(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】ニアアイディスプレイのバーチャル像の色補正
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20221208BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20221208BHJP
H04N 13/344 20180101ALI20221208BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
H04N5/64 511A
H04N13/344
G03B21/14 A
(21)【出願番号】P 2021539395
(86)(22)【出願日】2020-01-09
(86)【国際出願番号】 US2020012821
(87)【国際公開番号】W WO2020146559
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2021-07-28
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516201548
【氏名又は名称】ビュージックス コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Vuzix Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【氏名又は名称】原田 三十義
(74)【代理人】
【識別番号】100153800
【氏名又は名称】青野 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ, ロバート ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】トラバース,ポール ジェイ.
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-287048(JP,A)
【文献】特開2017-058388(JP,A)
【文献】特開2006-133635(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0097930(US,A1)
【文献】国際公開第2018/013307(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01 - 27/02
H04N 5/64
H04N 13/344
G03B 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニアアイディスプレイ用のプロジェクタであって、
複数のセルを有し、個々のセルの相対的な色出力を変化させるために各セルが調節可能な異なる色の光源を含む拡張光源と、
複数の光
チャンネル内の
前記複数のセルからの光を集め、
前記複数の光チャンネルからの光を照明平面で部分的にオーバーラップさせる部分ホモジナイザーと、
前記照明平面に配置され、前記照明平面で部分的に重ね合わされた光を選択的に変調することによって、実像を生成する空間光変調器と、
生成された上記実像のバーチャル像を視者に見せるべく伝送するために、前記空間光変調器からの変調光を瞳孔に向ける接眼光学系と、
前記拡張光源に接続されたコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記複数のセルのうちの1以上のセルの相対的な色出力を調整して、前記空間光変調器に入射する前記照明平面上の光の色分布を変更するように動作可能である、プロジェクタ。
【請求項2】
前記複数のセルの各セル内の異なる色の光源が、少なくとも3つの異なる波長帯を出力するように動作可能
であり、これら異なる波長帯の相対的な光出力が相対的に調整可能である、請求項1に記載のプロジェクタ。
【請求項3】
前記コントローラは、前記
複数のセルの第1の集合内での1つの波長帯の出力を相対的に減少させ、前記
複数のセルの第2の集合内の前記1つの波長帯の出力を相対的に増大させることを提供する請求項2に記載のプロジェクタ。
【請求項4】
前記
複数のセルの前記第1、第2の集合からの光が、前記照明平面内で相対的にオフセットされている、請求項3に記載のプロジェクタ。
【請求項5】
前記部分ホモジナイザーがコンデンサを含み、このコンデンサは、
前記複数の光
チャンネルからの光を、このコンデンサの焦点面からオフセットされた位置にある前記照明平面で部分的にオーバーラップさせるように動作可能である、請求項1に記載のプロジェクタ。
【請求項6】
前記部分ホモジナイザーが、
前記複数のセルからの光を
前記複数の光
チャンネル内で伝送するための第1アレイレンズと第2アレイレンズを含む、請求項1に記載のプロジェクタ。
【請求項7】
前記第1アレイレンズと前記第2アレイレンズは、それぞれレンズレットのアレイを含み、前記第1アレイレンズは、
前記複数のセルから収集された光を、前記第2アレイレンズのレンズレットのそれぞれのアパーチャに向ける、請求項6に記載のプロジェクタ。
【請求項8】
コンデンサが、前記第1アレイレンズのレンズレットのアパーチャを、前記照明平面からオフセットされた均質化平面でオーバーラップするようにして画像化するために、前記第1、第2アレイレンズに対して配置される、請求項7に記載のプロジェクタ。
【請求項9】
前記部分ホモジナイザーが、
前記複数の光
チャンネル内の
前記複数のセルから光を収集し、
前記複数の光
チャンネルを前記照明平面において少なくとも60パーセントでオーバーラップさせ、
前記複数の光
チャンネルの少なくともいくつかを前記照明平面において90パーセント以下でオーバーラップさせることを提供する、請求項1に記載のプロジェクタ。
【請求項10】
前記コントローラが、
