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特許7190527金属粉末コアからなる集積チップインダクタの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】金属粉末コアからなる集積チップインダクタの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 41/04 20060101AFI20221208BHJP
   H01F 41/02 20060101ALI20221208BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20221208BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20221208BHJP
   H01F 27/32 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
H01F41/04 B
H01F41/02 D
H01F27/29 123
H01F17/04 F
H01F27/32 103
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021069393
(22)【出願日】2021-04-15
(65)【公開番号】P2022067040
(43)【公開日】2022-05-02
【審査請求日】2021-04-21
(31)【優先権主張番号】202110139477.8
(32)【優先日】2021-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011114582.8
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521164577
【氏名又は名称】▲創▼一科技(▲長▼沙)有限公司
【氏名又は名称原語表記】CYGE Technology (Changsha) Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Jinrongwangcheng Technology Industrial Park C7-2-202, Purui West Road 858, Wangcheng Economic Development Zone, Changsha city, Hunan Province, China
(74)【代理人】
【識別番号】100178434
【弁理士】
【氏名又は名称】李 じゅん
(72)【発明者】
【氏名】▲蘇▼ 立良
(72)【発明者】
【氏名】▲蘇▼ 立▲鋒▼
(72)【発明者】
【氏名】宋 ▲樹▼▲華▼
(72)【発明者】
【氏名】黄 利清
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 明松
(72)【発明者】
【氏名】▲龍▼ 清寿
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 余
(72)【発明者】
【氏名】▲蘇▼ 学▲遠▼
【審査官】後藤 嘉宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-147272(JP,A)
【文献】特開2009-231656(JP,A)
【文献】特開2015-115609(JP,A)
【文献】特開2021-057476(JP,A)
【文献】国際公開第2016/125531(WO,A1)
【文献】特表2016-519430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 41/04
H01F 41/02
H01F 27/29
H01F 17/04
H01F 27/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の第1のステップ~第13のステップを順に行う、金属粉末コアからなる集積チップインダクタの製造方法であって、
第1のステップにおいて、空芯コイルに巻き取り、即ち、製品仕様設定の要件によって空芯コイルを制作し、巻き取り方法は巻線治具による多軸巻き取りを採用し、
