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特許7190655映像表示システム、映像表示方法、プログラムおよび移動体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】映像表示システム、映像表示方法、プログラムおよび移動体
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20221209BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20221209BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20221209BHJP
   G09G 3/02 20060101ALI20221209BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
G02B27/01
G02B26/10 104Z
G09G3/20 680B
G09G3/02 A
G09G3/20 650C
B60K35/00 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019065139
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020166077
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-10-08
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】久保田 孝介
(72)【発明者】
【氏名】三野 吉輝
(72)【発明者】
【氏名】尾形 正人
(72)【発明者】
【氏名】森 俊也
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-058204(JP,A)
【文献】特開2008-089934(JP,A)
【文献】特開2009-255814(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0232736(US,A1)
【文献】特開2012-255858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
G02B 26/10
G09G 3/02
G09G 3/20
G09G 5/00
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載されて、スクリーン上に投影された画像を、当該移動体のユーザに虚像として視認させる映像表示システムであって、
虚像として前記ユーザに視認される画像が投影されるスクリーンと、
レーザー光を出射する光源部と、
前記レーザー光を前記スクリーンに2軸走査して前記画像を前記スクリーンに投影する走査部と、
前記画像を生成し、生成した前記画像を前記レーザー光で前記スクリーンへ投影させるための画像信号を用いて前記光源部を制御し、かつ、センサを用いて計測された前記移動体の外界の明るさを示すセンシング情報の入力を受け、前記センシング情報が示す明るさに応じて前記走査部を制御する制御部とを備え、
前記センシング情報が第一の明るさを示すとき、前記制御部は前記走査部に、前記2軸走査における少なくとも一方の軸方向の振幅の大きさを、前記センシング情報が前記第一の明るさより暗い第二の明るさを示すときよりも縮小させ
前記制御部は、前記センシング情報が前記第一の明るさを示すとき、
前記スクリーンへ投影される画像に他の画像よりも前記移動体のユーザへの表示の優先度が高く設定されている優先画像が含まれる場合、前記走査部に、前記2軸走査における水平軸方向及び垂直軸方向の両方の振幅の大きさを、前記センシング情報が前記第二の明るさを示すときよりも縮小させ、
前記スクリーンへ投影される画像に前記優先画像が含まれていない場合であって、前記走査部が走査する前記スクリーン上の領域の水平軸方向における一方の端寄りに表示されると設定されている周辺表示画像が含まれる場合、前記走査部に、前記2軸走査における垂直軸方向の振幅の大きさを、前記センシング情報が前記第二の明るさを示すときよりも縮小させる
映像表示システム。
【請求項2】
前記センシング情報が前記第一の明るさを示すとき、前記制御部は、前記センシング情報が示す明るさに関わらず前記虚像において同位置に表示される同種類の画像を、前記センシング情報が前記第二の明るさを示すときよりも、前記2軸走査において前記走査部に振幅の大きさを縮小させる軸方向に沿って拡大した画像を生成する
請求項1に記載の映像表示システム。
【請求項3】
生成される前記画像の拡大率は、縮小される前記振幅の大きさの縮小率の逆数である
請求項2に記載の映像表示システム。
【請求項4】
前記優先画像は、前記ユーザに対する警告表示のための画像である
請求項1から3のいずれか1項に記載の映像表示システム。
【請求項5】
前記センシング情報が第一の明るさを示すとき、前記制御部は前記走査部に、前記2軸走査における水平軸方向の振幅の大きさを、前記センシング情報が前記第二の明るさを示すときよりも前記走査部が前記レーザー光を走査する領域の水平軸方向における中心を基準として縮小させ、
前記スクリーンへ投影される画像には、前記移動体の稼働時において常時表示されると設定されている常時表示画像が含まれる
請求項2又は3に記載の映像表示システム。
【請求項6】
前記常時表示画像は、前記移動体の動作状態を示す画像である
請求項に記載の映像表示システム。
【請求項7】
前記周辺表示画像は、前記移動体の進路の左又は右にある物体を示す画像である
請求項1から6のいずれか1項に記載の映像表示システム。
【請求項8】
移動体に搭載されて、スクリーン上に投影された画像を、当該移動体のユーザに虚像として視認させる映像表示システムで実行される映像表示方法であって、
前記スクリーンへ投影される画像を示す画像信号を生成し、
生成された前記画像信号にしたがってレーザー光を出射し、
前記レーザー光をスクリーンに2軸走査して前記移動体のユーザに前記虚像として視認される前記画像を前記スクリーンに投影し、
センサを用いて計測された前記移動体の外界の明るさを示すセンシング情報を取得し、
前記センシング情報が第一の明るさを示すとき、前記2軸走査における少なくとも一方の軸方向の振幅の大きさを、前記センシング情報が前記第一の明るさより暗い第二の明るさを示すときよりも縮小し、
前記センシング情報が前記第一の明るさを示すとき、
前記スクリーンへ投影される画像に他の画像よりも前記移動体のユーザへの表示の優先度が高く設定されている優先画像が含まれる場合、前記2軸走査における水平軸方向及び垂直軸方向の両方の振幅の大きさを、前記センシング情報が前記第二の明るさを示すときよりも縮小し、