前記複数のセルのうちの1以上のセルの放射エネルギー出力を調整して、前記空間光変調器に入射する前記照明平面にわたる光強度分布を変更することを提供する、請求項1に記載のプロジェクタ。
【請求項11】
前記コントローラが、画像形成に使用されていない前記空間光変調器の部分を照明する
前記複数のセルのうちの1以上のセルを暗くすることを提供する、請求項10に記載のプロジェクタ。
【請求項12】
ニアアイディスプレイであって、
複数のセルを有し各セルが異なる色の光源を含む拡張光源と、前記複数のセルからの光を照明平面で部分的にオーバーラップさせる部分ホモジナイザーと、を含む照明器と、
前記照明平面に配置され、前記照明平面で部分的に重ね合わされた光を選択的に変調することによって、実像を生成する空間光変調器と、
前記空間光変調器からの変調光を、複数の
角度的にエンコードされた光ビームとして瞳孔に向ける接眼光学系と、
透過型の導波路と、前記導波路に沿って配置されたインカップリング
光学要素と、前記導波路に沿って配置されたアウトカップリング光学要素
と、を備え、前記インカップリング
光学要素が
前記角度的にエンコードされた光ビームを前記導波路内に
向けるように動作可能であり、前記アウトカップリング光学要素
が、前記角度的にエンコードされた光ビーム
を前記導波路から出てアイボックスに向
けるように動作可能である画像光ガイドと、
前記拡張光源に接続されたコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記複数のセルのうちの1以上のセルの相対的な色出力を調整して、前記空間光変調器に入射する前記照明平面上の光の色分布を変更するように動作可能
である、ニアアイディスプレイ。
【請求項13】
前記部分ホモジナイザーが、
複数の光チャンネル内の前記複数のセルから光を収集し、前記複数の光チャンネルを前記照明平面において少なくとも60パーセントでオーバーラップさせ、前記複数の光チャンネルの少なくともいくつかを前記照明平面において90パーセント以下でオーバーラップさせることを提供する、請求項12に記載のニアアイディスプレイ。
【請求項14】
前記部分ホモジナイザーがコンデンサを含み、このコンデンサは、
前記複数のセルからの光を、このコンデンサの焦点距離からオフセットされた位置にある前記照明平面で部分的にオーバーラップさせるように動作可能である、請求項12に記載のニアアイディスプレイ。
【請求項15】
前記部分ホモジナイザーが、第1アレイレンズと第2アレイレンズとコンデンサを有し、前記第1アレイレンズは
前記複数のセルからの光を集めるレンズレットを備え、第2アレイレンズは
前記複数のセルから集められた光がそれぞれ向かうアパーチャを有するレンズレットを備え、前記コンデンサは、前記第1アレイレンズのレンズレットのアパーチャを、前記照明平面からオフセットされた均質化平面でオーバーラップするようにして画像化するために、前記第1、第2アレイレンズに対して配置される、請求項12に記載のニアアイディスプレイ。
【請求項16】
前記複数のセルの各セル内の異なる色の光源が、少なくとも3つの異なる波長帯を出力するように動作可能
であり、異なる波長帯の相対的な光出力が
調整可能である、請求項12に記載のニアアイディスプレイ。
【請求項17】
前記コントローラは、前記
複数のセルの第1の集合内での1つの波長帯の出力を相対的に減少させ、前記
複数のセルの第2の集合内の前記1つの波長帯の出力を相対的に増大させることを提供する請求項16に記載のニアアイディスプレイ。
【請求項18】
前記
複数のセルの第1、第2の集合からの光が、照明平面内で相対的にオフセットされている、請求項17に記載のニアアイディスプレイ。
【請求項19】
前記コントローラが、
前記複数のセルのうちの1以上のセルの放射エネルギー出力を調整して、前記空間光変調器に入射する前記照明平面にわたる光強度分布を変更し、これによりバーチャル像にわたる光強度分布を調整することを提供する、請求項12に記載のニアアイディスプレイ。
【請求項20】
前記コントローラが、画像形成に使用されていない前記空間光変調器の部分を照明する
前記複数のセルのうちの1以上のセルを暗く
することを提供する、請求項19に記載のニアアイディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カラー画像プロジェクタから画像光ガイドを介して視者の目にバーチャルカラー画像を伝送するニアアイディスプレイ用の投射システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)に組み込まれることが多いニアアイディスプレイは、従来の眼鏡をモデル化して設計されているものがあり、一般に、プロジェクタなどの画像ソースと、画像ソースのバーチャル像を着用者の目に伝送するように特別に設計された光学系とを備えている。この特別に設計された光学系は、透明な導波路を有する画像光ガイドを含む。この導波路は、着用者の目へのバーチャル像の伝送と、着用者の周囲環境の自然な視界の両方をサポートすることができる。バーチャル像は着用者の視野に投影することができる。これは、拡張現実(AR)アプリケーションに特に役立つ。
【0003】
このような従来の画像光ガイドでは、コリメートされ相対的角度的にエンコードされた画像プロジェクタからの光ビームは、回折光学要素等のインカップリング光学要素により、透明な平面導波路に光学的に結合される。このインカップリング光学要素は、平面導波路の表面に設けられ又は形成され、あるいは導波路内に埋め込まれている。角度的にエンコードされた光ビームは、平面導波路に沿って伝搬した後、同様のアウトカップリング光学要素によって平面導波路から視者の目に向けられる。角度的にエンコードされた光ビームは、導波路を出ると、「アイボックス」と呼ばれる空間領域内で重なり、このアイボックスの中で画像ソースのバーチャル像を見ることができる。角度的にエンコードされた光ビームを複数の空間的にオフセットされたビームレットに分割し、これらビームレットが集合してより大きな領域を占めるようにすることにより、アイボックスを拡大して、視者の目の位置に対する感度を下げることができる。ビームレットは、角度的にエンコードされたビームを、導波路に沿うアウトカップリング光学要素を含む光学系との複数の遭遇によって生成することができ、そのような遭遇の各々は、各ビームの光エネルギーの一部をそのようなビームレットに連続的に分配する。
