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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】硬貨収納装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/10 20190101AFI20221209BHJP
【FI】
G07D11/10
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018022740
(22)【出願日】2018-02-13
(65)【公開番号】P2019139537
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000177346
【氏名又は名称】三和ニューテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126712
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 督生
(72)【発明者】
【氏名】富永 貴久
(72)【発明者】
【氏名】中井 健博
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-202131(JP,A)
【文献】特開平06-243328(JP,A)
【文献】特開2001-351145(JP,A)
【文献】実公平02-029471(JP,Y2)
【文献】特開2011-086165(JP,A)
【文献】特開2015-108916(JP,A)
【文献】特開平05-166043(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/00 - 11/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の落下方向に投入される硬貨を収納する収納箱と、
投入される前記硬貨を、前記収納箱に入れる開口部と、
前記開口部に設けられ、投入される前記硬貨に接触可能なガイド機構と、
前記収納箱の幅方向および奥行き方向の少なくとも一方の方向に設けられる光検出機構と、
前記収納箱の硬貨の収納状態を判定する判定部と、を備え、
前記ガイド機構は、接触によって、前記硬貨の前記収納箱への移動方向を、前記落下方向から変化させ、
前記ガイド機構は、接触する前記硬貨を、前記収納箱内部に分散させ、
前記判定部は、前記光検出機構において、前記収納箱に収納される前記硬貨による光の遮蔽が所定条件である場合に、前記収納箱の硬貨の収納状態を満杯と判定し、
前記ガイド機構は、第1ガイド部材、第2ガイド部材、第3ガイド部材および第4ガイド部材を有し、
前記第1ガイド部材、前記第2ガイド部材、前記第3ガイド部材および前記第4ガイド部材のそれぞれは、前記開口部において突出しており、
前記収納箱は、幅方向と奥行き方向とを有し、
前記開口部は、前記奥行き方向の第1端部側であって前記幅方向に沿って設けられ、
前記第2ガイド部材、前記第3ガイド部材および前記第4ガイド部材は、前記開口部において、前記幅方向に沿って設けられ、
前記第1ガイド部材は、前記開口部において、前記奥行き方向に沿って設けられる、硬貨収納装置。
【請求項2】
前記硬貨は、複数の種類を有し、
前記開口部においては、前記硬貨の前記複数の種類によって到達する落下位置が相違し、
前記第1ガイド部材、前記第2ガイド部材、前記第3ガイド部材および前記第4ガイド部材のそれぞれは、前記硬貨の前記複数の種類に対応する落下位置に対応して設けられる、請求項1記載の硬貨収納装置。
【請求項3】
前記硬貨は、第1硬貨、第2硬貨、第3硬貨および第4硬貨の少なくとも一つの種類を有し、
前記第1ガイド部材は、前記第1硬貨に対応する第1落下位置に設けられ、
前記第2ガイド部材は、前記第2硬貨に対応する第2落下位置に設けられ、
前記第3ガイド部材は、前記第3硬貨に対応する第3落下位置に設けられ、
前記第4ガイド部材は、前記第4硬貨に対応する第4落下位置に設けられる、請求項2記載の硬貨収納装置。
【請求項4】
前記第1ガイド部材は、主として、前記第1落下位置に到達する前記第1硬貨に接触して、前記移動方向を前記落下方向から変化させ、
前記第2ガイド部材は、主として、前記第2落下位置に到達する前記第2硬貨に接触して、前記移動方向を前記落下方向から変化させ、
前記第3ガイド部材は、主として、前記第3落下位置に到達する前記第3硬貨に接触して、前記移動方向を前記落下方向から変化させ、
前記第4ガイド部材は、主として、前記第4落下位置に到達する前記第4硬貨に接触して、前記移動方向を前記落下方向から変化させる、請求項3記載の硬貨収納装置。
【請求項5】
前記第2ガイド部材、前記第3ガイド部材および前記第4ガイド部材は、前記第2硬貨、前記第3硬貨および前記第4硬貨を、前記開口部から前記収納箱の奥行き方向における前記第1端部側と逆側の第2端部側に導き、
前記第1ガイド部材は、前記第1硬貨を、前記幅方向における前記第1ガイド部材の逆側に導く、請求項4記載の硬貨収納装置。
【請求項6】
前記第4ガイド部材の突出長さは、前記第2ガイド部材および前記第3ガイド部材の突出長さよりも大きい、請求項1から5のいずれか記載の硬貨収納装置。
【請求項7】
前記第2ガイド部材~前記第4ガイド部材の少なくとも一つは、その先端が前記奥行き方向に傾く傾斜を有する、請求項1から6のいずれか記載の硬貨収納装置。
【請求項8】
前記第1ガイド部材~前記第4ガイド部材の少なくとも一つは、複数の突出部材を有する、請求項1から7のいずれか記載の硬貨収納装置。
【請求項9】
前記光検出機構は、前記収納箱の奥行き方向に沿って光を照射する単数または複数の照射部と、前記照射部からの光を受光する単数または複数の受光部を有し、
前記判定部は、前記照射部からの光を、対応する前記受光部が受光できない場合に、前記収納箱が満杯状態であると判定する、請求項1から8のいずれか記載の硬貨収納装置。
【請求項10】
前記光検出機構は、
前記収納箱の奥行き方向に沿って光を照射する第1照射部と、
前記第1照射部と異なる位置において、前記収納箱の奥行き方向に沿って光を照射する第2照射部と、
前記第1照射部からの光を受光可能な第1受光部と、
前記第2照射部からの光を受光可能な第2受光部と、
を、有し、
