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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】スラブ軌道用ブラケット
(51)【国際特許分類】
   E01B 29/40 20060101AFI20221209BHJP
   E01B 37/00 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
E01B29/40
E01B37/00 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019071372
(22)【出願日】2019-04-03
(65)【公開番号】P2020169491
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】596095769
【氏名又は名称】株式会社山田精密製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山田 耕一
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-167479(JP,A)
【文献】実開昭59-019602(JP,U)
【文献】国際公開第2018/203419(WO,A1)
【文献】韓国登録実用新案第20-0322061(KR,Y1)
【文献】特開昭59-122602(JP,A)
【文献】特開平04-194201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 29/40
E01B 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被支持体を支持可能なスラブ軌道用ブラケットにおいて、
軌道スラブの側面に接触可能な当接壁部と、
前記当接壁部に一体化されて当該当接壁部と交差する方向に延びる略板状の支持プレートとを備え、
前記当接壁部には、軌道スラブの側面に挿入されたボルトのねじ部が挿入可能な長穴が設けられ、
前記長穴は、上下方向に延びるとともに、下方側が前記支持プレートまで延びて当該支持プレート側が開放され、かつ、上方側が閉塞された略U字状の貫通穴であり、
さらに、前記支持プレートには、前記長穴と連通し、かつ、前記ボルトの頭部が挿入可能な頭部挿入穴が設けられているスラブ軌道用ブラケット。
【請求項2】
前記長穴の開放側には、下方に近づくほど幅寸法が拡大するテーパ部が設けられている請求項1に記載のスラブ軌道用ブラケット。
【請求項3】
被支持体が載置される載置プレートと、
前記支持プレートに対する前記載置プレートの傾斜角度を変更するためのカント調整機構と
を備える請求項1又は2に記載のスラブ軌道用ブラケット。
【請求項4】
前記支持プレートに対して略直交する板材にて構成され、複数の穴が設けられた第1支持フランジ部であって、前記支持プレートに連結された第1支持フランジ部と、
前記支持プレートに対して略直交する板材にて構成され、複数の穴が設けられた第2支持フランジ部であって、前記支持プレートを挟んで第1支持フランジ部と反対側に配置されて当該支持プレートに連結された第2支持フランジ部と、
前記載置プレートの端部に設けられたヒンジ穴に挿入されたヒンジピンであって、当該載置プレートを回転可能に支持するとともに、前記第1支持フランジ部及び第2支持フランジ部に支持されたヒンジピンと、
前記載置プレートを下側から支持する支持ピンとを備え、
第1支持フランジ部に設けられた前記複数の穴それぞれを第1調整穴とし、第2支持フランジ部に設けられた前記複数の穴それぞれを第2調整穴としたとき、
前記支持ピンは、複数の前記第1調整穴のいずれか及び複数の前記第2調整穴のいずれかに着脱自在に挿入されて前記第1支持フランジ部及び第2支持フランジ部に支持され、
さらに、前記支持ピンの挿入位置に応じて前記載置プレートの傾斜角度が変化する請求項3に記載のスラブ軌道用ブラケット。
【請求項5】
前記載置プレートは、
板状のプレート部、及び
前記プレート部から延出し、当該プレート部を構成する板材との一体部分であるプレートフランジ部であって、前記支持ピンが貫通可能な支持穴が設けられたプレートフランジ部を有し、