第2のステップにおいて、プレス成形し、即ち、カルボニル鉄粉又は合金材料を採用して成形し、カルボニル基鉄粉/合金材料/フェライト材料:エポキシ樹脂:アセトンを100:≦7:≦20の重量比でよく混合した後、温度≦80℃の条件下で1-3時間保温した後、研磨して造粒し、製造された粉末は、球形度≧60%を満し、且つ粉末の粒径はD50≦30μm、D90≦90μm、D10≦20μmを満たし、エポキシ樹脂をバインダとし、粉末造粒を完成した後、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、又はその他の離型潤滑剤を添加し、その後、空芯コイルを含む巻線治具を成形機の金型に入れた後、コイルを金型キャビティの定点にインプラントし、金属粉末を金型キャビティ内に充填し、成型密度が3g/cm 以上になるように製品をプレス成形し、
第3のステップにおいて、素体の面取りを行い、即ち、プレス成形された製品を製品重量に応じて1000分の1以上の面取り媒体を添加した後、面取り装置に入れ、面取り作業を完成し、
第4のステップにおいて、熱圧硬化し、即ち、製品を整然にレイアウトして熱圧装置のキャビティ内に入れ、熱圧装置のキャビティの温度を100℃以上に制御し、0.5MPa以上の圧力で5分間以上の保圧を行い、熱圧硬化作業を完成し、
第5のステップにおいて、仕上面取りを行い、即ち、熱圧後の製品を製品の重量に応じて製品の重量よりも大きい面取り媒体を添加した後、面取り装置に入れ、仕上体面取り作業を完成し、ここで、面取り時間は5分間以上であり、前記面取り媒体は、専用面取り向け石であり、
第6のステップにおいて、絶縁被覆を行い、即ち、ポリイミド系材料を使用して絶縁層の厚さが3μm以上になるように製品の表面について絶縁被覆処理を行い、製品を被覆した後、絶縁層が硬化されるように100℃以上で0.5時間以上ベーキングし、
第7のステップにおいて、研磨を行い、即ち、製品を治具内に整然に配列し、高精度の研磨機を使用して、製品の片側研磨量が3μm以上でありかつ研磨後の製品端部のエナメル銅線の断面が露出するように製品について研磨作業を行い、
第8のステップにおいて、電極へのニッケルめっきを行い、即ち、研磨後の製品に0.3μm以上のニッケル層を電気めっきし、
第9のステップにおいて、電極への銅めっきを行い、即ち、ニッケルめっき後の製品に1μm以上の銅層を電気めっきし、
第10のステップにおいて、二次絶縁被覆を行い、即ち、ポリイミド系ナノ材料を使用して絶縁層の厚さが3μm以上になるように製品の表面について絶縁被覆処理を行い、製品を被覆した後、絶縁層が硬化されるように100℃以上で0.5時間以上ベーキングし、
第11のステップにおいて、二次研磨を行い、即ち、製品を治具内に整然に配列し、高精度の研磨機を使用して、製品の片側研磨量が3μm以上でありかつ製品底部の銅導体めっき層を露出するように製品について研磨作業を行い、
第12のステップにおいて、電気めっきによって電極を金属化し、即ち、真空コーティング工程又は従来の電気めっき工程の一方又は両方の組み合わせを採用し、ニッケルめっきされたうえに銅めっきされた製品の表面に、必要な金属及び合金材料のめっき層をさらに追加し、
第13のステップにおいて、検出及びパッケージングを行い、即ち、製品について検出を行い、サイズ、外観及び特性の不良品を排除した後、製品をパッケージングすることを特徴とする、金属粉末コアからなる集積チップインダクタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタ技術に関するものである。特に、金属粉末コアからなる集積チップインダクタの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のインダクタには、スラリー末端封鎖からなる電気めっき型の一体成型インダクタ、銅シート端子からなる電極型の一体成型インダクタ、T字型の磁気コアの内蔵のリーフ振り子に線巻取りからなる電極型の一体成型インダクタが含まれる。その中、スラリー末端封鎖からなる電気めっき型の一体成型インダクタは、両側が全体的に封鎖されたため、パッチの設置を行う時、サイドのスズ積層面積が大きいため、電極が外露され、回路を導通させる可能性があり、集積回路の密集度が減らされ、回路基板のスペースが有効に利用されない。同時に、スラリー末端封鎖からなる電気めっき型の一体成型インダクタは、電極の溶接位置に本体を含んで銅/銀/ニッケル/錫である4つの金属層を備えており、4つの金属層の間には寄生容量が形成しやすいため、インダクタの直流抵抗が増加され、インダクタの自己共振周波数が低下される。銅シート端子からなる電極型の一体成型インダクタのリード銅シートは、製品の側面から底部へ向かって曲がり、曲げ振幅と銅シートの厚さは製品のサイズを大きくし、コイルの設計を制限するため、製品の特性が制限され、回路基板のスペースが有効に利用されないと同時に、集積回路の密集度が減らされる。T字型の磁気コアの内蔵のリーフ振り子における線巻取りからなる電極型の一体成型インダクタは、生産投資が大きく、製品の製造コストが高いため、大量生産には適さず、市場の需要に対応することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】中国特許公開CN109622321A号公報
