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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】ボンベ運搬アシスト器具
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/00 20060101AFI20221209BHJP
【FI】
F17C13/00 301Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018159489
(22)【出願日】2018-08-28
(65)【公開番号】P2020034049
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-07-15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)平成30年3月5日 一般社団法人電気学会 発行 「平成30年電気学会全国大会 講演論文集」のDVD164頁、165頁にて公開 (2)平成30年3月15日 九州大学 伊都キャンパス(福岡市西区元岡744番地)にて開催された「平成30年電気学会全国大会」にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】391014114
【氏名又は名称】株式会社SANKEI
(73)【特許権者】
【識別番号】304026696
【氏名又は名称】国立大学法人三重大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081547
【弁理士】
【氏名又は名称】亀川 義示
(72)【発明者】
【氏名】安田 府佐雄
(72)【発明者】
【氏名】池浦 良淳
(72)【発明者】
【氏名】近藤 伸哉
(72)【発明者】
【氏名】杉本 敏文
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-058300(JP,U)
【文献】独国特許出願公開第19639997(DE,A1)
【文献】実開平04-125971(JP,U)
【文献】特開2006-214473(JP,A)
【文献】実開平04-101767(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボンベ容器の外周に締着されるボンベ締着環と、ボンベ締着環の外方を囲む環状の接続環と、接続環の外方に位置する環状の把持環を具備し、上記ボンベ締着環と接続環は半径方向に延びる連結軸で連結され、接続環と把持環は把持空間を形成するよう接続部材で連結され、上記ボンベ締着環は、開口端を有する略C字状に形成され、内面には滑り止め部材が設けられ、該開口端にはボンベ締着環を緊締する締着具が設けられ、上記連結軸はボンベ締着環に基端が固定され、先部は接続環に設けた連結孔に挿入され、先端には拡大頭部が設けられているボンベ運搬アシスト器具。
【請求項2】
上記連結軸が挿通する連結孔は、連結軸が接続環の周方向に遊動できる大きさに形成されている請求項に記載のボンベ運搬アシスト器具。
【請求項3】
上記把持環は外周が非円形に形成されている請求項1又は2に記載のボンベ運搬アシスト器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種ボンベを人力で運ぶ際、好適に使用できるようにしたボンベ運搬アシスト器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスボンベ、液化ガスボンベ、高圧液体ボンベその他の高圧ボンベ容器は、耐圧性を持たせた円筒状に形成され、人力で運搬する際は、底部にキャスターを有するボンベ運搬用台車に乗せて運ぶことが多い(例えば特許文献1参照)。また、キャスター付き台車を使用しない場合は、ボンベを起立状態で傾けて保持し、底部が床面や地面上を転動するように回転しながら運搬している。上記ボンベ運搬用台車を使用すると、簡単に運搬できるが、台車が入らないような狭い場所や変電所構内の砕石敷面等のように、キャスターがうまく回転しないような凹凸物がある場所では、ボンベ運搬用台車を使用することができない。また、ボンベの外周面が円筒状に形成されているから、地面や床面に横向きに仮置きしたときにボンベが転がりやすく、運搬時に、表面が滑りやすく取手がないので、10から100kgもあるボンベを保持しにくく、持ち運び作業が非常に困難である。その上、砂利や砕石敷面では、ボンベの底部が滑りやすいから、起立状態に保持して回転させるときに不安定になり、支障なく運ぶことがむずかしい。
【0003】