【0004】
画像プロジェクタからアイボックスへのカラー画像の伝送は、介在する光学構成要素の波長に対する感受性の差異の影響を受ける可能性がある。屈折と回折の両方の影響は、波長に対して敏感である。このような性能の差異の全体的な影響の1つは、視者に提示されるバーチャル像の色の変化(色シフト;color shift)である。たとえば、画像プロジェクタによって生成された完全に白い画像の場合、バーチャル像の片側(例えば右側)が赤みがかった色相に見え、バーチャル像の反対側(例えば左側)が青みがかった色相に見えることがある。
【0005】
そのような水平方向のカラーグラデーションに加えて、他の方向のカラーグラデーション、例えば垂直の上下方向のカラーグラデーション、または斜め方向(左下から右上、または左上から右下)のカラーグラデーションが発生する可能性もある。カラーグラデーションは、バーチャル像内の孤立した領域に発生することもある。カラーグラデーションは、導波路および導波路の構成要素の製造誤差、及び/又はプロジェクタシステムおよびその構成要素の製造、ニアアイディスプレイの構成要素の動作環境(熱および/または湿気を含む)に起因して、発生することもある。
【0006】
したがって、バーチャル像内の色分布を調整することができるニアアイディスプレイシステムには利点があることが理解されよう。
【発明の概要】
【0007】
実施形態は、ニアアイディスプレイから見えるバーチャル像内の色分布をバランスし直す。その特徴は、拡張光源と部分ホモジナイザーを含む。拡張光源はセルに分割され、各セルは異なる色の光源を持っている。セルからの光フィールドを照明平面において部分的にのみオーバーラップさせる。この照明平面には、表示用の画像を生成するために空間光変調器が配置されている。異なる光フィールドはほとんど照明平面で重なるが、異なる光フィールドは、空間光変調器での照明パターンのわずかに異なる部分に寄与することができるほどに十分に変位している。個々のセルの相対的な色出力を制御することにより、ニアアイディスプレイに入力するために空間光変調器によって形成される画像は、色の不均衡(color imvalances)を伴って生成され、この色の不均衡が、(補償が無ければ)ニアアイディスプレイによって最終的に見られるバーチャル像に存在するであろう色の不均衡を、補償することができる。
【0008】
ニアアイディスプレイ用のプロジェクタは、拡張光源を備えるようにして構成することができる。この拡張光源は、複数のセルを有し、個々のセルの相対的な色出力を変化させるために各セルが調節可能な異なる色の光源を含んでいる。部分ホモジナイザーは、異なる光テャンネル内の異なるセルからの光を集め、これら異なるセルからの光を照明平面で部分的にオーバーラップさせる。空間光変調器は、前記照明平面に配置され、前記照明平面で部分的に重ね合わされた光を選択的に変調することによって、実像を生成する。接眼光学系は、生成された上記実像のバーチャル像を視者に見せるべく伝送するために、前記空間光変調器からの変調光を瞳孔に向ける。前記拡張光源のコントローラは、1つまたは複数のセルの相対的な色出力を調整して、前記空間光変調器に入射する前記照明平面上の光の色分布を変更する。
【0009】
各ゾーン内の異なる色の光源が、少なくとも3つの異なる波長帯を出力する光源を含むことができ、異なる波長帯の相対的な光出力が相対的に調整可能である。前記コントローラは、前記セルの第1の集合内での1つの波長帯の出力を相対的に減少させ、前記セルの第2の集合内の前記1つの波長帯の出力を相対的に増大させることができる。前記セルの前記第1、第2の集合からの光は、前記照明平面内で相対的にオフセットすることができる。
【0010】
前記部分ホモジナイザーがコンデンサを含むことができ、このコンデンサは、異なる光テャンネルからの光を、このコンデンサの焦点面からオフセットされた位置にある前記照明平面で部分的にオーバーラップさせる。前記部分ホモジナイザーは、異なるセルからの光を異なる光テャンネル内で伝送するための第1アレイレンズと第2アレイレンズを含むことができる。前記第1アレイレンズと前記第2アレイレンズは、それぞれレンズレットのアレイを含むことができ、前記第1アレイレンズは、異なるセルから収集された光を、前記第2アレイレンズのレンズレットのそれぞれのアパーチャに向けることができる。コンデンサは、前記第1アレイレンズアレイのレンズレットのアパーチャを、前記照明平面からオフセットされた均質化平面でオーバーラップするようにして画像化するために、前記第1、第2アレイレンズに対して配置することができる。全体的に、前記部分ホモジナイザーは、異なる光テャンネル内の異なるセルから光を収集し、異なる光テャンネルを前記照明平面において少なくとも60パーセントでオーバーラップさせ、異なる光テャンネルの少なくともいくつかを前記照明平面において90パーセント以下でオーバーラップさせることを提供できる。
【0011】
照明平面で色分布を調整するために個々のセルの相対的色出力を制御することに加えて、前記コントローラは、1つまたは複数のセルの放射エネルギー出力を調整して、前記空間光変調器に入射する前記照明平面にわたる光強度分布を変更することを提供できる。前記コントローラは、画像形成に使用されていない前記空間光変調器の部分を照明する1つまたは複数の光セルを暗くすることも提供できる。
【0012】
