(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/289 20210101AFI20221209BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20221209BHJP
H01M 50/56 20210101ALI20221209BHJP
H01M 50/213 20210101ALI20221209BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20221209BHJP
H01M 50/548 20210101ALI20221209BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20221209BHJP
H01M 50/593 20210101ALI20221209BHJP
H01M 50/247 20210101ALN20221209BHJP
【FI】
H01M50/289 101
H01M50/55 201
H01M50/56
H01M50/213
H01M50/291
H01M50/548 201
H01M50/588
H01M50/593
H01M50/247
(21)【出願番号】P 2020525236
(86)(22)【出願日】2019-02-08
(86)【国際出願番号】 JP2019004691
(87)【国際公開番号】W WO2019244392
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-10-06
(31)【優先権主張番号】P 2018118402
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】長尾 健史
(72)【発明者】
【氏名】村津 地郎
(72)【発明者】
【氏名】内藤 圭亮
【審査官】立木 林
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-516273(JP,A)
【文献】中国実用新案第206313017(CN,U)
【文献】中国実用新案第206076303(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/289,101
H01M 50/55,201
H01M 50/56
H01M 50/213
H01M 50/291
H01M 50/548,201
H01M 50/588
H01M 50/593
H01M 50/247
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の素電池を備えた電池モジュールであって、
前記素電池は筒状であって一方の端部に正極端子及び負極端子が配置されており、
前記正極端子及び前記負極端子のいずれかの端子は前記一方の端部の中央部に位置しており、別の端子は前記一方の端部の周縁部に位置しているとともに前記素電池の筒の側面部と電気的に接続しており、
前記素電池の前記一方の端部の周縁部の上には接続仲介部材が載置されており、
前記接続仲介部材は、前記素電池の筒の側面部に沿って延びるとともに前記側面部と電気的に接続しているタブ部を備え、かつ前記一方の端部の中央部を露出させる孔が形成されており、
前記複数の素電池は、前記一方の端部が同じ側に並ぶように配列されているとともに、隣合う前記素電池が並んだ列からなる電池ブロックを形成しており、
配列された前記複数の素電池の前記一方の端部の上方には電気絶縁性の板が配置されており、
前記板には、各前記素電池の前記一方の端部が露出する穴が設けられているとともに、前記素電池に対向する面とは反対側の面の上に複数の導電性部材が設けられており、
前記導電性部材は、前記電池ブロックにおける前記素電池が並んだ前記列に沿って延びていて、1つの前記電池ブロックに対して2つ配置されているとともに、前記1つの前記電池ブロックに含まれる各前記素電池の同じ極の端子に前記穴を通って電気的に接続される端子接続部を備えており、
前記別の端子と前記端子接続部との電気的接続は、前記端子接続部と前記接続仲介部材との接続によって行われる、電池モジュール。
【請求項2】
前記タブ部は隣接する前記素電池から離れた位置に配置されている、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記素電池は円筒状であり、
前記タブ部は互いに隣接する前記素電池間に形成される空間に配置されている、請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記接続仲介部材と前記素電池の一方の端部との間には、電気絶縁性の保護部材が配置されている、請求項1から3のいずれか一つに記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記接続仲介部材は、前記素電池の筒の側面部に沿って延びる舌片部をさらに有している、請求項1から4のいずれか一つに記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記接続仲介部材は他の部分よりも外方へ突き出した外方凸部を有しており、