前記判定部は、前記第1照射部から前記第1受光部までの光および前記第2照射部から前記第2受光部までの光の少なくとも一方が遮蔽されている場合に、前記収納箱を満杯状態であるとして判定する、請求項9記載の硬貨収納装置。
【請求項11】
前記光検出機構は、
前記収納箱の奥行き方向に沿って光を照射する第1照射部と、
前記第1照射部と異なる位置において、前記収納箱の奥行き方向に沿って光を照射する第2照射部と、
前記第1照射部からの光を受光可能な第1受光部と、
前記第2照射部からの光を受光可能な第2受光部と、
を、有し、
前記判定部は、前記第1照射部から前記第1受光部までの光および前記第2照射部から前記第2受光部までの光の両方が遮蔽されている場合に、前記収納箱を満杯状態であるとして判定する、請求項記載の硬貨収納装置。
【請求項12】
前記光検出機構は、
前記収納箱の奥行き方向に沿って光を照射する第1照射部と、
前記第1照射部と異なる位置において、前記収納箱の奥行き方向に沿って光を照射する第2照射部と、
前記第1照射部からの光を受光可能な第1受光部と、
前記第2照射部からの光を受光可能な第2受光部と、
を、有し、
前記判定部は、前記第1照射部から前記第1受光部までの光および前記第2照射部から前記第2受光部までの光の少なくとも一方が、複数回以上において遮蔽される場合に、前記収納箱を満杯状態であるとして判定する、請求項9記載の硬貨収納装置。
【請求項13】
前記収納箱は、前記奥行き方向に沿って、前記開口部から逆側に向けて下がるように傾く傾斜を有する、請求項1から12のいずれか記載の硬貨収納装置。
【請求項14】
前記収納箱を振動させる振動付与部を更に備える、請求項1から13のいずれか記載の硬貨収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機などで用いられる投入された硬貨を回収する硬貨収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動販売機や自動貸出機などが、街中、商店内部、集合建造物内部などの様々な場所に設置されている。外国においても自動販売機や自動貸出機が設置されているが、治安や貨幣価値の安定性といった我が国特有の事情に基づき、我が国においては、非常に多数の自動販売機や自動貸出機が設けられている。
【0003】
自動販売機においては、多くの使用者が、紙幣や硬貨などの貨幣を投入して、要望する商品を購入する。また、必要に応じて、自動販売機から釣銭を受け取る。
【0004】
また、パチンコ機やスロットマシン機といった遊戯用機械が設置された遊技場も広く普及している。これらのパチンコ機やスロットマシン機が設置された遊技場では、遊戯者が遊戯に必要となるパチンコ玉やコインの貸し出しを受けるために自動貸出機が設置されている。このような自動貸出機には、遊戯者が硬貨や紙幣を投入して、遊戯に必要となるパチンコ玉やコインの貸し出しを受ける。
【0005】
もちろん、これらの自動販売機や自動貸出機は、プリペイドカードやICカードが用いられることもあるが、現金での使用も多い。このため、使用者や遊技者が、様々な場所で自動販売機や自動貸出機を利用している実態がある。
【0006】
このような自動販売機や自動貸出機においては、紙幣と合わせて硬貨が投入される。また、硬貨が釣銭として供出される必要もある。このため、自動販売機や自動貸出機は、投入された硬貨を回収する硬貨収納装置を備える必要がある。硬貨収納装置は、投入された硬貨を回収して保管する。
【0007】
また、硬貨収納装置からは、所定の場合において収納されている硬貨が回収される。例えば、一定期間ごとに、硬貨が回収される。あるいは、硬貨収納装置に硬貨が一定レベルで溜まったと判断される場合に、硬貨が回収される。この硬貨の回収は、硬貨収納装置そのものを自動販売機などから取り出して行われることもあるし、硬貨収納装置から硬貨を取り出して行われることもある。
【0008】
このようにして、投入された硬貨を収納しつつ、収納された硬貨の回収を可能とする硬貨収納装置が、自動販売機や自動貸出機などの機器において必要とされている。もちろん、これら以外の機器においても、必要となることがある。
【0009】
ここで、硬貨収納装置は、自動販売機や自動貸出機に格納されるので、上述した通り、一定レベル以上溜まったところで、収納している硬貨を回収させる必要がある。一定レベル以上、例えば満杯状態まで溜まってしまうと、次の使用者が硬貨を投入して購入等を行うことができなくなるからである。このため、満杯状態を判断できる硬貨収納装置についての技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2015-215723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1は、硬貨類収納装置1500は、投入された硬貨類を所定の方向に誘導する傾斜部を有する硬貨類誘導部1505と、硬貨類を収納可能な硬貨類収納筐体1501の内部に設けられ、上記硬貨類を載置可能な載置面を有する硬貨類載置部1502と、一端側が上記硬貨類載置部1502に当接し、他端側が上記硬貨類収納筐体1501に当接することにより、上記硬貨類載置部1502を弾性的に支持し、上記硬貨類収納筐体1501の底面から、上記硬貨類載置部1502に載置された上記硬貨類の頂点までの高さを所定の上限高さに維持可能な弾性定数を有する弾性部材1503と、上記硬貨類が載置された上記硬貨類載置部1502が、上記硬貨類収納筐体1501における所定の位置まで移動したことを検知可能な、収納状況検知部1504とを備える硬貨収納装置を開示する。
【0012】
特許文献1は、収納される硬貨の重みを弾性体が受けることで、満杯状態を判断する。
【0013】
しかしながら、特許文献1の硬貨収納装置は、重さのみで満杯状態を判断しているので、硬貨の種類によっては体積的には満杯でありながら、重量的には満杯でないなどの状態を、満杯ではないと判断してしまう問題もある。
【0014】
また、特許文献1の硬貨収納装置は、投入された硬貨をそのまま収納する。投入された硬貨がある経路で硬貨収納装置に入ってくる。このため、硬貨収納装置の一部の領域にのみ硬貨が溜まってしまい、分散させながら満杯とすることができない問題もある。結果として、満杯判断と収納能力とのアンバランスが生じうる。
【0015】
