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特許7190560回転バレル法で無機性汚泥を直接乾燥する方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】回転バレル法で無機性汚泥を直接乾燥する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/12 20190101AFI20221208BHJP
   C02F 11/143 20190101ALI20221208BHJP
   B07B 1/00 20060101ALI20221208BHJP
   B01D 53/38 20060101ALI20221208BHJP
   B01D 53/44 20060101ALI20221208BHJP
   B01D 53/48 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
C02F11/12
C02F11/143 ZAB
B07B1/00 A
B01D53/38
B01D53/44
B01D53/48
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021516959
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 CN2019108152
(87)【国際公開番号】W WO2020063745
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】201811145994.0
(32)【優先日】2018-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】302022474
【氏名又は名称】宝山鋼鉄股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 英 杰
(72)【発明者】
【氏名】肖 永 力
(72)【発明者】
【氏名】李 永 謙
【審査官】富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第201327265(CN,Y)
【文献】中国特許出願公開第101186422(CN,A)
【文献】国際公開第2018/000858(WO,A1)
【文献】特開2011-163648(JP,A)
【文献】特開2009-233563(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 11/00-11/20
B07B 1/00
B01D 53/38
B01D 53/44
B01D 53/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラグと汚泥を混合し、汚泥含水率が3%~15%に減らした後に、鉄鋼スラグと乾燥汚泥を分離する、との工程を含み、
スラグと汚泥の混合は、スチールボールを保有する回転バレルの中で行われることを特徴とする、スラグによる無機性汚泥の乾燥方法。
【請求項2】
スラグと汚泥との混合質量比が、1.5~3であることを特徴とする、請求項1に記載のスラグによる無機性汚泥の乾燥方法。
【請求項3】
篩分離と回転分離の組み合わせによって、鉄鋼スラグと乾燥汚泥の分離を実現することを特徴とする、請求項1に記載のスラグによる無機性汚泥の乾燥方法。
【請求項4】
前記方法は、さらに排ガス処理と排泥処理工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載のスラグによる無機性汚泥の乾燥方法。
【請求項5】
前記排ガス処理が、湿式アルカリ洗浄及び/または活性炭吸着の方法により、汚泥の乾燥で生成される排ガスの中に存在する粉塵、硫化物及び有機化合物を処理した後に、排出することを含み、
