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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】愛玩動物用遊具
(51)【国際特許分類】
   A01K 15/02 20060101AFI20221209BHJP
【FI】
A01K15/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019014103
(22)【出願日】2019-01-30
(65)【公開番号】P2020120600
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-08-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ドギーマンハヤシ株式会社が、ドギーマンハヤシ株式会社本社において、第8回ドギーマンハヤシ株式会社2019年度商談会(平成30年12月12~14日)にて、商品説明を行った。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ドギーマンハヤシ株式会社が、ドギーマンハヤシ株式会社東京営業本部において、第8回ドギーマンハヤシ株式会社2019年度商談会(平成31年1月16~18日)にて、商品説明を行った。
(73)【特許権者】
【識別番号】000111638
【氏名又は名称】ドギーマンハヤシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001885
【氏名又は名称】弁理士法人IPRコンサルタント
(72)【発明者】
【氏名】沖 政志
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3188171(JP,U)
【文献】特開2016-192934(JP,A)
【文献】特開2011-229821(JP,A)
【文献】特開2013-130207(JP,A)
【文献】特開2000-253771(JP,A)
【文献】特開2011-103797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮自在な支柱体と、
第一係止部を有する踏板と、
第二係止部を有し、前記支柱体を把持する支柱体把持部と、
を具備し、
前記第一係止部と前記第二係止部とが、互いに前記支柱体の軸方向と略同方向にスライドさせることにより係止可能であり、
前記第二係止部が、前記軸方向の下方から上方に向かって登る略階段状に形成された突状片で構成されており、
前記支柱体把持部によって前記支柱体を把持しつつ、前記踏板を前記支柱体に固定可能であること、
を特徴とする愛玩動物用遊具。
【請求項2】
前記支柱体把持部が、第一部品と第二部品を具備し、
前記第一部品及び前記第二部品が、前記支柱体を挟んで把持しつつ、前記第二係止部を構成すること、
を特徴とする請求項1に記載の愛玩動物用遊具。
【請求項3】
前記支柱体把持部が、前記支柱体と当接する面の少なくとも一部に滑り止め部を具備すること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の愛玩動物用遊具。
【請求項4】
前記支柱体把持部が、前記第一部品と前記第二部品の一部を連結又は係合して構成されるヒンジ部を具備し、
前記第一部品と前記第二部品が前記ヒンジ部を軸にして前記支柱体を挟むこと、
を特徴とする請求項2に記載の愛玩動物用遊具。
【請求項5】
前記支柱体が、
軸棒と、
前記軸棒の一方の端部と螺子嵌合する上方当接部と、
前記軸棒の他方の端部と回転不能に嵌合する下方当接部と、
を具備して構成されること、
を特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の愛玩動物用遊具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、愛玩動物が昇降して遊戯可能な愛玩動物用遊具に関する。
【背景技術】
【0002】
木を昇降する習性を持った猫等の愛玩動物は、当該習性から飼育環境内においても種々の段差を昇降する遊戯を好む。しかし、愛玩動物の室内飼育が一般的となった現代では、昇降可能な場所が少なく、また壁や家具等を爪で傷つけてしまう等の問題が発生するため、専用の昇降場所を提供する飼育者も少なくない。従来では、例えば特許文献1(特開2002-315465号公報)に開示されるような猫用の遊戯装置が提供されており、より簡便に室内でも愛玩動物に昇降遊戯をさせることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-315465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の猫用の遊戯装置では、全てのポール部材と棚板を螺子嵌合で固定する必要があり、簡便に組み立てて設置することができない問題があった。また、固定構造が採用されているため、状況に応じて簡便に棚板の配置を変更することができず、設置位置の移動や片付け等を行うことも難しく、取扱性が良いとは言えなかった。
