(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】リフトアップ判定装置、及びリフトアップ判定方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/015 20060101AFI20221209BHJP
G08G 1/04 20060101ALI20221209BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20221209BHJP
G06T 7/262 20170101ALI20221209BHJP
G06T 7/60 20170101ALI20221209BHJP
【FI】
G08G1/015 C
G08G1/04 C
G06T7/00 650Z
G06T7/262
G06T7/60 180B
(21)【出願番号】P 2019544239
(86)(22)【出願日】2018-05-18
(86)【国際出願番号】 JP2018019220
(87)【国際公開番号】W WO2019064682
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-04-05
(31)【優先権主張番号】P 2017185396
(32)【優先日】2017-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】野田 晃浩
(72)【発明者】
【氏名】今川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】日下 博也
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102014012285(DE,A1)
【文献】特開2003-111072(JP,A)
【文献】特開平05-225490(JP,A)
【文献】特開平11-086185(JP,A)
【文献】特開2017-220076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G06T 7/00-7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車軸のタイヤを含む撮像画像を取得し、当該撮像画像から前記タイヤを検出する検出部と、
前記タイヤが前記車両における前方の前輪タイヤと前記車両における後方の後輪タイヤとの間にある中間タイヤである場合に、当該中間タイヤの最下点が、前記後輪タイヤの最下点から、前記車両の進行方向に伸びる基準線に対して、前記車両の上方側に所定値以上離れているか否かを判定する位置判定部と、
前記中間タイヤの最下点が前記基準線に対して前記車両の上方側に前記所定値以上離れていると前記位置判定部が判定した場合に、前記車軸がリフトアップされていると判定する判定部と、を備える
リフトアップ判定装置。
【請求項2】
更に、前記撮像画像から、前記前輪タイヤの最下点と前記後輪タイヤの最下点とを結ぶ直線を算出する算出部を備え、
前記位置判定部は、前記算出部によって算出された直線を、前記基準線として用いる
請求項1に記載のリフトアップ判定装置。
【請求項3】
車両の車軸のタイヤを含む撮像画像を取得し、当該撮像画像から前記タイヤを検出する検出部と、
前記撮像画像に基づいて、前記検出部によって検出されたタイヤの領域に含まれる複数の画素の周波数成分と、前記車両における前方の前輪タイヤ、または、後方の後輪タイヤの領域に含まれる複数の画素の周波数成分とを比較した結果に基づいて、前記検出部によって検出されたタイヤが回転しているか否かを判定する回転判定部と、
前記タイヤが回転していないと前記回転判定部が判定した場合に、前記車軸がリフトアップされていると判定する判定部と、を備える
リフトアップ判定装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記タイヤを含む他の撮像画像を取得し、前記他の撮像画像から前記タイヤを検出し、
前記回転判定部は、前記撮像画像と前記他の撮像画像から前記タイヤの回転量を算出し、算出した回転量に基づいて、前記タイヤが回転しているか否かを判定する
請求項3に記載のリフトアップ判定装置。
【請求項5】
車両の車軸のタイヤを含む撮像画像を取得し、当該撮像画像から前記タイヤを検出する検出部と、
前記撮像画像に基づいて、前記検出部によって検出されたタイヤの最下点の直下に位置する路面の局所領域が、所定値以上たわんでいるか否かを判定するたわみ判定部と、
前記局所領域が前記所定値以上たわんでいないと前記たわみ判定部が判定した場合に、前記車軸がリフトアップされていると判定する判定部と、を備える
リフトアップ判定装置。
【請求項6】
車両の車軸のタイヤを含む撮像画像を取得し、当該撮像画像から前記タイヤを検出する検出部と、
前記タイヤが前記車両における前方の前輪タイヤと前記車両における後方の後輪タイヤとの間にある中間タイヤである場合に、当該中間タイヤの最下点が、前記後輪タイヤの最下点から、前記車両の進行方向に伸びる基準線に対して、前記車両の上方側に所定値以上離れているか否かを判定する位置判定部と、
前記撮像画像に基づいて、前記検出部によって検出されたタイヤが回転しているか否かを判定する回転判定部と、
前記撮像画像に基づいて、前記検出部によって検出されたタイヤの最下点の直下に位置する路面の局所領域が、所定値以上たわんでいるか否かを判定するたわみ判定部と、
前記位置判定部による判定結果と、前記回転判定部による判定結果と、前記たわみ判定部による判定結果とに基づいて、前記車軸がリフトアップされているか否かを判定する判定部と、を備える
リフトアップ判定装置。
【請求項7】
前記判定部による判定結果に基づいて、前記車両においてリフトアップされていない車軸の数を決定する決定部を備える
請求項1~6のいずれか1項に記載のリフトアップ判定装置。
【請求項8】
車両の車軸がリフトアップされているか否かをリフトアップ判定装置によって判定するリフトアップ判定方法であって、
前記車軸のタイヤを含む撮像画像を取得し、
前記撮像画像から前記タイヤを検出し、
前記タイヤが前記車両における前方の前輪タイヤと前記車両における後方の後輪タイヤとの間にある中間タイヤである場合に、当該中間タイヤの最下点が、前記後輪タイヤの最下点から、前記車両の進行方向に伸びる基準線に対して、前記車両の上方側に所定値以上離れているか否かの位置判定を行い、
前記中間タイヤの最下点が前記基準線に対して前記車両の上方側に前記所定値以上離れていると前記位置判定で判定した場合に、前記車軸がリフトアップされていると判定する
リフトアップ判定方法。
【請求項9】
車両の車軸がリフトアップされているか否かをリフトアップ判定装置によって判定するリフトアップ判定方法であって、
前記車軸のタイヤを含む撮像画像を取得し、
前記撮像画像から前記タイヤを検出し、
前記撮像画像に基づいて、前記検出されたタイヤの領域に含まれる複数の画素の周波数成分と、前記車両における前方の前輪タイヤ、または、後方の後輪タイヤの領域に含まれる複数の画素の周波数成分とを比較した結果に基づいて、前記検出されたタイヤが回転しているか否かの回転判定を行い、
