(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
F21V 23/00 20150101AFI20221209BHJP
F21S 9/02 20060101ALI20221209BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221209BHJP
【FI】
F21V23/00 160
F21S9/02 215
F21V23/00 150
F21V23/00 120
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2019075772
(22)【出願日】2019-04-11
【審査請求日】2022-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 誠
(72)【発明者】
【氏名】片野田 寛治
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-174482(JP,A)
【文献】特開2009-54487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 23/00
F21S 9/02
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光源と、
第2の光源と、
前記第1の光源を点灯させる第1の点灯装置と、
前記第2の光源を点灯させる第2の点灯装置と、
前記第2の光源、前記第1の点灯装置及び前記第2の点灯装置を収容する器具本体と、
を備え、
前記器具本体は、
造営面に取り付けられる底壁と、
前記底壁の前方に配置される前壁と、
前記底壁の周縁と前記前壁の周縁をつなぐ一つ以上の側壁と、
を有し、
前記底壁は、外部の電源と前記第1の点灯装置及び前記第2の点灯装置をそれぞれ電気的に接続するための電線が導入される電線孔を有し、
前記第1の光源は、前記前壁に取り付けられ、
前記第1の点灯装置は、前記前壁の後面に取り付けられ、
前記第2の点灯装置は、前記器具本体の前後方向から見て前記第1の点灯装置と重なるように前記器具本体に収容されており、
前記電線孔は、前記底壁において、前記器具本体の前後方向から見て前記第1の点灯装置及び前記第2の点灯装置と重ならない位置に設けられている、
照明器具。
【請求項2】
前記第1の光源は、前記前壁の前面に取り付けられている、
請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記第1の点灯装置は、第1のプリント回路と、前記第1のプリント回路を収容する第1のケースとを有し、
前記第2の点灯装置は、第2のプリント回路と、前記第2のプリント回路を収容する第2のケースとを有し、
前記第1のケース及び前記第2のケースはそれぞれ箱状に形成されており、
前記第1のケースと前記第2のケースは、互いの長手方向をそろえるように前記器具本体に収容されている、
請求項1又は2記載の照明器具。
【請求項4】
前記器具本体に収容され、かつ、前記第2の点灯装置を介して前記第2の光源に給電する蓄電装置を備え、
前記蓄電装置は、前記底壁において、前記前後方向から見て、前記電線孔を挟んで前記第2の点灯装置と隣り合う位置に配置されている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項5】
前記第2の光源及び前記第2の点灯装置が前面に取り付けられる取付板を備え、
前記取付板は、前記底壁に取り付けられる、
請求項1~4のいずれか1項に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明器具に関し、より詳細には、二種類の光源と、各種類の光源をそれぞれ個別に点灯させる二種類の点灯装置を備える照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として特許文献1記載の非常用照明器具を例示する。特許文献1記載の非常用照明器具(以下、従来例という。)は、LEDユニット及びハロゲンランプの二種類の光源と、LEDユニットを点灯させる点灯装置及びハロゲンランプを点灯させる点灯回路(点灯装置)の二種類の点灯装置とを備えている。LEDユニットを点灯させる点灯装置は、商用電源から供給される電力(常用電力)でLEDユニットを点灯させる。ハロゲンランプを点灯させる点灯回路は、二次電池から供給される電力(非常用電力)でハロゲンランプを点灯させる。
【0003】
