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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】ゼオライトおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/02 20060101AFI20221208BHJP
   C01B 39/14 20060101ALI20221208BHJP
   C01B 39/22 20060101ALI20221208BHJP
   C01B 39/28 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
C01B39/02
C01B39/14
C01B39/22
C01B39/28
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021534771
(86)(22)【出願日】2019-07-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 KR2019009030
(87)【国際公開番号】W WO2020130259
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-06-16
(31)【優先権主張番号】10-2018-0164386
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコ
【氏名又は名称原語表記】POSCO
(73)【特許権者】
【識別番号】592000705
【氏名又は名称】リサーチ インスティチュート オブ インダストリアル サイエンス アンド テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ビョン、 テ ボン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、 コン モク
(72)【発明者】
【氏名】キム、 キヨン
【審査官】青木 千歌子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-013765(JP,A)
【文献】特開昭53-115700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 39/00-39/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化リチウムが含まれたリチウム鉱石からアルミノシリケートが含まれたリチウム残渣を収得する段階;
前記リチウム残渣を水洗して前記リチウム残渣のpHを調節する段階;
前記リチウム残渣に含まれたアルミニウムに対するシリコンのモル比(Si/Al)を調節する段階;
前記リチウム残渣にアルカリ物質を添加してヒドロゲル形態に製造する段階;および
前記ヒドロゲル形態のリチウム残渣を結晶化して結晶を製造する段階;を含み、
前記リチウム残渣のpHを調節する段階で、前記リチウム残渣のpHを6~8に調節し、
前記アルミニウムに対するシリコンのモル比(Si/Al)を調節する段階で、前記リチウム残渣にアルミナ補充物質を投入して前記アルミニウムに対するシリコンのモル比(Si/Al)を0.75~3.0に調節し、
前記リチウム残渣にアルカリ物質を添加する段階で、前記アルカリ物質は1.0~6.0M濃度の水酸化ナトリウム水溶液であり、
前記結晶を製造する段階で、60~100℃の温度で前記リチウム残渣を結晶化し、12時間以上前記リチウム残渣を結晶化し、前記ヒドロゲル形態のリチウム残渣を300~600rpmで攪拌しながら結晶化する、ゼオライトの製造方法。
【請求項2】
前記リチウム残渣を収得する段階は、
前記リチウム鉱石を熱処理する段階;
前記熱処理したリチウム鉱石を粉砕する段階;
前記粉砕されたリチウム鉱石から硫酸リチウムを析出させる段階;および
前記硫酸リチウムを水に浸出させて分離する段階;を含む、請求項1に記載のゼオライトの製造方法。
【請求項3】
前記リチウム鉱石を熱処理する段階で、
前記リチウム鉱石を900~1200℃の温度で熱処理する、請求項2に記載のゼオライトの製造方法。
【請求項4】
前記リチウム残渣を収得する段階で、
前記リチウム残渣は、
全体100重量%に対して、アルミナ(Al):20~30重量%、シリカ(SiO):60~70重量%、酸化鉄(Fe)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ナトリウム(NaO)および酸化カリウム(KO)のうち1種以上:10重量%以下を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載のゼオライトの製造方法。
【請求項5】
前記リチウム残渣のpHを調節する段階で、
前記リチウム残渣を水洗して前記リチウム残渣から硫酸イオン(SO 2-)を除去する、請求項1から4のいずれか1項に記載のゼオライトの製造方法。
【請求項6】
前記アルミナ補充物質は、
アルミナ水和物(Al(OH))およびソジウムアルミネート(NaAlO)のうち1種以上を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載のゼオライトの製造方法。