【0005】
即ち、特許文献1に開示された猫用の遊戯装置に着目すると、全体の剛性向上を目的に各ポール部材と棚板とを直接的に螺子嵌合で接続する態様が採用されているため、設置後の変更が考慮されていないのは明白である。飼育の時間経過や状況に応じて愛玩動物の身体サイズが変化することは当然であるし、設置した室内の使用状況に応じて都度移動や片付けを要することは明らかであるから、これら問題に対応するためには未だ改善の余地があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記問題に鑑みてなされたものであり、使用する愛玩動物の身体サイズ等に対応して容易に構造変更可能で、設置及び片付け等の取扱性に優れる愛玩動物用遊具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決すべく、本発明は、
伸縮自在な支柱体と、
第一係止部を有する踏板と、
第二係止部を有し、前記支柱体を把持する支柱体把持部と、
を具備し、
前記第一係止部と前記第二係止部とが、互いに前記支柱体の軸方向と略同方向にスライドさせることにより係止可能であり、
前記支柱体把持部によって前記支柱体を把持しつつ、前記踏板を前記支柱体に固定可能であること、
を特徴とする愛玩動物用遊具を提供する。
【0008】
また、上記の本発明の愛玩動物用遊具においては、前記支柱体把持部が、第一部品と第二部品を具備し、前記第一部品及び前記第二部品が前記支柱体を挟んで把持しつつ、前記第二係止部を構成することが望ましい。
【0009】
このような構成を有する本発明の愛玩動物用遊具では、天井面と床面の間で設置した支柱体に対して簡便に着脱可能な支柱体把持部を介して踏板を固定するため、支柱体に対する踏板の着脱及び位置調整を容易に行うことができる。また、使用する愛玩動物の身体サイズ等に対応して容易に構造変更可能であり、設置及び片付け等の取扱性にも優れる。
【0010】
また、上記の本発明の愛玩動物用遊具においては、前記支柱体把持部が、前記支柱体と当接する面の少なくとも一部に滑り止め部を具備することが望ましい。
【0011】
このような構成を有する本発明の愛玩動物用遊具では、支柱体と当接する面に滑り止め部を配設することによって、設置時における支柱体と支柱体把持部との位置ズレを防止することができる。
【0012】
また、上記の本発明の愛玩動物用遊具においては、前記支柱体把持部が、前記第一部品と前記第二部品の一部を連結又は係合して構成されるヒンジ部を具備し、前記第一部品と前記第二部品が前記ヒンジ部を軸にして前記支柱体を挟むことが望ましい。
【0013】
このような構成を有する本発明の愛玩動物用遊具では、第一部品と第二部品の回転軌道を定めることができ、双方を簡便に位置決めして支柱体把持部を構成することができる。また、同様に第一部品と第二部品の嵌合位置にズレが発生しないため、貫通孔及び第二係止部を適切な形状に構成することができる。
【0014】
また、上記の本発明の愛玩動物用遊具においては、更に、
前記支柱体が、
軸棒と、
前記軸棒の一方の端部と螺子嵌合する上方当接部と、
前記軸棒の他方の端部と回転不能に嵌合する下方当接部と、
を具備して構成されることが望ましい。
【0015】
このような構成を有する本発明の愛玩動物用遊具では、上方当接部を回転させることによって軸方向の高さ位置を任意に変更することができる。また、下方当接部と軸棒は回転不能なため、上方当接部を回転した際に軸棒の供回りを防止して支柱体の長さ寸法を簡便に調整することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、使用する愛玩動物の身体サイズ等に容易に対応でき、設置及び片付け等の取扱性に優れる愛玩動物用遊具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係る愛玩動物用遊具1の概要を示す模式図である。
図2】踏板5の構造を示す図であって、図2(a)は、踏板5を斜め上方視した斜視図であり、図2(b)は、踏板5を斜め下方視した斜視図である。
図3】第一係止部13の構造を示す図であって、図3(a)は、第一係止部13の正面図であり、図3(b)は、図3(a)における矢視Aの断面図であり、図3(c)は、図3(b)における矢視Bの断面図である。
図4】支柱体把持部7の構造を示す斜視図である。