従来例は、前面が開口した箱体からなる器具本体を備える。器具本体の内部にはLEDユニットの一部(発光部)、二種類の点灯装置、ハロゲンランプ、二次電池が収納される。なお、器具本体の前面は、LEDユニットを構成する反射板によって塞がれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来例では、LEDユニットの発光部、ハロゲンランプ、点灯装置、点灯回路及び二次電池などが、器具本体内において器具本体の底面(背面)と平行に並ぶように収納されている。そのため、従来例は、器具本体の底面の穴から引き込まれた電線(商用電源と点灯装置及び点灯回路を電気的に接続するための電線)を配線するためのスペースが狭いので、電線の結線作業の作業性向上が望まれていた。
【0006】
本開示の目的は、電線の結線作業の作業性向上を図ることができる照明器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る照明器具は、第1の光源と、第2の光源と、前記第1の光源を点灯させる第1の点灯装置と、前記第2の光源を点灯させる第2の点灯装置と、前記第2の光源、前記第1の点灯装置及び前記第2の点灯装置を収容する器具本体とを備える。前記器具本体は、造営面に取り付けられる底壁と、前記底壁の前方に配置される前壁と、前記底壁の周縁と前記前壁の周縁をつなぐ一つ以上の側壁とを有する。前記底壁は、外部の電源と前記第1の点灯装置及び前記第2の点灯装置をそれぞれ電気的に接続するための電線が導入される電線孔を有する。前記第1の光源は、前記前壁に取り付けられる。前記第1の点灯装置は、前記前壁の後面に取り付けられる。前記第2の点灯装置は、前記器具本体の前後方向から見て前記第1の点灯装置と重なるように前記器具本体に収容されている。前記電線孔は、前記底壁において、前記器具本体の前後方向から見て前記第1の点灯装置及び前記第2の点灯装置と重ならない位置に設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本開示の照明器具は、電線の結線作業の作業性向上を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る照明器具の斜視図である。
【
図4】
図4は、同上の照明器具の蓋を外した状態の正面図である。
【
図5】
図5は、同上の照明器具の回路ブロック図である。
【
図6】
図6は、変形例の照明器具の一部破断した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態に係る照明器具について図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0011】
実施形態に係る照明器具1(以下、照明器具1という。)は、非常灯及び階段通路誘導灯を兼用する非常用照明器具である。照明器具1は、例えば、集合住宅の共用部の廊下及び階段の壁面に直付けされる。ただし、本開示の照明器具は非常用照明器具に限定されない。
【0012】
照明器具1は、常用電源(商用の電力系統など)から供給される常用電力で常用照明を行うとともに、常用電力で蓄電池(非常用電源8)を充電する。さらに、照明器具1は、常用電源9(
図5参照)の停電時に蓄電池(非常用電源8)から供給される非常用電力で非常用照明を行う。なお、以下の照明器具1に関する説明においては、特に断りのない限り、
図1に矢印で示す前後、上下及び左右の各方向を照明器具1の前後、上下及び左右の各方向と規定する。例えば、照明器具1の前方向とは、照明器具1が直付けされる壁面から垂直方向(壁面の法線方向)に沿って離れる方向である。
【0013】
照明器具1は、
図1~
図4に示すように、器具本体10、カバー2、常用光源ユニット3、非常用光源ユニット4、常用点灯装置5、非常用点灯ブロック6、センサブロック7、非常用電源8、スイッチブロック16を備える。
【0014】
器具本体10は、前面が開放された直方体状の筐体11と、四角形の平板状に形成されて筐体11の前面を塞ぐ蓋12とを有する。筐体11の内部に、非常用光源ユニット4、常用点灯装置5、非常用点灯ブロック6、センサブロック7、非常用電源8及びスイッチブロック16が収容される(
図2及び
図3参照)。蓋12の前面に常用光源ユニット3が取り付けられ、蓋12の後面に常用点灯装置5が取り付けられる。
【0015】
筐体11は、正方形状の底壁110と、それぞれが長方形状に形成された上側壁111、下側壁112、左側壁113及び右側壁114を有する。上側壁111は、底壁110の上側の辺から前方へ突出する。下側壁112は、底壁110の下側の辺から前方へ突出する。左側壁113は、底壁110の左側の辺から前方へ突出する。右側壁114は、底壁110の右側の辺から前方へ突出する。なお、底壁110、左側壁113及び右側壁114は、金属板によって一体に形成されている。上側壁111及び下側壁112はそれぞれ、溶接などの適宜の方法によって底壁110、左側壁113及び右側壁114と接合されている。
【0016】
左側壁113の前端から底壁110と平行に突片1130が突出している(
