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特許7190601複合機システム用のプログラム、機能拡張方法、及び複合機システム
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  • 特許-複合機システム用のプログラム、機能拡張方法、及び複合機システム 図1
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  • 特許-複合機システム用のプログラム、機能拡張方法、及び複合機システム 図4
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  • 特許-複合機システム用のプログラム、機能拡張方法、及び複合機システム 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-07
(45)【発行日】2022-12-15
(54)【発明の名称】複合機システム用のプログラム、機能拡張方法、及び複合機システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20221208BHJP
【FI】
H04N1/00 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022059455
(22)【出願日】2022-03-31
【審査請求日】2022-03-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508233032
【氏名又は名称】松本 敏男
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】松本 敏男
【審査官】野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-262754(JP,A)
【文献】特開2018-205847(JP,A)
【文献】特開2021-090182(JP,A)
【文献】特開2012-119825(JP,A)
【文献】特開2009-294822(JP,A)
【文献】特開2009-027381(JP,A)
【文献】特開2017-076857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙文書を光学的に読み取って画像文書データに変換する読取手段と、
画像文書データを外部機器に送信するための送信手段と、
更新可能な制御プログラムと、を備える複合機システムに対し、
スタータ画像を前記読取手段が読み取ることを契機として、前記複合機システムが、拡張機能に基づく特殊処理を行うための特殊処理状態に遷移する開始ステップと、
前記特殊処理状態において、所定の外部入力がなされるまで前記読取手段が一以上の紙文書を処理待機文書データとして読取可能な読取ステップと、
前記所定の外部入力を契機として、前記複合機システムが前記読取ステップで読み取った一以上の紙文書に対応する前記処理待機文書データに対し前記特殊処理を行う処理ステップと、
前記所定の外部入力に基づく前記特殊処理の後、前記特殊処理状態を終了する終了ステップと、を実行させるプログラム。
【請求項2】
前記所定の外部入力は、クローザ画像を前記読取手段が読み取ることである、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記開始ステップは、前記複合機システムを、前記スタータ画像の種類に基づいて、該スタータ画像に対応する前記特殊処理状態に遷移させることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記特殊処理には、前記複合機システムとデータ的に接続されているストレージ内の所定のフォルダに前記処理待機文書データを格納する、格納処理を含むことを特徴とする、請求項1~3の何れかに記載のプログラム。
【請求項5】
紙文書を光学的に読み取って画像文書データに変換する読取手段と、
画像文書データを外部機器に送信するための送信手段と、
更新可能な制御プログラムと、を備える複合機システムに対して拡張機能を追加するための機能拡張方法であって、
前記拡張機能の追加に対応する更新を前記制御プログラムに対して行う、更新ステップと、
スタータ画像を前記読取手段に読み取らせることを契機として、前記複合機システムを前記拡張機能に基づく特殊処理を行うための特殊処理状態に遷移させる開始ステップと、