【請求項7】
前記結晶を製造する段階の後、
前記結晶を濾過する段階;および
前記濾過された結晶を水洗して乾燥する段階;をさらに含む、請求項1からのいずれか1項に記載のゼオライトの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゼオライトおよびその製造方法に関する。より具体的には、リチウム鉱石から製造されたリチウム残渣を用いて結晶性が良好なゼオライトを得ることができるゼオライトおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼオライト(Zeolite,M[(Al (SiOO)は、洗濯洗剤、歯磨き粉原料、排ガスの有害物質除去のための触媒などに活用されている物質である。これはゼオライトが持っている独特の応用鉱物学的性質、つまり陽イオン交換特性、吸着および分子ふるい特性、触媒特性、脱水および再吸収特性などが関連産業に効用価値があることに起因して活用、適用されている。
【0003】
ゼオライト合成に関する研究は1949年産業応用の目的でA型ゼオライトがユニオンカーバイド社の研究陣により最初に合成され、A型合成ゼオライトの優れた応用鉱物学的特性が知られるに伴いゼオライト合成に関する関心が高まって多くの研究が相次いで行われている。1960年代に米国で石油化学過程での成功的な応用とX型およびY型ゼオライトのような優れた効能を有する新たな合成ゼオライトの登場によりゼオライトに対する研究が本格的に行われた。
【0004】
近来、ゼオライトの応用範囲が大きく拡大するにつれ、ゼオライトの細孔構造とその特性においてより多様性が求められて、新たな細孔構造と応用鉱物学的特性を有するゼオライトを合成するための研究が進められて、産業応用面において最も脚光を浴びているZSM-5をはじめとする約150種に達する多くの合成ゼオライトが開発されるに至った。
【0005】
ゼオライト合成は大体常温で200℃範囲の温度条件でいわゆる「Hydrogel Process」と呼ばれる水熱合成法で製造される。一般的に、ゼオライトは生成過程で特別な圧力条件を必要とせず低い温度で比較的容易に合成される。合成ゼオライトは細孔特性が多様なだけでなく、その性能、効能においても優れるが、実際に応用される際にはより安い天然ゼオライトに比べて価格面において多少の困難がある。
【0006】
したがって、現在、優れた特性を有するゼオライトを均質に合成できるより安価の合成法を模索するための努力が行われている。このような方法として従来に主に使用されていた試薬形態の物質(sodium silicate、sodium aluminate、silica gelなど)より安価の天然材料、つまりゼオライト合成に適した組成を有するケイ酸塩鉱物を原料として使用する方法が検討されている。天然鉱物を用いたゼオライト合成に関する研究は主に高陵土とカオリン、火山ガラス質岩石を対象に行われている。
【0007】
また、天然資源が不足した天然鉱物の代わりに産業工程で多量発生する多様な副産物をゼオライト合成原料として使用する研究も持続的に行われている状況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
リチウム鉱石から製造されたリチウム残渣を用いて結晶性が良好なゼオライトを得ることができるゼオライトおよびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によるゼオライトの製造方法は、酸化リチウムが含まれたリチウム鉱石からアルミノシリケートが含まれたリチウム残渣を収得する段階;前記リチウム残渣を水洗して前記リチウム残渣のpHを調節する段階;前記リチウム残渣に含まれたアルミニウムに対するシリコンのモル比(Si/Al)を調節する段階;前記リチウム残渣にアルカリ物質を添加してヒドロゲル形態に製造する段階;および前記ヒドロゲル形態のリチウム残渣を結晶化して結晶を製造する段階;を含む。
【0010】
前記リチウム残渣を収得する段階は、前記リチウム鉱石を熱処理する段階;前記熱処理したリチウム鉱石を粉砕する段階;前記粉砕されたリチウム鉱石から硫酸リチウムを析出させる段階;および前記硫酸リチウムを水に浸出させて分離する段階;を含み得る。
【0011】
前記リチウム鉱石を熱処理する段階で、前記リチウム鉱石を900~1200℃の温度で熱処理し得る。
【0012】
前記リチウム残渣を収得する段階で、前記リチウム残渣は、全体100重量%に対して、アルミナ(Al):20~30重量%、シリカ(SiO):60~70重量%、酸化鉄(Fe)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ナトリウム(NaO)および酸化カリウム(KO)のうち1種以上:10重量%以下を含み得る。
【0013】
前記リチウム残渣のpHを調節する段階で、前記リチウム残渣を水洗して前記リチウム残渣から硫酸イオン(SO 2-)を除去し得る。
前記リチウム残渣のpHを調節する段階で、前記リチウム残渣のpHを6~8に調節し得る。
前記アルミニウムに対するシリコンのモル比(Si/Al)を調節する段階で、前記リチウム残渣にアルミナ補充物質を投入して前記アルミニウムに対するシリコンのモル比(Si/Al)を0.75~3.0に調節し得る。
