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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01Q 5/321 20150101AFI20221209BHJP
   H01Q 5/10 20150101ALI20221209BHJP
   H01Q 21/28 20060101ALI20221209BHJP
   H01Q 1/24 20060101ALI20221209BHJP
   H04B 1/38 20150101ALI20221209BHJP
【FI】
H01Q5/321
H01Q5/10
H01Q21/28
H01Q1/24 Z
H04B1/38
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021127049
(22)【出願日】2021-08-03
(62)【分割の表示】P 2017547601の分割
【原出願日】2016-10-07
(65)【公開番号】P2021170847
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2021-08-04
(31)【優先権主張番号】P 2015214879
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】松岡 保治
(72)【発明者】
【氏名】中野 一弥
(72)【発明者】
【氏名】西川 賢治
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 圭太
(72)【発明者】
【氏名】田中 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】米澤 亮
(72)【発明者】
【氏名】図書 千喜
【審査官】佐々木 洋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0256800(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0135157(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0163937(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 5/321
H01Q 5/10
H01Q 21/28
H01Q 1/24
H04B 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の長さにわたって延びる板状の第1のアンテナ基板と、
第2の長さにわたって延びる板状の第2のアンテナ基板と、
前記第1のアンテナ基板及び前記第2のアンテナ基板を収容する筐体とを備え、
前記第1のアンテナ基板及び前記第2のアンテナ基板は互いに並列に配置され、
前記第1のアンテナ基板は第1の周波数帯で動作し、
前記第2のアンテナ基板は前記第1の周波数帯よりも高い第2の周波数帯で動作し、
前記第1のアンテナ基板は、
第1の誘電体基板と、
前記第1の誘電体基板の所定の位置に設けられた第1の給電点と、
前記第1の誘電体基板の一対の主面の少なくとも一方に形成された第1の放射素子とを備え、
前記第2のアンテナ基板は、
第2の誘電体基板と、
前記第2の誘電体基板の所定の位置に設けられた第2の給電点と、
前記第2の誘電体基板の一対の主面の少なくとも一方に形成された第2の放射素子とを備え、
前記第1の放射素子は、前記第1のアンテナ基板の長手方向に沿って第1の区間及び第2の区間を含み、前記第1の区間において前記第1の給電点に接続され、前記第2の区間の少なくとも一部のみにおいて前記第2の放射素子に対向し、
前記第1のアンテナ基板が前記第1の周波数帯に含まれる第1の周波数で動作するとき、前記第1の放射素子の全体が共振し、
前記第1のアンテナ基板が前記第1の周波数帯に含まれる前記第1の周波数より高い第2の周波数で動作するとき、前記第1の放射素子の前記第1の区間が共振する、
電子機器。
【請求項2】
前記第1のアンテナ基板は、前記第1のアンテナ基板の一対の主面が前記筐体の1つの主面に垂直になるように配置され、
前記第2のアンテナ基板は、前記第2のアンテナ基板の一対の主面が前記筐体の前記1つの主面に平行になるように配置されている、
請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1のアンテナ基板は、前記第1のアンテナ基板の一対の主面が前記筐体の1つの主面に平行になるように配置され、
前記第2のアンテナ基板は、前記第2のアンテナ基板の一対の主面が前記筐体の前記1つの主面に垂直になるように配置されている、
請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1のアンテナ基板及び前記第2のアンテナ基板は、前記第1のアンテナ基板及び前記第2のアンテナ基板の各一対の主面が前記筐体の1つの主面に平行になるようにそれぞれ配置されている、
請求項1記載の電子機器。
【請求項5】
前記第1のアンテナ基板及び前記第2のアンテナ基板は、前記第1のアンテナ基板及び前記第2のアンテナ基板の各一対の主面が前記筐体の1つの主面に垂直になるようにそれぞれ配置されている、
請求項1記載の電子機器。
【請求項6】
前記第2の長さは前記第1の長さよりも短い、
請求項1~5のうちの1つに記載の電子機器。
【請求項7】
前記第1のアンテナ基板は、前記第1の放射素子の前記第1の区間及び前記第2の区間の間にLC共振器を備える、
請求項1記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、筐体内に複数のアンテナを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信を行う電子機器において、空間ダイバーシティのために、電子機器の筐体内に複数のアンテナを設けることがある(特許文献1及び2を参照)。また、複数の無線通信方式(例えば、Long Term Evolution:LTE、Wi-Fi、など)で通信するために、電子機器の筐体内に、各無線通信方式に対応する複数の周波数帯でそれぞれ動作する複数のアンテナを設けることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-136912号公報
【文献】特許第4184956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯型の電子機器は、携帯しやすさのために小型化がもとめられる。
【0005】
本開示は、複数のアンテナを内部に収容していても筐体のサイズを増大させにくい電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る電子機器は、第1の長さにわたって延びる板状の第1のアンテナ基板と、第2の長さにわたって延びる板状の第2のアンテナ基板と、第1のアンテナ基板及び第2のアンテナ基板を収容する直方体形状の筐体とを備えている。第1のアンテナ基板及び第2のアンテナ基板は、第1のアンテナ基板及び第2のアンテナ基板の長手方向が筐体の1つの主面における1つの辺に平行になるように配置されている。第1のアンテナ基板及び第2のアンテナ基板は互いに並列に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る電子機器によれば、第1のアンテナ基板及び第2のアンテナ基板を互いに並列に配置することにより、第1のアンテナ基板及び第2のアンテナ基板を並列させずに直列に整列させる場合に比較して、筐体を小型化することができる。従って、本開示に係る電子機器によれば、複数のアンテナ基板を内部に収容していても筐体のサイズを増大させにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の実施の形態1に係る電子機器を示す斜視図である。
