(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】自走式病原体検出装置、病原体検出システム、及び、制御方法
(51)【国際特許分類】
G01N 1/26 20060101AFI20221209BHJP
A61L 9/00 20060101ALI20221209BHJP
A61L 9/14 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
G01N1/26
A61L9/00 Z
A61L9/14
(21)【出願番号】P 2019557055
(86)(22)【出願日】2018-10-15
(86)【国際出願番号】 JP2018038238
(87)【国際公開番号】W WO2019106980
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-10-05
(31)【優先権主張番号】P 2017228158
(32)【優先日】2017-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】高柳 哲也
【審査官】外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-314937(JP,A)
【文献】特開2015-206670(JP,A)
【文献】特開2013-223531(JP,A)
【文献】特開2014-209293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/26
A61L 9/00
A61L 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
病原体を検出する検出部と、
前記筐体を移動させる移動機構と、
空間における前記筐体の現在位置を示す位置情報を取得する位置取得部と、
前記空間における人の動線情報に基づいて当該空間における対象領域を決定し、前記位置情報に基づいて、前記対象領域内で前記筐体を移動させるように前記移動機構を制御する制御部とを備え、
前記検出部は、前記対象領域内において病原体を検出する
自走式病原体検出装置。
【請求項2】
さらに、前記筐体が前記空間内を移動しているときに人の存否を検出する人感センサを備え、
前記人の動線情報は、前記空間を複数の単位領域に分割した場合に、前記複数の単位領域それぞれにおいて前記人感センサによって人の存在が検出された回数を含む
請求項1に記載の自走式病原体検出装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記人感センサによって人の存在が検出された回数が多い前記単位領域ほど優先的に前記対象領域に含める
請求項2に記載の自走式病原体検出装置。
【請求項4】
さらに、記憶部を備え、
前記制御部は、
前記人感センサによって人の存在が検出されたときの前記位置情報を人検出位置情報として前記記憶部に記憶し、
前記人検出位置情報に基づいて前記人の動線情報をアップデートする
請求項2または3に記載の自走式病原体検出装置。
【請求項5】
さらに、前記病原体を不活化するための浄化処理を行う浄化部を備える
請求項1~4のいずれか1項に記載の自走式病原体検出装置。
【請求項6】
前記浄化部は、前記浄化処理として次亜塩素酸水を噴霧する処理を行う
請求項5に記載の自走式病原体検出装置。
【請求項7】
前記検出部は、さらに、前記病原体の濃度を検出し、
前記浄化部は、検出された前記病原体の濃度に応じて前記浄化処理の内容を変更する
請求項5または6に記載の自走式病原体検出装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記移動機構を制御することにより、前記検出部によって前記病原体が検出された検出位置に前記筐体を停止させ、
前記浄化部は、前記検出位置に停止した状態で前記浄化処理を行う
請求項5~7のいずれか1項に記載の自走式病原体検出装置。
【請求項9】
前記浄化部は、前記検出部によって検出される前記病原体の濃度が所定濃度よりも低くなるまで前記浄化処理を継続し、
前記制御部は、前記検出部によって検出される前記病原体の濃度が前記所定濃度よりも低くなった場合に、前記移動機構を制御することにより前記筐体を前記検出位置から移動させる
請求項8に記載の自走式病原体検出装置。
【請求項10】
自走式病原体検出装置と、
制御端末とを備え、
前記自走式病原体検出装置は、
筐体と、
病原体を検出する検出部と、
前記筐体を移動させる移動機構と、
空間における前記筐体の現在位置を示す位置情報を取得する位置取得部と、
前記移動機構を制御する制御部と、
第1無線通信部とを備え、
前記制御端末は、
前記空間における人の動線情報に基づいて当該空間における対象領域を決定する端末制御部と、
決定された前記対象領域を示す情報を前記第1無線通信部に送信する第2無線通信部とを備え、
前記制御部は、前記位置情報に基づいて、前記第1無線通信部によって受信された前記情報により特定される前記対象領域内で前記筐体を移動させるように前記移動機構を制御し、
前記検出部は、前記対象領域内において病原体を検出する
病原体検出システム。
【請求項11】
自走式病原体検出装置の制御方法であって、
空間における前記自走式病原体検出装置の現在位置を示す位置情報を取得し、
前記空間における人の動線情報に基づいて当該空間における対象領域を決定し、
前記位置情報に基づいて、決定された前記対象領域内で前記自走式病原体検出装置を移動させ、
前記自走式病原体検出装置が前記対象領域内に存在しているときに前記自走式病原体検出装置に病原体を検出させる
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自走式病原体検出装置、病原体検出システム、及び、制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
室内の空気質を改善する事を目的として、空気清浄機が利用されている。例えば、特許文献1には、消臭を目的とした自走式イオン発生機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-148246号公報
【文献】特開2015-178993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、介護施設、病院、または、学習塾などの人が集まる施設においては、インフルエンザウイルスなどの病原体を早期に検出し、検出した病原体を不活化することで病原体の感染拡大を抑止することができる。
【0005】
本開示は、施設内等の空間において病原体が存在する可能性が高い場所を優先的に検出の対象領域とすることができる自走式病原体検出装置等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る自走式病原体検出装置は、筐体と、病原体を検出する検出部と、前記筐体を移動させる移動機構と、空間における前記筐体の現在位置を示す位置情報を取得する位置取得部と、前記空間における人の動線情報に基づいて当該空間における対象領域を決定し、前記位置情報に基づいて、前記対象領域内で前記筐体を移動させるように前記移動機構を制御する制御部とを備え、前記検出部は、前記対象領域内において病原体を検出する。
