(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】飛行機の故障処理システム及び方法、コンピュータ装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B64F 5/40 20170101AFI20221209BHJP
B64D 47/00 20060101ALI20221209BHJP
G06Q 10/00 20120101ALI20221209BHJP
【FI】
B64F5/40
B64D47/00
G06Q10/00 300
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017154437
(22)【出願日】2017-08-09
【審査請求日】2019-11-28
【審判番号】
【審判請求日】2021-09-03
(31)【優先権主張番号】201611138841.4
(32)【優先日】2016-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512162041
【氏名又は名称】エア チャイナ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】リー,タン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ユエンビン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,シジュン
(72)【発明者】
【氏名】ビー,ウェンジン
【合議体】
【審判長】藤井 昇
【審判官】三宅 龍平
【審判官】出口 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-175157(JP,A)
【文献】特開2016-45936(JP,A)
【文献】特開平7-271598(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0218783(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F 5/40
B64D 47/00
G06Q 10/00 300
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行機の故障処理システムであって、
飛行機の故障情報を受信するように配置されるインターフェイスモジュールと、
前記インターフェイスモジュールと通信可能に結合するように配置されて、前記飛行機の構成データを取得し、取得された前記構成データに基づいて前記飛行機の構成及び前記故障情報に対応する故障統計データを呼び出し、前記故障統計データに基づいて故障原因を判断するように構成された故障診断モジュールと、
前記故障情報に基づき故障に対して故障排除決定を生成するように配置される故障排除決定ユニットと、を備え、
前記故障排除決定ユニットは、
故障が保留可能な故障であるかどうかを判断し、
保留可能な故障であると判断することに応じて、式CK=P*(CL+CEP+CMP)+(1-P)*CLによって、前記故障を保留する状況で前記飛行機を引き続き飛行させて予定のメンテナンス時間及び/又は場所で故障メンテナンスを行う故障保留コスト及び前記故障に対してオンサイトメンテナンスを行うオンサイトメンテナンスコストを見積もり、
故障保留コストとオンサイトメンテナンスコストとを比較し、
故障保留コストがオンサイトメンテナンスコストより多い場合、前記故障に対してオンサイトメンテナンスを行う故障排除決定を作り、
故障保留コストがオンサイトメンテナンスコスト以下の場合、前記故障を保留して引き続き飛行する故障排除決定を作るよう、
故障タイプとコスト見積に基づいて故障排除決定を生成するように配置され、
ここで、
CKは前記故障保留コストを表し、
CLは前記故障の保留による前記飛行機の運行制限コストを表し、
Pは前記故障関連部品の保留期間内に保留不可能な故障が発生する発生確率により求められたウェイト値を表し、前記故障関連部品が前記故障に関連する部品を表し、
CEPは前記故障関連部品の保留期間内に発生した保留不可能な故障によるフライト異常コストを表し、
CMPは前記故障関連部品の保留期間内に発生した保留不可能な故障による故障メンテナンスコストを表すことを特徴とする、飛行機の故障処理システム。
【請求項2】
前記故障排除決定ユニットは、
フライト異常コスト、他のフライトに対する影響によるコスト、必要な航空材の配達コスト、オフサイト修理コスト、メンテナンス時間コストのうちの1つ又は複数に基づいてオンサイトメンテナンスコストを見積もるように配置されることを特徴とする、請求項1に記載の飛行機の故障処理システム。
【請求項3】
前記故障統計データに基づいて故障原因を判断することは、
前記飛行機の構成及び前記故障情報に対応する1つ又は複数の故障可能原因を取得し、各前記故障可能原因に対応する発生確率に基づいて前記故障可能原因に対応する故障
原因決めを実施するように故障統計データに基づいて故障原因を判断するように配置されることを特徴とする、請求項1に記載の飛行機の故障処理システム。
【請求項4】
各前記故障可能原因に対応する発生確率は、前記故障統計データに基づいて得られ、予め設定された又は予め推定された初期値を有し、毎回の故障
原因決めの結果に伴ってリアルタイムに更新されることを特徴とする、請求項3に記載の飛行機の故障処理システム。
【請求項5】
前記故障を保留して引き続き飛行する故障排除決定が、前記故障に対してメンテナンスを行う予定時間及び/又は予定場所を含むことを特徴とする、請求項1に記載の飛行機の故障処理システム。
【請求項6】
前記故障診断モジュールから出力された故障診断結果に基づいて、故障メンテナンスのために完了必要な作業
タスク、メンテナンス指示及び/又は必要な航空材とツールの状態が含まれる故障対応策を生成するように配置される故障対応策生成ユニットをさらに備えることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の飛行機の故障処理システム。
【請求項7】
飛行機の故障処理方法であって、
インターフェイスモジュールにより飛行機の故障情報を受信することと、
前記飛行機の構成データを取得し、取得された前記構成データに基づいて前記飛行機の構成及び前記故障情報に対応する故障統計データを呼び出し、前記故障統計データに基づいて故障原因を判断することと、
前記故障情報に基づき、
故障が保留可能な故障であるかどうかを判断し、
保留可能な故障であると判断することに応じて、式CK=P*(CL+CEP+CMP)+(1-P)*CLによって、前記故障を保留する状況で前記飛行機を引き続き飛行させて予定のメンテナンス時間及び/又は場所で故障メンテナンスを行う故障保留コスト及び前記故障に対してオンサイトメンテナンスを行うオンサイトメンテナンスコストを見積もり、
故障保留コストとオンサイトメンテナンスコストとを比較し、
故障保留コストがオンサイトメンテナンスコストより多い場合、前記故障に対してオンサイトメンテナンスを行う故障排除決定を作り、
故障保留コストがオンサイトメンテナンスコスト以下の場合、前記故障を保留して引き続き飛行する故障排除決定を作るよう、
