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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】車両用ドア制御装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/75 20150101AFI20221209BHJP
   B60R 25/01 20130101ALI20221209BHJP
   E05B 47/00 20060101ALI20221209BHJP
   E05B 83/00 20140101ALI20221209BHJP
   E05F 15/611 20150101ALI20221209BHJP
   E05F 15/655 20150101ALI20221209BHJP
【FI】
E05F15/75
B60R25/01
E05B47/00 G
E05B83/00 Z
E05F15/611
E05F15/655
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017040021
(22)【出願日】2017-03-03
(65)【公開番号】P2018145643
(43)【公開日】2018-09-20
【審査請求日】2020-02-28
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】山岸 高士
(72)【発明者】
【氏名】川島 直樹
【合議体】
【審判長】住田 秀弘
【審判官】佐藤 美紗子
【審判官】前川 慎喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-113860(JP,A)
【文献】特開2006-22512(JP,A)
【文献】特開2007-138471(JP,A)
【文献】特開2004-162439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F15/00-15/79
E05B1/00-85/28
B60R25/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の出入り口に設けられたドア部材の開閉を制御する車両用ドア制御装置であって、
前記ドア部材の閉作動を指示する閉作動指示と、前記ドア部材の閉作動および施錠を指示する閉施錠指示と、を選択的に指示可能な選択指示部と、
前記閉作動指示がなされた場合の前記閉作動の実施中、並びに、前記閉施錠指示がなされた場合の前記閉作動および前記施錠の実施中に、作動音を出力する音声出力部と、
を備え、
前記音声出力部は、前記閉作動指示がなされた場合の前記閉作動の実施中と、前記閉施錠指示がなされた場合の前記閉作動および前記施錠の実施中とで異なる作動音を出力し、
閉作動開始から前記ドア部材が全閉位置となるまで前記作動音の出力を継続し、
前記ドア部材の車体に対する位置を全閉位置に保持する保持機構と、所定の施錠位置に移動することにより前記保持機構の作動をロック可能とする施錠用部材とを更に備え、
前記施錠用部材は、前記ドア部材の開閉状態に関わらず前記施錠位置に移動可能であり、
前記閉施錠指示があった場合、前記施錠用部材は、前記音声出力部によって前記作動音が出力される前に前記施錠位置に移動され、
前記音声出力部は、前記施錠用部材が前記施錠位置に移動される前に、前記選択指示部において前記閉作動指示が選択された場合と前記閉施錠指示が選択された場合とで、異なる受付音を出力する
ことを特徴とする車両用ドア制御装置。
【請求項2】
前記選択指示部は単一のスイッチを有し、前記スイッチの操作方法の違いにより前記閉作動指示および前記閉施錠指示を選択的に指示可能である、
ことを特徴とする請求項1記載の車両用ドア制御装置。
【請求項3】
前記スイッチの操作方法は前記スイッチの押下回数であり、
前記選択指示部は、前記スイッチが1回押下された場合は前記閉作動指示が、前記スイッチを2回押下された場合は前記閉施錠指示が、それぞれ選択されたものとして指示を受け付ける、
ことを特徴とする請求項2記載の車両用ドア制御装置。
【請求項4】
前記ドア部材の少なくとも一部は、当該ドア部材の開閉を補助する補助力を発生する開閉補助機構を有している
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項記載の車両用ドア制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の出入り口に設けられたドア部材の開閉を制御する車両用ドア制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の出入り口に設けられたドア部材の開閉を補助するためのパワースライドドアシステム(開閉補助機能)が普及している。
例えば、下記特許文献1は、スマートキーシステムを備えた車両用ドア開閉補助装置に関する発明であり、車載アンテナから周囲に呼掛け信号を送信し、これに応答するスマートキーからの応答信号を受信して認証を行った上で、ドアの解錠スタンバイ状態に入る。その後ドアノブに加えられた力を検出すると、ドアを解錠し、ラッチを解除した上で、ドアノブに加えられた力に応じた力をドアの開閉を補助するために提供する。ドアノブに力が加えられない場合は補助力は提供されず、またドアが全開になる前にドアノブに加わる力がゼロになった場合は、その時点で補助力が提供されなくなる。