図4参照)。突片1130の長手方向(上下方向)の中央に固定片1131が設けられている。また、突片1130の長手方向の両端に保持片1132が一つずつ設けられている。固定片1131は、L字形に形成されている。固定片1131の前面は、突片1130の前面よりも前方に位置している。さらに、固定片1131の長手方向の中央にねじ孔1133が設けられている。各保持片1132は、突片1130をL字形に切り起こして形成されている。したがって、上下方向から見ると、各保持片1132と突片1130の間に溝が形成されている(
図3参照)。
【0017】
右側壁114の前端から底壁110と平行に突片1140が突出している(
図4参照)。突片1140の長手方向(上下方向)の中央に固定片1141が設けられている。また、突片1140の長手方向の両端に保持片1142が一つずつ設けられている。固定片1141は、L字形に形成されている。固定片1141の前面は、突片1140の前面よりも前方に位置している。さらに、固定片1141の長手方向の中央にねじ孔1143が設けられている。各保持片1142は、突片1140をL字形に切り起こして形成されている。したがって、上下方向から見ると、各保持片1142と突片1140の間に溝が形成されている(
図3参照)。
【0018】
蓋12は、金属板によって正方形の平板状に形成されている。蓋12の左右方向の両端における上下方向の中央に、固定部120が一つずつ設けられている(
図1及び
図4参照)。各固定部120は、蓋12の一部がC字状に切り抜かれて形成されている。なお、各固定部120には、円形のねじ挿通孔121が貫通している(
図4参照)。また、蓋12の左右方向の中央における上部に長方形状の窓孔122が開口している。
【0019】
蓋12は、筐体11の前面に被せられ、二つの固定部120のそれぞれが筐体11の二つの固定片1131、1141に一つずつねじ止めされることによって筐体11に取り付けられる。つまり、左側の固定部120のねじ挿通孔121に挿通されるねじが左側の固定片1131のねじ孔1133にねじ込まれ、右側の固定部120のねじ挿通孔121に挿通されるねじが右側の固定片1141のねじ孔1143にねじ込まれる。
【0020】
カバー2は、正方形状の前板部20と、長方形状の一対の側板部21とを有する(
図1参照)。一対の側板部21は、前板部20の左端及び右端から後方に向かって一つずつ突出している。なお、前板部20と一対の側板部21は、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂によって一体に形成されている。なお、カバー2は、合成樹脂に拡散材が混入されることで光拡散性を有することが好ましい。
【0021】
各側板部21の後端には、L字状の差込片210がそれぞれ前板部20と平行するように一体に形成されている(
図3参照)。左側の側板部21に設けられた差込片210は、器具本体10の上方より、二つの保持片1132と突片1130の間の溝に差し込まれる。一方、右側の側板部21に設けられた差込片210は、器具本体10の上方より、二つの保持片1142と突片1140の間の溝に差し込まれる。つまり、カバー2は、各差込片210がそれぞれ二つの保持片1132、1142に保持されることによって、器具本体10に着脱可能に取り付けられる(
図3参照)。
【0022】
常用光源ユニット3は、照明用白色LED(Light Emitting Diode)からなる第1LED30、第1LED30を支持するLEDホルダ31、第1LED30から放射される光の配光を制御する第1レンズ32を有する(
図2参照)。常用光源ユニット3は、第1レンズ32を前方から覆い、かつ、第1レンズ32で配光制御された光(常用照明光)を拡散させるレンズカバー33を更に有する(
図1~
図3参照)。常用光源ユニット3は、器具本体10の前面(蓋12の前面)の中央に取り付けられる(
図1~
図3)。
【0023】
第1レンズ32は、
図2に示すように、ガラス(例えば、石英ガラス)のような透光性を有する材料からなるレンズ本体320及びフランジ321を備える。フランジ321は、円環状に形成されている。フランジ321は、レンズ本体320の側面における一端(後端)から外向きに突出している。第1レンズ32は、フランジ321が蓋12にねじ止めされることによって器具本体10の前面中央に取り付けられる。
【0024】
レンズカバー33は、カバー本体330と、鍔部331とを有する。カバー本体330は、ドーム状に形成されている。カバー本体330は、第1レンズ32を覆い隠すことのできる大きさに形成されている(
図1~