前記タイヤが回転していないと前記回転判定で判定した場合に、前記車軸がリフトアップされていると判定する
リフトアップ判定方法。
【請求項10】
車両の車軸がリフトアップされているか否かをリフトアップ判定装置によって判定するリフトアップ判定方法であって、
前記車軸のタイヤを含む撮像画像を取得し、
前記撮像画像から前記タイヤを検出し、
前記撮像画像に基づいて、前記検出されたタイヤの最下点の直下に位置する路面の局所領域が、所定値以上たわんでいるか否かのたわみ判定を行い、
前記局所領域が前記所定値以上たわんでいないと前記たわみ判定で判定した場合に、前記車軸がリフトアップされていると判定する
リフトアップ判定方法。
【請求項11】
車両の車軸がリフトアップされているか否かをリフトアップ判定装置によって判定するリフトアップ判定方法であって、
前記車軸のタイヤを含む撮像画像を取得し、
前記撮像画像から前記タイヤを検出し、
前記タイヤが前記車両における前方の前輪タイヤと前記車両における後方の後輪タイヤとの間にある中間タイヤである場合に、当該中間タイヤの最下点が、前記後輪タイヤの最下点から、前記車両の進行方向に伸びる基準線に対して、前記車両の上方側に所定値以上離れているか否かを判定する位置判定を行い、
前記撮像画像に基づいて、前記検出されたタイヤが回転しているか否かを判定する回転判定を行い、
前記撮像画像に基づいて、前記検出されたタイヤの最下点の直下に位置する路面の局所領域が、所定値以上たわんでいるか否かを判定するたわみ判定を行い、
前記位置判定と、前記回転判定と、前記たわみ判定とに基づいて、前記車軸がリフトアップされているか否かを判定する
リフトアップ判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両を対象として、1以上の車軸がリフトアップされているか否かを判定するリフトアップ判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3軸以上の車軸を有する車両の中には、リフトアクスル機構を装備する車両がある。リフトアクスル機構は、少なくとも1軸の車軸を持ち上げて、その車軸のタイヤを地面に接しない状態にするために、車軸をリフトアップする。
【0003】
一方、有料道路の中には、走行中に接地するタイヤの車軸数によって、通行料金が異なる料金体系の有料道路がある。
【0004】
このような有料道路では、通行する車両に対して、その車両の車軸がリフトアップされているか否かを判定するリフトアップ判定装置の設置が望まれる。
【0005】
従来のリフトアップ判定装置の一例として、例えば、特許文献1に記載された車軸数検出装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【0007】
上記従来の車軸数検出装置では、通行する車両による踏み付けを検知する路板を走行路に埋設する必要がある。このため、上記従来の車軸数検出装置を、設置、補修、又は撤去する場合に、一定程度のコストがかかる。
【0008】
そこで、本開示は、係る問題に鑑みてなされたものであり、リフトアップ判定装置の設置、補修、又は撤去する場合にかかるコストを、従来よりも低減し得るリフトアップ判定装置及びそのリフトアップ判定方法を提供することを目的とする。
【0009】
本開示の一態様に係るリフトアップ判定装置は、検出部と、判定部とを備える。検出部は、車両の車軸のタイヤを含む撮像画像を取得し、当該撮像画像からタイヤを検出する。判定部は、検出部による検出結果に基づいて、車軸がリフトアップされているか否かを判定する。
【0010】
本開示の一態様に係るリフトアップ判定方法は、車両の車軸のタイヤを含む撮像画像を取得し、撮像画像からタイヤを検出し、タイヤを検出した結果に基づいて、車軸がリフトアップされているか否かを判定する。
【0011】
上記本開示に係るリフトアップ判定装置及びリフトアップ判定方法によると、リフトアップ判定装置の設置、補修、又は撤去に係るコストを、従来よりも低減し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、リフトアップされているか否かを判定する様子の一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係るリフトアップ判定装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、撮像画像の一例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、第1判定処理のフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施の形態2に係るリフトアップ判定装置の構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、第2判定処理のフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施の形態3に係るリフトアップ判定装置の構成を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、タイヤが回転している様子を示す模式図である。
【
図13】
図13は、実施の形態4に係るリフトアップ判定装置の構成を示すブロック図である。
【
図15】
図15は、他の実施の形態に係るリフトアップ判定装置の構成を示すブロック図である。
【
図16】
図16は、他の実施の形態に係る通行料金設定システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の一態様に係るリフトアップ判定装置は、検出部と、判定部とを備える。検出部は、車両の車軸のタイヤを含む撮像画像を取得し、撮像画像からタイヤを検出する。判定部は、検出部による検出結果に基づいて、車軸がリフトアップされているか否かを判定する。
【0014】
これにより、このリフトアップ判定装置は、非接触で、車両において、少なくとも1つの車軸がリフトアップされているか否かを判定することができる。
【0015】
このため、このリフトアップ判定装置を設置する際に、車軸のリフトアップの判定に必要となるセンサ類を、走行路等に埋設する必要がない。
【0016】
従って、このリフトアップ判定装置によると、リフトアップ判定装置の設置、補修、又は撤去する場合にかかるコストを、従来よりも低減し得る。
【0017】
上記リフトアップ判定装置は、更に、位置判定部を備えてもよい。位置判定部は、タイヤが車両における最前方の前輪タイヤと車両における最後方の後輪タイヤとの間にある中間タイヤである場合に、中間タイヤの最下点が、後輪タイヤの最下点から、車両の進行方向に伸びる基準線に対して、車両の上方側に所定値以上離れているか否かを判定してもよい。中間タイヤの最下点が基準線に対して車両の上方側に所定値以上離れていると位置判断部が判定した場合に、判定部は、車軸がリフトアップされていると判定してもよい。
【0018】