図5】第二係止部15の構造を示す図であって、図5(a)は、第二係止部15の正面図であり、図5(b)は、図5(a)における矢視Cの断面図であり、図5(c)は、図5(b)における矢視Dの断面図である。
図6】第一部品9及び第二部品11の構造を示す図であって、図6(a)は、第一部品9及び第二部品11を外側から見た斜視図であり、図6(b)は、第一部品9及び第二部品11の内側から見た斜視図である。
図7】第一部品9と第二部品11の嵌合態様を示す図であって、図7(a)は、軸体31Aとフック体31Bを係合してヒンジ部31を構成する態様を示す模式図であり、図7(b)は、ヒンジ部31を軸に第一部品9と第二部品11を嵌合させる態様を示す模式図であり、図7(c)は、第一部品9と第二部品11を嵌合させて支柱体把持部7を構成した状態を示す模式図である。
図8】支柱体3の構造を示す正面図である。
図9】軸棒37と上方当接部33の接続態様を示す模式図である。
図10】本実施形態に係る愛玩動物用遊具1の使用方法を示す図であって、図10(a)は、支柱体3の設置手順を示す模式図であり、図10(b)は、支柱体把持部7の固定手順を示す模式図であり、図10(c)は、踏板5の固定手順を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る愛玩動物用遊具の代表的な実施形態を詳細に説明する。但し、本発明は図示されるものに限られるものではなく、各図面は本発明を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために必要に応じて比や数を誇張又は簡略化して表している場合もある。更に、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略することもある。なお、本実施形態では理解容易を図るため、各図面において、愛玩動物用遊具1が具備する支柱体3の径方向をX、軸方向をZとして方向を定義する。
【0019】
1.愛玩動物用遊具1の概要
図1を用いて、本実施形態に係る愛玩動物用遊具1の概要について説明する。図1は、愛玩動物用遊具1の概要を示す模式図である。愛玩動物用遊具1は、猫を代表とする種々の愛玩動物を対象とし、昇降遊戯をさせるための遊具であって、図1に示すとおり、支柱体3を天井面と床面の間で突っ張り、支柱体3に対して複数の踏板5をそれぞれ軸方向Zの高さを異にして固定するものである。なお、図1においては、天井面及び床面は省略している。支柱体3と踏板5の固定には、支柱体把持部7を介して行う態様を備えており、支柱体3に対する踏板5の着脱及び位置調整を簡便に行うことができる特徴を有する。
【0020】
2.愛玩動物用遊具1の構造
愛玩動物用遊具1は、伸縮自在な支柱体3と、第一係止部13を有する踏板5と、第二係止部15を有し、支柱体3を把持する支柱体把持部7と、を具備し、第一係止部13と第二係止部15の係止態様が、支柱体3の軸方向Zと略同方向のスライド係止であり、双方を係止させることにより、支柱体把持部7による支柱体3の把持状態を維持しつつ、踏板5を支柱体3に固定すること、を特徴とする。
【0021】
<踏板5の構造>
図2を用いて、本実施形態に用いる踏板5の構造について詳細に説明する。図2は踏板5の構造を示す図であって、図2(a)は、踏板5を斜め上方視した斜視図であり、図2(b)は、踏板5を斜め下方視した斜視図である。図2(a)及び(b)に示すとおり、踏板5は、愛玩動物を乗せるための棚板部19と、踏板5を支柱体3に着脱するための第一係止部13と、を具備して構成されたものである。
【0022】
棚板部19は、使用時に愛玩動物が乗り上げる部品であって、径方向Xと略平行かつ軸方向Zの上方に対向する略円盤状の平滑面21を具備し、かつ端縁の一部には愛玩動物用遊具1を設置した際に支柱体3を挿通するための切欠き23が設けられている。なお、棚板部19及び切欠き23の形状については、使用する愛玩動物の身体サイズや体重に応じて適宜決定すればよい。
【0023】
第一係止部13は、平滑面21と反対側の面、及び切欠き23近傍に配設されており、後述する第二係止部15と軸方向Zにスライド係止する部位である。第一係止部13のスライド係止方向と平滑面21とは略直交しており、第一係止部13と第二係止部15を係止させて踏板5を支柱体3に固定した際、平滑面21を軸方向Xの上方(天井面101)に対向させることができる。
【0024】
次に、図3を用いて第一係止部13の構造について詳細に説明する。図3は、第一係止部13の構造を示す図であって、図3(a)は、第一係止部13の正面図であり、図3(b)は、図3(a)における矢視Aの断面図であり、図3(c)は、図3(b)における矢視Bの断面図である。
【0025】
