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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】移動ロボット
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/48 20060101AFI20221209BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20221209BHJP
【FI】
G01S17/48
G05D1/02 H
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019037608
(22)【出願日】2019-03-01
(65)【公開番号】P2019220143
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-08-23
(31)【優先権主張番号】P 2018116279
(32)【優先日】2018-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】グエン ジュイヒン
(72)【発明者】
【氏名】安藤 健
(72)【発明者】
【氏名】上松 弘幸
【審査官】▲高▼場 正光
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-150443(JP,A)
【文献】特開2000-322696(JP,A)
【文献】特開平03-273419(JP,A)
【文献】特開2001-075645(JP,A)
【文献】特開平08-050254(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01884803(EP,A1)
【文献】国際公開第2016/057140(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - G01S 7/51
G01S 17/00 - G01S 17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を反射する第1反射面を有する第1反射部を少なくとも2つ備える移動ロボットであって、
前記第1反射部は、回転軸をもつ回転体形状であり、側面に前記第1反射面を有し、
前記第1反射部を前記回転軸に沿って見たとき、前記回転軸を通る点と、前記第1反射面の両端とのなす反射面角度が、90度以上360度以下であり、
2つの前記第1反射部は、前記回転軸方向から見たとき、互いに円の直径が異なり、
2つの前記第1反射部のうち、回転軸方向から見たとき円の直径の大きい前記第1反射部は、回転軸に垂直となる方向から見たときもう一方の前記第1反射部と比較して高さが低い
移動ロボット。
【請求項2】
前記第1反射部は、前記回転軸に垂直な方向に切断したときの断面形状が、互いに相似である、
請求項1に記載の移動ロボット。
【請求項3】
前記回転軸は、前記移動ロボットの走行面の法線方向に平行である、
請求項1または2に記載に記載の移動ロボット。
【請求項4】
2つの前記第1反射部は、それぞれの前記回転軸が平行になるよう配される、
請求項3に記載の移動ロボット。
【請求項5】
前記反射面角度が、180度以上360度以下である、
請求項4に記載の移動ロボット。
【請求項6】
2つの前記第1反射部は、前記回転軸方向かつ同一方向から見たとき、それぞれの前記反射面角度を重ね合わせると180度以上重なるように、前記第1反射面を有する、
請求項5に記載の移動ロボット。
【請求項7】
2つの前記第1反射部は、2つの前記第1反射部のそれぞれの前記回転軸を通る面を基準面としたとき、前記基準面で分断されるそれぞれの側面のうち少なくとも片側の側面の全面に、前記第1反射面を有する、
請求項6に記載の移動ロボット。
【請求項8】
さらに、電磁波を反射する第2反射面を有する第2反射部を備える移動ロボットであって、
前記第2反射部は、立方体形状または直方体形状であり、表面のうち最も面積の大きい1面に前記第2反射面を有し、
前記第2反射面は、2つの前記第1反射部のそれぞれの前記回転軸を通る面を基準面としたとき、前記基準面に平行である、
請求項1~7のいずれか1項に記載の移動ロボット。
【請求項9】
前記第2反射面は、前記第1反射面と同一方向に配される、
請求項8に記載の移動ロボット。
【請求項10】
前記第2反射部は、前記第2反射面の長辺が前記第1反射部の前記回転軸と垂直になるよう配される、
請求項8または9に記載の移動ロボット。
【請求項11】
前記第2反射面は、移動ロボットの走行面に垂直に配される、
請求項8~10のいずれか1項に記載の移動ロボット。
【請求項12】
2つの前記第1反射部は、回転軸に垂直となる方向から見たとき、高さが異なる、
請求項に記載の移動ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
移動ロボットの位置認識の技術として、移動ロボットに備え付けられた反射部によって反射された反射光を検出し、移動ロボットの位置を認識する手法がある(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、光学装置からレーザー光を照射し、移動ロボットに備えられた反射ターゲットから反射された反射光の反射強度を比較することによって、反射ターゲットから反射された光を特定し、移動ロボットの位置を認識することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-150582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の方法では、移動ロボットの存在する環境内に、反射強度の高い物体、または反射ターゲットと反射強度の近い物体がある場合、これらと反射ターゲットとを区別することができない。そのため、移動ロボットの位置認識の精度が低い。さらに、移動ロボットの位置を認識することはできても、その向きを特定することができない。そのため、移動ロボットの動きの解析や移動先の予測といった、移動ロボットの制御に有益な情報を得ることができない。
