(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-08
(45)【発行日】2022-12-16
(54)【発明の名称】車両停止システム用ポリマー発泡複合材
(51)【国際特許分類】
C08J 9/36 20060101AFI20221209BHJP
B64F 1/02 20060101ALI20221209BHJP
E01F 15/00 20060101ALI20221209BHJP
【FI】
C08J9/36 CER
C08J9/36 CEZ
B64F1/02
E01F15/00
(21)【出願番号】P 2017532989
(86)(22)【出願日】2015-12-17
(86)【国際出願番号】 US2015066395
(87)【国際公開番号】W WO2016100676
(87)【国際公開日】2016-06-23
【審査請求日】2018-12-06
【審判番号】
【審判請求日】2021-02-08
(32)【優先日】2014-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519315176
【氏名又は名称】ランウェイ セーフ アイピーアール エイビー
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(72)【発明者】
【氏名】バレンティーニ,シルビア,シー.
(72)【発明者】
【氏名】ズー,ホン
(72)【発明者】
【氏名】ガルバス,マイケル,ティー.
(72)【発明者】
【氏名】フライン,ニコラス,エム.
【合議体】
【審判長】大島 祥吾
【審判官】▲吉▼澤 英一
【審判官】植前 充司
(56)【参考文献】
【文献】特公昭51-22291(JP,B1)
【文献】特開平8-296212(JP,A)
【文献】米国特許第4781271(US,A)
【文献】特表2010-523400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J9/00-9/42
E01C1/00-17/00
F16F7/00-7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーバーランする航空機を停止するために、前記オーバーランする航空機の重量で押しつぶすか、そうでなければ変形するように構成されている車両停止システムであって、
ポリマー発泡材料で形成された1つ以上のコアと、
前記1つ以上のコアの1つ以上の表面の周囲に形成された、硬化した保護外皮を含むコーティングを備え
、
前記1つ以上のコアは、複数のコアであり、
前記コーティングは、前記複数のコアのそれぞれの個別のコア全体を覆っているか、又は、前記複数のコアの構造全体を覆って
おり、
前記ポリマー発泡材料は、特定の方向またはモードで前記ポリマー発泡材料を弱化させることができる孔、スリット、および/または切れ目によって穿孔される、車両停止システム。
【請求項2】
前記ポリマー発泡材料は、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエステルまたはポリプロピレンを含み、フェノール発泡体を含まない、請求項1に記載の車両停止システム。
【請求項3】
前記ポリマー発泡材料は、押出ポリスチレンまたは発泡ポリスチレンを含む、請求項1または2に記載の車両停止システム。
【請求項4】
1つ以上の添加剤をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の車両停止システム。
【請求項5】
前記硬化した保護外皮は、前記1つ以上のコアとは異なる材料で形成された、プラスチックフィルムである、請求項1から
4のいずれか一項に記載の車両停止システム。
【請求項6】
前記コーティングは、耐候性コーティングを含む、請求項1から
5のいずれか一項に記載の車両停止システム。
【請求項7】
前記ポリマー発泡材料上に1つ以上のハンドルをさらに含む、請求項1から
6のいずれか一項に記載の車両停止システム。
【請求項8】
オーバーランする航空機を停止するために、前記オーバーランする航空機の重量で押しつぶすか、そうでなければ変形するように構成されている車両停止システムであって、
ポリマー発泡体から形成された複数のコアと、
前記複数のコアは、前記複数のコアのそれぞれの個別のコア全体を覆っているか、または前記複数のコアの構造全体を覆っているコーティングまたは封じ込めシステムを備え、
前記コーティングまたは前記封じ込めシステムは、硬化した保護外皮を含み、
前記複数のコアは、航空機滑走路の終端に設置され、
前記ポリマー発泡体は、特定の方向またはモードで前記ポリマー発泡体を弱化させることができる孔、スリット、および/または切れ目によって穿孔される車両停止システム。
【請求項9】
前記複数のコアは、耐ジェット噴流性封じ込めシステムに対して位置決めされる、請求項
