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特許7190626計測手段割り当て装置および計測手段割り当て方法並びにリソース配分決定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】計測手段割り当て装置および計測手段割り当て方法並びにリソース配分決定方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/00 20060101AFI20221209BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
G05B19/418 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018067328
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019179808
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】江口 亮司
(72)【発明者】
【氏名】泉田 圭三
(72)【発明者】
【氏名】横井 敬明
(72)【発明者】
【氏名】山崎 琢也
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/186861(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/203571(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 - 13/08
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を供給する部品供給装置と部品の電気特性を計測する計測手段の使用可能数を含むリソース情報と、前記計測手段の計測範囲を含む計測手段情報と、前記部品の電気特性の規格を含む部品情報と、基板に部品を実装するための生産データ情報と、を記憶する記憶部と、
前記生産データ情報と前記部品情報から、前記部品の電気特性の規格に基づいて、前記部品をグループ化した部品グループを作成する部品グループ作成部と、
前記リソース情報と前記計測手段情報に基づいて、作成された前記部品グループを前記計測手段に割り当てる計測手段割り当て部と、
前記部品グループを前記計測手段に割り当てられない場合に作業者に報知する報知部を備える、計測手段割り当て装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記部品供給装置と、前記計測手段と、前記部品供給装置から部品を取出して前記計測手段および基板に移送する実装ヘッドと、を備える設備において、前記実装ヘッドが部品を取り出すことができる前記部品供給装置の最大数を含む設備情報を、さらに記憶し、
前記計測手段に割り当てられた前記部品グループの部品の合計数が前記最大数より多い場合、
前記合計数が前記最大数以下になるように、
前記部品グループ作成部が前記部品グループを変更する、または、前記計測手段割り当て部が前記部品グループの前記計測手段への割り当てを変更する、あるいはその両方を実行する、請求項に記載の計測手段割り当て装置。
【請求項3】
前記計測手段には、少なくとも前記設備内部に計測端子が配置される形態または前記部品供給装置と並設して配置される形態が含まれる、請求項1または2に記載の計測手段割り当て装置。
【請求項4】
前記計測手段の配置位置に基づいて、前記最大数が変更される、請求項からのいずれかに記載の計測手段割り当て装置。
【請求項5】
部品を供給する部品供給装置と部品の電気特性を計測する計測手段の使用可能数を含むリソース情報と、前記計測手段の計測範囲を含む計測手段情報と、前記部品の電気特性の規格を含む部品情報と、基板に部品を実装するための生産データ情報と、を取得し、
前記生産データ情報と前記部品情報から、前記部品の電気特性の規格に基づいて、前記部品をグループ化した部品グループを作成し、
前記リソース情報と前記計測手段情報に基づいて、作成された前記部品グループを前記計測手段に割り当て、
前記部品グループを前記計測手段が割り当てられない場合に作業者に報知する、計測手段割り当て方法。
【請求項6】
前記部品供給装置と、前記計測手段と、前記部品供給装置から部品を取出して前記計測手段および基板に移送する実装ヘッドと、を備える設備において、前記実装ヘッドが部品を取り出すことができる前記部品供給装置の最大数を含む設備情報を、さらに取得し、
前記計測手段に割り当てられた前記部品グループの部品の合計数が前記最大数より多い場合、
前記合計数が前記最大数以下になるように、前記部品グループを変更する、または、前記部品グループの前記計測手段への割り当てを変更する、あるいはその両方を実行する、請求項に記載の計測手段割り当て方法。
【請求項7】
前記計測手段には、少なくとも前記設備内部に計測端子が配置される形態または前記部品供給装置と並設して配置される形態が含まれる、請求項またはに記載の計測手段割り当て方法。
【請求項8】
前記計測手段の配置位置に基づいて、前記最大数が変更される、請求項からのいずれかに記載の計測手段割り当て方法。
【請求項9】
部品を供給する部品供給装置と部品の電気特性を計測する計測手段の使用可能数を含むリソース情報と、前記計測手段の計測範囲を含む計測手段情報と、前記部品の電気特性の規格を含む部品情報と、基板に部品を実装するための生産データ情報と、前記部品供給装置と前記計測手段を備える設備の構成を含む設備情報と、を取得し、
前記生産データ情報と前記部品情報から、前記部品の電気特性の規格に基づいて、前記部品をグループ化した部品グループを作成し、
前記リソース情報と前記計測手段情報に基づいて、作成された前記部品グループを前記計測手段に割り当て、
前記設備情報、前記計測手段情報、前記部品情報に基づいて、前記設備における前記部品供給装置の配置を決定し、
前記部品グループを前記計測手段に割り当てられない場合に作業者に報知する、リソース配分決定方法。
【請求項10】
前記設備は、前記部品供給装置から部品を取出して前記計測手段および基板に移送する実装ヘッドを備え、
前記実装ヘッドの移動範囲に基づいて、前記部品供給装置の配置を決定する、請求項9に記載のリソース配分決定方法。
【請求項11】