ニアアイディスプレイは、照明器を装備するように構成することができる。この照明器は、複数のセルを有し各セルが異なる色の光源を含む拡張光源と、前記複数のセルからの光を照明平面で部分的にオーバーラップさせる部分ホモジナイザーと、を含む。空間光変調器は、前記照明平面に配置され、前記照明平面で部分的に重ね合わされた光を選択的に変調することによって、実像を生成する。接眼光学系は、前記空間光変調器からの変調光を、複数の相対的角度的にエンコードされた複数の光ビームとして瞳孔に向ける。画像光ガイドは、インカップリング光学系要素とアウトカップリング光学要素を備えた透過型の導波路を含み、前記インカップリング光学系要素が角度的にエンコードされた光ビームを前記導波路内に向け、前記導波路に沿って前記アウトカップリング光学要素へ伝播させ、前記アウトカップリング光学要素では、角度的にエンコードされた光ビームが前記導波路から出てアイボックスに向かい、このアイボックス内で、前記空間光変調器により生成された実像のバーチャル像を見ることができる。前記拡張光源のコントローラは、1つまたは複数のセルの相対的な色出力を調整して、前記空間光変調器に入射する前記照明平面上の光の色分布を変更し、これによりバーチャル像内の色シフトを補償する。
【0013】
前記部分ホモジナイザーは、異なる光テャンネル内の異なるセルから光を収集し、異なる光テャンネルを前記照明平面において少なくとも60パーセントでオーバーラップさせ、異なる光テャンネルの少なくともいくつかを前記照明平面において90パーセント以下でオーバーラップさせることができる。前記部分ホモジナイザーがコンデンサを含むことができ、このコンデンサは、異なるセルからの光を、このコンデンサの焦点距離からオフセットされた位置にある前記照明平面で部分的にオーバーラップさせる。加えて、前記部分ホモジナイザーは、第1アレイレンズと第2アレイレンズを有し、前記第1アレイレンズは個々のセルからの光を集めるレンズレットを備え、第2アレイレンズは個々のセルから集められた光がそれぞれ向かうアパーチャを有するレンズレットを備えている。前記コンデンサは、前記第1アレイレンズのレンズレットのアパーチャを、前記照明平面からオフセットされた均質化平面でオーバーラップするようにして画像化するために、前記第1、第2アレイレンズに対して配置することができる。
【0014】
各ゾーン内の異なる色の光源は、少なくとも3つの異なる波長帯を出力する光源を含むことができ、異なる波長帯の相対的な光出力が相対的に調整可能である。前記コントローラは、前記セルの第1の集合内での1つの波長帯の出力を相対的に減少させ、前記セルの第2の集合内の前記1つの波長帯の出力を相対的に増大させることができる。前記セルの第1、第2の集合からの光が、照明平面内で相対的にオフセットされている。
【0015】
前記コントローラは、1つまたは複数のセルの放射エネルギー出力を調整して、前記空間光変調器に入射する前記照明平面にわたる光強度分布を変更し、これによりバーチャル像にわたる光強度分布を調整することができる。前記コントローラは、画像形成に使用されていない前記空間光変調器の部分を照明する1つまたは複数の光セルを暗くし、これにより表示コントラストを増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
添付の図面は、仕様の一部として本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の図面は、現在開示されている主題の実施形態を例示し、本開示の選択された原理および教示を例示している。しかしながら、図面は、現在開示されている主題のすべての可能な実施を例示するものではなく、本開示の範囲を制限することを意図するものではない。
【0017】
【
図1】本開示の実施形態によるニアアイディスプレイ用プロジェクタ内の照明システムの一部として、コンピュータの制御下にある拡張光源のレイアウトである。
【0018】
【
図2】
図1の拡張光源を組み込んだニアアイディスプレイ用プロジェクタの光学的構成図である。
【0019】
【
図3A】実世界の視野内でバーチャル像を見るために、
図2のプロジェクタを用いて配置されたニアアイディスプレイの側面図である。
【0020】
【
図3B】
図3Aのニアアイディスプレイの上面図であり、画像光ガイドの構成要素と相互作用するプロジェクタを示す。
【0021】
【
図4】プロジェクタによって生成された画像の異なる色帯を視者の目に伝送するために2つの積み重ねられた画像光ガイドを備えた、本開示の一実施形態によるニアアイディスプレイの上面図である。
【0022】
【
図5】着用者の両眼用に独立したニアアイディスプレイを備えた眼鏡の形態をなす、本開示の一実施形態によるヘッドマウントディスプレイの斜視図である。
【0023】
【
図6】本開示の一実施形態による方法および装置のフロー図である。
【0024】
【
図7】本開示の一実施形態による方法および装置のフロー図である。
【0025】
【
図8】本開示の一実施形態による方法および装置のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、明示的に指定されている場合を除いて、様々な代替の配向および工程順序を想定し得ることが理解されるべきである。添付の図面に示され、以下の明細書に記載される特定のアセンブリおよびシステムは、本明細書で定義される発明概念の単なる例示的な実施形態であることも理解されたい。したがって、開示された実施形態に関連する特定の寸法、方向、または他の物理的特性は、特に明記しない限り、限定的であると見なされるべきではない。また、そうではない場合もあるが、本明細書に記載の様々な実施形態における同様の要素は、本明細書において同様の参照番号で言及される。
【0027】
本明細書において、「第1」、「第2」などの用語は、特に指定のない限り、序数、順序、または優先関係を示すのではなく、単にある要素または要素の集合を別の要素からより明確に区別するために用いられる。
【0028】