8に記載の車両停止システム。
【請求項10】
前記1つ以上のコアの一部は、難燃性障壁である、請求項1から
7のいずれか一項に記載の車両停止システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2014年12月18日に出願された米国特許仮出願第62/093,622号「Polymeric Foam Composite for Vehicle Arresting System」および2015年5月22日に出願された米国仮特許出願第62/165,401号「Polymeric Foam Composite for Vehicle Arresting System」の利益を主張し、これらのそれぞれの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本開示の実施例は一般に、(特別設計材料停止システム(EMAS)とも呼ばれる)車両停止システムとして使用するための複合材料に関する。特定の実施例は、変性ポリマー発泡複合材を使用することができる。ポリマー発泡体は、添加剤、コーティング、両方の組み合わせ、またはそれらをEMASに有用なものとする他の特徴を含むことができる。ポリマー発泡体は、保護外皮を提供する1つ以上の改質表面を有することもできる。例えば、1つ以上の表面は、ポリマー発泡セルを閉鎖するのを支援するために、および/または封入表面を作るために加熱によって改質されてもよい。これらの特徴は、耐候性、耐火性、吸湿性、耐ジェット噴流性の向上、エネルギー吸収特性の改善、または他の所望の特徴を提供することができる。
【背景技術】
【0003】
[0003]航空機は、滑走路の端を越えてオーバーランすることがあり、実例もあり、乗員の負傷、および航空機の破壊または重大な損傷の可能性を高めている。このようなオーバーランは、最大で80ノットまでの速度で走行している航空機の離陸中断時または着陸中に発生する。オーバーランの危険性を最小限に抑えるために、連邦航空局(FAA)は、滑走路の終端を越えて長さ1000フィートの安全領域を一般に要求している。現在、この安全領域はFAA基準であるが、国中の多くの滑走路がこの基準の採用より前に建設された。これらの滑走路は、水、道路、またはその他の障害物が1000フィートのオーバーラン要件を順守することが経済的に困難になるような場所に位置していることがある。
【0004】
[0004]オーバーラン状態の深刻な結果を緩和するために、滑走路を越えて存在する土壌表面を含むいくつかの材料が、航空機を減速させる能力について評価されている。しかし、土壌表面は、主としてそれらの特性が予測不可能であるために、移動する車両(すなわち、航空機)を停止するための最良の解決策ではない。
【0005】
[0005]検討されている別のシステムは、滑走路の終端から離れて走行する航空機車輪の圧力下で予測可能かつ確実に圧壊する(または変形する)ような、滑走路の端に配置された材料または障壁を含む車両停止システムまたは他の圧縮可能システムを提供している。圧縮可能な低強度材料によってもたらされる抵抗力は、航空機を減速させてオーバーラン領域の範囲内で停止させる。車両停止システムの特定の例は、特別設計材料停止システム(EMAS)と呼ばれ、現在では、2012年9月付けのFAAアドバイザリーサーキュラー第150 / 5220-22B、「Engineered Materials Arresting Systems(EMAS)for Aircraft Overruns」に記載されているアメリカ合衆国飛行場設計基準の一部である。EMASおよび滑走路の安全領域計画は、FAA指令5200.8および5200.9により指導されている。
【0006】
[0006]圧縮可能な(または変形可能な)車両停止システムは、例えば車両または航空機以外の物体を減速させるために、道路または歩道(または他の場所)の上またはその内部に配置することもできる。自動車、列車、トラック、オートバイ、トラクタ、モペット、自転車、ボート、または速度を上げて疾走して制御不能になる可能性があるために安全に停止させる必要がある任意の他の車両を安全に停止させるためにこのシステムを使用することができる。
【0007】
[0007](特に航空機の停止に関連して)車両を停止するために考慮されたいくつかの特定の材料は、気泡コンクリート、発泡ガラス、超軽量セメント系材料、パーライトおよびセメント、化学結合リン酸塩セラミック(CBPC)を含む。これらの材料は、滑走路の終端にある停止装置区域の浅いベッドとして形成することができる。車両が停止装置区域に入ると、車両の車輪は、材料に圧力を加えて材料を圧壊するかまたは崩壊させて抵抗負荷を増大させる可能性がある。
【0008】