故障に対して故障タイプとコストに基づいて見積もって故障排除決定を生成することと、を含み、
ここで、
CKは前記故障保留コストを表し、
CLは前記故障の保留による前記飛行機の運行制限コストを表し、
Pは前記故障関連部品の保留期間内に保留不可能な故障が発生する発生確率により求められたウェイト値を表し、前記故障関連部品が前記故障に関連する部品を表し、
CEPは前記故障関連部品の保留期間内に発生した保留不可能な故障によるフライト異常コストを表し、
CMPは前記故障関連部品の保留期間内に発生した保留不可能な故障による故障メンテナンスコストを表すことを特徴とする、飛行機の故障処理方法。
【請求項8】
フライト異常に係るコスト、他のフライトに対する影響によるコスト、必要な航空材の配達コスト、オフサイト修理コスト、メンテナンス労働時間コストのうちの1つ又は複数に基づいて前記オンサイトメンテナンスコストを見積もることを特徴とする、請求項7に記載の飛行機の故障処理方法。
【請求項9】
前記故障原因を判断することは、
前記飛行機の構成及び前記故障情報に対応する1つ又は複数の故障可能原因を取得し、各前記故障可能原因に対応する発生確率に基づいて前記故障可能原因に対応する故障
原因決めを実施することを特徴とする、請求項7に記載の飛行機の故障処理方法。
【請求項10】
各前記故障可能原因に対応する発生確率は、前記故障統計データに基づいて得られ、予め設定された又は予め推定された初期値を有し、毎回の故障
原因決めの結果に伴ってリアルタイムに更新されることを特徴とする、請求項7に記載の飛行機の故障処理方法。
【請求項11】
前記故障を保留して引き続き飛行する故障排除決定が、前記故障に対してメンテナンスを行う予定時間及び/又は予定場所を含むことを特徴とする、請求項7に記載の飛行機の故障処理方法。
【請求項12】
故障診断結果に基づいて、故障メンテナンスのために完了必要な作業
タスク、メンテナンス指示及び/又は必要な航空材及びツールの状態が含まれる故障対応策を生成することをさらに含むことを特徴とする、請求項7~11のいずれか一項に記載の飛行機の故障処理方法。
【請求項13】
飛行機の故障処理方法であって、
インターフェイスモジュールにより飛行機の故障情報を受信することと、
前記飛行機の構成データを取得し、取得された前記構成データに基づいて前記飛行機の構成及び前記故障情報に対応する故障統計データを呼び出し、前記故障統計データに基づいて故障原因を判断することと、
前記故障原因に基づき、故障が保留可能な故障であるかどうかを判断することと、
保留可能な故障であると判断することに応じて、前記故障を保留する状況で前記飛行機を引き続き飛行させて予定のメンテナンス時間及び/又は場所で故障メンテナンスを行う故障保留コスト及び前記故障に対してオンサイトメンテナンスを行うオンサイトメンテナンスコストを見積もることと、
故障保留コストとオンサイトメンテナンスコストとを比較することと、
故障保留コストがオンサイトメンテナンスコストより多い場合、前記故障に対してオンサイトメンテナンスを行う故障排除決定を作り、故障保留コストがオンサイトメンテナンスコスト以下の場合、前記故障を保留して引き続き飛行する故障排除決定を作ること、
を含むことを特徴とする、飛行機の故障処理方法。
【請求項14】
前記飛行機の構成及び前記故障情報に対応する1つ又は複数の故障可能原因を取得し、各前記故障可能原因に対応する発生確率に基づいて前記故障可能原因に対応する故障
原因決めを実施するように前記故障統計データに基づいて故障原因を判断することを特徴とする、請求項
13に記載の飛行機の故障処理方法。
【請求項15】
各前記故障可能原因に対応する発生確率は、前記故障統計データに基づいて得られ、予め設定された又は予め推定された初期値を有し、毎回の故障
原因決めの処理結果に伴ってリアルタイムに更新されることを特徴とする、請求項
14に記載の飛行機の故障処理方法。
【請求項16】
前記故障可能原因の発生確率の降順で関連する各前記故障可能原因に対応する故障
原因決めを順に実施することを特徴とする、請求項
15に記載の飛行機の故障処理方法。
【請求項17】
前記故障が保留可能な故障であるかどうかを判断した結果に基づいて、故障メンテナンスのために完了必要な作業
タスク、メンテナンス指示及び/又は必要な航空材及びツールの状態が含まれる故障対応策を生成することをさらに含むことを特徴とする、請求項13~
16のいずれか一項に記載の飛行機の故障処理方法。
【請求項18】
前記故障排除決定ユニットは、
前記故障関連部品に対して性能を解析し又は前記故障関連部品の故障確率分布を分析することにより前記発生確率を得るように配置されることを特徴とする、請求項1に記載の飛行機の故障処理システム。
【請求項19】
前記ウェイト値は、前記発生確率に等しいことを特徴とする、請求項1に記載の飛行機の故障処理システム。
【請求項20】
前記故障排除決定ユニットは、メンテナンス担当者の労働時間利用率が低い期間を判断して前記予定時間を前記労働時間利用率が低い期間内に手配するように配置されることを特徴とする、請求項1に記載の飛行機の故障処理システム。
【請求項21】
コンピュータにおいて、プロセッサにより実行される場合、請求項7~
17のいずれか一項に記載の方法を実現することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行機の故障処理システム及び方法、コンピュータ装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
飛行機のメンテナンスコストは、航空会社の運営コストに影響を与える重要な要素の一つである。そのため、どのように飛行機のメンテナンスコストを低減するかは、各航空会社が注目する問題である。現在、飛行機のメンテナンスコストを低減する措置は、主に、飛行機のノンサービング時間の最小化、飛行機の使用期間及び部品メンテナンス周期の最長化、メンテナンスの人力資源及びその作業量の最適化、ツール機器及び格納庫利用率の最大化などが含まれる定期検査に対するコスト制御に体現される。突然の飛行機故障については、メンテナンスの人力資源及びその作業量を最適化すること以外、よりよいコスト制御方法がまだ現れていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の問題の一つ以上を解決するために、本出願の実施例は、飛行機の故障処理システム及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の問題の一つ以上を解決するために、本出願の実施例は、飛行機の故障処理システム、方法及びプログラムを提供する。
【0005】
1つの実施例において、前記故障排除決定ユニットが故障タイプとコスト見積とに基づいて故障排除決定を生成することは、
故障が保留可能な故障であるかどうかを判断し、
保留可能な故障であると判断することに応じて、前記故障を保留する状況で前記飛行機を引き続き飛行させて予定のメンテナンス時間及び/又は場所で故障メンテナンスを行う故障保留コスト及び前記故障に対してオンサイトメンテナンスを行うオンサイトメンテナンスコストを見積もり、
故障保留コストとオンサイトメンテナンスコストとを比較し、