前記スクリーンへ投影される画像に前記優先画像が含まれていない場合であって、前記レーザー光が走査される前記スクリーン上の領域の水平軸方向における一方の端寄りに表示されると設定されている周辺表示画像が含まれる場合、前記2軸走査における垂直軸方向の振幅の大きさを、前記センシング情報が前記第二の明るさを示すときよりも縮小する
映像表示方法。
【請求項9】
請求項に記載の映像表示方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項10】
請求項1からのいずれか一項に記載の映像表示システムを備える移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、映像表示システム、映像表示方法、プログラムおよび移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光源としてレーザーが用いられるプロジェクタが開示されている。また、このようなプロジェクタを用いることで、人の視野に直接情報を映し出すヘッドアップディスプレイ(Head-Up Display、以下、HUDとも表記する)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-243809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、ユーザによる虚像の視認性が低下することを抑制することができる映像表示システムなどを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る移動体に搭載されて、スクリーン上に投影された画像を、当該移動体のユーザに虚像として視認させる映像表示システムであって、虚像として前記ユーザに視認される画像が投影されるスクリーンと、レーザー光を出射する光源部と、前記レーザー光を前記スクリーンに2軸走査して前記画像を前記スクリーンに投影する走査部と、前記画像を生成し、生成した前記画像を前記レーザー光で前記スクリーンへ投影させるための画像信号を用いて前記光源部を制御し、かつ、センサを用いて計測された前記外界の明るさを示すセンシング情報の入力を受け、前記センシング情報が示す明るさに応じて前記走査部を制御する制御部とを備え、前記センシング情報が第一の明るさを示すとき、前記制御部は前記走査部に、前記2軸走査における少なくとも一方の軸方向の振幅の大きさを、前記センシング情報が前記第一の明るさより暗い第二の明るさを示すときよりも縮小させる。
【0006】
なお、上記の包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本開示の映像表示システムによれば、ユーザによる虚像の視認性が低下することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態に係る映像表示システムの車両への適用例を示す図である。
図2図2は、図1の映像表示システムがウインドシールドに表示する画像の領域の一例を示す図である。
図3図3は、図1の映像表示システムが表示する画像の一例を示す図である。
図4図4は、実施の形態に係る表示装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図5図5は、図4の映像表示システムが車両に搭載される構成の一例を示す図である。
図6図6は、半導体レーザー光源への印加電流と光出力との関係(I-Lカーブ)を示す図である。
図7図7は、温度に応じて半導体レーザー光源に許可されている光出力が示されているグラフである。
図8図8は、温度に応じて半導体レーザー光源に許可されている印加電流が示されているグラフである。
図9図9は、第一制御における走査部による走査の振幅の大きさの一例を示す図である。
図10図10は、第二制御における走査部による走査の振幅の大きさの第一の例を示す図である。
図11図11は、第一制御において生成される画像の大きさの第一の例を示す図である。
図12図12は、第二制御において生成される画像の大きさの第一の例を示す図である。
図13図13は、第二制御における走査部による走査の振幅の大きさの第二の例を示す図である。
図14図14は、第一制御において生成される画像の大きさの第二の例を示す図である。
図15図15は、第二制御において生成される画像の大きさの第二の例を示す図である。
図16図16は、第二制御における走査部による走査の振幅の大きさの第三の例を示す図である。
図17図17は、第一制御において生成される画像の大きさの第三の例を示す図である。
図18図18は、第二制御において生成される画像の大きさの第三の例を示す図である。
図19図19は、映像表示システムの基本動作の一例を示すフローチャートである。
図20図20は、映像表示システムの振幅調整制御の第一の例を示すフローチャートである。
図21図21は、映像表示システムの振幅調整制御の第二の例を示すフローチャートである。
図22図22は、映像表示システムの第二制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本発明者らによる知見)
本発明者らは、「背景技術」の欄において記載した技術に関し、以下の知見に至った。
【0010】
特許文献1に記載のプロジェクタでは、ウインドシールドの前方に結像する虚像を運転者に提示するため、車両の外界が明るくなるほど、虚像と、虚像の背景となる実景との間のコントラストが低下し、ユーザからの虚像の視認性が低下するという課題があった。
【0011】
そこで、本発明者らは、虚像と実景との間のコントラストが低下しやすい条件であっても、ユーザによる虚像の視認性の低下を抑制することができる、以下のような映像表示システムを見出すに至った。
【0012】
本開示の一態様に係る映像表示システムは、移動体に搭載されて、スクリーン上に投影された画像を、当該移動体のユーザに虚像として視認させる映像表示システムであって、虚像として前記ユーザに視認される画像が投影されるスクリーンと、レーザー光を出射する光源部と、前記レーザー光を前記スクリーンに2軸走査して前記画像を前記スクリーンに投影する走査部と、前記画像を生成し、生成した前記画像を前記レーザー光で前記スクリーンへ投影させるための画像信号を用いて前記光源部を制御し、かつ、センサを用いて計測された前記外界の明るさを示すセンシング情報の入力を受け、前記センシング情報が示す明るさに応じて前記走査部を制御する制御部とを備え、前記センシング情報が第一の明るさを示すとき、前記制御部は前記走査部に、前記2軸走査における少なくとも一方の軸方向の振幅の大きさを、前記センシング情報が前記第一の明るさより暗い第二の明るさを示すときよりも縮小させる。
【0013】
