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特許7190639演算装置、指示計、温度調節計、および方法
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  • 特許-演算装置、指示計、温度調節計、および方法 図1
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  • 特許-演算装置、指示計、温度調節計、および方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】演算装置、指示計、温度調節計、および方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 3/032 20060101AFI20221209BHJP
【FI】
G01D3/032
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021572233
(86)(22)【出願日】2020-01-24
(86)【国際出願番号】 JP2020002493
(87)【国際公開番号】W WO2021149240
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000250317
【氏名又は名称】理化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(74)【代理人】
【識別番号】100150865
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 司
(72)【発明者】
【氏名】後藤 茂文
(72)【発明者】
【氏名】吉川 裕久
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特許第4352394(JP,B2)
【文献】特開2009-110262(JP,A)
【文献】特許第6486888(JP,B2)
【文献】特許第3130741(JP,B2)
【文献】特許第6524371(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D3
H03H17
----------------------------------
本件特許出願に対応する国際特許出願PCT/JP2020/002493
の調査結果も利用された。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力信号値の演算装置であって、
前記出力信号値が測定値のフィルタ演算の結果に基づき算出され、
現在の測定値の所定期間内の変動が所定値以上である場合に、過去の前記出力信号値を前記現在の測定値に置き換えて前記フィルタ演算を行うことを特徴とする、演算装置。
【請求項2】
前記所定期間及び前記所定値が、事前に測定された測定値の変動に基づき設定される、請求項1に記載の演算装置。
【請求項3】
前記フィルタ演算が1次遅れ要素に基づくフィルタ演算である、請求項1又は2に記載の演算装置。
【請求項4】
前記フィルタ演算が高次遅れ要素に基づくフィルタ演算である、請求項1又は2に記載の演算装置。
【請求項5】
出力信号値の演算装置であって、
前記出力信号値が移動平均に基づくフィルタ演算の結果に基づき算出され、
所定期間内に現在の測定値が所定値以上変動した場合に、平均の算出に用いる全ての測定値を前記現在の測定値に置き換えることを特徴とする、演算装置。
【請求項6】
出力信号値の演算装置であって、
前記出力信号値が移動平均に基づくフィルタ演算の結果に基づき算出され、
現在の測定値の所定期間内の変動が所定値以上でかつ、所定の上限値未満であった場合に、平均の算出に用いる全ての測定値を前記現在の測定値に置き換えることを特徴とする、演算装置。
【請求項7】
出力信号値の演算装置であって、
前記出力信号値が移動平均に基づくフィルタ演算の結果に基づき算出され、
測定値の置き換えを示すタイミング信号が入力された場合に、平均の算出に用いる全ての測定値を前記現在の測定値に置き換えることを特徴とする、演算装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の演算装置を備える、指示計。
【請求項9】
請求項1から7のいずれかに記載の演算装置を備える、温度調節計。
【請求項10】
出力信号値を演算する方法であって、
前記出力信号値が測定値のフィルタ演算の結果に基づき算出され、
現在の測定値の所定期間内の変動が所定値以上である場合に、過去の前記出力信号値を前記現在の測定値に置き換えて前記フィルタ演算を行うことを特徴とする、方法。
【請求項11】
出力信号値を演算する方法であって、
前記出力信号値が移動平均に基づくフィルタ演算の結果に基づき算出され、
所定期間内に現在の測定値が所定値以上変動した場合に、平均の算出に用いる全ての測定値を前記現在の測定値に置き換えることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、センサ等からの入力に基づく出力信号値の演算装置、演算方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