【0006】
そこで本開示は、高精度に位置と向きとを認識することができる移動ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の1つの様態による移動ロボットは、電磁波を反射する第1反射面を有する第1反射部を少なくとも2つ備え、第1反射部は回転体形状であり、側面に第1反射面を有し、第1反射部を回転軸方向から見たとき、回転軸を通る点と、第1反射面の両端とのなす角度が、90度以上360度以下である。
【発明の効果】
【0008】
本開示の様態による移動ロボットは、高精度に位置と向きとを認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態1における移動ロボットの概略図
図2】本実施形態1における移動ロボットの認識工程のフローチャート図
図3】本実施形態1における移動ロボット認識装置の概略図
図4】本実施形態1におけるセンサを用いた認識工程の概略図
図5】本実施形態1における第1反射部近傍の概略拡大図
図6】本実施形態1における撮像装置を用いた認識工程の概略図
図7】本実施形態1における移動ロボット認識装置を兼ねる移動認識ロボットの概略図
図8】本実施形態1の他の例1における移動ロボットの概略図
図9】本実施形態1の他の例2における移動ロボットの概略図
図10】本実施形態2における移動ロボット500の概略図
図11】本実施形態2における第1反射部55の形状を示す模式二面図
図12】本実施形態2における第1反射部55近傍の概略拡大図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同じ構成要素には同じ符号を付している。また、図面は理解しやすくするためにそれぞれの構成要素を主体として、模式的に示している。
【0011】
(実施形態1)
最初に、本開示の実施形態1にかかる移動ロボットについて、図面を用いて説明する。図1は本実施形態1における移動ロボット100の概略図である。この移動ロボット100は、少なくとも、本体1と、駆動輪2と、従輪3と、走行駆動部4と、駆動制御部11を含むロボット制御部10と、第1反射面6を有する第1反射部5とを備えている。
【0012】
<移動ロボット100の構成>
走行駆動部4は、モータなどの駆動装置で構成されて、それぞれ独立して一対の駆動輪2を正逆回転駆動可能としている。一対の駆動輪2と、一対の従輪3と、走行駆動部4とで走行駆動装置を構成している。
【0013】
ロボット制御部10は、駆動制御部11を介して、走行駆動部4を制御する。
【0014】
第1反射部5は、回転体形状であり、移動ロボット100に少なくとも2つ備えられる。
【0015】
第1反射部5は、側面に、電磁波を反射する第1反射面6を有する。ここで、側面とは、母線で構成される面である。
【0016】
第1反射部5は、図1に示すような円柱形状のほか、円錐形状、円錐台形状など、母線が直線的であるほうが好ましい。母線が曲線を含んだり、幾度も傾きの変わる線であったりするなど、第1反射部5が複雑な形状であるほど、後述する認識工程で、精度が悪くなると考えられるためである。
【0017】
第1反射部5は、本体1に取り付ける部材であっても良く、移動ロボット100を構成するアームや支柱などの構成要素を兼ねていても良い。
【0018】
第1反射部5は、側面以外の面、例えば底面に電磁波を反射する面を有していても良い。
【0019】
第1反射部5の回転軸は、移動ロボット100の走行方向に垂直であるのが好ましい。
【0020】
第1反射面6は、第1反射部5を回転軸方向から見たとき、回転軸を通る点と、第1反射面6の両端とのなす角度(以下反射面角度と称する)が、反射面角度が90度以上360度以下になるよう、第1反射部5に配される。
【0021】
好ましくは、第1反射面6は、反射面角度が180度以上360度以下になるよう、第1反射部5に配される。
【0022】
より好ましくは、第1反射面6は、反射面角度が270度以上360度以下であるのが良い。後述する認識工程において、移動ロボット100の向きが多少変化しても、第1反射部5の断面形状に影響せず、精度良く認識することができるためである。
【0023】
さらに好ましくは、第1反射面6は、第1反射部5の側面全面に配されるのが良い。すなわち、反射面角度が360度であることが好ましい。後述する認識工程で、移動ロボット100の向きが変化しても、第1反射部5の断面形状に影響せず、精度良く認識することができるためである。
【0024】
第1反射面6は、第1反射部5である部材や構成要素に、電磁波を反射するシートやシール状のものを貼り付けて成っても良い。また、第1反射部5を、電磁波を反射する素材にすることで、第1反射面6が構成されていても良い。
【0025】
2つの第1反射部5は、それぞれの回転軸が平行になるよう配される。
【0026】
2つの第1反射部5は、さらに、回転軸方向かつ同一方向から見たとき、それぞれの反射面角度を重ね合わせると180度以上重なるように、第1反射面6を有することが好ましい。すなわち、図1に示すように、2つの第1反射面6が同一方向に揃って向いているのが良い。
【0027】
2つの第1反射部5は、さらに、2つの第1反射部5の回転軸を通る面を基準面としたとき、基準面で分断されるそれぞれの側面のうち少なくとも片側の側面の全面に、第1反射面6を有することが好ましい。すなわち、図1に示すように、2つの第1反射面6が基準面で分断される片側方向に揃って向いているのが良い。
【0028】
<センサを用いた認識方法>
次に、移動ロボット100の認識方法について、以下で説明する。図2は、本実施形態1における移動ロボット100の認識工程のフローチャート図である。
【0029】
まず、移動ロボット100の認識を行う前に、移動ロボット認識装置300を用意する。図3は、本実施形態1における移動ロボット認識装置300の概略図である。移動ロボット認識装置300は少なくとも、記憶部31および演算部32を含む制御部30、測域センサ33を備え、移動ロボット100の位置および向きを認識する。
【0030】
測域センサ33は、レーザー、赤外線、ミリ波などの電磁波を発し、反射波によって構成物までの距離を計測する。計測した情報は、制御部30に入力される。測域センサ33の例として、例えばレーザーレンジファインダーがある。