[0008]しかし、これまでに研究されてきたいくつかの材料は改善することができる。例えば、いくつかの種の発泡体は、即座の「反発」特性を有することがあり、その結果、圧縮後にいくらかのエネルギーを戻すという点で不利となる可能性がある。例えば、それら発泡体は、ゴムバンドのように反発して元の形に戻ることがある。停止機能が完了すると、航空機のタイヤに対して無関係なエネルギーを再び加えるべきではないため、これは望ましくない。(しかし、以下に説明するように、本開示による材料のいくつかは、車両がシステムを通過した後に生じる可能性のある反発のような、緩やかな反発特性を有することがある)。気泡コンクリートは、時間とともに変化し得る密度および圧縮強度特性を有しており、可変原料の本来の性質およびその後の水和工程のために、一部の特性を製造中に維持することが困難となる可能性がある。セラミックの特性は焼成工程中に安定状態に設定されるが、(均一性、粒径、粒子強度などを含む)発泡ガラスの特性を制御するのが困難となる可能性がある。したがって、車両停止ベッドのための改良された材料を開発することが望ましい。
【0009】
[0009]さらなる一例では、フェノール発泡体パネルを使用する航空機停止システムを検討した。これは米国特許第5,193,764号明細書に概説されている。この解決策は、層状に積み重なって接着剤を介して互いに固定される硬質の発泡板を提供しようとするものである。硬質発泡体は、2~4ポンド/立方フィートの範囲の密度および20~80ポンド/平方インチの範囲の圧縮強度を有する独立気泡構造である。この特許に記載された好ましい材料はフェノール発泡体であり、接着剤はラテックス接着剤である。フェノール発泡体はそれ自体が高い吸水性を有するので、このシステムはFAAによってさらに検討されたり追求されなかった。
【0010】
[0010]空港共同研究プログラム(ACRP)報告書29の「Developing Improved Civil Aircraft Arresting Systems」は、輸送調査委員会によって作成された(および連邦航空局主催が後援した)2009年の報告書である。この報告書は、EMASのエネルギー吸収として使用することができる様々な材料について検討している。報告書には、フェノール発泡体や発泡スチロールなどのポリマー発泡体が記載されているが、「セメント質の発泡体がポリマー発泡体よりも利点を提供することが判明した」(第2.2節参照)と述べられており、当業者がポリマー発泡体を追求することから遠ざけている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【非特許文献】
【0012】
【文献】FAAアドバイザリーサーキュラー、「Engineered Materials Arresting Systems(EMAS)for Aircraft Overruns」、第150/5220-22B、2012年9月
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
[0011]本発明の実施例は、(特別設計材料停止システム(EMAS)とも呼ばれる)車両停止システムとして使用するための複合材料に関する。特定の実施例は、変性ポリマー発泡複合材を使用することができる。ポリマー発泡体は、添加剤、コーティング、両方の組み合わせ、またはそれらをEMASに有用なものとする他の特徴を含むことができる。ポリマー発泡体は、保護外皮を提供する1つ以上の改質表面を有することもできる。例えば、1つ以上の表面は、ポリマー発泡セルを閉鎖するのを支援するために、および/または封入表面を作るために加熱によって改質されてもよい。これらの特徴は、耐候性、耐火性、吸湿性、耐ジェット噴流性の向上、エネルギー吸収特性の改善、または他の所望の特徴を提供することができる。
【0014】
[0012]一例では、車両停止システムに使用するように構成されたポリマー発泡材料が提供され、このポリマー発泡材料は、ポリマー発泡材料で形成された1つ以上のコアと、1つ以上コアの周囲に形成された保護材料のコーティング、被包、または層とを含む。ポリマー発泡材料は、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエステル、またはポリプロピレンであってもよく、フェノール発泡体を含まない。ポリマー発泡体は、押出ポリスチレンまたは発泡ポリスチレンであってもよい。
【0015】
[0013]ポリマー発泡材料は、1つ以上の添加剤を含んでもよい。ポリマー発泡体は、材料の1つ以上の表面に形成された保護外皮を有してもよい。外皮は、熱改質、粉体コーティング、噴霧、または任意の他の表面改質方法によって材料の1つ以上の表面に形成されてもよい。難燃性の耐候性コーティングを含むコーティングが存在してもよい。一例では、ポリマー発泡材料は、伸張された歪み範囲にわたって比較的一定に保たれる応力対歪み分析結果を示す。
【0016】