現在、ボンベ容器に円環状の輪を嵌めてその一側に略コ字状に突設した取手を持ってボンベを運ぶようにした運搬器具や、半円環状の部材の両側に略コ字状の取手を設けて両側からボンベ容器を挟んでボンベを運搬する運搬器具がボンベ運搬アシスト器具として市販されている。しかし、取手が一つしかない運搬器具では、複数人で取手を持って運ぶことができないし、ボンベを起立状態で回転するときに、取手が邪魔になってボンベを回転させにくい。両側に取手を有する運搬器具もボンベを起立状態で回転させて運ぶときに、取手が邪魔になる。このように、現在使用されているボンベ運搬器具は、充分満足できるものであるとはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-91574号公報(特許請求の範囲、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の解決課題は、台車を使用せずに、複数人で持ち上げてボンベを運ぶときに保持しやすく、起立状態で回転しながらボンベを移動するときでも邪魔にならず、砂利や砕石敷の地面でも安定して運搬できるようにしたボンベ運搬アシスト器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、ボンベ容器の外周に締着されるボンベ締着環と、ボンベ締着環の外方を囲む環状の接続環と、接続環の外方に位置する環状の把持環を具備し、上記ボンベ締着環と接続環は半径方向に延びる連結軸で連結され、接続環と把持環は把持空間を形成するよう接続部材で連結されていることを特徴とするボンベ運搬アシスト器具が提供され、上記課題が解決される。
【0007】
また、本発明によれば、ボンベ締着環は開口端を有する略C字状に形成され、内面には滑り止め部材が設けられ、該開口端にはボンベ締着環を緊締する締着具が設けられ、上記連結軸はボンベ締着環に基端が固定され、先部は接続環に設けた連結孔に挿入され、先端には拡大頭部が設けられている上記ボンベ運搬アシスト器具が提供される。また、上記把持環は外形が非円形に形成され、ボンベ容器の底部に嵌着する有弾性の底部材を有する上記ボンベ運搬アシスト器具が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、ボンベ容器の外周を囲む環状のボンベ締着環と、ボンベ締着環の外周を囲む環状の把持環を具備し、上記ボンベ締着環と把持環は、それぞれ一対の半円弧状の締着環部片と把持環部片で開口可能に形成され、把持環部片はヒンジで連結され、上記ボンベ締着環と把持環は把持空間を形成するよう半径方向に延びる接続部材で連結され、把持環の開口端には上記ボンベ締着環をボンベ容器に緊締するよう締着具が設けられているボンベ運搬アシスト器具が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明のボンベ運搬アシスト器具は、上記のように構成され、ボンベ容器の外周にボンベ締着環を締着してボンベに固定し、該ボンベ締着環の外方に把持空間を有する環状の把持環を設けたので、ボンベを運搬する際は、一人若しくは複数人で把持環を持って運ぶことができる。この際、把持環を上昇させると、基端がボンベ締着環に固定された連結軸や接続部材の先端が持ち上げられることにより、ボンベ締着環の上方部分にはボンベ容器に押し付ける方向の力が作用するので、アシスト器具は確実にボンベに固定され、脱落するおそれもない。起立状態で回転移動させる際は、把持環が環状になっているので、ボンベを回転しても作業の邪魔になることがない。この際、作業者の身長や、ボンベの重量等に応じて、ボンベを保持しやすい最適位置にアシスト器具を固定することができるから、作業性を向上させることができる。
【0010】
上記ボンベ容器の底部に有弾性の底部材を嵌着すると、地面との滑りが防止され、砕石敷面でもスムーズに回転移動させることができる。また、横向きに仮置きしても、把持環によりボンベのバルブ部分が地面に接しないようにでき、さらに把持環の外周を非円形に形成すると、ボンベの転動が防止され、安全である。その上、上記ボンベ締着環の開口端を締着具で緊締してボンベ締着環をボンベ容器に固定し、ボンベ締着環に設けた連結軸を接続環に設けた連結孔に挿通して連結するようにしたので、連結孔の長さを周方向に延びる長溝に形成したり、連結軸の長さを長く形成して連結軸が連結孔内で遊動できるように構成すれば、直径の相違するボンベ容器にも対応することができるし、連結孔内での連結軸の自由度を少なくするようにすれば、接続環をボンベ容器に強固に固定することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1を示し、使用状態の斜視図。
図2図1の一部省略断面図。
図3】実施例1を示す斜視図。
図4】平面図。
