(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】位置決め装置、位置決め装置を有する光プロセッサ、および光プロセッサを用いたレーザー眼科手術のための方法
(51)【国際特許分類】
A61F 9/008 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
A61F9/008 120Z
A61F9/008 120E
(21)【出願番号】P 2021521998
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(86)【国際出願番号】 EP2019076046
(87)【国際公開番号】W WO2020083602
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-06-07
(31)【優先権主張番号】102018218147.0
(32)【優先日】2018-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505257752
【氏名又は名称】フィジック インストゥルメント(ピーアイ)ゲーエムベーハー アンド ツェーオー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンクランツ,マティアス
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-175545(JP,A)
【文献】特開2004-024900(JP,A)
【文献】特開2004-243078(JP,A)
【文献】特開2013-009819(JP,A)
【文献】特開2016-035325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/008
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を位置決め面において位置決めするための位置決め装置(1)であって、異なる直径を有する2つの回転駆動装置(2、3)と、前記物体を収容するための物体収容器(4)とを備え、前記物体収容器(4)が、互いに平行にかつ中心をずらして配置された両方の前記回転駆動装置(2、3)の回転軸(A2、A3)の周りで回転可能になり、これによって前記位置決め面において調節可能になるように、前記物体収容器(4)は、前記2つの回転駆動装置のうちの第1の回転駆動装置(3)に連結され、前記第1の回転駆動装置(3)は、前記2つの回転駆動装置のうちの第2の回転駆動装置(2)に連結される、位置決め装置。
【請求項2】
前記第1の回転駆動装置(3)は、前記第2の回転駆動装置(2)より小さな直径を有することを特徴とする、請求項1に記載の位置決め装置(1)。
【請求項3】
前記第1の回転駆動装置(3)の前記回転軸(A3)の周りに延在する前記物体収容器(4)の運動経路(B3)は、前記第2の回転駆動装置(2)の前記回転軸(A2)を取り囲む、またはこれに交差することを特徴とする、前記請求項のいずれか1項に記載の位置決め装置(1)。
【請求項4】
前記第1の回転駆動装置(3)の前記回転軸(A3)の周りに延在する前記物体収容器(4)の運動経路(B3)の直径は、前記第2の回転駆動装置(2)の前記回転軸(A2)の周りに延在する前記物体収容器(4)の運動経路(B2)の最大径の少なくとも半分の大きさであることを特徴とする、前記請求項のいずれか1項に記載の位置決め装置(1)。
【請求項5】
前記回転駆動装置(2、3)の回転方向および/または回転速度は、互いに別々に制御可能であることを特徴とする、前記請求項のいずれか1項に記載の位置決め装置(1)。
【請求項6】
前記第1の回転駆動装置(3)および/または前記第2の回転駆動装置(2)は、リング形状であることを特徴とする、前記請求項のいずれか1項に記載の位置決め装置(1)。
【請求項7】
前記リング形状の回転駆動装置(2、3)の各々は、互いに対して回転可能な2つのリング(21、31;22、32)を含み、これらのリングのうちの一方は固定リング(21、31)として形成され、他方のリングは回転リング(22、32)として形成されることを特徴とする、請求項6に記載の位置決め装置(1)。
【請求項8】
前記第1の回転駆動装置(3)の前記固定リング(31)は、前記第2の回転駆動装置(2)の前記回転リング(22)に回転固定可能な態様で連結されることを特徴とする、請求項7に記載の位置決め装置(1)。
【請求項9】
前記物体収容器(4)は、前記第1の回転駆動装置(3)の内周に配置されることを特徴とする、請求項6~8のいずれか1項に記載の位置決め装置(1)。