本開示の文脈において、「視者」、「操作者」、「観察者」、および「ユーザ」という用語は均等であると見なされ、電子デバイスを着用する人及び又は電子デバイスを用いて見る人を指す。
【0029】
本明細書で使用される「集合」という用語は、集合の要素の集まりの概念として初等算数で広く理解されているように、空でない集合を指す。「部分集合」という用語は、特に明記しない限り、本明細書では、空でない適切な部分集合、すなわち、1つまたは複数の要素を有する、より大きな集合の部分集合を指すために使用される。集合Sに対して、部分集合は完全な集合Sを含み得る。しかしながら、集合Sの「適切な部分集合」は、集合Sに厳密に含まれ、集合Sの少なくとも1つの要素を除外する。
【0030】
図1は、ニアアイディスプレイのバーチャル像のカラーバランスをとるために照明器の一部としてコンピュータ12に接続された拡張光源10(広げられた光源;extended light source)を示している。コンピュータ12は、コンピュータ処理ユニット(CPU)14とメモリ16を含む。コンピュータ12は、拡張光源10のコントローラ20とCPU14との間の通信経路18を介して、拡張光源10と相互接続されている。
【0031】
拡張光源10は、コントローラ20に加えて、複数の光源セル30を含んでいる。光源セルは、ここでは垂直方向に交互にずらされた(ジグザグにずらされた)列(columns)28a~28fを有する2次元アレイ26で示されている。各光源セル30は、赤色光源32、緑色光源34、青色光源36を含み、これらは、発光ダイオード(LED)または当業者に知られている他の光源の形態をとることができる。コントローラ20は、通信経路22に沿って、各光源セル30の個々の光源32、34、36のそれぞれの放射エネルギー出力を制御する。このようにして、各セル30の相対的な色出力が制御され、ならびに拡張光源10の2次元アレイ26内を横切るカラーグラデーションが制御される。例えば、拡張光源10は、光源セル30の左端の垂直列28aから光源セル30の右端の垂直列28fまでの水平方向のカラーグラデーションを生成することができる。そのようなカラーグラデーションは、例えば、左端の垂直列28aの赤の色合いから、右端の垂直列28fの青の色合いまで変化し得る。他の方向のカラーグラデーションも可能である。たとえば、上から下への垂直方向のカラーグラデーション、または左下から右上、左上から右下への斜め方向のカラーグラデーションである。また、二次元アレイ26内の孤立した領域において、二次元アレイ26内の垂直方向及び/又は水平方向の広がりにわたり、他のカラーグラデーションのパターンで現すこともできる。さらに、カラーグラデーションは、二次元アレイ26の一部、例えば、二次元アレイ26の左下領域、または二次元アレイ26の中央領域にのみに広がることもできる。一般に、グラデーションは波長の関数として描かれ、例えば、より短い波長からより長い波長へと描かれるが、他の色の変化も可能である。
【0032】
白色光は、次の式で表されるように、特定の比率の赤「R」、緑「G」、青「B」の光の組み合わせで、視者により知覚される。
白色光= NRW R + nGW G + nBW B
ここで、nRW、nGW、nBWは、知覚される白色光を生成するために各成分色R、G、Bに必要なそれぞれの比率である。拡張光源10の各光源セル30は、赤色光源32、緑色光源34、および青色光源36の放射エネルギー出力をそれぞれの比率に従って調整することにより、白色光を生成することができる。可視スペクトルの他の色は、R、G、Bの出力を異なる比率で調整することによって、個々のセル30によって再現することができる。デジタル色変換を支援するために、追加の色光源を各セル30に追加することができる。
【0033】
図2は、ニアアイディスプレイの画像光ガイド50に入射されるバーチャル像のカラーバランスをとるためのプロジェクタ40の例を示している。プロジェクタ40は、上記拡張光源10を含む照明器(illuminator)42と、画像を生成するためにコンピュータ12の制御下にある空間光変調器(spatial light modulator)44と、瞳孔(瞳;pupil)48を形成するための接眼光学系(接眼光学要素、接眼光学部品;eyepiece optic)46を有している。この瞳孔は、バーチャル像として生成された画像を見るために、画像光ガイド50によって伝送され拡張される。
【0034】
照明器42は、液晶ディスプレイ(LDC)などの透過型の空間光変調器44を背後から照らすために構成されている。照明器42はまた、デジタルマイクロミラーアレイ(DMD)などの反射型の空間光変調器44を前方から照らすために構成してもよい。照明器42内には、部分ホモジナイザー52(partial homogenizer)が含まれている。部分ホモジナイザー52は、イメージング型(imaging type)ホモジナイザーとして示されており、2つのアレイレンズ54、56と、第1アレイレンズ54への入力を均質化平面(homogenization plane)60でオーバーラップさせるためのコンデンサ58とを備えている。しかしながら、空間光変調器44は、均質化平面60からプロジェクタ40の光軸64に沿ってオフセットされた照明平面(illumination plane)62内に配置されており、これにより部分的均質化(partial homogenization)のみが空間光変調器44で生じる。アレイレンズ54、56は、フライアイまたはマイクロレンズアレイとして構成することができ、二次元アレイに配置されたアレイレンズのレンズレット(小レンズ)を有している。
【0035】
