは光学系が位置合わせされた後、一度だけキャリブレーションされ得るが、構築の合間にはキャリブレーションされない。現行の方法を使用すると、較正板が付加製造装置に配置されているときに構築を開始することはできないため、構築中にキャリブレーションを実行することはできない。
【0006】
スキャニングの精度は、付加製造装置における構築の成功にとって重要であるので、スキャンシステムをより頻繁にキャリブレーションすることができれば有利である。本技術分野では、いつでも、たとえ構築中であっても、スキャンシステムを利便性良く頻繁にキャリブレーションすることを可能にする方法およびシステムが必要である。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、付加製造装置におけるスキャンシステムをキャリブレーションするためのコンピュータ実行方法に関する。該方法は、参照位置における画像取得アセンブリを使用して、付加製造装置においてスキャンシステムの走査領域に平行に配置された較正板の第1の表面上の複数の参照マークの参照画像を取得するステップと、前記参照画像における参照マークと、前記較正板上の参照マークとの間の差を表す誤差関数を決定するステップと、前記較正板が走査領域にない場合に、該走査領域内の複数の所定の位置に走査マークを適用するようにスキャンシステムからスキャナビームを方向付けるステップと、前記参照位置における前記画像取得アセンブリを使用して、前記走査マークのスキャン画像を取得するステップと、前記スキャン画像における前記走査マークの位置、前記誤差関数および前記走査領域内の前記所定の位置に基づいて、スキャナ補正を決定するステップと、前記スキャナ補正を使用して、前記スキャンシステムをキャリブレーションするステップとを含む。
【0008】
ある実施形態では、参照マークの各々は、所定の座標位置に配置される。例えば、参照マークは、円形スポットの規則正しいパターンを含むことができる。規則正しいパターンは、格子のパターンであってもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、較正板の第1の表面は、参照画像を取得するときに、走査領域内の構築表面と同じxy平面内に位置決めされる。
【0010】
画像取得アセンブリは、付加製造装置内またはその周囲の位置に固定されてもよい。画像取得アセンブリは、光学カメラを含んでもよい。
【0011】
ある実施形態では、誤差関数を決定するステップは、さらに、参照画像内の注目領域を選択するステップと、参照画像内の選択された参照マークを含む特徴を、注目領域において検出するステップと、特徴につき座標位置を決定するステップと、参照画像における特徴の座標位置を、較正板上の複数の参照マークの座標位置と比較するステップとを含む。
【0012】
ある実施形態では、スキャナビームを方向付ける前に、較正板を画像取得アセンブリの経路から移動させてもよい。走査マークは、スポット、線、または十字のパターンを含んでいてもよい。スキャン画像は、単一の画像または画像のスタックを含んでいてもよい。スキャン画像は、走査マークの全てが適用される前に取得されてもよい。スキャンシステムは、走査マークをパイロットレーザにより適用してもよい。
【0013】
スキャナ補正を決定するステップは、スキャン画像内の注目領域を選択するステップと、スキャン画像内の選択された走査マークを含む特徴を、注目領域において検出するステップと、特徴につき観察された座標位置を決定するステップと、特徴の真の座標位置を得るために、誤差関数を適用するステップと、真の座標位置と、走査領域内の所定の位置との間の偏差値を取得するステップと、偏差値に基づいてスキャナ補正を決定するステップとをさらに含んでいてもよい。
【0014】
偏差値を取得するステップは、表面フィッティングをさらに含んでいてもよい。スキャンシステムをキャリブレーションするステップは、前記スキャンシステム内のスキャナの座標位置を、前記スキャナ補正に対応する距離または係数だけ調整するステップを含んでいてもよい。本開示のさらなる態様は、付加製造装置におけるスキャンシステムをキャリブレーションするためのシステムに関する。該システムは、複数の参照マークを有する第1の表面を含み、前記スキャンシステムの走査領域に平行に取り外し可能に位置決めされるように構成された較正板と、走査領域にスキャナビームを向けるように構成されたスキャナと、参照位置に配置され、少なくとも2つの時点の間に前記走査領域の少なくとも一部の画像を取得するように構成された画像取得装置を含む画像取得アセンブリと、メモリとプロセッサとを有する1つ以上のコンピュータを含むコンピュータ制御システムとを含む。前記少なくとも2つの時点は、前記較正板が前記付加製造装置の前記走査領域に配置される第1の時点、および、前記スキャンシステムが前記走査領域にスキャナビームを送出した第2の時点を含む。前記コンピュータ制御システムは、前記較正板の前記第1の表面上の前記参照マークの画像を受け取り、前記参照画像内の参照マークと、前記較正板上の参照マークとの間の差に基づいて、誤差関数を決定し、前記スキャンシステムに、前記走査領域上の複数の所定の位置に向けて前記スキャナビームを方向付けさせて、それによって、1つまたは複数の走査マークを生成し、前記走査マークの画像を受け取り、スキャン画像の走査マークの位置、前記誤差関数および前記走査領域内の前記所定の位置に基づいてスキャナ補正を決定するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、3D物体の設計および製造の実装に適したコンピュータ環境の一例を示す図である。
図2図2は、コンピュータの一例を示す機能ブロック図である。
図3図3は、本明細書で開示される方法およびシステムを使用して3D物体を製造するためのハイレベルな処理を示す図である。
図4図4は、本明細書に開示される方法およびシステムを使用してキャリブレーションされ得るスキャンシステムの一例を示す図である。
図5A図5Aは、参照画像を取得するための例示的な処理を示す図である。
図5B図5Bは、参照画像内の検出された特徴に対する表面適合を示す図である。
図5C図5Cは、参照画像における検出された座標位置の真の座標位置への変換を示す図である。
図6図6は、スキャンシステムをキャリブレーションするための例示的な方法を示す図である。
図7A】スキャンおよびキャリブレーションの繰り返しサイクルにわたる例示的な偏差マップを示す図である。
図7B】スキャンおよびキャリブレーションの繰り返しサイクルにわたる例示的な偏差マップを示す図である。
図7C】スキャンおよびキャリブレーションの繰り返しサイクルにわたる例示的な偏差マップを示す図である。
図7D】スキャンおよびキャリブレーションの繰り返しサイクルにわたる例示的な偏差マップを示す図である。
図7E】スキャンおよびキャリブレーションの繰り返しサイクルにわたる例示的な偏差マップを示す図である。
図8図8は、デジタル画像において検出された特徴を処理するための例示的な方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本出願の実施形態は、3D印刷用途に関連して使用されるレーザスキャンシステムなどのスキャンシステムをキャリブレーションすることに関する。本明細書で開示されるシステムおよび方法は、3D印刷用途に関連して使用されるスキャンシステムをキャリブレーションするための単純で安価な方法を提供することができる。
【0017】
十分にキャリブレーションされたスキャンシステムは、付加製造(AM;additive manufacturing)技術を用いて正確な部品を構築するために重要である。スキャンシステムの位置誤差が部品の位置ずれや表面品質不良につながる可能性があるからである。精度を高めるために、光学系が調整または位置合わせされた後、また、各構築前、または構築中でさえも、キャリブレーションが頻繁に実行され得る。残念ながら、スキャンシステムをキャリブレーションするための既存の方法では、簡単かつ柔軟にキャリブレーションを頻繁に行うことができない。
【0018】
ほとんどの既存の方法では、スキャンシステムがマシン内の既知の位置に配置された参照板に関連してキャリブレーションされる。参照板は既知の(「所定の」または「期待される」)位置に参照マークを有する。スキャナビームは参照板上の上述の所定の位置に導かれてもよい。しかし、その実際の(または「真である」)位置では、スキャンシステムにおける小さな誤差または不正確さのために、スキャナビームランドがオフセットされることが多い。参照板上の参照マークに関して決定されるような、予め定義された位置と実際の位置との間の比較は、スキャナ補正を決定するために使用されてもよい。次に、スキャナ補正は、誤差を補正または埋め合わせるためにスキャンシステムに適用される。
【0019】
このアプローチの第1の欠点は、較正板が取り外されたり、スキャンシステム内の構成要素が調整されたりすると、あらゆる参照点が失われることである。構築中に較正板が付加製造装置から取り外される場合、較正板を再び同じ位置に置き換えることは困難である。さらに、スキャンシステムの構成要素が例えば、洗浄または再配置中に調整されると、上記較正板に対するそれらの構成要素の位置が変わり、以前の参照位置が失われる。このような場合、較正板をマシンに再度配置することで、新しい参照位置を作る必要がある。また、スキャニングシステムは、較正板に対するその新しい位置に従ってキャリブレーションする必要があるが、これには、時間がかかる。なぜなら、特に、スキャンシステムの構成要素が付加製造装置において頻繁に調整されるためである。さらなる欠点は、付加製造装置内の照明を変調しなければならない点にある。この変調は、参照グリッドとビームによって走査されたパターンの両方がキャリブレーション中に同時に検出されることを確実にするために必要である。最後に、キャリブレーションが繰り返し行われることによって、長期にわたって複合化されるキャリブレーションの各々において小さな誤差が存在する場合に、その誤差が拡大し得る。
【0020】