図5】正面図。
図6】ボンベ締着環を緊締していない状態の平面図。
図7】実施例2を示し、把持環を閉じた状態の説明図。
図8】把持環を開口した状態の説明図。
図9】実施例3を示し、把持部分を閉じた状態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、各種ボンベの運搬アシスト器具として使用でき、図1は、実施例1の使用状態を示している。図において、本発明のアシスト器具は、ボンベ容器1の外周に締着されるボンベ締着環2と、ボンベ締着環2の外方を囲む環状の接続環3と、接続環の外方に位置する環状の把持環4を具備している。
【0013】
図2から図5を参照し、構成各部材の形状、機能について説明する。上記ボンベ締着環2は、開口端を有する略C字状の帯状リングで形成され、内面には合成ゴムや有弾性合成樹脂材料、皮革等の滑り止め部材5が設けられている。図3に示す実施例では、滑り止め部材5は、締着環2の内側面の全面に貼設されているが、必要な把持力を発揮できれば、平面部に丸穴、角穴等を多数開けたパンチ板状にしたり、円周方向に隙間を設けてストライプ状にしたりして、把持力を調整することも可能である。パンチ穴を設けたりストライプ状に滑り止め部材を設けた方が、平面で接触させるより滑りにくくすることも可能である。
【0014】
上記開口端にはボンベ締着環2を緊締する締着具6が設けられ、締着具として、ばね構造の締着具その他の種々の締着具を用いることができるが、実施例では、引きクランプが設けられている。該引きクランプは、係止具7を一方の開口端に固定し、他方の開口端にクランプレバー8を枢着し、クランプレバー8に設けた係止環9を上記係止具7に掛け止めてクランプレバー8を回動することにより開口端間の間隔を引き寄せ、ボンベ締着環2を緊締してボンベ容器1に固定できるように構成されている。ここで、上記係止具7を、ほぼ3から10mm程度の一定間隔で設けた複数の掛け止め片7a、7bのように構成することにより、開口端幅G1(図4参照)を調整することができる。また、係止環9のクランプレバー8側には、開口端幅G1及びボンベ締着力の微調整用のネジ部9a、9bが設けられている。
【0015】
上記ボンベ締着環2の周囲には、半径方向に延びる複数の連結軸10の基端が、溶接等により固定され、長さLの連結軸10の先端には拡大頭部11が形成されている。
【0016】
上記実施例に示すボンベ容器のサイズは、直径232mm、高さ1510mm、重さ50kgである。一般に、ボンベ容器のサイズは様々であるが、直径100から300mm、高さ500から1600mm、重さは10から100kgである。また、図4図5に示す実施例のボンベアシスト器具の各サイズは、例えば、把持環4の最大径は400から500mm、ボンベ締着環2の内径は190から250mmまで変化できるものである。把持環4の握る部分の直径は25から40mmで、拡大頭部11を除いた連結軸10の長さLは25から40mm、太さは10から20mm、ボンベ締着環2のボンベ容器に密着する高さは40から80mm、図に示すものでは60mmである。
【0017】
上記接続環3は、ボンベ締着環2を囲む環状の帯状リングで形成され、上記締着具6に対応する部分を切り欠いて締着具を外方から操作できるようにしてある。該接続環3には、上記連結軸10の軸部が挿通する連結孔12が設けられている。該連結孔12は、上記ボンベ締着環2を緊締した際に、該ボンベ締着環2が少し縮径するから、この移動を許容するように、連結軸10の外径よりも少し大きく、実施例では直径で約2から6mm程度、好ましくは約4mm程度大きく形成してある。この連結孔12の円周方向の長さを長くして長溝に形成したり、連結軸10の長さを長く形成して連結軸10が連結孔12内で周方向に遊動できるようにすると、直径の相違する複数のボンベのアシスト器具として対応させることができる(図示略)。
【0018】
上記のように、先端の拡大頭部11を除いた連結軸10の長さをLとし、すべての連結軸10の長さ方向の中央と接続環3の厚み方向の中央が対応する位置におけるボンベ締着環2の直径をD0とした場合、ボンベ締着環2の直径Dは、D=D0±Lとなり、この場合必要な開口端幅G1は2πLとなる。D0=220mm、L=30mmでは、ボンベ容器の最小直径は190mm、最大直径は250mmに対応できる。ここでは開口端幅G1は、扱えるボンベ容器の直径の自由度を最大にした場合、G1=189mmとなる。上記では開口幅がかなり大きくなるため、連結軸10の長さや開口端幅G1は、取り扱うボンベの最大重量で制限されることになる。
【0019】