図示のレンズレット66a~66dは、第1のアレイレンズ54の複数の列のうちの1列を構成している。レンズレット66a~66dの各々は、複数の光テャンネル68a~68dを確立するために、拡張光源10の1つまたは複数の光源セル30から光を集める。第2のアレイレンズ56は、コンデンサ58とともに、異なる光テャンネル68a~68dからの光を照明平面62で部分的にオーバーラップさせる(重ねる)。照明平面62は、チャネル68a~68dがより完全に重なるであろう均質化平面60からオフセットされている。図を明瞭にするために、2つのチャネル68a、68dだけが、部分ホモジナイザー52を通って、照明平面62での部分的重なり位置まで描かれている。均質化平面60は、コンデンサ58の焦点面に配置することができる。空間光変調器44の位置によって定義される照明平面62は、空間光変調器44でのチャンネル68a~68dの重なりの量を減らすために、この焦点面からオフセットされる。好ましくは、チャネル68a~68dは照明平面62において少なくとも60パーセント重なっているが、少なくともいくつかのチャネルは、90パーセント以下で重なっている。
【0036】
イメージング型ホモジナイザーとしての部分ホモジナイザー52では、第1アレイレンズ54が個々のセル30から集められた光を第2アレイレンズ56のレンズレットのそれぞれのアパーチャに向ける。コンデンサ58は、第1のアレイレンズ54のレンズレットのアパーチャを均質化平面60(照明平面62はこの均質化平面60からオフセットされている)で重なり合うようにイメージングするために、第1、第2のアレイレンズ54、56に対して配置されている。拡張光源10と関連する追加の光学系を、異なるセル30または異なるセル群からの光を第1のアレイレンズ54の異なるレンズレットのアパーチャに向けるために配置することができ、これにより、照明平面で部分的に重なる異なる光テャンネル68a~68dを確立することができる。ディフューザーおよび他の形態の混合光学系を使用して、個々のセル30の赤、緑、青の光源32、34、36からの異なる色の光出力を組み合わせることができる。
【0037】
照明平面62に配置された空間光変調器44は、照明平面62で部分的に重なり合う光を、ピクセル毎に選択的に変調することによって画像を生成する。接眼光学系46は、空間光変調器44からの変調された光を瞳孔48に向けさらに画像光ガイド50内に向け、これにより、空間光変調器出力のバーチャル像を視者に見える形で伝送する。一般に、空間光変調器44の各変調ピクセルは、実質的にコリメートされたビームとして瞳孔48を満たす。このコリメートされたビームは、空間位置(この位置でピクセルが空間光変調器44内で変調される)に従って、2つの直交する次元で角度的にエンコードされる。例えば、接眼光学系46は、空間光変調器44の一方側のピクセル72を、プロジェクタ40の光軸64に対して第1の傾斜角82で瞳孔48を満たすコリメートビーム74に変換し、空間光変調器44の反対側のピクセル76を、光軸64に対して逆の傾斜をなす第2の傾斜角84で瞳孔48を満たすコリメートビーム78に変換する。
【0038】
空間光変調器44で部分的に重なる異なる光テャンネル68a~68d内の色混合を制御することにより、空間光変調器44にわたりカラーグラデーションをプログラムにしたがって生成し、これにより、視者に提示されるバーチャル像に存在する色の不均衡を補償することができる。
【0039】
図3A、
図3Bは、プロジェクタ40および画像光ガイド50の両方を組み込んだニアアイディスプレイ100を直交する方向からそれぞれ見た図である。画像光ガイド50は、プロジェクタ40によって生成された画像をアイボックス102に送る。このアイボックス102内で、生成された画像は、視者の視野内に現れるバーチャル像V1として視者の眼04によって見ることができる。
【0040】
画像光ガイド50は、インカップリング光学要素(in-coupling optic)IDOとアウトカップリング光学要素(out-coupling optic)ODOを支持する透明な導波路106を含む。これら光学要素は両方とも、格子またはホログラフィック光学要素(HOE)などの回折光学として形成することができる。インカップリング光学要素IDOは、プロジェクタ40からの角度的にエンコードされた光ビームWIを導波路106内に向け、これにより、角度的にエンコードされたビームWGとして導波路106に沿って伝送し、アウトカップリング光学要素ODOに向ける。アウトカップリング光学要素ODOでは、角度的にエンコードされた光ビームが、角度的にエンコードされたビームWOとして導波路106から出てアイボックス102に向かう。このアイボックス102でバーチャル像VIを見ることができる。導波路106は透過性であり、平坦かつ平行な外面108と内面110を有することができる。視者は周囲環境を見ることができる。バーチャル像VIはこの周囲環境に現れる。インカップリング回折光学要素IDOは、プロジェクタからの角度的にエンコードされたビームをアイボックス102へ伝送するために、導波路106の外面108または内面110に配置することができ、透過型または反射型とすることができる。
【0041】
例えば、プロジェクタ40からの角度的にエンコードされたビームWIは、インカップリング光学要素IDOによって(ほぼ第1回折次数で)回折され、それによって、角度的にエンコードされたビームWGとして導波路106内へと方向転換される。このビームWGはさらに、平坦かつ平行をなす外面108と内面110での全内部反射(TIR)により、導波路106の長手の次元xに沿って伝播する。TIRによって設定された境界に沿って角度的に関連するビームの異なる組み合わせで回折されるが、角度的にエンコードされたビームWGは、インカップリング光学要素IDOのパラメータから導かれた角度的にエンコードされた形式で、画像情報を保存する。アウトカップリング光学要素ODOは、角度的にエンコードされたビームWGを受けて、これを(ほぼ第1回折次数で)回折し、角度的にエンコードされたビームWOとして導波路106からアイボックス102に向かって出力する。このアイボックス102内で、視者の眼104により伝送されたバーチャル像を見ることができる。アウトカップリング光学要素ODOは、インカップリング光学IDOと対称に設計することができ、アイボックス102内での出力された角度的に関連付けられたビームWOにおいて、角度的にエンコードされたビームWIの元の角度関係を復元することができる。さらに、アウトカップリング回折光学要素ODOは、元の視野ポイントの位置角度関係を変更して、有限の焦点距離で出力バーチャル像を生成することもできる。
