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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】便座装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 13/24 20060101AFI20221209BHJP
【FI】
A47K13/24
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018179965
(22)【出願日】2018-09-26
(65)【公開番号】P2020048771
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-07-16
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】東 規雄
(72)【発明者】
【氏名】奥山 興自
(72)【発明者】
【氏名】西村 嘉徳
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-195365(JP,A)
【文献】実開昭62-060674(JP,U)
【文献】特開2015-104421(JP,A)
【文献】実開平06-077698(JP,U)
【文献】特開平09-117393(JP,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0422984(KR,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 13/00-17/02
E03D 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器に回動自在に取り付けられる便座本体と、前記便座本体の内部に収容配線された導電線と接続され、該便座本体の裏板部に取り付けられる着座スイッチとを備えた便座装置であって、
前記着座スイッチが収容保持されるスイッチ収容部材と、該着座スイッチを押圧にて作動させるための押圧操作部材とを有し、
前記便座本体の裏板部に、前記着座スイッチを収容保持した前記スイッチ収容部材が前記便座本体の裏側から取り付け収納される収納凹所が、前記便座本体の内部と連通するように形成されており、
前記押圧操作部材は脚部を有し、該脚部が前記収納凹所の開口内縁部の内面と、前記スイッチ収容部材の外面との間にできる隙間空間に嵌め入れられるように取り付けられることを特徴とすることを特徴とする便座装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記着座スイッチは、荷重により変位を検知する検知部を有したスイッチ本体と、前記スイッチ収容部材の収容空間に収容された前記スイッチ本体を覆い、前記検知部に近接するようにして該収容空間の開口を塞ぐように嵌め込まれる変位板とを備えており、
前記スイッチ収容部材は、前記収納凹所に取り付け収納されていない状態では、前記変位板が嵌めこまれることにより外側に撓み変形する一方、前記収納凹所に取り付け収納された状態では、前記撓み変形が制限され、前記変位板を圧接により保持することを特徴とする便座装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記スイッチ収容部材は、前記収容空間を囲む周壁部を有し、該周壁部の起立方向を前記収容空間の深さ方向に対応させて前記収納凹所に取り付け収納される構成とされており、
前記周壁部は前記起立方向に延びるスリットにより分断されており、前記スイッチ収容部材が前記収納凹所に取り付け収納されていない状態では、該スリットが拡開するように前記周壁部が外側へと撓み変形する一方、前記スイッチ収容部材が前記収納凹所に取り付け収納された状態では、前記スリットの拡開が規制されて前記撓み変形が制限されることを特徴とする便座装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記周壁部の内側に、前記変位板の相対向する周縁部を係止する突起部が配設されており、
前記変位板は、前記周縁部が前記突起部を前記収容空間側に乗り越えて前記スイッチ収容部材に保持されることを特徴とする便座装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記突起部は前記スリット寄りの相対向する位置に設けられており、
前記スイッチ収容部材の周壁部の前記スリットと対向する反対側の位置には、前記変位板の前記周縁部を係止する係止部が配設されていることを特徴とする便座装置。
【請求項6】
請求項3~5のいずれか1項において、