故障保留コストがオンサイトメンテナンスコストより多い場合、前記故障に対してオンサイトメンテナンスを行う故障排除決定を作り、
故障保留コストがオンサイトメンテナンスコスト以下の場合、前記故障を保留して引き続き飛行する故障排除決定を作ることを含む。
【0006】
1つの実施例において、前記故障排除決定ユニットは、フライト異常コスト、他のフライトに対する影響によるコスト、必要な航空材の配達コスト、オフサイト修理コスト、メンテナンス時間コストのうちの1つ又は複数に基づいて、前記オンサイトメンテナンスコストを見積もる。
【0007】
1つの実施例において、前記故障排除決定ユニットは、前記故障の保留による飛行機の運行制限コスト及び保留期間内の故障に関連する部品の保留不可能な故障によって引き起こされるフライト異常コスト、故障メンテナンスコストのうちの1つ又は複数に基づいて前記故障保留コストを見積る。
【0008】
1つの実施例において、前記故障排除決定ユニットは、故障に関連する部品が保留期間内に保留不可能な故障が発生する発生確率を判断する。
【0009】
1つの実施例において、前記故障排除決定ユニットは、前記発生確率に基づいて前記保留不可能な故障によるフライト異常コストと故障メンテナンスコストとのウェイト値を求めて、前記故障保留コストを計算する。
【0010】
1つの実施例において、前記故障排除決定ユニットは、下記の式に基づいて前記故障保留コストを計算し、
C
K
=P*(CL+CEP
+CMP
)+(1-P)*CL、
ここで、
C
K
は前記故障保留コストを表し、
C
L
は前記故障の保留による前記飛行機の運行制限コストを表し、
Pは前記発生確率により前記ウェイト値を求めることを表し、
CEP
は前記故障に関連する部品の保留期間内に発生した保留不可能な故障によるフライト異常コストを表し、
CMP
は前記故障に関連する部品の保留期間内に発生した保留不可能な故障による故障メンテナンスコストを表す。
【0011】
1つの実施例において、前記ウェイト値は前記発生確率に等しい。
【0012】
1つの実施例において、前記故障排除決定ユニットは、前記故障に関連する部品に対して性能を解析し又は前記故障に関連する部品の故障確率分布を分析することにより、前記発生確率を得る。
【0013】
1つの実施例において、前記故障を保留して引き続き飛行する故障排除決定は、前記故障に対してメンテナンスを行う予定時間及び/又は予定場所を含む。
【0014】
1つの実施例において、前記故障排除決定ユニットは、メンテナンス担当者の労働時間利用率が低い期間を判断して前記予定時間を前記労働時間利用率が低い期間内に手配する。
【0015】
1つの実施例において、飛行機の故障処理システムは、インターフェイスモジュールと通信可能に結合し、前記故障情報に基づいて故障診断を行って故障原因を得るように構成される故障診断モジュールをさらに備える。
【0016】
1つの実施例において、飛行機の故障処理システムは、故障診断モジュールから出力された故障診断結果に基づいて、故障メンテナンスのために完了必要なタスク、メンテナンス指示及び/又は必要な航空材及びツールの状態が含まれる故障対応策を生成することに用いられる故障対応策生成ユニットをさらに備える。
【0017】
本発明の別の態様による飛行機の故障処理方法は、
インターフェイスモジュールにより飛行機の故障情報を受信することと、
故障に対して故障タイプとコストとに基づいて見積もって故障排除決定を生成することと、を含む。
【0018】
1つの実施例において、故障タイプとコストとに基づいて見積もって故障排除決定を生成することは、
故障が保留可能な故障であるかどうかを判断し、
保留可能な故障であると判断することに応じて、前記故障を保留する状況で前記飛行機を引き続き飛行させて予定のメンテナンス時間及び/又は場所で故障メンテナンスを行う故障保留コスト及び前記故障に対してオンサイトメンテナンスを行うオンサイトメンテナンスコストを見積もり、
故障保留コストとオンサイトメンテナンスコストとを比較し、
故障保留コストがオンサイトメンテナンスコストより多い場合、前記故障に対してオンサイトメンテナンスを行う故障排除決定を作り、
故障保留コストがオンサイトメンテナンスコスト以下の場合、前記故障を保留して引き続き飛行する故障排除決定を作ることを含む。
【0019】
1つの実施例において、フライト異常コスト、他のフライトに対する影響によるコスト、必要な航空材の配達コスト、オフサイト修理コスト、メンテナンス労働時間コストのうちの1つ又は複数に基づいて前記オンサイトメンテナンスコストを見積もる。
【0020】
1つの実施例において、前記故障の保留による飛行機の運行制限コスト及び保留期間内の故障に関連する部品の保留不可能な故障によって引き起こされるフライト異常コスト、故障メンテナンスコストのうちの1つ又は複数に基づいて前記故障保留コストを見積もる。
【0021】
1つの実施例において、飛行機の故障処理方法は、故障に関連する部品が保留期間内に保留不可能な故障が発生する発生確率を判断することをさらに含む。
【0022】
1つの実施例において、前記発生確率に基づいて前記保留不可能な故障によるフライト異常コストと故障メンテナンスコストとのウェイト値を取得し、前記故障保留コストを計算する。
【0023】
1つの実施例において、下記の式に基づいて前記故障保留コストを計算し、
C
K
=P*(CL+CEP
+CMP
)+(1-P)*CL
、
ここで、
C
K
は前記故障保留コストを表し、
CLは前記故障の保留による前記飛行機の運行制限コストを表し、
Pは前記発生確率により前記ウェイト値を求めることを表し、
CEP
は前記故障に関連する部品の保留期間内に発生した保留不可能な故障によるフライト異常コストを表し、
CMP
は前記故障に関連する部品の保留期間内に発生した保留不可能な故障による故障メンテナンスコストを表す。
【0024】
1つの実施例において、前記ウェイト値は前記発生確率に等しい。
【0025】
1つの実施例において、前記発生確率は、前記故障に関連する部品に対して性能を解析し又は前記故障に関連する部品の故障確率分布を分析することで得られる。
【0026】
1つの実施例において、前記故障を保留して引き続き飛行する故障排除決定は、前記故障に対してメンテナンスを行う予定時間及び/又は予定場所を含む。
【0027】
1つの実施例において、飛行機の故障処理方法は、メンテナンス担当者の労働時間利用率が低い期間を判断して前記予定時間を前記労働時間利用率が低い期間内に手配することをさらに含む。
【0028】
1つの実施例において、飛行機の故障処理方法は、前記故障情報に基づいて故障診断を行って故障原因を得ることをさらに含む。
【0029】
1つの実施例において、飛行機の故障処理方法は、故障診断結果に基づいて、故障メンテナンスのために完了必要なタスク、メンテナンス指示及び/又は必要な航空材及びツールの状態が含まれる故障対応策を生成することをさらに含む。
【0030】
本発明の別の態様による飛行機の故障処理方法は、
故障が保留可能な故障であるかどうかを判断することと、
保留可能な故障であると判断することに応じて、前記故障を保留する状況で前記飛行機を引き続き飛行させて予定のメンテナンス時間及び/又は場所で故障メンテナンスを行う故障保留コスト及び前記故障に対してオンサイトメンテナンスを行うオンサイトメンテナンスコストを見積もることと、