上記リフトアップ判定装置は、更に、算出部を備えてもよい。算出部は、撮像画像から、前輪タイヤの最下点と後輪タイヤの最下点とを結ぶ直線を算出してもよい。位置判定部は、算出部によって算出された直線を、基準線として用いてもよい。
【0019】
上記リフトアップ判定装置は、更に、回転判定部を備えてもよい。回転判定部は、撮像画像に基づいて、検出部によって検出されたタイヤが回転しているか否かを判定してもよい。タイヤが回転していないと回転判定部が判定した場合に、判定部は、車軸がリフトアップされていると判定してもよい。
【0020】
上記リフトアップ判定装置において、回転判定部は、タイヤの領域に含まれる複数の画素の周波数成分に基づいて、タイヤが回転しているか否かを判定するとしてもよい。
【0021】
上記リフトアップ判定装置において、回転判定部は、周波数成分と、車両における最前方の前輪タイヤの領域に含まれる複数の画素の周波数成分とを比較した結果に基づいて、検出部が検出したタイヤが回転しているか否かを判定してもよい。
【0022】
上記リフトアップ判定装置において、回転判定部は、周波数成分と、車両における最後方の後輪タイヤの領域に含まれる複数の画素の周波数成分とを比較した結果に基づいて、検出部が検出したタイヤが回転しているか否かを判定してもよい。
【0023】
上記リフトアップ判定装置において、検出部は、タイヤを含む他の撮像画像を取得し、他の撮像画像からタイヤを検出してもよい。回転判定部は、撮像画像と他の撮像画像からタイヤの回転量を算出し、算出した回転量に基づいて、タイヤが回転しているか否かを判定してもよい。
【0024】
上記リフトアップ判定装置は、更に、たわみ判定部を備えてもよい。たわみ判定部は、撮像画像に基づいて、検出部によって検出されたタイヤの最下点の直下に位置する路面の局所領域が、所定値以上たわんでいるか否かを判定してもよい。局所領域が所定値以上たわんでいないとたわみ判定部が判定した場合に、判定部は、車軸がリフトアップされていると判定してもよい。
【0025】
上記リフトアップ判定装置は、更に、位置判定部と、回転判定部と、たわみ判定部とを備えてもよい。位置判定部は、タイヤが車両における最前方の前輪タイヤと車両における最後方の後輪タイヤとの間にある中間タイヤである場合に、中間タイヤの最下点が、後輪タイヤの最下点から、車両の進行方向に伸びる基準線に対して、車両の上方側に所定値以上離れているか否かを判定してもよい。回転判定部は、撮像画像に基づいて、検出部によって検出されたタイヤが回転しているか否かを判定してもよい。たわみ判定部は、撮像画像に基づいて、検出部によって検出されたタイヤの最下点の直下に位置する路面の局所領域が、所定値以上たわんでいるか否かを判定してもよい。判定部は、位置判定部による判定結果と、回転判定部による判定結果と、たわみ判定部による判定結果とに基づいて、車軸がリフトアップされているか否かを判定してもよい。
【0026】
本開示の一態様に係るリフトアップ判定方法は、車両の車軸のタイヤを含む撮像画像を取得し、撮像画像からタイヤを検出し、タイヤを検出した結果に基づいて、車軸がリフトアップされているか否かを判定する。
【0027】
これにより、このリフトアップ判定方法を用いたリフトアップ判定装置は、非接触で、車両において、少なくとも1つの車軸がリフトアップされているか否かを判定することができる。
【0028】
このため、このリフトアップ判定方法を用いたリフトアップ判定装置を設置する際に、車軸のリフトアップの判定に必要となるセンサ類を、走行路等に埋設する必要がない。
【0029】
従って、このリフトアップ判定方法によると、リフトアップ判定装置の設置、補修、又は撤去する場合にかかるコストを、従来よりも低減し得る。
【0030】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されても良く、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体の任意な組み合わせで実現されても良い。
【0031】
以下、本開示の一態様に係るリフトアップ判定装置の具体例について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。本開示は、請求の範囲だけによって限定される。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、本開示の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。
【0032】
(実施の形態1)
ここでは、本開示の一態様として、車両において、少なくとも1つの車軸がリフトアップされているか否かを判定するリフトアップ判定装置について説明する。
【0033】
このリフトアップ判定装置は、外部から、タイヤを含む車両の撮像画像を取得する。そして、リフトアップ判定装置は、取得した撮像画像に基づいて、その車両において、少なくとも1つの車軸がリフトアップされているか否かを判定する。
【0034】
以下、このリフトアップ判定装置の詳細について、図面を参照しながら説明する。
【0035】
[1-1.構成]
図1は、実施の形態1に係るリフトアップ判定装置10が、走行路30を走行する車両40において、少なくとも1つの車軸がリフトアップされているか否かを判定する様子の一例を示す模式図である。
【0036】
ここでは、例えば、リフトアップ判定装置10は、走行路30を走行する車両40の1以上のタイヤを含む1以上の撮像画像を撮像する撮像装置20に接続される。そして、リフトアップ判定装置10には、撮像装置20から、撮像装置20によって撮像された1以上の撮像画像が出力される。
【0037】
図2は、リフトアップ判定装置10の構成を示すブロック図である。
【0038】
図2に示される通り、リフトアップ判定装置10は、検出部11と、算出部12と、位置判定部13と、判定部14とを含んで構成される。
【0039】
リフトアップ判定装置10は、例えば、マイクロプロセッサ(図示せず。)とメモリ(図示せず。)とを備えるコンピュータ(図示せず。)において、メモリに記憶されたプログラムをマイクロプロセッサが実行することによって実現される。
【0040】
検出部11は、撮像装置20から、一の車両の車軸のタイヤを含む1以上の撮像画像を取得する。そして、検出部11は、取得した1以上の撮像画像から、1以上のタイヤを検出する。
【0041】
検出部11は、例えば、予め、タイヤ認識に関する機械学習を行っておくことで、タイヤの検出を行っても良い。また、検出部11は、例えば、テンプレートマッチング法を利用して、タイヤの検出を行っても良い。
【0042】
図3、
図4A、
図4Bは、それぞれ、検出部11によって取得される撮像画像の一例を示す模式図である。
【0043】
検出部11は、例えば、
図3に示されるように、車両40における最前方車軸の前輪タイヤ21と、車両40における最後方車軸の後輪タイヤ22とを含む1枚の撮像画像を、撮像装置20から取得してもよい。
【0044】
また、検出部11は、例えば、
図4A、
図4Bに示されるように、車両40における前輪タイヤ21と後輪タイヤ22とを同時に含まない複数の撮像画像を、撮像装置20から取得してもよい。