また、硬貨収納装置は、釣銭などとの関係で、1円玉、5円玉、10円玉などの硬貨の種類ごとに分散させつつ、それぞれをある程度収納する状態であることも好ましい。釣銭対応が必要だからである。特許文献1は、重量のみで満杯を判定しているので、ある種類の硬貨のみに偏って収納していても満杯ではないとして判断してしまい、収納状態の割に、釣銭対応が難しくなることもある。この状態でも満杯と判断されていなければ、硬貨収納装置からの回収が行われずに、釣銭対応ができないままとなってしまう問題もある。
【0016】
本発明は、これらの課題に鑑み、硬貨の種類ごとに分散させつつも、硬貨収納装置の収納部全体に広げて収納できる、硬貨収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題に鑑み、本発明の硬貨収納装置は、所定の落下方向に投入される硬貨を収納する収納箱と、
投入される硬貨を、収納箱に入れる開口部と、
開口部に設けられ、投入される硬貨に接触可能なガイド機構と、
収納箱の幅方向および奥行き方向の少なくとも一方の方向に設けられる光検出機構と、
収納箱の硬貨の収納状態を判定する判定部と、を備え、
ガイド機構は、接触によって、硬貨の収納箱への移動方向を、落下方向から変化させ、
ガイド機構は、接触する硬貨を、収納箱内部に分散させ、
判定部は、光検出機構において、収納箱に収納される硬貨による光の遮蔽が所定条件である場合に、収納箱の硬貨の収納状態を満杯と判定し、
前記ガイド機構は、第1ガイド部材、第2ガイド部材、第3ガイド部材および第4ガイド部材を有し、
前記第1ガイド部材、前記第2ガイド部材、前記第3ガイド部材および前記第4ガイド部材のそれぞれは、前記開口部において突出しており、
前記収納箱は、幅方向と奥行き方向とを有し、
前記開口部は、前記奥行き方向の第1端部側であって前記幅方向に沿って設けられ、
前記第2ガイド部材、前記第3ガイド部材および前記第4ガイド部材は、前記開口部において、前記幅方向に沿って設けられ、
前記第1ガイド部材は、前記開口部において、前記奥行き方向に沿って設けられる。

【発明の効果】
【0018】
本発明の硬貨収納装置は、収納箱の奥行きにまで硬貨の収納が分散するようにでき、収納箱の奥行き方向も有効活用して硬貨を収納できる。硬貨の収納が効率的になることで、収納箱の収納能力を発揮することができる。
【0019】
また、硬貨の種類ごとに、収納箱の幅方向に分散させることもでき、硬貨の種類ごとに一定量を収納した状態を作ることができる。また、投入後に硬貨の種類ごとに分散させられる自動販売機などの構造に合わせることができる。
【0020】
光センサーによって満杯状態を検出できるので、重量ではなく体積という収納箱の収納能力に適した満杯状態の検出ができる。このとき、可能な限り、体積的に収納されている状態によって満杯状態を検出できるように、収納箱において硬貨が分散して収納される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態1における硬貨収納装置の斜視図である。
図2】本発明の実施の形態1における硬貨収納装置の正面図である。
図3】本発明の実施の形態1における硬貨収納装置の斜視図である。
図4】本発明の実施の形態1における硬貨の移動方向の変化を示す硬貨収納装置の斜視図である。
図5】本発明の実施の形態1における硬貨が投入された後の、硬貨収納装置の内部を示す斜視図である。
図6】ガイド機構を有さない従来技術の硬貨収納装置に硬貨を投入した場合の結果を示す写真である。
図7】本発明の硬貨収納装置に硬貨を投入した場合の結果を示す写真である。
図8】本発明の実施の形態1における硬貨収納装置の斜視図である。
図9】本発明の実施の形態2におけるガイド機構4の一部の斜視図である。
図10】本発明の実施の形態3における硬貨収納装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の第1の発明に係る硬貨収納装置は、所定の落下方向に投入される硬貨を収納する収納箱と、
投入される硬貨を、収納箱に入れる開口部と、
開口部に設けられ、投入される硬貨に接触可能なガイド機構と、
収納箱の幅方向および奥行き方向の少なくとも一方の方向に設けられる光検出機構と、
収納箱の硬貨の収納状態を判定する判定部と、を備え、
ガイド機構は、接触によって、硬貨の収納箱への移動方向を、落下方向から変化させ、
ガイド機構は、接触する硬貨を、収納箱内部に分散させ、
判定部は、光検出機構において、収納箱に収納される硬貨による光の遮蔽が所定条件である場合に、収納箱の硬貨の収納状態を満杯と判定する。
【0023】
この構成により、自動販売機や自動支払機などに投入された硬貨を収納する際に、収納箱内部で硬貨をばらつかせることができる。結果として、適切に満杯状態を判定でき、収納効率を上げることができる。
【0024】
本発明の第2の発明に係る硬貨収納装置では、第1の発明に加えて、硬貨は、複数の種類を有し、
開口部においては、硬貨の複数の種類によって到達する落下位置が相違し、
ガイド機構は、開口部において、硬貨の複数の種類に対応する落下位置のそれぞれに、ガイド部材を有する。
【0025】
この構成により、投入される硬貨の種類に応じた分散ができる。特に、硬貨の種類を把握して収納させる自動販売機などに組み込まれる際に、最適に対応できる。
【0026】
本発明の第3の発明に係る硬貨収納装置では、第2の発明に加えて、ガイド機構は、第1ガイド部材、第2ガイド部材、第3ガイド部材および第4ガイド部材の少なくとも一つを有し、第1ガイド部材、第2ガイド部材、第3ガイド部材および第4ガイド部材のそれぞれは、開口部において突出している。
【0027】
この構成により、到達する硬貨への接触を確実にできる。また接触した硬貨を、落下位置から遠くに移動させることができる。
【0028】
本発明の第4の発明に係る硬貨収納装置では、第3の発明に加えて、硬貨は、第1硬貨、第2硬貨、第3硬貨および第4硬貨の少なくとも一つの種類を有し、
第1ガイド部材は、第1硬貨に対応する第1落下位置に設けられ、
第2ガイド部材は、第2硬貨に対応する第2落下位置に設けられ、
第3ガイド部材は、第3硬貨に対応する第3落下位置に設けられ、
第4ガイド部材は、第4硬貨に対応する第4落下位置に設けられる。
【0029】
この構成により、自動販売機などの仕様に対応して、硬貨の種類ごとに分散させる対応を行える。
【0030】