このため、外界が例えば所定の閾値よりも明るく、虚像と実景との間のコントラストが低下しやすい条件であっても、走査部による走査の振幅を縮小することで、単位走査量当たりのレーザー光の密度を向上させることができる。このため、虚像の明るさが補われ、鮮明な画像の表示が可能になる。よって、ユーザによる虚像の視認性が低下することを抑制することができる。
【0014】
また、前記センシング情報が前記第一の明るさを示すとき、前記制御部は、前記センシング情報が示す明るさに関わらず前記虚像において同位置に表示される同種類の画像を、前記センシング情報が前記第二の明るさを示すときよりも、前記2軸走査において前記走査部に振幅の大きさを縮小させる軸方向に沿って拡大した画像を生成してもよい。
【0015】
このため、走査部による走査の振幅を小さくすることで虚像の明るさを補った場合であっても、虚像の大きさが小さくなることを抑制することができる。
【0016】
また、生成される前記画像の拡大率は、縮小される前記振幅の大きさの縮小率の逆数であってもよい。
【0017】
このため、走査部による走査の振幅を小さくすることで虚像の明るさを補った場合であっても、虚像の大きさを、振幅を小さくする前と等しい大きさとすることができる。
【0018】
また、前記センシング情報が第一の明るさを示すとき、前記制御部は前記走査部に、前記2軸走査における水平軸方向及び垂直軸方向の両方の振幅の大きさを、前記センシング情報が前記第二の明るさを示すときよりも前記走査部が前記レーザー光を走査する領域の中心を基準として縮小させ、前記スクリーンへ投影される画像には、他の画像よりも前記ユーザへの表示の優先度が高く設定されている優先画像が含まれてもよい。
【0019】
このため、中央に表示する優先画像の明るさが低減することを効果的に抑制することができる。
【0020】
また、前記優先画像は、前記ユーザに対する警告表示のための画像であってもよい。
【0021】
このため、中央に表示する警告表示のための画像の明るさが低減することを効果的に抑制することができる。
【0022】
また、前記センシング情報が第一の明るさを示すとき、前記制御部は前記走査部に、前記2軸走査における水平軸方向の振幅の大きさを、前記センシング情報が前記第二の明るさを示すときよりも前記走査部が前記レーザー光を走査する領域の水平軸方向における中心を基準として縮小させ、前記スクリーンへ投影される画像には、前記移動体の稼働時において常時表示されると設定されている常時表示画像が含まれてもよい。
【0023】
このため、垂直軸方向に長いことが多い常時画像の大きさをほとんど変化させずに、常時画像の明るさが低減することを効果的に抑制することができる。
【0024】
また、前記常時表示画像は、前記移動体の動作状態を示す画像であってもよい。
【0025】
このため、移動体の動作状態を示す画像の大きさをほとんど変化させずに、当該画像の明るさが低減することを効果的に抑制することができる。
【0026】
また、前記センシング情報が第一の明るさを示すとき、前記制御部は前記走査部に、前記2軸走査における垂直軸方向の振幅の大きさを、前記センシング情報が前記第二の明るさを示すときよりも前記走査部が前記レーザー光を走査する領域の垂直軸方向における中心を基準として縮小させ、前記スクリーンへ投影される画像には、前記センシング情報が前記第二の明るさを示すときに前記走査部が走査する前記スクリーン上の領域の水平軸方向における一方の端寄りに表示されると設定されている周辺表示画像が含まれてもよい。
【0027】
このため、左右の端部に表示されやすい周辺表示画像の大きさをほとんど変化させずに、周辺表示画像の明るさが低減することを効果的に抑制することができる。
【0028】
また、前記周辺表示画像は、前記移動体の進路の左又は右にある物体を示す画像であってもよい。
【0029】
このため、移動体の進路の左または右にある物体を示す画像の大きさをほとんど変化させずに、当該画像の明るさが低減することを効果的に抑制することができる。
【0030】
なお、表示装置の包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROM等の記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0031】
以下、実施の形態に係る表示装置を、図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明される実施の形態に係る表示装置は、包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、並びにステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0032】
[実施の形態]
[1-1.映像表示システムの概略構成]
図1図3を参照して、実施の形態に係る映像表示システム10の概略構成を説明する。なお、以下において、映像表示システム10がヘッドアップディスプレイ(HUD)として、移動体の一例である車両300に搭載される例を説明するが、映像表示システム10の搭載対象は、車両に限定されない。また、図1は、実施の形態に係る映像表示システム10の車両300への適用例を示す図である。図2は、図1の映像表示システム10がウインドシールド201に表示する画像の領域の一例を示す図である。図3は、図1の映像表示システム10が表示する画像の一例を示す図である。
【0033】
図1に示されるように、実施の形態に係る映像表示システム10は、車載用のHUDとして構成され、車両300のウインドシールド201の下方、具体的にはダッシュボード301の上面付近に取り付けられる。本実施の形態では、ウインドシールド201は、フロントウインドシールドガラスであるが、いかなる部位のウインドシールドガラスであってもよい。
【0034】
図1および図2に示されるように、映像表示システム10は、表示媒体であるウインドシールド201の領域Dに、虚像Bを形成する光を投射するように構成されている。投射された光は、ウインドシールド201で反射して車両300の運転者Aの顔に向かって進み、運転者Aによって視認される。運転者Aは、車両300の運転席に座る映像表示システム10のユーザである。運転者Aは、ウインドシールド201越しに見える前方視野の前景、つまり実際に存在する物を背景として、ウインドシールド201の反対側の車外に存在する像として虚像Bを捉える。
【0035】
以下の説明において、映像表示システム10がウインドシールド201に光を投射することで運転者Aが虚像Bを視認することを、映像表示システム10がウインドシールド201を用いて虚像Bを表示すると表現することもある。なお、映像表示システム10の表示媒体は、ウインドシールド201に限定されず、映像表示システム10の投射光を反射した光がユーザによって視認され得るいかなる表示媒体であってよい。
【0036】