また、下記特許文献2は、ユーザが所定の操作を行うと、開状態である車両のドアを全閉にするとともに、全閉にしたドアを施錠する車両用制御装置において、所定の操作が検出されてから、ドアが完全に閉まるまでの間に、少なくともドアの開閉指示を出すことのできる携帯機が車両から所定範囲内に存在しないと判定されると、携帯機が車両から所定範囲内に存在しないことをユーザに報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-54494号公報
【文献】特開2008-88720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術によれば、ドア部材の閉作動と施錠とはそれぞれ異なる操作で行う必要がある。しかしながら、車両から乗員全員が下車して車両を離れる場合など、ドア部材の閉作動と施錠を同時期に行う場面は多くあり、操作性の点で改善の余地がある。上記文献2では、携帯機の1回の操作によりドア部材の閉作動および施錠を指示できる旨の記載があるが、車両の乗員全員が携帯機を有している訳ではないため操作を行うことができる者は限られ、また荷物を持っている場合など、携帯機での操作が煩雑な場合もある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、車両のドア部材の閉操作と施錠操作とを同時かつ容易に行うことができる車両用ドア制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明は、車両の出入り口に設けられたドア部材の開閉を制御する車両用ドア制御装置であって、前記ドア部材の閉作動を指示する閉作動指示と、前記ドア部材の閉作動および施錠を指示する閉施錠指示と、を選択的に指示可能な選択指示部と、前記閉作動指示がなされた場合の前記閉作動の実施中、並びに、前記閉施錠指示がなされた場合の前記閉作動および前記施錠の実施中に、作動音を出力する音声出力部と、を備え、前記音声出力部は、前記閉作動指示がなされた場合の前記閉作動の実施中と、前記閉施錠指示がなされた場合の前記閉作動および前記施錠の実施中とで異なる作動音を出力し、閉作動開始から前記ドア部材が全閉位置となるまで前記作動音の出力を継続し、前記ドア部材の車体に対する位置を全閉位置に保持する保持機構と、所定の施錠位置に移動することにより前記保持機構の作動をロック可能とする施錠用部材とを更に備え、前記施錠用部材は、前記ドア部材の開閉状態に関わらず前記施錠位置に移動可能であり、前記閉施錠指示があった場合、前記施錠用部材は、前記音声出力部によって前記作動音が出力される前に前記施錠位置に移動され、前記音声出力部は、前記施錠用部材が前記施錠位置に移動される前に、前記選択指示部において前記閉作動指示が選択された場合と前記閉施錠指示が選択された場合とで、異なる受付音を出力することを特徴とする。
また、本発明は、前記選択指示部は単一のスイッチを有し、前記スイッチの操作方法の違いにより前記閉作動指示および前記閉施錠指示を選択的に指示可能であることを特徴とする。
また、本発明は、前記スイッチの操作方法は前記スイッチの押下回数であり、前記選択指示部は、前記スイッチが1回押下された場合は前記閉作動指示が、前記スイッチを2回押下された場合は前記閉施錠指示が、それぞれ選択されたものとして指示を受け付けることを特徴とする。
た、本発明は、前記ドア部材の少なくとも一部は、当該ドア部材の開閉を補助する補助力を発生する開閉補助機構を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
発明によれば、ドア部材の閉作動を指示する閉作動指示と、ドア部材の閉作動および施錠を指示する閉施錠指示と、を選択的に指示可能な選択指示部を備えるので、全てのドア部材が閉状態となってから施錠を受け付ける場合と比較して短時間で操作を終了することができ、また操作回数も1回で済むので、車両ドアの操作性を向上させる上で有利である。また、選択指示部はドア部材の車外側に設けられているので、例えば携帯機は保持していても荷物などで手がふさがっているユーザでも閉施錠指示を行うことが可能となり、利便性を向上させることができる。
また、本発明によれば、単一のスイッチの操作方法の違いにより閉作動指示および閉施錠指示を選択的に指示可能なので、別々の操作部を設ける場合と比較して車両のデザイン性が向上するとともに、部品点数が削減されて車両コストを低減する上でも有利である。
また、本発明によれば、スイッチが1回押下された場合は閉作動指示(閉作動の1ステップ処理)が、スイッチを2回押下された場合は閉施錠指示(閉作動+施錠の2ステップ処理)が、それぞれ選択されたものとして指示を受け付けるので、操作に対応する指示内容をユーザが直感的に認識することができ、車両ドアの操作性を向上させる上で有利となる。
また、本発明によれば、閉作動指示がなされた場合と閉施錠指示がなされた場合とで、異なる作動音や受付音を出力するので、ユーザが自身が行った操作が意図通りの操作か否かを確認する上で有利となる。特に、施錠動作はユーザからは見えないドア部材内部で行われるため、閉作動指示後の車両の動きと閉施錠指示後の車両の動きは同じように見える。このため、閉作動中に指示内容に対応する音声を出力することによってユーザに安心感を与えることができる。
また、本発明によれば、ドア部材の閉作動を行う前に施錠を行うことができるので、全閉状態にある他のドア部材の施錠を迅速に行うことができ、利便性を向上させることができる。