図2図2は、本開示の実施の形態1に係る電子機器の上側筐体の外側を示す斜視図である。
図3図3は、本開示の実施の形態1に係る電子機器の上側筐体のパネルの内面を示す斜視図である。
図4図4は、本開示の実施の形態1に係る電子機器の上側筐体のパネルの内面の一部を示す平面図である。
図5図5は、本開示の実施の形態1に係る電子機器の上側筐体のパネルの外面の一部を示す平面図である。
図6図6は、本開示の実施の形態1に係る電子機器の上側筐体のパネルの上側面を示す側面図である。
図7図7は、図3の7-7線における上側筐体のパネルの断面図である。
図8図8は、本開示の実施の形態1に係る電子機器の第1のアンテナ基板の構成を示す平面図である。
図9図9は、図8の表面の放射導体のパターンを示す平面図である。
図10図10は、図8の裏面の放射導体のパターンを示す平面図である。
図11図11は、本開示の実施の形態1に係る電子機器の第1のアンテナ基板が第1の低域周波数f1aで動作するときに共振する部分を示す図である。
図12図12は、本開示の実施の形態1に係る電子機器の第1のアンテナ基板が第2の低域周波数f1bで動作するときに共振する部分を示す図である。
図13図13は、本開示の実施の形態1に係る電子機器の第1のアンテナ基板が第3の低域周波数f1cで動作するときに共振する部分を示す図である。
図14図14は、本開示の実施の形態1に係る電子機器の第2のアンテナ基板の構成を示す平面図である。
図15図15は、図14の表面の放射導体のパターンを示す平面図である。
図16図16は、図14の裏面の放射導体のパターンを示す平面図である。
図17図17は、本開示の実施の形態1に係る電子機器の第2のアンテナ基板が第1の高域周波数f2aで動作するときに共振する部分を示す図である。
図18図18は、本開示の実施の形態1に係る電子機器の第2のアンテナ基板が第2の高域周波数f2bで動作するときに共振する部分を示す図である。
図19図19は、本開示の実施の形態1に係る電子機器の第1のアンテナ基板及び第2のアンテナ基板の等価回路図である。
図20図20は、本開示の実施の形態2に係る電子機器の上側筐体のパネルの内面を示す斜視図である。
図21図21は、本開示の実施の形態2に係る電子機器の上側筐体のパネルの内面の一部を示す平面図である。
図22図22は、本開示の実施の形態2に係る電子機器の上側筐体のパネルの上側面を示す側面図である。
図23図23は、図20の23-23線における上側筐体のパネルの断面図である。
図24図24は、本開示の実施の形態3に係る電子機器の上側筐体のパネルの内面を示す斜視図である。
図25図25は、本開示の実施の形態3に係る電子機器の上側筐体のパネルの内面の一部を示す平面図である。
図26図26は、本開示の実施の形態3に係る電子機器の上側筐体のパネルの上側面を示す側面図である。
図27図27は、図24の27-27線における上側筐体のパネルの断面図である。
図28図28は、本開示の実施の形態4に係る電子機器の上側筐体のパネルの内面を示す斜視図である。
図29図29は、本開示の実施の形態4に係る電子機器の上側筐体のパネルの内面の一部を示す平面図である。
図30図30は、本開示の実施の形態4に係る電子機器の上側筐体のパネルの上側面を示す側面図である。
図31図31は、図28の31-31線における上側筐体のパネルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0010】
なお、発明者は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0011】
(実施の形態1)
図1図19を参照して、本開示の実施の形態1に係る電子機器100について説明する。
【0012】
[1-1.構成]
[1-1-1.全体構成]
図1は、本開示の実施の形態1に係る電子機器100を開状態で示す斜視図である。電子機器100は、例えば、ノートブック型コンピュータである。電子機器100の筐体は、ヒンジ31,32により開閉可能に連結された下側筐体10及び上側筐体20を含む。下側筐体10及び上側筐体20は、それぞれ、実質的に直方体形状を有する。図2は、図1の電子機器100の上側筐体20の外側を示す斜視図である。
【0013】
電子機器100は、下側筐体10の表面に、キーボード11及びポインティングデバイス12を備えている。電子機器100は、下側筐体10の内部に、低域周波数帯で動作するWAN(例えばLTEなど)用の無線通信回路13と、低域周波数帯よりも高い高域周波数帯で動作するLAN(例えばWi-Fiなど)用の無線通信回路14とを備える。低域周波数帯は、例えば、700~950MHz及び1.4~2.17GHzを含む。また、高域周波数帯は、例えば、2.4~2.5GHz及び5.15~5.825GHzを含む。
【0014】
電子機器100は、上側筐体20の内部に、液晶表示装置であるディスプレイ24と、アンテナ基板40-1,40-2,50-1,50-2とを備えている。アンテナ基板40-1,40-2は、所定長さにわたって延びる板状形状を有するWAN用のアンテナであり、低域周波数帯(例えば、700~950MHz及び1.4~2.17GHz)で動作する。アンテナ基板40-1,40-2は、給電線61-1及び61-2を介してWAN用の無線通信回路13にそれぞれ接続されている。アンテナ基板50-1,50-2は、アンテナ基板40-1,40-2の長さよりも短い所定長さにわたって延びる板状形状を有するLAN用のアンテナであり、高域周波数帯(例えば、2.4~2.5GHz及び5.15~5.825GHz)で動作する。アンテナ基板50-1,50-2は、給電線62-1及び62-2を介してLAN用の無線通信回路14にそれぞれ接続されている。
【0015】
アンテナ基板40-1,40-2,50-1,50-2は、上側筐体20におけるディスプレイ24の周囲の領域に設けられる。図1及び図2の例では、アンテナ基板40-1,40-2,50-1,50-2は、ディスプレイ24の上方(ディスプレイ24に対してヒンジ31及び32とは逆側の部分)における、上側筐体20の幅全体にわたる領域に配置可能である。この領域において、WAN用のアンテナ基板40-1,40-2は互いに異なる位置に設けられ、LAN用のアンテナ基板50-1,50-2は互いに異なる位置に設けられる。WAN用の無線通信回路13は、アンテナ基板40-1,40-2のいずれかを選択的に用いて通信することで、空間ダイバーシティを実現する。同様に、LAN用の無線通信回路14は、アンテナ基板50-1,50-2のいずれかを選択的に用いて通信することで、空間ダイバーシティを実現する。
【0016】
上側筐体20は、電子機器100を折りたたんだときに外部に露出しない内側筐体であるベゼル21と、外部に露出する外側筐体であるパネル22及びアンテナカバー23とを含む。ベゼル21及びアンテナカバー23は、合成樹脂などの非金属材料からなる。パネル22は、マグネシウム合金などの導電性材料からなる。ベゼル21は、ディスプレイ24の画面の周縁部分を包囲するように配置される。パネル22は、平面視で略矩形形状を有し、ディスプレイ24の裏側に配置される背面パネルである。パネル22は、アンテナ基板40-1,40-2,50-1,50-2による電波の送受信を妨げないように、アンテナ基板40-1,40-2,50-1,50-2を収容して支持するための部分を有する。図1及び図2の例では、この部分は、平面視で略矩形形状のパネル22において、ヒンジ31及び32に連結された辺の対辺に沿った細長い領域に設けられる。パネル22のこの部分と、この部分に設けられたアンテナ基板40-1,40-2,50-1,50-2とを覆うように、アンテナカバー23が設けられる。
【0017】