本発明の第5の発明に係る硬貨収納装置では、第4の発明に加えて、第1ガイド部材は、主として、第1落下位置に到達する第1硬貨に接触して、移動方向を落下方向から変化させ、
第2ガイド部材は、主として、第2落下位置に到達する第2硬貨に接触して、移動方向を落下方向から変化させ、
第3ガイド部材は、主として、第3落下位置に到達する第3硬貨に接触して、移動方向を落下方向から変化させ、
第4ガイド部材は、主として、第4落下位置に到達する第4硬貨に接触して、移動方向を落下方向から変化させる。
【0031】
この構成により、硬貨のそれぞれを開口部から遠ざけるように分散させて収納させることができる。結果として、硬貨のそれぞれを、全体としてばらつかせることができる。
【0032】
本発明の第6の発明に係る硬貨収納装置では、第3から第5のいずれかの発明に加えて、収納箱は、幅方向と奥行き方向とを有し、
開口部は、奥行き方向の第1端部側であって幅方向に沿って設けられ、
第2ガイド部材、第3ガイド部材および第4ガイド部材は、開口部において、幅方向に沿って設けられ、
第1ガイド部材は、開口部において、奥行き方向に沿って設けられる。
【0033】
この構成により、硬貨の種類ごとでの分散を更に進めることができる。
【0034】
本発明の第7の発明に係る硬貨収納装置では、第6の発明に加えて、第2ガイド部材、第3ガイド部材および第4ガイド部材は、第2硬貨、第3硬貨および第4硬貨を、開口部から収納箱の奥行き方向における第2端部側(第1端部側と逆側)に導き、
第1ガイド部材は、第1硬貨を、幅方向における第1ガイド部材の逆側に導く。
【0035】
この構成により、開口部に落下してくる硬貨を、開口部から遠い方に導いて、収納箱内部で硬貨を分散させることができる。
【0036】
本発明の第8の発明に係る硬貨収納装置では、第4から第7のいずれかの発明に加えて、第4ガイド部材の突出長さは、第2ガイド部材および第3ガイド部材の突出長さよりも大きい、
【0037】
この構成により、分散のさせ方を、よりバリエーションよくできる。
【0038】
本発明の第9の発明に係る硬貨収納装置では、第6から第8のいずれかの発明に加えて、第2ガイド部材~第4ガイド部材の少なくとも一つは、その先端が奥行き方向に傾く傾斜を有する。
【0039】
この構成により、接触した硬貨の奥行き方向への移動をより確実にできる。
【0040】
本発明の第10の発明に係る硬貨収納装置では、第4から第9のいずれかの発明に加えて、第1ガイド部材~第4ガイド部材の少なくとも一つは、複数の突出部材を有する。
【0041】
この構成により、硬貨との接触をより確実にできる。
【0042】
本発明の第11の発明に係る硬貨収納装置では、第1から第10のいずれかの発明に加えて、光検出機構は、収納箱の奥行き方向に沿って光を照射する単数または複数の照射部と、照射部からの光を受光する単数または複数の受光部を有し、
判定部は、照射部からの光を、対応する受光部が受光できない場合に、収納箱が満杯状態であると判定する。
【0043】
この構成により、硬貨の収納度合を反映して満杯状態を判定できる。ガイド機構による硬貨の分散とあいまって、より適切な状態での満杯判定ができる。
【0044】
本発明の第12の発明に係る硬貨収納装置では、第11の発明に加えて、光検出機構は、
収納箱の奥行き方向に沿って光を照射する第1照射部と、
第1照射部と異なる位置において、収納箱の奥行き方向に沿って光を照射する第2照射部と、
第1照射部からの光を受光可能な第1受光部と、
第2照射部からの光を受光可能な第2受光部と、
を、有し、
判定部は、第1照射部から第1受光部までの光および第2照射部から第2受光部までの光の少なくとも一方が遮蔽されている場合に、収納箱を満杯状態であるとして判定する。
【0045】
この構成により、精度の高い満杯判定ができる。
【0046】
本発明の第13の発明に係る硬貨収納装置では、第11の発明に加えて、判定部は、第1照射部から第1受光部までの光および第2照射部から第2受光部までの光の両方が遮蔽されている場合に、収納箱を満杯状態であるとして判定する。
【0047】
この構成により、より適切な状態での満杯判定ができる。
【0048】
本発明の第14の発明に係る硬貨収納装置では、第11の発明に加えて、判定部は、第1照射部から第1受光部までの光および第2照射部から第2受光部までの光の少なくとも一方が、複数回以上において遮蔽される場合に、収納箱を満杯状態であるとして判定する。
【0049】
この構成により、より適切な状態での満杯判定ができる。特に、早すぎる満杯判定を行うことが抑制される。
【0050】
本発明の第15の発明に係る硬貨収納装置では、第6から第14のいずれかの発明に加えて、収納箱は、奥行き方向に沿って、開口部から逆側に向けて下がるように傾く傾斜を有する。
【0051】
この構成により、収納箱に収納される硬貨のばらつきを、更に進めることができる。
【0052】
本発明の第16の発明に係る硬貨収納装置では、第1から第15のいずれかの発明に加えて、収納箱を振動させる振動付与部を更に備える。
【0053】
この構成により、収納箱の硬貨の分散を更に進めることができる。
【0054】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0055】
(実施の形態1)
【0056】
(全体概要)
硬貨収納装置の全体概要について説明する。図1は、本発明の実施の形態1における硬貨収納装置の斜視図である。図1は、硬貨収納装置1の外部を示しているが、その内部に硬貨の収納空間がある。また、硬貨収納装置1は、自動販売機や自動貸出機などに組み込まれて使用される。自動販売機や自動貸出機は、街中に設置されている商品の販売や貸し出しをするものであったり、ガソリンスタンドや洗車場などの支払い機などであったりする。あるいは、遊戯場に設置されている自動貸出機などであってもよい。
【0057】
自動販売機や自動貸出機が使用される際に、硬貨が投入されると、この投入された硬貨を収納するのが、この硬貨収納装置1である。
【0058】
硬貨収納装置1は、収納箱2、開口部3、ガイド機構4、光検出機構5、判定部6を備える。
【0059】
収納箱2は、硬貨収納装置1が、自動販売機や自動貸出機などに組み込まれる場合に、自動販売機や自動貸出機に投入された硬貨を、実際に収納する本体である。図1に示される状態では、収納箱2の内部が見えないが、収納箱2の内部は内部空間が形成されており、この内部空間に硬貨を収納できる。
【0060】