前記特殊処理状態において、所定の外部入力をするまでに前記読取手段に一以上の紙文書を処理待機文書データとして読取らせる読取ステップと、
前記所定の外部入力を契機として、前記複合機システムに、前記読取ステップで読み取らせた一以上の紙文書に対応する前記処理待機文書データに対する前記特殊処理を行わせる処理ステップと、
前記複合機システムに、前記所定の外部入力に基づく前記特殊処理の後、前記特殊処理状態を終了させる終了ステップと、を含むことを特徴とする、機能拡張方法。
【請求項6】
前記更新ステップは、前記制御プログラムの更新を遠隔操作で行うことを特徴とする、請求項5に記載の機能拡張方法。
【請求項7】
紙文書を光学的に読み取って画像文書データに変換する読取手段と、
画像文書データを外部機器に送信するための送信手段と、
更新可能な制御プログラムと、を備える複合機システムであって、
スタータ画像を前記読取手段が読み取ることを契機として、拡張機能に基づく特殊処理を行うための特殊処理状態に遷移する開始ステップと、
前記特殊処理状態において、所定の外部入力がなされるまで前記読取手段が一以上の紙文書を処理待機文書データとして読取可能な読取ステップと、
前記所定の外部入力を契機として、前記読取ステップで読み取った一以上の紙文書に対応する前記処理待機文書データに対し前記特殊処理を行う処理ステップと、
前記所定の外部入力に基づく前記特殊処理の後、前記特殊処理状態を終了する終了ステップと、を実行可能に構成されている、複合機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合機システムに適用されるプログラム及び機能拡張方法と、複合機システム自体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スキャナ、FAX、プリンタ等や、これらを複合したMFP(Multifunction Peripheral)と呼ばれる複合機システムは、オフィスにおける必需品である。
【0003】
こうした複合機システムについて新たな機能を追加したいという需要は常にあるものの、既存の制御パネルを物理的に変更するのは手間も費用もかかるため、この課題を解決するための種々の機能拡張方法が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、複数の機能を有する複合機能端末装置において,標準的に装着する標準操作表示手段と機能拡張時に装着する拡張操作表示手段とを連動可能に制御する制御手段を具備することを特徴とする複合機能端末装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、ネットワークメニューをパネルに表示し、複合機のパネルで機能を選択すると、選択した機能が複合機に実装されている場合は複合機で実行し、ネットワークメニューサーバに実装されている場合はネットワークメニューサーバと複合機の連携で機能実行する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平6-253084号公報
【文献】特開2005-198113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の発明は、機能拡張が必要な場合には拡張操作表示手段を物理的に装着する必要があるため、やはり手間がかかる。
【0008】
また、特許文献2に記載の発明は、その特性上、サーバと頻繁に通信をする必要があるため、回線状態によっては、ユーザ操作を含めた全体的な作業速度が遅くなる、又は、回線がつながらず作業が全くできないといった事態が想定される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記のような問題に鑑みてなされたものであり、機器の物理的な構成に変更を加えることなく、既存の複合機システムに拡張機能を実行させることができる利便性の高いプログラムを提供することを課題とする。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、
紙文書を光学的に読み取って画像文書データに変換する読取手段と、
画像文書データを外部機器に送信するための送信手段と、
更新可能な制御プログラムと、を備える複合機システムに対し、
スタータ画像を前記読取手段が読み取ることを契機として、前記複合機システムが、拡張機能に基づく特殊処理を行うための特殊処理状態に遷移する開始ステップと、
前記複合機システムが前記特殊処理状態である間に、前記読取手段が読み取った一以上の紙文書に対応する各画像文書データを処理待機文書データとして、前記複合機システムが、前記処理待機文書データに対し前記特殊処理を行う処理ステップと、