【文献】中国特許公開CN112201463A号公報
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、底面電極又は「L」型電極のみを保留し、絶縁被覆を採用している金属粉末コアからなる集積チップインダクタを提供することにある。本発明の金属粉末コアからなる集積チップインダクタは、現業界のスラリー末端封鎖からなる電気めっき型の一体成型インダクタ、銅シート端子からなる電極型の一体成型インダクタ及びT字型の磁気コアの内蔵のリーフ振り子に線巻取りからなる電極型製品の技術を取り替えることにより、回路基板における製品の設置サイズを縮小し、集積回路PCBボードの設置スペースを増やし、集積回路産業の高度の集積化開発に有利な条件を作り出す。同じサイズの場合、製品の総合的な性能が大幅に向上できる。
【0005】
上記の目的を達成させるために、本発明は、コイルに巻き取るステップと、プレス成形ステップと、面取りステップと、硬化ステップと、絶縁被覆ステップと、研磨ステップと、電気めっきステップとを含む、金属粉末コアからなる集積チップインダクタの製造方法を技術案として提供する。
【0006】
上記工程の拡張として、本発明の工程は、また、空芯コイルに巻き取るステップと、プレス成形ステップと、グリーン素体面取りステップと、熱圧硬化ステップと、仕上体面取りステップと、絶縁被覆ステップと、研磨ステップと、電極へのニッケルめっきステップと、電極への銅めっきステップと、二次絶縁被覆ステップと、二次研磨ステップと、電気めっきによる電極の金属化ステップと、検出及びパッケージングステップとを採用することができる。
【0007】
上記工程の好ましいステップとして、前記空芯コイルに巻き取るステップにおいて、巻線治具による多軸巻き取りを採用しており、対応する技術基準を参照する必要がある。
【0008】
上記工程の好ましいステップとして、前記プレス成形ステップにおいて、空芯コイルを含む巻線治具を成形機の金型内に入れた後、コイルを金型キャビティの定点にインプラントし、金属粉末を金型キャビティ内に充填し、成型密度が3g/cm以上になるように製品をプレス成形する。
【0009】
上記工程の好ましい工程として、前記グリーン素体面取りステップにおいて、プレス成形された製品を、製品重量に応じて一定の割合で面取り媒体と混合した後、面取り装置に入れ、面取り作業を完成させる。
【0010】
上記工程の好ましい工程として、前記熱圧硬化ステップにおいて、製品を整然にレイアウトして熱圧装置のキャビティ内に入れ、熱圧装置のキャビティの温度を100℃以上に制御し、0.5MPa以上の圧力で5分間以上の保圧を行い、熱圧硬化作業を完成させる。
【0011】
上記工程の好ましい工程として、前記仕上体面取りステップにおいて、熱圧硬化後の製品を、製品の重量に応じて一定の割合で面取り媒体と混合した後、面取り装置に入れ、仕上体面取り作業を完成させる。
【0012】
上記工程の好ましい工程として、前記絶縁被覆ステップにおいて、ポリイミド系材料を使用して絶縁層の厚さが3μm以上になるように製品の表面について絶縁被覆処理を行う。製品を被覆した後、絶縁層が硬化されるように100℃以上で0.5時間以上ベーキングする。
【0013】
上記工程の好ましい工程として、前記研磨ステップにおいて、製品を治具内に整然に配列し、高精度の研磨機を使用して、製品の片側研磨量が3μm(絶縁層の厚さ)以上でありかつ研磨後の製品端部のエナメル銅線の断面が露出するように製品について研磨作業を行う。
【0014】
上記工程の好ましい工程として、前記電極への銅めっきステップにおいて、研磨後の製品に1μm以上の銅層を電気めっきする。
【0015】