図3参照)。鍔部331は、カバー本体330の周縁から外向きに突出する円環状に形成されている。カバー本体330と鍔部331は、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂によって一体に形成されている。また、レンズカバー33は、合成樹脂に混入される拡散材によって光拡散性を有している。レンズカバー33は、鍔部331が蓋12にねじ止めされることによって器具本体10の前面中央に取り付けられる。
【0025】
第1LED30から放射される光は、第1レンズ32によって配光制御される。第1レンズ32で配光制御された光(常用照明光)は、器具本体10の前方に向かって上下及び左右方向に広がるように進行する。ただし、常用照明光の少なくとも一部は、レンズカバー33(のカバー本体330)を透過する際に拡散される。
【0026】
非常用光源ユニット4は、照明用白色LEDからなる第2LED40、第2LED40を支持するLEDホルダ41、第2LED40から放射される光の配光を制御する第2レンズ42を有する(
図1及び
図2参照)。
【0027】
第2レンズ42は、第2LED40から放射される光(非常用照明光)を広角に配光する。さらに、第2レンズ42は、器具本体10の前方向、下方向及び左右方向に非常用照明光を配光することが好ましい。
【0028】
非常用光源ユニット4は、器具本体10内の下部における左右方向の中央に収容される。ここで、器具本体10の下側壁112の左右方向の中央には、器具本体10の内部に向かって突出するように凹所115が形成されている(
図1及び
図2参照)。凹所115の底面に円形の孔が貫通している。また、凹所115の側面は円すい台の側面に相当する形状に形成されている。そして、第2レンズ42の一部が孔を通して器具本体10の外に突出している(
図1及び
図2参照)。したがって、第2レンズ42から出射する光の一部は、凹所115の側面に反射されることになる。
【0029】
常用点灯装置5は、系統電源などの常用電源9(
図5参照)から供給される交流電力を直流電力に電力変換し、当該直流電力を第1LED30に供給して第1LED30を点灯させる。常用点灯装置5は、金属製の第1のケース51を有する(
図2及び
図3参照)。第1のケース51は、直方体状に形成されて第1のプリント回路50を収容している(
図3参照)。第1のプリント回路50は、電力変換を行う電力変換回路、第1LED30に供給する直流電流を定電流化する定電流回路などを構成している。常用点灯装置5は、蓋12の後面に第1のケース51がねじ止めされることで器具本体10の前壁(蓋12)に取り付けられる(
図2~
図4参照)。
【0030】
非常用電源8は、例えば、複数本の蓄電池を有する。複数本の蓄電池はそれぞれ、例えば、乾電池型のニッケル水素蓄電池である。これら複数本の蓄電池は、例えば、熱収縮チューブによって保持される。
【0031】
スイッチブロック16は、合成樹脂製のハウジング160内に回路基板を収容して構成されている(
図4参照)。当該回路基板には、二つの押しボタンスイッチ、モニタランプ、赤外線受光素子などが実装されている。モニタランプは、例えば、緑色光を放射するLEDチップを有している。赤外線受光素子は、赤外線を通信媒体とする制御信号を受信(受光)し、受信した制御信号から送信フレームを復調するように構成されている。この制御信号は、定期点検の作業を行う作業者に操作されるリモートコントローラから送信される。
【0032】
ハウジング160は、合成樹脂材料によって箱状に形成されている。ハウジング160の下面に四つの孔が開口している。これら四つの孔のうちの二つの孔に操作部材161が一つずつはめ込まれている(
図1及び
図4参照)。これら二つの操作部材161は、ハウジング160の下面に対して押し込み可能となるようにハウジング160に支持されている。したがって、一方の操作部材161が押し込まれると一方の押しボタンスイッチがオンされ、他方の操作部材161が押し込まれると他方の押しボタンスイッチがオンされる。また、残り二つの孔に、モニタランプと赤外線受光素子がそれぞれ一対一で対向している。つまり、モニタランプから放射される緑色光が一方の孔を通してハウジング160の外に出射される。また、リモートコントローラから送信される制御信号が他方の孔を通して赤外線受光素子で受信(受光)される。
【0033】
センサブロック7は、センサ装置70と制御装置71を有する(
図2及び
図4参照)。
【0034】
センサ装置70は、ドップラー効果を利用した電波式センサである。センサ装置70は、送信アンテナからマイクロ波帯(24GHz帯)の無変調連続波の電波(送信波)を送信し、物体に反射した電波(反射波)を受信アンテナで受信する。送信波が移動体で反射した場合、ドップラー効果によって送信波と反射波の間に移動体の移動速度に応じた周波数差が生じる。センサ装置70は、前記周波数差に基づいて移動体(主に階段を昇降する人であるが、人によって開閉される階段室の扉も含まれる。)の存在を検出する。センサ装置70は、移動体の存在を検出しているときに制御装置71に検出信号を出力する。ただし、センサ装置70は、周波数変調された送信波を送信アンテナから送信させ、受信アンテナで受信する受信波と送信波を乗算して位相検波することにより、送信波を反射した物体までの距離を測距して人の存在を検出してもよい。