前記計測手段には、少なくとも前記設備内部に計測端子が配置される形態または前記部品供給装置と並設して配置される形態が含まれる、請求項9または10に記載のリソース配分決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を供給する複数の部品供給装置と部品の電気特性を計測する計測手段を備える設備におけるリソースの配分を決定する計測手段割り当て装置および計測手段割り当て方法並びにリソース配分決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
部品を基板に実装する部品実装装置として、部品の誤実装防止、部品の電気特性のトレーサビリティ管理、電気特性が最適な部品の選択等を目的として、基板に実装する前に部品のインダクタンス、静電容量、または抵抗等の電気特性を測定する測定ユニット(計測手段)を備えているものが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の部品実装装置は、部品を供給する複数の部品供給装置を並べて配置するフィーダパレットに装着可能な測定ユニット、または、機台上に装着可能な測定ユニットを備えている。
【0003】
また、特許文献1には、測定ユニットによる電気特性の測定所要時間を考慮して、実装サイクルタイムが最適となるように部品供給装置と測定ユニットの配置(リソースの配分)を決定する最適化手段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2013/186861号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1を含む従来技術では、部品供給装置の配置(部品配置)や測定ユニットの配置(計測手段の割り当て)を決定するにあたり、実装サイクルタイムの他に測定ユニットの計測範囲などを考慮する必要があり、これらを考慮した最適な配置を決定するためにはさらなる改善の余地があるという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、部品を供給する複数の部品供給装置と部品の電気特性を計測する計測手段を備える設備にリソースを適正に配分することができる計測手段割り当て装置および計測手段割り当て方法並びにリソース配分決定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の計測手段割り当て装置は、部品を供給する部品供給装置と部品の電気特性を計測する計測手段の使用可能数を含むリソース情報と、前記計測手段の計測範囲を含む計測手段情報と、前記部品の電気特性の規格を含む部品情報と、基板に部品を実装するための生産データ情報と、を記憶する記憶部と、前記生産データ情報と前記部品情報から、前記部品の電気特性の規格に基づいて、前記部品をグループ化した部品グループを作成する部品グループ作成部と、前記リソース情報と前記計測手段情報に基づいて、作成された前記部品グループを前記計測手段に割り当てる計測手段割り当て部と、前記部品グループを前記計測手段に割り当てられない場合に作業者に報知する報知部を備える。
【0010】
本発明の計測手段割り当て方法は、部品を供給する部品供給装置と部品の電気特性を計測する計測手段の使用可能数を含むリソース情報と、前記計測手段の計測範囲を含む計測手段情報と、前記部品の電気特性の規格を含む部品情報と、基板に部品を実装するための生産データ情報と、を取得し、前記生産データ情報と前記部品情報から、前記部品の電気特性の規格に基づいて、前記部品をグループ化した部品グループを作成し、前記リソース情報と前記計測手段情報に基づいて、作成された前記部品グループを前記計測手段に割り当て、前記部品グループを前記計測手段が割り当てられない場合に作業者に報知する
また、本発明のリソース配分決定方法は、部品を供給する部品供給装置と部品の電気特性を計測する計測手段の使用可能数を含むリソース情報と、前記計測手段の計測範囲を含む計測手段情報と、前記部品の電気特性の規格を含む部品情報と、基板に部品を実装するための生産データ情報と、前記部品供給装置と前記計測手段を備える設備の構成を含む設備情報と、を取得し、前記生産データ情報と前記部品情報から、前記部品の電気特性の規格に基づいて、前記部品をグループ化した部品グループを作成し、前記リソース情報と前記計測手段情報に基づいて、作成された前記部品グループを前記計測手段に割り当て、前記設備情報、前記計測手段情報、前記部品情報に基づいて、前記設備における前記部品供給装置の配置を決定し、前記部品グループを前記計測手段に割り当てられない場合に作業者に報知する
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、部品を供給する複数の部品供給装置と部品の電気特性を計測する計測手段を備える設備にリソースを適正に配分することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態の部品実装システムの構成説明図
図2】本発明の一実施の形態の部品実装装置の構成を示す平面図
図3】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備える実装ヘッドの移動範囲の説明図
図4】本発明の一実施の形態の部品実装システムの処理系の構成を示すブロック図
図5】本発明の一実施の形態の部品実装システムで使用される部品情報の説明図
図6】本発明の一実施の形態の部品実装システムで使用される設備情報の説明図
図7】(a)(b)本発明の一実施の形態の部品実装システムで使用される計測手段情報の説明図
図8】本発明の一実施の形態の部品実装システムで使用される部品供給装置情報の説明図
図9】(a)(b)本発明の一実施の形態の部品実装システムで使用されるリソース情報の説明図
図10】本発明の一実施の形態の部品実装システムで使用される部品グループ情報の説明図
図11】本発明の一実施の形態の上位コンピュータの表示部に表示された警告画面の一例の図
図12】本発明の一実施の形態の上位コンピュータの表示部に表示された警告画面の一例の図
図13】本発明の一実施の形態の部品実装システムで使用される(a)変更前の計測手段割当情報の説明図(b)変更後の計測手段割当情報の説明図
図14】本発明の一実施の形態の部品実装システムで使用される計測手段配置情報の説明図
図15】本発明の一実施の形態の部品実装システムで使用される部品配置情報の説明図
図16】本発明の一実施の形態の上位コンピュータにおけるリソース配分決定方法のフロー図
図17】本発明の一実施の形態の上位コンピュータにおける計測手段の割り当て方法のフロー図