【0014】
前記アルミナ補充物質は、アルミナ水和物(Al(OH))およびソジウムアルミネート(NaAlO)のうち1種以上を含み得る。
前記リチウム残渣にアルカリ物質を添加する段階で、前記アルカリ物質は1.0~6.0M濃度の水酸化ナトリウム水溶液であり得る。
前記結晶を製造する段階で、60~100℃の温度で前記リチウム残渣を結晶化し得る。
前記結晶を製造する段階で、12時間以上前記リチウム残渣を結晶化し得る。
【0015】
前記結晶を製造する段階で、前記ヒドロゲル形態のリチウム残渣を300~600rpmで攪拌しながら結晶化し得る。
前記結晶を製造する段階の後、前記結晶を濾過する段階;および前記濾過された結晶を水洗して乾燥する段階;をさらに含み得る。
【0016】
本発明の一実施形態によるゼオライトは、A型ゼオライト、X型ゼオライトおよびP型ゼオライトのうち1種以上を含む結晶相であり、全体100重量%に対して、0.005重量%以下(0%を除く)のヒドロキシソーダライト(Na(AlSiO(OH))、アナルサイム(NaAlSi・HO)およびSODのうち1種以上を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一実施形態によるゼオライトの製造方法によれば、結晶性が良好で、不純物が混入されていないゼオライトを製造することが可能である。
そのため製造されたゼオライトは洗濯洗剤、吸着材、有害ガス除去用触媒剤などに活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施例によるゼオライトの製造方法でリチウム鉱石の熱処理、硫酸焙焼、水浸出の工程における鉱物の結晶構造転移およびリチウム残渣の結晶構造を示す図である。
図2】本発明の一実施例によるゼオライトの製造方法で水浸出後固液分離工程で発生するリチウム残渣のXRD分析結果を示す図である。
図3】本発明の一実施例によるゼオライトの製造方法で水浸出後固液分離工程で発生するリチウム残渣の粒度分布を示す図である。
図4】本発明の一実施例によるゼオライトの製造方法でフィルタープレスで回収したリチウム残渣の姿を示す写真である。
図5】本発明の一実施例によるゼオライトの製造方法でリチウム残渣のうち粒子表面に微細な穴が形成されている粒子ときれいな劈開面を有する粒子をSEMとEDXで分析した結果を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
第1、第2および第3などの用語は多様な部分、成分、領域、層および/またはセクションを説明するために使用されるがこれらに限定されない。これらの用語はある部分、成分、領域、層またはセクションを他の部分、成分、領域、層またはセクションと区別するために使用される。したがって、以下で叙述する第1部分、成分、領域、層またはセクションは本発明の範囲を逸脱しない範囲内で第2部分、成分、領域、層またはセクションと言及され得る。
【0020】
ここで使用される専門用語は単に特定の実施例を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。ここで使用される単数形は文脈上明らかに逆の意味を示さない限り複数形も含む。明細書で使用される「含む」の意味は、特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分を具体化し、他の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分の存在や付加を除外させるものではない。
【0021】
ある部分が他の部分「上に」または「の上に」あると言及する場合、これは他の部分のすぐ上にまたは上にあり得るか、その間に他の部分が介在し得る。対照的にある部分が他の部分の「すぐ上に」あると言及する場合、その間に他の部分が介在しない。
【0022】
別に定義していないが、ここに使用される技術用語および科学用語を含むすべての用語は本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が一般的に理解する意味と同じ意味を有する。
【0023】
一般に用いられている辞書に定義された用語は関連技術文献と現在開示された内容に合う意味を有するものとして追加解釈され、定義されない限り理想的または公式的過ぎる意味に解釈されない。
【0024】
以下、本発明の実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態で実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0025】
「ゼオライトの製造方法」
本発明の一実施形態によるゼオライトの製造方法は、酸化リチウムが含まれたリチウム鉱石からアルミノシリケートが含まれたリチウム残渣を収得する段階、リチウム残渣を水洗してリチウム残渣のpHを調節する段階、リチウム残渣に含まれたアルミニウムに対するシリコンのモル比(Si/Al)を調節する段階、リチウム残渣にアルカリ物質を添加してヒドロゲル形態に製造する段階およびヒドロゲル形態のリチウム残渣を結晶化して結晶を製造する段階を含む。
【0026】
結晶を製造する段階の後、結晶を濾過する段階および濾過された結晶を水洗して乾燥する段階をさらに含み得る。