前記支持穴の外縁の一部は、前記プレート部に到達している請求項4に記載のスラブ軌道用ブラケット。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のスラブ軌道用ブラケットの軌道スラブへの装着方法であって、
軌道スラブの側面にボルトを挿入し、
前記ボルトの上方側から前記スラブ軌道用ブラケットを降ろしながら、当該ボルトの頭部を前記頭部挿入穴に挿入した後、
前記ボルトのねじ部が前記長穴に挿入された状態で当該ボルトを締め込むことにより、前記スラブ軌道用ブラケットを軌道スラブに固定する
スラブ軌道用ブラケット装着方法。
【請求項7】
請求項5に記載の載置プレートの製造方法において、
金属製の板材に長穴状の貫通穴を設けた後、
前記貫通穴の長手方向中間部を横切る仮想線を基準として当該板材を折り曲げることにより、前記プレートフランジ部及び前記支持穴を形成する
載置プレートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レール仮置き台等の被支持体を支持可能なスラブ軌道用ブラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載のレール仮置き台は、パンタグラフ式ジャッキ上に載置された状態で使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-167479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スラブ軌道の一般的な構造は、路盤コンクリートの上に軌道スラブが配置され、当該軌道スラブにレールが固定される。路盤コンクリートは、路床の上に配置される。路盤コンクリート上に上記ジャッキを配置することが困難な現場においては、路床の上に当該ジャッキが配置される。
【0005】
しかし、路床の高さ寸法が大きい場合には、上記ジャッキでは、当該ジャッキを最大寸法まで伸張させても、レール仮置き台を適切な高さ位置に設置することができない場合がある。
【0006】
本開示は、上記点に鑑み、路床の高さ寸法が大きい場合であっても、レール仮置き台等の被支持体を適切な高さ位置に設置することが可能なスラブ軌道用ブラケットの一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
被支持体(1)を支持可能なスラブ軌道用ブラケットは、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。
すなわち、当該構成要件は、軌道スラブ(S1)の側面(S4)に接触可能な当接壁部(13)と、当接壁部(13)に一体化されて当該当接壁部(13)と交差する方向に延びる略板状の支持プレート(14)とを備え、当接壁部(13)には、軌道スラブ(S1)の側面(S4)に挿入されたボルト(B)のねじ部が挿入可能な長穴(13A、13B)が設けられ、長穴(13A、13B)は、上下方向に延びるとともに、下方側が支持プレート(14)まで延びて当該支持プレート(14)側が開放され、かつ、上方側が閉塞された略U字状の貫通穴であり、さらに、支持プレート(14)には、長穴(13A、13B)と連通し、かつ、ボルト(B)の頭部が挿入可能な頭部挿入穴(13C、13D)が設けられていることである。
【0008】
これにより、当該スラブ軌道用ブラケット(10)では、以下の手順にて当該スラブ軌道用ブラケット(10)を軌道スラブに装着することが可能となる。
すなわち、作業者は、先ず、軌道スラブ(S1)の側面(S4)にボルト(B)を挿入する。次に、作業者は、当該スラブ軌道用ブラケット(10)をボルト(B)の上方側から降ろしながら、ボルト(B)の頭部を頭部挿入穴(13C、13D)に挿入する。このとき、ボルト(B)のねじ部は、スラブ軌道用ブラケット(10)の移動に応じて長穴(13A、13B)内を移動する。
【0009】
そして、作業者は、例えば、スラブ軌道用ブラケット(10)の移動が停止したときに、ボルト(B)を締め込む。これにより、スラブ軌道用ブラケット(10)は、軌道スラブに固定される。なお、「スラブ軌道用ブラケット(10)の移動が停止したとき」とは、ねじ部が長穴(13A、13B)の端部に到達したとき、又はスラブ軌道用ブラケット(10)が路盤コンクリートに接触したとき等である。
【0010】
以上により、当該スラブ軌道用ブラケット(10)では、軌道スラブにスラブ軌道用ブラケット(10)が直接的に固定されるので、レール仮置き台等の被支持体(1)を適切な高さ位置に設置することが可能となり得る。