図18】本発明の一実施の形態の上位コンピュータにおける部品配置決定方法のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装システム、上位コンピュータ、部品実装ライン、部品実装装置の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図1、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(図1における左右方向)、基板搬送方向に直交するY方向(図1における上下方向)が示される。
【0014】
まず図1を参照して、部品実装システム1について説明する。部品実装システム1は、基板搬送方向の上流側(図1における左側)から順番に、部品実装装置M1、部品実装装置M2、部品実装装置M3を備えている。部品実装装置M1~M3は、有線または無線による通信ネットワークNWによって上位コンピュータCPと接続されており、上位コンピュータCPとの間でデータの送受信を行うことができる。上位コンピュータCPは、各装置の状況を受信して実装基板の製造を統括する他、後述する計測手段の割り当て、部品供給装置の配置を決定する。
【0015】
部品実装装置M1~M3は、上流から順に基板を受け渡しながら基板に部品を順に実装して実装基板を製造する部品実装ラインLを構成する。なお、部品実装ラインLを構成する部品実装装置M1~M3は3台である必要はなく、1台、2台、4台以上であってもよい。
【0016】
次に図2を参照して、部品実装装置M1~M3の構成を説明する。部品実装装置M1~M3は同様の構成をしており、以下、部品実装装置M1について説明する。図2において、基台2の中央には、基板搬送機構3がX方向に設置されている。基板搬送機構3は、上流側から搬入された基板BをX方向へ搬送し、以下に説明する実装ヘッドによる実装作業位置に位置決めして保持する。また、基板搬送機構3は、部品実装作業が完了した基板Bを下流側に搬出する。基板搬送機構3の両側方には、部品供給部4Aと部品供給部4Bが設置されている。
【0017】
部品供給部4Aにはフィーダベース5Aが設けられており、フィーダベース5Aには複数のテープフィーダ6がX方向に並列に装着されている。部品供給部4Bにはフィーダベース5Bが設けられており、フィーダベース5Bには複数のテープフィーダ6がX方向に並列に装着されている。フィーダベース5A,5Bには、テープフィーダ6を装着する複数のスロットが形成されており、各スロットにはテープフィーダ6の装着位置(配置位置)を特定するためのアドレスが設定されている。
【0018】
テープフィーダ6は、部品を格納するポケットが形成されたキャリアテープを部品供給部4A,4Bの外側から基板搬送機構3に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、実装ヘッドが部品をピックアップする部品取出し位置に部品を供給する。なお、フィーダベース5A,5Bのスロットには、スティックに並べて格納した部品を部品取出し位置に供給するスティックフィーダ(図示省略)などを装着することもできる。また、部品供給部4A,4Bには、フィーダベース5A,5Bに代わって部品を整列して保持するトレイを部品取出し位置に供給するトレイフィーダ(図示省略)を配置することもできる。このように、テープフィーダ6、スティックフィーダ、トレイフィーダは、部品を供給する部品供給装置である。
【0019】
図2において、基台2の上面におけるX方向の両端部には、リニア駆動機構を備えたY軸テーブル7が配置されている。Y軸テーブル7には、同様にリニア機構を備えた2基のビーム8A、ビーム8Bが、それぞれY方向に移動自在に結合されている。部品供給部4A側のビーム8Aには、実装ヘッド9AがX方向に移動自在に装着されている。部品供給部4B側のビーム8Bには、実装ヘッド9BがX方向に移動自在に装着されている。実装ヘッド9A,9Bには、部品を保持するノズル(図示省略)が着脱自在に装着される。
【0020】
図2において、Y軸テーブル7およびビーム8Aは実装ヘッド9Aを水平方向(X方向、Y方向)に移動させ、実装ヘッド9Aに装着されているノズルによって部品供給部4Aに装着されているテープフィーダ6(部品供給装置)から部品を取り出し、基板搬送機構3に保持された基板Bの実装位置に移送する部品実装作業を実行する。Y軸テーブル7およびビーム8Bは実装ヘッド9Bを水平方向に移動させ、実装ヘッド9Bに装着されているノズルによって部品供給部4Bに装着されているテープフィーダ6から部品を取り出し、基板搬送機構3に保持された基板Bの実装位置に移送する部品実装作業を実行する。
【0021】
図2において、2基のビーム8A,8Bには、ビーム8A,8Bの下面側に位置して実装ヘッド9A,9Bとともに一体的に移動するヘッドカメラ10がそれぞれ装着されている。実装ヘッド9A,9Bが移動することにより、ヘッドカメラ10は基板搬送機構3の実装作業位置に位置決めされた基板Bの上方に移動して、基板Bに設けられた基板マーク(図示せず)を撮像して基板Bの位置を認識する。
【0022】
部品供給部4A,4Bと基板搬送機構3との間には、それぞれ部品認識カメラ11が設置されている。部品供給部4A,4Bから部品を取り出した実装ヘッド9A,9Bが部品認識カメラ11の上方を移動する際に、部品認識カメラ11は実装ヘッド9A,9Bに保持された部品を撮像して形状を認識する。実装ヘッド9A,9Bによる部品の基板Bへの部品実装作業では、ヘッドカメラ10による基板Bの認識結果と部品認識カメラ11による部品の認識結果とを加味して実装位置の補正が行われる。
【0023】
図2において、部品供給部4Aのフィーダベース5Aには、計測ユニット12が装着されている。計測ユニット12は、部品の電極と電気的に接続されるプローブ(計測端子)と、プローブに接続された部品の抵抗、静電容量、インダクタンスなどの電気特性を計測する計測部とを備えている。なお、計測ユニット12は、部品供給部4Bのフィーダベース5Bに装着してもよい。計測ユニット12は、フィーダベース5A,5Bのスロットにテープフィーダ6と並列に装着することができる。
【0024】
実装ヘッド9A,9Bはテープフィーダ6から取り出した部品をフィーダベース5A,5Bに装着された計測ユニット12のプローブに移送し、計測ユニット12は移送された部品の電気特性を計測する。このように、計測ユニット12は、部品供給装置(テープフィーダ6)と並設して配置される形態の部品の電気特性を計測する計測手段である。以下、必要に応じて部品供給部4Aのフィーダベース5Aに装着された計測ユニット12を計測ユニット12A、部品供給部4Bのフィーダベース5Bに装着された計測ユニット12を計測ユニット12Bと称す(図3参照)。なお、フィーダベース5A、5Bに取り付けられる計測ユニット12A,12Bは、テープフィーダ6の着脱と同様に容易に着脱ができるため交換も容易である。