電子機器100は、下側筐体10の内部に、中央処理装置(Central Proceccing Unit:CPU)、バッテリ、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)又はソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)、各種の入出力端子、及びその他の部品をさらに備える。電子機器100は、下側筐体10の内部に、ブルーレイディスク及び/又はDVDディスクを読み書きするための光ディスクドライブ、マイクロホン及びスピーカ、などの部品をさらに備えてもよい。電子機器100は、上側筐体20の内部に、ウェブカメラなどの部品をさらに備えてもよい。これらの部品の機能及び形状は、従来のノートブック型コンピュータと同様であるので、図示及び詳細な説明を省略する。
【0018】
[1-1-2.アンテナ基板の配置]
次に、図3図7を参照して、アンテナ基板40-1,40-2,50-1,50-2の配置について説明する。
【0019】
図3は、図1の電子機器100の上側筐体20のパネル22の内面を示す斜視図である。図4は、図1の電子機器100の上側筐体20のパネル22の内面の一部を示す平面図である。図5は、図1の電子機器100の上側筐体20のパネル22の外面の一部を示す平面図である。図6は、図1の電子機器100の上側筐体20のパネル22の上側面を示す側面図である。図7は、図3の7-7線における上側筐体20のパネル22の断面図である。以下、図に示すXYZ座標を参照し、+Y側、-Y側、-X側、及び+X側をそれぞれ上側、下側、左側、及び右側とする。
【0020】
XY平面に平行であるパネル22の背面22aは、上側筐体20の1つの主面を構成する。パネル22は、前述のように平面視で略矩形形状を有し、X軸に平行な上辺22b及び下辺22dと、Y軸に平行な右辺22c及び左辺22eを有する。アンテナ基板40-1,40-2,50-1,50-2は、それらの長手方向がパネル22の上辺22bに平行になるように配置されている。言い換えると、アンテナ基板40-1,40-2,50-1,50-2は、上側筐体20の1つの側部の延設方向に平行になるように配置されている。
【0021】
アンテナ基板40-1及びアンテナ基板50-1は互いに並列に配置されている。アンテナ基板40-1は、図6に示すようにネジ25によりパネル22に固定され、アンテナ基板40-1の一対の主面がパネル22の背面22aに垂直になるように配置されている。アンテナ基板50-1は、図3及び図4に示すようにネジ25によりパネル22に固定され、アンテナ基板50-1の一対の主面がパネル22の背面22aに平行になるように配置されている。
【0022】
アンテナ基板40-2及びアンテナ基板50-2は互いに並列に配置されている。アンテナ基板40-2は、図6に示すようにネジ25によりパネル22に固定され、アンテナ基板40-2の一対の主面がパネル22の背面22aに垂直になるように配置されている。アンテナ基板50-2は、図3及び図4に示すようにネジ25によりパネル22に固定され、アンテナ基板50-2の一対の主面がパネル22の背面22aに平行になるように配置されている。
【0023】
図7に示すように、アンテナ基板40-1及びアンテナ基板50-1は、Y方向に所定距離d1を有して配置されている。アンテナ基板40-1の長手方向の長さが例えば約90mmであり、アンテナ基板50-1の長手方向の長さが例えば約30mmである場合、距離d1は例えば約4mmに設定される。
【0024】
図3に示すように、アンテナ基板40-1は給電点P11aを有し、給電点P11aは給電線61-1を介してWAN用の無線通信回路13に接続されている。アンテナ基板40-2は給電点P12aを有し、給電点P12aは給電線61-2を介してWAN用の無線通信回路13に接続されている。アンテナ基板50-1は給電点P21aを有し、給電点P21aは給電線62-1を介してLAN用の無線通信回路14に接続されている。アンテナ基板50-2は給電点P22aを有し、給電点P22aは給電線62-2を介してLAN用の無線通信回路14に接続されている。
【0025】
[1-1-3.アンテナ基板の構成及び動作]
次に、図8図18を参照して、アンテナ基板40-1,40-2,50-1,50-2の構成及び動作について説明する。アンテナ基板40-1,40-2のそれぞれは、低域周波数帯における複数の周波数で動作するマルチバンドアンテナとして構成されている。アンテナ基板50-1,50-2のそれぞれは、高域周波数帯における複数の周波数で動作するマルチバンドアンテナとして構成されている。
【0026】
まず、図8図13を参照して、アンテナ基板40-1の構成及び動作について説明する。
【0027】
図8は、図1の電子機器100の第1のアンテナ基板40-1の構成を示す平面図である。図9は、図8の表面の放射導体のパターンを示す平面図である。図10は、図8の裏面の放射導体のパターンを示す平面図である。
【0028】
アンテナ基板40-1は、誘電体基板41と、給電点P11a及び接続点P11bと、誘電体基板41の一対の主面(表面41a及び裏面41b)に形成された放射素子42~44と、非励振素子45と、接地導体G1a,G1bとを備える。誘電体基板41は、所定幅及び所定長さを有し、長手方向に沿った第1の端部(以下、図面に合わせて「左端」という)及び第2の端部(以下、図面に合わせて「右端」という)を有し、第1の面(表面41a)及び第2の面(裏面41b)を有する。放射素子43,44、非励振素子45、及び接地導体G1aは、誘電体基板41の表面41aに形成されている。放射素子42及び接地導体G1bは、誘電体基板41の裏面41bに形成されている。図8及び図10では、誘電体基板41の裏面41bに形成された放射素子42及び接地導体G1bを点線で示す。放射素子42~44は、アンテナ基板40-1の長手方向に沿って、アンテナ基板40-1の長手方向の長さよりも短い所定長さにわたって形成されている。放射素子42~44、非励振素子45、及び接地導体G1a,G1bは、例えば、プリント配線基板の両面に導体パターンとして形成される。
【0029】
接地導体G1a,G1bは、誘電体基板41上の所定位置に設けられ、例えば誘電体基板41の左端に近接して設けられる。また、アンテナ基板40-1は、誘電体基板41を貫通し、接地導体G1a,G1bを電気的に接続する少なくとも1つのスルーホール導体47cを備える。
【0030】
放射素子42は、誘電体基板41の裏面41bにおいて、接地導体G1bから所定距離を有する位置(図8及び図10では、接地導体G1bの右側の位置)から誘電体基板41の右端に向かって所定長さにわたって延在して形成される。放射素子42及び接地導体G1bが互いに近接した位置において、放射素子42上に給電点P11aが設けられ、接地導体G1b上に接続点P11bが設けられ、給電点P11a及び接続点P11bは互いに近接している。従って、放射素子42は、給電点P11aから誘電体基板41の右端に向かって延在し、給電点P11aに近接した第1の端部(以下、図面に合わせて「左端」という)及び給電点P11aから遠隔した第2の端部(以下、図面に合わせて「右端」という)を有する。
【0031】
放射素子43は、誘電体基板41の表面41aにおいて誘電体基板41の長手方向に沿って所定長さにわたって延在して形成される。放射素子43は、第1の端部(以下、図面に合わせて「左端」という)及び第2の端部(以下、図面に合わせて「右端」という)を有し、第2の端部は第1の端部よりも給電点P11aから遠隔している。従って、第1の端部は、給電点P11aに相対的に近接し、第2の端部は給電点P11aから相対的に遠隔している。放射素子43は、誘電体基板41を介して放射素子42と重なり合う部分と、放射素子42の右端と重なり合う位置から誘電体基板41の右端に向かって延在する部分とを含む。アンテナ基板40-1は、放射素子42,43が誘電体基板41を介して重なり合う部分におけるいずれかの位置において、誘電体基板41を貫通し、放射素子42,43を電気的に接続する少なくとも1つのスルーホール導体47bを備える。図8図10の例では、スルーホール導体47bは放射素子43の左端に設けられる。