【0027】
先に、リチウム残渣を収得する段階では、酸化リチウムが含まれたリチウム鉱石からアルミノシリケートが含まれたリチウム残渣を収得する。リチウム鉱石は酸化リチウム(LiO)が1.5重量%以上であり、主鉱物相がスポジュメン(Spodumene,LiO Al 4SiO,LiAlSi)であり得る。アルミノシリケート(Al 4SiO,AlSi)はアルミナ(Al)とシリカ(SiO)が主成分で構成された化合物であり得る。
【0028】
具体的には、リチウム残渣を収得する段階は、リチウム鉱石を熱処理する段階、熱処理したリチウム鉱石を粉砕する段階、粉砕されたリチウム鉱石から硫酸リチウムを析出させる段階および硫酸リチウムを水に浸出させて分離する段階を含み得る。
【0029】
リチウム鉱石を900~1200℃の温度で熱処理し得る。そのため、図1のようにリチウム鉱石に含まれたα-spodumeneでa軸とb軸の収縮が起き、c軸は膨張が起きてβ-spodumene形態に転移し得る。したがって、リチウム原子の移動が容易になる。
【0030】
熱処理したリチウム鉱石を粉砕した後、粉砕されたリチウム鉱石から硫酸リチウムを析出させ得る。リチウム鉱石を硫酸に浸出させ得る。これにより、リチウム鉱石のLiイオンサイトに硫酸から解離したHイオンがイオン交換され、イオン交換されたLiイオンが解離したSO 2-イオンと結合し、析出反応が行われて硫酸リチウム(LiSO)として析出され得る。
【0031】
析出された硫酸リチウム(LiSO)を水を用いて浸出させた後、固液分離させることによってリチウム残渣を製造することができる。硫酸リチウム(LiSO)は水に溶解して浸出される反面、アルミノシリケート(Al 4SiO,AlSi)は水に溶解せず、固体化合物形態で残留してリチウム残渣を構成する。
【0032】
具体的には、リチウム残渣は、全体100重量%に対して、アルミナ(Al):20~30重量%、シリカ(SiO):60~70重量%、酸化鉄(Fe)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ナトリウム(NaO)および酸化カリウム(KO)のうち1種以上:10重量%以下を含み得る。
【0033】
リチウム残渣は、アルミノシリケート(Al 4SiO,AlSi)、シリカ(SiO)およびアルバイト(Albite)などで構成されている結晶相として平均粒度は500μm以下であり、体積および充填密度はそれぞれ0.88、1.28程度であり得る。
【0034】
リチウム残渣は粒子が無定形形状であり、表面にリチウム成分の酸浸出によって表面に微細な穴(hole)などが形成されている粒子と、きれいな劈開面を有する粒子とを含み得る。
【0035】
次に、リチウム残渣のpHを調節する段階では、リチウム残渣を水洗してリチウム残渣のpHを調節する。リチウム残渣は焙焼時、過量の硫酸を使用するので水で浸出することにより未反応状態で残っていた硫酸が溶解してリチウム残渣に含まれ、リチウム残渣に残留するのでリチウム残渣は酸性を示すことになる。
【0036】
酸性を示すリチウム残渣をそのままゼオライト製造のための組成物として使用する場合、ヒドロゲル(hydrogel)生成のためのアルカリ物質を先に消耗させ得、リチウム残渣に残存する硫酸イオンが芒硝を形成して結果的にはヒドロゲル(hydrogel)生成反応を妨げる。
【0037】
したがって、酸性を示すリチウム残渣を十分に水洗してリチウム残渣から硫酸イオン(SO 2-)を除去することによって、リチウム残渣のpHを6~8に調節し得る。つまり、リチウム残渣のpHを中性領域に形成させ得る。
【0038】
次に、アルミニウムに対するシリコンのモル比(Si/Al)を調節する段階では、アルミナ補充物質を投入してリチウム残渣に含まれたアルミニウムに対するシリコンのモル比(Si/Al)を調節する。調節により、A型ゼオライト、X型ゼオライトおよびP型ゼオライトの結晶相以外にヒドロキシソーダライト(Na(AlSiO(OH))、アナルサイム(NaAlSi・HO)が過度に混入生成されることを防止することができる。
【0039】
具体的には、アルミニウムに対するシリコンのモル比(Si/Al)を0.75~3.0に調節し得、アルミナ補充物質はアルミナ水和物(Al(OH))およびソジウムアルミネート(NaAlO)のうち1種以上を含み得る。アルミニウムに対するシリコンのモル比(Si/Al)を0.75~3.0に調節することによりA型ゼオライト、X型ゼオライトおよびP型ゼオライトの結晶相を製造することができる。
【0040】
次に、リチウム残渣にアルカリ物質を添加する段階では、リチウム残渣にアルカリ物質を添加してリチウム残渣をヒドロゲル形態に製造する。具体的には、アルカリ物質は1.0~6.0M濃度の水酸化ナトリウム水溶液であり得る。
【0041】
そのため、結晶性が良好なA型ゼオライト、X型ゼオライトおよびP型ゼオライトの結晶相を製造することができる。アルカリ物質の濃度が1.0M未満の場合、A型ゼオライト、X型ゼオライトおよびP型ゼオライトの結晶相以外にヒドロキシソーダライト(Na(AlSiO(OH))、アナルサイム(NaAlSi・HO)が過度に混入生成されることを防止することができる。反面、アルカリ物質の濃度が6.0Mを超える場合、最終生成物はゼオライト結晶であるが、イオン交換能が少ないため産業への応用性が不足したヒドロキシソーダライト(Hydroxysodalite)が単一相で生成される。