したがって、本技術分野では、スキャンシステムをキャリブレーションする新しい方法が必要とされている。本開示の1つの態様は、カメラまたは光学撮像デバイスなどの画像取得アセンブリに対して生成された較正板の単一の参照図を使用するキャリブレーション方法およびシステムに関する。画像取得アセンブリは、該アセンブリによって取得された任意の画像に対して誤差関数が決定され得るように、キャリブレーションされてもよい。スキャン画像は、スキャンシステムをキャリブレーションするために、誤差関数とともに、スキャナ補正を決定するのに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、画像取得アセンブリのキャリブレーションは、スキャンシステムのキャリブレーションと分けて実行されてもよい。スキャンシステムと比較して、画像取得アセンブリはそれに対して行われる調整がより少なく、移動させる部品がより少ないか、または全くないことがある。このことは、画像取得アセンブリが必要とするキャリブレーションはより少ないことを意味する。
【0021】
ある実施形態では、スキャンシステムは、構築表面上にスキャナビームを位置決めするのに適した構成要素を含む。該構成要素は、ビーム源およびスキャナ(例えば、ビームを偏向させる1つ以上のミラー)を備えたスキャンヘッドなどの1以上の構成要素と、レンズなどの光学系と、検流計制御装置と、電子機器とを備えていてもよい。例示的なスキャンシステムは、これらの構成要素の他の構成、および/または、撮像デバイスまたはセンサなどの追加の構成要素を備えていてもよい。電子ビーム溶融処理において電子ビームを方向付けるためのスキャンシステムは、本開示に従ってキャリブレーションされてもよい。また、光、熱、化学物質またはエネルギーがモータ駆動機構を使用して投射、噴射または方向付けられる任意のシステムも、同様に、本開示に従ってキャリブレーションされてもよい。いくつかの実施形態では、スキャンシステムは、モータ駆動システムではなく電磁システムであってもよいし、あるいは、異なる機構の組み合わせを備えていてもよい。スキャンシステムは、CNC機械加工ツールのような減算製造(subtractive manufacturing)システム、または付加製造システムに対応することができる。付加製造システムにおいて、キャリブレーションすることができる構成要素としては、これらに限定されないが、以下ものなどが含まれる。すなわち、レーザ焼結装置内のレーザスキャナと、例えば、電子ビームが電磁制御を使用して偏向される電子ビームシステムと、レーザまたは電子ビームの形態のエネルギーを偏向するシステムと、非線形スキャニング用に構成された回転スキャンシステムと、溶融堆積モデリング(FDM;fused deposition modeling)装置内の押出機と、デジタル光プロジェクタ(DLP;digital light projector)装置内の光源、コントローラ、撮像光学系および/またはプロジェクタと、が含まれる。
【0022】
本開示の第1の態様は、付加製造装置におけるスキャンシステムをキャリブレーションする方法に関する。該方法は、参照位置における画像取得アセンブリを使用して、付加製造装置においてスキャンシステムの走査領域に平行に配置された較正板の第1の表面上の複数の参照マークの参照画像を取得するステップと、誤差関数を決定するステップと、前記較正板が走査領域にない場合に、該走査領域内の複数の所定の位置に走査マークを適用するようにスキャナビームを方向付けるステップと、前記参照位置における前記画像取得アセンブリを使用して、前記走査マークのスキャン画像を取得するステップと、スキャン画像内の走査マークの位置、前記誤差関数および前記走査領域内の前記所定の位置に基づいて、スキャナ補正を決定するステップと、前記スキャナ補正を使用して、前記スキャンシステムをキャリブレーションするステップとを含む。
【0023】
本開示のさらなる態様は、付加製造装置におけるスキャンシステムをキャリブレーションするためのシステムに関する。該システムは、複数の参照マークを有する第1の表面を含み、前記スキャンシステムの走査領域に平行に取り外し可能に位置決めされるように構成された較正板と、走査領域にスキャナビームを向けるように構成されたスキャナと、参照位置に配置され、少なくとも2つの時点の間に前記走査領域の少なくとも一部の画像を取得するように構成された画像取得装置を含む画像取得アセンブリと、メモリとプロセッサとを有する1つ以上のコンピュータを含むコンピュータ制御システムとを含み、前記少なくとも2つの時点は、前記較正板が前記付加製造装置の前記走査領域に配置される第1の時点、および、前記スキャンシステムが前記走査領域にスキャナビームを送出した第2の時点を含み、前記コンピュータ制御システムは、前記較正板の前記第1の表面上の前記参照マークの画像を受け取り、前記参照画像内の参照マークと、前記較正板上の複数の参照マークとの間の差に基づいて、誤差関数を決定し、前記スキャンシステムに、前記走査領域上の複数の所定の位置に向けて前記スキャナビームを方向付けさせて、それによって、1つまたは複数の走査マークを生成し、前記走査マークの画像を受け取り、スキャン画像の走査マークの位置、前記誤差関数および前記走査領域内の前記所定の位置に基づいてスキャナ補正を決定する、ように構成されている。
【0024】
本明細書に開示される方法およびシステムは、また、画像取得アセンブリから取得されて格納された既存の参照画像、および/またはスキャンシステムのキャリブレーション前に決定された既存の誤差関数を使用してもよい。したがって、本開示の態様は、付加的製造装置におけるスキャンシステムをキャリブレーションする方法に関し、該方法は、参照位置における画像取得アセンブリから取得された画像内の参照マークの観察された座標位置と参照マークの真の座標位置との間の偏差を反映した誤差関数を取得するステップと、較正板が走査領域内にないときに、該走査領域上の複数の所定位置に走査マークを適用するように、スキャナビームを方向付けるステップと、参照位置にある画像取得アセンブリを使用して、走査マークのスキャン画像を取得するステップと、スキャン画像内の走査マークの位置と、誤差関数と、走査領域内の所定の位置とに基づいて、スキャナ補正を決定するステップと、スキャナ補正を使用して、該スキャンシステムをキャリブレーションするステップと、を含む。
【0025】
(付加製造システム)
本明細書で説明される実施形態は、3D物体を設計および製造するためのシステム内で実施することができる。図1を参照すると、3D物体の設計および製造の実装に適したコンピュータ環境の一例が示されている。この環境は、システム100を含む。システム100は、1つまたは複数のコンピュータ102a~102dを含み、これらは、例えば、任意のワークステーション、サーバ、または情報を処理することができる他のコンピューティングデバイスとすることができる。いくつかの態様では、コンピュータ102a~102dの各々は、任意の適切な通信技術(例えば、インターネットプロトコル)によって、ネットワーク105(例えば、インターネット)に接続することができる。したがって、コンピュータ102a~102dは、ネットワーク105を介して、互いに情報(例えば、ソフトウェア、3D物体のデジタル表現、付加製造装置を動作させるためのコマンドまたは命令など)を送受信することができる。
【0026】
システム100は、さらに、1つまたは複数の付加製造装置または付加製造機器(例えば、3Dプリンタ)106a~106bを含む。図示のように、付加製造装置106aは、コンピュータ102dに直接接続され(ネットワーク105を介してコンピュータ102a~102cに接続されたコンピュータ102dを介して)、付加製造装置106bは、ネットワーク105を介してコンピュータ102a~102dに接続される。したがって、当業者であれば、付加製造装置106をコンピュータ102に直接接続し、ネットワーク105を介してコンピュータ102に接続し、および/または別のコンピュータ102およびネットワーク105を介してコンピュータ102に接続することができることを理解するであろう。
【0027】
システム100は、ネットワークおよび1つまたは複数のコンピュータに関して説明されているが、本明細書で説明される技法は、付加製造装置106に直接接続することができる単一のコンピュータ102にも適用されることに留意されたい。
【0028】
図2は、図1のコンピュータの一例を示す機能ブロック図である。コンピュータ102aは、メモリ220とのデータ通信におけるプロセッサ210、入力装置230、および出力装置240を含んでいる。いくつかの実施形態では、プロセッサは、さらに、任意のネットワークインタフェースカード260とデータ通信する。別個に記載されているが、コンピュータ102aに関して記載されている機能ブロックは別個の構造要素である必要はないことを理解されたい。例えば、プロセッサ210およびメモリ220は、単一のチップで実現されてもよい。
【0029】
プロセッサ210は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)または他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリート・ゲートまたはトランジスタ論理、ディスクリート・ハードウェア構成要素、または本明細書で説明される機能を実行するように設計されたそれらの任意の適切な組合せとすることができる。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組合せ、例えばDSPとマイクロプロセッサの組合せ、複数のマイクロプロセッサの組合せ、DSPコアと接続された1つ以上のマイクロプロセッサの組合せ、または他のそのような構成として実施されてよい。
【0030】
プロセッサ210は、1つ以上のバスを介して、情報を読み取る、または、情報を書き込むために、メモリ220に接続され得る。プロセッサは、追加的にまたは代替的に、プロセッサレジスタのようなメモリを含み得る。メモリ220は、異なるレベルが異なる容量およびアクセス速度を有するマルチレベル階層キャッシュを含むプロセッサキャッシュを含み得る。メモリ220はまた、ランダムアクセスメモリ(RAM)、他の揮発性記憶装置、または不揮発性記憶装置を含み得る。記憶装置には、ハードドライブと、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、フラッシュメモリ、フロッピーディスク、磁気テープ、およびZipドライブなどのような光ディスクとを含めることができる。