【0007】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の自走式病原体検出装置は、施設内等の空間において病原体が存在する可能性が高い場所を優先的に検出の対象領域とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る病原体検出システムの概要を示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る自走式病原体検出装置の内部構造を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る病原体検出システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、対象領域の決定動作のフローチャートである。
【
図5】
図5は、家具等が配置された間取り図の一例である。
【
図6】
図6は、人検出位置情報の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、人の動線情報を概念的に示す図である。
【
図8】
図8は、第1アルゴリズムに基づく対象領域の決定方法によって決定された対象領域を示す図である。
【
図9】
図9は、第2アルゴリズムに基づく対象領域の決定方法のフローチャートである。
【
図10】
図10は、対象領域として決定された3つのクラスタを示す図である。
【
図11】
図11は、病原体の検出動作のフローチャートである。
【
図12】
図12は、浄化処理の具体例のフローチャートである。
【
図13】
図13は、対象領域の更新動作のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の基礎となった知見)
従来の空気清浄機は、花粉、カビ、菌、または、PM2.5などのエアロゾルをターゲットとし、フィルタまたはイオン発生によりエアロゾルの除菌及び除去を行う。このような空気清浄機は通常、室内の角または窓際などの場所に据え置かれる。一方、このような据え置き型の空気清浄機に加えて、特許文献1に記載された自走式イオン発生機のように、自走式の空気清浄機も開発されている。
【0011】
しかしながら、上記据え置き型の空気清浄機または自走式の空気清浄機が、介護施設、病院、または、学習塾などの人が集まる施設における感染性ウイルスの不活化に使用される場合、効率を上げることができない。
【0012】
例えば、感染性ウイルスの一例であるインフルエンザウイルスは、感染者の咳またはくしゃみにより飛散する。つまり、インフルエンザウイルスは、感染者の居る場所を発生源としている。このため、インフルエンザウイルスを不活化するためには、人の行動パターン、または、施設内の人の動線などの情報を考慮することが非常に重要となる。
【0013】
また、ウイルスの感染力が高い場合、感染者がウイルスを飛散してから短時間で周囲に存在する感受者が感染する可能性が高い。したがって、短時間でウイルスの不活化を行うことができなければ集団感染に至る可能性がある。特許文献1に記載された自走式のイオン発生機は消臭を目的としている為、このようなウイルスの感染状況は考慮されていない。
【0014】
本開示は、以上のような事情を鑑みたものであり、インフルエンザウイルスなどの病原体を早期に検出し、検出した病原体不活化するための自走式病原体検出装置等を提供する。
【0015】
本開示の一態様に係る自走式病原体検出装置は、筐体と、病原体を検出する検出部と、前記筐体を移動させる移動機構と、空間における前記筐体の現在位置を示す位置情報を取得する位置取得部と、前記空間における人の動線情報に基づいて当該空間における対象領域を決定し、前記位置情報に基づいて、前記対象領域内で前記筐体を移動させるように前記移動機構を制御する制御部とを備え、前記検出部は、前記対象領域内において病原体を検出する。
【0016】
このような自走式病原体検出装置は、人の動線情報に基づいて人が存在することが多い領域を対象領域として病原体の検出を行うことができる。人が存在することが多い領域は、言い換えれば、人から排出される病原体が存在することが多い領域である。したがって、自走式病原体検出装置は、空間において病原体が存在する可能性が高い場所を優先的に検出の対象領域とすることができる。
【0017】
また、例えば、前記自走式病原体検出装置は、さらに、前記筐体が前記空間内を移動しているときに人の存否を検出する人感センサを備え、前記人の動線情報は、前記空間を複数の単位領域に分割した場合に、前記複数の単位領域それぞれにおいて前記人感センサによって人の存在が検出された回数を含む。
【0018】
このような自走式病原体検出装置は、人の動線情報に基づいて人が検出された回数が多い領域を対象領域として病原体の検出を行うことができる。したがって、自走式病原体検出装置は、空間において病原体が存在する可能性が高い場所を優先的に検出の対象領域とすることができる。
【0019】
また、例えば、前記制御部は、前記人感センサによって人の存在が検出された回数が多い前記単位領域ほど優先的に前記対象領域に含める。
【0020】
このような自走式病原体検出装置は、人の動線情報に基づいて人が検出された回数が多い領域を対象領域として病原体の検出を行うことができる。したがって、自走式病原体検出装置は、空間において病原体が存在する可能性が高い場所を優先的に検出の対象領域とすることができる。
【0021】
また、例えば、前記自走式病原体検出装置は、さらに、記憶部を備え、前記制御部は、前記人感センサによって人の存在が検出されたときの前記位置情報を人検出位置情報として前記記憶部に記憶し、前記人検出位置情報に基づいて前記人の動線情報をアップデートする。
【0022】
このような自走式病原体検出装置は、対象領域を人の動線情報の変化に応じて変更することができる。
【0023】
また、例えば、前記自走式病原体検出装置は、さらに、前記病原体を不活化するための浄化処理を行う浄化部を備える。
【0024】
このような自走式病原体検出装置は、病原体の検出に加えて、病原体の不活化を図ることができる。
【0025】
また、例えば、前記浄化部は、前記浄化処理として次亜塩素酸水を噴霧する処理を行う。
【0026】
このような自走式病原体検出装置は、次亜塩素酸水の噴霧により、病原体の不活化を図ることができる。
【0027】
また、例えば、前記検出部は、さらに、前記病原体の濃度を検出し、前記浄化部は、検出された前記病原体の濃度に応じて前記浄化処理の内容を変更する。
【0028】
このような自走式病原体検出装置は、検出された病原体の濃度が高いほど単位時間あたりに散布される次亜塩素酸水の量を増やすことにより、病原体の濃度が高い場合であっても短時間で病原体の不活化を行うことができる。
【0029】
また、例えば、前記制御部は、前記移動機構を制御することにより、前記検出部によって前記病原体が検出された検出位置に前記筐体を停止させ、前記浄化部は、前記検出位置に停止した状態で前記浄化処理を行う。
【0030】
このような自走式病原体検出装置は、停止した状態で浄化処理を行うことにより、病原体の不活化の確実性を高めることができる。
【0031】