【0025】
図2において、部品供給部4Bと基板搬送機構3との間には、プローブユニット13が設置されている。プローブユニット13は、部品の電極と電気的に接続されるプローブ(計測端子)を備えている。プローブユニット13のプローブは、ケーブル14を介して計測装置15に接続されている。計測装置15は、プローブユニット13のプローブに接続された部品の抵抗、静電容量、インダクタンスなどの電気特性を計測する。なお、プローブユニット13は、部品供給部4Aと基板搬送機構3との間に設置してもよい。
【0026】
計測装置15には、計測可能な電気特性の項目、計測範囲、計測精度などの異なる複数の種類があり、ケーブル14を介して装置内部のプローブユニット13に組合せ自在に接続することができる。実装ヘッド9A,9Bはテープフィーダ6から取り出した部品をプローブユニット13のプローブに移送し、計測装置15は移送された部品の電気特性を計測する。このように、プローブユニット13および計測装置15は、設備内部に計測端子(プローブ)が配置される形態の部品の電気特性を計測する計測手段を構成する。
【0027】
以下、必要に応じて部品供給部4Aと基板搬送機構3との間に設置されたプローブユニット13をプローブユニット13A、部品供給部4Bと基板搬送機構3との間に設置されたプローブユニット13をプローブユニット13Bと称す(図3参照)。なお、部品供給部4A、4Bと基板搬送機構3との間に設置されるプローブユニット13は設備内部に計測端子が配置されるため、プローブユニット13を交換するためには生産を停止または中断する必要があるため、交換が煩雑である。
【0028】
次に図3を参照して、実装ヘッド9A,9Bの移動範囲について説明する。部品供給部4A側の実装ヘッド9Aは、Y軸テーブル7およびビーム8Aによって、フィーダベース5Aに装着されたテープフィーダ6の部品取出し位置、計測ユニット12Aのプローブ、プローブユニット13A,13B、実装作業位置に位置決めされた基板Bを含む移動範囲RA内を移動する。部品供給部4B側の実装ヘッド9Bは、Y軸テーブル7およびビーム8Bによって、フィーダベース5Bに装着されたテープフィーダ6の部品取出し位置、計測ユニット12Bのプローブ、プローブユニット13A,13B、実装作業位置に位置決めされた基板Bを含む移動範囲RB内を移動する。
【0029】
すなわち、プローブユニット13A,13Bおよび実装作業位置に位置決めされた基板Bには、いずれの実装ヘッド9A,9Bも移動することができる。一方、部品供給部4Aのテープフィーダ6および計測ユニット12Aのプローブには、実装ヘッド9Aのみが移動することができる。また、部品供給部4Bのテープフィーダ6および計測ユニット12Bのプローブには、実装ヘッド9Bのみが移動することができる。なお、移動範囲RA,RBは部品実装装置M1~M3の構成に依存し、実装ヘッド9A,9Bがいずれの部品供給部4A,4Bのテープフィーダ6に移動できる装置もある。
【0030】
このように、部品実装装置M1~M3、および、部品実装装置M1~M3が連結された部品実装ラインLは、部品を供給する複数の部品供給装置(テープフィーダ6)、部品の電気特性を計測する計測手段、部品供給装置から部品を取出して計測手段および基板Bに移送する実装ヘッド9A,9Bを備える設備である。
【0031】
次に図4を参照して、部品実装システム1の処理系の構成について説明する。上位コンピュータCPは、上位制御部20、上位記憶部21、部品グループ作成部22、計測手段割り当て部23、計測手段配置決定部24、部品配置決定部25、上位入力部26、上位表示部27、上位通信部28を備えている。上位入力部26は、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力装置であり、操作コマンドや各種データ入力時などに用いられる。上位表示部27は液晶パネルなどの表示装置であり、各種データや入力画面の他、警告画面などを表示する。
【0032】
上位通信部28は通信インターフェースであり、通信ネットワークNWを介して部品実装ラインLを構成する部品実装装置M1~M3との間でデータの送受信を行う。上位制御部20は、部品実装装置M1~M3との間のデータの送受信、上位コンピュータCPにおける情報処理などを統括して制御する。上位記憶部21は記憶装置であり、生産データ情報21a、部品情報21b、設備情報21c、計測手段情報21d、部品供給装置情報21e、リソース情報21f、部品グループ情報21g、計測手段割当情報21h、計測手段配置情報21i、部品配置情報21jなどが記憶されている。
【0033】
図4において、生産データ情報21aには、生産される実装基板の種類毎に、基板Bに実装される部品の部品名(種類)、実装位置(XY座標)、実装角度(実装時のノズルの回転角度)など、基板Bに部品を実装するために必要な情報が含まれている。部品情報21bには、部品毎に、部品名(種類)、サイズ、形状、対応するノズルを特定する情報(ノズルの種類)、後述する部品の電気特性の規格などが含まれている。
【0034】
ここで図5を参照して、部品情報21bの例について説明する。部品情報21bには、「部品名」30、「種類」31、「形状」32、「計測」33、「電気特性の規格」38が含まれている。「部品名」30は、基板Bに実装される部品を特定する部品名である。「種類」31は、抵抗(R)、容量(C)、コイル(L)などの部品の種類である。「形状」32は、部品の形状とサイズである。例えば、「チップ 0603」はサイズが0603のチップ部品を、「表面 10*10*5mm」は縦10mm、横10mm、高さ5mmの表面実装部品を示している。
【0035】
「計測」33は、基板Bに実装する前に電気特性の計測が必要(有り)か不要(無し)かを示している。「電気特性の規格」38は、その部品に要求される電気特性を示しており、「中央値」34、「上限値」35、「下限値」36、「精度」37を含んでいる。「中央値」34は電気特性の中央値、「上限値」35は電気特性の上限値、「下限値」36は電気特性の下限値である。「精度」37は、その部品の電気特性を計測する際に要求される計測手段の計測精度(A~C)を示している。
【0036】
図4において、設備情報21cは、部品実装ラインL、部品実装装置M1~M3など、部品供給装置、計測手段、部品供給装置から部品を取出して計測手段および基板Bに移送する実装ヘッド9A,9Bを備える設備の構成に関する情報である。より具体的には、設備情報21cには、部品実装ラインLを構成する部品実装装置M1~M3を特定する情報、各部品実装装置M1~M3が備える部品供給部4A,4Bの数、フィーダベース5A,5Bのスロット数、実装ヘッド9A,9Bの種類と数、各実装ヘッド9A,9Bが備えるノズル数、各実装ヘッド9A,9Bの移動範囲RA,RB、プローブユニット13の種類と数などが含まれている。