また、本発明によれば、開閉補助機構を用いてドア部材を閉作動させる際に、同時に施錠指示を行うことが可能となり、車両ドアの操作性を向上させる上で有利である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態にかかる車両用ドア制御装置10が搭載された車両20の外観図である。
図2】キーレスオペレーションキー50の外観を示す説明図である。
図3】車両用ドア制御装置10の構成を示すブロック図である。
図4】選択指示部300に対する操作があった際の車両用ドア制御装置10の処理を示すフローチャートである。
図5】(A)、(B)、(C)はラッチ部の説明図である。
図6】(A)~(D)はリンク機構を構成するレバーの説明図である。
図7】(A)、(B)はロックレバーがロック位置に位置した状態でハンドルレバーとコントロールレバーが揺動してもオープンレバーが揺動しない説明図である。
図8】(A)、(B)はロックレバーがロック解除位置に位置した状態でハンドルレバーとコントロールレバーが揺動しオープンレバーが揺動する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる車両用ドア制御装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
図1は、実施の形態にかかる車両用ドア制御装置10が搭載された車両20の外観図であり、図1(A)は側面図、図1(B)および図1(C)は後面斜視図である。
車両20には、フロントシート(運転席や助手席)への搭乗の際に用いる前部座席用ドア部材22、セカンドシートやサードシートへの搭乗の際に用いる後部座席用ドア部材24、車両後部のラゲッジスペースを使用する際に用いるテールゲート用ドア部材26が設けられている。
前部座席用ドア部材22は、車両前側22Aをヒンジにより車体に取り付けられ、ヒンジを中心に車幅方向に揺動して開閉するヒンジドアである。また、後部座席用ドア部材24は、車両前後方向に移動して開閉するスライドドアである。また、テールゲート用ドア部材26は、車両上側26Aをヒンジにより車体に取り付けられ、ヒンジを中心に上下方向に揺動して開閉するヒンジドアである。
【0009】
これらドア部材のうち、後部座席用ドア部材24およびテールゲート用ドア部材26は、ドア部材の開閉を補助する補助力を発生する開閉補助機構70(図3参照)を有しており、開閉補助機能(いわゆるパワースライドドアシステム(後部座席用ドア部材24)またはエレクトリックテールゲートシステム(テールゲート用ドア部材26))を搭載している。
【0010】
また、車両20には、各ドア部材の開閉および施錠のための操作部30が設けられている。
前部座席用ドア部材22および後部座席用ドア部材24には、それぞれドア部材を開閉するためのドアハンドル32およびドアスイッチ34が設けられている。前部座席用ドア部材22を車外から開放する際は、ドアハンドル32を手前(車体から遠ざける方向)に引いてラッチ機構60A(図5参照)の嵌合を解除して、ドア部材を車幅方向外側に揺動させる。前部座席用ドア部材22を車外から閉鎖する際は、ドア部材を車幅方向内側に揺動させてラッチ機構60Aが嵌合する閉鎖位置まで移動させる。
また、後部座席用ドア部材24を車外から開閉する際には、ドアハンドル32を所定の位置まで手前に引く、もしくはドアスイッチ34を1回押下することによって、パワースライドドアシステムが作動し、自動的にドア部材が開閉する。なお、パワースライドドアシステムがオフになっている場合等は、ドアハンドル32をつかんでドア部材を車両前後方向に移動させることによりドア部材を開閉することも可能である。
また、後述するキーレスオペレーションキー50を保持したユーザが全てのドア部材が閉じた状態で前部座席用ドア部材22のドアスイッチ34を押下することによりドア部材を施錠することができる。また、ドア部材が施錠された状態で前部座席用ドア部材22または後部座席用ドア部材24のドアスイッチ34を押下すると施錠を解除することができる。
【0011】
テールゲート用ドア部材26には、ナンバープレート40周辺にオープンスイッチ42およびロックスイッチ44が設けられている。テールゲート用ドア部材26を車外から開放する際は、オープンスイッチ42を1回押下することによって、エレクトリックテールゲートシステムが作動し、自動的にドア部材が開放する。なお、エレクトリックテールゲートシステムがオフになっている場合等は、オープンスイッチ42を押下した後ドア部材を車両上方向に引き上げることによりドア部材を開放させることも可能である。
また、後述するキーレスオペレーションキー50を保持したユーザが全てのドア部材が閉じた状態でロックスイッチ44を押下することによりドア部材を施錠することができ、ドア部材が施錠された状態でロックスイッチ44を押下すると施錠を解除することができる。
さらに、図1(C)に示すように、テールゲート用ドア部材26が開放された際に露出する下端部26Bには、クローズスイッチ46が設けられている。テールゲート用ドア部材26を閉鎖する際は、クローズスイッチ46を1回押下することによって、エレクトリックテールゲートシステムが作動し、自動的にドア部材が閉鎖する。
【0012】
また、この他各ドア部材の開閉および施錠のための操作部30として、図2に示すキーレスオペレーションキー50が設けられている。