上記工程の好ましい工程として、前記二次絶縁被覆ステップにおいて、ポリイミド系材料を使用して絶縁層の厚さが3μm以上になるように製品の表面について絶縁被覆処理を行う。製品を被覆した後、絶縁層が硬化されるように100℃以上で0.5時間以上ベーキングする。
【0016】
上記工程の好ましい工程として、前記二次研磨ステップにおいて、製品を治具内に整然に配列し、高精度の研磨機を使用して、製品の片側研磨量が3μm以上でありかつ製品底部の銅導体のめっき層を露出するように製品について研磨作業を行う。
【0017】
上記工程の好ましい工程として、前記電気めっきによる電極の金属化ステップにおいて、製品のはんだ付け性、はんだ耐性及び接着性を増加するために、真空コーティング工程(PVD技術)又は従来の電気めっき工程の一方又は両方の組み合わせを採用し、元の一次銅めっきされた表面に必要な金属及び合金材料のめっき層をさらに追加する。
【0018】
上記工程の好ましい工程として、前記検出及びパッケージングステップにおいて、製品について検出を行い、サイズ、外観及び特性の不良品を排除した後、製品をパッケージングする。
【0019】
本発明の技術的な利点は次の通りである。
1)本発明の技術的な利点は、底面電極又は「L」型電極のみを保留し、絶縁材料を採用して製品本体を覆う金属粉末コアからなる集積チップインダクタを提供し、スラリー末端封鎖からなる電気めっき型の一体成型インダクタ、銅シート端子からなる電極型の一体成型インダクタのサイドのスズ積層サイズを節約することにより、回路基板における製品の設置サイズを縮小し、集積回路PCBボードの設置スペースを増やし、生産コストを大幅に削減し、製品が高い信頼性、高いコストパフォーマンスを備え、集積回路産業の高度の集積化開発に有利な条件を作り出すことである。同じサイズの場合、製品の総合的な性能が大幅に向上できる。
【0020】
2)製造過程で真空コーティング技術(PVD技術)又は従来の電気めっき工程を使用することにより、製造コストを節約し、工程収率を向上する。
【0021】
3)新しい絶縁被覆材料及び絶縁被覆工程を使用し、製品の絶縁被覆の厚さを3μm以上にする。絶縁被覆材料は、環境にやさしい熱硬化型のポリイミド系の材料である。
【0022】
4)本案を採用して製造されたインダクタンス部品は、高周波、低損失、チップ化、小型化、高耐電圧、高信頼性という利点があり、ハイエンド電子部品のハイエンド製品の発展動向に完全に適合し、その適用範囲が広いため、このようなセンサー部品は、スマート端末、5G、産業用インターネット、データセンター、新エネルギー自動車、スマートグリッド、航空宇宙、高速鉄道等の業界の需要を満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の工程フロー図である。
図2】本発明と市販製品の負荷電流特性の比較図である。
図3】本発明と市販製品の特性の比較図である。
図4】本発明製品の特性の実際のテストデータである。
図5】本発明の底面電極付き製品の概略図である。
図6】本発明の「L」型電極付き製品の概略図である。
図7】本発明の製品の正面X線斜視図である。
図8】本発明の製品の側面X線斜視図である。
図9】本発明のエージング負荷試験のデータチャートである。
図10】本発明のはんだ付け性のデータチャートである。
図11】本発明の熱溶接性のデータチャートである。
図12】本発明の推力試験のデータチャートである。
図13】本発明のクロスカット試験のデータチャートである。
図14】本発明の塩酸試験のデータチャートである。
図15】本発明の高温保存のデータチャートである。
図16】本発明の蒸気エージング試験のデータチャートである。
図17】本発明のクロスセクション試験のデータチャートである。
図18】本発明の層間試験のデータチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下は、すべての図面と併せて本発明をさらに説明する。図1図5を参照すると、本発明の好ましい実施形態は、下記の通りである。
【0025】
実施例1:本実施例では、底面電極付けインダクタを製造する。
空芯コイルに巻き取るステップと、プレス成形ステップと、グリーン(未加熱)素体(Green sheet)面取りステップと、熱圧硬化ステップと、仕上体(加熱済み)面取りステップと、絶縁被覆ステップと、研磨ステップと、電極へのニッケルめっきステップと、電極への銅めっきステップと、二次絶縁被覆ステップと、二次研磨ステップと、電気めっきによる電極の金属化ステップと、検出及びパッケージングステップとを含む、金属粉末コアからなる集積チップインダクタの製造方法である。