また、例えば、前記浄化部は、前記検出部によって検出される前記病原体の濃度が所定濃度よりも低くなるまで前記浄化処理を継続し、前記制御部は、前記検出部によって検出される前記病原体の濃度が前記所定濃度よりも低くなった場合に、前記移動機構を制御することにより前記筐体を前記検出位置から移動させる。
【0032】
このような自走式病原体検出装置は、病原体の濃度が低くなるまで浄化処理を行うことにより、病原体の不活化の確実性を高めることができる。
【0033】
また、本開示の一態様に係る病原体検出システムは、自走式病原体検出装置と、制御端末とを備え、前記自走式病原体検出装置は、筐体と、病原体を検出する検出部と、前記筐体を移動させる移動機構と、空間における前記筐体の現在位置を示す位置情報を取得する位置取得部と、前記移動機構を制御する制御部と、第1無線通信部とを備え、前記制御端末は、前記空間における人の動線情報に基づいて当該空間における対象領域を決定する端末制御部と、決定された前記対象領域を示す情報を前記第1無線通信部に送信する第2無線通信部とを備え、前記制御部は、前記位置情報に基づいて、前記第1無線通信部によって受信された前記情報により特定される前記対象領域内で前記筐体を移動させるように前記移動機構を制御し、前記検出部は、前記対象領域内において病原体を検出する。
【0034】
このような病原体検出システムは、人の動線情報に基づいて人が存在することが多い領域を対象領域として病原体の検出を行うことができる。人が存在することが多い領域は、言い換えれば、人から排出される病原体が存在することが多い領域である。したがって、病原体検出システムは、空間において病原体が存在する可能性が高い場所を優先的に検出の対象領域とすることができる。
【0035】
また、本開示の一態様に係る制御方法は、自走式病原体検出装置の制御方法であって、空間における前記自走式病原体検出装置の現在位置を示す位置情報を取得し、前記空間における人の動線情報に基づいて当該空間における対象領域を決定し、前記位置情報に基づいて、決定された前記対象領域内で前記自走式病原体検出装置を移動させ、前記自走式病原体検出装置が前記対象領域内に存在しているときに前記自走式病原体検出装置に病原体を検出させる。
【0036】
このような制御方法によれば、自走式病原体検出装置は、人の動線情報に基づいて人が存在することが多い領域を対象領域として病原体の検出を行うことができる。人が存在することが多い領域は、言い換えれば、人から排出される病原体が存在することが多い領域である。したがって、自走式病原体検出装置は、空間において病原体が存在する可能性が高い場所を優先的に検出の対象領域とすることができる。
【0037】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、装置、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。これらの包括的または具体的な態様は、装置、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0038】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0039】
(実施の形態)
[概略構成]
まず、実施の形態に係る病原体検出システムの概略構成について説明する。
図1は、実施の形態に係る病原体検出システムの概要を示す図である。
図2は、実施の形態に係る自走式病原体検出装置の内部構造を模式的に示す図である。なお、
図2では、主たる構成要素のみが図示されている。
【0040】
病原体検出システム100は、介護施設、病院、または、学習塾などの人が集まる室内空間を対象として、病原体の検出を行うシステムである。室内空間は、言い換えれば、平空間である。
図1に示されるように、病原体検出システム100は、自走式病原体検出装置10と、充電器30と、制御端末40とを備える。
【0041】
自走式病原体検出装置10は、ロボット掃除機などと同様に、筐体11の下部に配置されている一対の車輪12bが回転することにより自走し、任意の場所に移動することができる。また、自走式病原体検出装置10は、吸気口15aから筐体11の内部に入り、排気口15bから筐体11の外部に排出される空気中に病原体が含まれるか否かを検出する。自走式病原体検出装置10は、病原体が検出されると自走を停止し、病原体が検出された場所において、病原体を不活化するための浄化処理を行う。自走式病原体検出装置10は、具体的には、浄化処理として噴霧口17cから次亜塩素酸水を噴霧する。これにより、自走式病原体検出装置10は、病原体の感染が拡大することを抑制することができる。
【0042】
なお、自走式病原体検出装置10は、蓄電池ユニット(
図1及び
図2で図示せず)を電源として動作し、充電器30は、蓄電池ユニットを充電する。
【0043】
また、自走式病原体検出装置10は、施設内の部屋などの空間をくまなく移動して病原体を検出することもできるが、病原体を早期に検出し、検出した病原体不活化するためには、病原体が存在する可能性が高い場所を優先的に検出の対象領域とすることが必要となる。そこで、病原体検出システム100においては、空間内の人の動線情報に基づいて病原体が存在する可能性が高いと考えられる対象領域を決定し、自走式病原体検出装置10を対象領域内で優先的に移動させる。
【0044】
これにより、病原体の早期検出が可能となる。なお、制御端末40は、このような対象領域の決定処理などを行う情報端末である。以下、
図1及び
図2に加えて
図3を参照しながら自走式病原体検出装置10、充電器30、及び、制御端末40の詳細構成について説明する。
図3は、病原体検出システム100の機能構成を示すブロック図である。
【0045】
[自走式病原体検出装置の構成]
まず、自走式病原体検出装置10について説明する。
図1~
図3に示されるように、自走式病原体検出装置10は、筐体11と、筐体11に設けられた複数の構成要素を備える。筐体11に設けられた複数の構成要素は、具体的には、移動機構12と、位置取得部13と、制御部14と、捕集部15と、検出部16と、浄化部17と、人感センサ18と、無線通信部19と、記憶部20と、蓄電池ユニット21と、接続端子部22とである。
【0046】
筐体11は、自走式病原体検出装置10が備える各構成要素が設けられる、自走式病原体検出装置10の本体である。筐体11は、例えば、平らな円柱状であるが、筐体11の形状は特に限定されない。筐体11の上面には、吸気口15a及び噴霧口17cが設けられている。また、筐体11の側面には、排気口15bが設けられている。
【0047】
移動機構12は、筐体11、つまり、自走式病原体検出装置10を移動させる。移動機構12は、具体的には、車輪12bと、車輪12bを駆動する駆動回路12aとを備える。駆動回路12aには、例えば、車輪12bを回転するためのモータ、及び、モータの制御回路などが含まれる。なお、自走式病原体検出装置10は、例えば、一対の車輪12bを備えるが、車輪12bの数などは特に限定されない。移動機構12は、一対の車輪12bの回転数を調整することにより、自走式病原体検出装置10をカーブ走行させることができる。
【0048】