前記複合機システムが、外部からの入力に基づいて前記特殊処理状態を終了する終了ステップと、を実行させる。
【0011】
本発明によれば、制御プログラムの更新によって追加された拡張機能を、読取手段がスタータ画像を読み取ることを契機に、複合機システムに実行させることができるため、機器の物理的な構成に変更を加えることなく、既存の複合機システムに拡張機能を実行させることができる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記終了ステップは、クローザ画像を前記読取手段が読み取ることを契機として、前記複合機システムに、前記特殊処理状態を終了させることを特徴とする。
【0013】
このような構成とすることで、使用者は、制御パネル上に停止ボタンやこれに類するボタンが存在しない複合機システムにも、スタータ画像とクローザ画像の読取を契機として、拡張機能の呼出と終了を実行させることができる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記開始ステップは、前記複合機システムを、前記スタータ画像の種類に基づいて、該スタータ画像に対応する前記特殊処理状態に遷移させることを特徴とする。
【0015】
このような構成とすることで、使用者は、スタータ画像の種類を変えることにより、複合機システムが処理待機文書データに対して行う特殊処理の種類を、簡単に選択、変更することができる。
【0016】
前記特殊処理には、複合機システムとデータ的に接続されているストレージ内の所定のフォルダに前記処理待機文書データを格納する、格納処理を含むことを特徴とする。
【0017】
このような構成とすることで、使用者は、大量の紙文書を電子化する場合でも、電子化後の大量の画像文書データを所定のフォルダに整理して格納することができる。
【0018】
また、本発明は、
紙文書を光学的に読み取って画像文書データに変換する読取手段と、
画像文書データを外部機器に送信するための送信手段と、
更新可能な制御プログラムと、を備える複合機システムに対して拡張機能を追加するための機能拡張方法であって、
前記拡張機能の追加に対応する更新を前記制御プログラムに対して行う、更新ステップと、
スタータ画像を前記読取手段に読み取らせることを契機として、前記複合機システムを前記拡張機能に基づく特殊処理を行うための特殊処理状態に遷移させる開始ステップと、
前記複合機システムが前記特殊処理状態である間に、前記読取手段が読み取った一以上の紙文書に対応する各画像文書データを処理待機文書データとして、前記複合機システムに、前記処理待機文書データに対する前記特殊処理を行わせる処理ステップと、
前記複合機システムに、前記特殊処理状態を終了させる終了ステップと、を含むことを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、拡張機能の追加に対応する制御プログラムの更新により、既存の複合機システムに拡張機能を実装し、読取手段にスタータ画像を読み取らせることを契機に、既存の複合機システムに拡張機能を実行させることができるため、使用者は、機器の物理的な構成に変更を加えることなく既存の複合機システムに拡張機能を実行させることができる。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記更新ステップは、前記制御プログラムの更新を遠隔操作で行うことを特徴とする。
【0021】
このような構成とすることで、複合機システムの販売業者等が遠隔保守機能等を用いて既存の機器のプログラム更新を行うことができるため、複合機システムのユーザは特別な操作を行うことなく、既存の複合機システムの拡張機能を利用することが可能になる。
【0022】
また、本発明は、
紙文書を光学的に読み取って画像文書データに変換する読取手段と、
画像文書データを外部機器に送信するための送信手段と、
更新可能な制御プログラムと、を備える複合機システムであって、
スタータ画像を前記読取手段が読み取ることを契機として、拡張機能に基づく特殊処理を行うための特殊処理状態に遷移する開始ステップと、
前記特殊処理状態である間に前記読取手段が読み取った一以上の紙文書に対応する各画像文書データを処理待機文書データとして、前記処理待機文書データに対し前記特殊処理を行う処理ステップと、
外部からの入力を契機として前記特殊処理状態を終了する終了ステップと、を実行可能に構成されている。
【0023】