【0045】
算出部12は、検出部11によって取得された1以上の撮像画像から、後輪タイヤ22の最下点から、車両40の進行方向に伸びる基準線を算出する。
【0046】
算出部12は、例えば、検出部11によって取得された撮像画像が、
図3に示されるように、車両40における前輪タイヤ21と後輪タイヤ22とを含む1枚の撮像画像である場合に、検出部11による検出結果を用いて、前輪タイヤ21の最下点と、後輪タイヤ22の最下点とを結ぶ直線を、上記基準線として算出してもよい。
【0047】
図5は、上記例において、算出部12によって算出された基準線25aを示す模式図である。
【0048】
また、算出部12は、例えば、検出部11によって取得された撮像画像が、
図4Bに示されるように、車両40における後輪タイヤ22を含む一方で、前輪タイヤ21を含まない1枚の撮像画像である場合に、検出部11による検出結果を用いて、後輪タイヤ22の最下点から、車両40が走行する走行車線の進路方向に伸びる直線を、上記基準線として算出してもよい。
【0049】
図6は、上記例において、算出部12によって算出された基準線25bを示す模式図である。
【0050】
また、算出部12は、例えば、検出部11によって取得された撮像画像が、
図4A、
図4Bに示されるように、車両40における前輪タイヤ21と後輪タイヤ22とを同時に含まない複数の(ここでは2枚の)撮像画像である場合に、これら複数の撮像画像を合成して、前輪タイヤ21と後輪タイヤ22とを含む1枚の合成画像を生成してもよい。そして、算出部12は、検出部11による検出結果を用いて、合成した合成画像から、前輪タイヤ21の最下点と、後輪タイヤ22の最下点とを結ぶ直線を、上記基準線として算出してもよい。
【0051】
位置判定部13は、検出部11によって検出された1以上のタイヤのうち、車両40における前輪タイヤ21と後輪タイヤ22とを除くタイヤ(ここでは、例えば、
図3、
図4B、
図5、
図6におけるタイヤ23及びタイヤ24、以下、「中間タイヤ」とも言う。)に対して、タイヤの最下点が、算出部によって算出された基準線(ここでは、例えば、
図5における基準線25a又は
図6における基準線25b)に対して、車両40の上方側に所定値以上離れているか否かを判定する。
【0052】
ここで、上記所定値は、中間車軸のタイヤが、リフトアクスル機構により、地面に接しない程度に持ち上げられていることを示す値であれば、どのような値であっても構わない。上記所定値は、例えば、撮像画像における所定ピクセル数(例えば、100ピクセル)であっても構わないし、例えば、実空間換算時における所定距離(例えば、10cm)に相当する、撮像画像におけるピクセル数であっても構わない。
【0053】
判定部14は、検出部11による検出結果に基づいて、車両40において少なくとも1つの車軸がリフトアップされているか否かを判定する。
【0054】
より具体的には、判定部14は、位置判定部13により肯定的に判定されたタイヤが存在する場合に、判定部14の行う上記判定を肯定的に行う。
【0055】
一般に、リフトアクスル機構を装備する車両では、車両における最前方車軸と最後方車軸とを除く中間車軸の中間タイヤがリフトアップの対象となる。このため、対象とする車両において、その車両の最後方車軸の後輪タイヤの最下点から、その車両の進行方向に伸びる基準線に対して、中間車軸の中間タイヤの最下点がその車両の上方側に上記所定値以上離れている場合には、その車両においてその中間車軸がリフトアップされていることとなる。
【0056】
また、判定部14は、位置判定部13により肯定的に判定された中間タイヤが存在しない場合に、判定部14の行う上記判定を否定的に行う。
【0057】
そして、判定部14は、判定結果を外部に出力する。
【0058】
上記構成のリフトアップ判定装置10が行う動作について、以下、図面を参照しながら説明する。
【0059】
[1-2.動作]
リフトアップ判定装置10は、その特徴的な動作として、第1判定処理を行う。
【0060】
第1判定処理は、撮像装置20から、一の車両の1以上のタイヤを含む1以上の撮像画像が出力された場合において、その車両において少なくとも1以上の車軸がリフトアップされているか否かを判定する処理である。
【0061】
【0062】
第1判定処理は、リフトアップ判定装置10に対して、撮像装置20から、一の車両40の1以上のタイヤを含む1以上の撮像画像が出力されることで開始される。
【0063】
第1判定処理が開始されると、検出部11は、撮像装置20から、一の車両40の1以上のタイヤを含む1以上の撮像画像を取得する(ステップS10)。
【0064】
そして、検出部11は、取得した1以上の撮像画像から、1以上のタイヤを検出する(ステップS20)。
【0065】
検出部11によって1以上のタイヤが検出されると、算出部12は、検出部11によって取得された1以上の撮像画像から、車両40における後輪タイヤ22の最下点から、車両40の進行方向に伸びる基準線を算出する(ステップS30)。
【0066】
算出部12によって基準線が算出されると、位置判定部13は、検出部11によって検出された1以上のタイヤの内、中間車軸の中間タイヤに対して、中間タイヤの最下点が、算出部12によって算出された基準線に対して、車両40の上方側に所定値以上離れているか否かの判定を行う(ステップS40)。
【0067】
位置判定部13よる判定が終了すると、判定部14は、ステップS40の処理において、位置判定部13により肯定的に判定されたタイヤが存在するか否かを調べる(ステップS50)。
【0068】
ステップS50の処理において、位置判定部13により肯定的に判定されたタイヤが存在する場合に(ステップS50:Yes)、判定部14は、車両40において、少なくとも1つの車軸がリフトアップされていると判定する(ステップS60)。
【0069】
ステップS50の処理において、位置判定部13により肯定的に判定されたタイヤが存在しない場合に(ステップS50:No)、判定部14は、車両40において、全ての車軸がリフトアップされていないと判定する(ステップS70)。
【0070】
ステップS60、又はステップS70の処理が終了した場合に、判定部14は、判定結果を外部に出力する(ステップS80)。
【0071】
ステップS80の処理が終了すると、リフトアップ判定装置10は、その第1判定処理を終了する。
【0072】
[1-3.効果等]
上述した通り、リフトアップ判定装置10は、外部の撮像装置20によって撮像された撮像画像から、地面に接しない程度に持ち上げられた中間車軸のタイヤの有無を判定する。そして、リフトアップ判定装置10は、この判定結果に基づいて、車両において少なくとも1つの車軸がリフトアップされているか否かを判定する。
【0073】
このように、リフトアップ判定装置10は、非接触で、リフトアップされているか否かの判定を行うことができる。
【0074】
このため、リフトアップ判定装置10を設置する際に、車軸のリフトアップの判定に必要となるセンサ類を、走行路等に埋設する必要がない。
【0075】