指示計(温度センサ、電圧/電流連続信号などを入力とすることにより、温度、圧力、流量などを表示する装置。温度計や電圧計などの用途に用いる。)におけるセンサ測定値には、機器特性等に由来する定常ノイズや、外乱等種々のノイズが重畳している。通常、ローパスフィルタや移動平均フィルタ等の遅れ要素を含んだ種々のフィルタ処理をすることにより、ノイズの影響を低減し、測定器の出力としている。
上記フィルタを使用することで測定値のふらつきは減衰するが、過去の測定値の情報を使用するため計算量や必要なメモリが多くなり、また、測定対象の実際の温度等に比べて出力値に遅れが生じ、測定対象の温度変化に対する応答速度が低下してしまうという問題があった。
【0003】
指示計や温度調節計の使用が想定される環境(射出成型等)においては、応答速度の低下は過加熱等の影響を及ぼす。また、ハンディ指示計の使用が想定される環境においては、応答速度の低下により、温度の安定までの時間が増加し、作業性が低下してしまう。そのため、出力精度を保ちつつ、測定対象の温度変化に対する応答速度が高速である手法が望まれていた。
【0004】
このような問題に対応する技術として、例えば特許文献1にはデータの更新周期が、デジタルフィルタ演算に必要な時間に満たない場合に、平均を算出する期間を短く設定した総和平均演算方式により演算値を出力する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-201645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、デジタルフィルタを使用しない期間については単純平均による演算となるため、ノイズ等の影響を受けやすく精度の面で問題があった。また、デジタルフィルタの応答速度については考慮されておらず、高速化の面でも課題がある。そのため、精度の向上及び応答速度の高速化が課題となっていた。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑み、測定対象の温度等の変化に対する応答速度が高速で、高精度なフィルタ演算を行う演算装置及び演算方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(構成1)
出力信号値の演算装置であって、
前記出力信号値が測定値のフィルタ演算の結果に基づき算出され、
現在の測定値の所定期間内の変動が所定値以上である場合に、過去の前記出力信号値を前記現在の測定値に置き換えて前記フィルタ演算を行うことを特徴とする、演算装置。
【0009】
(構成2)
前記所定期間及び前記所定値が、事前に測定された測定値の変動に基づき設定される、構成1に記載の演算装置。
【0010】
(構成3)
前記フィルタ演算が1次遅れ要素に基づくフィルタ演算である、構成1又は2に記載の演算装置。
【0011】
(構成4)
前記フィルタ演算が高次遅れ要素に基づくフィルタ演算である、構成1又は2に記載の演算装置。
【0012】
(構成5)
前記フィルタ演算が移動平均に基づくフィルタ演算であり、
前記所定期間内に現在の測定値が所定値以上変動した場合に、平均の算出に用いる全ての測定値を前記現在の測定値に置き換えることを特徴とする、構成1又は2に記載の演算装置。
【0013】
(構成6)
前記現在の測定値の所定期間内の変動が所定値以上でかつ、所定の上限値未満であった場合に、前記過去の測定値を前記現在の測定値に置き換えて前記フィルタ演算を行うことを特徴とする構成1又は2に記載の演算装置。
【0014】
(構成7)
測定値の置き換えを示すタイミング信号が入力された場合に、前記過去の測定値を前記現在の測定値に置き換えて前記フィルタ演算を行うことを特徴とする構成1又は2に記載の演算装置。
【0015】
(構成8)
構成1から7のいずれかに記載の演算装置を備える、指示計。
【0016】
(構成9)
構成1から7のいずれかに記載の演算装置を備える、温度調節計。
【0017】
(構成10)
出力信号値を演算する方法であって、
前記出力信号値が測定値の演算の結果に基づき算出され、
現在の測定値の所定期間内の変動が所定値以上である場合に、過去の前記出力信号値を前記現在の測定値に置き換えて前記フィルタ演算を行うことを特徴とする、方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明の演算装置、指示計、温度調節計、演算方法によれば、測定対象の温度等の変化に対する応答速度が高速なフィルタ演算を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る実施形態の演算装置を示す概略構成図である。
図2】本発明に係る実施形態のフィルタ演算と、従来のフィルタ演算との比較図である。
図3】本発明に係る実施形態の演算装置の動作を説明したフローチャートである。
図4】本発明に係る実施形態の一次遅れフィルタを用いる場合の演算部110の模式図である。
図5】本発明に係る実施形態の移動平均フィルタを用いる場合の演算部110の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明を実施するための形態について、添付の図面にしたがって説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。