【0026】
ここで、各ステップは下記の通りである。
【0027】
第1のステップにおいて、空芯コイルに巻き取り、即ち、製品仕様設定の要件によって空芯コイルを制作する。巻き取り方法は巻線治具による多軸巻き取りを採用し、対応する技術基準を満たす必要がある。繰り返しテストの結果、エナメル銅線の選定及び巻き取りは、大量生産可能な巻線装置のパラメータ及び線材の仕様データを取得した。巻き取り方法は巻線治具への多軸による巻き取りを採用しているため、材料片を節約しながら巻き取り速度を向上する。
【0028】
第2のステップにおいて、プレス成形し、即ち、カルボニル鉄粉又は合金材料(鉄-シリコン、鉄-シリコン-クロム、鉄-ニッケル、鉄-シリコン-アルミニウム及びアモルファスナノ結晶等の材料体系)を採用して成形する。研究開発チームは、複数回の試験を経て、データを記録し、統計分析を行った後、次のような最適なカルボニル粉末成分の処方を選別した。
【0029】
カルボニル基鉄粉/合金材料/フェライト材料:エポキシ樹脂:アセトンを100:≦7:≦20の重量比でよく混合した後、温度≦80℃の条件下で1-3時間保温した後、研磨して造粒する。製造された粉末は、球形度≧60%を満たす必要がある。また、粉末の粒径はD50≦30μm、D90≦90μm、D10≦20μmを満たす必要がある(D10は、粒子の累積分布が10%である粒径である。即ち、この粒径よりも小さい粒子の体積含有量が、すべての粒子の10%を占める。D50は、粒子の累積分布が50%である粒径である。中位径又は中位粒子径とも呼ばれ、これは粒径のサイズを表す代表値である。D90は、粒子の累積分布が90%である粒径である。即ち、このサイズよりも小さい粒子の体積含有量が、すべての粒子の90%を占める)。エポキシ樹脂をバインダとし、粉末造粒を完成した後、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、又はその他の離型潤滑剤を添加する。
【0030】
空芯コイルを含む巻線治具を成形機の金型に入れた後、コイルを金型キャビティの定点にインプラントし、金属粉末を金型キャビティ内に充填し、成型密度が3g/cm以上になるように製品をプレス成形する。
【0031】
成形機の具体的な圧力の選定において、圧力が大きいと、コイルのパテントレザーに傷が付いたり、つぶれたりし、圧力が足りないと、生産された製品の密度が不足し、製品のコーナー欠落やインダクタンスの低下等の不具合が発生する。大量の試験を経てデータを統計し、製品の品質、生産効率及び収率を満たすことができる最適なパラメータを選別する。
【0032】
第3のステップにおいて、グリーン(未加熱)素体(Green sheet)面取りを行い、即ち、プレス成形された製品を製品重量に応じて1000分の1以上の面取り媒体を添加した後、面取り装置に入れ、面取り作業を完成させる。面取り時間は5分間以上である。前記面取り媒体は、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素等の高密度で高硬度の粉末の中の1つ又は複数である。
【0033】
第4のステップにおいて、熱圧硬化し、即ち、製品を整然にレイアウトして熱圧装置のキャビティ内に入れ、熱圧装置のキャビティの温度を100℃以上に制御し、0.5MPa以上の圧力で5分間以上の保圧を行い、熱圧硬化作業を完成させる。
【0034】
第5のステップにおいて、仕上(加熱済み)体面取りを行い、即ち、熱圧後の製品を製品の重量に応じて製品の重量よりも大きい面取り媒体を添加した後、面取り装置に入れ、仕上体面取り作業を完成させる。面取り時間は5分間以上である。前記面取り媒体は、専用面取り向け石(例えば、粒状のジルコニア、粒状のアルミナ等の高密度で高硬度の粒子の中の1つ又は複数)である。
【0035】
第6のステップにおいて、絶縁被覆を行い、即ち、ポリイミド系材料を使用して絶縁層の厚さが3μm以上になるように製品の表面について絶縁被覆処理を行う。製品を被覆した後、絶縁層が硬化されるように100℃以上で0.5時間以上ベーキングする。
【0036】
第7のステップにおいて、研磨を行い、即ち、製品を治具内に整然に配列し、高精度の研磨機を使用して、製品の片側研磨量が3μm以上でありかつ研磨後の製品端部のエナメル銅線の断面が露出するように製品について研磨作業を行う。
【0037】