本発明によれば、拡張機能の追加に対応する制御プログラムの更新により、既存の複合機システムに拡張機能を実装し、読取手段にスタータ画像を読み取らせることを契機に、既存の複合機システムに拡張機能を実行させることができるため、使用者は、機器の物理的な構成に変更を加えることなく、複合機システムに拡張機能を実行させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、機器の物理的な構成に変更を加えることなく、既存の複合機システムに拡張機能を実行させることができる利便性の高いプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態における複合機システムの機能ブロック図である。
図2】本発明の実施形態における更新ステップ、開始ステップ、処理ステップ、終了ステップの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図3】本発明の実施形態における開始ステップ、処理ステップ、終了ステップの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態における開始ステップ、処理ステップ、終了ステップの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態における開始ステップ、処理ステップ、終了ステップの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態における複合機システムの使用態様を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図1図6を用いて、本発明の実施形態におけるプログラム、機能拡張方法、及び複合機システムについて説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではなく、様々な構成を採用することもできる。
【0027】
例えば、本実施形態では複合機システム用のプログラム、機能拡張方法、及び複合機システムの構成、動作等について説明するが、同様の構成の装置等も、同様の作用効果を奏することができる。また、プログラムは、記録媒体に記憶させてもよい。この記録媒体を用いれば、例えば複合機システムに、又は、複合機と協働するコンピュータに、プログラムをインストールすることができる。ここで、プログラムを記憶した記録媒体は、例えばCD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0028】
本明細書中において、「複合機システム」は、紙文書の読取、画像文書データの送受信、自身の動作制御、各種情報処理等が可能な複合機単体や、この複合機と協働するコンピュータ装置を含むシステム全体として理解される。
【0029】
本明細書中において、「特殊処理」は、複合機システムに追加された拡張機能に基づいて実行される特殊な処理のことを指し、「特殊処理状態」は、上記特殊処理の対象としたい紙文書の読取を受け付け、該紙文書に対応する画像文書データを、処理待機文書データとして単に記憶する状態、又は記憶した画像文書データに特殊処理を順次実行する状態として理解される。
【0030】
本明細書中において、「処理待機文書データ」は、複合機システムが特殊処理状態である間に、読取手段が読み取った一枚以上の紙文書に対応する各画像文書データであって、かつ、該画像文書データに行われる特殊処理を指定する情報を含むデータとして理解される。
【0031】
本明細書中において、「スタータ画像」は、読取手段がこれを読み取ることを契機として、複合機システムが、拡張機能に基づく特殊処理を行うための特殊処理状態に遷移するための画像として理解される。
また、本明細書中において、「スタータ用紙」は、「スタータ画像」を提示している用紙又は紙文書のことを指す。
【0032】
本明細書中において、「クローザ画像」は、読取手段がこれを読み取ることを契機として、複合機システムが特殊処理状態を終了するための画像として理解される。
また、本明細書中において、「クローザ用紙」は、「クローザ画像」を提示している用紙又は紙文書のことを指す。
【0033】
図1は、本実施形態における複合機システムの機能ブロック図である。ここに示すように、本実施形態における複合機システムMSは、読取手段1と、送信手段2と、制御手段3と、処理手段4と、記憶手段5と、制御プログラムp1と、を備える。
【0034】
読取手段1は、紙文書を光学的に読み取って画像文書データに変換可能に構成されている。
【0035】
送信手段2は、画像文書データを外部機器に送信可能に構成されている。