位置取得部13は、空間における筐体11の現在位置を示す位置情報を取得する。位置取得部13は、例えば、赤外線などの不可視光、可視光、または、超音波などの被検出波を筐体11の周囲に送信し、空間を規定する壁などで反射した被検出波を受信するセンサモジュールである。位置取得部13は、被検出波を用いた位置推定アルゴリズムに基づいて位置情報を算出及び取得する。なお、位置情報は、例えば、充電器30の位置を原点とした空間内の上面視における二次元座標であり、位置推定アルゴリズムは、例えば、被検出波を送信してから受信するまでの時間等を用いて上記二次元座標を算出するためのアルゴリズムである。具体的な位置推定アルゴリズムとしては、例えば、カルマンフィルタ、または、パーティクルフィルタなどのデータ同化手法が用いられる。
【0049】
なお、位置取得部13は、位置取得部13自身が位置情報を算出及び取得する構成に限定されない。位置取得部13は、自走式病原体検出装置10の外部から位置情報を取得してもよい。この場合、位置取得部13は、無線通信回路等によって実現される。無線通信回路は、言い換えれば、無線通信モジュールである。
【0050】
制御部14は、無線通信部19が制御端末40から受信した制御指令に基づいて、移動機構12を制御する。これにより、自走式病原体検出装置10は、空間内を移動する。また、制御部14は、位置取得部13、捕集部15、検出部16、浄化部17、人感センサ18、無線通信部19、及び、蓄電池ユニット21などを制御する。制御部14は、例えば、マイクロコンピュータなどによって実現されるが、プロセッサまたは専用回路によって実現されてもよい。
【0051】
捕集部15は、空気中に浮遊している微粒子を吸引し、捕集する。捕集部15は、具体的には、例えば、吸気用のファンまたはポンプを有し、吸気口15aから吸気した空気中の微粒子を捕集する。
【0052】
検出部16は、病原体を検出する。例えば、検出部16は、筐体11が対象領域内に存在しているときに病原体を検出する。検出部16は、例えば、特許文献2に記載されているような表面増強ラマン散乱現象を利用した浮遊ウイルスの検出技術を用いて捕集部15によって捕集された微粒子中の病原体を検出するセンサである。また、検出部16は、病原体の濃度を検出することもできる。
【0053】
なお、自走式病原体検出装置10においては、捕集部15及び検出部16は、空気中を浮遊する微粒子に病原体が含まれているか否かを検出するが、検出部16は、床面に付着した微粒子中に病原体が含まれているか否かを検出してもよい。この場合、捕集部15は不要であり、検出部16による検出方式には蛍光指紋などの光検出法が用いられればよい。
【0054】
浄化部17は、病原体を不活化するための浄化処理を行う。浄化部17は、具体的には、次亜塩素酸水が貯蔵されるタンク17aと、タンク17aに貯蔵された次亜塩素酸水をミスト状にして散布する噴霧器17bとを備える。つまり、浄化部17は、浄化処理として次亜塩素酸水を噴霧する処理を行う。次亜塩素酸水は、噴霧口17cから出される。噴霧口17cは、筐体11の上面に設けられているが、筐体11の下面に設けられてもよい。この場合、浄化部17は、主として空間の床面を浄化する。なお、浄化部17は、次亜塩素酸水を散布する以外の方法で病原体の不活化を図ってもよい。
【0055】
人感センサ18は、人の存否を検出する。人感センサ18は、例えば、筐体11が空間内を移動しているときに人の存否を検出する。人感センサ18は、例えば、赤外線量の変化に基づいて人の存否を検出する赤外線センサであるが、超音波に基づいて人の存否を検出するセンサであってもよい。人感センサ18は、空間内の人検出位置情報の生成に用いられる。
【0056】
無線通信部19は、第1無線通信部の一例であり、自走式病原体検出装置10が制御端末40と無線通信を行うための無線通信回路である。無線通信回路は、言い換えれば、無線通信モジュールである。無線通信部19は、例えば、制御端末40の無線通信部43と電波通信を行うが、赤外線通信などの光通信を行ってもよい。無線通信部19が電波通信を行う場合の通信規格は、例えば、Bluetooth(登録商標)、または、Wi-Fi(登録商標)などであるが、特に限定されない。
【0057】
記憶部20は、制御部14の制御プログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部20は、例えば、半導体メモリ等によって実現される。
【0058】
蓄電池ユニット21は、自走式病原体検出装置10の電源部である。蓄電池ユニット21は、例えば、リチウムイオン電池などの蓄電池、充電用回路、及び、放電用回路などを含む。自走式病原体検出装置10は、蓄電池の蓄電残量がある限りは室内を自走することができる。
【0059】
接続端子部22は、自走式病原体検出装置10を充電器30に接続するための端子構造である。接続端子部22は、例えば、筐体11から外部に露出している。蓄電池ユニット21は、接続端子部22が充電器30の接続端子部31に接続されることで、充電器30から接続端子部22を介して蓄電池を充電するための電力の供給を受けることができる。
【0060】
[充電器の構成]
充電器30は、蓄電池ユニット21内の蓄電池を充電するための装置である。充電器30は、接続端子部31と、電力制御部32とを備える。
【0061】
接続端子部31は、自走式病原体検出装置10を充電器30に接続するための端子構造である。充電器30は、接続端子部31が自走式病原体検出装置10の接続端子部22に接続されることで、接続端子部31を介して自走式病原体検出装置10に電力を供給することができる。
【0062】
電力制御部32は、接続端子部31を介した自走式病原体検出装置10への電力の供給を制御する制御装置である。電力制御部32は、例えば、電力系統から得られる交流電力を蓄電池ユニット21の蓄電池の充電に適した直流電力に変換する回路などによって実現される。電力制御部32は、マイクロコンピュータまたはプロセッサを含んでもよい。
【0063】
[制御端末の構成]
制御端末40は、自走式病原体検出装置10を制御するための情報端末である。制御端末40は、例えば、病原体検出システム100専用の携帯端末であるが、スマートフォンまたはタブレット端末等の汎用の携帯端末であってもよいし、パーソナルコンピュータなどの汎用の据え置き型の端末であってもよい。制御端末40が汎用の端末である場合、当該汎用の端末には、自走式病原体検出装置10を制御するための専用アプリケーションがインストールされる。制御端末40は、具体的には、入力受付部41と、端末制御部42と、無線通信部43と、表示部44と、記憶部45とを備える。
【0064】
入力受付部41は、ユーザの入力を受け付ける。入力受付部41は、具体的には、タッチパネルであるが、ハードウェアキーなどであってもよい。
【0065】
端末制御部42は、入力受付部41が受け付けたユーザの入力に応じて、無線通信部43及び表示部44を制御する。端末制御部42は、例えば、マイクロコンピュータなどによって実現されるが、プロセッサまたは専用回路によって実現されてもよい。
【0066】
無線通信部43は、第2無線通信部の一例であり、制御端末40が自走式病原体検出装置10と無線通信を行うための無線通信回路である。無線通信回路は、言い換えれば、無線通信モジュールである。無線通信部43は、例えば、制御端末40と電波通信を行うが、赤外線通信などの光通信を行ってもよい。無線通信部43が電波通信を行う場合の通信規格は、例えば、Bluetooth(登録商標)、または、Wi-Fi(登録商標)などであるが、特に限定されない。