故障保留コストとオンサイトメンテナンスコストとを比較することと、
故障保留コストがオンサイトメンテナンスコストより多い場合、前記故障に対してオンサイトメンテナンスを行う故障排除決定を作ることと、を含む。
【0031】
本発明の別の態様による飛行機の故障処理方法は、
故障が保留可能な故障であるかどうかを判断することと、
保留可能な故障であると判断することに応じて、前記故障を保留する状況で前記飛行機を引き続き飛行させて予定のメンテナンス時間及び/又は場所で故障メンテナンスを行う故障保留コスト及び前記故障に対してオンサイトメンテナンスを行うオンサイトメンテナンスコストを見積もることと、
故障保留コストとオンサイトメンテナンスコストとを比較することと、
故障保留コストがオンサイトメンテナンスコスト以下の場合、前記故障を保留して引き続き飛行する故障排除決定を作ることと、を含む。
【0032】
1つの実施例において、フライト異常コスト、他のフライトに対する影響によるコスト、必要な航空材の配達コスト、オフサイト修理コスト、メンテナンス労働時間コストのうちの1つ又は複数に基づいて前記オンサイトメンテナンスコストを見積もる。
【0033】
1つの実施例において、前記故障の保留による飛行機の運行制限コスト及び故障に関連する部品が保留期間内に保留不可能な故障が発生して引き起こされるフライト異常コスト、故障メンテナンスコストのうちの1つ又は複数に基づいて前記故障保留コストを見積もる。
【0034】
1つの実施例において、飛行機の故障処理方法は、故障に関連する部品が保留期間内に保留不可能な故障が発生する発生確率を判断することをさらに含む。
【0035】
1つの実施例において、前記発生確率に基づいて前記保留不可能な故障によるフライト異常コストと故障メンテナンスコストとのウェイト値を取得し、前記故障保留コストを計算する。
【0036】
1つの実施例において、下記の式に基づいて前記故障保留コストを計算し、
C
K
=P*(CL+CEP
+CMP
)+(1-P)*CL
、
ここで、
C
K
は前記故障保留コストを表し、
CLは前記故障の保留による前記飛行機の運行制限コストを表し、
Pは前記発生確率により前記ウェイト値を求めることを表し、
CEP
は前記故障に関連する部品の保留期間内に発生した保留不可能な故障によるフライト異常コストを表し、
CMP
は前記故障に関連する部品の保留期間内に発生した保留不可能な故障による故障メンテナンスコストを表す。
【0037】
1つの実施例において、前記ウェイト値は前記発生確率に等しい。
【0038】
1つの実施例において、前記発生確率は、前記故障に関連する部品に対して性能を解析し又は前記故障に関連する部品の故障確率分布を分析することで得られる。
【0039】
1つの実施例において、前記故障を保留して引き続き飛行する故障排除決定は、前記故障に対してメンテナンスを行う予定時間及び/又は予定場所を含む。
【0040】
1つの実施例において、飛行機の故障処理方法は、メンテナンス担当者の労働時間利用率が低い期間を判断して前記予定時間を前記労働時間利用率が低い期間内に手配することをさらに含む。
【0041】
1つの実施例において、飛行機の故障処理方法は、前記故障情報に基づいて故障診断を行って故障原因を得ることをさらに含む。
【0042】
1つの実施例において、飛行機の故障処理方法は、故障診断結果に基づいて、故障メンテナンスのために完了必要なタスク、メンテナンス指示及び/又は必要な航空材及びツールの状態が含まれる故障対応策を生成することをさらに含む。
【0043】
本発明の別の態様による飛行機故障処理用コンピュータ装置は、
コンピュータ実行可能な命令を記憶するメモリと、
前記メモリにアクセスして前記メモリに記憶された前記コンピュータ実行可能な命令を実行することができ、前記コンピュータ実行可能な命令が実行される場合、前記コンピュータ装置が前記飛行機の故障処理方法を実行するプロセッサと、を備える。
【0044】
本発明の別の態様による飛行機の故障処理システムは、
故障が保留可能な故障であるかどうかを判断することに用いられるユニットと、
保留可能な故障であると判断することに応じて、前記故障を保留する状況で前記飛行機を引き続き飛行させて予定のメンテナンス時間及び/又は場所で故障メンテナンスを行う故障保留コスト及び前記故障に対してオンサイトメンテナンスを行うオンサイトメンテナンスコストを見積もることに用いられるユニットと、
故障保留コストとオンサイトメンテナンスコストとを比較することに用いられるユニットと、
故障保留コストがオンサイトメンテナンスコストより多い場合、前記故障に対してオンサイトメンテナンスを行う故障排除決定を作ることに用いられるユニットと、を備える。
【0045】
本発明の別の態様による飛行機の故障処理システムは、
故障が保留可能な故障であるかどうかを判断することに用いられるユニットと、
保留可能な故障であると判断することに応じて、前記故障を保留する状況で前記飛行機を引き続き飛行させて予定のメンテナンス時間及び/又は場所で故障メンテナンスを行う故障保留コスト及び前記故障に対してオンサイトメンテナンスを行うオンサイトメンテナンスコストを見積もることに用いられるユニットと、
故障保留コストとオンサイトメンテナンスコストとを比較することに用いられるユニットと、
故障保留コストがオンサイトメンテナンスコスト以下の場合前記故障を保留して引き続き飛行する故障排除決定を作ることに用いられるユニットと、を備える。
【0046】
本出願の各実施例により、飛行機セキュリティリスクを考慮した上、飛行機の故障処理に対するコスト制御を実現することができ、それによって飛行安全を保証するとともに飛行機の運営コストを低減させる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】本出願の1つの実施例による飛行機の故障処理システムのモジュールの構成を示す図である。
【
図2】本出願の1つの実施例による飛行機の故障処理方法のフローチャートである。
【
図3】本出願の一つの実施例による飛行機の故障処理システムを実現するインターネット環境の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図面において、特に規定しない限り、複数の図面にわたる同一の図面の符号は、同一又は類似した部品又は要素を表す。図面は制限ではなく例として概要的に本発明に検討した各実施例を示す。これらの図面は、必ずしも比例で描かれてはいない。
【0049】
以下にいくつかの例示的な実施例のみを簡単に説明した。当業者が認識するように、前記実施形態は、その趣旨や範囲を逸脱せずに種々の変形が可能である。従って、図面及び説明は、制限するためでなく、本質的に例示的な実施例であるとみなされる。
【0050】
より詳しく例示的な実施例を検討する前に、いくつかの例示的な実施例がフローチャートで示す処理又は方法として説明されると言及すべきである。フローチャートにおいて、各操作が順番に処理されるように説明されたが、その中のたくさんな操作は並列、並行又は同時に実施されることができる。また、各操作の順番は改めて手配されることができる。その操作が完了するときに前記処理は終了されることができる。更に図面に含まれていない付加のステップを含むこともできる。前記処理は、方法、関数、規程、サブルーチン、サブプログラムなどに対応することができる。