また、硬貨収納装置1は、自動販売機や自動貸出機に組み込まれる。このため、自動販売機などに投入された硬貨が、組み込まれている硬貨収納装置1に落下してくる。収納箱2は、落下してくる硬貨を収納する。すなわち、所定の落下方向に向けて投入される硬貨(言い換えれば、投入されて所定の落下方向に落下してくる硬貨)を、収納する。
【0061】
開口部3は、収納箱2の外側の一部が開いている部分である。図1では、周辺との色味の差が少ないことで塞がっているように見えるが、開口部3は、外側の板材が開いていて、収納箱2の内部空間に繋がっている状態である。
【0062】
開口部3は、投入される硬貨を、収納箱2の内部空間に入れる。このとき、開口部3は、硬貨の落下方向に合わせて開口している。このため、投入されて落下してくる硬貨が、開口部3から収納箱2の内部に入る。
【0063】
ガイド機構4は、開口部3に設けられる。ガイド機構4は、投入される硬貨に接触可能である。ガイド機構4は、投入されて落下してくる硬貨に接触する。このとき、ガイド機構4は、開口部3に設けられているので、開口部3に到達した硬貨に接触可能である。すなわち、開口部3に到達して、収納箱2の内部空間に到達するまでの間に、ガイド機構4は、硬貨に接触可能である。
【0064】
ガイド機構4が硬貨に接触することで、ガイド機構4は、硬貨が内部空間に入る前後での移動方向を変化させる。すなわち、落下方向と内部空間に入る際の移動方向とを変化させる。この変化によって、ガイド機構4は、接触する硬貨を、収納箱2内部に分散させる。
【0065】
光検出機構5は、収納箱2の幅方向および奥行き方向の少なくとも一方に設けられる。光検出機構5は、光の照射と受光を利用して、収納箱2内部での硬貨の収納状態を検出できる。
【0066】
判定部6は、光検出機構5と連動している。なお、図1では、判定部6が、収納箱2の外側にブロックとして示されているが、収納箱2の一部に一体に設けられてもよいし、外側に設けられる要素であってもよい。判定部6は、光検出機構5と連動して、判定を行う要素なので、プロセッサとこれの上で動作するソフトウェアプログラムで構成されてもよい。この場合には、硬貨収納装置1と電気的に接続する外部の既存要素(制御部やプロセッサ部など)において、この判定部6が実現されてもよい。
【0067】
判定部6は、光検出機構5において、収納箱2内部に収納される硬貨による光の遮蔽が、所定条件である場合に、収納箱2の硬貨の収納状態を満杯として判定する。すなわち、収納箱2内部に、多くの硬貨が収納されて光検出機構5における光の照射と受光における光の遮蔽が、所定条件である場合には、収納箱2内部に十分な量の硬貨が溜まっていると判定する。これにより、満杯として判定する。
【0068】
ここで、ガイド機構4が、落下してくる硬貨の移動方向を変化させることで、硬貨は、収納箱2内部に入る際に、分散しやすくなる。この分散によって、硬貨は収納箱2内部に万遍なく収納されやすくなる。この結果、収納箱2において開口部3付近のみに硬貨が溜まってしまうだけで満杯として判定される問題が解消される。
【0069】
もちろん、光検出機構5と判定部6とによって、収納箱2内部での硬貨の溜まり具合に基づいて、満杯状態が判定されるので、満杯を過ぎた状態まで硬貨が収納される問題も生じにくい。
【0070】
これらが相対的に相まって、収納箱2の収納効率を高めることができる。収納効率が高まれば、硬貨収納装置1の交換作業などの頻度と手間を下げることができ、自動販売機などの稼働効率を上げることもできる。
【0071】
図2は、本発明の実施の形態1における硬貨収納装置の正面図である。図1と同じ硬貨収納装置1を正面から示した図である。
【0072】
図2のように、自動販売機などに投入された硬貨が、所定の落下方向で硬貨収納装置1に落下してくる。図2の矢印Aは、この落下方向を示している。硬貨収納装置1は、自動販売機などに組み込まれる。自動販売機などには硬貨を投入する部分が備わり、投入部分から硬貨収納装置1まで、この硬貨が誘導される。例えば誘導路が備わっている。
【0073】
この誘導路に誘導されて落下してくる硬貨100が硬貨収納装置1に到達する。この誘導路での誘導方向が、矢印Aの落下方向である。なお、落下とあるが、誘導と同等の意味である。
【0074】
硬貨収納装置1に備わる収納箱2には、投入された硬貨100が、図2のような矢印Aの落下方向で到達する。図1で説明したガイド機構4は、この落下してくる硬貨100に接触可能であり、接触によって矢印Aの落下方向を変化させる。収納箱2の奥行き方向や幅方向などに向けた方向に変化させる。
【0075】
硬貨100は、複数の種類を有する。様々な国においては、複数の種類の硬貨が使われており、自動販売機(自動支払機、自動貸出機、自動精算機なども含む)なども、複数の種類の硬貨に対応する必要があるからである。日本においても、硬貨として1円玉、5円玉、10円玉、50円玉、100円玉、500円玉の種類がある。
【0076】
図2においては、自動販売機などで使用されることの多い、10円玉104、50円玉103、100円玉102、500円玉101が示されている。これら複数種類の硬貨100が硬貨収納装置1に落下して到達する。なお、硬貨収納装置1に落下するまでの過程では、通常は複数の種類の硬貨100のそれぞれは、同じ落下方向である。
【0077】
ここで、硬貨収納装置1は、自動販売機や自動精算機などに組み込まれている場合には、自動販売機などの誘導路の構成によって、複数の種類の硬貨100によって、落下位置が異なる。すなわち、複数の種類の硬貨100のそれぞれは、落下して開口部3に到達する。このとき、開口部3において到達する落下位置が、硬貨100の種類ごとに異なる。
【0078】
図2では、500円玉101、100円玉102、50円玉103、10円玉104のそれぞれの落下位置が異なっている状態を示している。500円玉101は、落下位置11に到達する。100円玉102は、落下位置12に到達する。50円玉103は、落下位置13に到達する。10円玉104は、落下位置14に到達する。
【0079】
(ガイド部材による方向変化)
ここで、ガイド機構4は、開口部3に備わる。ガイド機構4は、硬貨100の種類のそれぞれの落下位置11~14に対応する位置において、ガイド部材を有する。
【0080】
図3は、本発明の実施の形態1における硬貨収納装置の斜視図である。硬貨収納装置1の内部を透視状態として示している。