従って、このリフトアップ判定装置10を利用することで、リフトアップ判定装置の設置、補修、又は撤去する場合にかかるコストを、従来よりも低減し得る。
【0076】
(実施の形態2)
ここでは、本開示の一態様として、実施の形態1に係るリフトアップ判定装置10から、その構成の一部が変更されたリフトアップ判定装置10aについて説明する。
【0077】
実施の形態1に係るリフトアップ判定装置10は、撮像画像から、地面に接しない程度に持ち上げられた中間車軸の中間タイヤの有無を判定することで、対象とする車両において車軸がリフトアップされているか否かを判定する構成の例であった。
【0078】
これに対して、実施の形態2に係るリフトアップ判定装置10aは、撮像画像から、車両が走行する程度に回転していないタイヤの有無を判定することで、対象とする車両において車軸がリフトアップされているか否かを判定する構成の例となっている。
【0079】
以下、リフトアップ判定装置10aについて、実施の形態1に係るリフトアップ判定装置10との相違点を中心に説明する。
【0080】
[2-1.構成]
図8は、実施の形態2に係るリフトアップ判定装置10aの構成を示すブロック図である。
【0081】
図8に示される通り、リフトアップ判定装置10aは、実施の形態1に係るリフトアップ判定装置10に対して、算出部12と位置判定部13とが削除され、判定部14が判定部14aに変更され、回転判定部15が追加されて構成される。
【0082】
回転判定部15は、検出部11によって取得された1以上の撮像画像に基づいて、検出部11によって検出された1以上のタイヤの内、少なくとも1つのタイヤについて、そのタイヤが回転しているか否かを判定する。
【0083】
より具体的には、回転判定部15は、上記少なくとも1つのタイヤについて、そのタイヤの領域に含まれる複数の画素の周波数成分に基づいて、そのタイヤが回転しているか否かを判定する。
【0084】
一般に、タイヤが回転している場合においてそのタイヤを撮像すると、タイヤが回転していない場合に比べて、回転によるモーションブラーの影響を受けやすい。そのため、撮影された撮像画像におけるタイヤの領域に含まれる複数の画素の画素値の周波数成分において、高周波数成分の比率が低下する現象が起こることが知られている。
【0085】
回転判定部15は、この現象を利用して、タイヤが回転しているか否かを判定する。
【0086】
すなわち、回転判定部15は、例えば、検出部11によって第1のタイヤと第2のタイヤとが検出された場合において、第1のタイヤの領域に含まれる画素の画素値の周波数成分における高周波数成分の比率の方が、第2のタイヤの領域に含まれる画素の画素値の周波数成分における高周波数成分の比率よりも第1の所定値以上大きいときに、第2のタイヤが回転していないと判定してもよい。
【0087】
また、回転判定部15は、例えば、車両40の中間車軸の中間タイヤ23、24について、そのタイヤの領域に含まれる複数の画素の画素値の周波数成分における高周波数成分の比率の方が、車両40の前輪タイヤ21又は後輪タイヤ22におけるタイヤの領域に含まれる画素の画素値の周波数成分における高周波数成分の比率よりも、第2の所定値以上小さいときに、その中間タイヤ23、24が回転しないと判定してもよい。
【0088】
すなわち、回転判定部15は、車両40の中間タイヤ23の領域に含まれる複数の画素の周波数成分と、前輪タイヤ21の領域に含まれる複数の画素の周波数成分とを比較した結果に基づいて、検出部11が検出した中間タイヤ23が回転しているか否かを判定してもよい。また、回転判定部15は、車両40の中間タイヤ23の領域に含まれる複数の画素の周波数成分と、後輪タイヤ22の領域に含まれる複数の画素の周波数成分とを比較した結果に基づいて、検出部11が検出した中間タイヤ23が回転しているか否かを判定してもよい。このとき、回転判定部15は、中間タイヤ23の周波数成分のうちの高周波数成分の比率と、前輪タイヤ21または後輪タイヤ22の周波数成分のうちの高周波数成分の比率とを比較した結果に基づいて、中間タイヤ23が回転しているか否かを判定してもよい。
【0089】
また、回転判定部15は、例えば、車両40の中間車軸の中間タイヤ23、24について、そのタイヤの領域に含まれる複数の画素の画素値の周波数成分における高周波数成分の比率が、第3の所定値よりも小さい場合に、そのタイヤが回転していないと判定してもよい。
【0090】
ここで、第1の所定値、第2の所定値及び第3の所定値は、車両が走行する程度に回転しているタイヤと、車両が走行する程度に回転していないタイヤとを区別することができる値であれば、どのような値であっても構わない。また、上記所定値は、撮像装置20によって撮像画像が撮像された際における撮像条件(例えば、シャッタースピード等)に応じて変化する値であっても構わない。
【0091】
判定部14aは、検出部11による検出結果に基づいて、車両40において少なくとも1つの車軸がリフトアップされているか否かを判定する。
【0092】
より具体的には、判定部14aは、回転判定部15により否定的に判定されたタイヤが存在する場合に、判定部14aの行う上記判定を肯定的に行う。
【0093】
一般に、リフトアクスル機構を装備する車両では、リフトアップされた車軸のタイヤは、走行中において回転しない。このため、走行中の車両において、回転していないタイヤが存在する場合には、その車両においてそのタイヤの車軸がリフトアップされていることとなる。
【0094】
また、判定部14aは、回転判定部15により否定的に判定されたタイヤが存在しない場合に、判定部14aの行う上記判定を否定的に行う。
【0095】
そして、判定部14aは、判定結果を外部に出力する。
【0096】
上記構成のリフトアップ判定装置10aが行う動作について、以下、図面を参照しながら説明する。
【0097】
[2-2.動作]
リフトアップ判定装置10aは、その特徴的な動作として、実施の形態1に係る第1判定処理から、その処理の一部が変更された第2判定処理を行う。
【0098】
以下、第2判定処理について、実施の形態1に係る第1判定処理との相違点を中心に説明する。
【0099】
【0100】
図9に示される通り、第2判定処理は、実施の形態1に係る第1判定処理から、ステップS30の処理がステップS130の処理に変更され、ステップS40の処理がステップS140の処理に変更され、ステップS50の処理がステップS150の処理に変更された処理となっている。
【0101】
このため、ここでは、ステップS130の処理とステップS140の処理とステップS150の処理とを中心に説明する。
【0102】
第2判定処理において、ステップS20の処理が終了すると、回転判定部15は、検出部11によって取得された1以上の撮像画像に基づいて、検出部11によって検出された1以上のタイヤの内、少なくとも1つのタイヤについて、そのタイヤの領域に含まれる画素の画素値の周波数成分における高周波数成分の比率を算出する(ステップS130)。
【0103】
そして、回転判定部15は、算出した高周波数成分の比率に基づいて、そのタイヤが回転しているか否かを判定する(ステップS140)。
【0104】