図1図3を参照すると、映像表示システム10は、例えば、ウインドシールド201上における一点鎖線で囲まれた領域である表示領域Dに光を投射する。表示領域Dは、ウインドシールド201上において、運転者Aの正面の下寄りに位置する。そして、運転席に座る運転者Aは、表示領域Dに投射された光が形成する像を、ウインドシールド201の反対側の車外にある虚像Bとして視認する。
【0037】
[1-2.映像表示システムの構成]
図4および図5を参照して、実施の形態に係る映像表示システム10の詳細な構成を説明する。なお、図4は、実施の形態に係る映像表示システム10の機能的な構成の一例を示すブロック図である。図5は、図4の映像表示システム10が車両300に搭載される構成の一例を示す図である。
【0038】
図4および図5を参照すると、映像表示システム10は、光源部110と、走査部120と、スクリーン130と、温度センサ140と、照度センサ150と、制御部100とを備える。なお、図4において、光源部110を始点とする一点鎖線の矢印は、映像表示システム10内の個別光路を示す。具体的には、上記一点鎖線の矢印は、光源部110から走査部120に至る投射光の光路と、走査部120からスクリーン130に至る走査光の個別の光路とを示す。
【0039】
光源部110は、虚像を形成するための光を出射する。光源部110の出射光は、ウインドシールド201、つまり表示媒体200に投影され、それにより運転者Aが視認可能な虚像を形成する。例えば、光源部110は、赤(R)、緑(G)、青(B)の色のレーザー光を出射する半導体レーザー光源を発光体として備えるプロジェクタによって構成される。このようなプロジェクタは、視認性の高い虚像の形成を可能とする。また、半導体レーザー光源を備える映像表示システム10は、コンパクトな構成を可能にするため、ダッシュボード301における映像表示システム10の占有スペースを最小限に抑えることができる。
【0040】
走査部120は、光源部110からの出射光の光路上に配置される。走査部120は、光源部110から受光したレーザー光を走査光としてスクリーン130へ出射し、走査光によるスクリーン130の走査を行う。具体的には、走査部120は、レーザー光を2軸走査して画像をスクリーン130に投影する。走査部120は、受光した光を、走査光として任意な方向に出射することができ、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーによって実現される。走査部120の走査光は、虚像として表示されるための画像をスクリーン130上に結像する。走査部120によるスクリーン130の走査は、2軸走査であるため、2次元走査であり、例えば、水平軸方向の走査を逐次垂直軸方向に移動させるラスタースキャン等である。
【0041】
スクリーン130は、虚像を表示するための画像が投影されるための部材である。スクリーン130は、本実施の形態では、矩形状をした板状、シート状又はフィルム状等の部材であるが、スクリーン130の形状はこれらに限定されない。スクリーン130は、到達した光がスクリーン130上で画像を形成することができるように構成されている。本実施の形態では、スクリーン130は、光が透過可能である部材で構成されているが、光を反射する部材で構成されてもよい。光が透過可能であるスクリーン130は、例えば、透明な部材で構成される。例えば、スクリーン130は、拡散スクリーンであってもよい。スクリーン130は、走査部120の走査光がスクリーン130上で結像した画像を、光学系160に投影する。スクリーン130は、走査部120による走査光の照射範囲内、つまり走査範囲内に配置される。
【0042】
温度センサ140は、光源部110の近傍に配置され、光源部110近傍の温度を検出するセンサである。なお、温度センサ140は、光源部110に接触して配置され、光源部110の温度を検出してもよい。温度センサ140は、例えば、サーミスタなどにより構成されてもよい。温度センサ140を用いて計測された光源部110の温度を示すセンシング情報は、制御部100に出力される。
【0043】
照度センサ150は、ダッシュボード301上に配置され、車両300の外界の明るさを検出するセンサである。なお、照度センサ150は、車両300の外界の明るさを検出できれば、ダッシュボード301上に配置されなくてもよい。照度センサ150を用いて計測された外界の明るさを示すセンシング情報は、制御部100に出力される。
【0044】
光学系160は、スクリーン130が光学系160に投影する画像を、表示媒体200としてのウインドシールド201の表示領域Dに投影する。光学系160は、光を反射する反射鏡、透過する光を拡大又は縮小するレンズ等を備えてよい。本実施の形態では、光学系160は、凹面鏡、凸面鏡、平面鏡等の反射鏡を備え、具体的には、図5に示すように、2つの反射鏡160aおよび160bを備える。反射鏡160aおよび160bは、小型である映像表示システム10の図示しない筐体内に納められるような小型の反射鏡であってよい。反射鏡160aおよび160bは、互いに対向して配置される。本実施の形態では、反射鏡160aは凸面鏡であり、反射鏡160bは凹面鏡であるが、反射鏡160a、160bのそれぞれは、平面鏡、凸面鏡および凹面鏡のうちのいずれかであればよい。
【0045】
スクリーン130の画像は、第一反射鏡160aに向かって投影される。第一反射鏡160aに投影される画像は、第一反射鏡160aによって反射および拡大され、第二反射鏡160bに投影される。さらに、第二反射鏡160bに投影される画像は、第二反射鏡160bによって反射および拡大され、表示媒体200に投影される。反射鏡160aおよび160bを用いることによって、各画像が、拡大された状態で、所望の方向へ投影される。また、表示媒体200は、ウインドシールド201の場合、湾曲した表示面を形成するが、曲面鏡である反射鏡160aおよび160bを用いることによって、表示面に投影された画像の歪みを調整することが可能である。なお、光学系160は、レンズを含んでもよく、レンズによって、画像の拡大および向きの調整を行ってもよい。光学系160の全部又は一部は、映像表示システム10に構成要素として含まれてもよい。
【0046】
制御部100は、映像表示システム10全体の制御を行う。例えば、制御部100は、外部機器から車両情報を取得し、取得した車両情報に基づいて、虚像として表示されるべき画像とその位置とを算出する。外部機器は、例えば、車載のカーナビゲーションシステム、速度計、水温計、人体検出器、目位置検出器、障害物検出器等であってよい。
【0047】
制御部100は、算出結果を示す情報を信号として光源部110に出力し、光源部110の光出射を制御する。具体的には、制御部100は、画像を生成し、生成した画像をレーザー光でスクリーン130に投影させるための画像信号を用いて光源部110を制御する。
【0048】
また、制御部100は、走査部120に制御信号を出力し、走査部120の動作の制御も行う。具体的には、制御部100は、温度センサ140または照度センサ150によるセンシング情報の入力を受け、センシング情報が示す温度または外界の明るさに応じて走査部120を制御する。