【0081】
ガイド機構4は、複数のガイド部材41~44を有している。第1ガイド部材41、第2ガイド部材42、第3ガイド部材43および第4ガイド部材44の少なくとも一つを有している。
【0082】
これらの第1ガイド部材41~第4ガイド部材44は、開口部3において突出している部材である。
【0083】
第1ガイド部材41は、落下位置11に対応する位置に設けられ、500円玉101に接触可能である。第2ガイド部材42は、落下位置12に対応する位置に設けられ、100円玉102に接触可能である。第3ガイド部材43は、落下位置13に対応する位置に設けられ、50円玉103に接触可能である。第4ガイド部材44は、落下位置14に対応する位置に設けられ、10円玉104に接触可能である。
【0084】
なお、落下位置とガイド部材との位置関係は、上述の通りでなく入れ替わってもよいし、硬貨100のいずれの種類が、どのガイド部材に接触するか、どの落下位置に落下してくるかも、上述は一例であり、入れ替わってもよい。説明のための例示である。
【0085】
すなわち、第1落下位置11に第1ガイド部材41が設けられる。第1ガイド部材41は、硬貨100の種類の一つである第1硬貨と主として接触可能である。このとき、第1落下位置11に第1硬貨が到達するので、この到達によって、第1ガイド部材41は、第1硬貨と接触可能である。
【0086】
第1ガイド部材41は、第1落下位置11に到達する第1硬貨と主として接触して、第1硬貨の移動方向を落下方向から変化させる。すなわち図2の矢印Aで示される落下方向から、収納箱2の内部の平面方向に向いた移動方向に変化させる。図3に示す矢印X(収納箱2の幅方向)に向けた移動方向に、変化させる。この変化によって、第1ガイド部材41に接触した第1硬貨は、矢印Xの方向に向けて、収納箱2の中に納まっていく。
【0087】
第2落下位置12に第2ガイド部材42が設けられる。第2ガイド部材42は、硬貨100の種類の一つである第2硬貨と主として接触可能である。このとき、第2落下位置12に第2硬貨が到達するので、この到達によって、第2ガイド部材42は、第2硬貨と接触可能である。
【0088】
第2ガイド部材42は、第2落下位置12に到達する第2硬貨と主として接触して、第2硬貨の移動方向を落下方向から変化させる。すなわち図2の矢印Aで示される落下方向から、収納箱2の内部の平面方向に向いた移動方向に変化させる。図3に示す矢印Y(収納箱2の奥行き方向)に向けた移動方向に、変化させる。この変化によって、第2ガイド部材42に接触した第2硬貨は、矢印Y(収納箱2の奥行き)の方向に向けて、収納箱2の中に納まっていく。
【0089】
第3落下位置13に第3ガイド部材43が設けられる。第3ガイド部材43は、硬貨100の種類の一つである第3硬貨と主として接触可能である。このとき、第3落下位置13に第3硬貨が到達するので、この到達によって、第3ガイド部材43は、第3硬貨と接触可能である。
【0090】
第3ガイド部材43は、第3落下位置13に到達する第3硬貨と主として接触して、第3硬貨の移動方向を落下方向から変化させる。すなわち図2の矢印Aで示される落下方向から、収納箱2の内部の平面方向に向いた移動方向に変化させる。図3に示す矢印Y(収納箱2の奥行き方向)に向けた移動方向に、変化させる。この変化によって、第3ガイド部材43に接触した第3硬貨は、矢印Y(収納箱2の奥行き)の方向に向けて、収納箱2の中に納まっていく。
【0091】
第4落下位置14に第4ガイド部材44が設けられる。第4ガイド部材44は、硬貨100の種類の一つである第4硬貨と主として接触可能である。このとき、第4落下位置14に第4硬貨が到達するので、この到達によって、第4ガイド部材44は、第4硬貨と接触可能である。
【0092】
第4ガイド部材44は、第4落下位置14に到達する第4硬貨と主として接触して、第4硬貨の移動方向を落下方向から変化させる。すなわち図2の矢印Aで示される落下方向から、収納箱2の内部の平面方向に向いた移動方向に変化させる。図3に示す矢印Y(収納箱2の奥行き方向)に向けた移動方向に、変化させる。この変化によって、第4ガイド部材44に接触した第4硬貨は、矢印Y(収納箱2の奥行き)の方向に向けて、収納箱2の中に納まっていく。
【0093】
なお、落下位置は、誘導路などを通じて誘導されてくる硬貨の開口部3に対する位置であり、誘導されてくる位置でもあり開口部3に投入される位置でもある。物理的に落下して開口部3に入ることだけに限定する意図ではない。開口部3への到達位置であると考えればよい。
【0094】
図4は、本発明の実施の形態1における硬貨の移動方向の変化を示す硬貨収納装置の斜視図である。図4は、図3と同様に、内部を透視状態で示している。図1~3と重複する要素については、符号を省略している。
【0095】
硬貨100は、矢印Aの落下方向によって第4落下位置14に到達する。第4落下位置14には、第4ガイド部材44が備わっている。硬貨100は、この第4ガイド部材44に接触する。第4ガイド部材44は、開口部3における突出した部材である。
【0096】
このため、接触した硬貨100は、その落下方向から変化する移動方向になる。開口部3において第4ガイド部材44は、収納箱2の奥行き方向(矢印Y)に向けて突出している。このため、接触した硬貨100は、収納箱2の奥行き方向に向けた移動方向に変化する。図4の矢印Bは、この変化後の移動方向を示している。
【0097】
このようにして、硬貨100は、第4ガイド部材44に接触して、収納箱2の奥行き方向に向けて分散されるようになる。第4ガイド部材44が無ければ、第4落下位置14に硬貨100が溜まっていくばかりとなって、光検出機構5での光の遮蔽がすぐに生じてしまう。この結果、すぐに満杯判定されてしまう。
【0098】
これに対して、図4のように第4ガイド部材44によって奥行き方向に導かれることで、硬貨100は、収納箱2の奥行き方向に分散されて収納されやすくなる。これらの結果、収納箱2の収納効率が高まる。
【0099】
他のガイド部材も同様の機能を発揮する。
【0100】
なお、上述のように、第1ガイド部材41は、収納箱2の幅方向(矢印X方向)に向けて、硬貨100を導く。
【0101】
収納箱2は、幅方向(矢印X)と奥行き方向(矢印Y)を有する。開口部3は、この奥行き方向における第1端部側に設けられる。図3図4は、収納箱2の奥行き方向での一方の端部である第1端部側に、開口部3が設けられている状態が示されている。