回転判定部15よる判定が終了すると、判定部14aは、ステップS140の処理において、回転判定部15により否定的に判定されたタイヤが存在するか否かを調べる(ステップS150)。
【0105】
ステップS150の処理において、回転判定部15により否定的に判定されたタイヤが存在する場合に(ステップS150:Yes)、判定部14aは、ステップS60の処理を行う。
【0106】
ステップS150の処理において、回転判定部15により否定的に判定されたタイヤが存在しない場合に(ステップS150:No)、判定部14aは、ステップS70の処理を行う。
【0107】
[2-3.効果等]
上述した通り、リフトアップ判定装置10aは、外部の撮像装置20によって撮像された撮像画像から、車両が走行する程度に回転していないタイヤの有無を判定する。そして、リフトアップ判定装置10aは、この判定結果に基づいて、車両において少なくとも1つの車軸がリフトアップされているか否かを判定する。
【0108】
このように、リフトアップ判定装置10aは、非接触で、リフトアップされているか否かの判定を行うことができる。
【0109】
このため、リフトアップ判定装置10aを設置する際に、車軸のリフトアップの判定に必要となるセンサ類を、走行路等に埋設する必要がない。
【0110】
従って、このリフトアップ判定装置10aを利用することで、リフトアップ判定装置の設置、補修、又は撤去する場合にかかるコストを、従来よりも低減し得る。
【0111】
(実施の形態3)
ここでは、本開示の一態様として、実施の形態2に係るリフトアップ判定装置10aから、その構成の一部が変更されたリフトアップ判定装置10bについて説明する。
【0112】
実施の形態2に係るリフトアップ判定装置10aは、撮像画像から、その撮像画像のタイヤの領域に含まれる複数の画素の画素値の周波数成分における高周波数成分に基づいて、そのタイヤが回転しているか否かを判定する構成の例であった。
【0113】
これに対して、実施の形態3に係るリフトアップ判定装置10bは、2以上の撮像画像から、一のタイヤの回転量を算出し、算出した回転量に基づいて、そのタイヤが回転しているか否かを判定する構成の例となっている。
【0114】
以下、リフトアップ判定装置10bについて、実施の形態2に係るリフトアップ判定装置10aとの相違点を中心に説明する。
【0115】
[3-1.構成]
図10は、実施の形態3に係るリフトアップ判定装置10bの構成を示すブロック図である。
【0116】
図10に示される通り、リフトアップ判定装置10bは、実施の形態2に係るリフトアップ判定装置10aに対して、回転判定部15が回転判定部15bに変更されて構成される。
【0117】
回転判定部15bは、検出部11によって、2以上の撮像画像から一のタイヤが検出された場合に、これら2以上の撮像画像からそのタイヤの回転量を算出し、算出した回転量に基づいて、そのタイヤが回転しているか否かを判定する。
【0118】
より具体的には、回転判定部15bは、例えば、第1の撮像画像と第2の撮像画像(他の撮像画像の一例)とから一のタイヤが検出された場合に、第1の撮像画像において検出された一のタイヤの領域に含まれる画素の画素値を用いて、第2の撮像画像に対してテンプレートマッチングを行い、第2の撮像画像における一のタイヤの動きを追跡することで、そのタイヤの回転量を算出してもよい。
【0119】
図11は、第1の撮像画像と第2の撮像画像との間で、一のタイヤが回転している様子を示す模式図である。
【0120】
検出部11によって検出されるタイヤが、例えば、
図11に示される形状のタイヤである場合には、回転判定部15bは、例えば、検出されたタイヤのホイールにおける、特徴的な輝度のエッジ部分、検出されたタイヤのホイールに設置されているゴム栓に対応する画素部分等を利用してテンプレートマッチングを行うことでそのタイヤの回転量を算出してもよい。また、検出部11は、これら部分を用いて、オプティカルフローを算出することでそのタイヤの回転量を算出してもよい。
【0121】
また、回転判定部15bは、例えば、検出されたタイヤの、車両40の進行方向における移動量と、そのタイヤの半径とから、そのタイヤの回転量を推定し、推定した回転量に基づいて、テンプレートマッチングを行う範囲を限定してもよい。
【0122】
また、回転判定部15bは、例えば、一のタイヤについて算出した回転量が所定値以下である場合に、そのタイヤが回転していないと判定してもよい。
【0123】
ここで、上記所定値は、車両が走行する程度に回転しているタイヤと、車両が走行する程度に回転していないタイヤとを区別することができる値であれば、どのような値であっても構わない。また、上記所定値は、撮像装置20によって撮像画像が撮像された際における撮像条件(例えば、2以上の撮像画像を撮像する場合における撮像周期等)に応じて変化する値であっても構わない。
【0124】
[3-2.動作]
リフトアップ判定装置10bは、その特徴的な動作として、実施の形態2に係る第2判定処理から、その処理の一部が変更された第3判定処理を行う。
【0125】
以下、第3判定処理について、実施の形態2に係る第2判定処理との相違点を中心に説明する。
【0126】
【0127】
図12に示される通り、第3判定処理は、実施の形態2に係る第2判定処理から、ステップS130の処理がステップS230の処理に変更され、ステップS140の処理がステップS240の処理に変更された処理となっている。
【0128】
このため、ここでは、ステップS230の処理とステップS240の処理とを中心に説明する。
【0129】
第3判定処理において、ステップS20の処理が終了すると、回転判定部15bは、検出部11によって取得された2以上の撮像画像から、一のタイヤの回転量を算出する(ステップS230)。
【0130】
そして、回転判定部15bは、算出した回転量に基づいて、そのタイヤが回転しているか否かを判定する(ステップS240)。
【0131】
ステップS240の処理が終了すると、判定部14aは、ステップS150の処理を行う。
【0132】
[3-3.効果等]
上述した通り、リフトアップ判定装置10bは、外部の撮像装置20によって撮像された撮像画像から、車両が走行する程度に回転していないタイヤの有無を判定する。そして、リフトアップ判定装置10bは、この判定結果に基づいて、車両において少なくとも1つの車軸がリフトアップされているか否かを判定する。
【0133】
このように、リフトアップ判定装置10bは、非接触で、リフトアップされているか否かの判定を行うことができる。
【0134】
このため、リフトアップ判定装置10bを設置する際に、車軸のリフトアップの判定に必要となるセンサ類を、走行路等に埋設する必要がない。
【0135】
従って、このリフトアップ判定装置10bを利用することで、リフトアップ判定装置の設置、補修、又は撤去する場合にかかるコストを、従来よりも低減し得る。
【0136】
(実施の形態4)
ここでは、本開示の一態様として、実施の形態1に係るリフトアップ判定装置10から、その構成の一部が変更されたリフトアップ判定装置10cについて説明する。
【0137】