【0051】
後に検討する方法(その中のいくつかの方法はフローチャートで示される)及び/又はシステムは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア説明言語又は他のいずれかの組合せにより実施されることができる。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア又はマイクロコードにより実施される場合、必要なタスクを実施するためのプログラムコード又はスニペットは、機器又はコンピュータ読み取り可能な媒体(例えば記憶媒体)に記憶されることができる。(1つ又は複数)プロセッサは、必要なタスクを実施することができる。
【0052】
図1は本出願の一つの実施例による飛行機の故障処理システムのモジュールの構成を示す図であり、これらのモジュールは、1つ又は複数のコンピュータ/コンピュータシステム上のソフトウェアプログラム、コンピュータ/計算装置を構成するハードウェア/ファームウェア部品及び/又はそれらの組み合わせにより実現されることができる。コンピュータ/計算装置は、ローカル記憶装置及び/又は遠隔アクセスでき、インターネットを介して接続される記憶装置を有することができる。
【0053】
図1に示すように、飛行機の故障処理システム100は、各種のインターフェイスモジュール(空中データインターフェイス103、故障報告インターフェイス104、WIFI(登録商標)/ブルートゥース(登録商標)インターフェイス105、ソフトウェアインターフェイス102など)及び決定モジュール101を備える。インターフェイスモジュールは、故障に関するデータ及び/又は情報を受信又は取得することに用いられる。例えば、空中データインターフェイス103は、飛行機の故障処理システム100が航空電気通信インターネット/移動通信インターネット108により、例えばリアルタイム故障、ACMSメッセージ、QAR、故障メンテナンスリストなどの空中データを要求及び受信するインターフェイスである。例えば、飛行機の故障処理システム100は、イーサネットインターフェイス、WIFIインターフェイス、移動通信インターフェイスなどを介して航空電気通信インターネット/移動通信インターネット108に直接又は間接に接続されることができる。故障報告インターフェイス104は、飛行機の故障処理システム100とユーザとの間の対話型インターフェイスであり、ユーザは、故障報告インターフェイス104により飛行機の故障処理システム100に故障メッセージ又は他の故障情報を入力することができる。故障報告インターフェイスは、例えばマウス、キーボード、ディスプレイなど又はそれらの組み合わせであってもよい。WIFI/ブルートゥースインターフェイス105は、飛行機の故障処理システム100と各種の測定ツール及び測定装置との間のインターフェイスであり、当該インターフェイスを介して、システム100は、測定ツール/装置に測定需要を出して測定ツール/装置からの測定結果を受信することができる。ソフトウェアインターフェイス102は、飛行機の故障処理システム100と他のソフトウェアプリケーション又はソフトウェアモジュールとインタラクションを行うインターフェイスであり、例えば、システム100は、ソフトウェアインターフェイス102を介して故障処理のための必要な器材、ツール状態を問い合わせて他の対応するソフトウェアシステムからの前記状態情報を受信することができる。システム100は、さらにソフトウェアインターフェイスを介して他のソフトウェアシステムからの故障メンテナンスリストを受信することができる。決定モジュール101は、故障タイプ/セキュリティリスクの考慮及びコスト見積に基づいて故障に対して故障排除決定を生成することに用いられる。1つの実施例において、決定モジュール101は、セキュリティリスクの考慮及びコスト見積に基づいてオンサイトメンテナンス決定又は故障保留決定を生成することに用いられる。故障保留決定について、飛行機に対して故障保留処理を行う。オンサイトメンテナンス決定について、メンテナンス担当者がメンテナンスを行うときに閲覧するように、
地絡シート(Ground Fault Sheet)を生成し及び/又は故障をELB(電子記録簿)に記録する。別の実施例において、決定モジュール101は、故障排除決定を生成するときにソフトウェアインターフェイス102からの決定補助情報、例えばフライト予定情報に基づいて、運行制限コスト又はフライト異常コストを計算することができる。以下、
図2を参照して決定モジュール101における処理を詳しく説明する。
【0054】
図1に示すように、飛行機の故障処理システム100は、さらに故障診断モジュール106、故障対応策生成モジュール107、飛行機構成データベース109、故障分類及び統計モジュール110、故障データベース111を備えることができる。故障診断モジュール106及びインターフェイスモジュールは、通信可能的に結合し、前記故障情報に基づいて故障診断を行って故障原因を得るように構成される。飛行機構成データベース109には各飛行機のタイプ、ハードウェア構成及び父子関係(即ち飛行機システムとその構成部品との間の関係)、ハードウェア機能位置、互換性の制限、飛行機性能、コックピットのレイアウトなどが記録されている。故障データベース111には、毎回の故障の故障特徴(例えば、故障説明、故障コード、テキストメッセージ、点灯メッセージ又は指示メッセージのうちの1つ又は複数)、故障位置決めステップ及び確定された故障原因が含まれる故障処理レコードが記録される。故障分類及び統計モジュール110は、同一又は類似した故障に対してどのような故障可能原因があるか、及び各故障可能原因の発生確率を得るように故障データベースのうちの故障処理レコードを分類して統計する。故障診断を行う際に、故障診断モジュール106は、ユーザ、測定装置又は他のソフトウェアシステムとのインタラクションによりインターフェイスモジュールから故障情報及び必要な故障関連データを得ることができる。故障診断モジュール106は、さらに飛行機構成データベース109を問い合わせて飛行機の構成データを取得し、構成データに基づいて故障分類及び統計モジュール110から飛行機構成及び故障情報に対応する故障統計データを呼び出し、故障統計データに基づいて故障原因を判断することができる。1つの実施例において、故障診断モジュール106は、インターフェイスモジュールからの故障データから取得された故障識別子及び飛行機構成データベースから取得される飛行機構成データに応じて、故障分類及び統計モジュール110にアクセスして取得された故障識別子と飛行機構成データに対応する1つ又は複数の故障可能原因を検索し、各故障可能原因に対応する発生確率に基づいて故障可能原因に対応する故障位置決めステップの実施を促進し、故障原因を位置決めするように構成される。各故障可能原因に対応する発生確率は、大量の統計データに基づいて得られるものであり、それは予め設定された又は予め推定された初期値を有し、毎回の故障位置決めの処理結果に伴ってリアルタイムに更新されることができる。
【0055】