【0031】
測域センサ33は、移動ロボット認識装置300に複数設置されても良い。この場合、移動ロボット認識装置300は、より高い精度で移動ロボット100の位置および向きの認識を行うことができる。
【0032】
次に、図2に示す記憶工程S1を行う。
【0033】
図4(a)は、記憶工程S1で記憶される第1反射部5の上面図である。記憶工程S1では、記憶部31が、第1記憶形状21および第1記憶距離22を記憶する。
【0034】
第1記憶形状21は、回転軸方向から2つの第1反射部5を見たとき、半円状に相当する形状である。
【0035】
第1記憶距離22は、回転軸方向から2つの第1反射部5を見たときの、互いの二次元的な距離である。第1記憶距離22を算出するための、2つの第1反射部5上の基準点の位置は、特に問わない。本実施形態1では、2つの第1記憶形状21の中心位置同士、すなわち2つの第1反射部5の回転軸同士の距離を第1記憶距離22として記憶する。
【0036】
記憶工程S1で記憶した時点の移動ロボット100の位置および向きが、以降の工程で認識する移動ロボット100の位置および向きの基準となる。
【0037】
記憶工程S1は、以降の工程と連続して行われず、あらかじめ行われていても良い。
【0038】
次に、図2に示す計測工程S2を行う。
【0039】
図4(b)は、計測工程S2で計測される第1反射部5の上面図である。計測工程S2では、まず、測域センサ33が電磁波を発し、反射波を計測する。次に、演算部32が、反射波の測定データの中から、図4(b)に示す第1測定形状23を2つ検出する。ここで、第1測定形状23は、第1記憶形状21と略等しい。そして、2つの第1測定形状23間の距離である第1測定距離24を算出する。ここで、第1測定距離24を算出するための、2つの第1測定形状23上の基準点の位置は、第1記憶距離22の基準点の位置と等しい。
【0040】
計測可能なエリアに設置されている他の構成物からの反射波と第1反射部5からの反射波の区別の仕方は、例えば反射強度が一定以上の反射波を、第1反射部5からの反射波とする方法などがある。この場合、記憶工程S1で記憶部31がさらに第1反射面6の反射強度を記憶し、これを基準値とする。誤差の検出のため、記憶工程S1で記憶した第1反射面6の反射強度の前後に所望の差を設け、この差を勘案した値を基準値とするのがより良い。
【0041】
次に、図2に示す比較工程S3を行う。
【0042】
比較工程S3では、演算部32が、記憶部31に記憶された第1記憶距離22と、計測工程S2で計測された第1測定距離24とを比較する。
【0043】
比較した距離の差が一定の誤差の範囲内であれば、計測工程S2で第1反射部5を正しく計測できたと判断し、次の工程に移行する。誤差の範囲外である場合、計測工程S2で計測された2つの第1測定形状23は、第1反射部5のものではないと判断し、計測工程S2を再度行う。
【0044】
ここで、一定の誤差は、第1記憶距離22に対してプラスマイナス20%以内であることが好ましい。
【0045】
次に、図2に示す位置算出工程S4を行う。位置算出工程S4では、記憶した時点に対する移動ロボット100の位置および向きを算出する。
【0046】
図4(c)は、記憶工程S1で記憶された第1反射部5と、計測工程S2で計測された第1反射部5とを並べた上面図である。位置算出工程S4では、演算部32が、認識位置200と認識角度201とを算出する。
【0047】
認識位置200は、2つの第1測定形状23の中心位置を通る線上の任意の位置である。本実施形態1においては、2つの第1測定形状23の中心位置を結ぶ線分の中心位置とするが、これに限られない。認識位置200を算出することで、記憶した時点に対する第1反射部5の相対位置を認識することができる。
【0048】
認識角度201は、計測工程S2で計測された2つの第1測定形状23の中心位置を結ぶ線分と、記憶工程S1で記憶された2つの第1記憶形状21の中心位置を結ぶ線分とがなす角度である。認識角度201を算出することで、記憶した時点に対する第1反射部5の相対角度を認識することができる。
【0049】
この様にして、工程S2~S4を繰り返すことによって、記憶した時点に対する第1反射部5の相対位置と相対角度を算出する。したがって、記憶した時点に対する移動ロボット100の位置および向きを認識することができる。
【0050】
しかし、上記認識方法では測域センサ33が反射板の反射強度を検出できる環境に限定される。そうすると、例えば、移動ロボット認識装置300が傾いて測域センサ33の電磁波が反射板に当たらないなどの場合、正しく位置を認識する事ができない可能性がある。
【0051】
<撮像装置を用いた認識方法>
そこで、移動ロボット認識装置300は、図3のようにさらに撮像装置34を備えていても良い。撮像装置34は、計測工程S2において、計測対象である移動ロボット100を探索する用途や、移動ロボット100の位置および向きを認識することに用いることができる。
【0052】
撮像装置34は、撮像素子41と発光素子42を備えており、記録した映像や画像を制御部30に入力する。
【0053】
移動ロボット認識装置300が撮像装置34を備えているとき、第1反射面6は、電磁波のうち特に光を反射する材質であることが好ましい。撮像装置34によって撮影ができる必要があるためである。
【0054】
図5は、本実施形態1における第1反射部5近傍の概略拡大図である。
【0055】
移動ロボット認識装置300が撮像装置34を備えているとき、記憶工程S1では、記憶部31はさらに、2つの第1反射部5の第1断面形状25および2つの第1断面形状25同士の位置関係を記憶する。
【0056】
第1断面形状25は、基準面の法線方向から2つの第1反射部5を見たときの、2つの第1反射面6の断面形状である。好ましくは、基準面で分断される2つの第1反射部5のそれぞれの側面の全面に第1反射面6が存在し、この断面を第1断面形状25として記憶するのが良い。より好ましくは、2つの第1反射部5の側面全面に第1反射面6が存在し、この断面を第1断面形状25として記憶するのが良い。
【0057】