【0032】
放射素子44は、誘電体基板41の表面41aにおいて、接地導体G1aから所定距離を有する位置(図8及び図9では、接地導体G1aの右側の位置)から誘電体基板41の右端に向かって所定長さにわたって延在して形成される。放射素子44は、第1の端部(以下、図面に合わせて「左端」という)及び第2の端部(以下、図面に合わせて「右端」という)を有する。アンテナ基板40-1は、放射素子44の左端及び放射素子42の左端において、誘電体基板41を貫通し、放射素子42,44を電気的に接続する少なくとも1つのスルーホール導体47aを備える。従って、放射素子44は、給電点P11aと電気的に接続されているので、給電点P11aから誘電体基板41の右端に向かって延在している。放射素子44の長手方向の長さは、放射素子42の長手方向の長さよりも短い。放射素子44の少なくとも一部は、他の放射素子42,43に対する強い電磁結合が発生して放射素子44の共振が妨げられることがないように、放射素子42,43から遠隔している。従って、例えば、誘電体基板41の両面において、放射素子44の少なくとも一部は、誘電体基板41を介して、放射素子42と重なり合うことなく配置されている。さらに、誘電体基板41の表面41aにおいて、放射素子44は、放射素子43から所定の距離を有して配置されている。
【0033】
非励振素子45及び接地導体G1aは一体的に形成され、非励振素子45は、誘電体基板41の表面41aにおいて、接地導体G1aから誘電体基板41の右端に向かって所定長さにわたって延在して形成される。非励振素子45は、放射素子42,44に対して所定の電磁結合が生じるように配置されている。
【0034】
給電点P11a及び接続点P11bは、給電線61-1を介して、WAN用の無線通信回路13に接続される。給電線61-1は、内部導体61-1a及び外部導体61-1bを有するシールド線であり、内部導体61-1aは給電点P11aに接続され、外部導体61-1bは接続点P11bに接続されている。
【0035】
アンテナ基板40-1は、接地導体G1a,G1bの位置において、ネジ25によりアンテナ基板40-1をパネル22に固定するためのネジ孔48を有する。ネジ25によりアンテナ基板40-1をパネル22に固定したとき、接地導体G1a,G1bはパネル22に電気的に接続される。ただし、アンテナ基板40-1は、ネジ25によりアンテナ基板40-1をパネル22に固定したとき、接地導体G1a,G1b以外の導体部分(放射素子42~44及び非励振素子45)がパネルに電気的に接触しないように構成される。
【0036】
放射素子42は、放射素子42,43が誘電体基板41を介して重なり合う部分において、放射素子43と容量的に結合する。放射素子42の右端の位置を調整することにより、放射素子42,43の間に形成される容量を調整することができる。放射素子42,43の少なくとも一方は、放射素子42,43が容量的に結合した部分において、所定長さにわたって形成されたメアンダ形状の部分を有する。図8図10の例では、放射素子43が、放射素子43の左端から放射素子43の右端に向かって所定長さにわたって形成されたメアンダ形状の部分を有する。メアンダ形状の部分は所定のインダクタンスを有する。メアンダ形状の部分の長さを調整することにより、メアンダ形状の部分のインダクタンスを調整することができる。放射素子43のメアンダ形状の部分と、放射素子42,43が容量的に結合した部分とにより、LC共振器46が構成される。LC共振器46の共振周波数は、メアンダ部分のインダクタンスと、メアンダ部分とオーバーラップする放射素子42の面積とにより決まる。したがって、LC共振器46の共振周波数は、放射素子42の右端の位置を調整するだけで所用の周波数に確定できる。つまり、LC共振器46の共振周波数は、放射素子43の全長及び放射素子44の全長とは独立に調節することが可能である。
【0037】
放射素子42~44は、それらの間の電磁結合を最小化するように(LC共振器46の部分を除く)、誘電体基板41の幅方向において遠隔するように形成される。
【0038】
アンテナ基板40-1は、以下に説明するように、低域周波数帯における3つの周波数(すなわち、第1の低域周波数f1a、第2の低域周波数f1b、第3の低域周波数f1c)で動作する。
【0039】
図11は、図1の電子機器100の第1のアンテナ基板40-1が第1の低域周波数f1aで動作するときに共振する部分を示す図である。アンテナ基板40-1が第1の低域周波数f1aで動作するとき、放射素子42,43の給電点P11aから放射素子43の右端までの部分が共振する。放射素子43がメアンダ形状の部分を備えたことにより、放射素子43の電気長は増大する。
【0040】
図12は、図1の電子機器100の第1のアンテナ基板40-1が第2の低域周波数f1bで動作するときに共振する部分を示す図である。アンテナ基板40-1が第1の低域周波数f1aより高い第2の低域周波数f1bで動作するとき、放射素子42の給電点P11aからLC共振器46までの部分が共振する。アンテナ基板40-1がLC共振器46を備えたことにより、放射素子42が第2の低域周波数f1bで共振する。
【0041】
図13は、図1の電子機器100の第1のアンテナ基板40-1が第3の低域周波数f1cで動作するときに共振する部分を示す図である。アンテナ基板40-1が第2の低域周波数f1bより高い第3の低域周波数f1cで動作するとき、放射素子44が共振する。
【0042】
低域周波数帯が700~950MHz及び1.4~2.17GHzを含む場合、例えば、第1の低域周波数f1aは700MHz帯の周波数であり、第2の低域周波数f1bは1.5GHz帯の周波数であり、第3の低域周波数f1cは2.1GHz帯の周波数である。
【0043】
アンテナ基板40-2もまた、アンテナ基板40-1と同様に構成されている。
【0044】
次に、図14図18を参照して、アンテナ基板50-1の構成及び動作について説明する。
【0045】
図14は、図1の電子機器100の第2のアンテナ基板50-1の構成を示す平面図である。図15は、図14の表面の放射導体のパターンを示す平面図である。図16は、図14の裏面の放射導体のパターンを示す平面図である。
【0046】
アンテナ基板50-1は、誘電体基板51と、給電点P21a及び接続点P21bと、誘電体基板51の一対の主面(表面51a及び裏面51b)に形成された放射素子52,53と、非励振素子54と、接地導体G2a,G2bとを備える。誘電体基板51は、所定幅及び所定長さを有し、長手方向に沿った第1の端部(以下、図面に合わせて「左端」という)及び第2の端部(以下、図面に合わせて「右端」という)を有し、第1の面(表面51a)及び第2の面(裏面51b)を有する。放射素子53、非励振素子54、及び接地導体G2aは、誘電体基板51の表面51aに形成されている。放射素子52及び接地導体G2bは、誘電体基板51の裏面51bに形成されている。図14及び図16では、誘電体基板51の裏面51bに形成された放射素子52及び接地導体G2bを点線で示す。放射素子52,53は、アンテナ基板50-1の長手方向に沿って、アンテナ基板50-1の長手方向の長さよりも短い所定長さにわたって形成されている。放射素子52,53、非励振素子54、及び接地導体G2a,G2bは、例えば、プリント配線基板の両面に導体パターンとして形成される。
【0047】
接地導体G2a,G2bは、誘電体基板51上の所定位置に設けられ、例えば誘電体基板51の左端に近接して設けられる。また、アンテナ基板50-1は、誘電体基板51を貫通し、接地導体G2a,G2bを電気的に接続する少なくとも1つのスルーホール導体55bを備える。
【0048】