【0049】
例えば、制御部100は、センシング情報が所定の温度範囲外の温度を示すとき、走査部120に2軸走査における少なくとも一方の軸方向の振幅の大きさを、センシング情報が所定の温度範囲内の温度を示すときよりも縮小させる。つまり、制御部100は、光源部110の温度が所定の温度範囲内を示すとき、走査部120の走査の振幅の大きさを通常の大きさとする第一制御を行い、光源部110の温度が所定の温度範囲外の温度を示すとき、走査部120の走査の振幅の大きさを第一制御の場合よりも縮小する第二制御を行う。
【0050】
そして、制御部100は、センシング情報が所定の温度範囲外の温度を示すとき、センシング情報が示す温度に関わらず虚像において同位置に表示される同種類の画像を、センシング情報が所定の温度範囲内の温度を示すときよりも、2軸走査において走査部に振幅の大きさを縮小させる軸方向に沿って拡大した画像を生成する。ここで、同種類の画像とは、車両300の走行速度を示す速度表示のための画像、エンジン回転数(モータ回転数)の表示のための画像、燃料計を示す画像などの各種類の画像において同じ種類の画像のことである。
【0051】
ここで、所定の温度範囲について図6図8を用いて説明する。
【0052】
図6は、半導体レーザー光源への印加電流と光出力との関係(I-Lカーブ)を示す図である。図6では、異なる温度におけるI-Lカーブが示されている。
【0053】
図6に示されるように、温度が高くなるほど、同じ印加電流に対する光出力が小さくなる傾向にある。つまり、温度が高くなるほど、印加電流を大きくしても虚像を表示するために十分な光出力が得られにくくなる。また、大電流を流すと半導体レーザー光源に端面破壊が生じやすくなり、寿命が短くなってしまう。このように寿命が短くなることを防ぐため、高温時には、大電流が流れないように半導体レーザー光源に流す電流に制限が設けられている。
【0054】
一方で、低温時には、印加電流をそれほど大きくしなくても大きな光出力が得られやすいが、大きすぎる光出力により端面破壊が生じる。このため、低温時においても、高温時と同様に、大きすぎる光出力が得られないように半導体レーザー光源に流す電流に制限が設けられている。
【0055】
図7は、温度に応じて半導体レーザー光源に許可されている光出力が示されているグラフである。図8は、温度に応じて半導体レーザー光源に許可されている印加電流が示されているグラフである。
【0056】
図7に示されるように、最大の光出力を得ようとすると0度以上60度以下の環境下で半導体レーザー光源を扱う必要があることが分かる。また、図8に示されるように、印加電流を最大にしようとすると0度以上40度以下の環境下で半導体レーザー光源を扱う必要があることが分かる。このように、半導体レーザー光源の光出力を十分に得ようとすると、温度範囲に上限および下限があることが分かる。これらのことより、所定の温度範囲は、虚像を表示するために十分な光出力を半導体レーザー光源から得るための温度範囲に設定されることが好ましい。
【0057】
また、例えば、制御部100は、センシング情報が第一の明るさを示すとき、走査部120に2軸走査における少なくとも一方の軸方向の振幅の大きさを、センシング情報が第一の明るさよりも暗い第二の明るさを示すときよりも縮小させる。つまり、制御部100は、外界の明るさが所定の閾値で表される明るさよりも暗い、または、等しいことを示すとき、走査部120の走査の振幅の大きさを通常の大きさとする第一制御を行い、外界の明るさが所定の閾値で表される明るさよりも明るいことを示すとき、走査部120の走査の振幅の大きさを第一制御の場合よりも縮小する第二制御を行う。
【0058】
なお、第二制御が行われることでユーザに視認される虚像の輝度が向上し、第二制御が行われた直後では、表示された虚像の輝度が、第二制御が行われる直前よりも大きくなるため、第一制御から第二制御に切り替わった場合、制御部100は、光源部110により出力される光出力の大きさを小さくするように制御してもよい。これにより、第一制御から第二制御に切り替わった場合であっても、ユーザに視認される虚像の輝度を一定にすることができる。よって、ユーザに与える違和感を低減することができる。
【0059】
また、反対に、第二制御から第一制御に切り替わった場合において、制御部100は、光源部110により出力される光出力の大きさを大きくするように制御してもよい。これにより、第二制御から第一制御に切り替わった場合であっても、ユーザに視認される虚像の輝度を一定にすることができる。よって、ユーザに与える違和感を低減することができる。
【0060】
そして、制御部100は、センシング情報が第一の明るさを示すとき、センシング情報が示す明るさに関わらず虚像において同位置に表示される同種類の画像を、センシング情報が第二の明るさを示すときよりも、2軸走査において走査部に振幅の大きさを縮小させる軸方向に沿って拡大した画像を生成する。ここで、同種類の画像とは、上記と同様である。
【0061】
制御部100による光源部110および走査部120の制御は、独立して行われることもあるが、それぞれの間での同期などの調整も含み得る。制御部100は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)等からなるコンピュータシステム(図示せず)により構成されてよい。制御部100の一部又は全部の機能は、CPUがRAMを作業用のメモリとして用いてROMに記録されたプログラムを実行することによって達成されてもよい。また、制御部100の一部又は全部の機能は、専用のハードウェア回路によって達成されてもよい。なお、制御部100は、集中制御を行う単独の構成要素で構成されてもよく、互いに協働して分散制御を行う複数の構成要素で構成されてもよい。なお、本実施の形態では、制御部100は、映像表示システム10の構成要素であるが、外部機器の構成要素であってもよい。
【0062】
以下、図を用いて制御部100による光源部110および走査部120の制御の具体例について説明する。
【0063】
(第一の例)
まず、第一の例について説明する。
【0064】
図9は、第一制御における走査部による走査の振幅の大きさの一例を示す図である。図10は、第二制御における走査部による走査の振幅の大きさの第一の例を示す図である。
【0065】