[0014]別の例では、車両停止システムが提供され、この車両停止システムはポリマー発泡体から形成された複数のコアを含み、複数のコアは、1つ以上の個別のコアに適用されるか、または複数のコアに適用されるコーティングまたは封じ込めシステムを含み、複数のコアは、航空機滑走路の終端に設置される。コアは、耐ジェット噴流性封じ込めシステムに対して位置決めされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の様々な実施例によって使用することができる発泡体ブロックの一例を示す図である。
【
図2】コーティングを塗布した
図1の発泡体ブロックを示す図である。
【
図3】1つ以上の表面を加熱することによって形成された外皮を有する発泡体ブロックを示す図である。
【
図4】車両停止システムを形成するために使用することができるポリマー発泡体ブロックの集合体を示す図である。
【
図5】本開示に関連して使用するために試験された4つの材料についての様々な圧縮強度対圧縮歪みを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[0020]本発明者らは、ポリマー発泡体が車両停止システムのためのエネルギー吸収材料として機能することができると判断した。ポリマー発泡体は、車両停止の目的に適した方法で、その組成が変更された場合、または、それらが処理、塗布、または改質された場合に有益に機能することができる。
【0019】
[0021]一例では、カプセル化された気泡ポリマー複合材によってエネルギー吸収を提供することができる。カプセル化によって封じ込めシステムを提供することができる。ポリマー発泡体コアを少なくとも部分的にカプセル化し、覆い、または他の方法で早期の劣化または損傷から保護することができる任意の適切なコーティング、積層体、膜、封じ込め、保護材料、オーバーレイヤまたは任意の他の物質によってカプセル化を提供することができる。噴霧コーティングまたは浸漬コーティングによって、カプセル化を提供することができる。1つ以上のポリマー発泡体表面に対する加熱によって、カプセル化を提供することができる。これは、硬化した外皮を生成する可能性がある。これは、例えば、作業者が結果として生じたポリマー発泡複合材の上を歩くことが可能な、またはジェット噴流から材料を保護するのに役立つこと可能な封入表面を形成することができる。カプセル化は、火災の被害、表面に落下する小さな物体、劣化、天候(雨、水蒸気、紫外線暴露、雹、雪、凍結など)、動物の攻撃、化学物質の流出、および/または風またはジェット噴流に関連する力に対する抵抗性をもたらすことができる。さらに、カプセル化は、歩行者の牽引力を向上させるため、または塗料が付着することができる追加の表面領域を改善するために、滑り止めの表面を提供することができる。様々な非限定的なカプセル化および/またはコーティングの概要を以下に説明する。カプセル化されたポリマー複合材は、気泡状の性質であってもよい。
【0020】
[0022]本発明者らはまた、ポリマー発泡体を所望の環境においてより有望かつより有用にすることができる特性をさらに改善する添加剤および他の成分を含む変性ポリマー発泡体を検討した。添加剤を含むこれらのポリマー発泡体は、本明細書で概要が説明されるようにカプセル化されてもよい。しかし、添加剤を含むこれらのポリマー発泡体は、このようなカプセル化またはコーティングを伴わずに単独で使用されてもよい。検討されたポリマー発泡複合材は、車両の安全な停止のために有用となり得る低反発性を有してもよい。
【0021】
[0023]したがって、本開示の実施例は、低反発ポリマー発泡体コア10を含むことができる車両停止システムを提供する。ポリマー発泡体コアは、様々な添加剤を含むように改質されてもよい。コア10は、様々な厚さのシート、モノリシック構造、または、異なる形状または配向要素の形態であってもよい。
図1は、例示的なポリマー発泡体コア10の単なる一例を提供している。特定の形状が示されているが、コアは任意の適切な形状または形態で形成されてもよいことを理解されたい。コア10は、ブロック、中空、または有孔構造、または他の形状の物品の形態であってもよい。コアは、積み重ねられ、組み立てられ、または他の方法で形成されるか、あるいは所望の停止ベッド形状に配向されてもよい。コアは、滑走路の表面に接着されていてもよい。
図2に示すように、コアは、コアに適用される(「封じ込めシステム」とも呼ばれる)1つ以上のコーティングまたは外層12を有してもよい。コアは、コアを互いに関連して維持する外部封じ込めシステム内に位置決めされてもよい。
【0022】
[0024]一般に、複合システムは、荷重によって圧縮し、最小限の反発力を有することがある。いくらかの反発は許容範囲であることが理解されるべきである。一般に、いくらかの反発を有する材料が使用される場合、反発は、材料上を移動する車両タイヤに対して反発圧力を加えないほど十分に緩やかであるものとされる。起こり得る任意の反発は、移動中のタイヤが通過した後に生じる。これらの特徴は、EMASにおいて変性ポリマー発泡材料の使用に役立つことができる。システムは、異物破片(FOD)の危険性を低減することができる小型の部品を形成する損傷モードを有する。