【0011】
さらに、当接壁部(13)には、ボルト(B)のねじ部が挿入可能な長穴(13A、13B)が設けられ、支持プレート(14)には、長穴(13A、13B)と連通し、かつ、ボルト(B)の頭部が挿入可能な頭部挿入穴(13C、13D)が設けられているので、上記したように、スラブ軌道用ブラケット(10)をボルト(B)の上方側から降ろすことにより、スラブ軌道用ブラケット(10)を容易かつ確実に軌道スラブに固定することができ得る。
【0012】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係るスラブ軌道用ブラケットの使用状態を示す図である。
図2】レール仮置き台を示す図である。
図3】第1実施形態に係るスラブ軌道用ブラケットを示す図である。
図4】第1実施形態に係るブラケット本体を示す図である。
図5】第1実施形態に係るブラケット本体を示す図である。
図6】第1実施形態に係る載置プレートを示す図である。
図7】第1実施形態に係る載置プレートの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されるものではない。
【0015】
なお、各図に付された方向を示す矢印及び斜線等は、各図相互の関係及び各部材又は部位の形状を理解し易くするために記載されたものである。したがって、本開示に示された発明は、各図に付された方向に限定されるものではない。
【0016】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示されたスラブ軌道用ブラケットは、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素を備える。
【0017】
(第1実施形態)
1.スラブ軌道用ブラケットの概要
本実施形態は、図1に示されるように、レール仮置き台1を支持するためのスラブ軌道用ブラケット10に本開示に係るスラブ軌道用ブラケットの一例が適用されたものである。
【0018】
スラブ軌道は、軌道スラブS1及び路盤コンクリートS2等を少なくとも備える道床である。路盤コンクリートS2は道床の土台を構成する。軌道スラブS1はコンクリート製の板である。
【0019】
軌道スラブS1は、ゴム等の弾性体にて構成された軌道パッドS3を介して路盤コンクリートS2上に載置されている。軌道スラブS1の側面S4には、通常、フック用のボルト等が装着可能なボルト穴(図示せず。)が設けられている。
【0020】
レール仮置き台1は、交換用レール等が載置される受け台の一例である。当該レール仮置き台1は、図2に示されるように、支持ローラ2、レール固定部3、4及び台座プレート5等を有している。
【0021】
2.スラブ軌道用ブラケットの詳細
2.1 スラブ軌道用ブラケットの構成
スラブ軌道用ブラケット10は、図3に示されるように、ブラケット本体11(図4参照)及び載置プレート12(図5参照)等を少なくとも備える。
【0022】
ブラケット本体11は、軌道スラブS1に取り付けられる部材である(図1参照)。当該ブラケット本体11は、図4に示されるように、当接壁部13、支持プレート14、第1支持フランジ部15及び第2支持フランジ部16等を有している。
【0023】
<当接壁部、支持プレート>
当接壁部13は、軌道スラブS1の側面S4に接触可能な板状の部位である(図1参照)。支持プレート14は、当接壁部13に一体化されて当該当接壁部13と交差する方向に延びる略板状の部材である。
【0024】
本実施形態では、当接壁部13と支持プレート14とは、1枚の板材に曲げ加工(プレス加工)が施されて成形された一体成形品である。なお、当接壁部13の板面と支持プレート14の板面とは略直交している。つまり、当接壁部13及び支持プレート14は、略L字状に成形された板材にて構成されている。
【0025】
<第1支持フランジ部、第2支持フランジ部>
第1支持フランジ部15は、図5に示されるように、支持プレート14に対して略直交する板材にて構成された部材である。当該第1支持フランジ部15には、複数の穴15Aが設けられている。
【0026】
本実施形態に係る第1支持フランジ部15は、支持プレート14及び当接壁部13に溶接にて連結固定されている。以下、複数の穴15Aそれぞれを第1調整穴15Aともいう。
【0027】