前記排泥処理が、生成された粉塵が湿法洗浄または噴霧の後に集められ、乾燥待ちの汚泥と撹拌混合した後に、スラグと混合して乾燥処理を行うことを含む
ことを特徴とする、請求項4に記載のスラグによる無機性汚泥の乾燥方法。
【請求項6】
前記方法は、スラグと汚泥が、それぞれ対応する輸送装置によって、スチールボールを保有する回転バレル中に輸送され、汚泥含水率が3%~15%に減らした後に、鉄鋼スラグと乾燥汚泥とからなる混合物が、回転バレルの出口端にある渣泥輸送装置によって渣泥分離装置に輸送され、鉄鋼スラグと乾燥汚泥が分離される;汚泥の乾燥過程で生成される排ガスの中に存在する粉塵、硫化物及び有機化合物が、回転バレルの出口によって排ガス処理装置に入り、標準を満たすように処理されてから排出される;排ガスの処理過程で分離される粉塵が、排ガス処理装置の塵泥出口によって排泥混合装置に入り、乾燥待ちの汚泥と混合されてから、泥漿輸送パイプによって前記回転バレル内に輸送されること、を含むことを特徴とする、請求項に記載のスラグによる無機性汚泥の乾燥方法。
【請求項7】
前記渣泥分離装置は、篩分離方式が利用され、スクリーンのメッシュ数が60メッシュ以上であることを特徴とする、請求項3に記載のスラグによる無機性汚泥の乾燥方法。
【請求項8】
混合及び乾燥は、バッチ、フロー、またはセミフローの方式によって行われることを特徴とする、請求項1に記載のスラグによる無機性汚泥の乾燥方法。
【請求項9】
1)回転バレルでの渣泥混合乾燥
スラグと汚泥は、所定の流量比に準じて、それぞれの輸送装置によって回転バレルに送られ、スラグと汚泥が、回転バレルの回転及びスチールボールの転がりによって混合、熱交換、脱水、冷却及び破砕され、スラグと汚泥が冷却及び乾燥され、直接排出される;無機性汚泥の初期含水率が70%~99%であり、乾燥後の目標含水率が3%~15%である;スラグと無機性汚泥との渣泥流量比が1.5~3.0であり、無機性汚泥の流量が10t/h~80t/hである;
2)渣泥分離
篩分離と回転分離の組み合わせによって、鉄鋼スラグと乾燥汚泥の分離を実現する;
3)排ガス処理
湿式アルカリ洗浄や、活性炭吸着の方法により、回転バレル法での汚泥乾燥で生成される排ガスの中に存在する粉塵、硫化物、有機化合物を処理した後に、排出する;
4)排泥処理
排ガス処理過程で生成される粉塵が、湿法洗浄または噴霧の後に集められ、そして輸送設備によって排泥混合装置に送られ、初期汚泥と撹拌混合された後に、乾燥処理のため、汚泥ポンプによって定期的に回転バレルに送られる;撹拌混合後での排泥含水率は、無機性汚泥の初期含水率との偏差が、±5%以下である
との工程を含むことを特徴とする、回転バレル法で無機性汚泥を直接乾燥する方法。
【請求項10】
工程2)渣泥分離は、篩分離方式が利用され、スクリーンのメッシュ数が60メッシュ以上であることを特徴とする、請求項に記載の回転バレル法で無機性汚泥を直接乾燥する方法。
【請求項11】
いくつかのスチールボールを保有する、回転バレルと;
入口端が前記回転バレルの出口に対応する、渣泥輸送装置と;
入口端が前記渣泥輸送装置の出口に対応し、出口が異なるサイロに対応する、渣泥分離装置と;
ガス入口が輸送パイプによって前記回転バレルの出口につながる、排ガス処理装置と;
入口が輸送パイプによって前記排ガス処理装置の塵泥出口につながる、排泥混合装置と;
排泥混合装置の出口と回転バレルの入口をつながるための、泥漿輸送パイプと;
泥漿輸送パイプに設けられ、汚泥を回転バレルにポンプするための、汚泥ポンプと
を含むことを特徴とする、回転バレル法で無機性汚泥を直接乾燥するための装置。
【請求項12】
前記渣泥分離装置は、篩分離方式が利用され、スクリーンのメッシュ数が60メッシュ以上であることを特徴とする、請求項11に記載の回転バレル法で無機性汚泥を直接乾燥するための装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は固廃の処理/汚泥の乾燥技術に関し、特に回転バレル法で無機性汚泥を直接乾燥する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