【0031】
プロセッサ210はまた、コンピュータ102aのユーザからの入力を受信するために入力装置230と、該ユーザに出力を提供するために出力装置240と、それぞれ接続され得る。
【0032】
適切な入力装置にはキーボード、ボタン、キー、スイッチ、ポインティングデバイス、マウス、ジョイスティック、遠隔制御装置、赤外線検出器、バーコードリーダ、スキャナ、ビデオカメラ(おそらく、例えば、手のジェスチャまたは顔のジェスチャを検出するためにビデオ処理ソフトウェアと結合される)、モーション検出器、またはマイクロフォン(おそらく、音声コマンドを検出するためにオーディオ処理ソフトウェアと結合される)が含まれるが、これらに限定されない。適切な出力装置には、ディスプレイおよびプリンタを含む視覚出力装置、スピーカ、ヘッドホン、イヤホン、およびアラームを含む音声出力装置、付加製造装置および触覚出力装置が含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
プロセッサ210は、さらに、ネットワークインタフェースカード260に接続されてもよい。ネットワークインタフェースカード260は、1つ以上のデータ伝送プロトコルに従ってネットワークを介して伝送するために、プロセッサ210によって生成されたデータを準備する。ネットワークインタフェースカード260はまた、1つ以上のデータ伝送プロトコルに従って、ネットワークを介して受信されたデータをデコードする。ネットワークインタフェースカード260は、送信機、受信機、またはその両方を含むことができる。他の実施形態では、送信機および受信機を2つの別個の構成要素とすることができる。ネットワークインタフェースカード260は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)または他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリート・ゲートまたはトランジスタ・ロジック、ディスクリート・ハードウェア要素、または本明細書で説明する機能を実行するように設計されたそれらの任意の適切な組合せとして実施することができる。
【0034】
図3は、3D物体または装置を製造するための処理300を示す。図示のように、ステップ305では、コンピュータ102aなどのコンピュータを使用して、物体のデジタル表現が設計される。例えば、2Dまたは3Dデータが、3D物体のデジタル表現を設計するのを支援するために、コンピュータ102aに入力されてもよい。引き続きステップ310において、情報がコンピュータ102aから付加製造装置106のような付加製造装置に送信され、装置106は受信した情報に従って製造処理を開始する。ステップ315において、付加製造装置106は、液体樹脂のような任意の適切な材料を用いて3D物体を製造し続ける。
【0035】
これらの任意の適切な材料には、フォトポリマー樹脂、ポリウレタン、メチルメタクリレート-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン コポリマー、ポリマー-セラミック複合材料などの再吸収性材料などが含まれ得るが、これらに限定されない。市販の材料の例としては、(1)DSM Somos社のDSM Somos(登録商標)シリーズの材料7100、8100、9100、9420、10100、11100、12110、14120および15100、(2)Stratasys社の材料、ABSplus-P430、ABSi、ABS-ESD7、ABS-M30、ABS-M30i、PC-ABS、PC ISO、PC、ULTEM 9085、PPSFおよびPPSU、(3)3-Systems社の材料、Accura Plastic、DuraForm、CastForm、LaserformおよびVisiJet line、(4)EOS社の、PA線材料、PrimeCast材料およびPrimePart材料、ならびに、AlumideおよびCarbonMideが挙げられる。3-Systems社の材料、VisiJet線には、Visijet Flex、Visijet Tough、Visijet Clear、Visijet HiTemp、Visijet e-stone、Visijet Black、Visijet Jewel、Visijet FTIなどが含まれ得る。他の材料の例として、Objet Fullcure、Objet Veroclear、Objet Digital Materials、Objet Duruswhite、Objet Tangoblack、Objet Tangoplus、Objet Tangoblackplusなどの物体材料が含まれ得る。材料の別の例として、Renshape 5000および7800シリーズの材料が含まれ得る。さらに、ステップ320において、3D物体が生成される。
【0036】
図4は、3次元(3D)物体を生成するための例示的な付加製造装置400を示す。この例において、付加製造装置400は、レーザ焼結装置である。レーザ焼結装置400は、1つ以上の3D物体を層ごとに生成するために使用されてもよい。レーザ焼結装置400は、例えば、粉末(例えば、金属、ポリマーなど)を利用して、構築処理の一部としての1度の処理につき1層ずつ、物体を構築することができる。
【0037】
連続する粉体層は、例えば、再コーティング機構(例えば、再コーティングブレード、ドラム、またはローラ)を使用して、互いの上に広げられる。再コーティング機構は、該再コーティング機構が構築領域を横切って、例えば示された方向に移動するときに、層に対応する粉体を堆積する。あるいは、該再コーティング機構が、別の層の構築などについて、構築領域の他の側から開始する場合に反対方向に移動するときに、層に対応する粉体を堆積する。堆積後、コンピュータ制御されたCOレーザ光線が表面をスキャンし、製造物の対応する断面の粉末粒子を一緒に選択的に結合させる。いくつかの実施形態では、レーザ走査装置がX-Y可動赤外レーザ源である。このように、レーザ源は、そのビームを粉体の最上層の特定の位置に向けるために、X軸に沿って、かつY軸に沿って移動させることができる。あるいは、いくつかの実施形態では、レーザ走査装置は、レーザスキャナを備えていてもよい。該レーザスキャナは、静止レーザ源からレーザビームを受け取り、移動可能なミラーの上を偏向させて、該装置の作業領域内の特定の位置にビームを向ける。レーザ露光中、粉末温度は、材料(例えば、ガラス、ポリマー、金属)の転移点を超えて上昇し、その後、隣接する粒子が一緒に流れて3D物体を生成する。また、装置400は任意に、放射ヒータ(例えば、赤外線ランプ)および/または空気制御装置を含んでもよい。放射ヒータは、新しい粉体層の再コーティングとその層の走査との間の粉体を予熱するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、放射ヒータは省略されてもよい。空気制御装置は、例えば、粉末酸化のような望ましくないシナリオを回避するために、処理全体にわたって使用されてもよい。
【0038】
制御コンピュータ434は、付加製造装置400の動作を制御するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、制御コンピュータは、図2の1つ以上のコンピュータ102であってもよいし、図3のコンピュータ305であってもよい。いくつかの実施形態において、制御コンピュータ434は、付加製造装置400との間のインタフェースとして、組み込まれたまたは設定されたコントローラであってもよい。
【0039】
本明細書に開示される様々な実施形態は、コンピュータ制御システムの使用を提供する。当業者は、これらの実施形態が汎用および/または特定用途コンピューティングシステムの環境または構成の両方を含む、多数の異なる種類のコンピューティングデバイスを使用して実装され得ることを容易に理解するであろう。
【0040】
上記の実施形態に関連して使用するのに適した周知のコンピューティングシステム、環境、および/または構成の例にはパーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルドまたはラップトップデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのシステム、プログラマブル家庭用電化製品、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、上記のシステムまたはデバイスのいずれかを含む分散コンピューティング環境などが含まれ得るが、これらに限定されない。これらの装置は記憶された命令を含んでいてもよく、該命令は、コンピュータ装置内のマイクロプロセッサによって実行されると、コンピュータ装置に、指定された動作を実行させて、命令を実行させる。本明細書で使用されるように、命令は、コンピュータによって実現される、システム内の情報を処理するためのステップを指す。命令は、ソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェアで実現され得る。そして、命令は、システムの構成要素によって行われる任意の種類のプログラムされたステップを含む。
【0041】
マイクロプロセッサは、Pentium(登録商標)プロセッサ、Pentium Proプロセッサ、8051プロセッサ、MIPS(登録商標)プロセッサ、Power PC(登録商標)プロセッサ、またはAlpha(登録商標)プロセッサなどのように、従来の任意の汎用の、シングルチップまたはマルチチップマイクロプロセッサであってもよい。さらに、マイクロプロセッサは、デジタル信号プロセッサまたはグラフィックプロセッサなどの任意の従来の特定用途向けマイクロプロセッサであってもよい。マイクロプロセッサは、典型的には従来のアドレス線、従来のデータ線、および1つまたは複数の従来の制御線を有する。
【0042】