【0102】
ここで、図3図4に示されるように、第2ガイド部材42~第4ガイド部材44は、開口部3において幅方向に沿って設けられる。一方、第1ガイド部材41は、開口部3において奥行き方向に沿って設けられる。このように、幅方向に沿って設けられるガイド部材と、奥行き方向に沿って設けられるガイド部材とに分けることで、収納箱2内部での、硬貨100を、より分散させやすくできる。
【0103】
もちろん、第1ガイド部材41~第4ガイド部材44の位置は、一例であり、これ以外の位置に配置されてもよい。第1ガイド部材41~第4ガイド部材44の全てが備わっていなくてもよいし、更に第5ガイド部材などが沿なっていてもよい。
【0104】
このような構造により、第2ガイド部材42は、第2硬貨を、収納箱2の奥行き方向に導いて分散する。第3ガイド部材43は、第3硬貨を、収納箱2の奥行き方向に導いて分散する。第4ガイド部材44は、第4硬貨を、収納箱2の奥行き方向に導いて分散する。第1ガイド部材41は、第1硬貨を、収納箱2の幅方向に導いて分散する。
【0105】
これらがそれぞれあいまって、開口部3に到達する硬貨100は、収納箱2内部で分散して収納されやすくなる。
【0106】
また、硬貨100の落下状況によって、ガイド部材に接触できない場合もあり得る。また、他の種類の硬貨が接触する可能性もあり得る。この点で、第1ガイド部材41~第4ガイド部材44のそれぞれには、主として対応する硬貨が接触可能である。
【0107】
図5は、本発明の実施の形態1における硬貨が投入された後の、硬貨収納装置の内部を示す斜視図である。収納箱2の内部に硬貨100がある程度収納されている状態を示している。
【0108】
図5に示されるように、ガイド機構4(第1ガイド部材41~第4ガイド部材44)の機能によって、硬貨100が分散されてばらついた状態となっている。このようなばらつきが実現できることで、収納箱2での収納効率が高まる。
【0109】
(発明者による確認実験)
発明者は、実施の形態1で説明した硬貨収納装置1を試作して、実際に実験を行って確認した。図6は、ガイド機構を有さない従来技術の硬貨収納装置に硬貨を投入した場合の結果を示す写真である。図7は、本発明の硬貨収納装置に硬貨を投入した場合の結果を示す写真である。
【0110】
図6図7のそれぞれにおいて、左側は、500円玉から10円玉にかけて、50枚ずつ投入した後の収納箱内部を示す写真である。図6図7のそれぞれにおいて、右側は、100円玉から500円玉にかけて、50枚ずつ投入した後の、収納箱内部を示す写真である。
【0111】
図6においては、投入された硬貨は、落下位置に集中している。加えて、最初に投入した種類の硬貨は下にあり、最後に投入した種類の硬貨は上にあり、平面方向でも垂直方向でも、分散されていない。
【0112】
これに対して、図7においては、投入順序に係らず、それぞれの硬貨がある程度分散されている。分散状態が出来上がっていることで、収納箱における硬貨のばらつきが生じ、収納効率が高まる。分散していれば、光検出機構5による、早すぎる満杯判定が生じにくくなり、硬貨収納装置1の交換頻度を低減できる。
【0113】
このように、ガイド機構4が備わっており、これらが第1ガイド部材41などの硬貨の種類に応じた部材を備えることで、図7のように、硬貨を収納箱2内部で分散させてばらつきやすくできることを、実験でも確認できた。
【0114】
(満杯判定)
硬貨収納装置1は、上述した通り、光検出機構5と判定部6とを備える。図8においては、光検出機構5についての構成が示されている。図8は、本発明の実施の形態1における硬貨収納装置の斜視図である。光検出機構5の態様が分かるように透視状態で示している。
【0115】
光検出機構5は、単数または複数の照射部51と、単数または複数の受光部52を備える。照射部51は、収納箱2の幅方向および奥行き方向の少なくとも一方に向けて光を照射する。図8では、奥行き方向に向けて、光を照射している。
【0116】
また、受光部52は、照射部51からの光を受光する。図8では、複数の照射部51とこれのそれぞれに対応する複数の受光部52が示されている。照射部51と受光部52のそれぞれは、対応して光の照射と受光を行う。図8の照射部51から受光部52までの矢印は、この光の照射と受光経路を示す。
【0117】
照射部51から照射された光は、遮蔽物が無ければ受光部52において受光される。判定部6は、受光部52が問題なく受光できていれば、収納箱2は満杯ではないとして判定する。
【0118】
一方で、収納箱2内部に硬貨100が溜まってくると、照射部51から受光部52までの照射経路を、硬貨100が塞ぐことがある。硬貨100が照射経路を塞ぐと、受光部52は、照射部51からの光を受光できない。
【0119】
判定部6は、照射部51からの光を対応する受光部52が受光できない場合、収納箱2が満杯であると判定する。このとき、受光部52が受光できない場合については、バリエーションがあってよい。
【0120】
(バリエーション1)
判定部6は、照射部51からの光を受光部52が受光できているかを、時間間隔を置いて複数回確認する。この複数回の確認において、所定回数以上において、受光ができていない場合には、満杯状態であるとして判定してもよい。あるいは、連続して所定回数以上において、受光ができていない場合には、満杯状態であるとして判定してもよい。
【0121】
(バリエーション2)
図8のように、複数の照射部51と複数の受光部52とが備わる場合がある。複数の照射部51の一つを第1照射部とし、もう一つを第2照射部とする。第1照射部と第2照射部は異なる位置に設けられている。第1照射部の照射する光を受光するのが第1受光部であり、第2照射部の照射する光を受光するのが第2受光部であるとする。第1受光部と第2受光部も、異なる位置に設けられている。
【0122】
第1照射部は、第1受光部に向けて光を照射する。第2照射部は、第2受光部に向けて光を照射する。第1照射部から第1受光部までの光の照射経路が硬貨100で塞がれると、第1受光部は、第1照射部からの光を受光できない。第2照射部から第2受光部までの光の照射経路が硬貨100で塞がれると、第2受光部は、第2照射部からの光を受光できない。
【0123】
判定部6は、第1照射部から第1受光部までの光および第2照射部から第2受光部までの光の少なくとも一方が遮蔽されている場合に、収納箱2を満杯状態として判定してもよい。