前記周壁部の内縁の平面視形状が略長方形とされ、前記スリットが該略長方形の一方の短辺に設けられていることを特徴とする便座装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洋式便器の便器本体に取り付けられる便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、便座本体の裏側に着座スイッチを設けた便座装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の便座装置は便座本体の内部に導電線が配線されており、その導電線に接続された着座スイッチが、便座本体の裏板部に形成された、便座本体の内部空間に連通する収納凹所に収納されるスイッチ配設構造とされている。
【0004】
便座装置の製造工程における着座スイッチの取り付け手順は、つぎのような手順とされている。
まず、着座スイッチの収納凹所を備える裏板部に導電線を仮置きする。このとき、導電線の一方の端部は便座装置のヒンジ部から引き出し、他方の端部は着座スイッチの収納凹所の近傍になるよう仮置きしておく。
この状態で裏板部と表板部とを溶着する。
つぎに、裏板部に設けられた着座スイッチの収納凹所から、内部に収納された導電線を引き出す。
そして、着座スイッチに便座本体の内部より取り出した導電線を接続し、つぎにその着座スイッチを収納凹所に収納する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のものでは、裏板部に設けた収納凹所は着座スイッチをずれなく固定できるような内部構造となっており、その開口面積は、着座スイッチの横断面積とほぼ同じ大きさであり小さいため、作業はしにくかった。
【0007】
より具体的には、収納凹所の開口が小さいため、この開口から便座本体の内部に収納された導電線を取り出すことや、配線接続された状態の着座スイッチを収納凹所に収納することは容易な作業ではなかった。また、着座スイッチを適正に動作させる変位板を、着座スイッチを覆うように取り付ける必要があるが、この作業は着座スイッチが収納凹所に収納された状態でしなければならず、よってこの取り付け作業についても作業性はよくなかった。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、便座本体への着座スイッチの取り付け作業性をよくすることができる便座装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の便座装置は、便器に回動自在に取り付けられる便座本体と、該便座本体の内部に収容配線された導電線と接続され、前記便座本体の裏板部に取り付けられる着座スイッチとを備えた便座装置であって、前記着座スイッチが収容保持されるスイッチ収容部材と、該着座スイッチを押圧にて作動させるための押圧操作部材とを有し、前記便座本体の裏板部に、前記着座スイッチを収容保持した前記スイッチ収容部材が前記便座本体の裏側から取り付け収納される収納凹所が、前記便座本体の内部と連通するように形成されており、前記押圧操作部材は脚部を有し、該脚部が前記収納凹所の開口内縁部の内面と、前記スイッチ収容部材の外面との間にできる隙間空間に嵌め入れられるように取り付けられることを特徴とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の便座装置は上述した構成とされているため、便座本体への着座スイッチの取り付け作業性をよくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る便座装置の説明図である。(a)は便座本体の裏面側の平面図、(b)は(a)のA部の内部構造を示す部分拡大斜視図である。
図2図1(a)のB-B線に対応した便座本体の部分拡大模式断面図である。
図3】スイッチ収容部材の斜視図である。
図4】スイッチ収容部材の平面図である。
図5】着座スイッチを収容保持したスイッチ収容部材(変位板の取り付け前)の斜視図である。
図6】(a)(b)は、着座スイッチを収容保持したスイッチ収容部材に対する変位板の取り付け手順(1/2)を示す斜視図である。
図7】(a)(b)は、着座スイッチを収容保持したスイッチ収容部材に対する変位板の取り付け手順(2/2)を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面にもとづいて説明する。まず便座装置1の基本構成について説明する。
【0013】
本便座装置1は、便器(不図示)に回動自在に取り付けられる便座本体10と、着座スイッチ50と、着座スイッチ50が収容保持されるスイッチ収容部材30とを備えている。着座スイッチ50は、便座本体10の内部11に収容配線された導電線12と接続され、便座本体10の裏板部13に取り付けられるものである。便座本体10の裏板部13には、着座スイッチ50を収容保持したスイッチ収容部材30が便座本体10の裏側から取り付け収納される収納凹所20が、便座本体10の内部11と連通するように形成されている。
【0014】
ついで、便座装置1の詳細について説明する。なお、以下では便座本体10を裏向けた状態を基準として上下方向を定めて説明する。