【0042】
しかしながら、アイボックス102(このアイボックスはバーチャル像を見ることができる領域のサイズを定義する)に存在する角度的に関連するビームWO間の一次元の重なりを増加させるために、アウトカップリング光学要素ODOは、導波路の限られた厚さとともに配置することができる。これにより角度的に関連付けられたビームWGのそれぞれに多数回遭遇し、各遭遇時に角度的に関連付けられたビームWGの一部のみを回折する。アウトカップリング光学ODOの長手方向に沿った多数回の遭遇は、導波路106を出る角度的に関連付けられたビームWOのそれぞれの1つの次元を拡大し、それによってビームWOが重なるアイボックス102の1つの次元を拡大する効果を有する。拡大されたアイボックス102は、バーチャル像VIを見るための視者の目の位置に対する感度を低下させる。
【0043】
回転光学要素などの追加の光学要素も、ビーム拡大などの追加の機能をサポートするために、導波路106に沿って配置することができる。例えば、回転光学要素は、導波路106に沿って異なる方向で伝搬してくる角度関連ビームWOとの多数回遭遇を介して、角度関連ビームWOを第2の次元で拡大するように、構成することができる。
【0044】
これらの図では、導波路106を出る主光線の経路が実線で示されている。破線は、視者の目104に対するバーチャル像VIの見かけの位置を示す主光線の延長を示している。つまり、破線はバーチャル像VIを形成する変調光の見かけの光源を示す。
【0045】
図4に示すニアアイディスプレイ120は、プロジェクタ40によって生成された画像の異なる色帯(color band)を伝送するための第1画像光ガイド122aと第2画像光ガイド122bを含む。例えば、第1画像光ガイド122aは、第1インカップリング光学要素IDOaと第1アウトカップリング光学要素ODOaを備えた第1透過型導波路124aを含み、プロジェクタ40からアイボックス126へ、赤および緑の色帯(例えば、赤よび緑の光源32、34からの光)を伝送するように構成することができる。第2画像光ガイド122bは、第2インカップリング光学要素IDObと第2アウトカップリング光学要素ODObを備えた第2透過導波路124bを含み、青の色帯(例えば、青色光源36からの光)を伝送するように構成することができる。回折光学要素の形態において、たとえばインカップリング光学要素IDOa、IDObおよびアウトカップリング光学要素ODOa、ODObは、角度的にエンコードされたビームを異なる波長帯域で回折して、これら異なる波長帯域をそれぞれの導波路124a、124bに沿って視者の目128へと伝搬させるように、特別に適合させることができる。両導波路124a、124bは、多数の内部反射を通して角度的に関連付けられたビーム間の角度関係を維持するために、平坦かつ平行な前面および背面を有することができる。平坦かつ平行な面は、プロジェクタ40から又は視者の視野内の周囲環境から導波路124a、124bを通る、より高い入射角の光の透過に対する屈折効果を低減する。
【0046】
ニアアイディスプレイ100、120などのニアアイディスプレイのバーチャル像VIにおける系統的(体系的な;systematic)なカラーグラデーションは、多くの方法で識別することができる。一実施形態では、
図6に示されるように、系統的なカラーグラデーションを識別する方法300は、ステップ302でプロジェクタ40を介して均一に白色の画像を投射し、ステップ304で着用者の目の位置(すなわち、アイボックス)にある色感知カメラを用いて、結果として生じるバーチャル像VIにわたる色変化を記録することを含む。ステップ306aで、ニアアイディスプレイの視野にわたるカメラで捕捉されたカラーグラデーションのマップが提供される。このカラーグラデーションのマップは、ステップ306bで色反転コンピュータアルゴリズムへの入力として使用することができ、色反転コンピュータアルゴリズムは、反転カラーグラデーションマップを生成することができる。この反転カラーグラデーションマップは、ステップ308で、
図1に示す拡張光源10に接続されたコンピュータ12のメモリ16に格納することができる。反転カラーグラデーションマップは、カメラで捕捉された元のカラーグラデーションマップと組み合わせると(元のカラーグラデーションに追加すると)、FOV(視野)全体にわたり白色になるようなカラーマップである。ステップ310で、コントローラ20は、
図1に示す拡張光源10の個々のセル30の相対的な色出力を制御し、バーチャル像VI内の系統的なカラーグラデーションを補償するために用いることができる。
【0047】
必要な反転カラーマップを定義する1つの方法は、各光源セル30のR,G,B光源32、34、36に独立して(個別に)電力を供給し、バーチャル像の範囲全体にわたる各色の強度を独立して(個別に)測定することである。バーチャル像全体にわたる(各画像ポイントでの)各成分の色の変化は、次のように表すことができる。
測定されたR光=nRM R
測定されたG光=nGM G
測定されたB光=nBM B
【0048】
反転カラーマップは、測定された画像ポイントごとに、次のようにして決定される。
反転R=nRW-nRM
反転G=nGW-nGM
反転B=nBW-nBM
ここで、nRM、nGM、nBMは、FOVの領域からの赤、緑、青の各成分の測定値であり、nRW、nGW、nBWは、白色画像を形成するために必要な赤、緑、青の各光の量である。