キーレスオペレーションキー50は、ロックスイッチ52、アンロックスイッチ54、テールゲートスイッチ56、電動スライドドアスイッチ58(58A(右側ドア用),58B(左側ドア用))が設けられており、車両20から所定距離以内で各スイッチを操作することにより、各ドア部材の開閉や施錠が可能となる。
すなわち、全てのドア部材が閉じた状態でロックスイッチ52を押下するとドア部材が施錠され、ドア部材が施錠された状態でアンロックスイッチ54を押下すると施錠が解除される。
また、テールゲート用ドア部材26が閉鎖されている状態でテールゲートスイッチ56を例えば2秒間に2回押下するとエレクトリックテールゲートシステムによりテールゲート用ドア部材26が開放され、テールゲート用ドア部材26が開放されている状態でテールゲートスイッチ56を押下するとエレクトリックテールゲートシステムによりテールゲート用ドア部材26が閉鎖される。
また、後部座席用ドア部材24が閉鎖されている状態で電動スライドドアスイッチ58Aまたは58Bを押下すると、押下したスイッチに対応する側の後部座席用ドア部材24がパワースライドドアシステムにより開放され、後部座席用ドア部材24が開放されている状態で電動スライドドアスイッチ58Aまたは58Bを押下すると、押下したスイッチに対応する側の後部座席用ドア部材24がパワースライドドアシステムにより閉鎖される。
【0013】
この他、各ドア部材の車室側や運転席周辺にも、各ドア部材の開閉および施錠のための操作部30が設けられているが、車両用ドア制御装置10の処理とは関連しないため詳細な説明は省略する。
なお、実際にパワースライドドアシステムやエレクトリックテールゲートシステム(開閉補助機能)を用いてドア部材を開閉する際には、例えば開閉補助機能が有効になっているか、車両が停車状態にあるか、ドア部材と車体との間に障害物が存在していないか等の判断が行われる。
【0014】
図3は、車両用ドア制御装置10の構成を示すブロック図である。
車両用ドア制御装置10は、車両20の出入り口に設けられたドア部材(前部座席用ドア部材22、後部座席用ドア部材24、テールゲート用ドア部材26)の開閉を制御する。
上述のように、車両20のドア部材のうち後部座席用ドア部材24およびテールゲート用ドア部材26には、ドア部材の開閉を補助する補助力を発生する開閉補助機構70を有している。開閉補助機構70は、ドア本体に取り付けられたワイヤーやワイヤーも巻き取りや繰り出しを行うアクチュエータなどを備え、ドアハンドル32やドアスイッチ34、キーレスオペレーションキー50などの操作に対応して後部座席用ドア部材24やテールゲート用ドア部材26を開閉させる。
また、各ドア部材22,24,26には、それぞれ開閉センサ72および施錠用部材であるロックレバー68が設けられている。開閉センサ72は、各ドア部材22,24,26の開閉状態(例えば、各ドア部材22,24,26が全閉状態にあるか、それ以外の状態(開状態)にあるか)を検知する。
【0015】
車両ECU80は、CPU、制御プログラムなどを格納・記憶するROM、制御プログラムの作動領域としてのRAM、各種データを書き換え可能に保持するEEPROMなどの記憶部、周辺回路等とのインターフェースをとるインターフェース部などを含んで構成される。
車両ECU80は、上記CPUが上記制御プログラムを実行することにより、ドア制御部802および音声出力部804として機能する。
ドア制御部802は、操作部30への操作に対応して、各ドア部材の開閉および施錠を実行する。ドア制御部802は、例えば開閉補助機構70を有するドア部材の開放または閉鎖の指示があった場合には、開閉補助機構70を作動させて当該ドア部材を開放または閉鎖させる。また、ドア部材の施錠または開錠の指示があった場合には、図示しないアクチュエータによりロックレバー68の位置をロック位置またはロック解除位置に移動させる。ロックレバー68の詳細については後述する。
【0016】
音声出力部804は、ドア制御部802の処理(例えば操作部30からの操作入力の受付や各ドア部材の開閉・施錠の作動)に対応する音声をスピーカ76から出力させる。本実施の形態では、音声出力部804は、主に「ピー」や「ピッピッ」などのビープ音をスピーカ76から出力させる。
【0017】
操作部30は、各ドア部材の開閉および施錠を指示する操作を行うために設けられている。操作部30は、上述のように、前部座席用ドア部材22および後部座席用ドア部材24にそれぞれ設けられたドアハンドル32およびドアスイッチ34、テールゲート用ドア部材26に設けられたオープンスイッチ42、ロックスイッチ44およびクローズスイッチ46、キーレスオペレーションキー50等である。
【0018】
ここで、操作部30のうち一部は、ドア部材の閉作動を指示する閉作動指示と、ドア部材の閉作動および施錠を指示する閉施錠指示と、を選択的に指示可能な選択指示部300として機能する。閉作動指示とは、開状態にあるドア部材を全閉位置まで移動させるように指示するものであり、閉施錠指示とは、開状態にあるドア部材を全閉位置まで移動させるとともに車両20の全ドア部材の施錠を指示するものである。
本実施の形態では、選択指示部300は、パワースライドドアシステムにより閉作動可能な後部座席用ドア部材24のドアスイッチ34、およびエレクトリックテールゲートシステムにより閉作動可能なテールゲート用ドア部材26のクローズスイッチ46であるものとする。すなわち、選択指示部300は、開閉補助機構70を有するドア部材の車外側に設けられているものとする。