本発明の一つの実施例によれば、故障診断モジュール106は、故障原因を位置決めするまで、故障可能原因の発生確率の降順で関連する各故障可能原因に対応する故障位置決めステップの実施を順に促進するように構成される。例えば、故障診断モジュール106は、検索された、対応する1つ又は複数の故障可能原因のうちの発生確率が一番高い第1の故障可能原因を確定し、第1の故障可能原因に対応する故障位置決めステップの実施を促進するように構成されることができる。故障位置決めステップの実行結果により、故障が第1の故障可能原因によって引き起されないことが示される場合、故障診断モジュール106は、さらに、検索された、対応する残りの故障可能原因から発生確率が一番高い第2の故障可能原因を確定し、前記第2の故障可能原因に対応する故障位置決めステップの実施を促進するように構成されることができる。これによって類推し、本当の故障原因が確定されるまで行う。その中、複数の故障可能原因の発生確率が同じ又は存在しない(例えば、システムがまだデータを使用しない初期状態にある)場合、故障診断モジュール106は、ランダムな順序で前記複数の故障可能原因のそれぞれに対応する対応する故障位置決めステップの実施を促進するように構成されることができる。別の実施例によれば、故障診断モジュール106は、さらに検索された、対応する1つ又は複数の故障可能原因と各故障可能原因の発生確率を一括にユーザに提供してユーザが選択するために供え、ユーザの選択に応じて、ユーザより選択された故障可能原因に対応する故障位置決めステップの実施を促進するように構成されることができる。
【0056】
以上に説明された各実施例において、故障診断モジュール106が故障位置決めステップの実施を促進することは、故障診断モジュール106が対応する故障位置決めステップを実施するようにユーザに指示し、インターフェイスモジュールにより故障診断モジュール106に故障位置決めステップの実行結果、即ち、当該故障可能原因が本当の故障原因であるかどうかをフィードバックすることを含むことができる。選択可能に、故障診断モジュール106は、さらに、故障装置に接続された測定センターとのインタラクションにより前記故障位置決めステップを自動的に完了し、かつ故障位置決めステップの実結果がインターフェイスモジュールを介して故障診断モジュール106にフィードバックされるように構成されることができる。
【0057】
別の実施例によれば、故障診断モジュール106は、故障位置決めステップの実行結果により、関連する故障位置決めレコードに含まれる全ての故障可能原因が実際の故障原因ではないことが示される場合、ユーザが自己で故障原因を分析し、ユーザより入力された自己で分析した故障原因の結果に応じて、確定された故障原因と前記故障原因の確定のために必要な故障位置決めステップを入力するようにユーザに指示するように構成される。
【0058】
上記の実施例に言及された、故障可能原因に対応する故障位置決めステップは、故障診断モジュール106より故障分類及び統計モジュール110から取得されてもよく、故障診断モジュール106より他のデータベース(例えばFIMマニュアルデータベース)から取得されてもよく、又はユーザより入力されて得られてもよい。
【0059】
以下、ブリードトリップオフライトの故障を例として故障診断モジュール106の処理を説明する。故障診断モジュール106は、インターフェイスモジュールにより故障識別子「ブリードトリップオフライト」を受信し、故障分類及び統計モジュール110により下記の飛行機構成データと故障識別子に対応するいくつの故障可能原因及びそれに対応する発生確率を得る。
(1)予冷器制御弁の故障 10%
(2)予冷器制御弁センサの故障 15%
(3)450°F温度計の故障 3%
(4)高圧段ブリードエアレギュレータの故障 5%
(5)高圧段ブリードバルブ故障 8%
(6)ブリードエアレギュレータ故障 12%
(7)センシングライン故障 7%
(8)予冷器ガスケットの故障 6%
(9)予冷器の故障 20%
(10)エンジン1(エンジン2)490°F過熱スイッチの故障 14%
【0060】
このように、一番高い発生確率20%に対応する可能原因は(9)予冷器の故障である。故障診断モジュール106は、故障位置決めレコードを探した上記の結果に基づいて故障対応策を決定することができる。例えば、可能原因(9)に対応する故障位置決めステップを実行するようにユーザに指示し、又は上記の可能故障原因を発生確率の降順でシーケンスに配列してユーザに呈してユーザが選択するために供えることができる。
【0061】
故障診断モジュール106は、故障原因を診断した後、故障原因及び当該故障を処理するために必要なワードカード(作業タスク)、機器及び関連するMEL(最小装置リスト:Minimum Equipment List)を故障対応策生成モジュール107に送信する。故障対応策生成モジュール107は、故障診断モジュール106から提供されたこれらの情報に基づいて、対応する故障対応策を生成し、故障原因及びその故障対応策を決定モジュール101に送信し、故障対応策が故障メンテナンスのために完了必要な作業タスク、メンテナンス指示及び/又は必要な航空材とツールの状態などを含む。なお、故障診断モジュール106と故障対応策生成モジュール107は、本願の必要なものではないと指摘すべきである。例えば、故障原因は、ユーザ又は他の担当者又は装置により確定された後に決定モジュール101に入力又は送信されることができる。当該故障についてメンテナンスのために完了必要な作業タスク、メンテナンス指示及び/又は必要な航空材及びツールの状態などの情報は、人工的に入力され又は決定モジュール101により他の装置、モジュール、データベース又はソフトウェアプリケーションから取得されることができる。
図1に示す実施例において、飛行機の故障処理システムが故障診断モジュール106、故障対応策生成モジュール107、飛行機構成データベース109、故障分類及び統計モジュール110、故障データベース111を備えるように示されるが、これらのモジュールのうちの1つ又は複数が他の装置又はシステムで実施されることができることは理解することができる。
【0062】
図2は、決定モジュール101がどのように決定するかのフローチャートを示す。
【0063】
ステップS201において、故障が保留可能な故障であるかを判断する。
【0064】