第8のステップにおいて、電極へのニッケルめっきを行い、即ち、研磨後の製品に0.3μm以上のニッケル層を電気めっきする。
【0038】
第9のステップにおいて、電極への銅めっきを行い、即ち、ニッケルめっき後の製品に1μm以上の銅層を電気めっきする。
【0039】
前記第8のステップにおける電極へのニッケルめっきを銅めっきに取り換えてもよく、第9のステップにおける電極への銅めっきをニッケルめっきに変更してもよく、必要に応じて市販されている他の通常の金属を電気めっきに使用してもよい。
【0040】
第10のステップにおいて、二次絶縁被覆を行い、即ち、ポリイミド系ナノ材料を使用して絶縁層の厚さが3μm以上になるように製品の表面について絶縁被覆処理を行う。製品を被覆した後、絶縁層が硬化されるように100℃以上で0.5時間以上ベーキングする。
【0041】
第11のステップにおいて、二次研磨を行い、即ち、製品を治具内に整然に配列し、高精度の研磨機を使用して、製品の片側研磨量が3μm以上でありかつ製品底部の銅導体めっき層を露出するように製品について研磨作業を行う。
【0042】
第12のステップにおいて、電気めっきによって電極を金属化し、即ち、製品のはんだ付け性、はんだ耐性及び接着性を増加するために、真空コーティング工程(PVD技術)又は従来の電気めっき工程の一方又は両方の組み合わせを採用し、ニッケルめっきされた(ニッケルベース)うえに銅めっきされた(銅層)製品の表面に、必要な金属及び合金材料のめっき層をさらに追加する。前記金属は、ニッケル、アルミニウム、銅、銀、マグネシウム、モリブデン、マンガン、亜鉛、チタン、コバルト、バナジウム、クロム、鋼、スズ、金の中の一つ又は複数の混合によって形成された合金材料のめっき層である。
【0043】
第13のステップにおいて、検出及びパッケージングを行い、即ち、製品について検出を行い、サイズ、外観及び特性の不良品を排除した後、製品をパッケージングする。
【0044】
上記の工程に従って製造された製品の実際のテストデータは図4を参照し、上記の工程に従って製造された製品の概略図は図5を参照する。市場におけるベンチマーク企業の製品と特性の比較を行う(図3)と、総合的な比較の結果、本出願の製品の負荷電流、動作電流、エネルギー損失はいずれも同業界のベンチマーク企業のものよりも明らかに優れている。
【0045】
上記の工程に従って製造された製品の各テストデータは図9図18を参照する。
【0046】
実施例2:本実施例では、「L」型電極付けインダクタを製造する。
空芯コイルに巻き取るステップと、プレス成形ステップと、グリーン素体面取りステップと、熱圧硬化ステップと、仕上体面取りステップと、絶縁被覆ステップと、研磨ステップと、電気めっきステップと、検出及びパッケージングステップとを含む、金属粉末コアからなる集積チップインダクタの製造方法である。
【0047】
ここで、各ステップは下記の通りである。
【0048】
第1のステップにおいて、空芯コイルに巻き取り、即ち、製品仕様設定の要件によって空芯コイルを制作する。巻き取り方法は巻線治具への多軸による巻き取りを採用し、対応する技術基準を満たす必要がある。繰り返しテストの結果、エナメル銅線の選定及び巻き取りは、大量生産可能な巻線装置のパラメータ及び線材の仕様データを取得した。巻き取り方法は巻線治具への多軸による巻き取りを採用しているため、材料片を節約しながら巻き取り速度を向上する。
【0049】
第2のステップにおいて、プレス成形し、即ち、カルボニル鉄粉又は合金材料(鉄-シリコン、鉄-シリコン-クロム、鉄-ニッケル、鉄-シリコン-アルミニウム及びアモルファスナノ結晶等の材料体系)を採用して成形する。研究開発チームは、複数回の試験を経て、データを記録し、統計分析を行った後、次のような最適なカルボニル粉末成分の処方を選別した。
【0050】
カルボニル基鉄粉/合金材料/フェライト材料:エポキシ樹脂:アセトンを100:≦7:≦20の重量比でよく混合した後、温度≦80℃の条件下で1-3時間保温した後、研磨して造粒する。製造された粉末は、球形度≧60%を満たす必要がある。また、粉末の粒径はD50≦30μm,D90≦90μm,D10≦20μmを満たす必要がある(D10は、粒子の累積分布が10%である粒径である。即ち、この粒径よりも小さい粒子の体積含有量が、すべての粒子の10%を占める。D50は、粒子の累積分布が50%である粒径である。中位径又は中位粒子径とも呼ばれ、これは粒径のサイズを表す代表値である。D90は、粒子の累積分布が90%である粒径である。即ち、このサイズよりも小さい粒子の体積含有量が、すべての粒子の90%を占める)。エポキシ樹脂をバインダとし、粉末造粒を完成した後、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、又はその他の離型潤滑剤を添加する。