【0023】
[0025]一例では、このような車両停止システムが、停止すべき車両の耐荷重構造(例えば、車輪、トラック、着陸装置)に接触すると、材料は一般に崩壊し、車両/機構によって実現される合力以下の力で圧縮する。これは低い反発抵抗を提供することができ、システムと車両との全体的な相互作用において吸収されるエネルギーをさらに改善する。別の例では、車両停止システムが車両の耐荷重構造に接触して停止すると、材料が破損して圧壊することがある。また、材料が、ジェット噴流に耐えることができる外面、材料の上を歩く作業者の体重、および即座に圧壊しない他の外力も有することが一般に望ましい。したがって、材料上に外側の外皮または分化した層を形成するのに役立つ1つ以上の表面処理を提供することも可能である。外皮は、特に薄い外皮でなくてもよい。最上層は、1/64インチからブロック自体の厚さの半分までの範囲の大きさの外皮であってもよい。
【0024】
[0026]この分化した層は事実上、第2の層または追加の層であってもよい。外皮層は、複合ブロック状の材料を提供することができる。一例では、2つの異なる発泡材料を組み合わせることが可能であり、これらの材料の1つは、第1の材料とは異なる特性を提供する。別の例では、ポリマー粉末をブロックの表面に添加し、かつ加熱して外皮を形成することができる。別の例では、層をブロックに積層することができる。別の例では、層をブロック上に噴霧、塗装、または浸漬することができる。
【0025】
[0027]ポリマー発泡体コアを形成するために使用することができるいくつかのポリマー材料の特性を以下に説明する。この説明はまた、使用することができる様々な添加剤、改質、および封じ込め/コーティングシステムを含む。
【0026】
[0028]原材料:原材料はポリマー発泡材料であってもよい。原材源は、有機ポリマー(ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリプロピレン、フェノール化合物など、または任意の上述の混合物)であってもよい。例示的な材料の非限定的な例は、押出ポリスチレン発泡体、発泡スチロール、押出ポリウレタン発泡体、発泡ポリウレタン発泡体、押出フェノール発泡体、発泡フェノール発泡体、またはこれらの任意の組み合わせを含む。材料は、複合ポリマー混合物であってもよい。混合物は、1つ以上の充填剤、コポリマー、発泡剤、架橋ポリマー、密度調整剤、促進剤、遅延剤、潤滑剤、それらの組み合わせ、または他の添加成分を含むことができる。材料は、本明細書に記載された1つ以上の方法で改質および/またはコーティングおよび/またはカプセル化された任意のポリマー発泡体であってもよい。
【0027】
[0029]発泡ポリマーの一例は、植物に関連する用途および工芸の用途に使用されるポリウレタンである。この材料はエネルギーを吸収するが、水を吸収して火災状態で容易に燃焼することもある。この材料はまた、初期圧力が加えられた後に反発するが、これは車両停止システムを伴う使用には望ましくない。別の材料の例は押出ポリスチレンであり、工芸用途に使用される。この材料はエネルギーを吸収するが、難燃性ではなく、所望の反発よりも高い反発を有することがある。したがって、このような材料を本開示で使用することができるが、EMASにおけるそれら材料の使用のためにこのような発泡ポリマーに1つ以上の改質を施すべきであると考えられる。これらの改質は、発泡体自体に1つ以上の充填剤を添加することであってもよく、および/またはコーティング、積層体、または他のコーティングを材料に提供することを含む。
【0028】
[0030]特定の非限定的な一例では、押出ポリスチレン発泡体(XPS)が使用されてもよい(その一例は、The Dow Chemical Company社により販売されているImpaxx(登録商標)Foamと呼ばれるものである)。この材料はエネルギー吸収材として販売されており、現在は、レーシングカーのバンパー、ドア、ヘリコプタのドアやフロアパネルなどのハイエンドの用途に使用されている。しかし、この材料を、EMAS(特別設計材料停止システム)コアとして有効に使用するために改質してもよい。1つ以上の改質がなければ、この材料は異方性で強すぎる可能性があり、火災の危険を招く可能性があると考えられている。本発明者らは、このような発泡材料を改質することでこれらの課題を克服することができることを見出した。XPS発泡体は一般的には反発しないが、圧壊時に破損するかまたは崩れる。
【0029】
[0031]いくつかの例では、押出ポリスチレン発泡体を生成するために使用される押出工程は、発泡体上に上縁部または外皮14を形成することができる。これを