【請求項10】
前記請求項のうちいずれか1項に記載の位置決め装置(1)と、光誘導要素とを備え、前記光誘導要素は、前記位置決め装置(1)の前記収容器(4)上に配置され、光線(5)を前記光線(5)によって処理される物体上に誘導するために、前記位置決め装置(1)によって、前記位置決め面において調節可能である、光プロセッサ。
【請求項11】
前記光誘導要素は、前記光線(5)が両方の前記回転駆動装置(2、3)の前記回転軸(A2、A3)に平行に延在するように、前記位置決め装置(1)の前記物体収容器(4)上に配置されている、および/または並べることが可能であることを特徴とする、請求項10に記載の光プロセッサ。
【請求項12】
請求項6~9のいずれか1項と組合わされ、前記光線(5)が前記第1の回転駆動装置(3)のリング開口部を通って、および/または前記第2の回転駆動装置(2)のリング開口部を通って案内されることを特徴とする、請求項10または11に記載の光プロセッサ。
【請求項13】
前記光誘導要素は、レーザー装置のレーザー発光部であることを特徴とする、請求項10~12のいずれか1項に記載の光プロセッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体を位置決め面において位置決めするための位置決め装置、そのような位置決め装置を有する光プロセッサ、およびそのような光プロセッサを用いたレーザー眼科手術のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
「レーザー眼科手術」という用語は、角膜を切除することによって屈折による視力障害を矯正可能な、特別な眼の手術またはレーザー眼科外科治療を表す。そのような視力障害があると、光は角膜および眼のレンズの曲率によって偏向され、眼の内側に投影され、焦点は眼の網膜上の最も視力がよい場所である中心窩に正確に位置せず、その前方または後方に位置する。
【0003】
「レーザー眼科手術」では、角膜のきわめて薄い層が切除され畳まれ、薄い層はその後保護部として機能し、治癒を促進する。その後、眼の光学特性が変化し、角膜の屈折力が再び最適に調節されるように、レーザーが角膜の表面を切除する。
【0004】
白内障は、眼の自然レンズの典型的な加齢による濁りであり、眼の内部の光線は網膜上で焦点が合わなくなり、これによって、光に対する感度およびぎらつきが増加し、視界がぼんやりする、または焦点が合わなくなり、像が二重に見えたり色が灰色に見えたりすることがある。白内障レーザー眼科手術では、濁った自然レンズが除去され、濁りのない眼内レンズに取替えられる。濁ったレンズに到達するために、眼に小さな切り口を形成するようにフェムト秒レーザーが用いられ、フロントレンズカバーのみが円形に切開され、眼のいわゆる後房に位置する水晶体核が、粉砕後に吸出される。その後残っているレンズカバーは、新しい眼内レンズの「自然ホルダ」として機能する。
【0005】
このレーザー眼科手術の一部として、レーザー光が、所定の軌跡または軌道で精度が高い状態で、患者の角膜を横切って案内される。患者の角膜上でのレーザー光の位置決めおよび露光時間に誤りがあると、治療の結果に悪影響を及ぼすことがあるだけでなく、患者の眼に深刻な損傷を引き起こすこともある。
【0006】
平面内で軌道または移動の経路のいずれかを進行する場合、典型的には2つの線形調節器(XおよびY)が用いられ、これらの線形調節器は互いに直角に配置され、Y調節器はX調節器の可動部分に接続される。第1の軸(X)の正弦波速度プロファイルと第2の軸(Y)の90°位相がシフトした正弦波速度プロファイルとによって、円形軌道を実現可能である。軌道が連続して進行しており、両方の軸(XおよびY)は方向を二度変更しなければならない、つまり、一周は合計4つの転換点を有する。物理的な状態(慣性、バックラッシュ、限界のあるセンサ解像度、限界のあるコントローラ速度など)によって、転換点において特定の不感時間がある、つまり、方向の変化が無限に速く起こらず、代わりにそれぞれの軸の停止局面が生じる。この不感時間は動的位置誤差(輪郭誤差)を引き起こす、つまり、一周は合計4つの欠陥を有する。
【0007】