本明細書で開示される態様および実施形態は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらの任意の組合せを生成するために、標準的なプログラミング技法またはエンジニアリング技法を使用して、方法、装置、または製造品として実現され得る。本明細書で使用される「製造品」という用語は、光記憶デバイスなどのハードウェアまたは非一時的なコンピュータ可読媒体、ならびに信号、搬送波などの揮発性または不揮発性メモリデバイス、または一時的なコンピュータ可読媒体で実現されるコードまたはロジックを指す。そのようなハードウェアは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD)、プログラマブル論理アレイ(PLA)、マイクロプロセッサ、または他の同様の処理デバイスを含むことができるが、これらに限定されない。
【0043】
制御コンピュータ434は、レーザ走査装置444に接続されてもよい。レーザ走査装置は、レーザ源から受け取ったレーザビームを構築領域内に向けることができる可動ミラーを含んでいてもよい。レーザ源はまた、可動レーザ源であってもよく、または、ステレオリソグラフィ装置400内に設けられたレーザスキャナであってもよい。制御コンピュータ434は、レーザスキャンシステム444の移動および機能を制御するソフトウェアをさらに含んでいてもよい。したがって、制御コンピュータ434は、レーザ走査装置のモーメントおよびアクティブ化を制御するように構成されていてもよい。
【0044】
制御コンピュータ434は、さらに、画像取得アセンブリ436からデータ/画像を受信するように、画像取得アセンブリ436との間のインタフェースとして機能するように構成されていてもよい。制御コンピュータ434は、さらに、データ/画像を処理して、本明細書で説明するように、構築処理においてエラーがあるか否か、またはエラーが発生しそうか否かを判定するように構成されていてもよい。制御コンピュータ434は、さらに、画像取得アセンブリ436がいつどのように画像を取り込むかを制御するように構成されていてもよい。
【0045】
画像取得アセンブリ436は、付加製造装置400に取り付けられるように、それと一体化されるように、および/またはそれとは別に位置するように構成されていてもよい。そして、画像取得アセンブリ436は、構築領域450および/または構築された表面を監視するような位置に配置されてもよい。さらに、画像取得アセンブリ436は、動かないように構成されていてもよいし、様々な角度から構築領域450を監視するために、(制御コンピュータ434から受信される制御信号に基づいて)移動可能に構成されていてもよい。
【0046】
画像取得アセンブリ436は、較正板448または構築表面の画像を取得するように構成されていてもよい。より具体的には、画像取得アセンブリ436は、スキャンシステム444によって較正板448上に作られた、または、構築表面上に作られた、レーザスポットおよび/または他のマークの画像を取得するように構成されてもよい。
【0047】
画像取得アセンブリ436は、カメラ、例えば、光学カメラを含んでもよい。カメラは、走査装置をキャリブレーションするのに十分な精細さで較正板448または構築表面上のスポットおよび他のマークをキャプチャするのに十分な解像度を有する、市販の既製(「COTS」)デジタルカメラであってもよい。いくつかの実施形態では、画像取得アセンブリ436は、光学カメラ、熱画像化装置、IRカメラ、紫外線(UV)カメラ、または他の信号を視覚信号に転送するセンサのうちから選択される。
【0048】
画像取得アセンブリ436は、較正板の表面から反射するスポットをキャプチャするように構成された専用カメラまたは撮像デバイスの形態をとることができる。較正板上のスポットをキャプチャするために、画像取得アセンブリ436を、スキャンシステム444内のスキャナによって作成されたスポットに近い領域を指すように位置決めする必要がある場合がある。従って、画像取得アセンブリ436はまた、マウントを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、マウントは、較正板448上の様々な位置の画像をキャプチャするのに十分な可動範囲を提供する、チルトパンマウントであってもよい。マウントは、モータによって駆動されてもよい。モータは、画像取得アセンブリ436の移動に関する命令を提供する制御コンピュータ434からの制御信号を受信するように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、さらに、画像取得アセンブリ436は、チルトパン運動範囲を有することに加えて、一般にジブと呼ばれるクレーンの突出アーム上に搭載されていてもよい。ジブは、較正板448または構築表面上のスポットおよび/またはマークの画像をより良好に取得するために、画像取得アセンブリ436が、チルトおよびパンするだけでなく、その位置を物理的に移動させることを可能にすることによって、さらなる可動範囲を提供してもよい。
【0049】
(画像取得システムのキャリブレーション)
すべての画像取得アセンブリは、線の形状を変形させるレンズ誤差から生じる光学的歪み、および/または較正板または構築表面に対する画像取得アセンブリの位置から生じる透視歪みのいずれかに起因する固有の歪みを有する。例えば、付加製造装置のカメラは、全ての参照マークの上方の直接的な垂直線に配置されなくてもよい。代わりに、幾つかの参照マークは、画像内で楕円形に見える円形スポットのように、歪んで見えることがある。さらに、いくつかの参照マークは、他の参照マークよりもカメラに近く見えることがある。したがって、画像内の1つまたは複数の物体は、現実の物体の真のサイズ、形状、または位置に対応しない、画像内の見かけの(「観察された」または「検出された」)特性を有することができる。本明細書で開示される方法およびシステムは、この歪みを考慮するように設計される。
【0050】
いくつかの実施形態では、制御コンピュータ434などのコンピュータ制御システムは、参照マークがデジタル画像に現れるときに、参照マークのx座標およびy座標(また、「位置座標」)などの位置情報を取得し、これらの観察された座標位置を参照マークの真の座標と比較するように構成される。観察された座標と真の座標との間の差に基づいて、コンピュータ制御システムは、画像取得アセンブリ436などの画像取得アセンブリから生じる歪みに対する誤差関数を計算することができる。誤差関数はコンピュータ制御システムまたはネットワークに記憶されてもよく、歪みを補正し、同じ画像取得アセンブリによって取得された任意の他の画像における特徴の真の座標位置を決定するために使用されてもよい。
【0051】
制御コンピュータ434は、画像取得アセンブリ436から取得された参照画像を用いてプロセスを開始することができる。いくつかの実施形態では、参照画像が参照マークのデジタル画像であり、例えば、較正板448などの較正板の第1の表面上にあり得る参照マークである。参照画像は、参照位置に配置された画像取得アセンブリ436を使用して取得することができる。参照位置は、付加製造装置400のような付加製造装置内またはその周囲の固定位置であってもよい。画像取得アセンブリ436は、構築表面に対して固定されているこの参照位置から動かさなくてもよい。画像取得アセンブリ436が構築表面に対して再配置される場合、新しい参照画像が取得されるべきである。しかしながら、スキャンシステム444のようなスキャンシステムの構成要素とは対照的に、画像取得アセンブリ436は、特にアセンブリが付加製造装置400に内蔵されている場合には頻繁に再配置されることは少ない。したがって、参照位置にある画像取得アセンブリ436は、すべての後続の画像を取得することができる単一の基準ビューを提供することができる。
【0052】
較正板448上で、各参照マークは、既知の、所定のxおよびy位置座標のセットで既知の位置を有していてもよい。例示的な参照マークは、スポットなどの物体の秩序立ったパターンを含むことができる。いくつかの実施態様において、秩序立ったパターンは、格子パターンである。例えば、参照マークは、格子パターンの十字、x、線、またはスポットのパターンであってもよい。スポットは、不均一なアレイで構成されてもよい。スポットは例えば、円、正方形、楕円など、任意の幾何学的形状を有してもよく、参照位置は、その形状から導出されてもよい。一般に、幾何学的関数が既知であるか、または計算することができる任意の形状を、参照マークとして使用することができる。例えば、参照マークは、円周内の中心が既知であるか、または計算することができる形状とすることができる。参照マークは、中空円、または他の閉ループ形状などの形状の輪郭を含んでいてもよい。参照マークは、凸面および/または閉じた輪郭を含んでいてもよい。参照マークは、位置の近似を作成するのに十分な数の点を含んでいてもよい。
【0053】
ある実施態様では、各スポットは円、すなわち、固定点から等距離にある点の集合で境界(円周)が成り立つ丸い平面図形であってもよい。真の位置座標は他の形状の画像よりも、画像化された円においてより容易に決定され得るので、円は他の幾何学的形状よりも高い解像度を有し得る。画像化された円が歪みによって楕円形に見えても、画像化された円のエッジは依然として参照円のエッジと整合していてもよく、画像化された円の中心点は依然としてこれらのエッジに対して規定されていてもよい。
【0054】
いくつかの実施態様において、較正板448上のパターン内のスポットは、全て、大きさおよび形状が均一である。ある実施形態では、スポットはサイズおよび/または形状が不均一である。グリッドパターンは、n×nマスのグリッドを形成するために、第1の方向の少なくともn個のスポットと第2の方向のn個のスポットとを含むことができる。ここで、nおよびnは、同一の数であっても、異なる数であってもよい。いくつかの実施形態では、グリッドパターンが少なくとも3×3スポットを含む。グリッドパターンのサイズは、付加製造装置400内の較正板448または構築表面のサイズに依存してもよい。一般に、グリッドパターンは測定するのに十分なデータポイントを提供するための十分な数のスポットを含んでいてもよい。一方、各スポットは検出するのに十分な数のピクセルを有する表面領域を含んでいてもよい。例えば、グリッドパターンは少なくとも3×3のスポットを有していてもよく、各スポットの表面領域は少なくとも20ピクセルを含んでいてもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、参照マークがサイズ、形状、および分布のうちの少なくとも1つにおいて不均一である。例えば、参照マークは、較正板上にランダムに配置されてもよいし、または、認識可能なパターンを形成してもよい。パターンは、非対称であってもよいし、または、較正板上に均一に分布していない個別のマークを含んでいてもよい。一般に、各参照マークの正確な既知の位置は既知であり得るが、参照マークの互いに対する構成は均一であっても不均一であってもよく、パターン化されていてもされていなくてもよい。