【0042】
次に、結晶を製造する段階では、ヒドロゲル形態のリチウム残渣を結晶化して結晶を製造する。結晶化温度および時間の制御によりゼオライト結晶性を調節し得、ヒドロキシソーダライトのような物質の混入を防止することができる。
【0043】
具体的には、60~100℃の温度でリチウム残渣を結晶化し得る。また、12時間以上の間リチウム残渣を結晶化し得る。
【0044】
60℃未満の温度で結晶化する場合、最終生成物はゼオライト結晶であるが、イオン交換能が少ないため産業への応用性が不足したアナルサイムが生成され得る。反面、100℃を超える温度で結晶化する場合、ゼオライト結晶相以外に付加的にヒドロキシソーダライトが混入、生成され得る。
【0045】
これと同様に、12時間未満で結晶化する場合、最終生成物はゼオライト結晶であるが、イオン交換能が少ないため産業への応用性が不足したアナルサイムが生成され得る。したがって、結晶化時間を12時間以上の範囲に調節して製造すると、結晶性が良好なゼオライト結晶相を製造できることを確認することができる。
【0046】
一方、ヒドロゲル形態のリチウム残渣を300~600rpmで攪拌しながら結晶化し得る。300rpm未満の攪拌速度で攪拌しながら結晶化する場合、最終生成物がゼオライト結晶に属するがイオン交換能が少ないため産業への応用性が低いアナルサイムが生成され得る。反面、600rpmを超える攪拌速度で攪拌しながら結晶化する場合、アナルサイムとSODが混入、生成され得る。
【0047】
次に、濾過された結晶を水洗して乾燥する段階では、十分な水洗によって過剰の水酸化ナトリウム(NaOH)を除去して生成物のpHを中性領域に調節し得る。不充分な水洗によって生成物に残留するNaイオンはゼオライトの品質および性能を劣化させる原因として作用するからである。
【0048】
「ゼオライト」
本発明の一実施形態によるゼオライトは、A型ゼオライト、X型ゼオライトおよびP型ゼオライトのうち1種以上を含む結晶相であり、全体100重量%に対して、0.005重量%以下(0%を除く)のヒドロキシソーダライト(Na(AlSiO(OH))、アナルサイム(NaAlSi・HO)およびSODのうち1種以上を含む。
【0049】
上記した本発明の一実施形態によるゼオライトの製造方法により、酸化リチウムが含まれたリチウム鉱石からアルミノシリケートが含まれたリチウム残渣を収得し、リチウム残渣を水洗してリチウム残渣のpHを調節した後、リチウム残渣に含まれたアルミニウムに対するシリコンのモル比(Si/Al)を調節した後、リチウム残渣にアルカリ物質を添加してヒドロゲル形態に製造し、結晶化して結晶を製造して生成され得る。
【0050】
そのため、ゼオライトは、A型ゼオライト、X型ゼオライトおよびP型ゼオライトのうち1種以上を含む結晶相であり、ヒドロキシソーダライト、アナルサイムおよびSODなどのような物質の含有量を0.005重量%以下に制御することができる。0.005重量%は不純物水準としてゼオライト内に殆ど存在しない程度の含有量を意味する。
【0051】
その他にリチウム残渣、アルミニウムに対するシリコンのモル比(Si/Al)、アルカリ物質、結晶化およびゼオライトに対する説明は上述したゼオライトの製造方法に係る説明に代る。
【実施例
【0052】
以下、本発明の具体的な実施例を記載する。しかし、下記の実施例は本発明の具体的な一実施例であり、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0053】
「実施例」
(1)リチウム鉱石を用いたリチウム残渣の製造
酸化リチウム(LiO)含有量が1.5重量%程度であるリチウム鉱石を浮遊選鉱などで長石と雲母などを除去して、酸化リチウム(LiO)含有量を約6重量%程度に濃縮させたオーストラリア産ギャラクシー鉱を用いた。
その後、1000℃で熱処理してβ-spodumeneに転移させた後、粉砕処理して後続工程での反応性向上のために粒度調整した。粒度調整されたβ-spodumeneに95%濃度の硫酸を重量比で3倍添加し、混合した後、250℃で1時間硫酸焙焼処理した。
硫酸焙焼後、重量比で5倍の水を添加、攪拌して1時間の間水で浸出し、フィルタープレスを用いて固液分離することによってリチウム残渣を回収した。
フィルタープレスで回収したリチウム残渣の構成成分と含有量をXRFおよびICPで分析した結果を下記表1および表2に示した。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
上記表1、表2、図2および図3のように、リチウム残渣は、アルミナ(Al):約26重量%、シリカ(SiO):約66重量%、酸化鉄(Fe):約1.6重量%、酸化カルシウム(CaO)、酸化ナトリウム(NaO)および酸化カリウム(KO)のうち1種以上:約0.4重量%以下を含み、アルミノシリケート(Al 4SiO,AlSi)、シリカ(SiO)およびアルバイト(Albite)などで構成されている結晶相として平均粒度は500μm以下であり、体積および充填密度はそれぞれ0.88,1.28程度であった。
【0057】