【0036】
制御手段3は、複合機システムMS全体の挙動を制御可能に構成されている。
【0037】
処理手段4は、複合機システムMSで行われる各種の情報処理を実行可能に構成されている。
【0038】
記憶手段5は、読取手段1が読み取った紙文書に対応する各画像文書データや、その他のデータを記憶可能に構成されている。
【0039】
なお、制御手段3と、処理手段4と、記憶手段5と、については、複合機に設けられているものは当然のこと、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等の演算装置、RAM(Random Access Memory)等の主記憶装置、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の補助記憶装置、ネットワークNWへの接続手段を含む種々の入出力装置等を備えた、一般的なコンピュータ装置又はその一部を利用することもできる。
【0040】
制御プログラムp1は、複合機の基本機能を実行するための基本機能実行プログラムp11を有しており、プログラムの更新によって、スタータ画像認識プログラムp12、特殊処理状態開始プログラムp13、第一特殊処理実行プログラムp14a、第二特殊処理実行プログラムp14b、第三特殊処理実行プログラムp14c…、クローザ画像認識プログラムp15、特殊処理状態終了プログラムp16等を追加可能に構成されている。なお、更新によって追加可能なプログラムの枠線を点線で示しているが、ここに記載されていない種類のプログラムも当然追加可能又は有していてもよい。
【0041】
スタータ画像認識プログラムp12は、読取手段1が光学的に読み取ったスタータ画像を複合機システムMSに認識させるためのプログラムである。
【0042】
特殊処理状態開始プログラムp13は、スタータ画像の読取を契機として、制御手段3が、複合機システムMSが認識したスタータ画像に対応する特殊処理状態に、複合機システムMSを遷移させるためのプログラムである。
【0043】
第一特殊処理実行プログラムp14a、第二特殊処理実行プログラムp14b、第三特殊処理実行プログラムp14c…、は、異なるスタータ画像に対応する各特殊処理を処理手段4に実行させるためのプログラムである。
なお、第一特殊処理実行プログラムp14a、第二特殊処理実行プログラムp14b、第三特殊処理実行プログラムp14c…、は、複合機システムMSに追加される拡張機能の種類に応じて、その種類と数が増減する。
【0044】
クローザ画像認識プログラムp15は、読取手段1が光学的に読み取ったクローザ画像を複合機システムMSに認識させるためのプログラムである。
【0045】
特殊処理状態終了プログラムp16は、クローザ画像の読取を契機として、制御手段3が、複合機システムMSの特殊処理状態を終了させるためのプログラムである。
なお、クローザ画像の読取の代わりに、複合機システムMSに設けられた停止ボタン等の押下を契機として、制御手段3が、複合機システムMSの特殊処理状態を終了させる構成も想定される。
【0046】
なお、上記したプログラムは、その作用効果が失われない範囲で統合、分割、変更されてもよい。
例えば、第一特殊処理実行プログラムp14a、第二特殊処理実行プログラムp14b、第三特殊処理実行プログラムp14c…、は読み取ったスタータ画像に関する条件分岐を含む一つのプログラムとしても実現できる。
【0047】
図2は、本発明の、複合機システム用の機能拡張方法の実施形態における、更新ステップ、開始ステップ、処理ステップ、終了ステップの処理の一例を示すフローチャートである。
【0048】
図2(A)に示すように、本発明の機能拡張方法は、更新ステップsa1、開始ステップsa2、処理ステップsa3、終了ステップsa4の4ステップに分けられる。また、開始ステップsa2、処理ステップsa3、終了ステップsa4の処理の流れは、本発明の複合機システム用プログラムにも流用されうる。
以下、図2(B)を用いて、各ステップの詳細を説明する。
【0049】
更新ステップsa1では、複合機システムMSの制御プログラムp1の更新をステップsa11で行うことで、スタータ画像認識プログラムp12、特殊処理状態開始プログラムp13、第一特殊処理実行プログラムp14a、第二特殊処理実行プログラムp14b、第三特殊処理実行プログラムp14c…、クローザ画像認識プログラムp15、特殊処理状態終了プログラムp16等を、制御プログラムp1に追加する。
本実施形態において、制御プログラムp1の更新は遠隔保守機能を用いて行われる。
【0050】