前記外方凸部において前記端子接続部と接続がおこなれている、請求項1から5のいずれか一つに記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記外方凸部は隣接する前記素電池から離れた位置に配置されている、請求項6に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の素電池を備えた電池モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、省資源や省エネルギーの観点から、繰り返し使用できるニッケル水素、ニッケルカドミウムやリチウムイオンなどの二次電池の需要が高まっている。中でもリチウムイオン二次電池は軽量でありながら起電力が高く、高エネルギー密度であるという特徴を有している。そのため、携帯電話やデジタルカメラ、ビデオカメラ、ノート型パソコンなどの様々な種類の携帯型電子機器や移動体通信機器の駆動用電源としての需要が拡大している。
【0003】
一方、化石燃料の使用量を低減させるためやCO2の排出量を削減するために、自動車などのモータ駆動用の電源として、あるいは家庭用や産業用の電源として電池モジュールへの期待が大きくなっている。このような電池モジュールの一例として、所望の電圧や容量を得るために、複数の素電池からなりそれらを並列接続及び直列接続した組電池を複数個搭載して構成されているものを挙げることができる。特許文献1にはそのような電池モジュール(バッテリーパック)であって、複数個のバッテリーセルを含み、この複数個のバッテリーセルは、当該複数個のバッテリーセルの第1の端部のところに前記バッテリーセルの第1の端子を有すると共に当該複数個のバッテリーセルの前記第1の端部のところに前記バッテリーセルの第2の端子の複数個の部分を有し、前記複数個のバッテリーセルの前記第1の端部は、同一平面上配置状態にあり、前記複数個のバッテリーセルの前記第1の端部の近くに設けられると共に前記複数個のバッテリーセルを直列接続、並列接続、又は直列及び並列接続のうちの1つの接続状態に配置するよう前記複数個のバッテリーセルの前記第1の端子及び前記第2の端子の前記部分に結合された複数個のバスバーを含むものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている電池モジュールでは、バッテリーセルの端子とバスバーとの接続をワイヤボンドにより行っているため、接続工程における接続加工の時間が長くなりコストも増大するとともに、このボンディング部分が電流密度が最も高くなるためヒューズとしての機能を果たすが、ボンディングワイヤの長さや太さを電池モジュール内で全て同じ長さ、太さにすることが困難であるためヒューズ特性の安定性にかけるという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、セル同士の接続加工を低コスト且つ確実に行える電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電池モジュールは、複数の素電池を備えた電池モジュールであって、前記素電池は筒状であって一方の端部に正極端子及び負極端子が配置されており、前記正極端子及び前記負極端子のいずれかの端子は前記一方の端部の中央部に位置しており、別の端子は前記一方の端部の周縁部に位置しているとともに前記素電池の筒の側面部と電気的に接続しており、前記素電池の前記一方の端部の周縁部の上には接続仲介部材が載置されており、前記接続仲介部材は、前記素電池の筒の側面部に沿って延びるとともに前記側面部と電気的に接続しているタブ部を備え、かつ前記一方の端部の中央部を露出させる孔が形成されており、前記複数の素電池は、前記一方の端部が同じ側に並ぶように配列されているとともに、隣合う前記素電池が並んだ列からなる電池ブロックを形成しており、配列された前記複数の素電池の前記一方の端部の上方には電気絶縁性の板が配置されており、前記板には、各前記素電池の前記一方の端部が露出する穴が設けられているとともに、前記素電池に対向する面とは反対側の面の上に複数の導電性部材が設けられており、前記導電性部材は、前記電池ブロックにおける前記素電池が並んだ前記列に沿って延びていて、1つの前記電池ブロックに対して2つ配置されているとともに、前記1つの前記電池ブロックに含まれる各前記素電池の同じ極の端子に前記穴を通って電気的に接続される端子接続部を備えており、前記別の端子と前記端子接続部との電気的接続は、前記端子接続部と前記接続仲介部材との接続によって行われる構成を有している。