図3に示す。この外皮材料は、発泡体が他の目的のために使用される場合に切除されてもよいが、本開示では、材料の強度を高めて保護コーティング/外皮/被膜/被包を形成するのに役立つように、形成された外皮14をコア10に置いておくことが可能である。
【0030】
[0032]別の例では、発泡ポリスチレン(EPS)発泡体を使用することができる。EPS発泡体はいくらかの反発/より多くの弾性変形を有するが、反発は、車両タイヤに対して即座に反応しないように一般に緩やかである。
【0031】
[0033]他の可能な発泡体パネル製造業者には、Owens Coming、Georgia Pacific、Pactiv、Certainteed(Saint Gobainの一部門)、JM Corp、BASFなどが含まれるが、これらに限定されない。これらの会社の多くは、(主に断熱材として住居に使用される)パネル発泡体でポリマー発泡体を製造している。しかし、これら材料のいずれも、真の車両停止システムとして機能するために十分に適切であるとは見なされない。それら材料は、20年の耐久性を求めるFAAサーキュラーによるEMASの要求に応じて、滑走路の終端にそのような発泡体を置いて長期間気象要素に曝される過酷な環境に耐えないであろう。
【0032】
[0034]市場で入手可能な現在の積層発泡体は、織物、金属積層体またはプラスチックフィルムまたは担体を用いて製造される。このような「積層発泡体」の意図する作用は、発泡体コア自体を吸湿から保護することである(例えば、住宅産業用に販売されるPU発泡体)。このような積層体は、過度に強固であるか、または過度に弾性であるために容易に裂けないか、または圧力下で変形するので、EMAS用途には適していない。この特徴のみでは、現在市販されている積層発泡製品はEMASには適していない。積層は、性能を妨げ、屋外環境に曝されたときに持続しないことがある。現在の発泡体パネルは、住宅や浮揚装置などを建造する際には、露出して販売されずに他の材料で覆われている。
【0033】
[0035]本発明者らは、所望の圧壊および/または圧縮の強度特性を有することができるように、ポリマー発泡体を1つ以上の方法で改質してもよいと判定した。(これらの特徴、限界、およびパラメータの多くは、本出願人の同時係属中の出願および交付済の特許に定義されている。望ましい圧縮は、これらの材料のいくつかにおける圧縮勾配強度(CGS)と呼ばれてもよい。)これらの改質は、1つ以上の充填剤の添加、および/または材料上にコーティング、積層体、カプセル化、封じ込めシステム、または他のコーティングまたは層を提供することであってもよい。
【0034】
[0036]
材料パラメータ:特定の用途のための適切なポリマー発泡材料を決定するために、試験はエネルギー吸収曲線を使用することができる。一例を
図5に示す。この試験は、(百分率%単位で測定された)圧縮歪みに対する(ポンド/平方インチ単位「psi」で測定された)圧縮強度を比較することができる。図示されているように、一定の圧縮歪みに達するまでは、平坦であり得る初期強度パラメータが存在する。台地のような形状を形成する、拡張された歪み範囲にわたって応力が比較的一定に留まる場合、これは、試験された材料にはEMASで使用された場合に有益な効果があることを反映している。任意の特定のポリマー発泡材料のエネルギー曲線形状を分析するために、関連する試験を行うことが可能である。しかし、すべての発泡体が平坦域を生み出すわけではないが、依然として有望な対象であり得る。特定の材料が有望であると思われる場合、材料に1つ以上のコーティングを加えることが可能である。追加的または代替的に、特定の材料パラメータを変更するかそうでなければ修正して発泡体の強度または他の因子を改変するために、1つ以上の添加剤を添加することが可能である。
【0035】
[0037]添加剤:添加剤は必要ではないが、提供される場合は難燃剤やその他の充填剤を含んでもよい。他の添加剤は、顔料、グラファイト、炭素繊維、エーロゲル粒子、ナノ材料、セメント質材料、セラミック材料、またはそれらの組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。発泡体を形成するための成分または加工助剤として作用するガスまたは化学物質を添加することができる。他の任意の添加剤は、動物または植物の増殖防止剤が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、動物に不快感を与える香りまたは味を材料に持たせるような材料に添加剤を添加することができる。例えば、材料上の細菌またはカビの成長を防止する添加剤を材料に添加することができる。他の添加剤も可能であり、本開示の範囲内であると考えられる。一例では、添加される材料は一般に、車両の動きを阻止するために、および/またはその機械的特性および等方性の特質を変更するために、特定の速度で移動する車両との接触時に発泡体を確実に圧壊し、変形させ、または崩壊させることを目的としている。任意選択の添加剤もまた、動物、微生物、または天候による攻撃から物質の完全性を保護するのに役立つことができる。