【0035】
センサ装置70は、送信アンテナ、受信アンテナ及び信号処理回路を含むセンサ回路と、センサ回路を収容する外郭700とを有する(
図2参照)。センサ回路は、送信アンテナ、受信アンテナ及び信号処理回路が1枚のプリント配線板に実装されたプリント回路で構成される。外郭700は、合成樹脂材料によって直方体状に形成されている。センサ回路は、送信アンテナ及び受信アンテナを外郭700の前面に対向させるように外郭700内に収容されている。つまり、送信アンテナから送信される電波は、外郭700の前面を通して放射される。同様に、物体に反射した電波(反射波)は、外郭700の前面を通して受信アンテナに受信される。
【0036】
制御装置71は、例えば、マイクロコントローラを有している。制御装置71は、第1信号線75を介してセンサ装置70と電気的に接続されている(
図4参照)。制御装置71は、センサ装置70から第1信号線75を介して検出信号が入力されていない場合、常用点灯装置5に制御信号(第2調光信号)を出力して第1LED30に供給する電流を定格値よりも少ない値(例えば、定格値の半分の値)とする。一方、制御装置71は、センサ装置70から第1信号線75を介して検出信号が入力されている場合、常用点灯装置5に制御信号(第1調光信号)を出力して第1LED30に供給する電流を定格値とする。なお、制御装置71は、センサ装置70から検出信号が入力されなくなった時点から所定時間が経過するまで第1調光信号の出力を遅らせることにより、第1LED30に供給する電流を定格値に維持することが好ましい。
【0037】
また、制御装置71は、自動火災報知設備の受信機から外部信号線76(
図4参照)を介して火災報知信号を受信した場合、センサ装置70の検出信号の入力の有無に関係なく、常用点灯装置5に第1制御信号を出力することが好ましい。火災報知信号は、例えば、交流100Vの電圧信号である。すなわち、自動火災報知設備の受信機は、火災を感知したときに、外部信号線76の線間電圧を0Vに変化させることで火災報知信号を送信すればよい。
【0038】
制御装置71は、マイクロコントローラなどをプリント配線板に実装して構成されるプリント回路710と、プリント回路710を収容するケース711とを有する(
図2参照)。ケース711は、金属板によって直方体状に形成されている。ケース711は、固定板72に固定される。固定板72は、金属板によって平板状に形成されている(
図2~
図4参照)。固定板72は、筐体11の底壁110の前面における上部にねじ止めされる。
【0039】
一方、センサ装置70の外郭700は、取付台73に取り付けられる(
図2~
図4参照)。取付台73は、固定板72に固定される第1板731と、第1板731の上端から前方へ突出する第2板732と、第2板732の上端から斜め上向きに突出する第3板733とを有する(
図2参照)。第1板731及び第3板733はそれぞれ、四角形の平板状に形成されている。第2板732は、左右方向から見てL字形に形成されている。ただし、第1板731、第2板732及び第3板733は、1枚の金属板が曲げ加工されることで一体に形成されている。取付台73は、固定板72の左右方向の中央における制御装置71の下に第1板731がねじ止めされて固定板72に固定される。第3板733は、制御装置71の前方に位置する(
図2参照)。
【0040】
センサ装置70の外郭700は、第3板733の前面に取り付けられる。ここで、第3板733は、第1板731に対して、所定の傾き角だけ前方に傾いている(
図2参照)。したがって、器具本体10が階段室の壁面に設置される場合、センサ装置70の前面(外郭700の前面)は、壁面の法線方向(水平方向)に対して傾き角だけ下方に傾くことになる。なお、この傾き角は、例えば、23°から24°程度が好ましい。
【0041】
センサ装置70の前端部分は、器具本体10の前面(蓋12)に設けられた窓孔122を通して器具本体10の前面よりも前方へ突出する(
図1及び
図2参照)。つまり、センサ装置70は、金属製の蓋12に遮られることなく、電波を送受信することができる。
【0042】
非常用点灯ブロック6は、第2のプリント回路60と、第2のプリント回路60を収容する第2のケース61とを有する(
図3参照)。第2のケース61は、金属板によって直方体状に形成されている。
【0043】