FISHER Charlesなどによる著書 “Cobra: A two-degree of freedom fiber optic positioning mechanism”,“IEEE Aerospace conference, IEEE, 2009”, pp. 1-11では、さらに他の位置決め装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、物体を位置決め面において位置決めするための位置決め装置を設けるという目的に基づき、互いに直角に配置された2つの線形調節器(XおよびY)と対照的に、連続した軌道の進行における位置誤差(輪郭誤差)を最小限にする。さらに、本発明は、患者の特に角膜上の軌道に沿ってレーザー光が進行するときに垂直に配置された線形調節器(XおよびY)から分かる動的位置誤差(輪郭誤差)を避けるために、光プロセッサおよびそのような光プロセッサを用いたレーザー眼科手術のための方法を提供するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を満たすために、本発明は、請求項1に記載の、物体を位置決め面に位置決めするための位置決め装置を提供し、位置決め装置は、異なる直径を有する2つの回転駆動装置と、物体を収容するための物体収容器とを備え、物体収容器が、互いに平行にかつ中心をずらして配置された両方の回転駆動装置の回転軸の周りで回転可能になり、かつ、これによって位置決め面において調節可能になるように、物体収容器は、2つの回転駆動装置のうちの第1の回転駆動装置に連結され、第1の回転駆動装置は、2つの回転駆動装置のうちの第2の回転駆動装置に連結される。本発明によって、一般に軌道(運動経路)を進行すること、および、特に円形の軌道を正確に進行することが可能になる。本発明では、欠陥に関連した転換点は必要ではない。円形の軌道を、連続して正確に進行可能である。転換点およびそれゆえ不感時間がないため、軌道進行中の動的位置誤差を減少可能である。しかしながら、単軸の回転システムと異なり、軌道だけでなくランダムに所望される軌跡も進行可能である。
【0010】
本発明の有益なさらに他の展開は、従属請求項の目的である。
第1の回転駆動装置が第2の回転駆動装置よりも小さな直径を有することは有用であり得る。このように、物体収容器の位置を、特に容易に制御可能である。
【0011】
第1の回転駆動装置の回転軸の周りに延在する物体収容器の運動経路が第2の回転駆動装置の回転軸を取り囲む、またはこれに交差することは有用であり得る。本実施形態では、物体収容器は、第2の回転駆動装置の回転軸の周りの物体収容器の運動経路に対応する円内の位置決め面の任意の地点まで、回転駆動装置のそれぞれの作動によって移動させることができる。
【0012】
第1の回転駆動装置の回転軸の周りに延在する物体収容器の(第1の)運動経路の直径が、第2の回転駆動装置の回転軸の周りに延在する物体収容器の(第2の)運動経路の最大径の少なくとも半分の大きさであることは有用であり得る。第2の回転運動装置の回転軸からの物体収容器の距離を、第1の回転駆動装置を作動させることによって調節することにより、物体収容器の第2の運動経路の直径は、ゼロから物体収容器の第1の運動経路の直径の2倍まで、選択的な態様で調節可能である。
【0013】
回転駆動装置の回転方向および/または回転速度が互いに独立して制御可能であることは有用であり得る。その結果、物体収容器は原則として、位置決め面内および第2の回転駆動装置の回転軸の周りの物体収容器の第2の運動経路内で任意の軌道を辿ることが可能である。
【0014】
第1の回転駆動装置および/または第2の回転駆動装置がリンク形状に形成されることは有用であり得る。本実施形態では、物体収容器を、第1の回転駆動装置のリング開口部または孔内に配置可能であり、位置決め装置を、きわめてコンパクトに構成可能である。
【0015】
しかしながら、また、リング形状の回転駆動装置の各々が互いに対して回転可能な2つのリングを含み、これらのリングのうちの一方が固定リングとして形成され、他方のリングが回転リングとして形成されることは有用であり得る。本実施形態は、きわめてコンパクトになることが分かっており、安価に製造可能である。
【0016】
また、第1の回転駆動装置の固定リングが、好ましくは解放可能な連結部によって、第2の回転駆動装置の回転リングに回転固定可能な態様で連結されることは有用であり得る。
【0017】
物体収容器が、第1の回転駆動装置(の回転リング)の内周に配置されることは有用であり得る。また、本実施形態では、特にコンパクトであることが分かっている。
【0018】
本発明の他の態様は、請求項10に記載の光プロセッサに関し、光プロセッサは、前記請求項のうちいずれか1項に記載の位置決め装置と、光誘導要素とを備え、光誘導要素は、位置決め装置の物体収容器上またはその内部に配置され、光線によって処理される物体上に、光線、特にレーザー光を誘導するために、位置決め装置によって、位置決め面において調節可能である。レーザー光を、処理される物体上にまたはその表面を横切って、それぞれ特に正確に光プロセッサで誘導可能である。たとえば、レーザー眼科手術は、重く、かつ大きな場所を占めるきわめて強力なレーザー装置を必要とする。そのような制限にかかわらず、本発明に係る光プロセッサは、レーザ-光を偏向させるために光誘導要素のみを動かせばよいため、患者の角膜曲率を変更することによって、白内障または屈折による視力障害のきわめて優しく安全なレーザー眼科手術が可能になる。光誘導要素はたとえば、ミラー、プリズム、光導波路、レンズ、または対物レンズなどとして構成可能である。