【0056】
参照マークは、較正板448の第1の表面上に正確に印刷またはエッチングされてもよい。いくつかの実施形態では、較正板448が剛性プレート、フィルム、または紙である。ある実施形態では、較正板448は、部品が構築される原材料の表面などのような較正表面であってもよい。ラスタースキャンのような参照マークは、構築表面に投影されて画像が形成されてもよい。参照マークと較正板448との間のコントラストは、画像取得装置436によって検出されてもよいし、または、画像取得装置436によって取得された画像において検出可能であってもよい。粉砕プレートまたはインク印刷プレートを使用してもよい。ある態様では、参照マークの意図された位置と実際の位置とが近くなるように、参照マークの正確な配置が重要である。ある態様では、許容誤差は、最大で±500μmの範囲内であるべきであり、±50μm、±10μm、±5μm、または±1μmなどのように、±100μm以下の範囲内の許容誤差も採用され得る。
【0057】
較正板448は、その上に落下する光の波長を変化させる材料を含んでもよい。例えば、材料は、ある1つの波長で1つまたは複数の光子を吸収し、異なる波長で1つまたは複数の光子を放出してもよい。このようにして、UVまたは赤外線(IR)放射は、異なるスペクトルの光に変換されてもよいし、または、より高いまたはより低い波長への多くの他の変換が採用されてもよい。可視光は可視スペクトルに敏感なカメラによって検出されてもよいし、IR放射は、IRカメラによって検出されてもよい。較正板に使用される例示的な材料は、セラミック、インク、蛍光体、蛍光材料であってもよいし、有機または無機であってもよい。いくつかの実施形態では、光の波長を変換する材料は、較正板、紙、フィルム、または他の基板上に存在してもよい。電子ビームが使用されるいくつかの実施形態では、較正板内の材料に対する電子の影響が検出されてもよく、例えば、電子ビームが較正板、紙、フィルムなどの材料に接触するところで熱または光が放出されてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、較正板448は、平坦な表面を有していてもよい。ある実施形態では、較正板448は、構築される物体と同じ形状の表面を有していてもよい。例えば、スキャナビームを湾曲した表面上に向けるスキャンシステム444によって、湾曲した物体が構築される場合、較正板448は、湾曲した表面を有していてもよい。
【0059】
一般に、較正板448は、物体が構築されるときにスキャナビームが方向付けられるのであろう正確に同じ空間位置または平面位置にて、付加製造装置400内に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、較正板448は、スキャンシステム444の走査領域に平行に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、参照マークは、構築表面(「構築平面」でもある)、すなわち、スキャナビームに露光されたかまたは露光される粉末または樹脂または他の構築材料の表面と同じxy平面内にあってもよい。従って、較正板448は、較正板の第1の表面上の参照マークもこの平面内に位置しているということを確実にするために、構築表面と同じxy平面内に位置決めされてもよい。ある実施形態では、参照マークは、構築表面に対して平行であるが、構築表面と同じxy平面内に配置されていなくてもよい。
【0060】
制御コンピュータ434は、参照画像、ならびに参照画像における歪みの補正に関するパラメータおよび/または関数を取得および/または保存するように構成されていてもよい。補正に関連するデータまたは関数は、メタデータとして記憶することができる。参照画像を取得することは、較正板448上の参照マークのデジタル画像を取得することを含んでいてもよい。制御コンピュータ434は、参照画像内の注目領域を選択すること、注目領域内の特徴を識別すること(該特徴は、参照画像内の選択された参照マークを含む)、および、領域内の上記特徴の位置に関する誤差関数を取得すること、などの画像処理ステップを用いて、参照画像を処理するように構成されてもよい。
【0061】
制御コンピュータ434は、参照画像を取得するように画像取得アセンブリ436に指示することができる。制御コンピュータ434は、参照画像を複数の画素に離散化してもよい。いくつかの実施形態では、画像取得アセンブリ436は、一連の参照画像を取得するように指示され、制御コンピュータ434は、一連の参照画像からの特徴についての平均表現を生成する。一連の画像からの特徴を平均化することにより、単一画像で発生するランダムなノイズを低減することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、制御コンピュータ434は、以下の画像処理のステップを用いて参照画像を処理するように構成される。上記画像処理は、特徴を検出すること、特徴の中心座標を計算すること、および特徴の位置を決定することを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、注目領域(ROI)は、例えば、ユーザによって、またはROIを認識するように構成された制御コンピュータ434によって、参照画像内で選択されてもよい。ROIは、参照画像全体を含んでいてもよいし、参照画像の部分集合を含んでいてもよい。例えば、参照画像は、較正板448全体に、較正板448の外側の付加的な表面領域を加えたものを含んでいてもよい。この場合、ROIは、較正板448のみを含み得る。いくつかの実施形態では、画像は、参照マークの方向付けを助けるために追加のマークを有していてもよい。制御コンピュータ434は、例えば、参照マークを含む特徴のみを検出することによって、これらの追加のマークを元の参照マークと区別するように構成されていてもよい。制御コンピュータ434は、ROI内の特徴を検出するように構成されていてもよい。特徴は、円形スポットなどの参照マーク、またはその部品とすることができる。制御コンピュータ434は、特徴を、デジタル画像に現れるノイズまたは非特定ピクセルから区別するように構成されていてもよい。
【0063】
例示的な方法では、制御コンピュータ434は、ROI内のピクセルについてのバイナリマスクを作成することによって特徴を検出する。バイナリマスクは、ピクセル強度の閾値に基づいていてもよい。その結果、所与の閾値を下回るすべてのピクセルは0によって表されるが、所与の閾値以上のすべてのピクセルは1によって表される。制御コンピュータ434は、フィルタリング方法を用いて、1によって指定された画素の領域、例えば、1によって指定された最小数の画素が位置する領域を分離することができる。フィルタリング方法は、参照マークの画素分布における不均一な照明または他の不規則性を考慮するように構成されていてもよい。また、バイナリ値クラスタが検出された後に、例えば、面積、円形度、円周、幾何学的形状などに基づいて画素のバイナリ値クラスタを選択するために、他のフィルタリング方法が使用されてもよい。
【0064】
検出された特徴のフィルタリングされたバイナリ表現を取得した後、制御コンピュータ434は、特徴の中心の座標位置(「中心座標」ともいう)を決定するように構成されていてもよい。図8は、円形スポットの中心座標を検出するための例示的な方法のステップを示す。ROI(800)では、中空球(801)の形状を有する特徴が検出され得る。コンピュータ制御システムは、球の生のグレースケール画像(802)から開始し、バイナリマスクを使用して球のバイナリ画像(803)を生成してもよい。コンピュータ制御システムは、大まかな中心推定値(十字記号804によって表される)を設定してもよい。グレースケール画像では、コンピュータ制御システムは、スポーク(805)、または大まかな中心推定(804)から外側に放射状に広がる線を生成する。これらの線に沿ったピクセル強度はグラフ(すなわち、単一スポーク強度プロファイル(805))上に投影されてもよく、曲線は、グラフ(807)上の点に適合されてもよい。コンピュータ制御システムは、単一スポーク強度プロファイル805内の位置(サブピクセル高精度位置(808))にて、グラフ807内の強度のピークを検出してもよい。コンピュータ制御システムは、スポークの角度およびピーク強度が観察されたサブピクセル高精度位置(808)を表す、極座標において各ピークをプロットしてもよい。円を極座標に当てはめてもよい(円適合(809))。制御コンピュータ434は、円適合(809)において、新しい中心、すなわち、円中心のサブピクセル高精度推定(810)を検出してもよい。ある実施態様において、参照マークは、固体球であり、中心座標は、同様の方法を用いて検出されてもよい。ここで、単一スポーク強度プロファイルは、円の縁に対応する位置におけるピクセル強度の急激な変化を示してもよい。上記の急激な変化は、例えば、黒い円と白い背景との間のコントラスト、または、その逆のコントラストにおける急峻な変化に起因する。
【0065】
制御コンピュータ434は、検出された特徴の位置座標を参照グリッド上にマッピングし、誤差関数を導出するために、表面フィッティング法を使用してもよい。参照グリッドは、参照マークの真の座標位置、例えば、デジタル画像を作成するために使用される較正板448上の参照マークの真の座標位置を含み得る。ユーザは、参照グリッドを制御コンピュータ434に入力してもよいし、あるいは、制御コンピュータ434は、メモリに記憶された参照グリッドにアクセスできてもよい、またはネットワークを介して参照グリッドにアクセスできてもよい。いくつかの実施形態では、制御コンピュータ434は、検出された特徴の中心座標を参照グリッド上にマッピングするように構成される。その結果、検出された特徴の中心座標を参照グリッド上の真の座標と比較することができる。制御コンピュータ434は、ROI全体のすべての点について、xおよびy位置における偏差の表面フィッティングを含む偏差マップを計算してもよい。