1つの実施例において、セキュリティリスクの考慮に基づいて、故障を保留可能な故障と保留不可能な故障に分ける。保留可能な故障とは、飛行機が当該故障に伴って飛び続けても、飛行安全に影響を与えない故障である。飛行機の故障が保留可能な故障であれば、飛行機は当該故障を保留して引き続き飛行することができる。飛行機の故障が保留不可能な故障であれば、飛行機は、引き続き飛行することができなく、オンサイトメンテナンスを行う必要がある。1つの実施例において、MELに基づいて故障が保留可能な故障であるかを判断することができる。別の実施例において、NO GO故障、短期故障、長期故障などが保留可能な故障であると判断されることができる。例えば、いくつかの故障について、737NG飛行機のフルオーソリティデジタルエンジン制御(FADEC)システムにより診断されたメンテナンス情報は、150、750飛行時間の制限があり、これらの故障は、短時間故障と称されることができる。長時間故障は、例えば次回のCチェックに排除すればよい故障である。他の実施例において、他のいかなる飛行安全に影響しない故障を保留可能な故障とすることができる。故障原因を判断した後、MELマニュアルを探すこと及び/又は他の手段で保留可能な故障であるかどうかを判断することができる。当該ステップは、決定モジュール101により実行されてもいいし、故障診断モジュール106又は他のモジュールにより実行されてもよく、判断結果を決定モジュール101に送信する。別の実施例において、いくつかの故障に対して、故障原因を判断する必要がなく、直接故障特徴に基づいてそれが保留可能な故障であるかどうかを判断することができる。例えば、仮定に777飛行機にEICAS警告情報CABIN ALT AUTO Lが現れるとし、それは直接MELマニュアルのうちのMEL 21-31-01、即ち、オートキャビン圧力コントローラ左/右に対応し、MELマニュアル条件に応じて許可される保留可能な故障である。また、例えば、737-800飛行機のMEL36-3予冷器制御弁エントリーについて、飛行機はこの故障が発生すると、コックピットにおいて抽気システムの解放警告が出すおそれがあり、これについては解放原因を隔離しないとこのエントリーで故障保留を行うことができない。故障が保留可能な故障に属しない場合、それが保留不可能な故障であると判断される。
【0065】
ステップS201において保留可能な故障と判断することに応じて、ステップS202に進み、当該故障を保留する場合で飛行機が飛び続けさせて予定のメンテナンス時間及び/又は場所で故障メンテナンスを行う故障保留コストCK及び前記故障に対してオンサイトメンテナンスを行うオンサイトメンテナンスコストCMとを見積もる。
【0066】
オンサイトメンテナンスコストCMを見積もる場合、故障メンテナンスによるフライト異常コスト、他のフライトに対する影響によるコスト、必要な航空材の配達コスト、オフサイト修理コスト、メンテナンス労働時間コストのうちの1つ又は複数を考慮する必要がある。故障メンテナンスによるフライト異常コスト及び他のフライトに対する影響によるコストとは、例えばフライトの遅延時間数で測定され、その後、単位時間あたりの予定コストを掛けて得られるフライト異常コスト及び他のフライトに対する影響によるコストを得る。必要な航空材の配達コストとは、故障メンテナンスのために必要な航空材の状態に応じて航空材修理コストと航空材レンタルコストに分けられる。オフサイト修理コストとは、例えばオンサイトメンテナンスを行うためにメンテナンス担当者が他の場所から急いで来るコストである。メンテナンス労働時間コストとは、メンテナンス担当者が現場でメンテナンスを行って掛かる労働時間コストである。
【0067】
故障保留コストCKを見積もる場合、当該故障の保留による飛行機の運行制限コスト、故障に関連する部品が保留期間内に保留不可能な故障が発生して引き起こされるフライト異常コスト及び故障メンテナンスコストのうちの1つ又は複数を考慮する必要がある。ここで、飛行機の運行制限コストは、例えば故障を保留する場合、安全考慮に鑑み、飛行機に対して負荷を低減させる必要があり、負荷低減による損失は、飛行機の運行制限コストである。飛行機の運行制限コストは、飛行機構成データに基づいて考慮される必要がある。例えば、同様な負荷低減は大きな全体重量の構成にとって負荷低減であるが、小さな全体重量の構成にとってあるルートに対して運行することができない。
【0068】
故障保留期間において、当該故障に関連する部品が故障する場合、MELに基づいて故障を保留することができない可能性があるが、オンサイトメンテナンスのみを行うことができる。このように引き起こされる故障メンテナンスコストは、可能なメンテナンス労働時間コスト、可能な航空材修理コスト、可能なオフサイト修理コストなどを含む。ここでの可能性とは、関連部品が故障保留期間内に故障が発生する確率を基にする。「関連部品」とは、保留可能な故障に関連する部品であり、故障保留期間内に関連部品も故障が発生すると、保留可能な故障は、保留不可能になる恐れがある。関連部品に対する判断は、MEL及び/又は履歴データに基づいて判断されることができる。1つの保留可能な故障に対して、MELマニュアルにはその関連部品が記載され、通常、関連部品が故障する場合に故障が保留不可能となる条件を説明する。MELマニュアル以外、履歴データに基づいてある保留可能な故障の関連部品を判断することができる。MELでは、予想できない徹底的に数えない関連部品が存在するおそれがあり、実践中、ある部品が故障し又は故障により保留可能な故障が保留不可能になることを引き起こすことが複数回発生する場合、履歴データに基づいて当該部品が当該故障の関連部品であると判断されることができる。故障保留コストCKを見積もる場合、決定モジュールは、故障に関連する部品が保留期間内に保留不可能となる故障の発生確率を判断する。1つの実施例によれば、決定モジュールは、故障に関連する部品に対して性能を解析し又は故障に関連する部品の故障確率分布を分析して保留不可能な故障の発生確率を得ることができる。例えば、性能解析に適する部品に対して、決定モジュールは、その主な性能指標の減衰率に基づいて故障の発生確率を見積もることができ、性能解析に適しない部品に対して、決定モジュールは、その故障確率分布に基づいて故障保留期間内に故障が発生する確率を見積もることができる。
【0069】
決定モジュールは、故障保留コストCKを計算するように、当該発生確率に基づいて関連部品が保留不可能となる故障によって引き起こされるフライト異常コストと故障メンテナンスコストとのウェイト値を得ることができる。1つの実施例において、決定モジュールは、下記の式で故障保留コストを計算することができる。
CK=P*(CL+CEP+CMP)+(1-P)*CL
ここで、
CKは前記故障保留コストを表す。
CLは前記故障の保留による飛行機の運行制限コストを表す。
Pは発生確率より得られるウェイト値を表し、1つの実施例において、当該ウェイト値は発生確率に等しい。
CEPは故障に関連する部品の保留期間内に発生した保留不可能な故障によるフライト異常コストを表す。
CMPは故障に関連する部品の保留期間内に発生した保留不可能な故障による故障メンテナンスコストを表す。
【0070】
その後、ステップS203において故障保留コストCKとオンサイトメンテナンスコストCMとのサイズを比較する。
【0071】
CK>CMと判断する場合、ステップS204に進み、当該故障に対してオンサイトメンテナンスを行う故障排除決定を作る。
【0072】
CK
≦CMと判断する場合、ステップS205に進み、前記故障を保留して引き続き飛行する故障排除決定を作る。故障を保留して飛び続ける故障排除決定には、故障に対してメンテナンスを行う予定時間及び/又は予定場所が含まれることができる。予定時間と予定場所とを決定する場合、決定モジュールは、同様にコストの最小化に基づいて考慮する。例えば、予定時間を決定する場合、決定モジュールは、メンテナンス担当者の労働時間利用率が低い期間を判断して予定時間を当該労働時間利用率が低い期間内に手配することができる。
【0073】
ステップS201において保留不可能な故障であると判断することに応じて、ステップS204に進み、当該故障に対してオンサイトメンテナンスを行う故障排除決定を作る。