【0019】
また、光誘導要素は、光線が両方の回転駆動装置の回転軸に平行に進むように、位置決め装置の物体収容器上もしくはその内部に配置されている、および/または並べることが可能であることは有益であり得る。本実施形態では、光線の特に正確な配列が可能であり、これは、処置の結果にとって有益である。
【0020】
第1の回転駆動装置のリング開口部を通って、および/または第2の回転駆動装置のリング開口部を通って光線が進むことは、有用であり得る。本実施形態によって、たとえば、ビーム経路はシステムを通過可能である。
【0021】
また、光誘導要素が、レーザー装置、好ましくはフェムト秒レーザー装置のレーザー発光部であることは有用であり得る。そのようなレーザー装置は、白内障または屈折による視力障害の治療に特に好適である。
【0022】
本発明の他の態様は、光線またはレーザー光によってそれぞれ、患者の角膜に作用することによって、白内障または屈折による視力障害を治療するための、請求項10~13のいずれか1項に記載の光プロセッサの使用に関する。
【0023】
本発明のさらに他の態様は、請求項10~13のいずれか1項に記載の光プロセッサを用いたレーザー眼科手術のための方法に関し、方法は、
好ましくは、位置決め装置の位置決め面が患者の角膜に対して正確にまたは実質的に垂直または直角に並べられるように、患者の角から距離をあけて光プロセッサを配置するステップと、
光誘導要素によって誘導される光線が、患者の角膜曲率を変更するために患者の角膜上の少なくとも円形の断面、および/もしくは少なくとも弧状の断面の軌跡、ならびに/または、少なくとも直線の断面の軌跡を進行するように、第1の回転駆動装置および/または第2の回転駆動装置によって、位置決め装置の物体収容器に配置された光誘導要素を位置決め面において調節するステップとを備える。
【0024】
直線軌道の進行を容易にするために、位置決め装置を1つ以上の線形駆動装置または線形調節器と組合わせることは有用であり得る。
【0025】
さらに好ましい実施形態は、請求項、図面、および説明で開示される特徴の組合わせから生じる。
【0026】
用語および定義
運動経路
回転駆動装置の回転軸の周りの物体収容器の運動経路は、物体収容器が回転駆動装置の回転軸の周りで完全な一周を描く虚円に対応する。
【0027】
物体収容器
物体収容器という用語は、物体を位置決め装置によって移動させるための容器またはホルダを表す。
【0028】
位置決め面
回転駆動装置を作動させることによって物体収容器を移動させることができる面は、位置決め面と呼ばれる。位置決め面は、両方の回転駆動装置の回転軸に対して垂直に延在する。
【0029】
光誘導要素。光誘導要素は、光線を誘導可能な要素である。光誘導要素は好ましくは、ミラー、プリズム、レンズ、光導波路、または対物レンズなどとして構成される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】異なる直径を有する2つのリング形状の回転駆動装置を備える、本発明に係る位置決め装置を用いた本発明に係る光プロセッサの模式透視図である。
【
図2】患者の角膜を横切る少なくとも円形の断面の軌道に沿って光誘導要素によって誘導される光線を案内するために、2つの回転駆動装置を作動させることによって、光誘導要素が位置決め装置によって位置決め面において調節されることを示す、レーザー眼科手術のための
図1に示す光プロセッサの模式透視図である。
【
図4】異なる視角からの、
図2に類似の模式透視図である。
【
図5a】
図1~
図4に示す光プロセッサを用いたレーザー眼科手術のある段階を示す図である。
【
図5b】
図1~
図4に示す光プロセッサを用いたレーザー眼科手術のある段階を示す図である。
【
図5c】
図1~
図4に示す光プロセッサを用いたレーザー眼科手術のある段階を示す図である。
【
図5d】
図1~
図4に示す光プロセッサを用いたレーザー眼科手術のある段階を示す図である。
【
図6】本発明に係る位置決め装置の好ましい実施形態に係る、2つの回転軸の各々の周りの、物体収容器の運動経路に垂直な両方の回転駆動装置の回転軸に沿った模式上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