図3(a)(b)(c)に示すとおり、第一係止部13は、軸方向Zに延びる略溝状の部位であって、後述する第二係止部15の段状突起25と係止する段状溝27を内部側面に具備している。本実施形態で用いる第一係止部13は、軸方向Zに延びる略直方体の溝状に形成されており、長さ寸法W1を8cm~18cm、幅寸法W2を0.5cm~2.5cm、及び深さ寸法H1を0.8cm~2.8cmの範囲で決定することが望ましい。
【0026】
段状溝27は、第一溝27A、第二溝27B、及び第三溝27Cの三つの溝から構成されており、第一係止部13の両側面で軸方向Zと略直交する方向に窪んでいる。また、これら三つの溝は、軸方向Zの下方側端部を揃え、上方側端部を第一溝27A<第二溝27B<第三溝27Cとなるよう軸方向Zの長さ寸法を異にして形成されている。
【0027】
また、各溝は、第一係止部13の底側から第一溝27A、第二溝27B、第三溝27Cの順番、かつ所定の離隔寸法で配設されることが望ましい。なお、各溝の断面形状及び各溝間の離隔距離は、後述する段状突起25と適切にスライド係合するように決定すればよい。
【0028】
<支柱体把持部7の構造>
続いて、図4を用い、支柱体把持部7の構造について詳細に説明する。図4は、支柱体把持部7の構造を示す斜視図である。図4に示すとおり、支柱体把持部7は、第一部品9と第二部品11を具備して構成され、双方を嵌合させる(換言すると、双方を突き合わせて合掌するように挟む)ことで支柱体3を囲繞して把持しつつ、第二係止部15を構成するものである。
【0029】
また、支柱体把持部7には、軸方向Zに貫通する貫通孔29が設けられており、この貫通孔29内部に支柱体3を挿通させて、支柱体把持部7で支柱体3を挟んで囲繞する。この貫通孔29は、第二係止部15と同様に第一部品9と第二部品11を嵌合することによって構成される部位である。なお、支柱体把持部7の各部の寸法については、使用する支柱体3及び使用する愛玩動物の身体サイズや体重に応じて適宜決定すればよい。
【0030】
第二係止部15は、支柱体把持部7の側面に配設されており、上述した第一係止部13と軸方向Zにスライド係止する部位である。第二係止部15のスライド係止方向と貫通孔29の孔軸とは略平行であり、第一係止部13と第二係止部15を係止させて踏板5を支柱体3に固定した際、平滑面21を軸方向Xの上方(天井面101)に対向させることができる。
【0031】
次に、図5を用いて第二係止部15の構造について詳細に説明する。図5は、第二係止部15の構造を示す図であって、図5(a)は、第二係止部15の正面図であり、図5(b)は、図5(a)における矢視Cの断面図であり、図5(c)は、図5(b)における矢視Dの断面図である。
【0032】
図5(a)(b)(c)に示すとおり、第二係止部15は、軸方向Zの下方から上方に向かって登る略階段状に形成された突状片であって、更に上述した第一係止部13の段状溝27と係止する段状突起25を両側面に具備している。
【0033】
段状突起25は、第一突起25A、第二突起25B、及び第三突起25Cの三つの突起から構成されており、第二係止部15の両側面から軸方向Zと略直交する方向に突出している。また、これら三つの突起は、軸方向Zの下方側端部を揃え、上方側端部を第一突起25A<第二突起25B<第三突起25Cとなるよう軸方向Zの長さ寸法を異にして形成されている。なお、第二係止部15の略階段状に形成された段差は、上記突起の軸方向Zの上方側端部に沿って形成することが望ましい。
【0034】
また、各突起は、支柱体把持部7側から第三突起25C、第二突起25B、第一突起25Aの順番、かつ所定の離隔寸法で配設されることが望ましい。また、各突起の断面形状及び各突起間の離隔距離は、上述した段状溝27と適切にスライド係合するように決定すればよい。
【0035】
上述のような構造の第一係止部13と第二係止部15では、段状突起25と段状溝27が互いに噛み合うため、双方の係合が意図せず解除されることがない。また、第二係止部15が階段状に形成されているため、第一係止部13内に差し込み易く、双方のスライド係止を簡便に行うことができる。
【0036】
次に、図6を用いて、第一部品9及び第二部品11の構造を詳細に説明する。図6は、第一部品9及び第二部品11の構造を示す図であって、図6(a)は、第一部品9及び第二部品11を外側から見た斜視図であり、図6(b)は、第一部品9及び第二部品11の内側から見た斜視図である。上述したとおり、第一部品9及び第二部品11は、双方を径方向Xに嵌合させることで支柱体把持部7を構成する部品である。
【0037】
図6(a)及び(b)に示すとおり、第一部品9及び第二部品11は、支柱体把持部7の略中間で軸方向Zに分断して形成されており、双方が第二係止部15及び貫通孔29の略半分を具備している。より具体的には、第一部品9が、第二係止部15を構成する第一構成片15A、及び貫通孔29を構成する第一構成溝29Aを具備し、第二部品11が、第二係止部15を構成する第二構成片15B、及び貫通孔29を構成する第二構成溝29Bを具備する。