【0037】
また、設備情報21cに含まれるフィーダベース5A,5Bのスロット数と、部品供給装置の使用スロット数の最小値より、フィーダベース5A,5Bに装着することができる部品供給装置の最大数が算出できる。さらに、設備情報21cに含まれる実装ヘッド9A,9Bの移動範囲RA,RBより、実装ヘッド9A,9Bが移動できるフィーダベース5A,5Bが分かる。すなわち、設備情報21cには、部品実装装置M1~M3に配置されて実装ヘッド9A,9Bが部品を取り出すことができる部品供給装置の最大数(以下、「配置可能最大数」と称す。)が含まれている。
【0038】
ここで図6を参照して、設備情報21cに含まれるプローブユニット13に関する情報の例について説明する。設備情報21cには、プローブユニット13に関する情報として「装置番号」40、「PU位置」41、「対応部品形状」42が含まれている。「装置番号」40は、部品実装ラインLを構成する部品実装装置M1~M3を特定する情報であり、「M1」は部品実装装置M1を、「M2」は部品実装装置M2を、「M3」は部品実装装置M3を示している。「PU位置」41は、部品実装装置M1~M3が備えるプローブユニット13の位置を特定する情報であり、「A」は部品供給部4A側のプローブユニット13Aの位置を、「B」は部品供給部4B側のプローブユニット13Bの位置を示している。
【0039】
「対応部品形状」42は、そのプローブユニット13によって計測可能な部品の形状とサイズを示している。部品実装装置M2の部品供給部4A側の位置、および、部品実装装置M3の部品供給部4B側の位置には、他のプローブユニット13よりも大きなチップ部品(6432)と角型の表面実装部品の計測が可能なプローブユニット13が設置されている。なお、部品実装装置M1と部品実装装置M3の部品供給部4A側の位置には、プローブユニット13が設置されていない。
【0040】
図4において、計測手段情報21dは、計測手段である計測ユニット12、または、計測手段を構成する計測装置15の計測範囲を含む情報である。ここで図7(a)、図7(b)を参照して、計測手段情報21dの例について説明する。計測手段情報21dには、「計測装置名」50、「計測項目」51、「計測範囲」52、「計測精度」53が含まれている。「計測装置名」50は、計測ユニット12または計測装置15の種類を特定する情報である。「計測項目」51は、抵抗値(R)、静電容量値(C)、インダクタンス値(L)など、計測手段が計測可能な項目を示している。
【0041】
「計測範囲」52は、各計測項目における計測可能な範囲を示している。「計測精度」53は、各計測項目における計測精度(A~C)を示している。計測ユニット12は、計測装置15よりも計測範囲が狭くて計測精度も低い。また、「計測装置名」50が「mm02」の計測装置15は、「計測装置名」50が「mm01」の計測装置15よりも高価であり、計測範囲が広い。「計測装置名」50が「mm01」の計測装置15は、インダクタンス値(L)を計測することができない。
【0042】
図7(a)において、計測ユニット12の計測手段情報21dには、さらに「対応部品形状」54、「使用スロット数」55が含まれている。「対応部品形状」54は、その計測ユニット12によって計測可能な部品の形状とサイズを示している。「使用スロット数」55は、計測ユニット12をフィーダベース5A,5Bに装着した際に占有するスロット数である。
【0043】
図4において、部品供給装置情報21eは、テープフィーダ6などの部品供給装置に関する情報である。ここで図8を参照して、部品供給装置情報21eの例について説明する。部品供給装置情報21eには、「供給装置名」60、「部品担体」61、「使用スロット数」62が含まれている。「供給装置名」60は、テープフィーダ6、スティックフィーダ、トレイフィーダなどの部品供給装置の種類を特定する情報である。
【0044】
「部品担体」61は、部品を格納する部品担体の種類(キャリアテープ、スティック、トレイなど)であり、キャリアテープの場合はテープ幅(4mmテープなど)、トレイの場合は収納可能なトレイ数(20枚)が含まれている。「使用スロット数」62は、部品供給装置をフィーダベース5A,5Bに装着した際に占有するスロット数である。
【0045】
図4において、リソース情報21fは、部品実装装置M1~M3を備えた部品実装ラインLで使用可能な部品供給装置、計測手段、ノズルなどのリソースの使用可能数を含む情報である。ここで図9(a)、図9(b)を参照して、部品供給装置および計測手段のリソース情報21fの例について説明する。図9(a)は、計測手段のリソース情報21fの例を示している。リソース情報21fには、「計測装置名」70、「計測装置管理番号」71が含まれている。
【0046】
「計測装置名」70は、計測ユニット12または計測装置15の種類を特定する情報である。「計測装置管理番号」71は、計測ユニット12または計測装置15を特定する各装置に固有の情報である。「計測装置名」70が同じ装置の数が、その装置の使用可能数である。すなわち、「計測装置名」70が「mua01」である計測ユニット12の使用可能数は3台、「計測装置名」70が「mm01」である計測装置15の使用可能数は2台、「計測装置名」70が「mm02」である計測装置15の使用可能数は1台である。
【0047】
図9(b)は、部品供給装置のリソース情報21fである。リソース情報21fには、「供給装置名」72、「供給装置管理番号」73が含まれている。「供給装置名」72は、部品供給装置の種類を特定する情報である。「供給装置管理番号」73は、部品供給装置を特定する装置に固有の情報である。「供給装置名」72が同じ装置の数が、その装置の使用可能数である。
【0048】
図4において、部品グループ作成部22は、生産データ情報21aと部品情報21bから、部品の電気特性の規格などに基づいて、基板B(実装基板)に実装する部品のうち、電気特性の計測が必要な部品をグループ化した部品グループを作成する。より具体的に部品グループ作成部22は、部品の種類、電気特性の値、要求される計測手段の計測精度に基づいて、電気特性の計測が必要な部品をグループ分けする。部品グループ作成部22によって作成された部品グループに関する情報は、部品グループ情報21gとして上位記憶部21に記憶される。
【0049】