開始ステップsa2では、ステップsa21及びステップsa22を行う。
【0051】
ステップsa21では、読取手段1にスタータ画像を読み取らせることで、スタータ画像認識プログラムp12に基づいて、スタータ画像を複合機システムMSに認識させる。
本実施形態では、スタータ画像を含むスタータ用紙を読取手段1に読み取らせることでステップsa21としている。
【0052】
ステップsa22では、ステップsa21で複合機システムMSが読み取ったスタータ画像と、特殊処理状態開始プログラムp13に基づいて、制御手段3が複合機システムMSを該スタータ画像に対応する特殊処理状態に遷移させる。
【0053】
処理ステップsa3では、ステップsa31及びステップsa32を行う。
【0054】
ステップsa31では、特殊処理の対象としたい一以上の紙文書を、読取手段1に読み取らせることで、該紙文書に対応する画像文書データを処理待機文書データとして記憶手段5に一時的に記憶させる。
【0055】
ステップsa32では、ステップsa31で記憶手段5に一時的に記憶されていた一以上の処理待機文書データに対し、第一特殊処理実行プログラムp14a等に基づいて、処理手段4が特殊処理を順次実行する。
なお、このとき実行されるプログラムは、ステップsa21で読取手段1が読み取ったスタータ画像に対応して、第一特殊処理実行プログラムp14a、第二特殊処理実行プログラムp14b、第三特殊処理実行プログラムp14c、又はその他の特殊処理実行プログラムが適宜選択される。
【0056】
終了ステップsa4では、ステップsa41及びステップsa42を行う。
【0057】
ステップsa41では、読取手段1にクローザ画像を読み取らせることで、クローザ画像認識プログラムp15に基づいて、クローザ画像を複合機システムMSに認識させる。
本実施形態では、クローザ画像を含むクローザ用紙を読取手段1に読み取らせることで、ステップsa41としているが、複合機に予め設けられている停止ボタン等を押すことを、ステップsa41の代わりとすることも想定される。
【0058】
ステップsa42では、ステップsa41で読取手段1が読み取ったクローザ画像と、特殊処理状態終了プログラムp16に基づいて、制御手段3が複合機システムMSの特殊処理状態を終了させる。
【0059】
なお、上記した各ステップは、その作用効果が失われない範囲で、処理順序を変更したり、複数回の処理を行ったりすることも可能である。
【0060】
例えば、図3(B)には、複合機システム用のプログラム、機能拡張方法の実施形態における開始ステップ、処理ステップ、終了ステップの処理フローの別の例を示した。
なお、図2(B)で示したものとほぼ同一の処理を行うステップsb11、sb12、sb21、sb31、sb33については説明を省略する。
【0061】
図3(B)に示す処理は、クローザ画像の読取を契機として、一以上の処理待機文書データに対する特殊処理がまとめて実行される点で、図2(B)に示した処理とは流れが異なる。
【0062】
具体的に、ステップsb32では、ステップsb31のクローザ画像の読取を契機として、ステップsb21で記憶手段5に一時的に記憶されていた一以上の処理待機文書データに対し、第一特殊処理実行プログラムp14a等に基づいて、処理手段4が特殊処理を順次実行する。
なお、このとき実行されるプログラムは、ステップsb21で読取手段1が読み取ったスタータ画像に対応して、第一特殊処理実行プログラムp14a、第二特殊処理実行プログラムp14b、第三特殊処理実行プログラムp14c、又はその他の特殊処理実行プログラムが適宜選択される。
【0063】
また、図4(B)には複合機システム用のプログラム、機能拡張方法の実施形態における開始ステップ、処理ステップ、終了ステップの処理フローの別の例を示した。
なお、図2(B)や図3(B)で示したものとほぼ同一の処理を行うステップsc11、sc12については説明を省略する。
【0064】
図4(B)に示す処理は、処理ステップにおいて、複合機システムMSが複数の特殊処理状態に遷移するという点で、図2(B)や図3(B)に示した処理とは流れが異なる。
【0065】
具体的に、ステップsc21では、複合機システムMSが第一特殊処理状態である間に、第一特殊処理の対象としたい一以上の紙文書を、読取手段1に読み取らせることで、該紙文書に対応する画像文書データを第一処理待機文書データとして記憶手段5に一時的に記憶させる。
【0066】
また、ステップsc22では、複合機システムMSが第一特殊処理状態である間に、読取手段1に第二スタータ画像を読み取らせることで、スタータ画像認識プログラムp12に基づいて、第二スタータ画像を複合機システムMSに認識させる。