実施の形態1に係るリフトアップ判定装置10は、撮像画像から、地面に接しない程度に持ち上げられた中間車軸のタイヤの有無を判定することで、対象とする車両において車軸がリフトアップされているか否かを判定する構成の例であった。
【0138】
これに対して、実施の形態4に係るリフトアップ判定装置10cは、撮像画像から、直下に位置する路面の局所領域がたわんでいないタイヤの有無を判定することで、対象とする車両において車軸がリフトアップされているか否かを判定する構成の例となっている。
【0139】
以下、リフトアップ判定装置10cについて、実施の形態1に係るリフトアップ判定装置10との相違点を中心に説明する。
【0140】
[4-1.構成]
図13は、実施の形態4に係るリフトアップ判定装置10cの構成を示すブロック図である。
【0141】
図13に示される通り、リフトアップ判定装置10cは、実施の形態1に係るリフトアップ判定装置10に対して、算出部12と位置判定部13とが削除され、判定部14が判定部14cに変更され、たわみ判定部16が追加されて構成される。
【0142】
たわみ判定部16は、検出部11によって取得された1以上の撮像画像に基づいて、検出部11によって検出された1以上のタイヤの最下点に位置する路面の局所領域が、所定値以上たわんでいるか否かを判定する。
【0143】
一般に、タイヤが路面に接地している場合には、タイヤが接地している路面の局所領域は、そのタイヤを介して受ける軸重により、その軸重に応じたたわみ量でたわむ現象が起こることが知られている。
【0144】
たわみ判定部16は、この現象によるたわみ量が、所定値以上であるか否かを判定する。
【0145】
より具体的には、たわみ判定部16は、例えば、撮像装置20による撮像の範囲に含まれる、たわんでいない状態の走行路30の撮像画像(例えば、走行中の車両が存在しない状態において、撮像装置20によって撮像された走行路30の撮像画像。以下、この撮像画像のことを、「基準画像」とも言う。)を予め記憶している。そして、たわみ判定部16は、検出部11によって取得された撮像画像を、予め記憶する基準画像と比較することで、タイヤの最下点に位置する路面の局所領域のたわみ量を算出し、算出したたわみ量が所定値以上であるか否かを判定してもよい。
【0146】
ここで、上記所定値は、タイヤが接地することで軸重を受けている状態と、タイヤが接地していないことで軸重を受けていない状態とを区別することができる値であれば、どのような値であっても構わない。上記所定値は、例えば、撮像画像における所定ピクセル数(例えば、0.1ピクセル)であっても構わないし、例えば、実空間換算時における所定距離(例えば、1mm)に相当する、撮像画像におけるピクセル数であっても構わない。また、上記所定値は、撮像装置20によって撮像画像が撮像された際における撮像条件(例えば、気温、湿度、路面温度、天候等)に応じて変化する値であっても構わない。また、上記設定値は、対象となるタイヤの種類、対象となるタイヤを装着する車両の車種等に応じて変化する値であっても構わない。さらには、上記所定値は、対象となるタイヤの最下点の位置に応じて変化する値であっても構わない。
【0147】
判定部14cは、検出部11による検出結果に基づいて、車両40において少なくとも1つの車軸がリフトアップされているか否かを判定する。
【0148】
より具体的には、判定部14cは、たわみ判定部16により否定的に判定されたタイヤが存在する場合に、判定部14cの行う上記判定を肯定的に行う。
【0149】
一般に、リフトアクスル機構を装備する車両では、リフトアップされた車軸のタイヤは、走行中において路面に接地しない。このため、走行中の車両において、直下に位置する路面の局所領域がたわんでいないタイヤが存在する場合には、その車両においてそのタイヤの車軸がリフトアップされていることとなる。
【0150】
また、判定部14cは、たわみ判定部16により否定的に判定されたタイヤが存在しない場合に、判定部14cの行う上記判定を否定的に行う。
【0151】
そして、判定部14cは、判定結果を外部に出力する。
【0152】
上記構成のリフトアップ判定装置10cが行う動作について、以下、図面を参照しながら説明する。
【0153】
[4-2.動作]
リフトアップ判定装置10cは、その特徴的な動作として、実施の形態1に係る第1判定処理から、その処理の一部が変更された第4判定処理を行う。
【0154】
以下、第4判定処理について、実施の形態1に係る第1判定処理との相違点を中心に説明する。
【0155】
【0156】
図14に示される通り、第4判定処理は、実施の形態1に係る第1判定処理から、ステップS30の処理がステップS330の処理に変更され、ステップS40の処理がステップS340の処理に変更され、ステップS50の処理が、ステップS350の処理に変更された処理となっている。
【0157】
このため、ここでは、ステップS330の処理とステップS340の処理とステップS350の処理とを中心に説明する。
【0158】
第4判定処理において、ステップS20の処理が終了すると、たわみ判定部16は、検出部11によって取得された1以上の撮像画像に基づいて、検出部11によって検出された1以上のタイヤの最下点の直下に位置する路面の局所領域におけるたわみ量を算出する(ステップS330)。
【0159】
そして、たわみ判定部16は、算出したたわみ量が所定値以上であるか否かを判定する(ステップS340)。
【0160】
たわみ判定部16よる判定が終了すると、判定部14cは、ステップS340の処理において、たわみ判定部16により否定的に判定されたタイヤが存在するか否かを調べる(ステップS350)。
【0161】
ステップS350の処理において、たわみ判定部16により否定的に判定されたタイヤが存在する場合に(ステップS350:Yes)、判定部14cは、ステップS60の処理を行う。
【0162】
ステップS350の処理において、たわみ判定部16により否定的に判定されたタイヤが存在しない場合に(ステップS350:No)、判定部14cは、ステップS70の処理を行う。
【0163】
[4-3.効果等]
上述した通り、リフトアップ判定装置10cは、外部の撮像装置20によって撮像された撮像画像から、直下に位置する路面の局所領域が所定値以上たわんでいないタイヤの有無を判定する。そして、この判定結果に基づいて、車両において少なくとも1つの車軸がリフトアップされているか否かを判定する。
【0164】
このように、リフトアップ判定装置10cは、非接触で、リフトアップされているか否かの判定を行うことができる。
【0165】
このため、リフトアップ判定装置10cを設置する際に、車軸のリフトアップの判定に必要となるセンサ類を、走行路等に埋設する必要がない。
【0166】
従って、このリフトアップ判定装置10cを利用することで、リフトアップ判定装置の設置、補修、又は撤去する場合にかかるコストを、従来よりも低減し得る。
【0167】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1~4について説明した。しかしながら、本開示による技術は、これらに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略等を行った実施の形態にも適用可能である。