【0019】
選択指示部300である後部座席用ドア部材24のドアスイッチ34およびテールゲート用ドア部材26のクローズスイッチ46は、それぞれ単一のスイッチである。このため、スイッチの操作方法の違いにより閉作動指示および閉施錠指示を選択的に指示可能としている。
このスイッチの操作方法とは例えばスイッチの押下回数であり、スイッチが1回押下された場合は閉作動指示が、スイッチを2回押下された場合は閉施錠指示が、それぞれ選択されたものとして指示を受け付ける。これは、閉作動指示は閉作動という1ステップの処理を指示するものであり、閉施錠指示は閉作動+施錠という2ステップの処理を指示するものであり、このステップ数をスイッチの操作回数と結びつけることによって、操作に対応する指示内容をユーザが直感的に認識できるようにするためである。
【0020】
閉作動指示があった場合、ドア制御部802は、開閉補助機構70を作動させて開放中のドア部材を全閉位置に移動させる。
また、閉施錠指示があった場合、ドア制御部802は、まず施錠用部材であるロックレバー68をロック位置(施錠位置)に移動させ、その後開閉補助機構70を作動させて開放中のドア部材を全閉位置に移動させる。このように、ドア部材の閉作動を行う前に施錠を行うことにより、全閉状態にある他のドア部材の施錠を迅速に行うことができ、利便性を向上させることができる。なお、例えば、何らかの原因でドア部材の閉作動が中止された場合は、他のドア部材の施錠用部材はロック解除位置に戻され、解錠状態とされる。
【0021】
また、音声出力部804は、選択指示部300において閉作動指示が選択された場合と閉施錠指示が選択された場合とで、異なる受付音を出力する。具体的には、例えば閉作動指示が選択された場合には、指示された処理内容が1アクション(閉作動のみ)であるため「ピー」という受付音を出力する。また、閉施錠指示が選択された場合には、指示された処理内容が2アクション(閉作動+施錠)であるため「ピッピッ」という受付音を出力する。
また、音声出力部804は、閉作動指示がなされた場合の閉作動の実施中と、閉施錠指示がなされた場合の閉作動および施錠の実施中とで、異なる作動音を出力する。具体的には、例えば閉作動指示が選択された場合には、指示された処理内容が1アクション(閉作動のみ)であるため「ピー・ピー」という作動音を出力する。また、閉施錠指示が選択された場合には、指示された処理内容が2アクション(閉作動+施錠)であるため「ピッピッ・ピッピッ」という作動音を出力する。すなわち、アクション項目の数に対応する作動音を出力する。
これは、ユーザが自身が行った操作が意図通りの操作か否かを確認できるようにするためである。特に、施錠動作はユーザからは見えないドア部材内部で行われるので、閉作動指示後の車両の動きと閉施錠指示後の車両の動きは同じように見える。このため、閉作動中に指示内容に対応する音声を出力することによってユーザに安心感を与えることができる。
【0022】
ここで、ドア部材の開閉/施錠機構であるドアロック部の詳細構成について説明する。
図5図7に示すように、ドアロック部60は、ラッチ機構60Aとリンク機構60Bとを含んで構成されている。
図5(A)に示すように、ラッチ機構60Aは、ストライカ61と、フォーク62と、ポールレバー63と、オープンレバー64とを含んで構成され、ドア部材の車体に対する位置を全閉位置に保持する保持機構として機能する。
ストライカ61は車体側に設けられ、フォーク62とポールレバー63とオープンレバー64はドア部材側に設けられている。
フォーク62にはストライカ61に係合する係合溝6202が設けられている。
フォーク62は支軸6201を支点に図5(A)に示すロック位置と、図5(B)に示す開放位置との間で揺動可能であり、不図示のスプリングにより開放位置に付勢されている。
【0023】
ポールレバー63は支軸6301を支点として図5(A)に示す規制位置と、図5(B)に示す規制解除位置との間で揺動可能であり、不図示のスプリングにより規制位置に付勢されている。
ポールレバー63は規制位置において、係合部6302がフォーク62に係合し、フォーク62のロック位置を維持する。
また、図5(A)、(B)に示すように、規制位置においてポールレバー63の係合部6302がオープンレバー64により移動されることにより、ポールレバー63は規制位置から規制解除位置に揺動し、フォーク62のロック位置から開放位置への揺動を許容する。
【0024】
オープンレバー64は、支軸6401を支点として図5(A)に示す待機位置と、図5(B)に示す作動位置との間で揺動可能であり、不図示のスプリングにより待機位置に付勢されている。
オープンレバー64は待機位置において、オープンレバー64の一端6402がポールレバー63の係合部6304に係合しており、作動位置において、ポールレバー63を規制解除位置に揺動させる。
【0025】
リンク機構60Bは、ドア部材に設けられている。
リンク機構60Bは、図6(A)~(D)に示すように、オープンレバー65と、ハンドルレバー66と、コントロールレバー67と、ロックレバー68とを含んで構成され、オープンレバー65、ハンドルレバー66、コントロールレバー67は共通の支軸69を支点に揺動し、ロックレバー68は支軸6801を支点に揺動する。
【0026】
図6(A)に示すように、オープンレバー65の一端はケーブルC1を介してラッチ機構60Aのオープンレバー64に連結されている。