撮像装置34は、計測工程S2において、記憶した第1断面形状25と位置関係に相当する構成物を探索する。第1反射部5が回転体形状であるから、移動ロボット100の向きが変化しても第1断面形状25は変化しないため、撮像装置34によって探索することができる。
【0058】
探索方法としては、例えば、2つの第1断面形状25の位置関係として、高さ方向の相対位置を記憶している場合、構成物の中から、第1断面形状25と略同一の断面形状を有し、かつ前述した位置関係を有する2つの断面形状を探索する。また、移動ロボット100が斜めを向いているとき、2つの第1断面形状25に相当する断面形状の距離が異なる場合がある。そのような場合に備え、2つの第1断面形状25の距離が最大となるときの距離を記憶部31に記憶し、この距離以下となり、かつ第1断面形状25と略同一の断面形状を探索することもできる。
【0059】
こののち、演算部32は、計測工程S2において、記憶した位置関係および第1断面形状25と一致する構成物の存在するエリアを、計測対象の存在するエリアとして判定する。そして、計測対象の存在するエリア内で、測域センサ33が反射波の計測を行う。
【0060】
上記のように撮像装置34を備える移動ロボット認識装置300を用いることで、移動ロボット100の存在するエリアをより精度よく特定でき、移動ロボット認識装置300の誤認識を低減することができる。
【0061】
さらに、撮像装置34を用いて、より高精度に移動ロボット100の位置および向きを認識することもできる。図6(a)は、記憶工程S1で記憶される第1反射部5近傍の概略断面図、図6(b)は、記憶工程S1で記憶される第1反射部5近傍の上面図、図6(c)は、計測工程S2で計測される第1反射部5近傍の概略断面図、図6(d)は、計測工程S2で計測される第1反射部5近傍の上面図である。
【0062】
演算部32は、さらに、位置算出工程S4において、記憶した第1断面形状25と、計測工程S2で計測した第1断面形状25との相対的な大きさと撮像された位置を比較しても良い。
【0063】
このことで、記憶した時点での移動ロボット100の位置に対して、移動ロボット100がどれほど撮像装置34に対して移動したかを算出することができる。したがって、移動ロボット100の位置を認識することができる。
【0064】
演算部32は、さらに、位置算出工程S4において、第2測定距離26と第1記憶距離22とを比較しても良い。
【0065】
第2測定距離26は、計測工程S2で計測された第1断面形状25同士の距離である。第2測定距離26を算出するための、2つの第1断面形状25上の基準点の位置は、第1記憶距離22の基準点の位置と等しい。
【0066】
図6(d)に示すように、斜辺を第1記憶距離22、底辺を第2測定距離26とする三角形における、斜辺と底辺のなす角を求める。このことで、記憶した時点での移動ロボット100の向きに対して、移動ロボット100の向きがどれほど変化したかを算出することができる。したがって、移動ロボット100の向きを認識することができる。
【0067】
上記のように撮像装置34を備える移動ロボット認識装置300を用いることで、移動ロボット100の位置および向きをより高精度に認識することができる。
【0068】
以上の認識方法によれば、移動ロボット100は、少なくとも第1反射部5を2つ備えていれば良い。
【0069】
さらに高い精度で移動ロボット100の位置および向きを認識するために、移動ロボット100は、さらに第2反射部7を備えることができる。
【0070】
第2反射部7は、立方体または直方体形状であり、少なくとも表面のうち最も面積の大きい1面に、第2反射面8を有する。
【0071】
第2反射面8は、2つの第1反射部5の回転軸を通る面を基準面としたとき、基準面に平行である。
【0072】
第2反射部7は、表面のうち最も面積の大きい1面以外の面に電磁波を反射する面を有していても良い。例えば、1つの第1反射部5の回転軸を含む面に平行となる4面に電磁波を反射する面を有していると、後述する認識工程で、移動ロボット100の向きの変化に従って断面形状が変化し、精度よく認識することができる。
【0073】
第2反射面8は、さらに、第1反射面6と同一方向に配される。すなわち、1つの第1反射部5が有する第1反射面6を正面から見たとき、もう1つの第1反射部5が有する第1反射面6も正面を向いており、第2反射面8もまた、正面を向いている。
【0074】
第2反射部7は、第2反射面8の長辺が第1反射部5の回転軸と垂直になるよう配される。ただし、第2反射部7が立方体の場合は、すべての辺が同じ長さであるため、この限りではない。
【0075】
第2反射面8は、移動ロボット100の走行面に垂直に配される。ここで、移動ロボット100の走行面とは、駆動輪2および従輪3が接地する水平面である。
【0076】
移動ロボット100の走行面は、常に平面とは限らない。そのため移動ロボット100は、曲面や凹凸面、傾斜面などを走行する可能性がある。このとき、移動ロボット100は、上下方向の向きが変化する。簡易的な構成の移動ロボット100であっても、後述する方法によって認識は可能であるが、より高精度な認識を行いたい場合、第1反射部5および第2反射部7は、走行面に合わせて上下方向に向きを変えるよう構成することができる。例えば、第1反射部5および第2反射部7の最下部に重りを装着し、これらの構成が常に重力によって同じ向きを維持するようにすることができる。
【0077】
移動ロボット100が第2反射部7を備えているとき、記憶工程S1では、記憶部31はさらに、図5に示すような第2断面形状27および第2記憶距離28を記憶する。
【0078】
第2断面形状27は、基準面の法線方向から第2反射部7を見たときの、第2反射面8の断面形状である。
【0079】
第2記憶距離28は、基準面の法線方向から第2反射部7を見たとき、第1反射部5の回転軸に垂直な方向の長さである。
【0080】
撮像装置34は、計測工程S2において、さらに第2断面形状27に相当する構成物を探索する。第2反射部7が立方体形状または直方体形状であるから、移動ロボット100の向きが変化すると、第2断面形状27は第1反射部5の回転軸に垂直な方向に短くなる。そのため、第1反射部5の回転軸に平行な方向が等しくなる四角形状の構成物を探索するのが良い。
【0081】