【0038】
第一部品9及び/又は第二部品11が、支柱体3と当接する面(第一構成溝29A及び第二構成溝29Bの表面)に滑り止め部17を具備することが望ましい。貫通孔29を構成する第一構成溝29A及び第二構成溝29Bは、設置時に支柱体3と当接する部位であるため、滑り止め部17を配設することによって設置時における支柱体3と支柱体把持部7との位置ズレを防止することができる。滑り止め部17は、例えばゴムや樹脂等の弾性部材で構成するのが好ましい。
【0039】
支柱体把持部7が、第一部品9と第二部品11の一部を連結又は係合して構成したヒンジ部31を具備し、第一部品9と第二部品11がヒンジ部31を軸にして嵌合することが望ましい。第一部品9と第二部品11は、第一係止部13と第二係止部15を係止させることによって双方の嵌合状態を固定するが、当該固定を容易かつ確実に行うため、及び第一部品9と第二部品11の嵌合状態における相対位置を位置決めするため、ヒンジ部31が設けられている。
【0040】
本実施形態では、第一部品9及び第二部品11の双方の一部を係合することによりヒンジ部31を構成する態様を採用しており、第一部品9が、軸方向Zに伸びる略棒状の軸体31Aを具備し、第二部品11が、この軸体31Aと係合する略コの字状のフック体31Bを具備している。
【0041】
続いて、図7を用い、第一部品9と第二部品11の嵌合態様について詳細に説明する。図7は、第一部品9と第二部品11の嵌合態様を示す図であって、図7(a)は、軸体31Aとフック体31Bを係合してヒンジ部31を構成する態様を示す模式図であり、図7(b)は、ヒンジ部31を軸に第一部品9と第二部品11を嵌合させる態様を示す模式図であり、図7(c)は、第一部品9と第二部品11を嵌合させて支柱体把持部7を構成した状態を示す模式図である。
【0042】
図7(a)に示すとおり、第一部品9の軸体31Aと、第二部品11のフック体31Bと、を係合させる。より具体的には、第一構成溝29Aと第二構成溝29Bを対向させた状態で双方を接近させ、適宜角度を調整しつつ軸体31Aとフック体31Bを係合させる。なお、本実施形態では、第一部品9と第二部品11を嵌合させて貫通孔29を構成した状態では、軸体31Aとフック体31Bの係合が外れないように構成している。
【0043】
図7(b)及び(c)に示すとおり、ヒンジ部31を軸にして第一部品9と第二部品11の角度を変更することによって双方を完全に突き合わせて嵌合し、支柱体把持部7を構成する。ヒンジ部31を軸にすることによって、第一部品9と第二部品11の回転軌道を定めることができ、双方を簡便に位置決めして支柱体把持部7を構成することができる。また、同様に第一部品9と第二部品11の嵌合位置にズレが発生しないため、貫通孔29及び第二係止部15を適切な形状に構成することができる。
【0044】
<支柱体3の構造>
次に、図8を用いて、支柱体3の構造について詳細に説明する。図8は、支柱体3の構造を示す正面図である。支柱体3は、軸棒37と、軸棒37の一方の端部と螺子嵌合する上方当接部33と、軸棒37の他方の端部と回転不能に嵌合する下方当接部35と、を具備して構成されている。
【0045】
軸棒37は、所定の強度を要する略棒状の部品であって、種々の金属や木材、紙材等を用いて形成することができる。また、表面は樹脂等を被覆し、腐食を防止することが望ましい。本実施形態では一本の軸棒37を採用しているが、例えば複数本の短尺棒状部品を継ぐことで軸棒37を構成する態様としてもよい。なお、軸棒37の長さ寸法は、使用する設置場所の高さ方向の寸法(天井高寸法等)に応じて適宜決定すればよい。
【0046】
上方当接部33及び下方当接部35は、軸棒37の両端に接続する部品であって、軸棒37と、天井面及び床面と、の当接を補助し、安定させるものである。上方当接部33及び下方当接部35は、共に天井面及び床面に当接するための当接面39を備えており、この当接面39と略直交する方向に軸棒37を接続するように構成されている。なお、図8においては、天井面及び床面は省略している。
【0047】
上方当接部33の構造は、上記位置変更を可能とするものであれば特に限定されるものではないが、例えばナット43を具備する当接部品33Aとボルト41を具備する位置調整部品33Bとを具備して構成する態様を採用することができる(後述する図9参照)。
【0048】