第一制御における振幅の領域401は、例えば、スクリーン130の大きさに応じて予め定められた割合の分だけ縮小された大きさである。第二制御における振幅の領域402は、第一制御における振幅の領域401よりも縮小された大きさであり、例えば、走査の水平軸方向および垂直軸方向の両方の方向において、領域401の1/2の大きさである。なお、縮小される割合は、1/2に限らずに2/3であってもよいし、3/4であってもよいし、1より小さい他の割合であってもよい。第二制御では、制御部100は、走査部120に、2軸走査における水平軸方向および垂直軸方向の両方の振幅の大きさを、第一制御のときよりも走査部120がレーザー光を走査する領域の中心を基準として縮小させる。つまり、第二制御において走査部120がレーザー光で走査するスクリーン130上の領域402は、第一制御において走査部120がレーザー光で走査するスクリーン130上の領域401の中心を含んで全体が領域401に重なり、かつ、領域401よりも水平軸方向および垂直軸方向の両方で小さい。
【0066】
図11は、第一制御において生成される画像の大きさの第一の例を示す図である。図12は、第二制御において生成される画像の大きさの第一の例を示す図である。
【0067】
図11および図12は、他の画像よりもユーザへの表示の優先度が高く設定されている優先画像の例が示されている。図11および図12では、スクリーン130に投影可能な最大の大きさの画像領域410が示されており、画像領域410における優先画像411、412がそれぞれ示されている。ここで示される画像領域410は、光源部110によりレーザー光の制御に用いられる。水平軸方向の0から800までの数値は、走査部120の単位走査量当たりに要する時間に相当する。垂直軸方向の0から600までの数値は、走査部120の走査の垂直軸方向におけるラスタースキャンの段数に相当する。
【0068】
優先画像は、例えば、ユーザに対する警告表示のための画像であり、ユーザに対して、ブレーキをかける等のような、緊急的な操作を促すための画像である。第二制御において制御部100が生成する優先画像412の大きさは、表示させる画像の種類が同一であっても、第一制御において制御部100が生成する優先画像411の大きさよりも水平軸方向および垂直軸方向の両方において大きい。具体的には、優先画像412の大きさは、水平軸方向および垂直軸方向の両方において、優先画像411の2倍に拡大された大きさである。
【0069】
このため、光源部110の温度が、光出力が十分に得られにくい温度であっても、走査部120による走査の振幅を水平軸方向および垂直軸方向の両方向で縮小することで、単位走査量当たりのレーザー光の密度を効果的に向上させることができる。よって中央に表示する、警告表示のための画像のような優先画像の明るさが低減することを効果的に抑制することができる。
【0070】
なお、画像の拡大率は、縮小される振幅の大きさの縮小率の逆数である。第二制御では、制御部100は、水平軸方向および垂直軸方向の両方の優先画像412の大きさを、第一制御のときに生成する優先画像411の中心を基準として拡大させる。つまり、優先画像412は、優先画像411の中心を含んで全体が優先画像411に重なり、かつ、優先画像412よりも水平軸方向および垂直軸方向の両方で大きい。
【0071】
(第二の例)
次に、第二の例について説明する。
【0072】
図13は、第二制御における走査部による走査の振幅の大きさの第二の例を示す図である。なお、第二の例では、第一制御における走査部による走査の振幅の大きさは、図9で示されるものと同様である。
【0073】
第二の例では、第二制御における振幅の領域403は、第一制御における振幅の領域401よりも縮小された大きさであり、例えば、走査の水平軸方向において、領域401の1/2の大きさである。なお、縮小される割合は、1/2に限らずに2/3であってもよいし、3/4であってもよいし、1より小さい他の割合であってもよい。第二制御では、制御部100は、走査部120に、2軸走査における水平軸方向の振幅の大きさを、第一制御のときよりも走査部120がレーザー光を走査する領域の中心を基準として縮小させる。つまり、第二制御において走査部120がレーザー光で走査するスクリーン130上の領域403は、第一制御において走査部120がレーザー光で走査するスクリーン130上の領域401の中心を含んで全体が領域401に重なり、かつ、領域402よりも水平軸方向で小さく垂直軸方向で等しい。
【0074】
図14は、第一制御において生成される画像の大きさの第二の例を示す図である。図15は、第二制御において生成される画像の大きさの第二の例を示す図である。
【0075】
図14および図15は、車両300の稼働時において常時表示されると設定されている常時画像の例が示されている。図14および図15では、図11および図12と同様に画像領域410が示されており、画像領域410における常時画像413、414がそれぞれ示されている。
【0076】
常時画像は、例えば、車両300の動作状態を示す画像であり、車両300の進行経路を示す画像、走行速度を示す画像、燃料計を示す画像、バッテリの残量を示す画像などである。第二制御において制御部100が生成する常時画像414の大きさは、表示させる画像の種類が同一であっても、第一制御において制御部100が生成する常時画像413の大きさよりも水平軸方向において大きい。具体的には、常時画像414の大きさは、水平軸方向において、常時画像413の2倍に拡大された大きさである。
【0077】
このため、光源部110の温度が、光出力が十分に得られにくい温度であっても、走査部120による走査の振幅を水平軸方向で縮小することで、単位走査量当たりのレーザー光の密度を効果的に向上させることができる。よって、垂直軸方向に亘る領域に虚像を表示させることができるため、移動体の動作状態を示す画像のような、表示領域Dの下部に表示されることが多い常時画像の大きさをほとんど変化させずに、常時画像の明るさが低減することを効果的に抑制することができる。
【0078】
なお、画像の拡大率は、第一の例と同様に、縮小される振幅の大きさの縮小率の逆数である。第二制御では、制御部100は、水平軸方向の常時画像414の大きさを、第一制御のときに生成する常時画像413の中心を基準として拡大させる。つまり、常時画像414は、常時画像413の中心を含んで全体が常時画像413に重なり、かつ、常時画像414よりも水平軸方向で大きい。
【0079】
(第三の例)
次に、第三の例について説明する。
【0080】
図16は、第二制御における走査部による走査の振幅の大きさの第三の例を示す図である。なお、第三の例では、第一制御における走査部による走査の振幅の大きさは、図9で示されるものと同様である。
【0081】
第三の例では、第二制御における振幅の領域404は、第一制御における振幅の領域401よりも縮小された大きさであり、例えば、走査の垂直軸方向において、領域401の1/2の大きさである。なお、縮小される割合は、1/2に限らずに2/3であってもよいし、3/4であってもよいし、1より小さい他の割合であってもよい。第二制御では、制御部100は、走査部120に、2軸走査における垂直軸方向の振幅の大きさを、第一制御のときよりも走査部120がレーザー光を走査する領域の中心を基準として縮小させる。つまり、第二制御において走査部120がレーザー光で走査するスクリーン130上の領域404は、第一制御において走査部120がレーザー光で走査するスクリーン130上の領域401の中心を含んで全体が領域401に重なり、かつ、領域402よりも水平軸方向で小さく垂直軸方向で等しい。