【0015】
本実施形態の便座装置1は、図1(a)の便座本体10の裏面側の平面図に示すように、便座本体10の裏面前側の2カ所に、着座スイッチ50を内装したスイッチ部Sを備えている。これらのスイッチ部Sは、すべて略同一の内部構造であり、裏板部13に設けた収納凹所20に着座スイッチ50が内装され、その収納凹所20の開口を塞ぐように押圧操作部材70が取り付けられた構成とされている。着座スイッチ50は、上述したようにスイッチ収容部材30に収容された状態で、収納凹所20に収納されている。
【0016】
図1(b)は、押圧操作部材70を外した状態の図1(a)のA部の部分拡大斜視図である。図2は、図1(a)のB-B線の位置に対応する、裏板部13の収納凹所20に対する押圧操作部材70の取り付け状態を示す部分拡大模式断面図である。
【0017】
収納凹所20は、図1(b)および図2に示すように、裏板部13の開口内縁部21は、下方に突出して形成された平面視略楕円柱状の収納空間であり、図2に示すように、下部および側部の一部が開口して、便座本体10の内部11に連通している。開口内縁部21は、下方側において段差部22を有し、さらにその下方には上部よりもすぼんだ形状の挟持部23を有している。また、収納凹所20の上面側の開口縁には開口の周囲部よりも段落ちした押圧操作部材用載置部24が形成されている。
【0018】
スイッチ収容部材30は、図1(a)、図3および図4に示すように、収納凹所20の平面形状に略合致した長楕円形状とされている。スイッチ収容部材30の外側面の上下方向の中央には周方向に沿って複数に分離した鍔片40が形成されている。スイッチ収容部材30は、鍔片40が段差部22の上面に載置され下部(足部41)が挟持部23に挟まれた状態で収納凹所20に収納されるようになっている。また、スイッチ収容部材30が収納凹所20に収納された状態では、スイッチ収容部材30と、収納凹所20の開口内縁部21との間に略全周にわたる隙間空間26が形成される。
【0019】
このように、収納凹所20は、着座スイッチ50がスイッチ収容部材30で覆われた状態で収納されるものであるから、その開口面積は着座スイッチ50の平面寸法よりも十分に大きなものとなる(図1(b)参照)。
【0020】
一方、押圧操作部材70は、ゴムなどの弾性材により形成され、長楕円状の操作部71と、操作部71の下側で略全周に下方に周壁状に延びた脚部73と、操作部71の外側に延びてなる鍔部74とを備えている。
【0021】
操作部71は、下向に押しつぶされるように弾性的に変形可能とされ、図2に示すように中央部が上方に突出している一方、中央部の下面の中心部には着座スイッチ50を動作させるために下方に棒状に突出した押圧部72を備えている。
【0022】
脚部73は、収納凹所20の開口内縁部21の内面と、スイッチ収容部材30の外面との間にできる隙間空間26に嵌め入れられる垂下壁とされる。鍔部74は、収納凹所20の押圧操作部材用載置部24に載置される突出片とされる。
【0023】
図1(b)および図2に示すように、スイッチ収容部材30は、収納凹所20にスイッチ収容部材30の鍔片40が開口内縁部21の段差部22に載せ置かれるように収納され、押圧操作部材70は、その脚部73が隙間空間26に嵌めこまれて取り付けられる。押圧操作部材70を取り付けることで、スイッチ収容部材30の鍔片40が脚部73と段差部22との間に挟まれるようにすれば、スイッチ収容部材30と、押圧操作部材70と、収納凹所20(裏板部13)とは強固な固定関係が形成される。
【0024】
押圧操作部材70の操作部71が上方より押圧されると、操作部71が変形することで下方に移動する押圧部72が変位板60を押し下げ、着座スイッチ50のスイッチ本体51に設けた検知部52を作動させる。便器の使用状態における便座は便座本体10の裏板部13が下方を向き、便器本体(不図示)のリム上面(不図示)に押圧操作部材70の操作部71の上面が接触しており、利用者の着座により押圧部72が押し上げ動作をするものである。つまり、リム上面からの押圧力により変位板60が押し上げられることで着座スイッチ50が作動する。
【0025】
着座スイッチ50は、荷重により変位を検知する検知部52を有したスイッチ本体51と、変位板60とを備えている。変位板60は、スイッチ収容部材30の収容空間31に収容されたスイッチ本体51を覆い、検知部52に近接するようにして収容空間31の開口を塞ぐように嵌め込まれるばね板とされる。
【0026】
また、スイッチ本体51は、下部に配線接続部53を有しており、スイッチ収容部材30に収容された状態では、スイッチ収容部材30の下部開口25を介して、便座本体10の内部11に収容配線された導電線12と接続できるようになっている。図2に示すように、下部開口25は、導電線12が横または下のいずれの方向からも接続できるような開口とすればよい。
【0027】