好ましい実施形態の詳細な説明
添付の図面を参照して以下で詳細に説明される本発明の好ましい実施形態は、レーザー眼科手術器具の形の光プロセッサに関し、光プロセッサは、ミラーまたは光導波路の形の光誘導要素と、本発明に係る位置決め装置1とを備え、位置決め装置1は、異なる直径の2つの回転駆動装置2、3と、光誘導要素が配置される物体収容器4とを含む。この光誘導要素は、レーザー眼科手術のためのレーザー光5を患者の角膜6上に誘導するように構成され、光誘導要素は、位置決め装置1によって位置決め面において調節可能である。この場合、光誘導要素は、レーザーを利用した眼の手術を行うためのフェムト秒レーザー装置の発光部である。
【0032】
本発明に係る位置決め装置1は、光誘導要素を位置決め面において位置決めするために用いられる。物体収容器4が、互いに平行にかつ中心をずらして配置されている回転軸A2、A3の周りで回転可能に配置され、そのため位置決め面において調節可能になるように、光誘導要素を収容する物体収容器4は、小径を有する第1の回転駆動装置3に連結され、第1の回転駆動装置3は、大径を有する第2の回転駆動装置2に解放可能に、好ましくは連結部23によって連結される。
【0033】
図6に示すように、第1の回転駆動装置3の回転軸A3の周りで延在する物体収容器4の運動経路B3は、第2の回転駆動装置2の回転軸A2に交差する。そのため、第1の回転駆動装置3の回転軸A3の周りで延在する物体収容器4の運動経路B3の直径は、第2の回転駆動装置2の回転軸A2の周りで延在する物体収容器4の運動経路B2の最大径のちょうど半分の大きさである。これは、物体収容器4またはその上に配置された光誘導要素がそれぞれ、大径を有する回転駆動装置2の回転軸A2の周りで延在する物体収容器4の運動経路B2内にある位置決め面の任意の位置に到達可能であることを意味する。
【0034】
回転駆動装置2、3の回転方向および回転速度を互いに別々に制御可能なため、物体収容器4は、位置決め面、また特にその円形、弧状、または直線部分内で任意の軌道を移動進行可能である。
【0035】
本実施形態では、2つの回転駆動装置2、3の各々はリング形状に形成され、2つのリング21、32;22、32を含み、それらのうちの一方は固定リング21、31として構成され、他方は回転リング22,32として構成される。第1の回転駆動装置3の固定リング31は好ましくは、解放可能な連結部23によって、第2の回転駆動装置2の回転リング22に回転固定可能な態様で連結され、物体収容器4は、第1の回転駆動装置3の回転リング32の内周に配置される。
【0036】
光誘導要素は、レーザー光5が2つの回転駆動装置2、3の回転軸A2、A3に平行に進む態様で、位置決め装置1の物体収容器4に配置される。レーザー光5は、動作状態でその下に配置された対象物体6に当たるように、両方の回転駆動装置のリング開口部を通って案内される(
図2、
図4、
図5を参照)。
【0037】
レーザー眼科手術のための本発明の方法によると、本発明に係る光プロセッサは、位置決め装置1の位置決め面が理想的に患者の角膜6に対して正確もしくは実質的に垂直または直角に並べられるように、患者の角膜6から距離をあけて配置される(
図2、
図4、
図5を参照)。光誘導要素によって誘導されるレーザー光5が、患者の角膜の曲率を変更する、または患者の角膜に切り口を形成するために、円形、弧状、または直線状の経路部分を含み得る患者の角膜6上の軌跡を進行するように、位置決め装置1の物体収容器4に配置された光誘導要素はその後、両方の回転駆動装置を作動させることによって位置決め面において調節される。この処置の個々の段階は、
図5図(a)~
図5(d)に示される。
【0038】
第1の回転駆動装置3を回転または調節することによって、異なる円の直径を選択的に設定可能である。第2の回転駆動装置2を回転または調節することによって、事前に設定された円の直径を有する軌道を、連続して進行可能である。第1および第2の回転駆動装置2、3の回転を組合わせることによって、任意の所望の軌道を進行することが可能になる。
【0039】
参照文字のリスト
1 位置決め装置
2 第2の回転駆動装置(大径)
3 第1の回転駆動装置(小径)
4 物体収容器
5 ビーム路または光線またはレーザー光
6 対象物体または角膜
21 第2の回転駆動装置(大径)の固定リング
22 第2の回転駆動装置(大径)の回転リング
23 連結部
31 第1の回転駆動装置(小径)の固定リング
32 第1の回転駆動装置(小径)の回転リング
A2 第2の回転駆動装置(大径)の回転軸
A3 第1の回転駆動装置(小径)の回転軸
B2 回転軸A2の周りの物体収容器の運動経路
B3 回転軸A3の周りの物体収容器の運動経路