なお、部品をグループ化する際、部品の形状、対応するノズルの種類もグループ分けの要素としてもよい。ノズルの種類を考慮することで、後述する部品グループを部品供給部4A,4Bに割り当てる際に、その部品を保持可能なノズルが実装ヘッド9A,9Bに装着されていないとの理由で再グループ化する頻度を低減することができる。
【0050】
ここで図10を参照して、部品グループ情報21gの例について説明する。部品グループ情報21gには、「部品グループ」80、「部品名」81が含まれている。「部品グループ」80は、部品グループを特定する情報である。「部品名」81は、電気特性の計測が必要な部品を特定する部品名である。「部品グループ」80が同じ部品は、同じ部品グループに属している。
【0051】
図4において、計測手段割り当て部23は、設備情報21c、計測手段情報21d、リソース情報21f、部品グループ情報21gに基づいて、部品グループを計測手段に割り当てる。より具体的に計測手段割り当て部23は、部品グループを、部品グループに含まれる部品の電気特性の種類と特性値、要求される計測手段の計測精度などの条件を満たす計測手段(計測ユニット12、計測装置15)に割り当てる。条件を満たす計測手段が複数ある場合、計測手段割り当て部23は、所定のルールに従って割り当てる計測手段を決める。所定のルールは、例えば、コストが低い計測手段に優先的に割り当てる、使用可能な計測手段に均等に割り当てる、もしくは、着脱が容易なフィーダベース5A、5Bに取り付けられる計測ユニット12A,12Bを優先的に割り当てるなどが有り得る。
【0052】
要求を満足する計測手段がない場合、計測手段割り当て部23は、上位表示部27にその旨を警告する警告画面を表示させる。すなわち、上位表示部27は、部品グループを計測手段に割り当てられない場合に、作業者にその旨を報知する報知部である。作成された計測手段の割り当ては、計測手段割当情報21hとして上位記憶部21に記憶される。
【0053】
ここで図11を参照して、上位表示部27に表示された警告画面90の例について説明する。図11は、部品グループの部品の電気特性を計測可能な計測手段がない場合に報知される警告画面90の例である。警告画面90には、「警告」表示枠91、「部品情報」表示枠92,93、「確認」ボタン94が表示されている。「警告」表示枠91には、警告の内容がテキストで表示される。「部品情報」表示枠92,93には、警告対象の部品の部品名、形状、電気特性、計測要求精度などの情報が警告対象の部品情報毎にテキストで表示される。警告内容を理解した作業者が「確認」ボタン94を操作すると、使用可能な計測手段の計測範囲などを表示する処置画面(図示省略)に遷移する。
【0054】
次に図12を参照して、上位表示部27に表示された警告画面95の別の例について説明する。以下、図11と重複する部分の説明は省略する。図12は、部品グループの部品の電気特性を計測可能な計測手段がない場合に報知される警告画面95の例である。「警告」表示枠96には、警告の内容がテキストで表示される。「計測手段情報」表示枠97には、警告対象の計測に必要な計測手段(計測ユニット12、計測装置15)の計測装置名、形状、計測範囲、計測精度などの情報が警告対象の計測手段毎にテキストで表示される。なお、必要な計測手段は、計測できない部品と計測手段情報21dに基づいて上位制御部20で選択されて表示される。
【0055】
次に図13(a)を参照して、計測手段割当情報21hの例について説明する。図13(a)は、計測手段割り当て部23が、コストが低い計測手段に優先的に部品グループを割り当てた例である。計測手段割当情報21hには、「計測装置管理番号」100、「部品グループ」101が含まれている。「計測装置管理番号」100は、使用可能な計測手段を特定する情報(計測装置管理番号)である。「部品グループ」101は、その計測手段に割り振られた部品グループを特定する情報である。
【0056】
図13(a)において、「L1」の部品グループに属する部品名が「lc7766」のコイルは計測精度が「A」で計測装置名が「mm02」でのみ計測可能であるため、計測手段割り当て部23は「L1」を計測装置管理番号が「mm02―01」の計測装置15に割り振る。「R1」の部品グループに属する部品名が「rc3456」の抵抗は計測精度が「A」で計測装置名が「mm01」と「mm02」で計測可能であるため、計測手段割り当て部23は「R1」をコストが低い計測装置管理番号が「mm01―01」の計測装置15に割り振る。
【0057】
「L2」の部品グループに属する部品名が「lc9988」のコイルは形状が「表面 10*10*5mm」でプローブユニット13を使用した計測が必要であるため、計測手段割り当て部23は「L2」をプローブユニット13に接続して電気特性を計測する計測装置管理番号が「mm02―01」の計測装置15に割り振る。その他の部品グループに属する部品はコストが低い計測装置名が「mua01」で計測可能であるため、計測手段割り当て部23はその他の部品グループを計測装置管理番号が「mua01―01」の計測ユニット12に割り振る。
【0058】
図4において、計測手段配置決定部24は、計測手段割当情報21h、設備情報21cに基づいて、計測手段を部品実装装置M1~M3のフィーダベース5A,5Bとプローブユニット13に接続されたケーブル14に配置した計測手段配置を決定する。より具体的に計測手段配置決定部24は、まず、計測手段を部品実装装置M1~M3に仮配置する。次いで計測手段配置決定部24は、計測手段に割り当てられた部品グループをその計測手段に移動可能な実装ヘッド9A,9Bの移動範囲RA,RBにあるフィーダベース5A,5Bに仮配置する。その実装ヘッド9A,9Bに装着されたノズルが部品グループの部品を吸着できない場合、計測手段配置決定部24は計測手段の仮配置の位置を変更する。
【0059】
次いで計測手段配置決定部24は、仮配置した部品グループの全ての部品がフィーダベース5A,5Bに配置可能か否かを判断する。すなわち、計測手段配置決定部24は、実装ヘッド9A,9Bの移動範囲RA,RBにあるフィーダベース5A,5Bに仮配置された部品グループに属する部品の合計数が、配置可能最大数以下であるか否かを判断する。その際、計測手段配置決定部24は、計測ユニット12を配置したフィーダベース5A,5Bに装着可能な部品供給装置の数を、計測ユニット12が占有するスロット数だけフィーダベース5A,5Bのスロット数から減算して算出する。すなわち、配置可能最大数は、計測手段(計測ユニット12)の配置位置に基づいて変更される。
【0060】