放射素子52は、誘電体基板51の裏面51bにおいて、互いに近接して設けられた給電点P21a及び接続点P21bの間にループ状に引き回される。放射素子52は、さらに、接続点P21bに接続された位置から接地導体G2bまで延在して接地導体G2bに接続される。
【0049】
放射素子53は、誘電体基板51の表面51aにおいて、接地導体G2aから所定距離を有する位置(図14及び図15では、接地導体G2aの右側の位置)から誘電体基板51の右端に向かって所定長さにわたって延在して形成される。アンテナ基板50-1は、放射素子53の左端及び給電点P21aに近接した放射素子52の一端において、誘電体基板51を貫通し、放射素子52,53を電気的に接続する少なくとも1つのスルーホール導体55aを備える。従って、放射素子53は、給電点P21aと電気的に接続されているので、給電点P21aから誘電体基板51の右端に向かって延在している。
【0050】
非励振素子54及び接地導体G2aは一体的に形成され、非励振素子54は、誘電体基板51の表面51aにおいて、接地導体G2aから誘電体基板51の右端に向かって所定長さにわたって延在して形成される。非励振素子54は、放射素子52,53に対して所定の電磁結合が生じるように配置されている。
【0051】
給電点P21a及び接続点P21bは、給電線62-1を介して、LAN用の無線通信回路14に接続される。給電線62-1は、内部導体62-1a及び外部導体62-1bを有するシールド線であり、内部導体62-1aは給電点P21aに接続され、外部導体62-1bは接続点P21bに接続されている。
【0052】
アンテナ基板50-1は、接地導体G2a,G2bの位置において、ネジ25によりアンテナ基板50-1をパネル22に固定するためのネジ孔56を有する。ネジ25によりアンテナ基板50-1をパネル22に固定したとき、接地導体G2a,G2bはパネル22に電気的に接続される。ただし、アンテナ基板50-1は、ネジ25によりアンテナ基板50-1をパネル22に固定したとき、接地導体G2a,G2b以外の導体部分(放射素子52,53及び非励振素子54)がパネルに電気的に接触しないように構成される。
【0053】
アンテナ基板50-1は、以下に説明するように、高域周波数帯における2つの周波数(すなわち、第1の高域周波数f2a、第2の高域周波数f2b)で動作する。
【0054】
図17は、図1の電子機器100の第2のアンテナ基板50-1が第1の高域周波数f2aで動作するときに共振する部分を示す図である。アンテナ基板50-1が第1の高域周波数f2aで動作するとき、スルーホール導体55aによって互いに接続された放射素子52及び放射素子53がともに共振し、放射素子52及び放射素子53は逆Fアンテナとして動作する。
【0055】
図18は、図1の電子機器100の第2のアンテナ基板50-1が第2の高域周波数f2bで動作するときに共振する部分を示す図である。アンテナ基板50-1が第2の高域周波数f2bで動作するとき、放射素子52が非励振素子54と電磁結合し、放射素子52のループに沿った部分と非励振素子54とが共振し、放射素子52はループアンテナとして動作する。
【0056】
高域周波数帯が2.4~2.5GHz及び5.15~5.825GHzを含む場合、例えば、第1の高域周波数f2aは2.4GHz帯の周波数であり、第2の高域周波数f2bは5GHz帯の周波数である。
【0057】
アンテナ基板50-2もまた、アンテナ基板50-1と同様に構成されている。
【0058】
[1-2.作用]
一般に、電子機器の筐体内にアンテナを設ける場合、電波の送受信のために、筐体の少なくとも一部を非金属で構成する必要がある。一方、電子機器の筐体に必要な強度を与えるためには、筐体の大部分を金属で構成し、非金属の部分をなるべく少なくするように求められる場合がある。この場合、アンテナを設置可能な部分(すなわち、筐体の非金属の部分)の寸法が限定される。例えば、電子機器が下側筐体及び上側筐体を含むノートブック型コンピュータである場合、アンテナを設置可能な部分は、平面視で略矩形形状を有する上側筐体の1辺に沿った細長い領域に限定されることがある。
【0059】
電子機器の筐体内に複数のアンテナを設ける場合、アンテナを設置可能な部分が細長い領域に限定されていると、複数のアンテナは、この領域の長手方向に沿って直列に整列されるように制約を受けることがある。このとき、各アンテナの寸法も限定されることになる。
【0060】
また、アンテナを設置可能な部分の寸法が限定されている場合、電子機器の筐体内により低い周波数で動作するアンテナ(すなわち、より大きなサイズのアンテナ)を設けるためには、筐体を大きくする必要がある。
【0061】
一方、実施の形態1に係る電子機器は、アンテナ基板40-1,40-2,50-1,50-2を上記のように配置したことにより、以下の作用を有する。
【0062】
電子機器100では、アンテナ基板40-1及びアンテナ基板50-1が互いに並列に配置され、アンテナ基板40-2及びアンテナ基板50-2が互いに並列に配置されている。これにより、アンテナ基板40-1,40-2,50-1,50-2を並列させずに直列に整列させる場合に比較して、上側筐体20の幅(X方向の長さ)を減少させ、上側筐体20を小型化することができる。
【0063】
また、上側筐体20のサイズが一定であるとき、アンテナ基板40-1,40-2,50-1,50-2を並列させずに直列に整列させる場合に比較して、低域周波数帯で動作するアンテナ基板40-1,40-2を配置するための領域を大きくすることができる。従って、アンテナ基板40-1,40-2の動作周波数を低くすることができる。
【0064】
また、電子機器100では、アンテナ基板40-1の一対の主面がアンテナ基板50-1の一対の主面に垂直になるように配置されている。これにより、アンテナ基板40-1の面とアンテナ基板50-1の面とが向かい合うように配置される場合に比較して、アンテナ基板40-1の導体部分とアンテナ基板50-1の導体部分との電磁結合を低減することができる。同様に、電子機器100では、アンテナ基板40-2の一対の主面がアンテナ基板50-2の一対の主面に垂直になるように配置されている。これにより、アンテナ基板40-2の面とアンテナ基板50-2の面とが向かい合うように配置される場合に比較して、アンテナ基板40-2の導体部分とアンテナ基板50-2の導体部分との電磁結合を低減することができる。アンテナ基板40-1,40-2,50-1,50-2間の電磁結合を低減したことにより、アンテナ基板40-1,40-2,50-1,50-2のそれぞれを良好に動作させることができる。
【0065】
従って、実施の形態1に係る電子機器100によれば、複数のアンテナ基板40-1,40-2,50-1,50-2を内部に収容していても上側筐体20のサイズを増大させにくくすることができる。
【0066】
また、低域周波数帯で動作するアンテナ基板40-1,40-2がマルチバンドアンテナとして構成されていることにより、以下の作用を有する。
【0067】
図19は、図1の電子機器100のアンテナ基板40-1及びアンテナ基板50-1の等価回路図である。前述のように、アンテナ基板40-1において、放射素子42,43の間にLC共振器46が構成されている。言いかえると、アンテナ基板40-1の放射素子42,43は、アンテナ基板40-1の長手方向に沿って、給電点P11aからLC共振器46までの区間(放射素子42の区間)と、LC共振器46から先端までの区間(放射素子43の区間)とを含む。アンテナ基板40-1は、放射素子42の区間において給電点P11aに接続され、放射素子43の区間の少なくとも一部のみにおいてアンテナ基板50-1の放射素子52(及び放射素子53)に対向する。アンテナ基板40-1が第1の低域周波数f1aで動作するとき、放射素子42,43の全体が共振し、アンテナ基板40-1が第2の低域周波数f1bで動作するとき、放射素子43の区間は共振せず、放射素子42の区間が共振する。
【0068】