図6(B)に示すように、ハンドルレバー66の係合溝6602に、ケーブルC2を介してドアハンドル32に連結された係合ピン6604が係合し、ケーブルC2は不図示のドアハンドル用アクチュエータに連結されている。
図6(C)に示すように、コントロールレバー67に、ハンドルレバー66の係合部6606に係合可能な係合ピン6702が設けられている。
また、コントロールレバー67には、ロック解除領域6704Aとロック領域6704Bとを有する係合溝6704が設けられている。
図6(A)、(C)、(D)に示すように、オープンレバー65の係合溝6502と、コントロールレバー67の係合溝6704と、ロックレバー68の係合溝6802とにわたって係合ピン6804が係合している。
ロックレバー68は、不図示の施錠用アクチュエータにより図7(A)に示すロック位置と図8(A)に示すロック解除位置との間で揺動する。ロックレバー68の揺動は、車両ECU80(ETACS)からの信号(施錠信号/開錠信号)により制御される。すなわち、ドア制御部802から施錠信号が出力された場合には施錠用アクチュエータにより図7(A)に示すロック位置に移動され、ドア制御部802から開錠信号が出力された場合には施錠用アクチュエータにより図8(A)に示すロック解除位置に移動される。すなわち、ロックレバー68は、所定の施錠位置(ロック位置)に移動することにより保持機構であるラッチ機構60Aの作動をロック可能とする施錠用部材であり、ロックレバー68は、ドア部材の開閉状態に関わらず施錠位置(ロック位置)に移動可能である。
【0027】
(ドア部材が全閉位置に位置しロックされているロック状態(施錠状態))
ドア部材のロック状態では、ラッチ機構60Aは図5(A)に示す状態となっており、リンク機構60Bは図7(A)に示す状態となっている。
すなわち、ラッチ機構60Aにおいて、フォーク62はロック位置に位置し、ポールレバー63は規制位置に位置し、ドアの全閉状態が維持される。
また、リンク機構60Bにおいて、ロックレバー68は施錠用アクチュエータの作動によりロック位置に位置している。また、オープンレバー65と、ハンドルレバー66と、コントロールレバー67とは待機位置に位置している。
この状態で図7(A)に示すように、係合ピン6804は、ロックレバー68の係合溝6802によりコントロールレバー67の係合溝6704のロック領域6704Bに位置し、係合溝6802とロック領域6704Bとが略同一の方向に延在した状態となる。また、ロックレバー68の係合溝6802とオープンレバー65の係合溝6502とは略直交する方向に延在した状態となる。
したがって、操作部30に対してドア開放操作がなされ、ドアハンドル用アクチュエータによりハンドルレバー66が揺動されても、図7(B)に示すように、係合部6606、係合ピン6702を介してコントロールレバー67が揺動するものの、係合ピン6804が相対的にロック領域6704B内を移動するのみで、オープンレバー65は待機位置に維持され、ラッチ機構60Aのオープンレバー64を待機位置から作動位置に揺動させることはなく、したがって、ドアの全閉位置が維持される。
また、ドアハンドル32を操作しても、前記と同様に、コントロールレバー67が揺動するものの、オープンレバー65は待機位置に維持される。
すなわち、施錠用部材であるロックレバー68がロック位置(施錠位置)に移動することにより保持機構であるラッチ機構60Aの作動をロック可能とする。
【0028】
(ドアが全閉位置に位置しロックされていないアンロック状態(開錠状態))
リンク機構60Bが施錠状態にある際に、車両ECU80のドア制御部802から開錠信号が出力されると、施錠用アクチュエータが動作しロックレバー68が図8(A)に示すように、ロック位置からロック解除位置に揺動する。
ロックレバー68のロック解除位置への揺動により、係合ピン6804は、ロックレバー68の係合溝6802によりコントロールレバー67の係合溝6704のロック解除領域6704Aに位置し、係合溝6802は、支軸69を中心とした円周上で係合ピン6804を含んだ箇所の接線方向に延在する。すなわち、係合ピン6804、係合溝6704のロック解除領域6704A、係合溝6502を介してコントロールレバー67およびオープンレバー65の揺動が許容された状態となる。
したがって、ドア開閉スイッチを押すと、図8(A)、(B)に示すように、ドアハンドル用アクチュエータによりハンドルレバー66がケーブルC2、係合ピン6604を介して待機位置から揺動し、このハンドルレバー66の揺動により係合部6606、係合ピン6702を介してコントロールレバー67が待機位置から揺動する。
このコントロールレバー67の揺動により係合ピン6804、係合溝6704(ロック解除領域6704A)、6502を介して、オープンレバー65が待機位置から揺動する。
図5(A)、(B)に示すように、オープンレバー65の揺動はケーブルC1を介してラッチ機構60Aのオープンレバー64に伝達され、オープンレバー64を揺動し、オープンレバー64の一端6402、ポールレバー63の係合部6304を介してポールレバー63を規制位置から規制解除位置に揺動させる。
これによりフォーク62は不図示のスプリングにより開放位置となり、ドアが開放可能な状態となる。
また、ドアハンドル32を操作しても、前記と同様に、ハンドルレバー66、コントロールレバー67を介してオープンレバー65が揺動し、ケーブルC1、オープンレバー64を介してポールレバー63を規制位置から規制解除位置に揺動させる。