図9を用いて、軸棒37と上方当接部33の接続態様について詳細に説明する。図9は、軸棒37と上方当接部33の接続態様を示す模式図である。図9に示すとおり、軸棒37と上方当接部33は、螺子嵌合によって接続することが望ましい。より具体的には、位置調整部品33Bを軸棒37の一方の端部で回転可能に係合させつつボルト41を軸方向Zに突出し、当接部品33Aの底部略中央に配設したナット43と螺子嵌合させる。
【0049】
上記態様で上方当接部33を構成することにより、位置調整部品33Bを回転させることでボルト41とナット43の螺子嵌合状態が変更されるため、当接部品33Aと位置調整部品33Bとの軸方向Zの高さ位置を変更することが可能となり、設置場所の高さ寸法に応じて支柱体3の長さ寸法を簡便に調整することができる。なお、上述のとおり下方当接部35と軸棒37とは回転不能な態様であるため、位置調整部品33Bを回転した際に軸棒37が供回りすることを防止する。
【0050】
3.愛玩動物用遊具1の使用方法
次に、図10を用いて、本実施形態に係る愛玩動物用遊具1の使用方法について詳細に説明する。図10は、本実施形態に係る愛玩動物用遊具1の使用方法を示す図であって、図10(a)は、支柱体3の設置手順を示す模式図であり、図10(b)は、支柱体把持部7の固定手順を示す模式図であり、図10(c)は、踏板5の固定手順を示す模式図である。
【0051】
まず、支柱体3を所望の設置場所に設置する。なお、ここでは、室内の天井面101と床面103の間に設置する例を代表して説明する。図10(a)に示すとおり、天井面101と床面103の間に支柱体3を載置し、床面103に下方当接部35を当接した状態で、天井面101に上方当接部33を当接させる。
【0052】
天井面101と上方当接部33との間に空間が存在してしまう場合は、上方当接部33を回転させて軸方向Zの高さ位置を変更し、天井面101と当接させる。なお、支柱体3は、天井面101と床面103との間で、軸方向Zの上下方に対する適切なテンションを維持(突っ張り)させて設置することが望ましい。
【0053】
次に、設置した支柱体3に対して支柱体把持部7を固定する。図7(a)(b)(c)及び図10(b)に示すとおり、第一部品9と第二部品11によって支柱体把持部7を構成しつつ、貫通孔29内で支柱体3を囲繞して把持する。この時、支柱体3に対する支柱体把持部7の位置は、後に固定する踏板5の固定位置(換言すると、愛玩動物が乗り上げる位置)を想定して決定することが望ましい。
【0054】
続いて、支柱体把持部7に踏板5を固定する。図10(c)に示すとおり、支柱体把持部7の第一係止部13に踏板5の第二係止部15をスライド係止させることで支柱体把持部7に対して踏板5を固定することができる。
【0055】
第二係止部15は、第一係止部13に対して軸方向Zの上方から下方にスライド係止させる態様であるため、双方のスライド係止が完了すると踏板5が支柱体把持部7に支持される。よって、踏板5に印加される荷重は支柱体把持部7を介して支柱体3に伝達し、天井面101と床面103に支持させることができる。
【0056】
支柱体3に対して、複数の支柱体把持部7及び踏板5を所望の間隔で固定することにより、愛玩動物は固定した踏板5を任意に昇降遊戯することができる。また、容易に着脱可能な支柱体把持部7を介して踏板5を固定するため、支柱体3に対する踏板5の着脱及、位置調整、及び角度調整を簡便に行うことができる。
【0057】
以上、本発明の代表的な実施形態について図面を参照しつつ説明してきたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載の精神及び教示を逸脱しない範囲でその他の改良例や変形例が存在する。そして、かかる改良例や変形例は全て本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本実施形態の愛玩動物用遊具は、使用する愛玩動物の身体サイズ等に容易に対応でき、設置及び片付け等の取扱性に優れるものである。
【符号の説明】
【0059】
1 愛玩動物用遊具
3 支柱体
5 踏板
7 支柱体把持部
9 第一部品
11 第二部品
13 第一係止部
15 第二係止部
15A 第一構成片
15B 第二構成片
17 滑り止め部
19 棚板部
21 平滑面
23 切欠き
25 段状突起
25A 第一突起
25B 第二突起
25C 第三突起
27 段状溝
27A 第一溝
27B 第二溝
27C 第三溝
29 貫通孔
29A 第一構成溝
29B 第二構成溝
31 ヒンジ部
31A 軸体
31B フック体
33 上方当接部
33A 当接部品
33B 位置調整部品
35 下方当接部
37 軸棒
39 当接面
41 ボルト
43 ナット
45 軸棒挿入穴
101 天井面
103 床面
W1 長さ寸法
W2 幅寸法
W3 深さ寸法
W4 寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10