【0067】
無線通信部43は、例えば、端末制御部42の制御に基づいて、制御指令を自走式病原体検出装置10の無線通信部19に送信する。また、無線通信部43は、自走式病原体検出装置10の無線通信部19から、自走式病原体検出装置10の現在位置を示す位置情報、蓄電池の蓄電残量、及び、病原体の濃度などの情報を適宜受信する。
【0068】
表示部44は、端末制御部42の制御に基づいて画像を表示する。表示部44は、液晶パネルまたは有機ELパネルなどの表示パネルによって実現される。
【0069】
表示部44は、無線通信部43が自走式病原体検出装置10から受信した、位置情報、蓄電池の蓄電残量、及び、病原体の濃度などの各種情報を表示する。これにより、ユーザは、自走式病原体検出装置10の位置、及び、空間の状態を把握することができる。各種情報が無線通信部19によってリアルタイムに送信され、表示部44によって表示される場合、ユーザは、自走式病原体検出装置10の位置、及び、空間の状態をリアルタイムに把握することができる。
【0070】
記憶部45は、端末制御部42の制御プログラムなどが記憶される記憶装置である。また、記憶部45には、無線通信部43によって受信された各種情報も記憶される。記憶部45は、例えば、半導体メモリ等によって実現される。
【0071】
[対象領域の決定動作]
上述のように、病原体検出システム100は、空間内の対象領域を移動し、当該対象領域における病原体を検出することができる。ここで、病原体検出システム100における対象領域の決定動作について説明する。
図4は、対象領域の決定動作のフローチャートである。
【0072】
まず、制御端末40の入力受付部41は、空間の基本図面情報に関する入力をユーザから受け付ける(S11)。基本図面情報は、例えば、空間の間取り図情報であり、基本図面情報に関する入力は、例えば、空間の間取り図情報の読み出しを指示する入力である。
【0073】
次に、入力受付部41は、家具及び充電器の配置に関する入力を受け付ける(S12)。例えば、ユーザは、入力受付部41を通じて、ステップS11で読み出した間取り図に、部屋の出入り口、及び、扉などの境界条件を設定する。また、ユーザは、ソファ、机、及び、充電器などのアイコンをステップS11で読み出した間取り図上に配置する。
図5は、家具等が配置された間取り図の一例である。
【0074】
図5の例では、間取り図によって示される空間は、3.4[m]×3.4[m]の6畳程度の広さである。間取り図には、出入り口1及び出入り口2が設定されている。また、間取り図上には、ソファ、机、及び、充電器が配置されている。
【0075】
次に、入力受付部41は、対象領域の決定方式を指定する入力を受け付ける(S13)。病原体検出システム100では、一例として、ユーザは、マニュアル方式、ランダム方式、及び、自動方式の3つの方式の中から1つを選択することができる。
【0076】
入力受付部41によってマニュアル方式を指定する入力が受け付けられると(S13でマニュアル方式)、ユーザは、
図5に示される間取り図上の所望の領域を対象領域として指定することができる。この場合、入力受付部41は、対象領域を指定するユーザの入力をさらに受け付ける(S14)。
【0077】
入力受付部41によってランダム方式を指定する入力が受け付けられると(S13でランダム方式)、端末制御部42は、ランダムに対象領域を決定する(S15)。例えば、端末制御部42は、充電器30に所定の時間内に帰還できるルートをランダムに発生させ、当該ルートを対象領域とする。
【0078】
入力受付部41によって自動方式を指定する入力が受け付けられると(S13で自動方式)、端末制御部42は、記憶部45を参照することにより、空間内の人の動線情報が記憶部45に記憶されているか否かを判定する(S16)。
【0079】
人の動線情報は、自走式病原体検出装置10の人感センサ18によって人の存在が検出されたときの自走式病原体検出装置10の位置情報である。人の動線情報は、人検出位置情報に基づいて生成される。
図6は、人検出位置情報の一例を示す図である。自走式病原体検出装置10は、1日1回などの所定の頻度で空間の隅から隅までをくまなく移動する人検出位置特定モードの動作を行う。自走式病原体検出装置10の制御部14は、移動中に人感センサ18によって人の存在が検出されると、
図6に示されるように人の存在が検出されたタイミング、及び、そのときの自走式病原体検出装置10の現在位置を示す位置情報を人検出位置情報として記憶部20に記憶する。位置情報は、例えば、充電器30の位置を原点とする2次元座標であり、位置取得部13は、例えば、自走式病原体検出装置10が充電器30に接続されているときに算出した2次元座標を0に校正する。制御部14は、例えば、人検出位置特定モードの動作の終了時、または、人検出位置情報の要求が受信されたときに、動作中に得られた人検出位置情報をまとめて無線通信部19に送信させる。
【0080】
人検出位置情報は、制御端末40の無線通信部43によって受信され、記憶部45に記憶される。端末制御部42は、このような人検出位置情報を用いて、人の動線情報を生成する。
図7は、人の動線情報を概念的に示す図である。
【0081】
人の動線情報は、例えば、空間を複数のメッシュに分割した場合に、複数のメッシュそれぞれにおいて人感センサ18によって人の存在が検出された回数を示す情報である。メッシュは、単位領域の一例である。
図7に示されるように、メッシュは、例えば、空間をマトリクス状に分割した場合の1つの領域である。端末制御部42は、人検出位置情報を参照してメッシュごとに人が検出された回数を集計する。
図7に示されるメッシュ内の数字は、当該メッシュ内で人が検出された回数を示している。
【0082】
このような人の動線情報は、記憶部45に記憶される。しかしながら、例えば、自走式病原体検出装置10の初回動作時には記憶部45には人の動線情報は記憶されていない。このような場合(S16でNo)、端末制御部42は、人の動線情報を用いず、ステップS12において得られる家具等が配置された後の間取り図を用いた第1アルゴリズムに基づいて対象領域を決定する(S17)。一方、記憶部45に人の動線情報が記憶されている場合(S16でYes)、端末制御部42は、人の動線情報を用いた第2アルゴリズムに基づいて対象領域を決定する(S18)。
【0083】
[第1アルゴリズムに基づく対象領域の決定]
次に、第1アルゴリズムに基づく対象領域の決定方法について説明する。
図8は、第1アルゴリズムに基づく対象領域の決定方法によって決定された対象領域を示す図である。
【0084】
まず、端末制御部42は、空間において、ユーザによって入力された空間の出入り口1及び出入り口2を結ぶ折れ線状の対象領域を決定する。この折れ線状の対象領域は、複数の直線状の領域によって構成される。折れ線状の対象領域は、所定幅Wであり、当該折れ線状の領域の端が空間に配置されている家具などの障害物から所定の距離D以上離れるように構成される。所定の距離Dは、例えば、例えば30cm程度である。このような構成は、人は障害物の極めて近辺ではなく少し離れた場所を往来するため病原体も障害物から少し離れた位置で排出されるという仮定に基づく。なお、所定幅及び所定距離は、入力受付部41によって受け付けられたユーザの入力に応じて変更可能であってもよい。