【0074】
図3は、本出願の実施例による飛行機の故障処理システムを実現するインターネット環境の構成を示す図である。本発明の実施例による飛行機の故障処理システムは、単一の計算装置101上に実現されてもいいし、例えばインターネット104を介して通信する複数の計算装置101及び103上に実現されてもいいし、又はサーバー102及び/又はインターネット104を介してそれと通信する1つ又は複数の計算装置101、103上に実現されてもいい。本発明の実施例による飛行機の故障処理システムを実現するための1つ又は複数の計算装置101、103又はサーバー102は、メモリ及びプロセッサを備えることができ、メモリにコンピュータ実行可能な命令が記憶され、プロセッサは、メモリにアクセスしてメモリに記憶されているコンピュータ実行可能な命令を実行することができる。コンピュータ実行可能な命令は、プロセッサにより実行される場合、計算装置101、103又はサーバー102は前記飛行機の故障処理方法を実行することができる。
【0075】
計算装置101及び103はいずれかの適切な端末装置であってもよい。パーソナルコンピュータ、ノートブックコンピュータ、デスクトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント、サーバー、携帯電話などであるがこれらに限られない。その中、前記端末装置及び/又はコンピュータ装置は単独で運行して本発明を実現することができ、インターネットにアクセスしてインターネットにおける他のコンピュータ装置とのインタラクション操作により本発明を実現することができる。その中、前記端末装置/コンピュータ装置の所在するインターネットは、インターネット、モバイル通信インターネット、WAN、MAN、LAN、VPNインターネットなどを含むがこれらに限られない。インターネットにおける装置は、単一のインターネットサーバー、複数のインターネットサーバーからなるサーバーグループ又はクラウドコンピューティング(Cloud Computing)に基づく大量のコンピュータ又はインターネットサーバーから構成されるクラウドを含むがこれらに限られず、その中、クラウドコンピューティングは、分散コンピューティング計算の1つであり、一群の疎結合するコンピュータセットから構成されるスーパーバーチャルコンピュータである。
【0076】
なお、前記端末、コンピュータ装置、インターネット装置及びインターネットなどは例として挙げただけであり、他の従来又は今後の出現可能なコンピュータ装置又はインターネットは、本発明に適用できれば、本発明の保護範囲に含まるべきで、引用方式でここに含まれると説明すべきである。
【0077】
本出願に提供されているいくつの実施例において、開示される方法、システム及び装置は、他の方式で実現されることができると理解すべきである。上記の装置の実施例はただ例示的な実施例であり、例えば、前記モジュール又はユニットユニットの区分は、ただロジック機能の区分であり、実際に実現される時に別の区分方式が可能であり、例えば、複数のモジュール又は構成要素が結合でき、又は別のシステムに集積されてもよく、又はいくつかの特徴が無視されることができ、又は実行されない。また、表示又は検討される各構成部分の間の結合、又は直接結合、又は通信接続は、いくつかのインターフェイス、装置又はモジュールを介する間接結合又は通信接続であってもよく、それは電気的、機械的又は他の形式であってもよい。
【0078】
本文において、モジュール又はユニットが「…ように配置される」とは、このようなモジュール又はユニットがハードウェア(例えば処理装置とメモリ)を使用して実現されることができ、又は例えばプロセッサの処理装置によりソフトウェア(例えば、アプリケーション)又はファームウェア命令を実行するときにソフトウェア又はファームウェアを使用して実現されることができる。
【0079】
分離部材として説明された前記モジュール又はユニットは、物理的に分離してもいいし、離間しなくてもいい。モジュール又はユニットとして表示される部材は、物理ユニットであってもいいし、物理ユニットでなくてもいい、即ち、一箇所に位置してもいいし、複数のインターネットユニットに配布されてもいい。実際の需要に応じてその中の一部又は全部のユニットを選択して本実施例のスキームの目的を実現することができる。
【0080】
また、本発明の各実施例における各機能モジュール又はユニットは全部で1つの処理モジュール又はユニットに集積されてもいいし、各モジュール又はユニットは、それぞれ単独で1つのモジュール又はユニットとしてもいいし、2つ以上のモジュール又はユニットは、1つのモジュール又はユニットに集積されてもいい。上記の集積されたモジュール又はユニットは、ハードウェアの形態で実現されてもいいし、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はそれらのいずれかの組み合わせの機能モジュール又はユニットで実現されてもいい。
【0081】
当業者にとって、本出願に記載される各種の方法の実施例の全部又は一部のステップを実現することはプログラム命令に関連するハードウェアにより完了されることができ、上記のプログラムは1台のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されることができ、当該プログラムが実行される場合、上記の方法の実施例のステップを実行するが、上記の記憶媒体は、移動記憶装置、読み取り専用メモリ(ROM、Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM、Random AccessMemory)、磁気ディスク又は光ディスクなどのプログラムコードを記憶できる各種の媒体を含むと理解できる。
【0082】
代替的に、本発明の上記の集積されたユニットは、ソフトウェア機能モジュールの形態で実現されて独立の製品として販売又は使用される場合、1台のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されることができる。このような理解に基づいて、本発明の実施例の技術的解決策は、本質的に又は従来技術に対して貢献する部分がソフトウェア製品の形態で体現されることができ、当該コンピュータソフトウェア製品が1つの記憶媒体に記憶され、1台のコンピュータ装置(パーソナルコンピュータ、サーバー、又はインターネット装置などであってもよい)に本発明の各実施例に記載の前記方法の全部又は一部を実行させるための若干の命令を含む。記憶媒体は、移動記憶装置、ROM、RAM、磁気ディスク又は光ディスクなどのプログラムコードを記憶できる各種の媒体を含む。
【0083】
本出願の上記の各実施例により、飛行機の故障処理に対するコスト制御を実現でき、それによって飛行機の飛行安全を保証するとともに故障メンテナンスコストを最小化して、飛行機の運営コストを低減させる。
【0084】
以上は、本発明の具体的な実施形態に過ぎないが、本発明の保護範囲はこれに限られなく、本技術分野に精通するいかなる当業者は、本発明に開示される技術範囲内に変更又は置き換えを容易に想到でき、それらはすべて本発明の保護範囲内に含まれるべきである。したがって、本発明の保護範囲は前記特許請求の保護範囲を基準にするべきである。