【0021】
<実施形態>
図1はこの発明の実施形態における演算装置を示す概略構成図である。
演算装置100は、センサ等の入力装置(不図示)から入力された測定値に対して、演算部110にてフィルタ演算を行い、その結果を表示部等の外部機器(不図示)へと出力する装置である。
また、演算部110はA/D変換器を備えており、本実施形態では電圧である測定値を離散化して演算を行う。
また、演算装置100については、本実施形態ではマイコン等の汎用的な回路上でソフトウェア的に実現されるものとしているが、それぞれ専用回路等でハード的に構成されるものであってもよい。
また、本実施形態においては演算装置100は指示計に組み込まれているものとし、測定対象は温度であるものとする。
【0022】
<従来手法>
以下、本発明における演算方法について説明する。
本発明のフィルタ演算方法は、過去の出力値に基づく(遅れ要素を含んだ)フィルタ演算であれば適用が可能であるが、本実施形態では1次遅れ要素に基づくフィルタ演算を例として説明する。
1次遅れフィルタ(従来技術)の一般計算式は以下の数1のように表される。但し、数1においてYは現在の出力信号値、Xは現在の測定値、τは演算周期(サンプリング周期)、Tは1次遅れフィルタの時定数である。
【0023】
【数1】
【0024】
このように、過去の出力値を用いて演算する一次遅れフィルタを用いることで、入力値のふらつきを吸収することができる。しかし、入力値の変化に対する応答速度が低下するという問題がある。
【0025】
<本実施形態の演算方法>
このような問題に対して本出願の手法においては、前後のデータにおいて測定値が所定の値以上ステップ的に変化した場合には、以下の数2のように、フィルタ演算における値を変換する。すなわち、所定の条件を満たした場合に、過去の出力値を現在の測定値に変換する。
【0026】
【数2】
【0027】
このように、所定条件下においてのみ遅れ要素を全て現在の測定値に整列させるように変化させることにより、出力値に遅れを生じることなく高速にフィルタ演算を行うことが可能となる。さらに、所定の条件を満たして測定値がステップ的に変化した後は、通常通り(所定の条件を満たしていない場合)フィルタ演算処理を行うため、測定値のふらつきを小さくすることができる。
本実施形態の演算方法によれば、ノイズ等の影響によるふらつきを抑え、出力精度を保ちつつ、温度変化に対する応答速度を高めることができる。
【0028】
なお、所定の条件については、入力値とノイズの値の関係を考慮し、事前に設定されるものとする。本実施形態においては、演算装置100を搭載した指示計により、定常状態における測定値を一定時間測定した際の入力値の変動幅(ふらつき幅)から算出する。具体的には、測定値の平均値を基準とした正のピーク及び負のピークの絶対値の平均値に任意のマージンを加え、ノイズに反応しないように設定した値を閾値とする。
【0029】
図2は式1においてτ=1、T=20とした場合の本実施形態の演算結果と従来手法(式1)の演算結果との比較を示した図である。図2中の細線を入力信号とした場合に、太線が本実施形態の演算結果、破線が従来手法の演算結果である。横軸は時間としてのカウント値であり、縦軸は電圧値としてのカウント値である。
従来手法と比較して、本手法の測定値の変動に対する応答速度が向上していることがわかる。
【0030】
<動作>
次に、図3のフローチャートを参照しつつ、本実施形態における演算装置100の本発明に関する処理動作について説明する。
【0031】
まずS300において、センサ等から測定値Xnが演算部110に入力され、次のステップへ移行する。
次にS310において、所定期間内に測定値が所定の閾値Z以上変動したかを判定する。ここでは、上述の通り前後データにおける測定値の変動値、|X-Xn-1|を算出し、その結果が閾値Z以上かどうかを判定する。
変動値が閾値Z未満であった場合には、S320に移行する(S310:NO→S320)。
【0032】
S320においては、従来手法と同様に、前データにおける出力信号値であるYn-1を読み出し、S340において現在の測定値Xn、過去の出力信号値Yn-1から、数1に基づき出力信号値Yを算出する。その後、外部の表示機器等(不図示)へと値を出力する。
その後、S350において出力信号値Yを記録し、添字nをインクリメントし、S300へと戻る。
なお、nは1から開始するものとし、初期値Yには任意の値を設定してよい。
【0033】
ここでS310に戻り、変動値が閾値Z以上であった場合の動作を説明する。
S310において、|X-Xn-1|を算出し、その結果が閾値Z以上であった場合には、S330に移行する(S310:Yes→S330)。
S330において、測定値に閾値Z以上の変動があったため、過去の出力信号値Yn-1を現在の測定値Xに置き換える。その後S340において現在の測定値X、Yn-1(この場合は置き換えたため、Yn-1=X)から、数1に基づき出力信号値Yを算出する。以後の動作は既に説明したS340以降の動作と同様である。
【0034】
<効果>
以上のように、本実施形態1の演算装置100によれば、現在の測定値の所定期間内の変動が所定値以上である場合に、過去の出力測定値を現在の測定値に置き換えてフィルタ演算をするため、測定対象の温度等の変化に対する応答速度が高速なフィルタ演算を行うことができる。