こののち、演算部32は、計測工程S2において、第1断面形状25および第2断面形状27と一致する構成物の存在するエリアを、計測対象の存在するエリアとして判定する。そして、計測対象の存在するエリア内で、測域センサ33が反射波の計測を行う。
【0082】
上記のように撮像装置34を備える移動ロボット認識装置300を用いることで、移動ロボット100の存在するエリアをより精度よく特定でき、移動ロボット認識装置300の誤認識を低減することができる。
【0083】
演算部32は、さらに、位置算出工程S4において、第3測定距離29と第2記憶距離28とを比較しても良い。
【0084】
第3測定距離29は、計測工程S2で計測された第2反射部7における、第1反射部5の回転軸に垂直な方向の長さである。
【0085】
図6(d)に示すように、斜辺を第2記憶距離28、底辺を第3測定距離29とする三角形における、斜辺と底辺のなす角を求める。このことで、記憶した時点での移動ロボット100の向きに対して、移動ロボット100の向きがどれほど変化したかを算出することができる。したがって、移動ロボット100の向きを認識することができる。
【0086】
上記認識方法では、位置算出工程S4において、第2測定距離26と第1記憶距離22、第3測定距離29と第2記憶距離28とをそれぞれ比較している。そして、比較した結果の距離の差から、移動ロボット100の認識角度201を算出する。基本的には、認識角度201を算出するためには上記2つの比較方法のいずれかを行えば良い。移動ロボット100の向きによっては、計測工程S2において、撮像装置34によって計測される2つの第1断面形状25が重なっており、第2測定距離26が算出できないことが考えられる。そのため、上記2つの比較方法のうち、後者を優先するのが良い。
【0087】
上記のように、第2反射部7を有する移動ロボット100によれば、移動ロボット100の位置および向きをより高精度に認識することができる。
【0088】
このことによって、測域センサ33のみの構成よりも様々な環境で、移動ロボット100の向きを認識することができる。
【0089】
移動ロボット100は、操縦するためのハンドルや操作パネルなどを少なくとも有する操作部16を、さらに備えることができる。ロボット制御部10は、操作部16からの操作指示に基づき、駆動制御部11を介して走行駆動部4を駆動制御することもできる。
【0090】
上記認識方法における移動ロボット認識装置300は、発光素子42を備える撮像装置34を有する。ここで、撮像装置34の視野内に複数の移動ロボット100が存在するとき、各々の第1反射部5と第2反射部7が発光素子42からの光を反射する。そして、これらの反射波すべてを撮像素子41が全て捉えてしまう。そのため、複数台の移動ロボット100が存在するとき、移動ロボット認識装置300は、認識したい移動ロボット100を特定する事が出来ない。
【0091】
そこで、複数の移動ロボット100は、それぞれ第1反射部5や第2反射部7の形状を変化させても良い。例えば、第1記憶形状21や第1記憶距離22、第2記憶距離28などを移動ロボット100ごとに変化させる。このことで、移動ロボット認識装置300の視野内に複数台の移動ロボット100が存在しても、認識したい特定の移動ロボット100だけを認識することができる。
【0092】
また、複数の移動ロボット100は、それぞれ第1反射部5や第2反射部7の反射強度を変化させても良い。このことで、移動ロボット認識装置300の視野内に複数台の移動ロボット100が存在しても、認識したい特定の移動ロボット100以外の誤認識を低減することができる。
【0093】
もしくは、移動ロボット100は、それぞれの第1反射部5と第2反射部7を照らす発光機器を備えても良い。この場合、複数台ある移動ロボット100のうち、認識したい移動ロボット100の発光機器だけを発光させることで、移動ロボット認識装置300が発光している第1反射部5と第2反射部7だけを捉える事が出来るようになる。したがって、移動ロボット認識装置300の視野内に複数の移動ロボット100が存在しても、認識したい特定の移動ロボット100だけを認識する事が出来る。このとき、移動ロボット認識装置300は、撮像装置34に発光素子42を備えていなくても良い。また、発光素子42を備える撮像装置34を有していても、発光素子42を使用しないことで、同様の位置認識方法を行うことができる。
【0094】
<認識方法の適用例>
上記認識方法は、移動ロボット100の位置および向きの認識に用いることができる。例えば施設や工場内で、移動ロボット認識装置300を定置し、搬送用ロボットや作業ロボットなどに第1反射部5などを取り付けることによって、その位置を認識する。得られた位置情報をもとに、移動ロボット100に備えられるロボット制御部10に指示を送り、移動ロボット100を制御することもできる。
【0095】
また、上記認識方法は、移動ロボット認識装置300自体が移動する構成でも良い。この構成について、図面を用いて説明する。図7は、移動ロボット認識装置300を兼ねる移動認識ロボット400の概略図である。移動認識ロボット400は、移動ロボット100および移動ロボット認識装置300の代替として用いることができる。
【0096】
移動認識ロボット400は、少なくとも、第1反射部5と測域センサ33を備える。ロボット制御部10には、さらに記憶部31および演算部32を含む。さらに、移動認識ロボット400は、第2反射部7を備えていても良い。
【0097】
ここで、移動認識ロボット400を複数台用意したとき、複数の移動認識ロボット400は互いの位置を認識することができる。演算部32は、得られた他の移動認識ロボット400の位置情報をもとに、移動軌跡を算出する。移動軌跡は、例えば、他の移動認識ロボット400に追従する動きや、他の移動認識ロボット400を避ける動きなどを行う軌跡がある。
【0098】
移動認識ロボット400は、進行方向上の障害物や他の移動認識ロボット400を認識するのが好ましい。そのため、測域センサ33は、進行方向の前方に装着されるのが好ましい。このような測域センサ33に認識されやすくするため、第1反射部5および第2反射部7は、進行方向の後方や移動認識ロボット400の後部に備えられるのが良い。
【0099】