【0124】
あるいは、判定部6は、第1照射部から第1受光部までの光および第2照射部から第2受光部までの光の両方が遮蔽されている場合に、収納箱2を満杯状態として判定してもよい。
【0125】
このように、複数の照射部と受光部のセットが備わる場合に、これらのいずれか、あるいは複数、あるいは全部が遮蔽状態の場合に、判定部6が、満杯状態を判定してもよい。
【0126】
(バリエーション3)
また、判定部6は、第1照射部から第1受光部までの光および第2照射部から第2受光部までの光の少なくとも一方が、複数回以上において遮蔽される場合に、収納箱2を満杯状態として判定してもよい。
【0127】
このように、光検出機構5と判定部6とが、様々なバリエーションで満杯状態を判定することで、適切に満杯を判断できる。特に、硬貨100をばらつかせるガイド機構4の機能とあいまって、収納効率が高い状態で、適切なタイミングで満杯を判定できる。早すぎたり遅すぎたりすることが防止されて、自動販売機などに組み込まれた硬貨収納装置1の回収や交換時期を、最適化できる。結果として、自動販売機などの運営コストを低減でき、ユーザーの利便性も高まる。
【0128】
(実施の形態2)
【0129】
次に、実施の形態2について説明する。
【0130】
(ガイド機構のバリエーション)
図9は、本発明の実施の形態2におけるガイド機構4の一部の斜視図である。図9に示されるガイド機構4は、第2ガイド部材42、第3ガイド部材43、第4ガイド部材44を備えている。第2ガイド部材42~第4ガイド部材44は、開口部3において突出する形態を有している。
【0131】
ここで、図9に示されるように、第2ガイド部材42~第4ガイド部材44の少なくとも一つは、複数の突出部材400を有することも好適である。図9では、第4ガイド部材44が、複数の突出部材400を備えている状態を示している。同様に、図9では、第2ガイド部材42、第3ガイド部材43のそれぞれが、複数の突出部材400を備えている。
【0132】
もちろん、一部のガイド部材のみが複数の突出部材400を備える構成でもよい。
【0133】
ガイド部材が、複数の突出部材400を備える構成を有することで、接触する硬貨100の方向変化をより幅広くできる。この結果、硬貨100を収納箱2内部でばらつかせることがより容易となる。
【0134】
また、第4ガイド部材44の突出長さは、第2ガイド部材42および第3ガイド部材43の突出長さよりも大きいことも好適である。図9は、この状態を示している。このように突出長さが異なることで、落下してくる硬貨100のばらつきを、硬貨の種類ごとに変えることができるからである。結果として、収納箱2の平面方向での硬貨100のばらつきがより大きくなり、収納効率が上がる。
【0135】
また、第2ガイド部材42~第4ガイド部材44の少なくとも一つは、先端が、奥行き方向に傾く傾斜を有していてもよい。図9は、これを示している。このような傾斜があることで、落下してくる硬貨100の方向変化にバリエーションを付けることもできる。あるいは、落下して収納箱2に収まる硬貨100の衝撃を低減することもできる。
【0136】
これらの結果、収納箱2の収納効率を上げることができる。
【0137】
このように、実施の形態2の硬貨収納装置1は、ガイド機構4の様々なバリエーションによって、硬貨100の収納効率の向上を実現できる。
【0138】
(実施の形態3)
【0139】
次に、実施の形態3について説明する。実施の形態3においては、その他の工夫などについて説明する。
【0140】
(収納箱の傾斜)
収納箱2は、開口部3から奥行き方向に向けて下がるように傾く傾斜を有することも好適である。すなわち、収納箱2の底面が傾斜を有している。この傾斜が、開口部3から奥行き方向に向けて傾いていることも好適である。
【0141】
実施の形態1、2で説明したように、開口部3から硬貨100が入る。このとき、収納箱2の底面が奥行き方向に下がるように傾いていることで、硬貨100が開口部3に集中しやすくなるのを低減できる。結果として、硬貨100が、収納箱2内部でばらつきやすくなることを高めることができる。
【0142】
傾斜は、実施の形態1,2で説明したようにガイド部材4による分散とあいまって、開口部3から入ってくる硬貨100を、収納箱2内部でばらつかせることができる。結果的に、収納箱2の収納効率を更に高めることができる。
【0143】
(振動の付与)
図10は、本発明の実施の形態3における硬貨収納装置のブロック図である。図10の硬貨収納装置1は、振動付与部8を更に備える。振動付与部8は、収納箱2を振動させる。一定間隔毎に、適当な時間間隔で、あるいは指示信号を受けたときに、振動付与部3は収納箱2を振動させればよい。あるいは、硬貨100が投入されたタイミングで振動させてもよいし、常時振動させてもよい。
【0144】
振動付与部8は、振動機構を有することで、収納箱2を振動させることができる。例えば、汎用のバイブレーション機構を有しており、これの振動を収納箱2に伝えればよい。
【0145】
収納箱2は、この振動を受けることで収納している硬貨100をばらつかせることができる。例えば、重なっている硬貨100同士を分離させたり、重複している際に生じる無駄な空間を少なくしたりすることもできる。平面方向でのばらつきをさらに進めることもできる。
【0146】
振動付与部8が備わっていることで、ガイド機構4でばらついて収納箱2に収納された硬貨100を、更にばらつかせて分散させることができる。この結果、収納箱2の収納効率を更に高めることができる。
【0147】
以上のように、実施の形態3における硬貨収納装置1は、収納箱2の収納効率を更に高めることができる。最適な状態で満杯として判定できるようになることで、硬貨収納装置1の交換や回収のコストを低減することができる。
【0148】
なお、実施の形態1~3で説明した硬貨収納装置は、一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲を排除するものではない。
【符号の説明】
【0149】
1 硬貨収納装置
2 収納箱
3 開口部
4 ガイド機構
41 第1ガイド部材
42 第2ガイド部材
43 第3ガイド部材
44 第4ガイド部材
5 光検出機構
6 判定部
8 振動付与部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10