第2支持フランジ部16は、支持プレート14を挟んで第1支持フランジ部15と反対側に配置され、かつ、支持プレート14に対して略直交する板材にて構成されている。つまり、第2支持フランジ部16は、第1支持フランジ部15に対して略平行な板材である。
【0028】
当該第2支持フランジ部16には、複数の穴16Aが設けられている。本実施形態に係る第2支持フランジ部16は、支持プレート14及び当接壁部13に溶接にて連結固定されている。
【0029】
以下、複数の穴16Aそれぞれを第2調整穴16Aともいう。なお、本実施形態では、第1支持フランジ部15と第2支持フランジ部16とは共通の部材である。連結プレート17は、第1支持フランジ部15と第2支持フランジ部16とを連結する帯板状の部材である。
【0030】
連結プレート17は、支持プレート14を挟んで当接壁部13と反対側に配置されて、支持プレート14、第1支持フランジ部15及び第2支持フランジ部16に溶接にて連結されている。
【0031】
<載置プレート>
載置プレート12は、レール仮置き台1が載置される板状の部材である(図1参照)。当該載置プレート12は、図6に示されるように、板状のプレート部12A、第1プレートフランジ部12B及び第2プレートフランジ部12C等を少なくとも有する。
【0032】
第1プレートフランジ部12Bは、図7に示されるように、プレート部12Aの幅方向一端側から下方側延出し、当該プレート部12Aを構成する板材との一体部分である。第2プレートフランジ部12Cは、プレート部12Aを挟んで第1プレートフランジ部12Bと反対側に設けられている。
【0033】
第2プレートフランジ部12Cは、プレート部12Aの幅方向他端側から下方側延出し、当該プレート部12Aを構成する板材との一体部分である。つまり、プレート部12A、第1プレートフランジ部12B及び第2プレートフランジ部12Cは、1枚の板材にプレス成形が施されて成形された一体成形品である。
【0034】
なお、幅方向とは、レール仮置き台1に載置されるレールの長手方向と平行な方向、つまり支持ローラ2の回転中心軸線と直交する水平方向と略平行な方向である。奥行き方向とは、支持ローラ2の回転中心軸線と平行な方向である。
【0035】
第1プレートフランジ部12B及び第2プレートフランジ部12Cそれぞれには、幅方向に貫通する貫通穴12D、12E(以下、支持穴12D、12Eという。)が少なくとも1つ(本実施形態では、複数)設けられている。
【0036】
各支持穴12D、12Eの外縁の一部は、プレート部12Aに到達している。つまり、プレート部12Aと第1プレートフランジ部12Bとを連結する屈曲部にも支持穴12Dに連通する貫通穴が存在する。同様に、プレート部12Aと第2プレートフランジ部12Cとを連結する屈曲部にも支持穴12Eに連通する貫通穴が存在する。
【0037】
2.2 載置プレートとブラケット本体との連結構造
載置プレート12の奥行き方向一端及び他端のうち少なくとも一方(本実施形態では、一端及び他端)には、図6に示されるように、幅方向に貫通したヒンジ穴12F、12Gが設けられている。
【0038】
なお、本実施形態に係るヒンジ穴12F、12Gそれぞれは、図7に示されるように、幅方向に延びるパイプ材12J、12Kにより構成されている。パイプ材12J、12Kは、載置プレート12又は第1プレートフランジ部12B及び第2プレートフランジ部12Cに溶接されている。
【0039】
ヒンジ穴12F、12Gのうちいずれか一方には、図3に示されるように、ヒンジピン12Hが挿入されている。ヒンジピン12Hは、載置プレート12を回転可能に支持するとともに、第1支持フランジ部15及び第2支持フランジ部16に支持される。
【0040】
具体的には、ヒンジピン12Hは、ヒンジ穴12F、12Gのいずれか(図3では、ヒンジ穴12F)を貫通した状態で、いずれかの第1調整穴15Aといずれかの第2調整穴16Aに挿入されている。
【0041】
ヒンジピン12Hが挿入された第1調整穴15A及び第2調整穴16Aは、幅方向と直交する仮想面に投影されたときに、互いに重なる位置にある穴である。なお、ヒンジピン12Hは、スナップピンや割ピン等の抜け止め部材(図示せず。)によりブラケット本体11に対して抜け止めされている。
【0042】
支持ピン12Lは、載置プレート12を下側から支持する部材である。当該支持ピン12Lは、いずれかの第1調整穴15A、及びいずれかの第2調整穴16Aに着脱自在に挿入されて第1支持フランジ部15及び第2支持フランジ部16に支持されている。
【0043】