(実施形態1の他の例1)
移動ロボット認識装置300の誤認識を低減させるために、2つの第1反射部5の互いの構成を変更することができる。図8は、本実施形態1の他の例1における移動ロボット100の概略図である。
【0100】
2つの第1反射部5は、回転軸方向から見たとき、円の直径が異なる。
【0101】
2つの第1反射部5は、さらに、回転軸に垂直となる方向から見たとき、高さが異なる。
【0102】
ここで、2つの第1反射部5のうち、回転軸方向から見たとき円の直径の大きい第1反射部5は、回転軸に垂直となる方向から見たとき、もう一方の第1反射部5と比較して高さが低い。
【0103】
このような移動ロボット100は、第2反射部7を有さない場合においても、移動ロボット認識装置300の誤認識を低減させることができる。
【0104】
移動ロボット認識装置300の誤認識をより低減させるために、このような移動ロボット100に、第2反射部7を備えていても良い。
【0105】
(実施形態1の他の例2)
また、移動ロボット認識装置300の誤認識を低減させるために、2つの第1反射部5の配置関係を変更することができる。図9は、本実施形態1の他の例2における移動ロボット100の概略図である。
【0106】
2つの第1反射部5は、移動ロボット100の本体1より離して設置される。
【0107】
このような移動ロボット100は、本体1と第1反射部5とが被らないように取り付けられていることで、より多くの方角からでも符号5を認識することができる。
【0108】
2つの第1反射部5は、それぞれの第1反射面6以外の面に、取り付け金具等を用いて取り付けられることが好ましい。また、図9では、上面に取り付け金具を取り付けることにより2つの第1反射部5を吊り下げているが、それ以外の形態でも良い。
【0109】
<実施形態1の作用効果>
以上のように構成される移動ロボットについて、以下、その作用効果を説明する。
【0110】
本実施形態1によれば、移動ロボットは回転体形状である第1反射体を少なくとも2つ備え、第1反射部は回転軸方向から見たとき、回転軸を通る点と第1反射面の両端とのなす反射面角度が、90度以上360度以下である。このため、電磁波を反射することができ、位置および向きを移動ロボット認識装置に認識させることができる。
【0111】
また、2つの第1反射部は、それぞれの回転軸が平行となる。このことで、移動ロボット認識装置に搭載された同一のセンサが2つの第1反射部を認識することができる。よって、移動ロボット認識装置がより移動ロボットを認識しやすくなる。
【0112】
また、第1反射部5は回転軸方向から見たとき、反射面角度が180度以上360度以下である。このことで移動ロボットは、電磁波を反射できる範囲が広がる。よって、移動ロボット認識装置に搭載されたセンサがひとつであっても、移動ロボットを認識しやすくなる。
【0113】
また、2つの第1反射部は、回転軸方向かつ同一方向から見たとき、それぞれの反射面角度を重ね合わせると180度以上となる。すなわち、2つの第1反射面が同一方向に揃って向いている。このことで、移動ロボット認識装置が2つの第反射部を同時に認識できないことを回避し、より移動ロボットを認識しやすくなる。
【0114】
また、2つの第1反射部は、2つの第1反射部のそれぞれの回転軸を通る面を基準面としたとき、基準面で分断されるそれぞれの側面のうち少なくとも片側の側面の全面に、第1反射面を有する。このことで、移動ロボット認識装置が2つの第1反射部を同時に認識できないことを回避し、より移動ロボットを認識しやすくなる。
【0115】
また、移動ロボットはさらに立方体形状または直方体形状である第2反射部を備え、第2反射部は表面のうち最も面積の大きい1面に第2反射面を有し、第2反射面が基準面に平行である。このことで、移動ロボット認識装置が認識する反射部が増え、より移動ロボットを認識しやすくなる。
【0116】
また、第2反射面は第1反射面と同一方向に配される。このことで、移動ロボット認識装置が2つの第1反射部および第2反射部を同時に認識できないことを回避し、より移動ロボットを認識しやすくなる。
【0117】
また、第2反射部は、第2反射面の長辺が第1反射部の回転軸と垂直になるよう配される。このことで、移動ロボットの向きが変わる際に第2反射部の断面形状の変化が大きくなり、移動ロボット認識装置がより移動ロボットを認識しやすくなる。
【0118】
また、第2反射面は、移動ロボットの走行面に垂直に配される。このことで、移動ロボットに対して第1反射部および第2反射部が3軸で固定され、移動ロボット認識装置がより移動ロボットを認識しやすくなる。
【0119】
また、2つの第1反射部は、回転軸方向から見たとき、円の直径が異なる。このことで、2つの第1反射部が重なる方向から第1反射部を見たとき、断面形状が完全に重なり合わない。したがって、移動ロボット認識装置がより移動ロボットを認識しやすくなる。
【0120】
また、2つの第1反射部は、回転軸に垂直となる方向から見たとき、高さが異なる。このことで、2つの第1反射部が重なる方向から第1反射部を見たとき、断面形状が完全に重なり合わない。したがって、移動ロボット認識装置がより移動ロボットを認識しやすくなる。
【0121】
また、2つの第1反射部のうち、回転軸方向から見たとき円の直径の大きい第1反射部は、回転軸に垂直となる方向から見たとき、もう一方の第1反射部と比較して高さが低い。このことで、2つの第1反射部が重なる方向から第1反射部を見たとき、断面形状が完全に重なり合わず、かつ、2つの第1反射部ともに縦幅もしくは横幅のいずれかが突出する。したがって、移動ロボット認識装置がより移動ロボットを認識しやすくなる。
【0122】
本実施形態1における移動ロボット100は、一対の駆動輪2と、一対の従輪3と、走行駆動部4とで走行駆動装置を構成する車いす形状の形態を想定している。しかし本開示を適用できる範囲はこれに限られず、自律移動ロボット搬送ロボットなど、移動ロボット全般に利用できる。
【0123】
(実施形態2)
次に、本開示の実施形態2にかかる移動ロボットについて、図面を用いて説明する。図10は本実施形態2における移動ロボット500の概略図である。
【0124】