【0036】
[0038]一例では、材料の脆性を増大させる1つ以上の添加剤を含むことが可能である。例えば、EMASの望ましい損傷モードは、弾性(例えばゴムの一部を引張すること)破損に対する「弾発破損」である。(これは現在市販されている多くの発泡体における共通の挙動である。)
【0037】
[0039]工程:発泡体を製造するために(現在または将来)使用される任意の工程を用いて、本明細書に記載のポリマー発泡複合材を製造することができる。本明細書に記載のコア構成要素の製造に使用することができる主な工程は、以下の通りである。
ガス(すなわち、XPS)による高温ポリマーの押出し。
ガス(すなわち、EPS)による高温ポリマー膨張。
化学反応によるポリマーの膨張(すなわち、発泡ポリウレタン)。
【0038】
[0040]上記のいずれの方法も、発泡体を単独で、または被覆/積層発泡体を製造することができる。
【0039】
[0041]異なる種類の発泡体に使用するための他の工程が可能であり、本開示の範囲内であると見なされることを理解されたい。
【0040】
[0042]熱改質:一例では、ポリマー発泡体のコアまたは構成要素の1つ以上の表面を加熱することが可能である。この改質は、コアが形成された後(後加工)またはコアの形成中(例えば押出し中)に行われてもよい。熱改質は、押出工程中に達成することができる。一実施例では、材料が非常に高温のダイを通って押し出されるときに、外皮材料14を形成することができる。熱改質は、表面に適用することができる熱プレートを使用して達成することができる。熱改質は、炉または他の熱生成器具を介して達成することができる。熱改質は、1つ以上の表面を加熱するために、コアの表面に、火炎を適用することによって、トーチランプを使用することによって、または、任意の他の種類の加熱器具を適用または接触させることによって達成することができる。熱改質は、押出工程自体によって達成することができる。一般的な目標は、少なくとも熱改質される表面上にカプセル化用の外皮14を提供するために、少なくとも1つの表面上のポリマー発泡材料の特性を変化させることである。
【0041】
[0043]使用される温度は、外層の約1/64”■約1”を溶融させ、コア上に外皮を形成させるのに十分である。1つの有益な類推は、クリームブリュレの創造であってもよい。使用時には、加熱を介してより多孔質のポリマー発泡材料の上に、硬化した一般的に非多孔質の外皮が形成される。
【0042】
[0044]形成された外皮は、コア上に硬表面を提供することができる。この外皮は、外観がゲルのような被膜であってもよい。硬質の表面は、水の侵入、動物の攻撃、ジェット噴流による損傷を防止するのに役立ち、および/または停止システムの検査中に作業者が歩くことができる表面を提供することができる。
【0043】
[0045]その他の変更:一例では、特定の方向またはモードで材料を弱化させることができる孔/スリット/切れ目によってポリマー発泡体を穿孔することができる。これにより、手動で容易に崩壊して、鋭い縁部を有さず小型で軽量になる可能性がある。提案された材料は一般に、金属表面に付着せず、すなわち、異物破片(FOD)の危険性を与えないか、または飛行機に損傷を与える可能性が低いことを意味している。さらに、これらの穿孔は、材料の機械的特性を改質し、材料をより良好なエネルギー吸収剤にすることができる。特定の例では、ポリマー発泡材料は押出ポリスチレンであってもよい。孔は、発泡体の製造後に形成されるか、または発泡体の製造中に形成されることを含む、任意の適切な方法によって形成することができる。
【0044】
[0046]封じ込めシステム/コーティング/カプセル化障壁を提供するために、材料のコアブロック、材料のコアブロックの一部、または材料のコアブロックの構造全体の周囲に封じ込めシステムを設けることも可能である。これは、上に概説したように、気象要素、外部要素(人または動物による干渉)、難燃性障壁、またはそれらの任意の組み合わせに対する障壁となり得る。これは、層12、膜、コーティング、被膜、または、ポリマー発泡体コアまたはコアの組み合わせを様々な供給源から起こり得る劣化から少なくとも部分的に保護するように機能する任意の他のシステムとして形成することができる。
【0045】
[0047]1つの可能な封じ込めシステムは、熱障壁および火炎障壁のために使用することができる難燃性コーティング12として提供することができる。このような材料の非限定的な一例は、今日では、Temprotex(商標)として販売されている。難燃性材料を塗料のように塗布してポリマーコア材料を被覆してもよい。他の適切な方法を介して材料の1つ以上のコアに噴霧、はけ塗り、浸漬、接着、または塗布してもよい。他の可能性のあるコーティングは、ポリウレアコーティングである。