具体的には、支持ピン12Lは、いずれかの第1調整穴15A、いずれかの支持穴12D、12E及びいずれかの第2調整穴16Aに貫通挿入されている。なお、支持ピン12Lが挿入された第1調整穴15A、第2調整穴16A及び支持穴12D、12Eは、幅方向と直交する仮想面に投影されたときに、互いに重なる位置にある穴である。
【0044】
そして、支持ピン12Lの挿入位置に応じて載置プレート12の傾斜角度が変化する。つまり、載置プレート12は、ヒンジピン12H及び支持ピン12Lを介してブラケット本体11に位置決めされた状態で保持される。このとき、支持ピン12Lの挿入位置に応じて載置プレート12の傾斜角度が変化する。
【0045】
したがって、本実施形態では、ヒンジピン12H、支持ピン12L、複数の第1調整穴15A及び第2調整穴16Aによって、載置プレート12のカント調整機構が構成されている。カント調整機構は、支持プレート14に対する載置プレート12の傾斜角度を変更するための機構である。
【0046】
2.3 スラブ軌道用ブラケットを軌道スラブに装着するための構成
当接壁部13には、図4に示されるように、少なくとも1つ(本実施形態では2つ)の長穴13A、13Bが設けられている。当該長穴13A、13Bは、軌道スラブS1の側面S4に挿入されたボルトBのねじ部が挿入可能な貫通穴である。
【0047】
長穴13A、13Bは、上下方向に延びるとともに、下方側が支持プレート14まで延びて当該支持プレート14側が開放され、かつ、上方側が閉塞された略U字状(凹状も含む。)の貫通穴である。
【0048】
支持プレート14には、長穴13A、13Bそれぞれと連通する頭部挿入穴13C、13Dが設けられている。頭部挿入穴13C、13Dは、ボルトBの頭部が挿入可能な貫通穴である。
【0049】
長穴13A、13Bの開放側には、テーパ部13E、13Fが設けられている。テーパ部13E、13Fは、下方に近づくほど幅寸法Wが拡大する部位である。なお、本実施形態に係るテーパ部13E、13Fは、当該開放側の幅方向一端側及び他端側に設けられた傾斜部により構成されている。
【0050】
3.載置プレートの製造方法
本実施形態に係る載置プレート12は、プレス加工等の塑性加工により製造される。具体的には、以下の通りである。
【0051】
載置プレート12を製造する者(以下、製造者という。)は、先ず、金属製の板材に長穴状の貫通穴(支持穴12D、12Eに相当する穴1)を設ける。なお、本実施形態では、打ち抜き加工にて上記貫通穴が設けられる。
【0052】
次に、製造者は、上記貫通穴の長手方向中間部を横切る仮想線を基準として当該板材を折り曲げる。これにより、第1プレートフランジ部12B及び第2プレートフランジ部12C、並びに支持穴12D、12Eが形成される。
【0053】
「貫通穴の長手方向中間部を横切る仮想線」とは、例えば、プレート部12Aと第1プレートフランジ部12Bとの連結箇所の曲げ中心線、及びプレート部12Aと第2プレートフランジ部12Cとの連結箇所の曲げ中心線である。
【0054】
4.スラブ軌道用ブラケットの特徴及び装着方法
本実施形態に係るスラブ軌道用ブラケット10では、以下の手順にて当該スラブ軌道用ブラケット10を軌道スラブS1に装着することが可能となる(図1参照)。
【0055】
すなわち、作業者は、先ず、軌道スラブS1の側面S4にボルトBを挿入する。次に、作業者は、当該スラブ軌道用ブラケット10をボルトBの上方側から降ろしながら、ボルトBの頭部を頭部挿入穴13C、13Dに挿入する。このとき、ボルトBのねじ部は、スラブ軌道用ブラケット10の移動に応じて長穴13A、13B内を移動する。
【0056】
そして、作業者は、例えば、スラブ軌道用ブラケット10の移動が停止したときに、ボルトBを締め込む。これにより、スラブ軌道用ブラケット10は、軌道スラブに固定される。なお、「スラブ軌道用ブラケット10の移動が停止したとき」とは、ねじ部が長穴13A、13Bの端部に到達したとき、又はスラブ軌道用ブラケット10が路盤コンクリートS2に接触したとき等である。
【0057】
以上により、当該スラブ軌道用ブラケット10では、軌道スラブS1にスラブ軌道用ブラケット10が直接的に固定されるので、レール仮置き台1を適切な高さ位置に設置することが可能となり得る。
【0058】
さらに、当接壁部13には、ボルトBのねじ部が挿入可能な長穴13A、13Bが設けられ、支持プレート14には、長穴13A、13Bと連通し、かつ、ボルトBの頭部が挿入可能な頭部挿入穴13C、13Dが設けられている。