つぎに、スイッチ収容部材30および着座スイッチ50について、図3図7を参照しながら説明する。
【0028】
スイッチ収容部材30は、平面視で長楕円形状とされ、着座スイッチ50のスイッチ本体51を収容する収容空間31を有し、この収容空間31を囲むように周壁部33が形成されている。周壁部33は、その起立方向に延びるスリット32(上下をともに開口した縦開口)により分断されている。このスリット32はスイッチ収容部材30の長手方向の一端側に形成されている。ようするに、このスリット32により、スリット32が拡開するように分断された周壁部33の両側部が長手方向の他端側を支点として外側へと撓み変形することが可能とされている。
【0029】
また、周壁部33は肉抜きされた二重壁とされ、周壁部33に囲まれた内部には、周壁部33の内縁にて外形が定められた平面視略長方形の有底の収容空間31が形成されている。この収容空間31には、図3および図4に示すように、スイッチ本体51(図4に2点鎖線で図示)の位置決め固定をするための、相対向する短手方向固定部37と、長手方向固定部38と、上方よりスイッチ本体51を押さえる爪片部39とを備えている。
【0030】
また、スイッチ収容部材30の周壁部33の内側(内壁面の上部)には、変位板60の相対向する2辺の長手辺縁部63a(周縁部63)を係止する突起部34が配設されている。さらに、周壁部33のスリット32と対向する位置(短手辺側)には、変位板60の短手辺縁部63b(周縁部63)を係止する係止部35が配設されている。図5に示すように、突起部34、係止部35の上面には、収容空間31側へ下り傾斜したガイド面34a、35aが形成されている。
【0031】
また、周壁部33に設けた突起部34、係止部35よりも下側には収容空間31側に突出した凸部36が形成されている。突起部34および係止部35のそれぞれは、凸部36との間隙に変位板60の周縁部63を嵌め入れることで変位板60を保持、係止するようになっている。
【0032】
収容空間31の下方に設けた底板部42は、スリット32側(長手方向の一端側)の一部が開口し、その開口43とスリット32が連通し、それらの連続開口44が、上述した収納凹所20の下部開口25を介して、便座本体10の内部11に連通している。また、底板部42のスリット32側の端縁には凹開口42aが形成されており、スイッチ本体51の下部の一部が開口43と凹開口42aとより下方に突出するように配される。
【0033】
また、上述した鍔片40は、周壁部33の外面に4箇所に分離して設けてある。この鍔片40よりも下方には、分断された周壁部33に対応した足部41(図4図5参照)が形成されている。したがって、足部41は周壁部33と一体となって撓み変形する。
【0034】
上述したように、スイッチ収容部材30が収納凹所20に正しく収納された状態では、足部41は両外側より挟持部23(図4参照)で挟まれた状態となる。つまり、スイッチ収容部材30が収納状態にあるときは、挟持部23により周壁部33および足部41の外側への撓み変形が制限される。
【0035】
ついで、着座スイッチ50(スイッチ本体51および変位板60)のスイッチ収容部材30に対する取り付け手順について、図5図7を参照しながら説明する。
【0036】
まず裏板部13に導電線12を仮置きする。このとき、導電線12の一方の端部を便座装置1のヒンジ部から引き出し、他方の端部を収納凹所20の近傍に仮置きしておく。
この状態で裏板部13と表板部とを溶着する。
つぎに、裏板部13に設けられた収納凹所20から、内部に収納された導電線12を引き出す。
そして、便座本体10の内部11より引き出した導電線12をスイッチ本体51の配線接続部53に半田付けなどで接続させてから、そのスイッチ本体51をスイッチ収容部材30の収容空間31に収容する(図5参照)。
【0037】
収納凹所20の開口面積はスイッチ本体51の横断面積とくらべて十分に大きいため、導電線12の便座本体10の内部11からの引き出し、および、導電線12が接続されたスイッチ本体51の内部11への収容作業を容易に行うことができる。なお、本実施形態のものは、スリット32と底側の開口43とが連通して大きな連続開口44が形成されているため、導電線12を接続したスイッチ本体51を収容空間31へ収容する作業は特にしやすい。
【0038】
つぎに変位板60の取り付け手順について説明する。変位板60は、下方に弾性的に変位することでスイッチ本体51の検知部52に接触する作動ばね板61(図6参照)と、その作動ばね板61の上面に重ねられる支持ばね板62(図7参照)とより構成されている。いずれのばね板も、収容空間31の開口の平面視形状に合致した略長方形の薄板材よりなる。
【0039】
作動ばね板61は、その中央に、幅寸法を小さくし長手方向に長く延ばして撓みやすくした作動片61aが切り込みにて形成され、その周囲には作動片61aを保持する保持片61bが形成されている。また、支持ばね板62には切り込みなどの加工はなされていない。
【0040】