ここで、ドア制御部802からの信号によりドア開閉用アクチュエータ(開閉補助機構70)が動作し、ドアが全閉位置から開放位置にスライドする。
【0029】
ドアが開放位置に位置すると、ケーブルC2を作動させるドアハンドル用アクチュエータは非作動状態となり、ラッチ機構60Aにおいて図5(C)に示すようにオープンレバー64は不図示のスプリングにより待機位置となり、不図示のスプリングによりフォーク62は開放位置に維持される。
また、ラッチ機構60Aのオープンレバー64が待機位置となることにより、リンク機構60Bにおいて、ケーブルC1を介してオープンレバー65は待機位置となる。
また、ドアハンドル32あるいはドアハンドル用アクチュエータは非作動状態であることから、ハンドルレバー66は待機位置となり、係合ピン6702を介してコントロールレバー67も待機位置となる。
【0030】
(閉作動指示時)
いずれかのドア部材が開放位置にある際に操作部30に対して当該ドア部材のドア閉操作(閉作動指示)がなされると、ドア制御部802からの信号によりドア開閉用アクチュエータ(開閉補助機構70)が動作しドア部材が開放位置から全閉位置にスライドする。
ラッチ機構60Aでは、図5(C)、(A)に示すように、ドアの全閉位置への移動に伴って開放位置となったフォーク62の係合溝6202にストライカ61が進入していき、フォーク62はストライカ61により開放位置からロック位置に揺動する。
そして、このフォーク62のロック位置はポールレバー63およびオープンレバー64により維持される。
リンク機構60Bでは、図8(A)に示すように、ロックレバー68がロック解除位置に位置しており、この状態でドアは全閉位置となる。
【0031】
(閉施錠指示時)
開閉補助機構70を有するドア部材が1枚だけ開放された状態で選択指示部300が2度押しされ、閉施錠指示がなされると、ドア制御部802は、まずリンク機構60Bのロックレバー68(施錠用部材)を施錠用アクチュエータによりロック解除位置からロック位置に揺動させる。
図7(A)に示すように、ロックレバー68のロック解除位置からロック位置への揺動により、係合ピン6804はコントロールレバー67のロック領域6704Bに移動される。
つづいて、ドア制御部802からの信号によりドア開閉用アクチュエータが動作しドアが開放位置から全閉位置にスライドする。
ラッチ機構60Aでは、ドアの全閉位置への移動に伴って開放位置となったフォーク62の係合溝6202にストライカ61が進入していき、フォーク62はストライカ61により開放位置からロック位置に揺動する。
そして、このフォーク62のロック位置はポールレバー63およびオープンレバー64により維持される。
図7(A)に示すように、ドアが全閉位置に位置した状態でロックレバー68がロック位置に位置し、係合ピン6804がコントロールレバー67のロック領域6704Bに位置しているため、ドア開閉スイッチを押し、アクチュエータによりハンドルレバー66が揺動されても、図7(B)に示すように、係合部6606、係合ピン6702を介してコントロールレバー67が揺動するものの、係合ピン6804が相対的にロック領域6704B内を移動するのみで、オープンレバー65は待機位置に維持され、ラッチ機構60Aのオープンレバー64をロック位置から開放位置に揺動させることはなく、したがって、ドアの全閉位置が維持される。
また、ドアハンドルを操作しても、前記と同様に、コントロールレバー67が揺動するものの、オープンレバー65は待機位置に維持される。
このように、施錠用部材であるロックレバー68は、ドア部材の開閉状態に関わらずロック位置(施錠位置)に移動可能であり、閉施錠指示があった場合にロックレバー68をロック位置に移動させてからドア部材の閉作動を行うことが可能である。
なお、ドアロック部60には従来公知の様々な構成が採用可能であり、上記の実施の形態に限定されない。
【0032】
図4は、選択指示部300に対する操作があった際の車両用ドア制御装置10の処理を示すフローチャートである。
ドア制御部802は、車両20のドア部材のうち、開閉補助機能を有するドア部材(後部座席用ドア部材24およびテールゲート用ドア部材26)のうち1枚のみが開状態である場合(ステップS400:Yes)、開状態のドア部材に設けられた選択指示部300が操作されたか否かを判断する(ステップS402)。
【0033】
開状態のドア部材に設けられた選択指示部300が操作された場合(ステップS402:Yes)、ドア制御部802は、選択指示部300を操作したユーザがキーレスオペレーションキー50を保持しているか否か、すなわちキーレスオペレーションキー50が検知範囲内にあるか否かを判断する(ステップS403)。
選択指示部300を操作したユーザがキーレスオペレーションキー50を保持していない場合は(ステップS403:No)、操作を受け付けずにステップS400に戻り以降の処理をくり返す。この時、音声出力部804により操作を受け付けられないことを示すエラー音を出力するようにしてもよい。
【0034】
選択指示部300を操作したユーザがキーレスオペレーションキー50を保持している場合は(ステップS403:Yes)、ドア制御部802は、選択指示部300への操作回数(スイッチの押下回数)を判断する。
選択指示部300が2回押下された場合(ステップS404:Yes)、ドア制御部802は、ドア部材の閉作動および施錠を指示する閉施錠指示として受け付け、音声出力部804はスピーカ76から「ピッピッ」という受付音を出力させる(ステップS406)。