【0066】
図5Bは、注目領域内の各座標位置について偏差がプロットされた例示的な表面フィッティング(505)を示す。第1の表面プロット(506)は、各座標位置におけるx方向の偏差を示す。第2の表面プロット(507)は、各座標位置におけるy方向の偏差を示す。特に、プロットは、制御コンピュータ434が特徴の偏差値を計算し、補間方法を実行して特徴間の位置の偏差値を導出するので、注目領域全体をカバーすることができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、制御コンピュータ434は、参照画像内の任意の所与の座標位置における偏差を示す誤差関数を計算してもよい。いくつかの実施形態において、誤差関数は、イメージ内の観察された位置座標と真の位置座標との間の偏差をモデル化してもよい。誤差関数は、位置座標における偏差の表現であってもよい。誤差関数は、位置座標での偏差を近似する数学モデルであってもよい。制御コンピュータ434は、参照画像とともに偏差データおよび/または誤差関数を記憶してもよく、例えば、参照画像は、偏差データのメタデータ表現とともに記憶してもよい。データを座標テーブルに格納してもよい。座標テーブルは、参照画像内の任意の位置座標における予想される、または、尤もらしい偏差を示してもよい。いくつかの実施形態では、座標テーブルは、測定された偏差値だけでなく、補間によって計算された推定偏差値を含んでもよい。したがって、画像取得アセンブリ436を用いて後に取得されるいずれのデジタル画像についても、制御コンピュータ434は、デジタル画像内の特徴の座標位置の偏差を決定することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、制御コンピュータ434は、表面適合を計算することによって誤差関数を決定してもよい。表面適合では、ROI内の特徴のピクセルごとに、真の位置座標からの偏差を決定することができる。制御コンピュータ434は、ROI内の座標と既知の所定の座標との間の差をモデル化するために、表面適合から誤差関数を計算する。いくつかの実施形態では、誤差関数は、実際の位置と観察された位置との比較および/または相関から導出されてもよい。一般に、誤差関数は、実際のフィールドのデータと観察されたフィールドのデータとの間の数学的関係を説明する。値はルックアップテーブルに格納されてもよい。値は、測定された値または観察された値の間にある中間値を決定するために、補間技術とともに使用されてもよい。例示的な補間技術は、線形補間または双線形補間および双立方補間を含む。
【0069】
図5Aは、制御コンピュータ434などのコンピュータ制御システムがデジタル画像を取得し、誤差関数を計算することができる例示的なプロセス500を示す。まず、その第1の表面に複数の参照マークを有する較正板(501)が取得されてもよい。参照マークは、この例では円形スポットである。較正板は、構築表面と同じxy空間(すなわち、同じxy平面)内の付加製造装置内に配置されてもよい(510)。較正板上の参照マークのデジタル画像(502)は、参照位置に固定的に配置され得る画像取得アセンブリ(503)を使用して取得される(520)。デジタル画像(502)では、歪みが見える。ステップ530において、注目領域は、デジタル画像において選択されてもよい。ステップ540において、コンピュータ制御システムは、注目領域内の特徴を識別することができ、これらの特徴の座標および位置が計算されてもよい。ステップ550において、コンピュータ制御システムは、参照グリッド内の所定の位置と比較して、デジタル画像内の座標位置間の差に基づいて誤差関数を得る。参照画像(502)における座標位置の例示的な変換は図5Cに示されている。ここでは、誤差関数は、デジタル画像において観察される偏差を補正し、参照マークについての真の座標位置を計算するために使用されてもよい。
【0070】
特定の画像取得アセンブリからの画像に対応する誤差関数が決定されると、その誤差関数は、同じ画像取得アセンブリによって後に取得される任意のデジタル画像に適用されてもよい。誤差関数は、画像内の検出された座標位置を真の位置座標に変換するために使用されてもよい。
【0071】
(スキャンシステムのキャリブレーション)
本明細書に記載の方法およびシステムは、スキャンシステム444などのように、レーザスキャンシステムを含むがレーザスキャンシステムに限定されない、任意のスキャンシステムまたはスキャンエネルギー源のキャリブレーションに適している。また、電子ビーム融解において電子ビームを方向付けるシステムも、光、熱、化学物質、またはエネルギーがモータ駆動機構を用いて投射、噴射、または方向付けされる任意のシステムと同様に、本開示に従ってキャリブレーションされてもよい。これらのシステムのいずれも、意図された走査位置または予め定義された走査位置と実際の位置との間の差を引き起こす誤差を受ける。このようなエラーは、スキャンシステム内の構成要素のミスアライメント、ステップモータまたはガルバノメータモータのような移動モータの遅延、光学系からの歪み、機械的非効率、温度誘起変化などに起因して生じ得る。一般に、誤差は、個々のスキャンシステムに固有であり、任意の所与の時点におけるスキャンシステム内の構成要素の構成または位置合わせに対しても固有である。
【0072】
本開示は、スキャンシステムをキャリブレーションするための方法およびシステムに関する。該方法およびシステムは、実際の走査位置と予想される走査位置との間の誤差を測定する工程と、スキャナ補正を決定する工程と、走査のための方向を設定するときにスキャナ補正を考慮する工程とを含む。上述の方法およびシステムは、スキャン画像および誤差関数のみを使用してスキャナ補正を得てもよい。これにより、例えば、構築前、構築中または構築後のスキャン画像が得られる任意のタイミングにて、高速で効率的なキャリブレーションを実行することが可能となる。
【0073】
図6は、制御コンピュータ434などのコンピュータ制御システムによって実行される例示的キャリブレーション方法を示す。本開示のいくつかの実施形態では、コンピュータ制御システムは、以下のステップを含む方法を用いて、スキャンシステム444のようなスキャンシステムをキャリブレーションする。その方法は、スキャンシステムからのスキャナビームを、構築表面のような走査領域上の複数の所定の位置にて走査マークに向けるステップ(600)と、画像取得アセンブリ436のような画像取得アセンブリを用いて、参照位置において、走査マークのスキャン画像を取得するステップ(610)と、スキャン画像内の走査マークの観察位置座標を決定し、画像取得アセンブリによって取得された任意の画像に対して計算された誤差関数を適用するステップ(630)と、走査マークの真の座標位置を所定の座標位置と比較することによってスキャナ補正を取得するステップ(640)と、スキャナ補正を用いてスキャンシステムを補正するステップ(650)とを含む。いくつかの実施形態では、上述の方法は、スキャナ補正を使用して、走査のサイクルを繰り返すステップ(660)をさらに含む。
【0074】
スキャン画像は、誤差関数を決定するために使用されるのと同じ参照位置に配置された同じ画像取得アセンブリによって得られる走査マークのデジタル画像であってもよい。加えて、スキャンシステムをキャリブレーションするために使用される誤差関数は、較正板上の参照マークのデジタル画像から計算された同じ誤差関数であってもよい。その理由は、この誤差関数が同じ画像取得アセンブリから引き続いて取得される任意のデジタル画像内の特徴の偏差および真の位置を決定するために使用され得るからである。誤差関数は、コンピュータ制御システムに記憶されてもよいし、ネットワークを介して利用可能であってもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、スキャナビームを方向付ける前に画像取得アセンブリの経路から較正板を移動させてもよく、その結果、走査マークが行われるときに較正板が走査領域内にもはや存在しなくなる。走査領域は、構築表面、例えば、層が構築される構築表面全体を含んでもよい。走査マークは、構築表面上に生成されてもよい。あるいは、走査マークは、例えば、構築表面と同じxy平面に位置する平坦な表面などのように、構築表面を模倣するプレート、フィルム、または紙の上に生成されてもよい。走査マークと構築表面または他の平坦面との間のコントラストは、スキャン画像において検出するのに十分であり得る。走査マークは、複数の所定の位置で生成されてもよく、規則的なまたは不規則な、格子のパターン、もしくは、スポット、線または十字のパターンであってもよい。
【0076】
本方法およびシステムは、スキャン画像を取得するタイミング、および、スキャンシステムをキャリブレーションするタイミングについての柔軟性を提供する。いくつかの実施形態では、コンピュータ制御システムは、構築中のある1つの層を走査する前にスキャン画像を取得するように構成されてもよいし、構築中の任意の層を走査する前にスキャン画像を取得するように構成されてもよいし、あるいは、層の走査中にスキャン画像を取得するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、コンピュータ制御システムは、物体が構築されているのと同じ層において、そして物体の層のいくつかが構築されたときに、スキャン画像を取得するように構成されてもよい。あるいは、スキャン画像は、物体の全ての層が構築された後に取得されてもよい。走査マークは、構築表面上に生成されてもよい。走査マークは、スキャンされた部品の実際の部分に対応していてもよい。走査マークは、部品がスキャンされた場所の外側にある構築表面の領域上に生成されてもよい。いくつかの実施形態では、走査マークは、部品が構築されていない粉末上に生成されてもよい。走査マークは、粉末領域の外側であるが、粉末表面と同じ平面内の表面上に生成されてもよい。このような領域は、スキャンシステムが視野を有するが粉末表面の一部ではない境界領域であってもよい。当該領域は、システム内のレーザまたは他のエネルギー源からのエネルギーを検出可能な波長に変換し、検出可能な走査マークを生成する放射線感受性材料を含んでいてもよい。あるいは、パイロットレーザなどの異なる波長のレーザまたはエネルギー源が、領域上に走査マークを投影するために使用されてもよい。その領域では、それが画像化され、後述する計算により実際の走査マークとして使用され得る。