第2のプリント回路60は、充電装置と第2の点灯装置を構成している。充電装置は、常用電源9から供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力によって非常用電源8を充電する。第2の点灯装置は、常用電源9の停電時に、非常用電源8から供給される直流電力によって非常用光源ユニット4の第2LED40を点灯させる。さらに、第2の点灯装置は、スイッチブロック16の二つの押しボタンスイッチのいずれかがオンしたとき、充電装置に非常用電源8の充電を中止させ、かつ、非常用光源ユニット4の第2LED40を点灯させる。ただし、第2の点灯装置は、一方の押しボタンスイッチがオンしている間だけ第2LED40を点灯させる。第2の点灯装置は、他方の押しボタンスイッチがオンされると自己点検を開始し、所定時間(30分又は60分)が経過するまで第2LED40を点灯させる。なお、第2の点灯装置は、スイッチブロック16の赤外線受光素子が制御信号を受信した場合も前記自己点検を開始する。
【0044】
非常用光源ユニット4、非常用点灯ブロック6、非常用電源8及びスイッチブロック16は、一枚の取付板13に取り付けられて筐体11に収容される(
図4参照)。取付板13は、第1取付部131、第2取付部132及び第3取付部133を有している。第1取付部131、第2取付部132及び第3取付部133はそれぞれ、金属板によって長方形の平板状に形成されている。第2取付部132は、第1取付部131の長手方向(左右方向)の一方の端部(左端部)から第1取付部131の短手方向(上下方向)に沿って突出している。また、第3取付部133は、第1取付部131の長手方向の他方の端部(右端部)から第1取付部131の短手方向に沿って突出している。つまり、取付板13は、第2取付部132と第3取付部133の間に溝134を有し、前方から見てU字状に形成されている。
【0045】
ここで、器具本体10の後面、すなわち、筐体11の底壁110の左右方向の中央に、円形の電線孔116と、長円形の三つの取付孔117とが設けられている(
図4参照)。電線孔116は、底壁110の左右方向の中央かつ上下方向の中央に相当する位置に設けられている。底壁110における電線孔116の上方に一つの取付孔117が設けられ、底壁110における電線孔116の下方に二つの取付孔117が設けられている。
【0046】
取付板13は、底壁110に設けられた電線孔116及び三つの取付孔117を、前後方向において溝134と重なるように底壁110にねじ止めされている(
図4参照)。そして、非常用点灯ブロック6は、第2のケース61の長手方向を上下方向に一致させる向きで第1取付部131及び第2取付部132の前面に取り付けられる。非常用電源8は、第3取付部133の前面に取り付けられる。つまり、非常用点灯ブロック6と非常用電源8は、前方から見て、電線孔116を挟んで隣り合うように器具本体10に収容されている(
図4参照)。また、非常用光源ユニット4は、L字形の金具43を介して第1取付部131の左右方向の中央における下部に取り付けられる。さらに、スイッチブロック16は、第1取付部131の下部における右端に取り付けられる。なお、第2取付部132における非常用点灯ブロック6の上方に二つの電源端子台(第1電源端子台18A及び第2電源端子台18B)が上下方向に並べて取り付けられている(
図2及び
図4参照)。
【0047】
第1電源端子台18A及び第2電源端子台18Bはそれぞれ、2極の入力端子と、2極の出力端子と、2極の入力端子及び2極の出力端子を収容するハウジング180とを有する。ハウジング180の右側面には、第1極の入力端子用の二つの電線挿入孔181と、第2極の入力端子用の二つの電線挿入孔182とが設けられている(
図2参照)。また、ハウジング180の左側面には、第1極の出力端子用の二つの電線挿入孔と、第2極の出力端子用の二つの電線挿入孔とが設けられている。なお、第1電源端子台18Aの第2極の入力端子と第2電源端子台18Bの第1極の入力端子は電線188を介して電気的に接続されている。
【0048】
第1電源端子台18Aの出力端子は、常用点灯装置5の電源入力端子、非常用点灯ブロック6の電源入力端子及び制御装置71の電源入力端子と、それぞれ電線185、186、187を介して電気的に接続される(
図4参照)。また、第2電源端子台18Bの出力端子は、常用点灯装置5の電源入力端子と電線185を介して電気的に接続され、制御装置71の電源入力端子と電線187を介して電気的に接続される。さらに、第1電源端子台18Aの入力端子には、電線孔116から導入される電線17(常用電源9からの給電用の電線)が電気的に接続される(
図4参照)。さらに、電線孔116からは、火災報知信号が伝送される外部信号線76も導入される。外部信号線76は、固定板72の前面に取り付けられた第2信号端子台19Bの入力端子と電気的に接続される。なお、第2信号端子台19Bの出力端子は第3信号線77によって制御装置71と電気的に接続される。ただし、制御装置71に火災報知信号との連動を行わせない場合、外部信号線76は不要である。この場合、第1電源端子台18A及び第2電源端子台18Bのそれぞれの入力端子の第1極が第2信号端子台19Bの入力端子と電気的に接続され、第2信号端子台19Bが送り配線用の端子台として使用されてもよい。