【0008】
前記タブ部は隣接する前記素電池から離れた位置に配置されていてもよい。
【0009】
前記素電池は円筒状であり、前記タブ部は互いに隣接する前記素電池間に形成される空間に配置されていてもよい。
【0010】
前記接続仲介部材と前記素電池の一方の端部との間には、電気絶縁性の保護部材が配置されていてもよい。
【0011】
前記接続仲介部材は、前記素電池の筒の側面部に沿って延びる舌片部をさらに有していてもよい。
【0012】
前記接続仲介部材は他の部分よりも外方へ突き出した外方凸部を有しており、前記外方凸部において前記端子接続部と接続が行われていてもよい。
【0013】
前記外方凸部は隣接する前記素電池から離れた位置に配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、素電池の一方の端部の周縁部に接続仲介部材が載置されて、接続仲介部材は素電池の筒側面に電気的に接続されていて、その接続仲介部材に導電性部材の端子接続部が接続されているので、端子接続部と接続仲介部材とを確実に電気的に接続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】実施形態に係る素電池と接続仲介部材との模式的な斜視図である。
【
図3】実施形態に係る接続仲介部材を載置した素電池の模式的な斜視図である。
【
図4】実施形態に係る電池モジュールの模式的な斜視図である。
【
図5】実施形態に係る電池モジュールの一部を拡大した図である。
【
図6】実施形態に係る電池モジュールの1つのセルの一方の端部側を拡大した図である。
【
図7】実施形態に係る接続仲介部材を載置した素電池の、負極端子接続部と接続した模式的な斜視図である。
【
図9】別の実施形態に係る接続仲介部材の模式的な斜視図である。
【
図10】他の実施形態に係る接続仲介部材の模式的な斜視図である。
【
図11】さらに他の実施形態に係る接続仲介部材の模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。
【0017】
(実施形態1)
<素電池>
図1は、本発明の実施形態1における電池モジュールに使用する素電池10の構成を模式的に示した断面図である。なお、本発明の電池モジュールに使用する電池は、ノート型パソコン等の携帯用電子機器の電源として単体でも使用できる電池であってもよい(以下、電池モジュールに使用する電池を、「素電池」と呼ぶ)。この場合、高性能の汎用電池を、電池モジュールの素電池として使用することができるため、電池モジュールの高性能化、低コスト化をより容易に図ることができる。
【0018】
本発明の電池モジュールに使用する素電池10は、例えば、
図1に示すような、円筒形のリチウムイオン二次電池を採用することができる。このリチウムイオン二次電池は、通常の構成をなすもので、内部短絡等の発生により電池内の圧力が上昇したとき、ガスを電池外に放出する安全機構を備えている。以下、
図1を参照しながら、素電池10の具体的な構成を説明する。
【0019】
図1に示すように、正極2と負極1とがセパレータ3を介して捲回された電極群4が、非水電解液とともに、電池ケース7に収容されている。電極群4の上下には、絶縁板9、110が配され、正極2は、正極リード5を介してフィルタ112に接合され、負極1は、負極リード6を介して負極端子を兼ねる電池ケース7の底部に接合されている。
【0020】
フィルタ112は、インナーキャップ113に接続され、インナーキャップ113の突起部は、金属製の弁板114に接合されている。さらに、弁板114は、正極端子8を兼ねる端子板に接続されている。そして、端子板、弁板114、インナーキャップ113、及びフィルタ112が一体となって、ガスケット111を介して、電池ケース7の開口部を封口している。なお、電池ケース7は、ガスケット111の上端にまで載せられてガスケット111を押さえ込むことで、電池ケース7の開口部を強固に封口している。このガスケット111の上端に載せられた電池ケース7の上端部分(負極端子7a)が端子板(正極端子8)と隣合う位置にあり、円筒の一方側の端部(図では上側)に正極端子8と負極端子7aとが存していることになる。なお、負極端子7aは電池ケース7の一部であるので、筒状の電池ケース7の側面部分も負極端子7aと電気的に接続されている。
【0021】
素電池10に内部短絡等が発生して、素電池10内の圧力が上昇すると、弁体114が端子板に向かって膨れ、インナーキャップ113と弁体114との接合がはずれると、電流経路が遮断される。さらに素電池10内の圧力が上昇すると、弁体114が破断する。これによって、素電池10内に発生したガスは、フィルタ112の貫通孔112a、インナーキャップ113の貫通孔113a、弁体114の裂け目、そして、端子板の開放部8aを介して、外部へ排出される。