【0085】
なお、
図8は、一例である。
図8の例では、出入り口が1組であるため、1本の対象領域が設けられている。しかしながら、出入り口が3つ以上存在する場合には、端末制御部42は、3つ以上の出入り口の中から選択された任意の2つの出入り口の組み合わせのそれぞれについて、同様の方法で折れ線状の対象領域を決定する。
【0086】
[第2アルゴリズムに基づく対象領域の決定]
次に、第2アルゴリズムに基づく対象領域の決定方法について説明する。
図9は、第2アルゴリズムに基づく対象領域の決定方法のフローチャートである。
【0087】
まず、端末制御部42は、記憶部45に記憶された人の動線情報を読み出す(S21)。上記
図7を用いて説明したように、端末制御部42は、例えば、空間を複数のメッシュに分割した場合の、複数のメッシュそれぞれにおける人感センサ18によって人の存在が検出された回数を、人の動線情報として使用する。
【0088】
次に、端末制御部42は、読み出した人の動線情報に基づいて、空間のクラスタ化を行う(S22)。端末制御部42は、具体的には、読み出した人の動線情報によって定まる各メッシュにおける人の検出回数に基づいて、空間のクラスタ化を行う。端末制御部42は、例えば、k平均法などを用いて、空間のクラスタ化を行う。例えば、k=6としてクラスタ化が行われると、空間は、6つのクラスタにクラスタ化される。なお、k平均法が用いられる場合には、例えば、k=3~6程度である。kは、入力受付部41によって受け付けられたユーザの入力に応じて変更可能であってもよい。
【0089】
次に、端末制御部42は、クラスタごとに当該クラスタに含まれる1以上のメッシュにおける人の検出回数を積算する(S23)。積算は、言い換えれば、数値積分である。そして、端末制御部42は、積算値が最も大きなクラスタから順に所定数n(n<k)のクラスタを選択し(S24)、選択した所定数nのクラスタを対象領域として決定する(S24)。なお、例えば、面積が最も大きなクラスタから順に所定数のクラスタが選択されてもよい。
図10は、対象領域として決定された3つのクラスタを示す図である。
図10に示されるクラスタ1、クラスタ2、及び、クラスタ3を合わせた領域が対象領域である。
【0090】
以上のような第2アルゴリズムに基づく対象領域の決定方法によれば、端末制御部42は、人感センサ18によって人の存在が検出された回数が多いメッシュほど優先的に対象領域に含めることができる。つまり、自走式病原体検出装置10は、人の動線情報に基づいて人が存在することが多い領域を対象領域として病原体の検出を行うことができる。人が存在することが多い領域は、言い換えれば、人から排出される病原体が存在することが多い領域である。したがって、自走式病原体検出装置10は、空間において病原体が存在する可能性が高い場所を優先的に検出の対象領域とすることができる。
【0091】
なお、第2アルゴリズムとして他のアルゴリズムが用いられてもよい。例えば、端末制御部42は、人感センサ18によって人の存在が検出された回数が所定数以上のメッシュを選択し、選択したメッシュを対象領域としてもよい。つまり、端末制御部42は、人感センサ18によって人の存在が検出された回数が所定数未満のメッシュを対象領域から除外してもよい。このようなアルゴリズムによっても、端末制御部42は、人感センサ18によって人の存在が検出された回数が多いメッシュほど優先的に対象領域に含めることができる。
【0092】
[病原体の検出動作]
上述のいずれかの方式で対象領域が決定されると、自走式病原体検出装置10は、病原体の検出動作を開始する。
図11は、病原体の検出動作のフローチャートである。
【0093】
まず、自走式病原体検出装置10の無線通信部19は、対象領域を示す情報を制御端末40の無線通信部43から受信する(S31)。対象領域を示す情報においては、例えば、充電器30の位置を原点とした二次元座標で対象領域が示されている。受信された対象領域を示す情報は、例えば、記憶部20に記憶される。
【0094】
次に、位置取得部13は、空間における筐体11の現在位置を示す位置情報を取得する(S32)。制御部14は、位置情報に基づいて移動機構12を制御することにより、筐体11に決定された対象領域内で筐体11を移動させる(S33)。制御部14は、具体的には、位置取得部13によって取得された位置情報によって示される座標が対象領域内に属する範囲で筐体11を移動させる。
【0095】
なお、上記
図10の例では、対象領域と充電器30の位置とは連続的でなく、つながっていない。充電器30の位置が自走式病原体検出装置10の移動開始点となる場合、自走式病原体検出装置10は、対象領域のうち充電器30の位置から最短のメッシュへ向かうとよい。また、対象領域のうち充電器30の位置から最短のメッシュが複数存在する場合、複数のメッシュのうち人の検出回数が多いメッシュが優先される。また、人の検出回数も同じ場合には、先に特定されたメッシュが優先されればよい。
【0096】
このように、筐体11が対象領域内を移動しているときに、捕集部15は空気中の微粒子の捕集を行い(S34)、検出部16は捕集された微粒子を対象として病原体の検出を行う(S35)。なお、ステップS34における微粒子の捕集は、筐体11の移動中に行われてもよいし、筐体11が停止した状態で行われてもよい。
【0097】
次に、制御部14は、検出された病原体の濃度が第一所定濃度を超えるか否かの判定を行う(S36)。検出された病原体の濃度が第一所定濃度以下である場合(S36でNo)、位置情報を取得しながらの(S32)対象領域内の移動が継続される(S33)。
【0098】
一方、検出された病原体の濃度が第一所定濃度を超える場合(S36でYes)、制御部14は、検出部16によって病原体が検出された病原体検出位置に筐体11を停止させる(S37)。そして、浄化部17は、制御部14の制御に基づいて、病原体検出位置に停止した状態で浄化処理を行う(S38)。浄化部17は、具体的には、浄化処理として次亜塩素酸水を噴霧する処理を行う。なお、ステップS37の浄化処理は、移動中に行われてもよい。
【0099】
捕集部15は、浄化処理中、または、浄化処理が行われた後に、空気中の微粒子の捕集を行い(S39)、検出部16は、捕集された微粒子中の病原体の検出を行う(S40)。また、制御部14は、検出された病原体の濃度が第二所定濃度未満であるか否かの判定を行う(S41)。第二所定濃度は、例えば、第一所定濃度よりも低い濃度であるが、第一所定濃度と等しくてもよい。
【0100】
検出された病原体の濃度が第二所定濃度以上である場合(S41でNo)、浄化処理が継続される(S38)。一方、検出された病原体の濃度が第二所定濃度未満である場合(S41でYes)、当該病原体検出位置における浄化処理は完了となる。制御部14は、位置情報を取得しながら(S32)対象領域内で筐体11を再び移動させる(S33)。つまり、浄化部17は、検出部16によって検出される病原体の濃度が第二所定濃度よりも低くなるまで浄化処理を継続し、制御部14は、検出部16によって検出される病原体の濃度が第二所定濃度よりも低くなった場合に、移動機構12を制御することにより筐体11を病原体検出位置から移動させる。
【0101】