このような変位板60は、図6図7に示すように、作動ばね板61(図6参照)、支持ばね板62(図7参照)の順で1枚ずつ取り付けるようにすればよい。もちろん、2枚重ねて取り付けてもよい。
【0041】
作動ばね板61は、作動ばね板61の支点側の周縁部63(短手辺縁部63b)が周壁部33の内壁面に設けた係止部35と凸部36との間隙に挿入され、作業者により一時的に傾斜状に保持される。そして、作動ばね板61の傾斜した上部が下方に押し下げられることで、周縁部63(両長手辺縁部63a)が突起部34の下方(収容空間31側)へと乗り越え、作動ばね板61は突起部34、凸部36間に嵌め入れられる。こうして、作動ばね板61は収容空間31の適切な位置に配設、保持される。
【0042】
支持ばね板62も同様に、一方の周縁部63(短手辺縁部63b)が係止部35と、凸部36に接触した作動ばね板61との間隙に装着され、作業者により一時的に傾斜状に保持される。そして、支持ばね板62の傾斜した上部が下方に押し下げられることで、周縁部63(両長手辺縁部63a)が突起部34を乗り越え突起部34、作動ばね板61間に嵌め入れられる。こうして、支持ばね板62は収容空間31の適切な位置に配設、保持される。
【0043】
これらの変位板60は、周壁部33がスリット32により分断されているため、無理なく装着され得る。すなわち、変位板60が嵌めこまれる際に、変位板60の周縁部63は突起部34を収容空間31側へ乗り越え、これに伴って分断された周壁部33の両側部は離反するように外側へと撓み変形する。そして、その撓み変形と、突起部34のガイド面34aによる作用とがあいまって、周縁部63は突起部34を容易に乗り越えることができる。このように、スイッチ本体51と同様、変位板60についても、スイッチ収容部材30に簡単に取り付けることができる。
【0044】
また、本実施形態では、周壁部33の内縁の平面視形状が略長方形とされ、スリット32が長方形の一方の短辺に設けられているため、長辺側の周壁部33の両側部は撓み変形しやすく、変位板60の取り付けはよりしやすくなる。
【0045】
また、本実施形態のもののように、突起部34はスリット32寄りの位置に設けられ、係止部35はスリット32と対向する位置に設けられていることが、変位板60をバランスよく係止するうえで望ましい。また、突起部34、係止部35をこのように配することで、図5図6に示すように、係止部35側を支点とした回動動作で変位板60を容易に取り付けることができる。なお、突起部34や係止部35の形成位置や数は本実施形態のものには限られない。突起部34と係止部35とは合計で2つ以上あればよく、対辺に1つずつ設けたものであってもよい。
【0046】
こうして、スイッチ収容部材30には、導電線12が接続されたスイッチ本体51と、変位板60とが収容空間31に適切に取り付けられる。この状態のスイッチ収容部材30は、そのままの状態で便座本体10の収納凹所20に収納することができる。
【0047】
このように本便座装置1では、着座スイッチ50(スイッチ本体51)を直接、収納凹所20に収納する必要がなく、スイッチ収容部材30に取り付けた状態で、その部材に合致した大きな開口の収納凹所20に収納することができる。したがって、従来にくらべ作業性は格段によくなる。
【0048】
また、スイッチ収容部材30に設けた、スリット32を含む連続開口44と、収納凹所20に設けた便座本体10の内部11に通じる下部開口25とが連通しているため、接続された導電線12を内部に戻すことも容易にできる。
【0049】
また、スイッチ収容部材30が収納凹所20に収納されると、足部41が収納凹所20に形成された挟持部23に挟まれて、スリット32の拡開が規制されて周壁部33の外側への撓み変形が制限される。したがって、スイッチ収容部材30が収納凹所20に取り付け収納された後に、周壁部33の外側への拡開変形により変位板60が外れることは回避される。
【0050】
なお、本実施形態ではスイッチ収容部材30にスリット32を設けることで変位板60を装着しやすくしたが、このような変形構成のものには限られない。ようするに、収納凹所20に収納されていない状態では、変位板60が嵌めこまれることにより外側に撓み変形し、収納凹所20に取り付け収納された状態では、撓み変形が制限され、変位板60を圧接により保持するものであれば、他の構成であってもよい。例えば、ゴムのような弾性体を用いることで変位板60を装着しやすい構造を構成してもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 便座装置
10 便座本体
11 内部
12 導電線
13 裏板部
20 収納凹所
30 スイッチ収容部材
31 収容空間
32 スリット
33 周壁部
34 突起部
35 係止部
50 着座スイッチ
52 検知部
60 変位板
63 周縁部


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7