【0059】
これにより、上記したように、スラブ軌道用ブラケット10をボルトBの上方側から降ろすことにより、スラブ軌道用ブラケット10を容易かつ確実に軌道スラブに固定することができ得る。
【0060】
長穴13A、13Bの開放側には、下方に近づくほど幅寸法Wが拡大するテーパ部13E、13Fが設けられている。これにより、作業者がスラブ軌道用ブラケット10を装着する際に、ボルトBの頭部が頭部挿入穴13C、13Dに案内されるので、スラブ軌道用ブラケット10の装着作業性が向上する。
【0061】
レール仮置き台1が載置される載置プレート12と、支持プレート14に対する載置プレート12の傾斜角度を変更するためのカント調整機構とを備える。これにより、当該スラブ軌道用ブラケット10は、軌道スラブS1が傾いているスラブ軌道であっても、レール仮置き台1を水平な状態で支持することが可能となる。
【0062】
ヒンジピン12H、支持ピン12L、複数の第1調整穴15A及び第2調整穴16Aによりカント調整機構が構成され、かつ、支持ピン12Lの挿入位置に応じて載置プレート12の傾斜角度が変化する。これにより、カント調整機構が複雑な構成となることが抑制される。
【0063】
支持穴12D、12Eの外縁の一部は、プレート部12Aに到達している。これにより、スラブ軌道用ブラケット10を製造する者は、支持穴12D、12Eが設けられた第1プレートフランジ部12B、第2プレートフランジ部12C及びプレート部12Aを、プレス加工にて一枚の板材から製造することが可能となる。
【0064】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、被支持体としてレール仮置き台1が想定されていた。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。すなわち、当該開示は、例えば、レール仮置き台1以外の物を被支持体としてもよい。
【0065】
上述の実施形態では、長穴13A、13Bの開放側にはテーパ部13E、13Fが設けられていた。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。すなわち、当該開示は、例えば、テーパ部13E、13Fが設けられていない長穴13A、13Bであってもよい。
【0066】
上述の実施形態では、ヒンジピン12H、支持ピン12L、複数の第1調整穴15A及び第2調整穴16A等から構成されたカント調整機構が設けられていた。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。すなわち、当該開示は、例えば、カント調整機構が設けられていない構成、又は上記と異なるカント調整機構が設けられた構成であってもよい。
【0067】
上述の実施形態では、支持穴12D、12Eの外縁の一部は、プレート部12Aに到達していた。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。すなわち、当該開示は、例えば、支持穴12D、12Eの外縁の一部がプレート部12Aに到達していない構成であってもよい。
【0068】
なお、第1プレートフランジ部12B及び第2プレートフランジ部12Cの突出寸法が、支持ピン12Lの直径に比べて十分に大きい場合には、支持穴12D、12Eの外縁の一部がプレート部12Aに到達していなくても、製造者は、載置プレート12をプレス加工にて容易に製造でき得る。
【0069】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成でもよい。
【符号の説明】
【0070】
10… スラブ軌道用ブラケット 11… ブラケット本体
12… 載置プレート 12A… プレート部 12B… 第1プレートフランジ部
12C… 第2プレートフランジ部 12D、12E… 支持穴
12F、12G… ヒンジ穴 12J、12K… パイプ材
12H… ヒンジピン 12L… 支持ピン 13… 当接壁部
13A、13B… 長穴 13C、13D… 頭部挿入穴
13E、13F… テーパ部 14… 支持プレート
15… 第1支持フランジ部 15A… 第1調整穴
16… 第2支持フランジ部 16A… 第2調整穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7