アンテナ基板40-1の放射素子42の区間は、アンテナ基板50-1の放射素子52,53に対向していない。従って、第2の低域周波数f1bが第1の高域周波数f2a又は第2の高域周波数f2bに近接し、アンテナ基板40-1及びアンテナ基板50-1がこれらの周波数でそれぞれ動作するときであっても、互いに影響を与えにくくすることができる。
【0069】
また、図8に示すように、アンテナ基板40-1の放射素子44は、アンテナ基板50-1の放射素子52,53に対向していない。従って、第3の低域周波数f1cが第1の高域周波数f2a又は第2の高域周波数f2bに近接し、アンテナ基板40-1及びアンテナ基板50-1がこれらの周波数でそれぞれ動作するときであっても、互いに影響を与えにくくすることができる。
【0070】
アンテナ基板40-2及びアンテナ基板50-2もまた、アンテナ基板40-1及びアンテナ基板50-2と同様に動作する。
【0071】
電子機器100では、例えば、低域周波数帯で動作するアンテナ基板40-1,40-2をWAN用のアンテナとして使用し、高域周波数帯で動作するアンテナ基板50-1,50-2をLAN用のアンテナとして使用することができる。電子機器100では、小型の上側筐体20において、アンテナ性能の低下を生じにくくしながら、動作周波数帯が異なる2種類のアンテナ基板40-1,40-2,50-1,50-2を効果的に使用することができる。
【0072】
[1-3.効果等]
実施の形態1において、電子機器100は、第1の長さにわたって延びる板状の第1のアンテナ基板40-1,40-2と、第2の長さにわたって延びる板状の第2のアンテナ基板50-1,50-2と、直方体形状の上側筐体20とを備えている。直方体形状の上側筐体20は、第1のアンテナ基板40-1,40-2及び第2のアンテナ基板50-1,50-2を収容する。第1のアンテナ基板40-1,40-2及び第2のアンテナ基板50-1,50-2は、第1のアンテナ基板40-1,40-2及び第2のアンテナ基板50-1,50-2の長手方向が上側筐体20の1つの主面における1つの辺に平行になるように配置されている。第1のアンテナ基板40-1及び第2のアンテナ基板50-1は互いに並列に配置され、第1のアンテナ基板40-2及び第2のアンテナ基板50-2は互いに並列に配置されている。
【0073】
これにより、アンテナ基板40-1,40-2,50-1,50-2を並列させずに直列に整列させる場合に比較して、上側筐体20の幅(X方向の長さ)を減少させ、上側筐体20を小型化することができる。従って、複数のアンテナ基板40-1,40-2,50-1,50-2を内部に収容していても上側筐体20のサイズを増大させにくくすることができる。
【0074】
また、実施の形態1において、第1のアンテナ基板40-1,40-2は、第1のアンテナ基板40-1,40-2の一対の主面が上側筐体20の1つの主面に垂直になるように配置されている。また、第2のアンテナ基板50-1,50-2は、第2のアンテナ基板50-1,50-2の一対の主面が上側筐体20の1つの主面に平行になるように配置されている。
【0075】
これにより、アンテナ基板40-1の導体部分とアンテナ基板50-1の導体部分との電磁結合を低減し、アンテナ基板40-2の導体部分とアンテナ基板50-2の導体部分との電磁結合を低減することができる。
【0076】
また、実施の形態1において、第1のアンテナ基板40-1,40-2は低域周波数帯(第1の周波数帯)で動作し、第2のアンテナ基板50-1,50-2は低域周波数帯よりも高い高域周波数帯(第2の周波数帯)で動作する。第2のアンテナ基板50-1,50-2の長手方向の長さ(第2の長さ)は、第1のアンテナ基板40-1,40-2の長手方向の長さ(第1の長さ)よりも短い。
【0077】
これにより、例えば、低域周波数帯で動作するアンテナ基板40-1,40-2をWAN用のアンテナとして使用し、高域周波数帯で動作するアンテナ基板50-1,50-2をLAN用のアンテナとして使用することができる。
【0078】
また、実施の形態1において、第1のアンテナ基板40-1,40-2は、第1の誘電体基板41と、第1の給電点P11a,P12aと、少なくとも1つの第1の放射素子42~44とを備えている。第1の給電点P11a,P12aは第1の誘電体基板41の所定の位置に設けられている。第1の放射素子42~44は、第1の誘電体基板41の一対の主面の少なくとも一方に形成されている。第1の放射素子42~44は、第1のアンテナ基板40-1,40-2の長手方向に沿って、第1のアンテナ基板40-1,40-2の長手方向の長さ(第1の長さ)よりも短い長さ(第3の長さ)にわたって形成されている。第2のアンテナ基板50-1,50-2は、第2の誘電体基板51と、第2の給電点P21a,P22aと、少なくとも1つの第2の放射素子52,53とを備えている。第2の給電点P21a,P22aは第2の誘電体基板51の所定の位置に設けられている。第2の放射素子52,53は、第2の誘電体基板51の一対の主面の少なくとも一方に形成されている。第2の放射素子52,53は、第2のアンテナ基板50-1,50-2の長手方向に沿って、第2のアンテナ基板50-1,50-2の長手方向の長さ(第2の長さ)よりも短い長さ(第4の長さ)にわたって形成されている。第1の放射素子42~44は、第1のアンテナ基板40-1,40-2の長手方向に沿って放射素子42の区間(第1の区間)及び放射素子43の区間(第2の区間)を含む。第1の放射素子42~44は、放射素子42の区間において第1の給電点P11a,P12aに接続され、放射素子43の区間の少なくとも一部のみにおいて第2の放射素子52,53に対向する。
【0079】
これにより、第1のアンテナ基板40-1,40-2はマルチバンドアンテナとして動作する。第1のアンテナ基板40-1,40-2の放射素子42の区間の共振周波数が第2のアンテナ基板50-1,50-2の共振周波数に近接する場合がある。このような場合に、第1のアンテナ基板40-1,40-2及び第2のアンテナ基板50-1,50-2がこれらの周波数でそれぞれ動作するときであっても、互いに影響を与えにくくすることができる。
【0080】
また、実施の形態1において、第1のアンテナ基板40-1,40-2が低域周波数帯に含まれる第1の低域周波数f1aで動作するとき、放射素子42,43の全体が共振する。また、第1のアンテナ基板40-1,40-2が低域周波数帯に含まれる第1の低域周波数f1aより高い第2の低域周波数f1bで動作するとき、放射素子42の区間が共振する。
【0081】
第2の低域周波数f1bが第2のアンテナ基板50-1,50-2の共振周波数に近接する場合がある。このような場合に、第1のアンテナ基板40-1,40-2及び第2のアンテナ基板50-1,50-2がこれらの周波数でそれぞれ動作するときであっても、互いに影響を与えにくくすることができる。
【0082】
また、実施の形態1において、第1のアンテナ基板40-1,40-2は、放射素子42の区間及び放射素子43の区間の間にLC共振器46を備えている。
【0083】
これにより、LC共振器46の共振周波数を調節することにより、放射素子42の区間の共振周波数及び放射素子43の区間の共振周波数を適切に調節することができる。
【0084】
(実施の形態2)
図20図23を参照して、本開示の実施の形態2に係る電子機器について説明する。
【0085】
[2-1.構成]
図20は、本開示の実施の形態2に係る電子機器の上側筐体のパネル22Aの内面を示す斜視図である。図21は、本開示の実施の形態2に係る電子機器の上側筐体のパネル22Aの内面の一部を示す平面図である。図22は、本開示の実施の形態2に係る電子機器の上側筐体のパネル22Aの上側面を示す側面図である。図23は、図20の23-23線における上側筐体のパネルの断面図である。実施の形態2に係る電子機器では、図20図23のパネル22Aが、実施の形態1に係る電子機器100の上側筐体20のパネル22に代えて設けられる。