また、ドア制御部802は、(施錠)
選択指示部300が1回押下された場合(ステップS404:No、ステップS410:Yes)、ドア制御部802は、ドア部材の閉作動を指示する閉作動指示として受け付け、音声出力部804はスピーカ76から「ピー」という受付音を出力させる(ステップS412)。
そして、ドア制御部802は、開状態のドア部材の開閉補助機構70を駆動して、ドア部材を全閉位置方向へと移動させる。この間、音声出力部804はスピーカ76から動作音を出力させる(ステップS414)。動作音は、閉施錠指示時には「ピッピッ・ピッピッ」、閉作動指示時には「ピー・ピー」である。
ドア部材が全閉位置となるまでは(ステップS416:Noのループ)、ステップS414に戻り開閉補助機構70の駆動および動作音の出力を継続し、ドア部材が全閉位置になると(ステップS416:Yes)、本フローチャートの処理を終了する。
【0035】
なお、ステップS416で開閉補助機構70の駆動中に以下の1)~5)のような事象が検知された場合、ドア制御部802は、開閉補助機構70の駆動を停止する。
1)ドアへの挟まれが検知された場合、2)ドア部材が閉まり切らなかった場合(開閉補助機構70の駆動を開始してから所定時間以上経過してもドア部材が全閉位置に到達しない場合)、3)ユーザから開作動を指示する操作があった場合(例えば選択指示部300への再度の操作やキーレスオペレーションキー50への操作)、4)ユーザが手動でドア部材を開放した場合、5)車内にキーレスオペレーションキー50があることを検知した場合。
また、ステップS410で選択指示部300への操作回数が2回または1回以外の場合には、誤操作等であるものとして操作をキャンセルしてステップS400に戻る。この時、音声出力部804により操作回数に誤りがあることを示すエラー音を出力するようにしてもよい。
【0036】
以上説明したように、実施の形態にかかる車両用ドア制御装置10は、ドア部材の閉作動を指示する閉作動指示と、ドア部材の閉作動および施錠を指示する閉施錠指示と、を選択的に指示可能な選択指示部300を備えるので、全てのドア部材が閉状態となってから施錠を受け付ける場合と比較して短時間で操作を終了することができ、また操作回数も1回で済むので、車両ドアの操作性を向上させる上で有利である。
また、選択指示部300はドア部材の車外側に設けられているので、例えばキーレスオペレーションキー50は保持していても荷物などで手がふさがっているユーザでも閉施錠指示を行うことが可能となり、利便性を向上させることができる。
また、車両用ドア制御装置10は、単一のスイッチの操作方法の違いにより閉作動指示および閉施錠指示を選択的に指示可能なので、別々の操作部を設ける場合と比較して車両20のデザイン性が向上するとともに、車両コストを低減する上でも有利である。
また、車両用ドア制御装置10は、スイッチが1回押下された場合は閉作動指示(閉作動の1ステップ処理)が、スイッチを2回押下された場合は閉施錠指示(閉作動+施錠の2ステップ処理)が、それぞれ選択されたものとして指示を受け付けるので、操作に対応する指示内容をユーザが直感的に認識することができ、車両ドアの操作性を向上させる上で有利となる。
また、車両用ドア制御装置10は、閉作動指示がなされた場合と閉施錠指示がなされた場合とで、異なる作動音や受付音を出力するので、ユーザが自身が行った操作が意図通りの操作か否かを確認する上で有利となる。特に、施錠動作はユーザからは見えないドア部材内で行われるため、閉作動指示後の車両の動きと閉施錠指示後の車両の動きは同じように見える。このため、閉作動中に指示内容に対応する音声を出力することによってユーザに安心感を与えることができる。
また、車両用ドア制御装置10は、ドア部材の閉作動を行う前に施錠を行うことができるので、全閉状態にある他のドア部材の施錠を迅速に行うことができ、利便性を向上させることができる。なお、例えば、何らかの原因でドア部材の閉作動が中止された場合には、他のドア部材の施錠は解除され、解錠状態となる。
【0037】
なお、本実施の形態では、閉作動指示と閉施錠指示とを識別する操作方法の違いとしてスイッチの押下回数を例にして説明したが、これに限らず、例えばスイッチの押下時間や押下強度(例えば選択指示部300がタッチパネルである場合のタッチ強度)の違いなどによって識別してもよい。
また、本実施の形態では、ドア部材に設けられたスイッチを選択指示部300とした場合を例にして説明したが、キーレスオペレーションキー50のスイッチ(特に電動スライドドアスイッチ58A・58B、テールゲートスイッチ56)を用いて閉作動指示と閉施錠指示とを選択的に指示可能としてもよいことは無論である。
【符号の説明】
【0038】
10 車両用ドア制御装置
20 車両
22 前部座席用ドア部材
24 後部座席用ドア部材
26 テールゲート用ドア部材
30 操作部
300 選択指示部
32 ドアハンドル
34 ドアスイッチ
42 オープンスイッチ
44 ロックスイッチ
46 クローズスイッチ
50 キーレスオペレーションキー
60 ドアロック部
60A ラッチ機構(保持機構)
60B リンク機構
68 ロックレバー(施錠用部材)
70 開閉補助機構
72 開閉センサ
76 スピーカ
80 車両ECU
802 ドア制御部
804 音声出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8