図4のように、フィルタープレスで回収したリチウム残渣は非常に微細な粒子がかたまっている状態であり、含水率は約39%程度、pHは弱酸性である3.1程度を示した。
図5のように、フライアッシュとリチウム残渣は構成成分と主成分の含有量の側面から非常に類似の値を示すが、アルカリ金属成分である酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)および酸化鉄(Fe)の含有量はフライアッシュ原料が多少高い含有量を示しており、酸性成分であるシリカ(SiO)の含有量はリチウム残渣原料がおよそ10%程度高い含有量を示した。
反面、中性成分であるアルミナ(Al)は二つの原料がほぼ類似の水準の含有量を示すことを確認することができた。フライアッシュは粒子形態が球形であり、通常5~600μm程度範囲の粒子大きさを示すことに対し、リチウム残渣は図5のように、粒子形態が無定形であり、粒子表面はリチウム(Li)成分の酸浸出によって微細な穴(hole)が表面に残留する形態を示す粒子ときれいな劈開面を有する粒子とで構成されていることを確認することができた。
【0058】
(2)リチウム残渣のpH調節
[実験例1]上記実験で製造したリチウム残渣3kgに蒸溜水15Kgを添加して固液比(水/リチウム残渣)5/1条件に調整し、500rpmで3時間攪拌後、濾過する操作を3回繰り返して3回水洗した。水洗した残渣のpHを廃棄物工程試験方法のpH測定基準に従って測定し、その結果を下記表3に示した。
[実験例2]水洗操作を1回のみ実施したことを除いては実験例1と同じ条件で実施し、水洗したリチウム残渣のpHを測定し、その結果を下記表3に示した。
[実験例3]水洗操作を2回のみ実施したことを除いては実験例1と同じ条件で実施し、水洗したリチウム残渣のpHを測定し、その結果を下記表3に示した。
【0059】
【表3】
【0060】
また、リチウム残渣を1回、2回、3回水洗して製造した試料の成分および含有量をICPで分析して下記表4に示した。
【0061】
【表4】
【0062】
上記表3のように、実験例1で固液比(リチウム残渣/水重量比)1/5の条件で水洗過程を3回繰り返して製造したリチウム残渣のpHは6.08としてpHが中性領域に到達したことが分かった。繰り返し水洗過程によってリチウム残渣内に残留していた過量の未反応硫酸溶液が除去されたからである。反面、実験例2および実験例3の場合、水洗段階を1回または2回のみ実施してリチウム残渣のpHがそれぞれ3.23、3.84であった。これによりリチウム残渣内に硫酸が残留していることがわかる。
【0063】
したがって、酸性を示すリチウム残渣を十分に水洗してリチウム残渣から硫酸イオン(SO 2-)を除去することによってリチウム残渣のpHを中性領域に形成させ得る。
上記表4のように、水洗回数によって製造されたリチウム残渣の成分および含有量変化の有無を確認した結果、水洗回数によってはほとんど変化がないことが確認された。したがって、工程発生リチウム残渣をゼオライト製造のための原料として活用するためには十分な水洗過程によりリチウム残渣内に存在している硫酸イオン(SO 2-)を最小化させてリチウム残渣のpHを中性領域に調節することが大変重要であることが分かる。
【0064】
(3)アルミニウムに対するシリコンのモル比(Si/Al)の調節
[実験例4]実験例1による水洗したリチウム残渣のアルミニウム(Al)成分は12.6molであり、シリコン(Si)成分は31.4molであった。pH中性領域のリチウム残渣40gにアルミナ補充物質としてソジウムアルミネート(NaAlO)を添加してリチウム残渣内Si/Alのモル比を0.75に調節した。
成分調整されたリチウム残渣を2Lガラス反応器に投入した後、2.5M NaOH溶液1200ml(添加量:NaOH 30ml/リチウム残渣g)を投入し、攪拌してリチウム残渣原料が均質に分散したスラリーを製造した。その後、均質に分散したスラリーを常温で1時間の間300rpmで攪拌してヒドロゲルを製造した。
ヒドロゲルを90℃に昇温して500rpmで攪拌しながら24時間の間維持して結晶化した。その後、濾過して固液分離した後pHが9になるまで繰り返し水洗し、水洗が終わった試料は濾過して105℃で十分に乾燥して最終生成物を製造した。最終生成物の結晶相および結晶性(Crystallinity)をXRDで分析し、その結果を下記表5にそれぞれ示した。
【0065】
[実験例5]リチウム残渣内Si/Alのモル比を1.0に調節したことを除いては実験例4と同じ条件で実施し、その結果を下記表5に示した。
[実験例6]リチウム残渣内Si/Alのモル比を1.5に調節したことを除いては実験例4と同じ条件で実施し、その結果を下記表5に示した。
[実験例7]リチウム残渣内Si/Alのモル比を2.0に調節したことを除いては実験例4と同じ条件で実施し、その結果を下記表5に示した。
[実験例8]リチウム残渣内Si/Alのモル比を2.25に調節したことを除いては実験例4と同じ条件で実施し、その結果を下記表5に示した。
[実験例9]リチウム残渣内Si/Alのモル比を2.5に調節したことを除いては実験例4と同じ条件で実施し、その結果を下記表5に示した。
[実験例10]リチウム残渣内Si/Alのモル比を3.0に調節したことを除いては実験例4と同じ条件で実施し、その結果を下記表5に示した。