経済発展と都市人口の急速な増加に伴い、産業および都市の下水の処理率は増加し続け、下水処理施設の汚泥の量は日々増加しており、汚泥処理技術は比較的遅れており、汚泥が都市を葬る現象がますます深刻になり、汚泥の無害性、減量化、および資源化を実現するために、汚泥の乾燥は必要なプロセスになる。下水処理施設から出る汚泥が機械的に脱水された後の含水率が、通常75%-85%であり、汚泥の含水率を20%以下に減らしたい場合、従来の汚泥乾燥技術では、通常、電気加熱または蒸気加熱の方式が使われるが、多くのエネルギーが消費され、汚泥乾燥のコスト高騰につながる。
【0003】
従来の汚泥乾燥技術のうち、CN200510048978.6はボイラー廃熱を利用する;CN200510049554.1およびCN200510049556.0は発電所の煙道ガス廃熱を利用する;CN200410052759.0は、循環式の温度制御可能な汚泥乾燥装置および方法を開示し、これは、粒径が4mmを超える乾燥汚泥を循環させて、湿った汚泥と混合し、ワイヤーメッシュを使用して汚泥を細かいブロックに切断し、ロータリーキルンに入れることにより、その後の熱風乾燥の効率を向上させるが、汚泥含水率が高すぎると、実現はできない。CN03155966.2は、負圧密閉方式を採用し、汚泥処理過程で発生する各種ウイルスの拡散や蔓延経路を遮断すると同時に、システム移動時に、システム空間における汚染空気及びそれが帯びるウイルスが外界に漏洩して拡散することを回避できるが、すべての工程装置が移動設備に集中しているため、処理能力が比較的低く、連続的な運用が実現できない。
【0004】
同時に、鉄鋼大国であるわが国は、年間10億トン近くの鉄鋼が生産され、毎年2億トン以上の鉄鋼スラグが生成され、スラグ1トンに含まれる熱エネルギーは60キログラムの標準石炭に相当する。スラグは熱伝導が悪いため、スラグ廃熱の回収における進歩が停滞し、大量の熱が無駄にされてしまう。
【0005】
従来の汚泥乾燥のコストが高く、汚泥処理に影響し、そして鉄鋼スラグの廃熱が有効に利用できないという課題を解決するため、本発明は、冶金スラグの廃熱により汚泥を乾燥する工業プロセス及び実施方法を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、回転バレル法で無機性汚泥を直接乾燥する方法及び装置の提供にある。ホットスラグ回転バレル法の処理技術により、スラグと汚泥を所定の割合で混合し、スラグの冷却粒子化及び無機性汚泥の乾燥という二つの課題を同時に解決した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明の技術案は:
スラグと汚泥を混合し、汚泥含水率が3%~15%に減らした後に、鉄鋼スラグと乾燥汚泥を分離する、との工程を含む、スラグによる無機性汚泥の乾燥方法。
【0008】
好ましくは、スラグと汚泥との混合質量比が1.5~3である。
好ましくは、バッチ、フロー、またはセミフローの方式によって混合及び乾燥を行う。
【0009】
好ましくは、篩分離と回転分離の組み合わせによって、鉄鋼スラグと乾燥汚泥の分離を実現する。さらに好ましくは、篩分離によって鉄鋼スラグと乾燥汚泥を分離し、スクリーンのメッシュ数が60メッシュ以上である。
【0010】
好ましくは、上記方法が、さらに排ガス処理及び排泥処理工程を含む。さらに好ましくは、排ガス処理が、湿式アルカリ洗浄及び/または活性炭吸着の方法により、汚泥の乾燥で生成される排ガスの中に存在する粉塵、硫化物を処理した後に、排出することを含む;排泥処理が、生成される粉塵を湿法洗浄または噴霧の後に集め、乾燥待ちの汚泥と撹拌混合した後に、スラグと混合し、乾燥処理を行うことを含む。
【0011】
好ましくは、スチールボールを保有する回転バレルの中でスラグと汚泥を混合する。