【0049】
ここで、常用点灯装置5は、蓋12の後面において、蓋12の中央から左に寄った位置に取り付けられている(
図4参照)。したがって、蓋12が筐体11に取り付けられて器具本体10が組み立てられた状態では、常用点灯装置5と非常用点灯ブロック6が器具本体10の前後方向から見て重なるように器具本体10に収容される(
図2及び
図3参照)。その結果、器具本体10内において、底壁110の中央に設けられている電線孔116の周囲に比較的に広い空間(スペース)が形成されることになる(
図3参照)。
【0050】
したがって、電線孔116の周囲に比較的に広いスペースが形成されているため、電線孔116から引き込んだ電線17を第1電源端子台18Aの入力端子に電気的に接続する作業(結線作業)の作業性の向上を図ることができる。さらに、電線孔116から引き込んだ外部信号線76を第2信号端子台19Bの入力端子に電気的に接続する作業の作業性の向上も図ることができる。しかも、常用光源ユニット3が器具本体10の前壁(蓋12)の前面に取り付けられているので、蓋12の後面から常用光源ユニット3が突出しない(
図2及び
図3参照)。その結果、器具本体10内において、常用点灯装置5の右側に十分な空間(スペース)を確保することができる。
【0051】
さらに、常用点灯装置5の第1のケース51及び非常用点灯ブロック6の第2のケース61の各々の長手方向を互いに一致させている(
図2参照)。そのため、器具本体10内において常用点灯装置5及び非常用点灯ブロック6の右側に十分なスペースを確保しつつ器具本体10の横幅(左右方向の幅)の大型化を防ぐことができる。
【0052】
また、照明器具1では、器具本体10の底壁110において、前後方向から見て、非常用電源8と非常用点灯ブロック6が電線孔116を挟んで隣り合う位置に配置されている。したがって、照明器具1は、非常用電源8と非常用点灯ブロック6を電線孔116から見て器具本体10内の同じ側に配置した場合と比較して、器具本体10の前後方向の高さ及び上下方向の高さの増大を抑えて器具本体10の大型化を防ぐことができる。
【0053】
ここで、照明器具1は、非常用光源ユニット4、非常用点灯ブロック6、スイッチブロック16及び非常用電源8が取り付けられる取付板13を備えている。そのため、非常用光源ユニット4、非常用点灯ブロック6、スイッチブロック16及び非常用電源8を個別に器具本体10の底壁110などに取り付ける場合と比べて、照明器具1の組立作業の作業性向上を図ることができる。
【0054】
ところで、常用点灯装置5と常用光源ユニット3の第1LED30は、第1電気ケーブル52によって電気的に接続される。また、常用点灯装置5と制御装置71は、第1信号端子台19Aを中継して信号線53及び第2信号線74介して電気的に接続される。したがって、制御装置71から出力される調光信号(第1調光信号及び第2調光信号)は、信号線53及び第2信号線74を介して制御装置71に入力される。なお、第1信号端子台19Aは、センサブロック7の取付台73に取り付けられる(
図2~
図4参照)。非常用点灯ブロック6と非常用光源ユニット4、スイッチブロック16及び非常用電源8とは、第2電気ケーブル62、第3電気ケーブル63及び第4電気ケーブル64によって電気的に接続される。これらの第1電気ケーブル52、第2電気ケーブル62、第3電気ケーブル63及び第4電気ケーブル64も器具本体10内に形成されているスペースに収容可能である。
【0055】
続いて、実施形態に係る照明器具1の変形例について、
図6を参照して説明する。変形例の照明器具1は、カバー2が正方形の板状に形成されている点が実施形態に係る照明器具1と異なる。
【0056】
カバー2は、正方形の板状に形成されている。カバー2は、二つの支持部23によって器具本体10に取り付けられる。二つの支持部23の各々は、台形状の支持片230と、支持片230の前端から突出する取付片231と、支持片230の後端から突出して器具本体10に固定される固定片とを有する。各支持部23は、蓋12の左右両端における上下方向の中央から支持片230及び取付片231を器具本体10の前方へ突出させる。なお、各支持部23の固定片は、器具本体10内において底壁110にねじ止めされることが好ましい。各取付片231には、背面側からボルトが取り付けられている。各取付片231に取り付けられたボルトがカバー2の左右両端に貫通する二つの貫通孔にそれぞれ1本ずつ通される。そして、カバー2の前面から突出する2本のボルトのそれぞれに、つまみナット24が締め付けられることにより、カバー2が二つの支持部23に支持される。