移動ロボット500は、少なくとも、本体1と、駆動輪2と、従輪3と、走行駆動部4と、駆動制御部11を含むロボット制御部10と、第1反射面56を有する第1反射部55とを備えている。
【0125】
<移動ロボット500の構成>
走行駆動部4は、モータなどの駆動装置で構成されて、それぞれ独立して一対の駆動輪2を正逆回転駆動可能としている。一対の駆動輪2と、一対の従輪3と、走行駆動部4とで走行駆動装置を構成している。
【0126】
ロボット制御部10は、駆動制御部11を介して、走行駆動部4を制御する。
【0127】
図11は、本実施形態2における第1反射部55の形状を示す模式二面図である。
【0128】
本実施形態2における第1反射部55は、基準軸に垂直な方向に切断したときの断面形状が、基準軸を通る点について対称かつ連続した図形である形状である。
【0129】
また、第1反射部55は、基準軸に垂直な方向に切断した時の断面形状が、互いに相似である。
【0130】
基準軸は、移動ロボット100の走行面の法線方向に平行となる軸である。ここで、移動ロボット100の走行面とは、駆動輪2および従輪3が接地する水平面である。
【0131】
第1反射部55は、一例として、図11(a)に示すように、基準軸に垂直な方向に切断したときの断面形状が楕円形である、円筒形状であっても良い。
【0132】
また、第1反射部55は、一例として、図11(b)に示すように、基準軸に垂直な方向に切断したときの断面形状が多角形である、角柱形状であっても良い。
【0133】
また、第1反射部55は、一例として、図11(c)に示すように、基準軸に垂直な方向に切断したときの断面形状が楕円形である、円錐形状であっても良い。
【0134】
第1反射部55は、その側面に第1反射面56を有している。
【0135】
2つの第1反射部55は、それぞれの基準軸が平行になるよう配される。
【0136】
2つの第1反射部55は、さらに、基準軸方向かつ同一方向から見たとき、それぞれの反射面角度を重ね合わせると180度以上重なるように、第1反射面6を有することが好ましい。すなわち、図10に示すように、2つの第1反射面56が同一方向に揃って向いているのが良い。
【0137】
2つの第1反射部55は、さらに、2つの第1反射部55の基準軸を通る面を基準面としたとき、基準面で分断されるそれぞれの側面のうち少なくとも片側の側面の全面に、第1反射面56を有することが好ましい。すなわち、図10に示すように、2つの第1反射面56が基準面で分断される片側方向に揃って向いているのが良い。
【0138】
<センサを用いた認識方法>
次に、移動ロボット500の認識方法について、以下で説明する。
【0139】
認識方法の基本的なフローは、図2に示す、実施形態1における移動ロボット100の認識工程と同様である。
【0140】
ただし、実施形態1と同様のセンサを用いた認識方法では、第1反射部55が回転体でない場合、記憶工程S1で記憶した形状と、計測工程S2で計測される形状とが異なることがある。
【0141】
その場合、記憶工程S1で記憶した形状と、計測工程S2で計測される形状とが、一定の誤差の範囲内であれば、計測工程S2で第1反射部55を正しく計測できたと判断し、次の工程に移行しても良い。誤差の範囲外である場合、計測工程S2で計測された反射物は、第1反射部55ではないと判断し、計測工程S2を再度行っても良い。
【0142】
ここで、一定の誤差は、記憶工程S1で記憶した形状に対して、プラスマイナス20%以内であることが好ましい。
【0143】
この様にして、工程S2~S4を繰り返すことによって、記憶した時点に対する第1反射部55の相対位置と相対角度を算出する。したがって、記憶した時点に対する移動ロボット500の位置および向きを認識することができる。
【0144】
しかし、上記認識方法では形状誤差を含むため、正しく位置を認識する事ができない可能性がある。
【0145】
<撮像装置を用いた認識方法>
そこで、移動ロボット認識装置300に備えられる撮像装置34によって、移動ロボット500の認識を行う。
【0146】
図12は、本実施形態2における第1反射部55近傍の概略拡大図である。
【0147】
移動ロボット認識装置300が撮像装置34を備えているとき、記憶工程S1では、記憶部31はさらに、2つの第1反射部55の第3断面形状57および第3記憶距離58を記憶する。
【0148】
第3断面形状57は、基準軸に垂直となる方向から見たときの2つの第1反射面56の断面形状のうち、最小の断面形状である。例えば、基準軸に垂直な方向に切断したときの第1反射部55の断面形状が楕円形であるとき、楕円形状の長辺の頂点側から見た断面形状が、第3断面形状57となる。
【0149】
第3記憶距離58は、基準軸に垂直となる方向から2つの第1反射部5を見たときの、互いの二次元的な最大距離である。第3記憶距離58を算出するための、2つの第1反射部5上の基準点の位置は、特に問わない。本実施形態2では、2つの第1反射部55の基準軸同士の距離を第3記憶距離58として記憶する。 撮像装置34は、計測工程S2において、記憶した第3記憶距離58の距離を有し、記憶した第3断面形状57を含む形状に相当する構成物を探索する。
【0150】
基準軸に垂直となる方向から見たときの2つの第1反射面56の断面形状のうち、最小の断面形状を第3断面形状57として記憶することで、移動ロボット500の向きが変化したとしても、第3断面形状57に相当する断面形状は撮影された第1反射面56の内部に存在する。
【0151】
また、移動ロボット500の向きが変化したとき、2つの第3断面形状57に相当する断面形状の距離が異なる場合がある。そのような場合に備え、第3記憶距離以下となり、かつ第3断面形状57と略同一の断面形状を探索することもできる。
【0152】
こののち、演算部32は、計測工程S2において記憶した第3記憶距離58の距離を有し、記憶した第3断面形状57を含む形状に相当する構成物の存在するエリアを、計測対象の存在するエリアとして判定する。そして、計測対象の存在するエリア内で、測域センサ33が反射波の計測を行う。
【0153】
上記のように撮像装置34を備える移動ロボット認識装置300を用いることで、移動ロボット500の存在するエリアをより精度よく特定でき、移動ロボット認識装置300の誤認識を低減することができる。
【0154】