好ましくは、上記方法が、スラグと汚泥が、それぞれ対応する輸送装置によって、スチールボールを保有する回転バレル中に輸送され、汚泥含水率が3%~15%に減らした後に、鉄鋼スラグと乾燥汚泥とからなる混合物が、回転バレルの出口端にある渣泥輸送装置によって渣泥分離装置に輸送され、鉄鋼スラグと乾燥汚泥が分離される;汚泥の乾燥過程で生成される排ガスの中に存在する粉塵や硫化物が、回転バレルの出口によって排ガス処理装置に入り、処理されてから排出される;排ガスの処理で分離される粉塵が、排ガス処理装置の塵泥出口によって排泥混合装置に入り、乾燥待ちの汚泥と混合されてから、泥漿輸送パイプによって前記回転バレル内に輸送されること、を含む。
【0012】
好ましくは、無機性汚泥の初期含水率が70%~99%であり、フローまたはセミフローの方式によってスラグと無機性汚泥を添加し、無機性汚泥の処理量が10t/h~80t/hで、スラグの処理量が30t/h~120t/hである。
【0013】
好ましくは、混合、乾燥後の渣泥の温度が、100~130℃の範囲内にある。
好ましくは、排泥含水率と乾燥待ちの無機性汚泥の含水率との偏差が、±5%以下である。
【0014】
さらに、以下の工程を含む、回転バレル法で無機性汚泥を直接乾燥する方法を提供する。
【0015】
1)回転バレルでの渣泥混合乾燥
スラグと汚泥は、所定の質量比に準じて、それぞれの輸送装置によって回転バレルに送られ、スラグと汚泥が、回転バレルの回転及びスチールボールの転がりによって混合、熱交換、脱水、冷却及び破砕され、スラグと汚泥が冷却及び乾燥され、直接排出される;
無機性汚泥の初期含水率が70%~99%であり、乾燥後の目標含水率が3%~15%である;スラグと無機性汚泥との渣泥流量比(質量で計算)が1.5~3.0であり、乾燥できる無機性汚泥の量が10t/h~80t/hである;
2)渣泥分離
篩分離と回転分離の組み合わせによって、鉄鋼スラグと乾燥汚泥の分離を実現する;
3)排ガス処理
湿式アルカリ洗浄や、活性炭吸着の方法により、回転バレル法での汚泥乾燥で生成される排ガスの中に存在する粉塵や硫化物を処理した後に、排出する;
4)排泥処理
スラグと汚泥が回転バレルで処理された後に、蒸気と粉塵が生成され、粉塵が蒸気に乗って排ガス処理装置に入り、粉塵が湿法洗浄または噴霧の後に集められ、そして輸送設備によって排泥混合装置に送られ、初期汚泥と撹拌混合された後に、乾燥処理のため、汚泥ポンプなどの輸送設備によって定期的に回転バレルに送られることにより、乾燥されていない汚泥のゼロ排出が実現される;撹拌混合後の排泥含水率と、無機性汚泥の初期含水率との偏差が、大きくなりすぎないように、±5%以下である。
【0016】
好ましくは、工程2)渣泥分離は、篩分離方式が利用され、スクリーンのメッシュ数が60メッシュ以上である。
【0017】
本発明に記載される回転バレル法で無機性汚泥を直接乾燥する装置は、いくつかのスチールボールを保有する、回転バレルと;入口端が上記回転バレルの出口に対応する、渣泥輸送装置と;入口端が上記渣泥輸送装置の出口に対応し、出口が異なるサイロに対応する、渣泥分離装置と;ガス入口が輸送パイプによって上記回転バレルの出口につながる、排ガス処理装置と;入口が輸送パイプによって上記排ガス処理装置の塵泥出口につながる、排泥混合装置と;排泥混合装置の出口と上記回転バレルの入口をつながるための、泥漿輸送パイプと;泥漿輸送パイプに設けられ、汚泥を回転バレルにポンプするための、汚泥ポンプとを含む。
【0018】
好ましくは、上記渣泥分離装置は、篩分離方式が利用され、スクリーンのメッシュ数が60メッシュ以上である。
【0019】
本発明では、ホットスラグ回転バレルプロセスが利用され、スラグと無機性汚泥が、スラグ供給装置及び汚泥輸送システムにより、所定の割合で同時に回転バレルに輸送され、回転バレルの回転によって十分混合される。質量伝達や熱伝達を経た渣と泥により、コールドスラグと、含水率の要求に満たす乾燥汚泥が得られる。本発明の装置によれば、スラグの粒子化や汚泥乾燥の迅速、安定、連続的な処理が実現できる。
【0020】
本発明において:
(1)渣泥混合乾燥プロセス