なお、タンク17a内に貯蔵された次亜塩素酸水の濃度が既知である場合、制御部14は、次亜塩素酸水の濃度に基づいてCT値を算出し、算出したCT値から病原体の不活化に必要な次亜塩素酸水の散布時間を逆算することができる。この場合、ステップS39及びステップS40は省略され、ステップS41においては散布時間が経過したか否かが判定されればよい。
【0102】
[浄化処理の具体例]
浄化部17は、検出された病原体の濃度に応じて浄化処理の内容を変更してもよい。
図12は、このような浄化処理の具体例のフローチャートである。なお、
図12は、
図11のステップS37において行われる具体的な処理を示している。
【0103】
制御部14は、病原体の濃度が第一所定濃度よりも高く、かつ、第三所定濃度よりも低いか否かを判定する(S51)。第三所定濃度は、第一所定濃度よりも高い濃度である。病原体の濃度が第一所定濃度よりも高く、かつ、第三所定濃度以下である場合(S51でYes)、浄化部17は、制御部14の制御に基づいて、弱運転モードで浄化処理を行う(S52)。一方、病原体の濃度が第三所定濃度よりも高い場合(S51でNo)、浄化部17は、制御部14の制御に基づいて、強運転モードで浄化処理を行う(S52)。
【0104】
強運転モードでは、例えば、弱運転モードよりも単位時間あたりに散布される次亜塩素酸水の量が多い。したがって、病原体の濃度が高い場合であっても短時間で病原体の不活化を行うことができる。なお、強運転モード及び弱運転モードでは、例えば、次亜塩素酸水の散布時間が異なってもよい。具体的には、強運転モードのでは、弱運転モードよりも長い時間、次亜塩素酸水の散布を行ってもよい。
【0105】
なお、
図12では、浄化処理の内容が2段階で変更されたが、浄化処理の内容は、例えば、弱運転モード、中運転モード、及び、強運転モードの3段階に変更されてもよいし、4段階以上に細かく変更されてもよい。
【0106】
[人の動線情報のアップデート]
上述のように、人の動線情報は、1日1回などの所定の頻度で行われる人検出位置特定モードの動作の結果得られる人検出位置情報に基づいてアップデートされる。
図13は、対象領域の更新動作のシーケンス図である。
【0107】
まず、自走式病原体検出装置10は、人検出位置特定モードの動作を行う(S61)。自走式病原体検出装置10の制御部14は、移動機構12を制御することにより、自走式病原体検出装置10に空間全体を順次移動させる。そして、制御部14は、移動中に人の存在が検出されると、人の存在が検出された位置の位置情報を人検出位置情報として記憶部20に記憶する。位置情報は、位置取得部13によって取得される。
【0108】
その後、制御端末40の端末制御部42は、入力受付部41が受け付けたユーザの入力等に基づいて、人検出位置情報の要求を無線通信部43に送信させる(S62)。なお、人検出位置情報の要求は、定期的に送信されてもよい。
【0109】
自走式病原体検出装置10の無線通信部19は、人検出位置情報の要求を受信する(S63)。人検出位置情報の要求は、例えば、病原体の検出動作の開始を指示する制御指令に含まれるとよい。制御部14は、受信された人検出位置情報の要求に応じてステップS61において記憶部20に記憶された人検出位置情報を読み出し、読み出した人検出位置情報を無線通信部19に送信させる(S64)。なお、人検出位置情報は、自走式病原体検出装置10側から自発的に送信されてもよい。例えば、制御部14は、定期的に人検出位置情報を無線通信部19に送信させてもよい。
【0110】
制御端末40の無線通信部43は、人検出位置情報を受信する(S65)。端末制御部42は、人検出位置情報に基づき、記憶部45に記憶された現在の人の動線情報をアップデートする(S66)。具体的には、現在の人の動線情報における各メッシュの人の検出回数に、人検出位置情報における各メッシュの人の検出回数を加算する。このようなアップデート後の人の動線情報を用いて上記
図9の対象領域の決定動作が行われれば、対象領域がアップデートされる。
【0111】
このように、人の動線情報がアップデートされれば、端末制御部42は、対象領域を人の生活パターンの変化に応じて適応的に変更することができる。したがって、自走式病原体検出装置10は、変更後の対象領域に対して病原体の検出動作を行うことにより、効率よく病原体の不活化を行うことができる。
【0112】
なお、人の動線情報のアップデートは、ユーザが設定した時間に行われてもよい。また、自走式病原体検出装置10の稼働時に、前回稼働時の人検出情報に基づいてアップデートされてもよい。この場合、自走式病原体検出装置10の稼働時に、前回の稼働日における各稼働時間帯の人の総検出数がメッシュにわたる数値積分により計算され、最も検出数の高い時間帯の人検出情報に基づいて人の動線情報のアップデートが行われる。
【0113】
[充電器への帰還動作]
自走式病原体検出装置10は、病原体の検出動作中に蓄電池ユニット21の蓄電池の蓄電残量が所定量よりも低下すると、自動的に充電器30に帰還する帰還動作を行ってもよい。
図14は、帰還動作のフローチャートである。
【0114】
制御部14は、上記
図9の病原体の検出動作中に(S71)、蓄電池ユニット21の蓄電池の蓄電残量をモニタし、当該蓄電残量が所定量未満か否かを判定する(S72)。所定量は、例えば、最大蓄電残量の10%である。制御部14は、蓄電残量が所定量以上であると判定すると(S72でNo)、病原体の検出動作を継続する。
【0115】
一方で、制御部14は、蓄電残量が所定量未満であると判定すると(S72でYes)、移動機構12を制御することにより、筐体11を充電器30に向かって移動させる(S73)。そして、制御部14は、筐体11と充電器30との距離が所定距離未満であるか否かを判定する(S74)。
【0116】
制御部14は、筐体11と充電器30との距離が所定距離以上であると判定すると(S74でNo)、筐体11の充電器30に向かう移動を継続する(S73)。一方、制御部14は、筐体11と充電器30との距離が所定距離未満であると判定すると(S74でYes)、充電器30の接続端子部31の探索を行い(S75)、移動機構12を制御することにより、自走式病原体検出装置10の接続端子部22が接続端子部31に接続されるように筐体11を移動させ、自走式病原体検出装置10を充電器30に接続する(S76)。
【0117】
以上説明したような帰還動作によれば、自走式病原体検出装置10が蓄電残量不足で停止してしまうことを抑制することができる。
【0118】
[変形例]
なお、上記実施の形態では、対象領域の決定、及び、人の動線情報の更新を制御端末40の端末制御部42が行ったが、対象領域の決定、及び、人の動線情報の更新は、自走式病原体検出装置10の制御部14が行ってもよい。例えば、制御部14は、端末制御部42に代わり、空間における人の動線情報に基づいて当該空間における対象領域を決定し、人検出位置情報に基づいて人の動線情報をアップデートしてもよい。この場合、制御端末は、主にユーザインターフェースとして機能し、自走式病原体検出装置の制御部が主体的に各種制御を行う。
【0119】
また、上記実施の形態では、病原体の検出動作は、自走式病原体検出装置10の制御部14が主体的に行ったが、病原体の検出動作は、制御端末40の端末制御部42によって主体的に行われてもよい。この場合、制御端末40の端末制御部42は、無線通信部43に適宜制御指令を送信させることにより、自走式病原体検出装置10を従属的に動作させる。