【0067】
また、ステップsc23では、第二スタータ画像の読取を契機として、ステップsc21で記憶手段5に一時的に記憶されていた一以上の第一処理待機文書データに対し、第一特殊処理実行プログラムp14a等に基づいて、処理手段4が第一特殊処理を順次実行する。
【0068】
また、ステップsc24では、ステップsc22で複合機システムMSが認識した第二スタータ画像と、特殊処理状態開始プログラムp13に基づいて、制御手段3が複合機システムMSを第一特殊処理状態から第二特殊処理状態に直接遷移させる。
即ち、ここで第二スタータ画像は、第一特殊処理状態を終了させるクローザ画像としての役割と、第二特殊処理状態を開始させるスタータ画像としての役割の、2つの働きをする。
【0069】
また、ステップsc25では、複合機システムMSが第二特殊処理状態である間に、第二特殊処理の対象としたい一以上の紙文書を、読取手段1に読み取らせることで、該紙文書に対応する画像文書データを第二処理待機文書データとして記憶手段5に一時的に記憶させる。
【0070】
また、ステップsc31では、読取手段1にクローザ画像を読み取らせることで、クローザ画像認識プログラムp15に基づいて、クローザ画像を複合機システムMSに認識させる。
【0071】
また、ステップsc32では、クローザ画像の読取を契機として、ステップsc25で記憶手段5に一時的に記憶されていた一以上の第二処理待機文書データに対し、第二特殊処理実行プログラムp14b等に基づいて、処理手段4が第二特殊処理を順次実行する。
【0072】
ステップsc33では、ステップsc31で読取手段1が読み取ったクローザ画像と、特殊処理状態終了プログラムp16に基づいて、制御手段3が複合機システムMSの特殊処理状態を終了させる。
【0073】
また、図5(B)には複合機システム用のプログラム、機能拡張方法の実施形態における開始ステップ、処理ステップ、終了ステップの処理フローの別の例を示した。
なお、図4(B)で示したものとほぼ同一の処理を行うステップsd11、sd12、sd21、sd22、sd23、sd24、sd31、sd33については説明を省略する。
【0074】
図5(B)に示す処理は、クローザ画像の読取を契機として、一以上の処理待機文書データに対する第一特殊処理及び第二特殊処理がまとめて実行される点で、図4(B)に示した処理とは流れが異なる。
【0075】
具体的に、ステップsd32では、クローザ画像の読取を契機として、ステップsd21で記憶手段5に一時的に記憶されていた一以上の第一処理待機文書データと、ステップsd24で記憶手段5に一時的に記憶されていた一以上の第二処理待機文書データと、のそれぞれに対し、第一特殊処理実行プログラムp14a、第二特殊処理実行プログラムp14b等に基づいて、処理手段4が対応する各特殊処理を順次実行する。
各処理待機文書データは、ステップsd21やステップsd24で、該画像文書データに行われる特殊処理を指定する情報が予め紐づけられているため、このような処理が可能となる。
【0076】
なお、実行可能な範囲で、図4(B)、図5(B)に示した処理の流れをもとに、第三特殊処理や第四特殊処理、又はその他の特殊処理の種類を追加したり変更したりすることも可能である。
【0077】
図6は、本発明の実施形態における複合機システムの使用態様を示す概念図である。
【0078】
具体的に、図6は、スタータ画像siを提示するスタータ用紙spと、複数の紙文書pda、pdb、pdc…と、クローザ画像ciを提示するクローザ用紙cpと、を順に複合機システムMSに読み取らせることで、複合機システムMSが、複合機システムMSとデータ的に接続されているストレージST内の所定のフォルダfa、fb、fc…に、複数の紙文書pda、pdb、pdc…に対応する画像文書データda、db、dc…を格納処理する様子を表している。
なお、ストレージSTは、複合機システムMSとデータの送受信が可能なクラウド等におけるデータ保存場所を指す。
また、図6では、紙文書のまとまりを点線枠で示しており、pdaは5枚の用紙からなる紙文書、pdbは3枚の用紙からなる紙文書、pdcは1枚の用紙からなる紙文書、をそれぞれ表している。
【0079】
図6において、スタータ画像siと、クローザ画像ciは、STARTのSと、ENDのEと、でそれぞれ表されているが、光学的読み取りが可能な画像であればこれらはどんな画像であってもよい。例えば、バーコードや2次元コード、その他の識別コードが好適に用いられる。