スラグと汚泥は、それぞれの輸送装置により、所定の質量比で適宜な容器に輸送されてもいい。スラグと汚泥を十分撹拌し、接触させるために、容器の中では、適宜な撹拌装置を設けてもいい。好ましくは、容器そのものが外部駆動力によって回転する。
【0021】
好ましくは、この容器は回転バレルであり、その中に、所定サイズと所定数のスチールボールが装着されている。スラグと汚泥は、回転バレルの回転及びスチールボールの転がりによって、混合、熱交換、脱水、冷却及び破砕などの物理過程を遂げ、さらに、スラグの冷却、粒子化、及び汚泥の目標含水率を満たす汚泥の直接乾燥過程が実現される。
【0022】
スラグと汚泥は、全乾燥過程において、数分間の時間で冷却及び乾燥を実現し、直接排出される。
【0023】
通常、容器中におけるスラグと汚泥との質量比は1.5~3であり。容器中における渣泥質量比が1.5未満であると、OG泥含水率を40%以下にコントロールするために、前置きの機械乾燥プロセスを現場で設置する必要があるため、汚泥の乾燥効率が著しく影響され、連続的な生産が実現できないだけでなく、設備投入も大幅に増加し、回転バレルによる汚泥乾燥プロセスのメリットが失われる。スラグと汚泥の質量比が3を超えると、渣泥の温度が高くなりすぎて、250℃を超えると、温度コントロールのために水の補充が必要となり、乾燥汚泥の収率が著しく影響される。
【0024】
混合、乾燥の時、バッチ、フロー、またはセミフローの方式によってスラグと汚泥を添加してもいい。バッチとは、毎回の混合、乾燥の時、本発明に記載される質量比に基づき、スラグと汚泥を容器の中に入れて、乾燥が完了した後に、渣泥混合物を出して、次のバッチの混合及び乾燥を行うことである。フローとは、容器の中に所定の流量で途切れなくスラグと汚泥を入れると同時に、容器内で混合、乾燥を完成した渣泥を途切れなく外へ排出することである。セミフローとは、スラグ及び/または汚泥の添加は連続的ではなく、容器内の混合及び乾燥状況に応じて、所定の時間ごとに所定量のスラグ及び/または汚泥を添加することである。
【0025】
通常、フロー方式によって混合乾燥する場合、回転バレルに入るスラグの流量が30t/h~120t/hであり、乾燥できる無機性汚泥の流量が10t/h~80t/hであり、スラグと無機性汚泥との渣泥流量比が1.5~3.0である。
【0026】
通常、無機性汚泥の初期含水率(なんの乾燥も経てない)が70%~99%であり、乾燥後の目標含水率が3%~15%である。
【0027】
(2)渣泥分離プロセス
冷却及び乾燥後の渣、泥は、十分混合されたものであり、後続の資源化利用のために、渣、泥の分離が必要である。通常、鉄鋼スラグと乾燥汚泥は、物理特性において明確な差があり、主に密度や粒径などの点で差があるため、本発明は篩分離と回転分離を組み合わせる方式を利用し、鉄鋼スラグと乾燥汚泥を分離する。鉄鋼スラグと乾燥汚泥の粒径に、桁違いの差が存在するため、本発明は好ましく篩分離方式を利用し、スクリーンのメッシュ数が60メッシュ以上であり、通常、スクリーンのメッシュ数が80~100メッシュである。
【0028】
(3)排ガス処理プロセス
回転バレル法での汚泥の乾燥によって生成される排ガスの中に、粉塵、硫化物などの環境に害する物質が存在し、排出の前に環境にやさしい処理をする必要がある。環境にやさしい排出を実現するために、その排ガス処理プロセスは湿式アルカリ洗浄、活性炭吸着を含む。
【0029】
(4)排泥処理プロセス
スラグと汚泥は、回転バレルで処理されてから、大量の蒸気と粉塵を生成し、粉塵が蒸気に乗って排ガス処理装置中に入る。粉塵は排ガス処理装置の中で湿法洗浄または噴霧されてから集められ、そして汚泥ポンプなどの輸送設備によって排泥混合装置の中に送られ、初期汚泥と撹拌混合し、汚泥ポンプなどの輸送設備によって定期的に回転バレルに送られて、乾燥処理を行い、乾燥されていない汚泥のゼロ排出を実現する。撹拌混合された後の排泥の含水率と、初期汚泥の含水率との差は、後続汚泥輸送、乾燥の効率に影響しないように、大きくなり過ぎないほうがいい。通常、この含水率の偏差は、±5%以下であったほうがいい。