【0077】
スキャン画像は、単一の画像を含んでいてもよいし、スキャン画像は、複数の画像のスタックを含んでいてもよい。例えば、各個々の画像が、単一層内のすべての走査マークの一部または部分集合に対応する場合、画像のスタックは、付加製造構築中の単一の層に対応する走査マークを集合的に含んでいてもよい。あるいは、画像のスタックは、付加製造構築中の複数の層に対応する走査マークを集合的に含んでいてもよい。例えば、画像のスタックは、付加製造構築中の全ての層に対応する走査マークを含んでいてもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、コンピュータ制御システムは、レーザスキャンシステムに、パイロットレーザを用いて走査マークを適用させるように構成される。例示的なパイロットレーザは、(典型的には可視スペクトル内の光を放射する)余分なレーザであり、主レーザの側に、かつ主レーザ出射の直後に配置され得る。例えば、COレーザがレーザ焼結装置のための主レーザまたはエネルギー源であってもよい場合、異なった光学素子を使用しながら、パイロットレーザをCOレーザと同じ軸に沿って整列させてもよい。パイロットレーザを使用して、主レーザビームがどこに位置するかを示すことができ、これは、主レーザが可視スペクトルの外側の波長で光を放出する場合に有用である。従って、スキャン画像は、パイロットレーザによって生成された走査マークのデジタル画像を含んでいてもよい。
【0079】
次のステップにおいて、コンピュータ制御システムは、走査マークの真の位置座標を決定する。スキャナビームは構築中に所定の座標に向けられていたが、走査マークの真の位置は、スキャンシステム内のエラーを反映している可能性があり、所定の座標から離れた位置に配置されてもよい。走査マークのスキャン画像から開始して、コンピュータ制御システムは、特徴、特徴の中心座標、およびスキャン画像内の特徴の位置を識別および/または計算する。
【0080】
コンピュータ制御システムは、参照画像に対して実行される画像処理工程と類似または同一の画像処理工程をスキャン画像に使用することができる。例えば、スキャン画像は、複数の画素に離散化されてもよく、コンピュータ制御システムは、特徴を検出し、特徴の中心座標を計算し、特徴の位置を決定してもよい。注目領域(ROI)はスキャン画像内で選択されてもよく、コンピュータ制御システムは、ROI内の特徴を識別するように構成されてもよい。特徴は、円形スポットのようなキャリブレーションのために選択されたパターンにおける走査マークであってもよいし、または、構築されている物体内の特徴に対応していてもよい。コンピュータ制御システムは、特徴を、スキャン画像内に現れるノイズまたは非特定ピクセルから区別することができる。ROIは、スキャン画像全体を含んでいてもよいし、または、スキャン画像内のピクセルの部分集合を含んでいてもよい。
【0081】
例示的な方法では、コンピュータ制御システムは、ROI内のピクセルのためのバイナリマスクを生成することによって、検出された特徴を識別する。検出された特徴のフィルタリングされたバイナリ表現を取得した後、コンピュータ制御システムは、特徴の中心の座標位置(すなわち、中心座標)を決定するように構成されてもよい。
【0082】
これらの中心座標および検出された特徴の任意の他の座標位置は、スキャン画像内の検出されたまたは観察された位置座標を含む。スキャン画像は、画像取得アセンブリから取得された任意の画像のように歪んでいるように見えることがある。そこで、コンピュータ制御システムは、適切な誤差関数を適用して、スキャン画像内の特徴の観察された位置座標を真のまたは実際の位置座標に変換してもよい。適切な誤差関数は、本明細書で説明される方法による、スキャン画像と同じ画像取得アセンブリによって取得された参照画像を使用して取得された誤差関数であってもよい。次いで、コンピュータ制御システムは、スキャン画像内の特徴の真の位置座標を計算してもよい。
【0083】
次のステップでは、コンピュータ制御システムは、スキャン画像内の特徴の真の位置座標を、スキャナビームが向けられた所定の予想位置座標と比較する。コンピュータ制御システムは、参照画像の誤差関数を決定するために使用されるものと類似または同一の表面フィッティング方法を使用して、偏差マップを生成してもよい。例えば、スキャン画像における特徴の真の座標位置は、所定の座標位置のグリッド上にマッピングされてもよい。いくつかの実施形態では、誤差関数は、実際の位置と観察された位置との比較および/または相関から導出されてもよい。一般に、誤差関数は、実際のフィールドデータの基準と観察されたフィールドデータの基準との間の数学的関係を説明する。値は、ルックアップテーブルに格納されてもよい。誤差関数は、例えば、バイリニアまたはバイキュービック補間のような補間、または2つの点の間を補間するためのNURBS表面を使用して計算されてもよい。双線形補間が使用されてもよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、コンピュータ制御システムは、同じ走査マークの所定の座標位置を含むグリッド上に真の座標位置をマッピングしてもよい。いくつかの実施形態では、コンピュータ制御システムは、所定の座標の異なるグリッド、例えばマスタグリッドを計算してもよい。マスタグリッドは、例えば、走査マークが存在しない可能性のある領域のような、走査マークの領域の外に推定された座標を含んでもよい。しかし、コンピュータ制御システムは、可能性のある位置座標を計算してもよい。いくつかの実施形態では、マスタグリッド内の推定された座標点は、走査マークによって覆われた領域よりも大きい領域内の点を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、マスタグリッドは、任意の新しいグリッドのための基準として機能し得る、座標の所定の表現を含んでいてもよい。その結果、新しいグリッドの座標位置が古いスキャン画像のために使用されてもよい。コンピュータ制御システムは、走査フィールド限界および設定された数のセルに基づいてマスタグリッドを生成してもよい。セルの境界は、マスタグリッド内の所定の位置座標を含んでいてもよい。
【0085】
図7A~7Eは、予想座標位置からの実際の座標位置の偏差が注目領域内の点ごとにz軸上にプロットされる例示的な偏差マップを示す。図7Aにおいて、偏差マップは、各座標位置におけるx方向の偏差を示す第1の表面プロット(701)と、各座標位置におけるy方向の偏差を示す第2の表面プロット(702)とを有する。この例では、孔(703)が存在する。ここでは、コンピュータ制御システムは、デジタル画像内の特徴をフィルタリングして除去した可能性がある。あるいは、コンピュータ制御システムは、特徴の中心座標を確実に決定できなかった可能性がある。これらの座標位置に対して偏差をプロットすることはできない。しかしながら、コンピュータ制御システムは、孔内の座標位置における最もありそうな偏差を決定するために、隣接する偏差データから補間してもよい。
【0086】
図7Aは、スキャンシステムがキャリブレーションされていないとき、すなわち、コンピュータ制御システムがスキャナ補正を得てこれらを用いてスキャナビームを新しい補正座標に向ける前の場合の偏差マップを示している。いくつかの実施形態では、コンピュータ制御システムは、スキャナ補正と、スキャンシステムに送られ得る新しい較正座標位置とを計算してもよい。線形誤差に対しては、例示的なスキャナ補正は、座標位置における偏差値と等しく且つ逆であってもよい。較正座標位置は、スキャナビームのための新しい座標の集合であってもよく、それは偏差を明らかにすることができ、そしてスキャナビームが期待される位置に着地するようにスキャナビームを方向付けるために使用され得る。
【0087】
走査領域内のすべての座標位置について、コンピュータ制御システムは、スキャナビームが着地する真の座標位置、偏差値、スキャナ補正、および/または、偏差を明らかにするためにスキャナビームが向けられる予定の、調整された(較正された)座標位置を座標テーブルに記憶してもよい。表1は、例示的な座標テーブルからのサンプルラインである。いくつかの実施形態では、偏差は非線形であり、コンピュータ制御システムは他のスキャナ補正を計算してもよい。
【0088】
【表1】
【0089】
いくつかの実施形態では、コンピュータ制御システムは、偏差値を保存し、偏差値を補う新しい座標位置にスキャナビームを導くようにスキャンシステムに対する命令を自動的に計算する。これらの新しい座標位置は、走査前に表示または記憶されなくてもよいが、いくつかの実施形態では、付加製造システムが構築中にスキャンシステム構成要素の位置データを報告するときに、新しい座標位置がシステムログに報告されてもよい。
【0090】
コンピュータ制御システムは、座標テーブルをメモリに記憶してもよいし、または、ネットワークを介して座標テーブルにアクセスしてもよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、コンピュータ制御装置は、誤差を補正するためにスキャナをキャリブレーションしてもよく、次いで、スキャンする工程と、新しい偏差マップを生成する工程とを繰り返してもよい。いくつかの実施形態では、偏差を適切に減少させるために、1サイクルを超えるキャリブレーションが必要とされ得るので、コンピュータ制御システムは、偏差マップ上で偏差が検出されなくなるまで、キャリブレーションのサイクルを繰り返してもよい。キャリブレーションのサイクルごとの結果は、座標テーブルにコンパイルされてもよい。これにより、例えば、単一の最終的なスキャナ補正および/または偏差を検出不可能なレベルまで減少させるのに十分な較正座標の集合が生成され得る。
【0092】
図7Bは、最初のキャリブレーション後に生成された偏差マップを示す。最初のキャリブレーション後は、偏差値は低くなるが、偏差はまだ検出可能である。図7C、7D、および7Eは、キャリブレーションの第2、第3、および第4ラウンドの後に生成された偏差マップを示す。この例では、キャリブレーションの4ラウンド目以降、コンピュータ制御システムは、ノイズフロアの上の偏差を検出しなくなり、キャリブレーションおよび偏差マップ解析のさらなるサイクルを進めることはしない。