[実験例11]リチウム残渣内Si/Alのモル比を0.5に調節したことを除いては実験例4と同じ条件で実施し、その結果を下記表5に示した。
[実験例12]リチウム残渣内Si/Alのモル比を3.5に調節したことを除いては実験例4と同じ条件で実施し、その結果を下記表5に示した。
【0066】
【表5】
【0067】
*上記表5において、Z-A、Z-XおよびZ-Pは、それぞれA型ゼオライト、X型ゼオライトおよびP型ゼオライトを意味する。*上記表5において、H.Sおよびanalcimeはそれぞれ0.005重量%を超える含有量のヒドロキシソーダライトおよびアナルサイムが混入されて生成されたことを意味する。
【0068】
上記表5のように、リチウム残渣のみではゼオライト形成に適した組成にならないので不足したアルミナ成分を補充してSi/Alモル比を0.75~3.0に調整した実験例4~実験例10の場合、最終生成物は結晶性が良好なゼオライトA型、ゼオライトX型およびゼオライトP型に製造することができた。
反面、Si/Alモル比を0.5に低く調整した実験例11の場合、最終生成物はゼオライトA型以外にアナルサイムが混入されて生成され、Si/Alモル比が3.0を超えるように調整した実験例12の場合、ゼオライトP型以外にヒドロキシソーダライトが混入されて生成されることを確認することができた。
したがって、中性のリチウム残渣の成分調整によりSi/Alモル比を0.75~3.0範囲に調整して製造すると結晶性が良好なゼオライトを得ることができることを確認することができた。
【0069】
(4)アルカリ物質の濃度調節
[実験例13]アルカリ物質として投入した水酸化ナトリウム(NaOH)溶液の濃度を1.5Mに調節したことを除いては実験例8と同じ条件で実施し、その結果を下記表6に示した。
[実験例14]アルカリ物質として投入した水酸化ナトリウム(NaOH)溶液の濃度を2.0Mに調節したことを除いては実験例4と同じ条件で実施し、その結果を下記表6に示した。
[実験例15]実験例4と同じ条件で実施し、その結果を下記表6に示した。
[実験例16]アルカリ物質として投入した水酸化ナトリウム(NaOH)溶液の濃度を0.5Mに調節したことを除いては実験例4と同じ条件で実施し、その結果を下記表6に示した。
[実験例17]アルカリ物質として投入した水酸化ナトリウム(NaOH)溶液の濃度を1.0Mに調節したことを除いては実験例4と同じ条件で実施し、その結果を下記表6に示した。
[実験例18]アルカリ物質として投入した水酸化ナトリウム(NaOH)溶液の濃度を3.0Mに調節したことを除いては実験例4と同じ条件で実施し、その結果を下記表6に示した。
【0070】
【表6】
【0071】
*上記表6において、Z-A、Z-XおよびZ-Pは、それぞれA型ゼオライト、X型ゼオライトおよびP型ゼオライトを意味する。*上記表6において、analcimeおよびSODは、それぞれ0.005重量%を超える含有量のアナルサイムおよびSODが混入されて生成されたことを意味する。
【0072】
上記表6のように、成分調整してSi/Alモル比を2.25に調整したリチウム残渣を使用し、アルカリ物質として投入した水酸化ナトリウム(NaOH)溶液の濃度を1.0~6.0Mに調節した実験例13~実験例21の場合、最終生成物は結晶性が良好なゼオライトA型、ゼオライトX型およびゼオライトP型に製造することができた。
反面、水酸化ナトリウム(NaOH)溶液の濃度を1.0M未満に調節した実験例22の場合、アナルサイムおよびSODが混入されて生成され、水酸化ナトリウム(NaOH)溶液の濃度を6.0Mを超えて調節した実験例23および実験例24の場合、SODが混入されて生成されたことを確認することができた。
したがって、アルカリ溶液の添加によってリチウム残渣の溶解反応を進行させる場合には水酸化ナトリウム(NaOH)溶液の濃度を1.0~6.0M範囲に調節して製造すると結晶性が良好なゼオライト結晶相を製造できることを確認することができた。
【0073】
(5)結晶化温度の調節
[実験例25]結晶化温度を60℃に調節したことを除いては実験例17と同じ条件で実施し、その結果を下記表7に示した。
[実験例26]結晶化温度を70℃に調節したことを除いては実験例17と同じ条件で実施し、その結果を下記表7に示した。
[実験例27]結晶化温度を80℃に調節したことを除いては実験例17と同じ条件で実施し、その結果を下記表7に示した。
[実験例28]実験例17と同じ条件で実施し、その結果を下記表7に示した。
[実験例29]結晶化温度を100℃に調節したことを除いては実験例17と同じ条件で実施し、その結果を下記表7に示した。
[実験例30]結晶化温度を50℃に調節したことを除いては実験例17と同じ条件で実施し、その結果を下記表7に示した。
[実験例31]結晶化温度を110℃に調節したことを除いては実験例17と同じ条件で実施し、その結果を下記表7に示した。
[実験例32]結晶化温度を120℃に調節したことを除いては実験例17と同じ条件で実施し、その結果を下記表7に示した。
【0074】
【表7】
【0075】
*上記表7において、Z-A、Z-XおよびZ-Pは、それぞれA型ゼオライト、X型ゼオライトおよびP型ゼオライトを意味する。*上記表7において、H.Sおよびanalcimeは、それぞれ0.005重量%を超える含有量のヒドロキシソーダライトおよびアナルサイムが混入されて生成されたことを意味する。