一方、連結孔12内に挿入される連結軸10の長さを短くし、円周方向の自由度をなくして、開口端幅G1を短くすると、重量の大きなボンベでも頑強、安定に接続環3とボンベ締着環2をボンベに固定することができる。なお、拡大頭部11が連結孔12の外方に位置するように連結軸10の基端を接続環3に固定してあるので、連結軸10が連結孔12から脱出することはない。
【0020】
上記したように、ボンベ締着環2は、開口端の最大開口幅G1が密着するまでの弾性を有する必要があり、板バネなどに利用されている高炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼材などで構成することが好ましいが、一定の弾性と連結軸との溶接性、接着性が得られる適宜の材料で作ることもできる。対象とするボンベ容器の大きさ、重さや把持力の要求値に応じ各種の材質を選択することができ、合成樹脂材料などで構成することも可能である。
【0021】
上記接続環3と把持環4は、複数の把持空間13を形成するよう半径方向に延びる接続部材14で連結されている。この接続部材14は、図2に示すように、棒状のパイプ材料で構成され、その両端を、環状のパイプ材料で構成した把持環4と上記接続環3に溶接等により固定しているが、接続環、接続部材及び把持環を一体成形してもよい。該把持環4の外周は、好ましくは非円形、図に示す実施例では平面視、八角形に形成してあるが、その他の多角形や円形に形成することもできる。図に示すように把持環4の形状を略八角形や多角形に形成すると、把持環4の外形に直線部分が形成されるから、接続環3と把持環4を結ぶ接続部材14を把持環4に固定する際に、この直線部分に接続部材14を溶接することができ、これにより充分な強度を確保し、溶接作業の効率を上げることができる。また、ボンベを横向きに仮置きしたときに、転動を防止することもできる。
【0022】
ボンベ容器1の底部には、好ましくは有弾性材料製の底部材15を嵌着するとよい。この底部材15により、地面に砂利、砕石等が敷設してあっても、ボンベ容器の底部が滑りにくくなり、ボンベを運びやすい。
【0023】
上記構成により本発明のアシスト器具を使用するには、ボンベ容器1を起立させて外周にボンベ締着環2をはめ込み、作業に都合のよい高さでボンベ締着具2を緊締してボンベ容器1に固定する。そして、持ち上げて運ぶには、一人の場合は両手で把持環4をつかみ、若しくは複数人のときは周囲から把持環4をつかんで持ち上げればよい。このとき、把持環4を上昇させると、基端をボンベ締着環2に固定した連結軸10の先端が持ち上げられ、帯状リングで構成されたボンベ締着環2の上方部分にはボンベ容器1に押し付ける方向の力が作用するから、ボンベ締着環2を一層確実にボンベ容器1に固定することができ、運搬中に脱落するおそれもない。また、ボンベ容器を起立状態で傾斜して回転させるときには、把持環4が環状に形成されているので、作業の邪魔になることがなく、スムーズにボンベ容器を回転させて所望場所に運ぶことができる。
【0024】
上記実施例1では接続環3を介してボンベ締着環2と把持環4を連結したが、接続環3を省略することもできる。図7図8を参照して実施例2について説明する。アシスト器具は、ボンベ容器の外周を囲む環状のボンベ締着環16と、ボンベ締着環16の外周を囲む環状の把持環17を具備している。上記ボンベ締着環16は、半円弧状の帯片で形成した一対の締着環部片18で構成され、把持環17は、半円弧状のパイプ片で形成した一対の把持環部片19で構成されている。該把持環部片19はヒンジ20で開口可能に連結されている。上記ボンベ締着環16の内面には、有弾性の滑り止め部材21が設けられている。上記ボンベ締着環16と把持環17は、把持空間22を形成するよう半径方向に延び両端をボンベ締着環16と把持環17に固定した接続部材23で連結されている。上記把持環17の開口端の外面若しくは内面には、上記ボンベ締着環16をボンベ容器に緊締するよう上記の如き引きクランプやばね構造を有する適宜の締着具24が設けられている。上記把持環17の外形は、好ましくは、図1に示すように八角形等の非円形に形成するとよいが、図7においては円形に形成されている。
【0025】
上記の構成により、クランクレバーを操作して締着具24を開放すると、図8に示すように全体が開口するので、起立したボンベ容器の側方からボンベ容器にあてがい、運搬作業をしやすい高さで上記締着具によりボンベ締着環16をボンベ容器に固定する。把持環17を引き上げると、接続部材23の外方端が上昇するが、ボンベ締着環16はボンベ容器に固定されているので、帯片状のボンベ締着環の上方部分はボンベ容器に押し付けられ、一層確実にボンベ容器に締着され、脱落しにくい。
【0026】
ボンベ締着環16に設けた滑り止め部材21は、必要な把持力を発揮できれば、丸穴や角穴を数多く開けてパンチ板状にしたり、円周方向に隙間を設けストライプ状にしたりして、把持力を調整することも可能である。パンチ穴を設けたりストライプ状に滑り止め部材を設けた方が、平面で接触させるより滑りにくくする事も可能であることは実施例1の図3で説明したことと同じである。