【0057】
上述のように第1の態様に係る照明器具(1)は、第1の光源(第1LED30)と、第2の光源(第2LED40)と、第1の光源を点灯させる第1の点灯装置(常用点灯装置5)と、第2の光源を点灯させる第2の点灯装置(非常用点灯ブロック6)とを備える。第1の態様に係る照明器具(1)は、第2の光源、第1の点灯装置及び第2の点灯装置を収容する器具本体(10)を備える。器具本体(10)は、造営面に取り付けられる底壁(110)と、底壁(110)の前方に配置される前壁(蓋12)と、底壁(110)の周縁と前壁の周縁をつなぐ一つ以上の側壁(上側壁111、下側壁112、左側壁113、右側壁114)とを有する。底壁(110)は、外部の電源と第1の点灯装置及び第2の点灯装置をそれぞれ電気的に接続するための電線(17)が導入される電線孔(116)を有する。第1の光源は、前壁に取り付けられる。第1の点灯装置は、前壁の後面に取り付けられる。第2の点灯装置は、器具本体(10)の前後方向から見て第1の点灯装置と重なるように器具本体(10)に収容されている。電線孔(116)は、底壁(110)において、器具本体(10)の前後方向から見て第1の点灯装置及び第2の点灯装置と重ならない位置に設けられている。
【0058】
第1の態様に係る照明器具(1)は、電線孔(116)の周囲に比較的に広いスペースが形成されるため、電線孔(116)から引き込んだ電線(17)を第1の点灯装置及び第2の点灯装置に結線する作業(結線作業)の作業性の向上を図ることができる。
【0059】
第2の態様に係る照明器具(1)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第2の態様に係る照明器具(1)において、第1の光源は、前壁の前面に取り付けられることが好ましい。
【0060】
第2の態様に係る照明器具(1)は、器具本体(10)における前壁の後方に第1の光源が突出しないので、器具本体(10)内の結線作業のスペースを更に広げることができる。
【0061】
第3の態様に係る照明器具(1)は、第1又は第2の態様との組合せにより実現され得る。第3の態様に係る照明器具(1)において、第1の点灯装置は、第1のプリント回路(50)と、第1のプリント回路(50)を収容する第1のケース(51)とを有することが好ましい。第2の点灯装置は、第2のプリント回路(60)と、第2のプリント回路(60)を収容する第2のケース(61)とを有することが好ましい。第1のケース(51)及び第2のケース(61)はそれぞれ箱状に形成されていることが好ましい。第1のケース(51)と第2のケース(61)は、互いの長手方向をそろえるように器具本体(10)に収容されていることが好ましい。
【0062】
第3の態様に係る照明器具(1)は、第1のケース(51)及び第2のケース(61)の短手方向にスペースを確保しつつ器具本体(10)の大型化を防ぐことができる。
【0063】
第4の態様に係る照明器具(1)は、第1~第3のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第4の態様に係る照明器具(1)において、器具本体(10)に収容され、かつ、第2の点灯装置を介して第2の光源に給電する蓄電装置(非常用電源8)を備えることが好ましい。蓄電装置は、底壁(110)において、前後方向から見て、電線孔(116)を挟んで第2の点灯装置と隣り合う位置に配置されていることが好ましい。
【0064】
第4の態様に係る照明器具(1)は、第2の点灯装置と蓄電装置を電線孔(116)から見て器具本体(10)の同じ側に配置した場合と比較して、器具本体(10)の前後方向の高さ及び上下方向の高さの増大を抑えて大型化を防ぐことができる。
【0065】
第5の態様に係る照明器具(1)は、第1~第4の態様のいずれかとの組合せにより実現され得る。第5の態様に係る照明器具(1)は、第2の光源及び第2の点灯装置が前面に取り付けられる取付板(13)を備えることが好ましい。取付板(13)は、底壁(110)に取り付けられることが好ましい。
【0066】
第5の態様に係る照明器具(1)は、第2の光源及び第2の点灯装置を個別に底壁(110)に取り付ける場合に比べて、組立作業の作業性向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0067】
1 照明器具
5 常用点灯装置
6 非常用点灯ブロック(第2の点灯装置)
8 非常用電源(蓄電装置)
10 器具本体
12 蓋(前壁)
13 取付板
17 電線
30 第1LED(第1の光源)
40 第2LED(第2の光源)
50 第1のプリント回路
51 第1のケース
60 第2のプリント回路
61 第2のケース
110 底壁
111 上側壁(側壁)
112 下側壁(側壁)
113 左側壁(側壁)
114 右側壁(側壁)
116 電線孔