【0086】
XY平面に平行であるパネル22Aの背面22Aaは、上側筐体の1つの主面を構成する。パネル22Aは、平面視で略矩形形状を有し、X軸に平行な上辺22Ab及び下辺22Adと、Y軸に平行な右辺22Ac及び左辺22Aeを有する。アンテナ基板40-1,40-2,50-1,50-2は、それらの長手方向がパネル22Aの上辺22Abに平行になるように配置されている。
【0087】
アンテナ基板40-1及びアンテナ基板50-1は互いに並列に配置されている。アンテナ基板40-1は、図20及び図21に示すようにネジ25によりパネル22Aに固定され、アンテナ基板40-1の一対の主面がパネル22Aの背面22Aaに平行になるように配置されている。アンテナ基板50-1は、図22に示すようにネジ25によりパネル22Aに固定され、アンテナ基板50-1の一対の主面がパネル22Aの背面22Aaに垂直になるように配置されている。
【0088】
アンテナ基板40-2及びアンテナ基板50-2は互いに並列に配置されている。アンテナ基板40-2は、図20及び図21に示すようにネジ25によりパネル22Aに固定され、アンテナ基板40-2の一対の主面がパネル22Aの背面22Aaに平行になるように配置されている。アンテナ基板50-2は、図22に示すようにネジ25によりパネル22Aに固定され、アンテナ基板50-2の一対の主面がパネル22Aの背面22Aaに垂直になるように配置されている。
【0089】
図23に示すように、アンテナ基板40-1及びアンテナ基板50-1は、Y方向に所定距離d2を有して配置されている。
【0090】
[2-2.効果]
実施の形態2において、第1のアンテナ基板40-1及び第2のアンテナ基板50-1は互いに並列に配置され、第1のアンテナ基板40-2及び第2のアンテナ基板50-2は互いに並列に配置されている。
【0091】
これにより、実施の形態1と同様に、アンテナ基板40-1,40-2,50-1,50-2を並列させずに直列に整列させる場合に比較して、上側筐体20の幅(X方向の長さ)を減少させ、上側筐体20を小型化することができる。従って、複数のアンテナ基板40-1,40-2,50-1,50-2を内部に収容していても上側筐体のサイズを増大させにくくすることができる。
【0092】
また、実施の形態2において、第1のアンテナ基板40-1,40-2は、第1のアンテナ基板40-1,40-2の一対の主面が上側筐体20の1つの主面に平行になるように配置されている。また、第2のアンテナ基板50-1,50-2は、第2のアンテナ基板50-1,50-2の一対の主面が上側筐体の1つの主面に垂直になるように配置されている。
【0093】
これにより、実施の形態1と同様に、アンテナ基板40-1の導体部分とアンテナ基板50-1の導体部分との電磁結合を低減し、アンテナ基板40-2の導体部分とアンテナ基板50-2の導体部分との電磁結合を低減することができる。
【0094】
(実施の形態3)
図24図27を参照して、本開示の実施の形態3に係る電子機器について説明する。
【0095】
[3-1.構成]
図24は、本開示の実施の形態3に係る電子機器の上側筐体のパネル22Bの内面を示す斜視図である。図25は、本開示の実施の形態3に係る電子機器の上側筐体のパネル22Bの内面の一部を示す平面図である。図26は、本開示の実施の形態3に係る電子機器の上側筐体のパネル22Bの上側面を示す側面図である。図27は、図24の27-27線における上側筐体のパネルの断面図である。実施の形態3に係る電子機器では、図24図27のパネル22Bが、実施の形態1に係る電子機器100の上側筐体20のパネル22に代えて設けられる。
【0096】
XY平面に平行であるパネル22Bの背面22Baは、上側筐体の1つの主面を構成する。パネル22Bは、平面視で略矩形形状を有し、X軸に平行な上辺22Bb及び下辺22Bdと、Y軸に平行な右辺22Bc及び左辺22Beを有する。アンテナ基板40-1,40-2,50-1,50-2は、それらの長手方向がパネル22Bの上辺22Bbに平行になるように配置されている。
【0097】
アンテナ基板40-1及びアンテナ基板50-1は互いに並列に配置されている。アンテナ基板40-1は、図24及び図25に示すようにネジ25によりパネル22Bに固定され、アンテナ基板40-1の一対の主面がパネル22Bの背面22Baに平行になるように配置されている。アンテナ基板50-1は、図24及び図25に示すようにネジ25によりパネル22Bに固定され、アンテナ基板50-1の一対の主面がパネル22Bの背面22Baに平行になるように配置されている。
【0098】
アンテナ基板40-2及びアンテナ基板50-2は互いに並列に配置されている。アンテナ基板40-2は、図24及び図25に示すようにネジ25によりパネル22Bに固定され、アンテナ基板40-2の一対の主面がパネル22Bの背面22Baに平行になるように配置されている。アンテナ基板50-2は、図24及び図25に示すようにネジ25によりパネル22Bに固定され、アンテナ基板50-2の一対の主面がパネル22Bの背面22Baに平行になるように配置されている。
【0099】
図27に示すように、アンテナ基板40-1及びアンテナ基板50-1は、Y方向に所定距離d3を有して配置されている。
【0100】
[3-2.効果]
実施の形態3において、第1のアンテナ基板40-1及び第2のアンテナ基板50-1は互いに並列に配置され、第1のアンテナ基板40-2及び第2のアンテナ基板50-2は互いに並列に配置されている。
【0101】
これにより、実施の形態1と同様に、アンテナ基板40-1,40-2,50-1,50-2を並列させずに直列に整列させる場合に比較して、上側筐体20の幅(X方向の長さ)を減少させ、上側筐体20を小型化することができる。従って、複数のアンテナ基板40-1,40-2,50-1,50-2を内部に収容していても上側筐体のサイズを増大させにくくすることができる。
【0102】
また、実施の形態3において、第1のアンテナ基板40-1,40-2及び第2のアンテナ基板50-1,50-2は、それらの各一対の主面が上側筐体の1つの主面に平行になるようにそれぞれ配置されている。
【0103】
これにより、実施の形態1と同様に、アンテナ基板40-1の導体部分とアンテナ基板50-1の導体部分との電磁結合を低減し、アンテナ基板40-2の導体部分とアンテナ基板50-2の導体部分との電磁結合を低減することができる。また、実施の形態3では、アンテナ基板40-1,40-2の導体部分と、アンテナ基板50-1,50-2の導体部分とが互いに対向している部分の面積を最小化しているので、実施の形態1及び2の場合に比較して、電磁結合をさらに低減することができる。また、実施の形態3では、第1のアンテナ基板40-1,40-2及び第2のアンテナ基板50-1,50-2を配置するZ方向の寸法を最小化し、従って、これらを収容する上側筐体のZ方向の厚さを最小化することができる。
【0104】
(実施の形態4)
図28図31を参照して、本開示の実施の形態4に係る電子機器について説明する。
【0105】
[4-1.構成]
図28は、本開示の実施の形態4に係る電子機器の上側筐体のパネル22Cの内面を示す斜視図である。図29は、本開示の実施の形態4に係る電子機器の上側筐体のパネル22Cの内面の一部を示す平面図である。図30は、本開示の実施の形態4に係る電子機器の上側筐体のパネル22Cの上側面を示す側面図である。図31は、図28の31-31線における上側筐体のパネルの断面図である。実施の形態4に係る電子機器では、図28図31のパネル22Aが、実施の形態1に係る電子機器100の上側筐体20のパネル22に代えて設けられる。
【0106】
XY平面に平行であるパネル22Cの背面22Caは、上側筐体の1つの主面を構成する。パネル22Cは、平面視で略矩形形状を有し、X軸に平行な上辺22Cb及び下辺22Cdと、Y軸に平行な右辺22Cc及び左辺22Ceを有する。アンテナ基板40-1,40-2,50-1,50-2は、それらの長手方向がパネル22Cの上辺22Cbに平行になるように配置されている。