【0046】
[0048]他の可能な封じ込めシステムは、織物、パネル、コーティング、外皮、または他の被膜/コーティング/材料を含む保護膜を提供することができる。例えば、上述の熱成形された外皮は、材料に対する剥離または他の損傷を防止するのに役立つことができる。特定の実施例では、この保護膜封じ込めシステムは、個別のコア構成要素10を覆う必要はないが、システム20全体にわたって形成されてもよい。(互いに関連するコア構成要素10のシステム20の一例を
図4に示す。)他の例では、この保護膜は、複数のブロックまたは材料の構成要素の個別の部分を覆うことができるか、または個別のブロックまたは材料の構成要素を覆うことができる。
【0047】
[0049]封じ込めシステムは一般に、コア10に強度をもたらすが、コーティングを壊れやすくする1つ以上の添加剤をコーティングに与えることも可能である。これは、衝突の際に車両車輪がコーティング/コアを貫通することを可能にする。これは、コーティングの一部が破損して空気中を進むことによる異物損傷(FOD)の危険性を低減するのに役立つ。別の例では、コーティングは、可撓性/変形可能なコーティングであってもよい。車両車輪に衝突すると、コーティングは発泡体を変形させるが、圧壊することはない。異なる封じ込めシステムによって異なる損傷モードを提供することが可能である。
【0048】
[0050]他の可能な封じ込めシステムは、システム全体を構成する小さな群にまとめられた材料のコアブロックまたは構成要素を提供することである。これらの概念は、出願人の同時係属中の米国特許出願公開第2013/0020437号明細書に記載されている。
【0049】
[0051]他の潜在的封じ込めシステムは、個別のコア構成要素を個別にまとめるかまたはコーティングして提供することである。EMASは、複数の個別のコーティングされた構成要素を使用することによって形成されてもよい。
【0050】
[0052]固定:典型的には航空機の滑走路などの所望の場所にコア10を固定するために、様々な方法を使用することができる。一例では、一連の発泡体コア10を滑走路に接着するためにアスファルトの層を使用することができる。発泡体コア10は低せん断強度を有し、ジェット噴流のために場所から引き剥がされる可能性が高いため、コア10は一般に、強度を与えて発泡体を適所に固定するのに役立つようにコーティングされる。一例では、コーティングはポリウレアコーティングであってもよい。このようなコーティングは、極めて強固で弾性的であるが、風化、ジェット噴流、および他の環境攻撃からコアを保護するのに役立つ。他のコーティングも可能である。例えば、本明細書に記載された1つ以上の他のコーティングが使用されてもよい。
【0051】
[0053]一例では、各個別のブロックは、固定する前に個別にコーティングすることができる。別の例では、ブロックの全システムが固定され、次いで集合的にコーティングされてもよい。発泡体ビレットの間に1つ以上の接着剤層を設けてもよい。
【0052】
[0054]別の例では、コアは、耐ジェット噴流性(JBR)封じ込めシステムに対して固定されてもよい。本譲受人は、特定のシステムに関する様々な特許を保有しており、そのいずれも本開示と関連して使用することができる。その例は、米国特許第6685387号明細書、米国特許第6971817号明細書、米国特許第7261490号明細書、米国特許第7597502号明細書、米国特許第8021075号明細書に含まれている。
【0053】
[0055]コア材料の運搬:これまで使用されてきた他の種類の車両停止材料のいくつかよりもポリマー発泡体が軽量であることが判明しているので、運搬が容易であるようにコア材料を形成することが可能である。一例では、コアは、コアの1つ以上の側面に把持窪みを備えて形成されてもよい。これは、所望の通り車両停止システムが形成されるように作業者がコア材料を持ち上げてこれを位置決めするのに役立つことができる。別の例では、コアは、コアから突出する1つ以上のハンドル要素で形成されてもよい。ハンドル要素は、コア材料自体として形成されてもよい(例えばハンドル構成要素は処理中に形成され、その後、後処理中にハンドルを硬化させるために熱改質を受けてもよい)。コアと一体的に形成されたロープハンドル、金属製ハンドルなどの追加要素として、ハンドル要素を追加してもよい。コア材料の運搬を容易にするために窪み、孔または開口に挿入することができるトングまたは他の要素を受け入れることができるコアに、窪み、孔または他の形状の開口を設けることも可能である。
【0054】
[0056]本開示または添付の特許請求の範囲または精神範囲から逸脱することなく、上記に列挙され図面に示される構造および方法に対して、変更および修正、追加および削除を施してもよい。