【0027】
ここで図7に示すように締着具24の係止具25の掛け止め片25a、25bの間隔を、ほぼ3から10mmで一定間隔をあけて置けば、開口端幅G2を調整することができる。また、係止環26のクランプレバー側には、開口端幅G2およびボンベ締着力の微調整用のネジ部27が設けられている。
【0028】
また、図7、8で示した実施例2のボンベ運搬アシスト器具の各サイズは、本発明のアシスト器具の把持環17の最大径は350mm、ボンベ締着環16の内径は220から240mmまで変化できるものである。ボンベ締着環16のボンベ容器に密着する高さは60mmである。
【0029】
ここで開口端幅G2をXとし、X=0の時のボンベ締着環16の直径をD0とした場合、Xとボンベ締着環16の直径Dとの関係は、D=D0+X/πとなり、D0=220mm、ボンベの最大直径は240mmの場合の必要な開口端幅G2は、62mmとなる。ここでは開口端幅G2は扱えるボンベ直径の自由度を大きくするには、Xを大きくとる必要があるが開口幅が大きくなると、取り扱うボンベの最大重量で制限をされることになる。このように、開口端幅G2を短くし円周方向の自由度をなくすと、重量の大きなボンベでも頑強、安定に接続環とボンベ締着環を固定することができる。
【0030】
上記したようにボンベ締着環16は把持環17とともに、鉄やアルミなどの金属材料その他の一定の強度と把持部材23との溶接性、接着性が得られる材料を用いることができる。対象とするボンベ容器の大きさ、重さや把持力の要求値に応じ、材質を選ぶことができ、合成樹脂材料などによる構成も可能である。
【0031】
さらに、上記ボンベの底には、ボンベの持ち運び移動を容易にするため、回転軸を中心に持った円盤状のタイヤを水平方向に付属することもできる。実施例3について図9を用いて説明する。図9においては、把持部分28は、一対の把持環部片19をヒンジ20で連結して把持環17を構成した実施例2に示すものが示されているが、実施例1のものを用いることもできる。固定リング29と把持環17を接続する接続手段30、30a、30bは、ボンベ容器に沿って延びる棒状、パイプ状部材で構成されている。一方の把持環部片19に対応する接続手段30、30bは、両端が固定リング29と接続環部片19に固定され、他方の把持環部片19側の接続手段30aは、一端が固定リング29若しくは把持環部片19に強固に接続され、開閉できるようにしてある。図9の接続手段30aの例では、一端が把持環部片19に強固に接続され、他の一端は固定リング29に嵌め合いなどの接続構造で連結され、少し力を加えることで開口側の把持環部片19の動きに合わせて外側に開くことができる。接続手段30aはボンベ固定時には固定リング29に固定されるが、強度が必要であれば嵌め合いの代わりに、一方にネジを設けて他方にナットで固定する等の手段によって強化する事ができる。上記固定リング29は、中心に設けた回転軸31と放射状の第1の連結手段である例えばスポーク32で固定連結され、該回転軸31はベアリング部33に回転自在に嵌着されている。タイヤ部34は、タイヤのホイールベース35とゴムタイヤ36で構成され、放射状の第2の連結手段である例えばスポーク37で上記ベアリング部33に固定連結されている。上記ベアリング部33は、上下方向の荷重に耐えられる構成が好ましい。
【0032】
上記構成により、把持環17を上記図8に示すように開いてボンベの下部を固定リング上に載置し、把持環を閉じてボンベ容器に締め付ける。その結果、ボンベは、斜めに傾けるだけで地面に接しているタイヤ部34がベアリング部33によって軽く転がるので、容易にボンベを運搬することができる。
【0033】
上記した各実施例は、台車の使用できない変電所内の砕石敷面での作業に限定されず、平坦な一般家庭や工場、研究所など、ボンベ運搬を行う現場であればどこでも使用できるものである。
【0034】
上記したように、実施例で説明したボンベ運搬アシスト器具は、作業者の負担を軽減し、作業効率や安全性の向上につながるものである。ここではボンベ運搬に特定して説明をしたが、運搬対象物は、ボンベ容器に限らず、丸太木材のような円柱形のものへの応用も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0035】
1 ボンベ容器
2 ボンベ締着環
3 接続環
4 把持環
6 締着具
10 連結軸
12 連結孔
13 把持空間
14 接続部材
15 底部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9