【0022】
なお、素電池10内に発生したガスを外部に排出する安全機構は、
図1に示した構造に限定されず、他の構造のものであってもよい。
【0023】
<接続仲介部材>
素電池10の、正極端子8及び負極端子7aが配置されている一方の端部には、
図2,3に示すように接続仲介部材50が載せられている。接続仲介部材50は導電体から形成されており、導電体としては金属が好ましく、本実施形態においてはNiめっき鋼板を用いている。
【0024】
接続仲介部材50は、中央に孔が空いているリング形状の板であり、外周縁において素電池10の電池ケース7の側面に沿って下方に延びているタブ部60を有している。また、接続仲介部材50の外周縁には、タブ部60とは別の位置に、他の部分よりも外方に突き出した外方凸部68を有している。また、接続仲介部材50と素電池10との間には電気絶縁性の保護部材70が配置されているので、接続仲介部材50は保護部材70を挟んで素電池10の一方の端部の周縁部(負極端子7aに該当する部分)の上に載置されている。
【0025】
タブ部60は素電池10の電池ケース7の側面に溶接等によって電気的に接続されており、これによって接続仲介部材50は負極端子7aと電気的に接続していることになる。また、外方凸部68は接続仲介部材50の外周円よりも少しだけ外方に突き出した部分である。
【0026】
このような構成により、接続仲介部材50は負極端子7aと確実に電気的に接続が行われるとともに、面積が広く且つ表面が平坦な外方凸部68を確保できる。なお、保護部材70は接続仲介部材50と正極端子8との電気的絶縁を確保するとともに、導電部材の正極端子接続部41が接続仲介部材50に接触しないために設けられている。
【0027】
図7に示すように、接続仲介部材50の外方凸部68には、導電性部材の負極端子接続部43が接続されている。本実施形態の外方凸部68は表面が平坦となっている。一方素電池10の一方の端部(上面)の外周に該当する負極端子7aの表面は平坦ではない。
図1は模式的であるため負極端子7aの表面が平坦に描かれているが、実際には電池ケース7の上端部分をかしめ加工を行うために外周縁が丸みを帯びていて、素電池10の中心軸側に向かうにつれて下側に傾斜している。そのため、接続仲介部材50を用いないで素電池10の負極端子7aに負極端子接続部43を直接接合(溶接接続)する場合は、両者が線接触または点接触となってしまって接合面積が不足して電気抵抗が大きくなったり、電気的な接続ができなかったりする不具合が生じるおそれがあった。
【0028】
しかしながら、本実施形態の接続仲介部材50を用いると、外方凸部68は表面が平坦であって且つ面積を大きく確保できるため、負極端子接続部43との接合を行う際には平面同士の接合になって、接合面積を十分大きく確保でき低抵抗で強固な接続を行うことができる。また、保護部材70が接合の際のクッションとなって、より確実な接合を行うことができる。
【0029】
<電池モジュール>
図4は本実施形態に係る電池モジュール100の模式的な斜視図である。なお、この図は、説明のためカバー等を取り外した内部構造を示している。
図5は
図4の一部を拡大した図であり、
図6は電池モジュール100の中の1つの素電池10の正極端子8及び負極端子7aが配置され接続仲介部材50が載置されている一方の端部を拡大した図面である。
【0030】
電池モジュール100の中には複数の素電池10が、正極端子8および負極端子7aが配置されている一方の端部を
図4において上側に向けて並べられている。素電池10の他方の端部は、電池ホルダ120に填め込まれて固定されている。複数の素電池10は電池モジュール100内で安全性を考慮した上で最密に充填されているので、隣同士がほぼ近接して並べられていて列A,B,X,Yをなしている。2つの列A,Bが電池ブロック20を構成している。隣の2つの列X,Yは別の電池ブロックを構成している。これらの列はまっすぐに伸びており、複数の列同士が隣合って平行に配置されている。電池モジュール100の両側端のそれぞれには、これらの列と平行に伸びる正極側集電部材と負極側集電部材が配置され、それらの端部にそれぞれ正極側外部端子接続部130と負極側外部端子接続部140が設けられている。
【0031】
素電池10の一方の端部の上方には絶縁板(電気絶縁性の板)30が配置されている。絶縁板30には一つ一つの素電池10に対応した穴31がそれぞれ開けられている。穴31は接続仲介部材50の中央の孔よりわずかに小径の円と、その円の外周方向に一部が矩形に切り欠かれた切り欠き部とを有する形状となっており、それぞれの素電池10の正極端子8と接続仲介部材50の一部とを露出させている。絶縁板30の素電池10に対向する面とは反対側の面の上に板状の金属材料からなる導電性部材40が設けられている。導電性部材40は絶縁板30上に複数存しており、各導電性部材40はスリット44,44a,44bによって隔てられていて電気的にそれぞれ独立している。