次いで計測手段配置決定部24は、計測手段に割り当てられた部品グループに属する部品の合計数が配置可能最大数より多い場合、部品の合計数が配置可能最大数以下になるように、部品グループ作成部22に部品グループを変更させる。または、計測手段配置決定部24は、部品の合計数が配置可能最大数以下になるように、計測手段割り当て部23に部品グループの計測手段への割り当てを変更させる。あるいは、計測手段配置決定部24は、部品の合計数が配置可能最大数以下になるように、部品グループ作成部22と計測手段割り当て部23の両方に変更を実行させる。決定された計測手段配置情報21iは、上位記憶部21に記憶される。
【0061】
ここで図14を参照して、計測手段配置情報21iの例について説明する。図14に示す計測手段配置情報21iは、図13(a)に示す計測手段割当情報21hに基づいて決定された、部品実装ラインLを構成する部品実装装置M1~M3(設備)への計測手段の配置と部品グループの仮配置である。計測手段配置情報21iには、「装置番号」110、「PU位置」111、「FB位置」112、「計測装置管理番号」113、「部品グループ」114が含まれている。「装置番号」110は、部品実装ラインLを構成する部品実装装置M1~M3を特定する情報である。「PU位置」111は、部品実装装置M1~M3が備えるプローブユニット13の位置を特定する情報である。
【0062】
「FB位置」112は、部品実装装置M1~M3が備えるフィーダベース5A,5Bの位置を特定する情報であり、「A」は部品供給部4A側のフィーダベース5Aの位置を、「B」は部品供給部4B側のフィーダベース5Bの位置を示している。「計測装置管理番号」113は、フィーダベース5A,5Bに配置された計測ユニット12またはプローブユニット13に接続されるケーブル14に配置された計測装置15を特定する情報である。「部品グループ」114は、フィーダベース5A,5Bに仮配置された部品グループを特定する情報である。
【0063】
図14において、計測装置管理番号が「mm02-01」の計測装置15は部品実装装置M3のケーブル14に配置されており、ケーブル14に接続されるプローブユニット13Bと計測手段T2を構成する。計測手段T2に割り振られた部品グループのうち、「L1」は部品実装装置M3のフィーダベース5Bに仮配置され、「L2」は部品実装装置M3のフィーダベース5Aに仮配置されている。同様に、計測装置管理番号が「mm01-01」の計測装置15は部品実装装置M2のプローブユニット13Bと計測手段T1を構成する。計測手段T1に割り振られた部品グループのうち、「R1」は部品実装装置M2のフィーダベース5Bに仮配置されている。
【0064】
計測装置管理番号が「mua01-01」の計測ユニット12は、部品実装装置M1のフィーダベース5Aに配置されている。これにより、部品実装装置M1のフィーダベース5Aに配置可能な部品供給装置の数は、計測ユニット12が占有する2スロット分だけ少なくなる。計測装置管理番号が「mua01-01」の計測ユニット12に割り振られた部品グループは部品実装装置M1のフィーダベース5Aに仮配置されるが、フィーダベース5Aに仮配置された部品グループに属する部品の合計数が配置可能最大数を超えている。
【0065】
そこで、この例で計測手段配置決定部24は、計測手段割り当て部23に部品グループの割り当てを変更させている。すなわち、計測手段割り当て部23は、計測装置管理番号が「mua01-01」の計測ユニット12の他に、計測装置管理番号が「mua01-02」の計測ユニット12にも部品グループを割り当てるように計測手段割当情報21hを変更している。図13(b)に、変更された計測手段割当情報21hを示す。
【0066】
図14において、計測手段配置決定部24は、変更された計測手段割当情報21hに従って、計測装置管理番号が「mua01-02」の計測ユニット12を部品実装装置M2のフィーダベース5Aに配置し、部品グループを部品実装装置M1のフィーダベース5Aと部品実装装置M2のフィーダベース5Aに仮配置している。
【0067】
このように、本実施の形態の上位コンピュータCPは、生産データ情報21a、部品情報21b、計測手段情報21d、リソース情報21fを記憶する記憶部(上位記憶部21)と、部品の電気特性の規格に基づいて部品グループを作成する部品グループ作成部22と、計測手段に部品グループを割り当てる計測手段割り当て部23とを備え、部品グループを計測手段に割り当てる計測手段割当装置である。
【0068】
図4において、部品配置決定部25は、生産データ情報21a、部品情報21b、設備情報21c、計測手段情報21d、計測手段配置情報21iに基づいて、設備における部品供給装置の配置である部品配置を決定する。より具体的には、部品配置決定部25は、計測手段の配置、部品グループの仮配置、実装ヘッド9A,9Bに装着されたノズルの種類、実装ヘッドの移動範囲RA,RBに基づいて、部品グループに属する部品以外の部品を部品実装装置M1~M3のフィーダベース5A,5Bに仮配置する。すなわち、部品配置決定部25は、実装ヘッド9A,9Bの移動範囲RA,RBに基づいて、部品供給装置の配置(部品配置)を決定する。
【0069】
その後、部品配置決定部25は、生産性などを考慮して、各フィーダベース5A,5B内の計測ユニット12と部品供給装置の位置を最適化する。決定された部品配置は、部品配置情報21jとして上位記憶部21に記憶される。
【0070】
ここで図15を参照して、部品配置情報21jの例について説明する。図15に示す部品配置情報21jは、図14に示す計測手段配置情報21iに基づいて決定された部品配置である。部品配置情報21jには、「装置番号」120、「FB位置」121、「アドレス」122、「部品名」123、「装置管理番号」124が含まれている。「装置番号」120は、部品実装ラインLを構成する部品実装装置M1~M3を特定する情報である。「FB位置」121は、部品実装装置M1~M3が備えるフィーダベース5A,5Bの位置を特定する情報である。「アドレス」122は、フィーダベース5A,5Bに形成された各スロットに設定されたアドレス(A1~A15)である。
【0071】
「部品名」123は、フィーダベース5A,5Bのアドレスに配置された部品を特定する情報である。「装置管理番号」124は、計測ユニット12を特定する情報(計測装置管理番号)または部品供給装置を特定する情報(供給装置管理番号)である。フィーダベース5A,5Bに計測ユニット12が配置されている場合は計測装置管理番号が、部品が配置されている場合はその部品を供給する部品供給装置の供給装置管理番号が格納される。
【0072】