【0082】
図17は、第一制御において生成される画像の大きさの第三の例を示す図である。図18は、第二制御において生成される画像の大きさの第三の例を示す図である。
【0083】
図17および図18は、センシング情報が所定の温度範囲内を示すときに走査部120が走査するスクリーン130上の領域の水平軸方向における一方の端寄りに表示されると設定されている周辺表示画像の例が示されている。図17および図18では、図11および図12と同様に画像領域410が示されており、画像領域410における周辺表示画像415、416がそれぞれ示されている。
【0084】
周辺表示画像は、例えば、車両300の進路の左または右にある物体を示す画像である。ここで、物体は、人物、車両、障害物、標識などである。第二制御において制御部100が生成する周辺表示画像416の大きさは、表示させる画像の種類が同一であっても、第一制御において制御部100が生成する周辺表示画像415の大きさよりも垂直軸方向において大きい。具体的には、周辺表示画像416の大きさは、垂直軸方向において、周辺表示画像415の2倍に拡大された大きさである。
【0085】
このため、光源部110の温度が、光出力が十分に得られにくい温度であっても、走査部120による走査の振幅を垂直軸方向で縮小することで、単位走査量当たりのレーザー光の密度を効果的に向上させることができる。よって、左右の端部に表示されやすい、移動体の進路の左または右にある物体を示す画像のような周辺表示画像の大きさをほとんど変化させずに、周辺表示画像の明るさが低減することを効果的に抑制することができる。
【0086】
なお、画像の拡大率は、第一の例および第二の例と同様に、縮小される振幅の大きさの縮小率の逆数である。第二制御では、制御部100は、垂直軸方向の周辺表示画像416の大きさを、第一制御のときに生成する周辺表示画像415の中心を基準として拡大させる。つまり、周辺表示画像416は、周辺表示画像415の中心を含んで全体が周辺表示画像416に重なり、かつ、周辺表示画像416よりも水平軸方向で大きい。
【0087】
[1-3.映像表示システムの動作]
次に、映像表示システムの動作について説明する。
【0088】
図19は、映像表示システムの基本動作の一例を示すフローチャートである。
【0089】
制御部100は、車両300のユーザに虚像を表示するためにスクリーンに投影される画像を示す画像信号を生成する(S11)。
【0090】
次に、制御部100は、生成された画像信号にしたがって光源部110および走査部120を制御する(S12)。制御部100は、光源部110を制御して光源部110にレーザー光を出射させるとともに、走査部120を制御して、レーザー光をスクリーン130に2軸走査して車両300のユーザに虚像を表示するための画像をスクリーン130に投影する。
【0091】
次に、映像表示システムの基本動作中に行われる振幅調整制御について説明する。
【0092】
図20は、映像表示システムの振幅調整制御の第一の例を示すフローチャートである。
【0093】
制御部100は、温度センサ140により検出された光源部110の温度を取得する(S21)。
【0094】
制御部100は、取得された光源部110の温度が所定の温度範囲内であるか否かを判定する(S22)。
【0095】
制御部100は、光源部110の温度が所定の温度範囲内であると判定された場合(S22でYes)、第一制御を行う(S23)。
【0096】
一方で、制御部100は、光源部110の温度が所定の温度範囲外であると判定された場合(S22でNo)、第二制御を行う(S24)。
【0097】
図21は、映像表示システムの振幅調整制御の第二の例を示すフローチャートである。
【0098】
制御部100は、照度センサ150により検出された車両300の外界の明るさを取得する(S31)。
【0099】
制御部100は、取得された車両300の外界の明るさが所定の閾値以下であるか否かを判定する(S32)。
【0100】
制御部100は、車両300の外界の明るさが所定の閾値以下であると判定された場合(S32でYes)、第一制御を行う(S33)。
【0101】
一方で、制御部100は、車両300の外界の明るさが所定の閾値より大きいと判定された場合(S32でNo)、第二制御を行う(S34)。
【0102】
なお、振幅調整制御の第一の制御および第二の制御は、並行して実行されていてもよい。この場合、ステップS22でNoと判定されるか、ステップS32でNoと判定されるかのいずれかであれば第二制御が行われることとなる。
【0103】
図22は、映像表示システムの第二制御の一例を示すフローチャートである。
【0104】
第二制御では、制御部100は、生成した画像に優先画像が含まれるか否かを判定する(S41)。
【0105】
制御部100は、優先画像が含まれていると判定された場合(S41でYes)、水平軸方向および垂直軸方向の両方向で走査の振幅を縮小し、かつ、水平軸方向および垂直軸方向の両方向で拡大した画像を生成する(S42)。つまり、図9図12を用いて説明した第一の例における第二制御を行う。
【0106】
一方で、制御部100は、優先画像が含まれていないと判定された場合(S41でNo)、生成した画像に周辺表示画像が含まれているか否かを判定する(S43)。
【0107】
制御部100は、周辺表示画像が含まれていると判定された場合(S43でYes)、垂直軸方向で走査の振幅を縮小し、かつ、垂直軸方向で拡大した画像を生成する(S44)。つまり、図9図16図18を用いて説明した第三の例における第二制御を行う。
【0108】
一方で、制御部100は、周辺表示画像が含まれていないと判定された場合(S43でNo)、水平軸方向で走査の振幅を縮小し、かつ、水平軸方向で拡大した画像を生成する(S45)。つまり、図9図13図15を用いて説明した第二の例における第二制御を行う。
【0109】
なお、第二制御では、図22で説明した制御が行われなくてもよく、第一の例、第二の例、および第三の例のいずれかが行われればよい。
【0110】
[1-4.効果など]
本実施の形態に係る映像表示システム10によれば、制御部100は、温度センサ140によるセンシング情報が所定の温度範囲外の温度を示すとき、走査部120に、2軸走査における少なくとも一方の軸方向の振幅の大きさを、センシング情報が所定の温度範囲内の温度を示すときよりも縮小させる。このため、光源部110の温度が、光出力が十分に得られにくい温度であっても、走査部120による走査の振幅を縮小することで、単位走査量当たりのレーザー光の密度を向上させることができる。このため、虚像の明るさが補われ、鮮明な画像の表示が可能になる。また、温度調整を行わずに、画像の明るさを調整できるため、即応性を有する画像の明るさの調整を実現することができる。