【0032】
絶縁板30の材料としては、例えばガラス繊維をエポキシ樹脂で固めた薄板やアクリル(PMMA)やポリカーボネート(PC)など樹脂製の板を挙げることができる。導電性部材40の材料としては、例えばアルミニウム、銅などを挙げることができる。
【0033】
導電性部材40は、穴31に対向している部分の大半が除去されて同じように穴が空いている。ただし、正極端子8に接続されている正極端子接続部41と接続仲介部材50に接続されている負極端子接続部43とは導電性部材40の穴に突き出している形状となっている。さらには絶縁板30の穴31の縁部分において導電性部材40が穴31に対して少しオーバーハングした形状となっている。このようにオーバーハングする形状とすることにより、導電性部材40の面積を大きくすることができ、それにより1つの導電性部材40を流れる電流量を大きくすることができる。また、導電性部材40の表面積を大きくすることができ、それにより放熱量を大きくすることができる。
【0034】
また、負極端子接続部43のうち、導電性部材40の本体部分に繋がる連結部分42が狭幅の短冊形状となっていて、この連結部分42を通過する単位断面積当たりの電流密度が導電性部材40の中で最も高くなるように設計されている。即ち、連結部分42を流れる電流の流路断面積を所定の面積以下にしており、これによって過電流が流れたときに連結部分42が焼き切れるので、連結部分42はヒューズの機能を担っていることになる。
【0035】
導電性部材40は、レーザーによる切断加工やエッチングなどで形成することが可能である。このような加工をすることにより、それぞれの正極端子接続部41及び負極端子接続部43の形状、寸法および断面積のバラツキを小さくすることができる。そのため、負極端子接続部43の連結部分42が焼き切れる電流量が、いずれの連結部分42においてもバラツキなく一定の量にすることができる。
【0036】
複数の素電池10は最密に充填されるように並んでいるので、電池モジュール100を上側から見た場合に、隣合う素電池10の中心軸が正三角形を形成する配置となっている。そのため隣接する素電池10同士は三角形(辺は円弧で形成されている)の隙間(空間)を形成している。そして、接続仲介部材50は、タブ部60及び外方凸部68がこの三角形の隙間(空間)に位置するようにそれぞれの素電池10に載置されている。別言すると、電池モジュール100では、タブ部60及び外方凸部68がこの三角形の隙間(空間)に位置するようにそれぞれの素電池10を並べており、タブ部60及び外方凸部68は、これらが形成されている接続仲介部材50が載置された素電池10に隣接する別の素電池から離れた位置に配置されている。従って、隣合う素電池10の接続仲介部材50のタブ部60及び外方凸部68同士が接触することがないので、短絡等の不具合を防止できる。
【0037】
図8は、複数の導電性部材40’,200a,200b,・・の全体を示す平面図であるが、図面を見やすくし且つ説明をしやすくするために
図4の電池モジュール100より素電池10の本数を減らしたものである。
図8に示す導電性部材40’,200a,200b,・・が用いられる電池モジュールにおいては、縦方向に隣合う12本の素電池10,10,・・が並べられて1つの列を構成しており、この列が12存在している。そして、この列が2つで1つの電池ブロックを構成しており、全体で6つの電池ブロックが存している。なお、
図8には、素電池10を示していないが、
図8に示す導電性部材40’,200a,200b,・・を用いた電池モジュール(複数の素電池10を有している)について以下説明をしていく。
【0038】
図8に示す導電性部材40’を用いた電池モジュールにおいては、列Aと列Bとで第1の電池ブロックが構成されており、その隣の列Xと列Yとで第2の電池ブロックが構成されている。各列はそれぞれ12本の素電池10で構成されている。また、導電性部材40’,200a,200b,・・は素電池10の列に沿って延びている。
【0039】
列Aと列Bとで構成された第1の電池ブロックでは、導電性部材200aによって列A,Bの全ての素電池の負極端子(接続仲介部材)が接続されている。また、導電性部材200aによって、列Xと列Yとで構成された第2の電池ブロックにおいて列X,Yの全ての素電池の正極端子が接続されている。即ち、導電性部材200aは列A,Bの全ての素電池の負極を並列接続しているとともに、列X,Yの全ての素電池の正極を並列接続しており、さらに列A,Bの全ての素電池の負極と列X,Yの全ての素電池の正極とを直列に接続している。なお、複数の導電性部材のうち、両端に配置された導電性部材は、一方の端の導電性部材が一方の端側の電池ブロックの正極端子を並列接続するのみであり、他方の端の導電性部材が他方の端側の電池ブロックの負極端子を並列接続するのみである。