また、最初と最後に読み取らせる紙文書の余白等にスタータ画像siと、クローザ画像ciと、がそれぞれ付され、これらが付された紙文書を、それぞれスタータ用紙spと、クローザ用紙cpと、として扱う態様であってもよい。
【0080】
また、図6に示すように、本実施形態では、紙文書の表紙中の余白に格納先を指定するコードcdが付され、読み取られたコード(A、B、C…)に応じてストレージST内の対応するフォルダfa、fb、fc…のそれぞれに、各紙文書pda、pdb、pdc…が変換された画像文書データda、db、dc…が格納される。
なお、図6において、コードcdはA、B、C、のように表記されているが、光学的読み取りが可能な画像であればこれらはどんな画像であってもよい。例えば、バーコードや2次元コード、その他の識別コードが好適に用いられる。
また、各紙文書pda、pdb、pdc…が変換された画像文書データda、db、dc…の格納先は、コードcdの代わりに、スタータ画像siの種類に応じて指定されてもよい。
【0081】
また、複合機システムMSが行う特殊処理は、上記した格納処理以外にも様々な処理が想定される。
【0082】
例えば、スタータ用紙spと、クローザ用紙cpと、の間に読み込まれた複数の紙文書に対応する画像文書データをまとめて一つの画像文書データとして所定のフォルダに格納する「結合処理」が想定される。
【0083】
また、スタータ用紙spと、クローザ用紙cpと、の間に読み込まれた複数の紙文書に対応する画像文書データを、ストレージST内の一部/全部のフォルダにおいて各画像の一致度に基づいて検索し、発見されたファイルを、複合機又は複合機システムMSと協働するコンピュータ装置上で一覧表示する「検索処理」が想定される。
【0084】
また、スタータ用紙spと、クローザ用紙cpと、の間に読み込まれた複数の紙文書に対応する画像文書データを、ストレージST内の一部/全部のフォルダにおいて各画像の一致度に基づいて検索し、発見されたファイルをストレージST内の所定の別のフォルダにまとめて移動する「移動処理」が想定される。
【0085】
また、スタータ用紙spと、クローザ用紙cpと、の間に読み込まれた複数の紙文書に対応する画像文書データを、ストレージST内の一部/全部のフォルダにおいて各画像の一致度に基づいて検索し、発見されたファイルをまとめて削除する「削除処理」が想定される。
【0086】
複合機システムMSが、このような各種の特殊処理を実装・実行可能であることで、使用者は、アナログ操作とデジタル操作の垣根なく、自在に画像文書データを扱うことが可能となる。
【0087】
本発明のプログラムによれば、スタータ画像siを読取手段1が読み取ることを契機として、複合機システムMSが特殊処理状態に遷移する開始ステップと、複合機システムMSが特殊処理状態である間に読み取った紙文書を処理待機文書データとして特殊処理を行う処理ステップと、入力に基づいて特殊処理状態を終了する終了ステップと、を複合機システムMSに実行させることで、制御プログラムの更新によって追加された拡張機能を、読取手段がスタータ画像を読み取ることを契機に、複合機システムMSに実行させることができるため、機器の物理的な構成に変更を加えることなく、既存の複合機システムMSに拡張機能を実行させることができる。
【0088】
なお、上述の実施形態において示した各構成の仕様や機能は、あくまでも一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0089】
MS 複合機システム
1 読取手段
2 送信手段
3 制御手段
4 処理手段
5 記憶手段
sp スタータ用紙
si スタータ画像
cp クローザ用紙
ci クローザ画像

【要約】
【課題】機器の物理的な構成に変更を加えることなく、既存の複合機システムに拡張機能を実行させることができる利便性の高いプログラムを提供する。
【解決手段】紙文書を光学的に読み取って画像文書データに変換する読取手段1と、画像文書データを外部機器に送信するための送信手段2と、更新可能な制御プログラムp1と、を備える複合機システムMSに対し、スタータ画像siを読取手段1が読み取ることを契機として、複合機システムMSが、拡張機能に基づく特殊処理を行うための特殊処理状態に遷移する開始ステップと、複合機システムMSが特殊処理状態である間に読み取った一枚以上の紙文書に対応する各画像文書データを処理待機文書データとして、複合機システムMSが、処理待機文書データに対し特殊処理を行う処理ステップと、複合機システムMSが、外部からの入力に基づいて特殊処理状態を終了する終了ステップと、を実行させる。
【選択図】図6

図1
図2
図3
図4
図5
図6