また、本実施形態においては、測定値の変動を判断するための所定の期間及び変動の値が、事前に測定された定常状態における測定値の変動に基づき設定される。そのため、入力値が定常ノイズの幅を超えた場合、即ち、入力値の変化がノイズではなく実際の信号の変化である可能性が高い場合にのみ本発明の演算方法を実施するように構成されているため、演算結果の精度が向上する。
【0035】
<その他の構成>
なお、本実施形態の演算装置100はフィルタ演算について、1次遅れフィルタを用いるよう構成されていたが、1次遅れ要素を複数段組み合わせた高次遅れフィルタを用いるように構成されていてもよい。その場合、1次遅れフィルタと同様に、所定の条件を満たした場合に、各1次遅れ要素における過去の出力信号値を、現在の値に変換する。
【0036】
また、本実施形態の演算装置100は、移動平均フィルタを用いるように構成されていてもよい。例えば、20個前の入力値から現在の入力値までの平均を求めるフィルタの場合、所定の条件を満たした場合には、20点全ての入力値を現在の入力値に変換し、平均値を算出するようにすればよい。
【0037】
なお、移動平均フィルタを用いる場合、移動平均の計算に用いるデータ個数がm+1個である場合の一般計算式は以下の数3のように表される。各文字の意味は数1と同様である。
【0038】
【数3】
そして、前後のデータにおいて測定値が所定の値以上ステップ的に変化した場合には、以下の数4のように、移動平均に用いるすべてのデータ値を現在の測定値に変換する。
【0039】
【数4】
【0040】
なお、演算部110を、より具体的に機能ごとに模式図として示したものを図4及び図5に示す。演算部110は、入力信号に閾値以上の変化があったかどうかを判断する、入力信号変化幅判断部111と、出力信号を記憶する出力信号記憶部112と、入力信号を記憶する入力信号記憶部113と、フィルタ演算を行うフィルタ演算部114を備えている。
なお、図4はフィルタ演算部114が1次遅れフィルタを用いる場合の動作に基づく模式図であり、図5はフィルタ演算部114が移動平均フィルタを用いる場合の動作に基づく模式図である。図4図5については便宜上、別の図として表現しているが、演算部110が図4、5にて示したように別個の構成となっている必要はない。
また、フィルタ演算部114がどの種類のフィルタ演算を行うかについては、事前に設定されていてもよいし、常にすべての種類の演算を行うように構成されていてもよい。
【0041】
なお、本実施形態の演算装置100は前後のデータにおいて閾値以上の変動があった場合を条件に本実施形態の演算方法を実施するように構成されていたが、過去の出力値の現在の入力値への置き換えを指示するタイミング信号が外部入力装置等から入力された場合を条件としてもよい。
【0042】
なお、本実施形態における所定の条件は、数1に示されるように前後データにおける測定値の関係によって判断するように構成されていたが、事前に設定された時間内に事前に設定された所定値を一度でも超えた場合、としてもよいし、事前に設定された時間幅において測定値を積分し、その値が事前に設定された値を超えた場合、としてもよい。
【0043】
なお、上述の閾値については上記<動作>にて説明した閾値Zを超えたかどうかだけではなく、さらに閾値に上限値Zupを設定し、Zupが所定の値以下であるかどうかの判断を実施するように構成されていてもよい。ここでのZupについても、制御対象の定常状態における測定結果から算出される。例えば、定常状態の温度に下限値である閾値Zと任意のマージンを加算し、サージ等の測定値が大きくなるものに反応しないように設定する。
【0044】
なお、製造ライン等において目的の精度を満たすために、ゼロ点調整やフルスケール調整を行う場合、これらの調整が実行されている場合にのみ本手法が使用されるように構成されていてもよい。例えば、調整工程が実行されている間は、演算装置100にフラグ信号を送信するように構成され、フラグ信号を受信している間のみ、本手法を実施するように構成されていてもよい。このように構成されていることにより、調整を実施していない場合の温度変化には反応しなくなるため、ユーザが必要とする場合にのみ調整時間の短縮をすることが可能となる。
【0045】
なお、本実施形態における演算装置100は指示計に搭載されているものとしたが、PID調節計等の調節計に搭載されていてもよい。この場合、上記Zupが、PID制御における制御目標値に基づいて設定されるように構成されていてもよい。
また、閾値の上限値Zupについては例えば、閾値Z(下限値)に制御目標値を加算したものを上限値としてもよい。また、所定の条件を満たした場合には、過去の出力値を制御目標値に変換するように構成されていてもよい。
【0046】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の構成及び動作については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、当業者が理解しうる様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0047】
100…演算装置
110…演算部
111…入力信号変化幅判断部
112…出力信号記憶部
113…入力信号記憶部
114…フィルタ演算部
図1
図2
図3
図4
図5