【0030】
本発明による有益な効果:
従来の発電所などの排ガス熱源による汚泥乾燥技術と比べると、本発明は、様々な需要(目標含水率)に基づき、スラグの高熱を効率的に利用し、迅速、安定、連続的な無機性汚泥の直接乾燥、渣泥分離を実現し、粒渣と泥粉の後続資源化利用に貢献し、乾燥汚泥の付加価値を向上させる。プロセス装備の実現に関して、本発明は、熱間鉄鋼スラグを処理するための回転バレル技術を利用し、構造が簡単であり、操作しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は本発明による回転バレル法での無機性汚泥の乾燥プロセスのフローチャットである。
図2図2は本発明による回転バレル法での無機性汚泥の乾燥装置の構造を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1に示されるように、本発明は、以下の工程を含む、回転バレル法で無機性汚泥を直接乾燥する方法を提供する:
1)回転バレル法での渣泥混合乾燥
スラグと汚泥は、所定の割合に準じて、それぞれの輸送装置によって回転バレルに送られ、スラグと汚泥が、回転バレルの回転及びスチールボールの転がりによって混合、熱交換、脱水、冷却及び破砕され、スラグと汚泥が冷却及び乾燥され、直接排出される;無機性汚泥の初期含水率が70%~99%であり、乾燥後の目標含水率が3%~15%である;スラグと無機性汚泥との渣泥流量比が1.5~3.0であり、乾燥できる無機性汚泥の量が10t/h~80t/hである。
【0033】
2)渣泥分離
篩分離と回転分離の組み合わせによって、鉄鋼スラグと乾燥汚泥の分離を実現する。
【0034】
3)排ガス処理
湿式アルカリ洗浄や、活性炭吸着の方法により、回転バレル法での汚泥乾燥で生成される排ガスの中に存在する粉塵、硫化物、有機化合物を処理した後に、排出する。
【0035】
4)排泥処理
スラグと汚泥が、回転バレルでの処理過程において、蒸気と粉塵を生成し、粉塵が蒸気に乗って排ガス処理装置に入り、粉塵が湿法洗浄または噴霧の後に集められ、そして輸送設備によって排泥混合装置に送られ、初期汚泥と撹拌混合され、乾燥処理のため、汚泥ポンプなどの輸送設備によって定期的、定量的に回転バレルに送られることにより、乾燥されていない汚泥のゼロ排出が実現される;撹拌混合後での排泥含水率と、初期汚泥の含水率との偏差が、大きくなりすぎないように、±5%以下である。
【0036】
好ましくは、工程2)渣泥分離は、篩分離方式が利用され、スクリーンのメッシュ数が60メッシュ以上である。
【0037】
図2に示されるように、本発明に記載される回転バレル法で無機性汚泥を直接乾燥する装置は、いくつかのスチールボールを保有する、回転バレル1と;入口端が上記回転バレル1の出口に対応する、渣泥輸送装置2と;入口端が上記渣泥輸送装置2の出口に対応し、出口が異なるサイロに対応する、渣泥分離装置3と;ガス入口が輸送パイプによって上記回転バレル1の出口につながる、排ガス処理装置4と;入口が輸送パイプによって上記排ガス処理装置4の塵泥出口につながる、排泥混合装置5とを含む;排泥混合装置5の出口が、泥漿輸送パイプ及び汚泥ポンプによって上記回転バレル1の入口につなげる。
【0038】
好ましくは、上記渣泥分離装置は、篩分離方式が利用され、スクリーンのメッシュ数が60メッシュ以上である。
【0039】
本発明では、回転バレル法によるホットスラグの処理プロセスが利用され、スラグと無機性汚泥が、スラグ供給装置及び汚泥輸送システムにより、所定の割合で同時に回転バレルに輸送され、回転バレルの回転によって十分混合される。質量伝達や熱伝達を経た渣と泥により、コールドスラグと、含水率の要求に満たす乾燥汚泥が得られる。本発明の装置によれば、スラグの粒子化や汚泥乾燥の迅速、安定、安価な処理が実現できる。
【0040】
作業プロセスは以下の通り:
まず、冶金スラグ100がスラグ鍋から回転する回転バレル1に連続的に送られ、同時に、無機性汚泥が産地から汚泥輸送装置によって設定された流量で回転バレル1に送られ、スラグと含水汚泥が、回転バレル1の中におけるスチールボール及びバレル本体の共同作用により十分混合され、熱伝達、質量伝達の後に、スラグが粒子化され、汚泥が脱水され、そして渣泥200が、密封された渣泥輸送装置2により渣泥分離装置3に送られ、処理を行い、分離後の材料が成分及び分類によって異なるサイロに入る;回転バレルでの汚泥乾燥過程で生成される排ガスが、排ガス処理装置4によって基準に満たすように処理、浄化されてから、排出する;排ガス処理装置4で生成された排泥が、汚泥輸送ポンプによって排泥混合装置5の入口へポンプされ、汚泥源で生成される泥漿と混合され、ミキサーで均一に撹拌されてから、所定の濃度に準じて汚泥ポンプによって泥漿輸送パイプにポンプされ、回転バレル1の中に送られる。
【実施例1】
【0041】
ある製鉄所の回転バレル法での鉄鋼スラグ粒子化及びOG泥乾燥総合処理プロセスは、1台の回転バレル装置で、年間18万トンの高温鉄鋼スラグを処理する。鉄鋼スラグの処理過程において、含水率が80%であるOG泥漿を回転バレル装置内にポンプし、OG泥漿の水分によって高温鉄鋼スラグを冷却し、同時に鉄鋼スラグの顕熱によって汚泥を乾燥する;汚泥の目標含水率を3%にし、回転バレルに入る渣/泥の流量比が1.9:1.0であり、年間9.5万トンのOG泥が乾燥できる。回転バレル冷却、脱水などの迅速処理を経た渣泥(100-130℃)は、輸送装置によって渣泥分離装置へ直接に送られ、汚泥が含水率3%くらいに乾燥され、全過程がわずか5minである;十分に熱交換された後の回転バレルの鉄鋼スラグ及び乾燥汚泥が渣泥分離装置の下部から連続的に出され、篩分離または回転分離された粒渣と泥粉が、異なるサイロに送られ、ユーザーに送るトラックを待つ。
【実施例2】
【0042】
鉄鋼スラグの処理過程において、含水率が70%であるOG泥漿を回転バレル装置内にポンプし、OG泥漿の水分によって高温鉄鋼スラグを冷却し、同時に鉄鋼スラグの顕熱によって汚泥を乾燥する;汚泥の目標含水率を15%にし、回転バレルに入る渣/泥の流量比が1.5:1.0である。回転バレル冷却、脱水などの迅速処理を経た渣泥(100-130℃)は、輸送装置によって渣泥分離装置へ直接に送られ、汚泥が含水率3%くらいに乾燥され、全過程が5minである;十分に熱交換された後の回転バレル鉄鋼スラグ及び乾燥汚泥が渣泥分離装置の下部から連続的に出され、篩分離または回転分離された粒渣と泥粉が、異なるサイロに送られ、ユーザーに送るトラックを待つ。
【実施例3】
【0043】
鉄鋼スラグの処理過程において、含水率が95%であるOG泥漿を回転バレル装置内にポンプし、OG泥漿の水分によって高温鉄鋼スラグを冷却し、同時に鉄鋼スラグの顕熱によって汚泥を乾燥する;汚泥の目標含水率を3%にし、回転バレルに入る渣/泥の流量比が3.0:1.0である。回転バレル冷却、脱水などの迅速処理を経た渣泥(100-130℃)は、輸送装置によって渣泥分離装置へ直接に送られ、汚泥が含水率3%くらいに乾燥され、全過程が5minである;十分に熱交換された後の回転バレル鉄鋼スラグ及び乾燥汚泥が渣泥分離装置の下部から連続的に出され、篩分離または回転分離された粒渣と泥粉が、異なるサイロに送られ、ユーザーに送るトラックを待つ。
【実施例4】
【0044】
鉄鋼スラグの処理過程において、バッチ添加の方式を使い、含水率が80%であるOG泥漿を回転バレル装置内にポンプし、OG泥漿の水分によって高温鉄鋼スラグを冷却し、同時に鉄鋼スラグの顕熱によって汚泥を乾燥する;汚泥の目標含水率を3%にし、回転バレル内の渣/泥の流量比が1.9:1.0である。回転バレル冷却、脱水などの迅速処理を経た渣泥(100-130℃)は、輸送装置によって渣泥分離装置へ直接に送られ、汚泥が含水率3%くらいに乾燥され、全過程がわずか5minである;十分に熱交換された後の回転バレル鉄鋼スラグ及び乾燥汚泥が渣泥分離装置の下部から出され、篩分離または回転分離された粒渣と泥粉が、異なるサイロに送られ、ユーザーに送るトラックを待つ。
図1
図2