【0051】
空芯コイルを含む巻線治具を成形機の金型に入れた後、コイルを金型キャビティの定点にインプラントし、金属粉末を金型キャビティ内に充填し、成型密度が3g/cm以上になるように製品をプレス成形する。
【0052】
成形機の具体的な圧力の選定において、圧力が大きいと、コイルのパテントレザーに傷が付いたり、つぶれたりし、圧力が足りないと、生産された製品の密度が不足し、製品のコーナー欠落やインダクタンスの低下等の不具合が発生する。大量の試験を経てデータを統計し、製品の品質、生産効率及び収率を満たすことができる最適なパラメータを選別する。
【0053】
第3のステップにおいて、グリーン素体面取りを行い、即ち、プレス成形された製品を、製品重量に応じて1000分の1以上の面取り媒体を添加した後、面取り装置に入れ、面取り作業を完成させる。面取り時間は5分間以上である。前記面取り媒体は、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素等の高密度で高硬度の粉末の中の1つ又は複数である。
【0054】
第4のステップにおいて、熱圧硬化し、即ち、製品を整然にレイアウトして熱圧装置のキャビティ内に入れ、熱圧装置のキャビティの温度を100℃以上に制御し、0.5MPa以上の圧力で5分間以上の保圧を行い、熱圧硬化作業を完成させる。
【0055】
第5のステップにおいて、仕上体面取りを行い、即ち、熱圧後の製品を製品の重量に応じて製品の重量よりも大きい面取り媒体を添加した後、面取り装置に入れ、仕上体面取り作業を完成させる。面取り時間は5分間以上である。前記面取り媒体は、専用面取り向け石(例えば、粒状のジルコニア、粒状のアルミナ等の高密度で高硬度の粒子の中の1つ又は複数)である。
【0056】
第6のステップにおいて、絶縁被覆を行い、即ち、ポリイミド系材料を使用して絶縁層の厚さが3μm以上になるように製品の表面について絶縁被覆処理を行う。製品を被覆した後、絶縁層が硬化されるように100℃以上で0.5時間以上ベーキングする。
【0057】
第7のステップにおいて、研磨を行い、即ち、製品を治具内に整然に配列し、高精度の研磨機を使用して、製品の片側研磨量が3μm以上でありかつ研磨後の製品端部のエナメル銅線の断面が露出するように製品について研磨作業を行う。
【0058】
第8のステップにおいて、一次電気めっきを行い、即ち、従来の工程を採用し、研磨後の製品にニッケルを電気メッキして、メッキ層の厚さが0.3μm以上になるようにニッケルベースを形成し、電極接着性を向上する。
【0059】
第9のステップにおいて、二次電気めっきを行い、即ち、従来の工程を採用し、ニッケルベースに銅を電気メッキして、メッキ層の厚さが1.0um以上になるように銅層を形成し、導電性能を向上する。
【0060】
前記第8のステップにおける電極へのニッケルめっきを銅めっきに取り換えてもよく、第9のステップにおける電極への銅めっきをニッケルめっきに変更してもよく、必要に応じて市販されている他の通常の金属を電気めっきに使用してもよい。
【0061】
第10のステップにおいて、三次電気めっきを行い、即ち、従来の工程を採用し、銅メッキ後の製品に錫を電気メッキして、めっき層の厚さが1.0um以上になるように錫層を形成し、耐酸化性及びはんだ付け性を向上する。
【0062】
第11のステップにおいて、検出及びパッケージングを行い、即ち、製品について検出を行い、サイズ、外観及び特性の不良品を排除した後、製品をパッケージングする。
【0063】
本実施例の電気めっき工程は、必要に応じて、真空コーティング工程(PVD技術)、従来の電気めっき工程の一方又は両方の組み合わせを採用することができる。
【0064】
上記の工程に従って製造された製品の概略図は図6を参照する。
【0065】
上記に記載されている実施例は、本発明の好ましい実施形態にすぎず、本発明の実施範囲を限定することを意図するものではない。従って、本発明の形状及び原理に従って行われたすべての変化は、いずれも本発明の保護範囲に含まれるべきである。
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