図1に示すコンピュータ12およびコントローラ20は、空間光変調器44の画像生成領域に対応するFOVの領域ごとに反転カラーマップ、反転R、反転G、反転B値を用いてプログラムされる。コントローラ20は、各光源セル30で生成される光の各成分R、G、Bの量を調整して、空間光変調器44の出力で反転カラーマップを再現することができる。そうしなければ、空間光変調器44は完全に白い画像を生成するように設定される。すなわち、空間光変調器44は白色画像を生成するように設定されているが、照明器42は、空間光変調器44によって生成された画像が反転カラーマップと一致するような光パターンを照明平面62で生成できるように、構成されている。他の画像が空間光変調器44によって生成されている間、同じ照明パターンを維持する。これにより、そうしなければ視者に提示されるバーチャル像を劣化させるであろう系統的なカラーグラデーションを、補償することができる。
【0049】
視者の目の積分間隔内で異なる色を順次処理する空間光変調器の場合、照明器42は、空間光変調器の順次動作(sequential operation)と同期して反転カラーマップを再現することができる。すなわち、一実施形態では
図7に示されるように、ステップ402で、反転カラーマップは、各色(例えば、R、G、およびB)について別々のマップに分割することができる。ステップ404では、セルアレイ26内の各セル30の異なる色光源32、34、36の相対光出力が、異なるカラーマップのそれぞれを生成するために別々に記録される。ステップ406では、各色について記録された出力がコントローラ20により順次に再生される。同様に、それぞれの異なる色(例えば、R、G、およびB)毎に別々の空間光変調器が使用される場合には、拡張光源10は、3つの異なる拡張光源に分割することができ、これら拡張光源の各々は、各セル内に単色の光源を有する。各拡張光源のコントローラは、空間光変調器の異なる1つを照らす各色のための個別のカラーマップを再生する。
【0050】
バーチャル像VI全体のカラーバランスは、照明平面62にわたる付加的色(additive color)(例えば、R、G、B)間の比率を制御することによって達成することができるが、バーチャル像VI全体の光強度も、拡張光源10の種々のセル30の出力を調整することにより制御することができる。例えば、画像強度がバーチャル像VIにわたりまたはバーチャル像VI内で望ましくない仕方で変化する場合、種々のセル30の放射エネルギー出力は、照明平面62で反転強度分配(inverse intensity distribution)を提供するようにコントローラ20によって調整され、これによりバーチャル像VI全体にわたって所望の強度バランスを提供する。逆に、バーチャル像がバーチャル像フィールドの所定の部分内(空間光変調器44のピクセルの部分集合またはクラスター内など)に制限される場合、上記ピクセルの部分集合に寄与しない光セル30を、消された状態(turned off)まで暗くし、これにより、表示のコントラストを高め、バーチャル像フィールドの未使用部分への不要な光の浸透を減らすことができる。一実施形態では、
図8に示されるように、反転光強度グラデーションマップは、ステップ502~506で説明されるように作成され、ステップ510でコンピュータメモリ12に格納される。ステップ512では、コントローラ20を介して、セル30の第1の集合内で波長帯域の1つの出力を低減し、セル30の第2の集合内で上記1つの波長帯域の出力を相対的に増大させることにより、バーチャル像VI全体の光強度を制御することができる。
【0051】
図5の斜視図は、3次元(3D)の拡張現実表示を提供するための眼鏡の形態をなすヘッドマウントディスプレイ(HMD)200を示しており、左眼ニアアイディスプレイ202lおよび右眼ニアアイディスプレイ202rを備えている。ニアアイディスプレイ2021、202rのそれぞれのプロジェクタ2041、204rは、それぞれカラー画像を提供する。このカラー画像は、ニアアイディスプレイ2021、202rを通して着用者206によって見られる実世界のシーンコンテンツ内のバーチャル像として現れる。生成される画像は、バーチャル対象の3D表示のための立体的な画像の対であり得るが、これに限定されない。
【0052】
拡張現実視覚化技術の当業者によく知られている構成要素を追加することができる。追加の構成要素には、シーンコンテンツを見るためまたは視者の視線追跡を見るためにHMDのフレームに取り付けられた1つまたは複数のカメラなどがある。可能な代替の構成は、片方の目に画像を提供するためのディスプレイを含む。HMD200は、前の図および付随する説明で記述したようなカラーグラデーション調整を含めることができる。このようにして、カラーグラデーション補正を右目と左目の両方に個別に適用して、色補正された3Dバーチャル像を生成できる。
【0053】
RGBの3色ディスプレイシステムは、本開示における例であり、バックライト及び/又はフロントライトプロジェクタシステム用の白色光を生成するために利用できる他のカラディスプレイ方式もあることを理解されたい。たとえば、4色スキームが存在し利用することができる。4色スキームでは、3色スキームに追加の光源として黄色の光が追加され、RGBYと指定されている。上記の開示内容は、プロジェクタシステムに実装され得るそのような4色(またはそれ以上)スキームに拡張される。
【0054】
本明細書に記載の実施形態の1つまたは複数の特徴を組み合わせて、図示されていない追加の実施形態を作成することができる。様々な実施形態を詳細に説明してきたが、それらは、限定ではなく例として提示されたことを理解されたい。開示された主題が、その範囲、精神、または本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態、変形、および修正で具体化され得ることは、当業者には明らかであろう。したがって、上記の実施形態は、すべての点で例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示され、その均等物の意味および範囲内にあるすべての変更は、その範囲に含まれることが意図されている。