【0076】
上記表7のように、成分調整してSi/Alモル比を2.25に調整したリチウム残渣を使用し、3.0Mの水酸化ナトリウム(NaOH)溶液を使用して製造したヒドロゲルを結晶化温度60~100℃に調節した実験例25~実験例29の場合、最終生成物は結晶性が良好なゼオライトA型、ゼオライトX型およびゼオライトP型に製造することができた。
反面、結晶化温度を60℃未満に調節した実験例30の場合、アナルサイムが混入されて生成され、結晶化温度を100℃を超えて調節した実験例31および実験例32の場合、ゼオライトX型、ゼオライトP型以外にヒドロキシソーダライトが混入されて生成されたことを確認することができた。
したがって、結晶化温度を60~100℃範囲に調節して製造すると結晶性が良好なゼオライト結晶相を製造できることを確認することができた。
【0077】
(6)結晶化時間の調節
[実験例33]結晶化時間を12時間の間行ったことを除いては実験例13と同じ条件で実施し、その結果を下記表8に示した。
[実験例34]実験例13と同じ条件で実施し、その結果を下記表8に示した。
[実験例35]結晶化時間を48時間の間行ったことを除いては実験例13と同じ条件で実施し、その結果を下記表8に示した。
[実験例36]結晶化時間を1時間の間行ったことを除いては実験例13と同じ条件で実施し、その結果を下記表8に示した。
[実験例37]結晶化時間を3時間の間行ったことを除いては実験例13と同じ条件で実施し、その結果を下記表8に示した。
[実験例38]結晶化時間を6時間の間行ったことを除いては実験例13と同じ条件で実施し、その結果を下記表8に示した。
【0078】
【表8】
【0079】
*上記表8において、Z-PはP型ゼオライトを意味する。*上記表8において、analcimeは0.005重量%を超える含有量のアナルサイムが混入されて生成されたことを意味する。
【0080】
上記表8のように、成分調整してSi/Alモル比を2.25に調整したリチウム残渣を使用し、1.0Mの水酸化ナトリウム(NaOH)溶液を使用して製造したヒドロゲルを結晶化温度90℃に調節し、結晶化時間を12時間以上に調節した実験例33~実験例35の場合、最終生成物は結晶性が良好なゼオライトP型に製造することができた。
反面、結晶化時間を12時間未満に調節した実験例36~実験例38の場合、アナルサイムが混入されて生成されたことを確認することができた。
したがって、結晶化時間を12時間以上の範囲に調節して製造すると結晶性が良好なゼオライト結晶相を製造できることを確認することができた。
【0081】
(7)攪拌速度の調節
[実験例39]実験例13と同じ条件で実施し、その結果を下記表9に示した。
[実験例40]攪拌速度を400rpmに調節して結晶化させたことを除いては実験例13と同じ条件で実施し、その結果を下記表9に示した。
[実験例41]攪拌速度を500rpmに調節して結晶化させたことを除いては実験例13と同じ条件で実施し、その結果を下記表9に示した。
[実験例42]攪拌速度を600rpmに調節して結晶化させたことを除いては実験例13と同じ条件で実施し、その結果を下記表9に示した。
[実験例43]攪拌しないまま、停止状態で結晶化させたことを除いては実験例13と同じ条件で実施し、その結果を下記表9に示した。
[実験例44]攪拌速度を200rpmに調節して結晶化させたことを除いては実験例13と同じ条件で実施し、その結果を下記表9に示した。
[実験例45]攪拌速度を700rpmに調節して結晶化させたことを除いては実験例13と同じ条件で実施し、その結果を下記表9に示した。
【0082】
【表9】
【0083】
*上記表9において、Z-PはP型ゼオライトを意味する。*上記表9において、H.S、analcimeおよびSODは0.005重量%を超える含有量のヒドロキシソーダライト、アナルサイムおよびSODが混入されて生成されたことを意味する。
【0084】
上記表9のように、成分調整してSi/Alモル比を2.25に調整したリチウム残渣を使用し、1.0Mの水酸化ナトリウム(NaOH)溶液を使用して製造したヒドロゲルを結晶化温度90℃に調節し、結晶化時間を12時間に調節するが、結晶化時の攪拌速度を300~600rpmに調節した実験例39~実験例42の場合、最終生成物は結晶性が良好なゼオライトP型に製造することができた。
反面、別に攪拌を行わないか、300rpm未満に攪拌速度を調節した実験例43および実験例44の場合、アナルサイムが混入されて生成されたことを確認することができた。
600rpmを超えて攪拌速度を調節した実験例45の場合、ヒドロキシソーダライト、アナルサイムおよびSODが混入されて生成されたことを確認することができた。
本発明は上記実施形態および/または実施例に限定されるものではなく互いに異なる多様な形態で製造することができ、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更せず他の具体的な形態で実施できることを理解することができる。したがって、以上で記述した実施形態および/または実施例はすべての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5