【0120】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態に係る病原体検出システムについて説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0121】
例えば、病原体検出システムが病原体の検出を行う空間は、例えば、介護施設、病院、または、病院の待合室などの室内空間であるが、その他の空間であってもよい。病原体検出システムが病原体の検出を行う空間は、空港であってもよい。また、病原体検出システムが病原体の検出を行う空間は、建屋に限らず、鉄道または飛行機など移動体内の空間であってもよい。
【0122】
また、病原体検出システムの検出対象となる病原体は、ウイルスに限定されない。例えば、病源体は、例えば、カビまたは細菌であってもよい。
【0123】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0124】
また、上記実施の形態において、制御処理部などの構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0125】
また、制御処理部などの構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0126】
また、本開示は、コンピュータ等によって実行される自走式病原体検出装置の制御方法、または、自走式病原体検出装置を用いた病原体の検出方法として実現されてもよい。本開示は、これらの方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。本開示は、当該プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0127】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本開示の病原体検出システムは、施設内等の空間において病原体が存在する可能性が高い場所を優先的に検出の対象領域とすることができる。本開示の病原体検出システムは、介護施設、病院、または、病院の待合室などの室内空間などにおいて病原体を早期に検出できる。
上記の開示内容から導出される発明の例が以下、列挙される。
1.自走式病原体検出装置であって、
筐体、
病原体を検出する検出部、
前記筐体を移動させる移動機構、
空間における前記筐体の現在位置を示す位置情報を取得する位置取得部、および
制御部
を具備し、
前記制御部は、プロセッサおよび記憶部を具備し、かつ、動作中に、
(i) 前記空間における人の動線情報に基づいて前記空間における複数の単位領域から対象領域として選択された少なくとも1つの単位領域内で、前記位置取得部によって取得された位置情報に基づいて前記筐体を移動させるように前記移動機構を制御し、かつ
(ii) 前記対象領域内で前記病原体を検出するように前記検出部を制御する、
自走式病原体検出装置。
2.項目1に記載の自走式病原体検出装置であって、さらに
前記筐体が前記空間内を移動しているときに人の存否を検出するための人感センサを具備し、
ここで、
前記動線情報は、各単位領域において前記人感センサによって検出された人の数を含む、
自走式病原体検出装置。
3.項目2に記載の自走式病原体検出装置であって、
前記人感センサによって検出された人の数が所定の値以上である単位領域が前記対象領域として選択される、
自走式病原体検出装置。
4.項目2に記載の自走式病原体検出装置であって、
前記制御部は、前記人感センサによって前記人が検出されたときの前記位置情報を人検出位置情報として前記記憶部に記憶し、かつ
前記人検出位置情報に基づいて前記人の動線情報をアップデートする、
自走式病原体検出装置。
5.項目1に記載の自走式病原体検出装置であって、さらに
前記病原体を不活性化する浄化処理を行うための浄化部を具備している、
自走式病原体検出装置。
6.項目5に記載の自走式病原体検出装置であって、
前記浄化処理は、次亜塩素酸水溶液を噴霧することである、
自走式病原体検出装置。
7.項目5に記載の自走式病原体検出装置であって、
前記記憶部は、複数の浄化処理を記憶しており、
前記検出部は、前記検出部で検出された病原体の濃度を検出し、かつ
前記制御部は、前記病原体の濃度に応じて前記複数の浄化処理の中から少なくとも1つの浄化処理を選択する、
自走式病原体検出装置。
8.項目5に記載の自走式病原体検出装置であって、
前記検出部によって前記病原体が検出されたときに、前記制御部は前記検出部によって前記病原体が検出された検出位置に前記筐体を停止するように前記移動機構を制御し、かつ
前記浄化部は、前記検出位置に停止した状態で前記浄化処理を行う
自走式病原体検出装置。
9.項目5に記載の自走式病原体検出装置であって、
前記浄化部は、前記検出部によって検出される前記病原体の濃度が所定濃度よりも低くなるまで前記浄化処理を継続し、かつ
前記制御部は、前記検出部によって検出される前記病原体の濃度が前記所定濃度よりも低くなったときに、前記移動機構を制御することにより前記筐体を前記検出位置から移動させる、
自走式病原体検出装置。
10.病原体検出システムであって、
自走式病原体検出装置、および
制御端末
を具備し、
ここで、
前記自走式病原体検出装置は、
筐体、
病原体を検出する検出部、
前記筐体を移動させる移動機構、
空間における前記筐体の現在位置を示す位置情報を取得する位置取得部、
前記移動機構を制御する制御部、および
第1無線通信部
を具備し、
前記制御端末は、
前記空間における前記人の動線情報に基づいて前記空間における複数の単位領域から少なくとも1つの単位領域を対象領域として選択する端末制御部、および
選択された前記対象領域を示す情報を前記第1無線通信部に送信する第2無線通信部
を具備し、
ここで、
前記制御部は、前記位置情報に基づいて、前記第1無線通信部によって受信された情報が示す選択された前記対象領域内で前記筐体を移動させるように前記移動機構を制御し、かつ
前記検出部は、前記対象領域内において病原体を検出する
病原体検出システム。
11.自走式病原体検出装置の制御方法であって、
空間における前記自走式病原体検出装置の現在位置を示す位置情報を取得し、
前記空間における人の動線情報に基づいて当該空間における複数の単位領域から少なくとも1つの単位領域を対象領域として選択し、
前記位置情報に基づいて、選択された前記対象領域内で前記自走式病原体検出装置を移動させ、かつ
前記自走式病原体検出装置が前記対象領域内に存在しているときに前記自走式病原体検出装置に病原体を検出させる
制御方法。
【符号の説明】
【0129】
10 自走式病原体検出装置
11 筐体
12 移動機構
12a 駆動回路
12b 車輪
13 位置取得部
14 制御部
15 捕集部
15a 吸気口
15b 排気口
16 検出部
17 浄化部
17a タンク
17b 噴霧器
17c 噴霧口
18 人感センサ
19、43 無線通信部
20、45 記憶部
21 蓄電池ユニット
22、31 接続端子部
30 充電器
32 電力制御部
40 制御端末
41 入力受付部
42 端末制御部
44 表示部
100 病原体検出システム