【0168】
(1)実施の形態1~4において例示した、リフトアップ判定装置10、リフトアップ判定装置10a、リフトアップ判定装置10b、リフトアップ判定装置10cは、それぞれ、実施の形態1に係る位置判定部13と、実施の形態2に係る回転判定部15と、実施の形態3に係る回転判定部15bと、実施の形態4に係るたわみ判定部16との内のいずれか1つを含んで構成される例であった。
【0169】
これに対して、他の例として、実施の形態1に係る位置判定部13と、実施の形態2に係る回転判定部15と、実施の形態3に係る回転判定部15bと、実施の形態4に係るたわみ判定部16との内の2つ以上を含んで構成される例も考えられる。この例では、これら2以上の判定部による判定結果に基づいて、車両40において少なくとも1つの車軸がリフトアップされているか否かを判定してもよい。
【0170】
図15は、他の実施の形態に係るリフトアップ判定装置10dの構成を示すブロック図である。
【0171】
図15に示される通り、リフトアップ判定装置10dは、実施の形態1に係る検出部11、算出部12、及び位置判定部13と、実施の形態2に係る回転判定部15と、実施の形態4に係るたわみ判定部16と、判定部14dとを含んで構成される。
【0172】
そして、判定部14dは、位置判定部13による判定結果と、回転判定部15による判定結果と、たわみ判定部16による判定結果とに基づいて、車両40において少なくとも1つの車軸がリフトアップされているか否かを判定する。
【0173】
より具体的には、判定部14dは、例えば、位置判定部13による判定結果と、回転判定部15による判定結果と、たわみ判定部16による判定結果とに対して多数決又は重み付き多数決を取る。そして、判定部14dは、最も多数を占める判定結果に従って、車両40において少なくとも1つの車軸がリフトアップされているか否かを判定してもよい。
【0174】
また、判定部14dは、例えば、位置判定部13による判定結果と、回転判定部15による判定結果と、たわみ判定部16による判定結果とに対して、尤度を用いた評価関数を適用してこれら判定結果の確からしさを算出してもよい。そして、判定部14dは、最も確からしい判定結果に従って、車両40において少なくとも1つの車軸がリフトアップされているか否かを判定してもよい。
【0175】
(2)実施の形態4において、リフトアップ判定装置10cは、撮像画像から、直下に位置する路面の局所領域がたわんでいないタイヤの有無を判定することで、対象とする車両において車軸がリフトアップされているか否かを判定するとして説明した。
【0176】
これに対して、リフトアップ判定装置10cは、例えば、撮像画像から、最下点の局所領域がたわんでいるタイヤの有無を判定することで、対象とする車両において車軸がリフトアップされているか否かを判定する構成であっても構わない。
【0177】
この構成例は、例えば、たわみ判定部16が、検出部11によって取得された1以上の撮像画像に基づいて、検出部11によって検出された1以上のタイヤの最下点の局所領域が、所定値以上たわんでいるか否かを判定することで実現される。
【0178】
ここで、たわみ判定部16は、例えば、対象とするタイヤの最下点の局所領域におけるたわみ量を直接算出せずに、対象とするタイヤの扁平率を算出し、算出した扁平率が所定値以下である場合に、そのタイヤの最下点の局所領域が、所定値以上たわんでいると判定する構成であってもよい。
【0179】
(3)リフトアップ判定装置10、リフトアップ判定装置10a、リフトアップ判定装置10b、リフトアップ判定装置10c、リフトアップ判定装置10dにおける各構成要素(機能ブロック)は、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等の半導体装置により個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全部を含むように1チップ化されてもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。更には、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてあり得る。
【0180】
また、上記各種処理の全部又は一部は、電子回路等のハードウェアにより実現されても、ソフトウェアを用いて実現されてもよい。なお、ソフトウェアによる処理は、リフトアップ判定装置に含まれるプロセッサがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより実現されるものである。また、そのプログラムを記録媒体に記録して頒布や流通させてもよい。例えば、頒布されたプログラムを、他のプロセッサを有する装置にインストールして、そのプログラムをそのプロセッサに実行させることで、その装置に、上記各処理を行わせることが可能となる。
【0181】
(4)
図16に、本開示に係る通行料金設定システム100を示す。通行料金設定システム100は、リフトアップ判定装置10と、撮像装置20と、サーバ50とを備える。リフトアップ判定装置10は、決定部19を備える。なお、決定部19は、リフトアップ判定装置10の他の構成要素と同様に、電子回路等で実現されてもよいし、リフトアップ判定装置10のプロセッサがプログラムを実行することで実現されてもよい。サーバ50は、プロセッサとメモリを有する。サーバ50の機能は、例えば、メモリに格納されたプログラムをプロセッサが実行することで実現されてもよい。
【0182】
決定部19は、判定部14による判定結果に基づいて、撮像画像に含まれた車両においてリフトアップされていない車軸の数を決定する。例えば、決定部19は、撮像画像内に3つの車軸が検出されており、1つの車軸のみがリフトアップされている場合に、リフトアップされていない車軸の数を2軸であると決定する。
【0183】
サーバ50は、決定部19が決定した結果に基づいて、撮像画像に含まれた車両の通行料金を設定する。例えば、サーバ50は、リフトアップされていない車軸の数が多いほど、車両の通行料金を高く設定してもよい。
【0184】
以上の構成により、走行路に埋設したセンサを用いなくとも、撮像装置20の撮像画像を用いて、車両の通行料金を設定することができる。これにより、従来よりも低コストで車両の通行料金を設定することができる。
【0185】
また、上述した実施の形態で示した構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0186】
本開示は、車両を対象として、1以上の車軸がリフトアップされているか否かを判定するリフトアップ判定装置に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0187】
10、10a、10b、10c、10d リフトアップ判定装置
11 検出部
12 算出部
13 位置判定部
14、14a、14c、14d 判定部
15、15b 回転判定部
16 たわみ判定部
19 決定部
20 撮像装置
50 サーバ
100 通行料金設定システム