【0111】
また、本実施の形態に係る映像表示システム10において、センシング情報が所定の温度範囲外の温度を示すとき、制御部100は、センシング情報が示す温度に関わらず虚像において同位置に表示される同種類の画像を、センシング情報が所定の温度範囲内の温度を示すときよりも、2軸走査において走査部に振幅の大きさを縮小させる軸方向に沿って拡大した画像を生成させる。このため、走査部120による走査の振幅を小さくすることで虚像の明るさを補った場合であっても、虚像の大きさが小さくなることを抑制することができる。
【0112】
また、本実施の形態に係る映像表示システム10において、生成される画像の拡大率は、縮小される振幅の大きさの縮小率の逆数である。このため、走査部120による走査の振幅を小さくすることで虚像の明るさを補った場合であっても、虚像の大きさを、振幅を小さくする前と等しい大きさとすることができる。
【0113】
また、本実施の形態に係る映像表示システム10によれば、制御部100は、照度センサ150によるセンシング情報が第一の明るさを示すとき、走査部120に、2軸走査における少なくとも一方の軸方向の振幅の大きさを、センシング情報が第一の明るさより暗い第二の明るさを示すときよりも縮小させる。このため、外界が例えば所定の閾値よりも明るく、虚像と実景との間のコントラストが低下しやすい条件であっても、走査部120による走査の振幅を縮小することで、単位走査量当たりのレーザー光の密度を向上させることができる。このため、虚像の明るさが補われ、鮮明な画像の表示が可能になる。よって、ユーザによる虚像の視認性が低下することを抑制することができる。
【0114】
[1-5.変形例]
上記実施の形態では、照度センサ150を用いて車両300の外界の明るさを検出するとしたが、照度センサ150を用いることに限らない。例えば、カメラなどのイメージセンサを有する機器を用いて車両300の外界の明るさを検出してもよい。
【0115】
上記実施の形態では、温度センサ140により検出された温度が所定の温度範囲内にあるか否かに応じて、第一制御および第二制御のいずれかを選択的に行う構成とした。つまり、上記実施の形態では、条件を満たすか否かの二段階で、二段階の制御を行うとしたがこれに限らずに、多段階の条件を満たすか否かを判定し、多段階の制御を行ってもよい。
【0116】
多段階の条件は、例えば、第一の温度範囲と、第二の温度範囲と、第三の温度範囲とを含む。第一の温度範囲は、光源部110からの光出力が十分な温度範囲である。第二の温度範囲は、第一の温度範囲よりも光源部110からの光出力が小さい温度範囲である。第三の温度範囲は、第二の温度範囲よりも光源部110からの光出力が小さい温度範囲である。第二の温度範囲は、第一の温度範囲の上限値から第一の温度幅の温度範囲と、第一の温度範囲の下限値から第二の温度幅の温度範囲とにより構成される。第三の温度範囲は、第一の温度範囲の第一の温度幅の温度範囲の上限よりも大きい温度範囲と、第一の温度範囲の第二の温度幅の温度範囲の加減よりも小さい温度範囲とにより構成される。
【0117】
この場合、制御部100は、温度センサ140により検出された温度が第一の温度範囲内である場合には、第一制御を行う。制御部100は、検出された温度が第二の温度範囲内である場合には、第一制御よりも走査部120による振幅を小さくした第三制御を行う。第三制御では、制御部100は、上記実施の形態における第二制御と同様に、生成する画像を拡大してもよい。制御部100は、検出された温度が第三の温度範囲内である場合には、第三制御よりも走査部120により振幅を小さくした第四制御を行う。第四制御では、制御部100は、上記実施の形態における第二制御と同様に、生成する画像を拡大してもよい。第四制御では、制御部100は、第三制御において生成する画像よりもさらに拡大した画像を生成する。
【0118】
上記実施の形態では、温度センサ140により検出された温度に応じて、第一制御および第二制御のうちの1つを選択的に行う制御と、照度センサ150により検出された外界の明るさに応じて、第一制御および第二制御のうちの1つを選択的に行う制御との両方を行うとしたが、一方のみを行ってもよい。
【0119】
[1-6.その他]
以上、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態に係る映像表示システムについて説明したが、本開示は、実施の形態に限定されるものではない。本開示における技術は、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態の変形例又は他の実施の形態にも適用可能である。また、実施の形態で説明する各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態又は変形例とすることも可能である。
【0120】
上述したように、本開示の包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、本開示の包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0121】
例えば、上記実施の形態に係る映像表示システムに含まれる各処理部は典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)として実現される。これらは個別に1チップ化されてもよく、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0122】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0123】
なお、上記実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0124】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0125】
以上、一つの態様に係る映像表示システムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つの態様の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本開示は、ユーザによる虚像の視認性が低下することを抑制することができる映像表示システムなどに利用可能である。
【符号の説明】
【0127】
10 映像表示システム
100 制御部
110 光源部
120 走査部
130 スクリーン
140 温度センサ
150 照度センサ
160 光学系
160a 第一反射鏡
160b 第二反射鏡
200 表示媒体
201 ウインドシールド(表示媒体)
300 車両(移動体)
301 ダッシュボード
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