【0107】
アンテナ基板40-1及びアンテナ基板50-1は互いに並列に配置されている。アンテナ基板40-1は、図30に示すようにネジ25によりパネル22Cに固定され、アンテナ基板40-1の一対の主面がパネル22Cの背面22Caに垂直になるように配置されている。アンテナ基板50-1は、図30に示すようにネジ25によりパネル22Cに固定され、アンテナ基板50-1の一対の主面がパネル22Cの背面22Caに垂直になるように配置されている。
【0108】
アンテナ基板40-2及びアンテナ基板50-2は互いに並列に配置されている。アンテナ基板40-2は、図30に示すようにネジ25によりパネル22Cに固定され、アンテナ基板40-2の一対の主面がパネル22Cの背面22Caに垂直になるように配置されている。アンテナ基板50-2は、図30に示すようにネジ25によりパネル22Cに固定され、アンテナ基板50-2の一対の主面がパネル22Cの背面22Caに垂直になるように配置されている。
【0109】
図31に示すように、アンテナ基板40-1及びアンテナ基板50-1は、Y方向に所定距離d4を有して配置されている。
【0110】
[4-2.効果]
実施の形態4において、第1のアンテナ基板40-1及び第2のアンテナ基板50-1は互いに並列に配置され、第1のアンテナ基板40-2及び第2のアンテナ基板50-2は互いに並列に配置されている。
【0111】
これにより、実施の形態1と同様に、アンテナ基板40-1,40-2,50-1,50-2を並列させずに直列に整列させる場合に比較して、上側筐体20の幅(X方向の長さ)を減少させ、上側筐体20を小型化することができる。従って、複数のアンテナ基板40-1,40-2,50-1,50-2を内部に収容していても上側筐体のサイズを増大させにくくすることができる。
【0112】
また、実施の形態4において、第1のアンテナ基板40-1,40-2及び第2のアンテナ基板50-1,50-2は、それらの各一対の主面が上側筐体の1つの主面に垂直になるようにそれぞれ配置されている。
【0113】
これにより、実施の形態3の場合に比較して、第1のアンテナ基板40-1,40-2及び第2のアンテナ基板50-1,50-2を配置するY方向の寸法を減少させ、従って、これらを収容する上側筐体を小型化することができる。
【0114】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1~4を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、実施の形態1~4で説明した各構成要素を他の構成要素と組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0115】
実施の形態1~4では、空間ダイバーシティを実現するために、第1のアンテナ基板40-1,40-2が互いに同じ周波数帯で動作し、第2のアンテナ基板50-1,50-2が互いに同じ周波数帯で動作したが、本開示はこれに限定されない。第1のアンテナ基板40-1,40-2の一方が追加の周波数帯(例えば、GPS受信用の周波数帯)で動作してもよく、第2のアンテナ基板50-1,50-2の一方が追加の周波数帯で動作してもよい。また、第1のアンテナ基板40-1,40-2が互いに異なる周波数帯で動作してもよく、第2のアンテナ基板50-1,50-2が互いに異なる周波数帯で動作してよい。
【0116】
また、第1のアンテナ基板40-1,40-2の構成は、図8図13で説明したものに限定されない。
【0117】
例えば、誘電体基板41,51の形状は、矩形に限らず、他の多角形、曲線を含むもの、など、他の任意の形状であってもよい。
【0118】
例えば、アンテナ基板40-1,40-2において、メアンダ形状の部分は、図8図10に示す例よりも長くても、短くてもよい。メアンダ形状の部分の構造は、LC共振器46において共振を希望する共振周波数に合わせて形成することができる。また、メアンダ形状の部分は、放射素子43に代えて放射素子42に形成されてもよく、放射素子42,43の両方に形成されてもよい。
【0119】
例えば、放射素子42,43を互いに電気的に接続する少なくとも1つのスルーホール導体は、図8図10の位置とは異なる位置に設けられてもよい。
【0120】
例えば、アンテナ基板40-1,40-2は、放射素子44を除去し、第1の低域周波数f1a及び第2の低域周波数f1bのみで動作してもよい。
【0121】
また、第2のアンテナ基板50-1,50-2の構成もまた、図14図18で説明したものに限定されない。
【0122】
例えば、第2のアンテナ基板50-1,50-2は、単一の周波数で動作してもよい。
【0123】
実施の形態1~4では、パネル22,22A~22Cがマグネシウム合金である場合を例に説明したが、本開示はこれに限定されない。パネル22,22A~22Cは、アルミニウムなどの他の金属であってもよく、又は非金属であってもよい。
【0124】
実施の形態1~4では、電子機器100がノートブック型コンピュータである場合を例に説明したが、本開示はこれに限定されない。本開示は、複数のアンテナを収容する筐体を備えた任意の電子機器に適用可能である。電子機器は、例えば、タブレット型コンピュータ、携帯電話機、ゲーム機、ディジタルスチルカメラ、ディジタルビデオカメラ、テレビジョン受像機、ブルーレイディスクプレーヤ、ナビゲーションシステム、などの携帯型の電子機器であってもよい。さらには、電子機器は、例えば、デスクトップ型コンピュータ、液晶プロジェクタ、などの据え置き型の電子機器であってもよい。
【0125】
実施の形態1~4では、筐体がノートブック型コンピュータの上側筐体20である場合を例に説明したが、本開示はこれに限定されない。本開示は、複数のアンテナを収容する任意の電子機器の筐体に適用可能である。
【0126】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
【0127】
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0128】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本開示は、複数のアンテナを収容する筐体を備えた任意の電子機器に適用可能である。
【符号の説明】
【0130】
100 電子機器
10 下側筐体
11 キーボード
12 ポインティングデバイス
13,14 無線通信回路
20 上側筐体
21 ベゼル
22,22A,22B,22C パネル
22a,22Aa,22Ba,22Ca 背面
22b,22Ab,22Bb,22Cb 上辺
22c,22Ac,22Bc,22Cc 右辺
22d,22Ad,22Bd,22Cd 下辺
22e,22Ae,22Be,22Ce 左辺
23 アンテナカバー
24 ディスプレイ
25 ネジ
31,32 ヒンジ
40-1,40-2 アンテナ基板
41 誘電体基板
41a 誘電体基板の表面
41b 誘電体基板の裏面
42,43,44 放射素子
45 非励振素子
46 LC共振器
47a,47b,47c スルーホール導体
48 ネジ孔
50-1,50-2 アンテナ基板
51 誘電体基板
51a 誘電体基板の表面
51b 誘電体基板の裏面
52,53 放射素子
54 非励振素子
55a,55b スルーホール導体
56 ネジ孔
61-1,61-2,62-1,62-2 給電線
61-1a,62-1a 内部導体
61-1b,62-1b 外部導体
G1a,G1b,G2a,G2b 接地導体
P11a,P12a,P21a,P22a 給電点
P11b,P21b 接続点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31