【0040】
また、列Xと列Yとで構成された第2の電池ブロックに対しては、列X,Yの全ての素電池の正極端子が接続される導電性部材200aと、列X,Yの全ての素電池の負極端子が接続される導電性部材200bとの2つの導電性部材が配置されている。これはいずれの電池ブロックにおいても同様で、1つの電池ブロックに対して2つの導電性部材が配置されている。
【0041】
従って、
図8に示す電池モジュールは、24個(12本×2列)の素電池が並列に接続されて構成された電池ブロックが6個直列接続された構成となっている。そして、電池モジュールの両側端にそれぞれ配置される正極側集電部材および負極側集電部材には、電池モジュールの両側端にそれぞれ配置される一方端及び他方端の導電性部材がそれぞれ電気的に接続される。そのため、素電池の24並列6直列分の電力を電池モジュールの両側端のそれぞれに設けられる正極側外部端子接続部と負極側外部端子接続部とから出力することができる。
【0042】
本実施形態においては、穴を開けた絶縁板と金属箔からなる導電性部材との組み合わせにより各素電池からの集電を行うことができるので、構造が簡単であって製造コストを低くできる。また導電性部材は金属箔からなっているので、エッチング等で精度良く低コストで加工をすることができ、各素電池に接続されるヒューズ機能を有した部分の各々も、1つの電池モジュール内で破断電流量のバラツキを小さく抑えることができる。
【0043】
また、素電池の端子との接続と、集電とを1つの金属箔で行っているので、集電のロスを小さく抑えることができる。なお、素電池として18650を用い、導電性部材として厚み150μmのAl箔を用いると、連結部の幅を1mm、正極端子接続部の幅を3mm、隣接する導電性部材の穴間の最小寸法を8mmとすると、2A/セルの電流を流すことができる。
【0044】
また、接続仲介部材を各素電池に載置しているので、導電性部材と各素電池の負極端子との電気的な接続を確実に且つ低抵抗に行うことができる。
【0045】
さらに、素電池内に発生したガスは、素電池内の圧力が上昇して素電池の外部へ排出されると、その排出口は金属箔である導電性部材が塞いでいるだけなので、ガスは金属箔を破断して容易に排出され、素電池内の圧力が上がりすぎることはない。
【0046】
正極端子接続部及び負極端子接続部は、形成する位置、形状などを比較的自由に設計できるので、内部短絡が生じにくい設計とすることができ、安全性を高めることができる。
【0047】
正極端子接続部と正極端子、及び負極端子接続部と負極端子との接続は、正極端子接続部及び負極端子接続部が金属箔からなっているため、溶接等により比較的容易に且つ確実に行うことができて製造コストを低くできる。
【0048】
(実施形態2)
実施形態2は、実施形態1とは異なる形状の接続仲介部材を用いているが、素電池やそれ以外の部分は実施形態1と同じであるので、実施形態1とは異なる部分を以下に説明する。
【0049】
図9に実施形態2に係る接続仲介部材51を示す。本実施形態の接続仲介部材51は、実施形態1の接続仲介部材50に舌片部65を追加した構成となっている。舌片部65はタブ部60と同じ形状で、同じ方向へ延びているが、接続仲介部材51の本体部分に取り付けられている位置はタブ部60と異なっており、素電池の側面部分に電気的に接続されていない点もタブ部60とは異なっている点である。素電池10を電池モジュール100の配置に並べた際には、この舌片部65もタブ部60と同様に、互いに隣接する素電池同士が形成する隙間(空間)の配置されている。
【0050】
なお、舌片部65はタブ部60と異なる形状であってもよい。
【0051】
本実施形態においてはタブ部60と舌片部65との両方で素電池の側面部分を挟み込むため、接続仲介部材51を素電池10に載せただけで位置が固定され、タブ部60を素電池10の側面に電気的に接続させる場合においても接続仲介部材51の位置ずれが生じることがないため、取り扱いが容易で製造速度を上げることができ、製造コストの低減を図ることができる。また、本実施形態においても、実施形態1と同じ効果を奏する。
【0052】
(実施形態3)
実施形態3は、実施形態1とは異なる形状の接続仲介部材を用いているが、素電池やそれ以外の部分は実施形態1と同じであるので、実施形態1とは異なる部分を以下に説明する。
【0053】
図10に実施形態3に係る接続仲介部材52を示す。本実施形態の接続仲介部材52は、実施形態1の接続仲介部材50に2つの舌片部66,66を追加した構成となっている。舌片部66,66はタブ部60と同じ形状で、同じ方向へ延びているが、接続仲介部材52の本体部分に取り付けられている位置はそれぞれタブ部60と異なっており、素電池の側面部分に電気的に接続されていない点もタブ部60とは異なっている点である。素電池10を電池モジュール100の配置に並べた際には、この舌片部66,66もタブ部60と同様に、互いに隣接する素電池同士が形成する隙間(空間)の配置されている。