さらに高い精度で移動ロボット500の位置および向きを認識するために、移動ロボット500は、さらに第2反射部7を備えていても良い。
【0155】
<実施形態2の作用効果>
以上のように構成される移動ロボットについて、以下、その作用効果を説明する。
【0156】
本開示によれば、移動ロボットは電磁波を反射する第1反射面を有する第1反射部を少なくとも2つ備え、第1反射部は、基準軸に垂直な方向に切断したときの断面形状が、基準軸を通る点について対称かつ連続した図形であり、側面に第1反射面を有し、第1反射部を基準軸に沿って見たとき、基準軸を通る点と、第1反射面の両端とのなす反射面角度が、90度以上360度以下である。このため、電磁波を反射することができ、位置および向きを移動ロボット認識装置に認識させることができる。
【0157】
また、2つの第1反射部は、基準軸に垂直な方向に切断したときの断面形状が、互いに相似である。このことで、移動ロボット認識装置による誤認識を低減することができる。
【0158】
また、基準軸は、移動ロボットの走行面の法線方向に平行である。このことで、移動ロボットの向きが変化しても移動ロボット認識装置によって移動ロボットを認識しやすくなる。
【0159】
また、2つの第1反射部は、それぞれの基準軸が平行となる。このことで、移動ロボット認識装置に搭載された同一のセンサが2つの第1反射部を認識することができる。よって、移動ロボット認識装置がより移動ロボットを認識しやすくなる。
【0160】
また、第1反射部5は基準軸方向から見たとき、反射面角度が180度以上360度以下である。このことで移動ロボットは、電磁波を反射できる範囲が広がる。よって、移動ロボット認識装置に搭載されたセンサがひとつであっても、移動ロボットを認識しやすくなる。
【0161】
また、2つの第1反射部は、基準軸方向かつ同一方向から見たとき、それぞれの反射面角度を重ね合わせると180度以上となる。すなわち、2つの第1反射面が同一方向に揃って向いている。このことで、移動ロボット認識装置が2つの第反射部を同時に認識できないことを回避し、より移動ロボットを認識しやすくなる。
【0162】
また、2つの第1反射部は、2つの第1反射部のそれぞれの基準軸を通る面を基準面としたとき、基準面で分断されるそれぞれの側面のうち少なくとも片側の側面の全面に、第1反射面を有する。このことで、移動ロボット認識装置が2つの第1反射部を同時に認識できないことを回避し、より移動ロボットを認識しやすくなる。
【0163】
また、移動ロボットはさらに立方体形状または直方体形状である第2反射部を備え、第2反射部は表面のうち最も面積の大きい1面に第2反射面を有し、第2反射面が基準面に平行である。このことで、移動ロボット認識装置が認識する反射部が増え、より移動ロボットを認識しやすくなる。
【0164】
また、第2反射面は第1反射面と同一方向に配される。このことで、移動ロボット認識装置が2つの第1反射部および第2反射部を同時に認識できないことを回避し、より移動ロボットを認識しやすくなる。
【0165】
また、第2反射部は、第2反射面の長辺が第1反射部の基準軸と垂直になるよう配される。このことで、移動ロボットの向きが変わる際に第2反射部の断面形状の変化が大きくなり、移動ロボット認識装置がより移動ロボットを認識しやすくなる。
【0166】
また、第2反射面は、移動ロボットの走行面に垂直に配される。このことで、移動ロボットに対して第1反射部および第2反射部が3軸で固定され、移動ロボット認識装置がより移動ロボットを認識しやすくなる。
【0167】
また、2つの第1反射部は、基準軸を回転の軸とする回転体形状である。このことで、移動ロボットの向きが変化しても移動ロボット認識装置によって移動ロボットを認識しやすくなる。
【0168】
また、2つの第1反射部は、基準軸方向から見たとき、円の直径が異なる。このことで、2つの第1反射部が重なる方向から第1反射部を見たとき、断面形状が完全に重なり合わない。したがって、移動ロボット認識装置がより移動ロボットを認識しやすくなる。
【0169】
また、2つの第1反射部は、基準軸に垂直となる方向から見たとき、高さが異なる。このことで、2つの第1反射部が重なる方向から第1反射部を見たとき、断面形状が完全に重なり合わない。したがって、移動ロボット認識装置がより移動ロボットを認識しやすくなる。
【0170】
また、2つの第1反射部のうち、基準軸方向から見たとき円の直径の大きい第1反射部は、基準軸に垂直となる方向から見たとき、もう一方の第1反射部と比較して高さが低い。このことで、2つの第1反射部が重なる方向から第1反射部を見たとき、断面形状が完全に重なり合わず、かつ、2つの第1反射部ともに縦幅もしくは横幅のいずれかが突出する。したがって、移動ロボット認識装置がより移動ロボットを認識しやすくなる。
【0171】
本実施形態における移動ロボット100は、一対の駆動輪2と、一対の従輪3と、走行駆動部4とで走行駆動装置を構成する車いす形状の形態を想定している。しかし本開示を適用できる範囲はこれに限られず、自律移動ロボット搬送ロボットなど、移動ロボット全般に利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0172】
本開示による移動ロボットは、位置および向きを認識することができ、主に車いすなどの移動ロボットに利用可能である。
【符号の説明】
【0173】
100 移動ロボット
1 本体
2 駆動輪
3 従輪
4 走行駆動部
5 第1反射部
6 第1反射面
7 第2反射部
8 第2反射面
10 ロボット制御部
11 駆動制御部
21 第1記憶形状
22 第1記憶距離
23 第1測定形状
24 第1測定距離
25 第1断面形状
26 第2測定距離
27 第2断面形状
28 第2記憶距離
29 第3測定距離
200 認識位置
201 認識角度
300 移動ロボット認識装置
30 制御部
31 記憶部
32 演算部
33 測域センサ
34 撮像装置
41 撮像素子
42 発光素子
400 移動認識ロボット
500 移動ロボット
55 第1反射部
56 第1反射面
57 第3断面形状
58 第3記憶距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12