このように、本実施の形態の上位コンピュータCPは、部品情報21b、設備情報21c、計測手段情報21dを記憶する記憶部(上位記憶部21)と、設備における部品供給装置の配置を決定する部品配置決定部25とを備え、設備における部品供給装置の配置を決定する部品配置決定装置である。
【0073】
次に図16のフローに沿って、上位コンピュータCPによって部品実装装置M1~M3などの設備に部品供給装置、計測手段を含むリソースを割り当てて配置するリソース配分決定方法について説明する。まず、上位コンピュータCPは、計測手段に部品グループを割り当てる(ST1:計測手段割当工程)。次いで上位コンピュータCPは、計測手段割当情報21hと設備情報21cに基づいて、設備における計測手段の配置(計測手段配置)を決定する(ST2:計測手段配置決定工程)。次いで上位コンピュータCPは、計測手段配置情報21iに基づいて、設備における部品供給装置の配置(部品配置)を決定する(ST3:部品配置決定工程)。
【0074】
次に図17のフローに沿って、上位コンピュータCP(計測手段割り当て装置)による計測手段割当工程(ST1)(計測手段割り当て方法)について説明する。まず、上位記憶部21より部品供給装置の使用可能数と計測手段の使用可能数を含むリソース情報21f、計測手段の計測範囲を含む計測手段情報21d、部品の電気特性の規格を含む部品情報21b、基板Bに部品を実装するための生産データ情報21a、実装ヘッド9A,9Bが部品を取り出すことができる部品供給装置の最大数(配置可能最大数)を含む設備情報21cが取得される(ST11)。次いで部品グループ作成部22は、基板Bに実装する部品の中に使用可能な計測手段で計測不可能な部品が有るか否かを判断する(ST12)。
【0075】
計測不可能な部品が有る場合(ST12においてYes)、部品グループ作成部22は上位表示部27にその旨を報知する警告画面90を表示させる(ST13)(図11参照)。計測不可能な部品が無い場合(ST12においてNo)、部品グループ作成部22は、生産データ情報21aと部品情報21bから、部品の電気特性の規格に基づいて部品をグループ化した部品グループを作成する(ST14)。次いで計測手段割り当て部23は、リソース情報21fと計測手段情報21dに基づいて、部品グループを計測手段に割り当てる(ST15)。次いで計測手段割り当て部23は、計測手段に割り当てた部品グループの部品の合計数が配置可能最大数以下であるか否かを判定する(ST16)。
【0076】
図17において、計測手段に割り当てた部品グループの部品の合計数が配置可能最大数より多い場合(ST16においてNo)、(ST14)に戻って、部品の合計数が配置可能最大数以下になるように、部品グループを変更する(ST14)、または、部品グループの計測手段への割り当てを変更する(ST15)、あるいはその両方(ST14,ST15)を実行する。
【0077】
(ST14)~(ST16)を規定回数繰り返しても計測手段に部品グループが割り当てられない場合、計測手段割り当て部23は上位表示部27にその旨の警告画面(図示省略)を表示させて作業者に報知する。計測手段に割り当てた部品グループの部品の合計数が配置可能最大数以下の場合(ST16においてYes)、計測手段割り当て部23は、計測手段割当情報21hを上位記憶部21に記憶させて処理を終了する。
【0078】
このように、本実施の形態の計測手段割り当て方法は、リソース情報21f、計測手段情報21d、部品情報21b、生産データ情報21aを取得し(ST11)、生産データ情報21aと部品情報21bから、部品の電気特性の規格に基づいて、部品をグループ化した部品グループを作成し(ST14)、リソース情報21fと計測手段情報21dに基づいて、作成された部品グループを計測手段に割り当てている(ST15)。これによって、部品を供給する複数の部品供給装置と部品の電気特性を計測する計測手段を備える設備に、計測手段などのリソースを適正に配分することができる。
【0079】
次に図18のフローに沿って、上位コンピュータCP(部品配置決定装置)による部品配置決定工程(ST3)(部品配置決定方法)について説明する。まず、上位記憶部21より部品供給装置と計測手段を備える設備の構成と実装ヘッド9A,9Bの移動範囲RA,RBを含む設備情報21c、計測手段情報21d、部品情報21b、計測手段配置情報21iが取得される(ST21)。次いで部品配置決定部25は、部品を供給する部品供給装置を計測手段が配置された部品実装装置M1~M4のフィーダベース5A,5Bに割り当てる(ST22)。その際、実装ヘッド9A,9Bの移動範囲RA,RBに基づいて、計測手段に移動可能な実装ヘッド9A,9Bの移動範囲RA,RB内にあるフィーダベース5A,5Bに計測対象の部品(部品グループ)を割り当てる。
【0080】
次いで部品配置決定部25は、生産性などを考慮して、各フィーダベース5A,5B内の計測ユニット12と部品供給装置の位置を最適化する。部品配置決定部25は、最適化した部品配置を部品配置情報21jとして上位記憶部21に記憶させて処理を終了する。
【0081】
このように、本実施の形態の部品配置決定方法は、部品を供給する複数の部品供給装置と部品の電気特性を計測する計測手段を備える設備の構成を含む設備情報21cと、計測手段の計測範囲を含む計測手段情報21dと、部品の電気特性の規格を含む部品情報21bとを取得し(ST21)、設備情報21c、計測手段情報21d、部品情報21bに基づいて、設備における部品供給装置の配置を決定している(ST22、ST23)。これによって、部品を供給する複数の部品供給装置と部品の電気特性を計測する計測手段を備える設備に、部品供給装置などのリソースを適正に配分することができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の計測手段割り当て装置および計測手段割り当て方法並びにリソース配分決定方法は、部品を供給する複数の部品供給装置と部品の電気特性を計測する計測手段を備える設備にリソースを適正に配分することができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0083】
6 テープフィーダ(部品供給装置)
9A,9B 実装ヘッド
12 計測ユニット(計測手段)
13 プローブユニット(計測手段)
15 計測装置(計測手段)
27 上位表示部(報知部)
B 基板
CP 上位コンピュータ(部品配置決定装置,計測手段割り当て装置)
L 部品実装ライン(設備)
M1~M3 部品実装装置(設備)
RA,RB 移動範囲
T1,T2 計測手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18