【0054】
なお、舌片部66はタブ部60と異なる形状であってもよい。
【0055】
本実施形態においてはタブ部60と2つの舌片部66,66との両方で素電池の側面部分を挟み込むため、接続仲介部材52を素電池10に載せただけで位置が固定され、タブ部60を素電池10の側面に電気的に接続させる場合においても接続仲介部材52の位置ずれが生じることがないため、舌片部65が1つである実施形態2よりもさらに取り扱いが容易で製造速度を上げることができ、製造コストの低減を図ることができる。また、本実施形態においても、実施形態1と同じ効果を奏する。
【0056】
(実施形態4)
実施形態4は、実施形態1とは異なる形状の接続仲介部材を用いているが、素電池やそれ以外の部分は実施形態1と同じであるので、実施形態1とは異なる部分を以下に説明する。
【0057】
図11に実施形態4に係る接続仲介部材53を示す。本実施形態の接続仲介部材53は、実施形態1の接続仲介部材50の外周縁全周から素電池10の側面に沿って筒状部が延びていて、さらにその先にタブ部60が延びている構成となっている。
【0058】
本実施形態においては筒状部を素電池10にかぶせるため、接続仲介部材53を素電池10に載せただけで位置が固定され、タブ部60を素電池10の側面に電気的に接続させる場合においても接続仲介部材53の位置ずれが生じることがないため、取り扱いが容易で製造速度を上げることができ、製造コストの低減を図ることができる。また、素電池10の内部短絡などにより素電池10の内部圧力が上昇して安全機構だけでは不十分であって、素電池側面の亀裂からガスが噴出する場合においては、素電池10の構造に起因して正極端子8と負極端子7aとが存している素電池10の円筒の一方側の端部(図では上側)側の筒状部に亀裂が発生することが多いが、この亀裂により隣接する素電池10が高温のガスにさらされることによる隣接の素電池10への類焼拡大をストップさせることに有効である。また、本実施形態においても、実施形態1と同じ効果を奏する。
【0059】
(その他の実施形態)
上述の実施形態は本願発明の例示であって、本願発明はこれらの例に限定されず、これらの例に周知技術や慣用技術、公知技術を組み合わせたり、一部置き換えたりしてもよい。また当業者であれば容易に思いつく改変発明も本願発明に含まれる。
【0060】
素電池は角筒形状であってもよいし、上端面の中央が負極で周縁が正極であっても構わない。
【0061】
接続仲介部材の構成材料は金属が好ましいが、導電性を有していれば特に限定されない。また、接続仲介部材のリング状部分の幅も、素電池に載置した際に安定し、正極端子と正極端子接続部との電気的な接続を行う場合の邪魔にならないとともに短絡のおそれがなく、負極端子接続部との接続を確実に行うことができれば、特に限定されない。
【0062】
タブ部の形状や大きさ・長さ等は上記の例に限定されず、素電池側面との確実な電気的接続および隣の素電池や隣の接続仲介部材と接触しないことが担保できればどのような形状、大きさ、長さであっても構わない。
【0063】
外方凸部の形状、大きさ、位置などは特に限定されない。外方凸部を設けて、そこで端子接続部との接続を行うことが好ましいが、外方凸部を設けなくても構わない。
【0064】
絶縁板と導電性部材とは接着剤等で固定することが好ましい。例えば、穴を開けた絶縁板に金属箔を貼り合わせて、その金属箔をエッチング等で加工することにより、導電性部材を形成する方法が製造コストや精度の点で好ましい。
【0065】
絶縁板の穴の形状は、正極端子と負極端子とが露出すればどのような形状であっても構わない。
【0066】
導電性部材の素材及び厚みは、電池モジュールの容量や充放電レートの設定などの設計値によって適宜設定すればよい。金属箔を用いてもよいし、金属板を用いてもよい。
【0067】
ヒューズの機能を担う部分は、正極側の端子接続部でも構わない。また、ヒューズ機能を発揮するために電流の流路断面積を所定の面積以下とするには、その所定の面積はそれぞれの電池モジュールによって異なるため、1列当たりの素電池の本数、電池ブロックを構成する列の数、導電部材の素材と厚みや面積、電池モジュールの充放電レートの設定などを考慮して所定の面積を設定すればよい。
【符号の説明】
【0068】
7a 負極端子
8 正極端子
10 素電池
20 電池ブロック
30 絶縁板(電気絶縁性の板)
31 穴
40,40’ 導電性部材
41 正極端子接続部
42 連結部分
43 負極端子接続部
50,51,52,53 接続仲介部材
60 タブ部
65,66 舌片部
68 外方凸部
70 保護部材
100 電池モジュール
200a,200b 導電性部材
A,B,X,Y 列