【0093】
スキャンシステムのキャリブレーションの最終結果は、物理的な構築領域内の各位置座標に対する偏差値、スキャナ補正および/または較正座標の最終集合であってもよい。したがって、スキャンシステムからのスキャナビームが向けられる構築領域内の任意の位置に対して、コンピュータ制御システムは、スキャンシステム内のエラーを補う較正座標にスキャナビームを方向付けるための一命令セットを格納することができる。いくつかの実施形態では、コンピュータ制御システムは、キャリブレーションのラウンドごとに対応する偏差値、スキャナ補正、および/または較正座標、並びに、キャリブレーションの全ラウンドに基づくデータの最終集合を記憶する。
【0094】
いくつかの実施形態では、コンピュータ制御システムによって実行される方法を使用して、同じ付加製造装置内の複数のスキャンシステムをキャリブレーションすることができる。通常、付加製造装置に2つ以上のスキャンシステムが存在する場合、各スキャンシステムは、それ自体の個別の走査領域(または「走査フィールド」)を有し、これら2つ以上の走査フィールドの組み合わせは、単一の大きな走査フィールドを生成する。スキャンシステムは、1つ以上のスキャンシステムを有する複合スキャンシステムを含んでいてもよい。複合スキャンシステムは、単一の走査フィールドを有していてもよい。該単一の走査フィールドは、「グローバル走査フィールド」または「単一の大きな走査フィールド」とも呼ばれ、「ローカル走査フィールド」または「個別走査フィールド」とも呼ばれる、より小さな走査フィールドの複合を含む。これは、複数の物体または大きな単一の物体の効率的な構築を可能にする。しかしながら、各スキャンシステムは、誤差を明らかにするために個別にキャリブレーションされる必要があり、さらに、単一の走査フィールドを生成するために他のスキャンシステムに対して位置合わせされる必要がある。
【0095】
例えば、4つのスキャンシステムを有する付加製造装置では、単一の走査フィールドは、4つの個別の走査フィールドを含んでいてもよい。個別の走査フィールドの各々は、単一の走査フィールドの異なる象限をカバーする。スキャンシステムにおける誤差のために、個々の走査フィールドは、例えば、任意の方向にオフセットされるか、または回転されるなど、他の走査フィールドに対して位置ずれが起こり得る。いくつかの実施形態では、単一のグローバル走査フィールドが平面であってもよく、すべてが同じ平面内にある複数の個別のローカル走査フィールドを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、単一のグローバル走査フィールドは、非平面であってもよい。これにより、個々のローカル走査フィールドが2つ以上の平面に沿って互いに不整列になる。
【0096】
いくつかの実施形態では、個々の走査フィールドの各々は、別々にキャリブレーションされ、次いで、互いに対して位置合わせされてもよい。コンピュータ制御システムは、個々の走査フィールドごとにスキャン画像を取得し、誤差関数を適用して、各スキャン画像の歪みを補正することができる。個々の走査フィールドごとのキャリブレーションステップに従って、各スキャン画像内の走査マークの真の位置を決定することができる。いくつかの実施形態では、個々の走査フィールドを方向付けることができるように、中心座標(0,0)など、各走査フィールド内のローカル参照位置が識別されてもよい。
【0097】
個々の走査フィールド間の相対的オフセットおよび/または相対的回転の差を補正するために、グローバルポジショニングが使用されてもよい。例えば、互いに対するローカル走査フィールドのオフセットおよび/または回転の程度を決定するために、全ての個々のローカル走査フィールドの単一のグローバルビューの画像が形成されてもよい。いくつかの実施形態では、単一のグローバルビューは、本明細書に記載される単一の較正板上の参照マークを使用してキャリブレーションされる単一のカメラから得られてもよい。個々の走査フィールドは、例えば、単一のグローバルビューの画像の一部を使用してキャリブレーションされてもよい。
【0098】
いくつかの実施形態では、コンピュータ制御システムは、個々の走査フィールドごとに位置データおよび補正データを決定するために、単一の走査フィールドについて得られた誤差関数を使用してもよい。これにより、個々の走査フィールドごとのスキャナ補正は、同じ単一の走査フィールドに対して既に位置合わせされているので、コンピュータ制御システムは、個々の走査フィールドを同時にキャリブレーションし、位置合わせすることができる。コンピュータ制御システムによって実行される方法は単一の走査フィールドに対して実行される方法と同様であってもよい。まず、コンピュータ制御システムは、単一の走査フィールドをカバーする単一の参照画像を取得してもよい。そして、この単一の参照画像は、単一の参照画像内のすべての座標位置に対する誤差関数を決定するために処理され、使用されてもよい。次に、コンピュータ制御システムは、各スキャンシステムの個々の走査フィールドに対応するスキャン画像を取得し、スキャン画像を処理し、スキャン画像内の特徴の真の位置座標を決定するために誤差関数を使用してもよい。コンピュータ制御システムは、真の位置座標と予想される座標との間の差に基づいて、個々のスキャンシステムごとにスキャナ補正を決定する。個々の走査フィールドごとの特徴の真の位置座標は、単一の走査フィールドに対する誤差関数を使用して決定されたので、スキャナ補正は単一の走査フィールドに対する位置データを既に組み込んでいる。その結果、スキャナ補正は、個々の走査フィールドが互いに対して位置合わせされていない場合に生じ得る偏差を既に組み込んでいる可能性がある。この方法を使用することによって、コンピュータ制御システムは、個別にキャリブレーションされた個々の走査フィールドごとに位置合わせを行うなどといった、さらなる計算ステップを回避することができる。
【0099】
(ワークフロー)
開示された方法およびシステムを使用して、レーザスキャンシステムなどのスキャンシステムは、付加製造構築の前、最中、または後の任意のタイミングでキャリブレーションされ得る。原理的には、スキャンシステムの位置が構築表面に対する位置から移動しない限り、また、キャリブレーション後のすべての条件および構成要素が同じである限り、一度だけキャリブレーションすることができた。しかしながら、特に、構築中、または物体の単一層を構築する間に、より頻繁にキャリブレーションすることが有利である。いくつかの実施形態では、コンピュータ制御システムは、構築中に取得された任意のスキャン画像上で使用され得る誤差関数を格納する。コンピュータ制御システムは、構築中に新しいスキャナ補正を決定してもよいし、または、スキャナ補正のセットが依然として適切であることを確認してもよい。
【0100】
例えば、物体の層を構築する過程において、コンピュータ制御システムは、キャリブレーションで使用することを意図した一組の走査マークを走査するために、スキャナビームを方向付けてもよい。コンピュータ制御システムは、これらの走査マークのスキャン画像を取得し、スキャナ補正を取得するために本明細書に記載の方法を実行することができる。いくつかの実施形態では、コンピュータ制御システムは、構築される物体のスライスまたは層に対応する1つまたは複数のハッチングまたはベクトルを走査マークとして使用してもよい。
【0101】
走査マークは、可視光の領域であってもよく、例えば、可視スペクトルの光を放射するパイロットレーザが構築表面に向けられる。走査マークは、スキャナビームが構築材料に物理的変化を引き起こした領域である場合がある。そのため、変化した構築材料は、スキャナビームに露光されていない構築材料と区別されてもよい。レーザ溶融(LM)では、溶融形態の走査材料が、未走査の材料と区別されてもよい。いくつかの実施形態では、画像取得装置は、熱画像形成装置またはIRカメラであってもよい。
【0102】
画像取得アセンブリは、層の一部または複数の層を表す画像のスタックを取得してもよい。画像のスタックは、経時的に取得されてもよい。例えば、走査マークを生成するために、パイロットレーザが構築表面上の位置に方向付けられてもよく、該走査マークのスキャン画像が取得されてもよい。パイロットレーザが構築表面上の別の位置に向けられるたびに、スキャン画像が取得される。最終的に、画像のスタックは、全体として、経時的に生成された全ての走査マークを表す。ステレオリソグラフィー(SLA)では、構築表面が可視光に曝されたときに、画像のスタックが取得されてもよい。
【0103】
いくつかの実施形態では、開示された方法およびシステムは、物体の走査された表面が正しく位置決めされているかどうかを判定するために、物体の構築中に使用されてもよい。画像取得アセンブリは、物体の特徴のスキャン画像を取得し、コンピュータ制御システムは、真の座標位置と予想される座標位置とが一致するかどうかを判定するために、特徴の真の座標位置を予想される座標位置と比較する。そうして、コンピュータ制御システムは、物体の品質チェックを実行してもよい。
【0104】
本開示のさらなる態様は、物体上の欠陥、特に走査の誤差から生じる欠陥を検出することができる方法に関する。レーザスキャンシステムなどのスキャンシステムが、物体の領域に対して、期待されるレベルのエネルギーまたは電力を印加しない場合、その領域には、十分に加熱、溶融、焼結、または硬化されていない構築材料が含まれる可能性がある。結果として得られる物体において、上述のような領域は、構造的に弱くなっている可能性、または、物理的な穴を有する可能性がある。いくつかの実施形態では、スキャン中に、スキャナビームがスキャンした全てのxy位置を含む物体画像または画像のスタックが取得される。スキャナビームが適切にスキャンされてない特定のxy位置は、例えば、これらの特定のxy位置が未溶融の構築材料を示すため、スキャン画像において検出され得る。したがって、コンピュータ制御システムは、物体に対して品質チェックを実行してもよく、エラーが発生したことを付加製造装置のユーザに示してもよいし、あるいは、エラーを訂正するために再スキャンなどの修復対策を実施してもよい。

図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8